JP2022007556A - 酸化物単結晶の単一分域化処理方法 - Google Patents

酸化物単結晶の単一分域化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気的極性が揃わない等の不具合を防止し、生産性を向上させる、タンタル酸リチウム等の酸化物単結晶の単一分域化処理方法の提供。【解決手段】耐熱容器内1に酸化物結晶粉末Pに埋め込んだ酸化物単結晶Cに対して、対の電極E1、E2を配置し、所定の温度で電極に電圧を印加して酸化物単結晶Cを単一分域化する単一分域化処理方法であって、酸化物単結晶Cは育成方向がZ軸方向またはY軸方向ではなく、酸化物単結晶CのZ軸方向と対の電極E1、E2のそれぞれとが実質的に垂直になるように酸化物単結晶Cと対の電極E1、E2を配置し電圧を印加することを含む、酸化物単結晶の単一分域化処理方法。酸化物単結晶Cを酸化物結晶粉末Pに埋め込む際に、酸化物結晶粉末Pを中央部が凹むように形成した後、形成した酸化物結晶粉末Pに酸化物単結晶Cを配置することを含む、酸化物単結晶の単一分域化処理方法。【選択図】図1

Description

本発明は、タンタル酸リチウム(LiTaO:以下、LTと略称する)単結晶やニオブ酸リチウム(LiNbO:以下、LNと略称する)等の酸化物単結晶の単一分域化方法に関する。
酸化物単結晶(以下「単結晶」と略記する場合もある)は、非線形光学材料や表面弾性波デバイス用材料等に用いられている。単結晶の育成は、工業的にはチョクラルスキー法(以下、Cz法と略記する場合がある)が利用されている。Cz法は、単結晶の原料が収容された坩堝を高周波誘導加熱炉や抵抗加熱炉等で加熱して結晶原料を融液状態とし、所望とする方位の種結晶を上記融液面に接触させた後、温度勾配のついた炉内において上記種結晶を引き上げて種結晶と同じ方位の単結晶を育成する手法である。
なお、Cz法で育成された単結晶は多分域状態となっており、多分域状態のままでは単結晶のウエハ加工時にクラックが入り易く、また、非線形光学材料や表面弾性波デバイス等の特性に影響を及ぼす。このため、育成された単結晶には単一分域化処理を施す必要がある。
単一分域化を行う方法としては、例えば下記の特許文献1に、LN単結晶を単一分域化処理する方法が記載されている。特許文献1には、LN粉末が収容された耐熱容器のLN粉末内にLN単結晶を埋め込み、LN粉末を介してLN単結晶を一対の電極で挟み、LN単結晶をキュリー点以上の温度に昇温、保持し、電極間に電圧を印加して単一分域化する方法が記載されている。
特開昭57-140400号公報
ところで、単結晶を単一分域化処理する際には、結晶の電気的極性方向、いわゆるZ軸方向にプラス、マイナスの一対の電極を取り付けて均熱炉内にセットして電界を加えることが望ましいと考えられる。しかしながら、例えば、特許文献1に記載の単一分域化処理では、図8に示すように、耐熱容器にLN単結晶の引き上げ方向を鉛直方向として収容して、LN単結晶側面に対になるように電極を配置している。このLN単結晶の育成方向は、128°RY方向に引き上げられたものである。このため、特許文献1では、LN単結晶側面に電極を配置した場合、Z軸方向とズレが生じている。また、LT単結晶の育成は、育成方位が40°RYよりも高RY側になると、多結晶化の頻度が非常に高くなり単結晶化率が低下する。従って、LT単結晶の育成は、36°RYから40°RY付近の方位を持つ種結晶を用いて行われるのが一般的で、40°RY近傍の方位を持つ種結晶で育成を行った場合、向き合う一対の側面は±X軸方向となるが、もう1対の側面はY-Z平面において結晶育成方位に対して±90°傾いたRY角方向となる(図2(A)、(B)参照)。電極を取り付けるのは単結晶の側面側であり、処理時(処理後)の単結晶Cの電気的極性方向は単結晶Cの±Z軸方向(Z軸方向)に対して傾いた方向となる。この取り付け方法で単一分域化処理を行った際、単結晶Cの電気的極性が揃わないことがあった。電気的極性が揃わない場合、再度単一分域化処理をする必要がある。単一化処理を再度実施すると、単結晶の割れ率が高くなる。このように、従来の方法では、単一分域化処理を行った際、電気的極性が揃わないことがあり、再度単一分域化処理を実施する等生産性低下の要因となっていることがわかった。
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、酸化物単結晶の単一分域化処理において、電気的極性が揃わない等の不具合を防止し、生産性を向上させることにある。
本発明の態様によれば、耐熱容器内に酸化物結晶粉末に埋め込んだ酸化物単結晶に対して、対の電極を配置し、所定の温度で電極に電圧を印加して酸化物単結晶を単一分域化する単一分域化処理方法であって、酸化物単結晶は育成方向がZ軸方向またはY軸方向ではなく、酸化物単結晶のZ軸方向が対の電極のそれぞれと垂直になるように酸化物単結晶と対の電極を配置し電圧を印加することを含む、酸化物単結晶の単一分域化処理方法が提供される。
また、対の電極間内に、酸化物単結晶を配置してもよい。また、酸化物結晶粉末に埋め込む際に、酸化物結晶粉末を中央部が凹むように形成した後、形成した酸化物単結晶に酸化物単結晶を配置することを含んでもよい。また、Z軸方向を鉛直方向に配置した酸化物単結晶に電圧を印加することを含んでもよい。また、酸化物単結晶は、Z軸方向を示す印を備えてもよい。
本発明の態様によれば、酸化物単結晶の単一分域化処理において、電気的極性が揃わない等の不具合を防止し、生産性を向上させることができる。
実施形態に係る酸化物単結晶の単一分域化処理方法の一例を示す図である。 (A)は種結晶の方位の一例を説明する説明図である。(B)単結晶の方位の一例を説明する説明図である。 実施形態に係る酸化物単結晶の単一分域化処理方法の一例を示すフローチャートである。 実施形態に係る酸化物単結晶の単一分域化処理方法の説明図である。 実施形態に係る酸化物単結晶の単一分域化処理方法の説明図である。 実施形態に係る酸化物単結晶の単一分域化処理方法の他の例を示す図である。 実施形態に係る酸化物単結晶の単一分域化処理方法の他の例を示す図である。 従来の酸化物単結晶の単一分域化処理方法の一例を示す図である。
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。なお、各図面においては、適宜、一部又は全部が模式的に記載され、縮尺が変更されて記載される。また、以下の説明において、「A~B」との記載は、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を意味する。
上述のように、Cz法等で育成された単結晶は多分域状態となっており、多分域状態のままでは単結晶のウエハ加工時にクラックが入り易く、また、非線形光学材料や表面弾性波デバイス等の特性にも影響を及ぼす。このため、Cz法等で育成された多分域状態となっている単結晶には、単一分域化処理を行う。
単一分域化処理の方法として、例えば、結晶粉末が収容された耐熱容器の結晶粉末内に単結晶を埋め込み、かつ、結晶粉末を介して単結晶を一対の電極で挟み、単結晶をキュリー点以上の温度に昇温、保持し、電極間に電圧を印加して単一分域化する方法が用いられている。
図8は、従来の単一分域化処理の一例を示す図である。図8は上面図及び断面図を示す。単一分域化処理に用いる耐熱容器20は、図8に示すように、底部と側壁からなる円柱状の容器と蓋(図示せず)で構成されている。この耐熱容器20を用いて単一分域化処理を行う場合、容器の側面に対して平行でかつ対になるように電極25、26(電極板)を配置し、電極25、26の間に単結晶Cを設置し、設置した単結晶C及び電極25、26が覆われるまで単結晶Cと同類の結晶粉末Pを充填し、最後に容器に蓋を載せて、単一分域化処理に供する耐熱容器20及び単結晶C等の設置が完了する。また、図には示さないが、耐熱容器20を用いて単一分域化処理を行う際、電極25、26を単結晶Cの上下に配置する場合もある。上記の作業の中で、単結晶Cと一対の電極25、電極26間の距離は、所定の電圧がかかるように設定されており、例えば15mm~25mmに設定される。
単一分域化処理する酸化物単結晶は、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO:以下、LTと略称する)単結晶やニオブ酸リチウム(LiNbO:以下、LNと略称する)等の酸化物単結晶である。これら酸化物単結晶は、Cz法等で育成される。この育成時に、引き上げ方向(育成方向)が定まっている。例えば、LT単結晶は、36°~40°RY方向へ引き上げる(図2(B)参照)。LN単結晶は、128°RY方向へ引き上げる。なお、結晶のa軸をX軸、c軸をZ軸、X軸とZ軸に直交する軸をY軸と一般的に呼んでいる。
従来の単一分域化処理方法では、耐熱容器20に対して、育成された単結晶Cの育成方向が上下方向(鉛直方向)になるように設置している。種結晶SCは上側に配置される。対の電極25、26は、単結晶Cを挟んで上下方向あるいは、側面方向に配置している。単一分域化処理は、単結晶Cの+Z軸方向へ電界を作用させることが好ましいが、上記方法で単一分域化処理を行った際、Z軸方向と電極25、26との位置が理想状態からずれ、単結晶Cにかける電界の方向(以下、「電界の方向」と略す場合もある)が単結晶CのZ軸方向とずれるため、処理後の単結晶Cの電気的極性が揃わないことがあり、上記のように再度単一分域化処理を実施する等生産性低下の要因となっていることがわかった。
そこで、本実施形態の酸化物単結晶の単一分域化処理方法(以下「本単一分域化処理方法」と略記する場合もある)は、耐熱容器1内に、単結晶C設置する時、図1に示すように、単結晶CのZ軸方向と対の電極E1、E2のそれぞれとが実質的に垂直になるように単結晶Cと対の電極E1、E2を配置し電圧を印加することを特徴として有し、上記の課題を解決している。言い換えれば、本単一分域化処理方法は、単結晶CのZ軸方向と電界の方向とが実質的に平行になるように、単結晶Cに対して電界を印加することを特徴とし、上記の課題を解決している。なお、本明細書において、実質的に垂直とは、垂直に対して10度以下のずれを含むが、垂直に対して5度以下のずれであるのがより好ましい。また、実質的に平行とは、平行に対して10度以下のずれを含むが、平行に対して5度以下のずれであるのが好ましい。
すなわち、本単一分域化処理方法は、耐熱容器1内に結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cに対して、対の電極E1、E2を配置し、所定の温度で電極E1、E2に電圧を印加して単結晶Cを単一分域化する単一分域化処理方法であって、単結晶Cは育成方向(結晶育成軸AX1方向)がZ軸方向またはY軸方向ではなく、単結晶CのZ軸方向と対の電極E1、E2のそれぞれとが実質的に垂直になるように単結晶Cと対の電極E1、E2を配置し電圧を印加することを含む。また、本単一分域化処理方法は、耐熱容器1内に結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cに対して、所定の温度で電界を印加して単結晶Cを単一分域化する単一分域化処理方法であって、単結晶Cは育成方向がZ軸方向またはY軸方向ではなく、単結晶CのZ軸方向と電界の方向とが実質的に平行になるように、単結晶Cに対して電界を印加することを含む。
以下、本単一分域化処理方法を具体的に説明する。本単一分域化処理方法は、従来の方法で用いる耐熱容器を用いて実施することができる。本単一分域化処理方法に用いる耐熱容器1は、例えば図1に示すような、底部2と、側壁部3を有する容器である。また、耐熱容器1は蓋部を備えてもよい。蓋部は任意の構成である。耐熱容器1の形状は、特に限定はないが、有底円筒状あるいは有底方形状(有底方形筒状)でもよい。耐熱容器1の各部の材質は、単一分域化処理温度に耐えられる材質であればよく、例えば、従来の耐熱容器と同様にアルミナ等を用いることができる。耐熱容器1内には、結晶粉末Pが収容される。この結晶粉末Pは、従来の方法と同様のものを用いることができる。例えば、結晶粉末Pは単結晶Cと類似の組成であるのが好ましく、実質的に同一の組成であるのが単結晶Cの組成に対する影響が低い等の点で好ましい。また、結晶粉末Pは、単結晶の粉末であるのが上記影響が低い等の点で好ましい。耐熱容器1内に収容した結晶粉末Pには、単結晶C及び電極E1、E2が埋め込まれる。
電極E1、E2は、単結晶Cを挟んで、対になるように配置される。電極E1、E2は、単結晶CのZ軸方向と実質的に平行に電界をかけることが可能であればよい。例えば、本実施形態では、対の電極E1、E2は、図1に例示するように単結晶Cを耐熱容器1の上下方向(鉛直方向)から単結晶Cを挟んで配置する。対の電極E1、E2の形状は、特に限定されず、例えば図1に示すように板状であり、互いに同様の形状のものを用いることが実施の容易性や処理効率等の観点から好ましいが、他の形状でもよい。図1に示す円板状の電極E1、E2は、耐熱容器1の形状(円筒形状)に対応する形状であるため、好ましい。電極E1、E2は、互いに実質的に平行になるように配置することが好ましく、中でも、図1に示すように水平面と実質的に平行に配置することが、実施の容易性等の観点からより好ましい。
本単一分域化処理方法に用いる単結晶Cは、単結晶CのZ軸が、単結晶Cの結晶育成軸AX1に対して、90度以外の角度で傾斜しているものである。言い換えれば、単結晶Cは、育成方向(結晶育成軸AX1)がZ軸方向またはY軸方向ではないものである。単結晶Cの組成は、特に限定されないが、例えばLT、LN等である。図2(A)はLTの種結晶の方位の一例を説明する説明図である。図2(B)はLT単結晶の方位の一例を説明する説明図である。例えば、LT単結晶の場合、図2(B)に示すように、36°~40°RY方向へ引き上げられており、単結晶Cの結晶育成軸AX1とZ軸とのなす角度は54°~50°となり、結晶育成軸AX1に対してZ軸が90度以外の角度で傾斜している。この際、種結晶は図2(A)に示す種結晶SCが用いられる。このような、結晶育成方向(結晶育成軸AX1)に対してZ軸が傾斜する単結晶Cの場合、上述の単一分域化処理において単結晶の電気的極性が揃わない等の不具合が発生する。
本単一分域化処理方法では、上記LT単結晶の場合、図1に示すように、単結晶CのZ軸方向が耐熱容器1の上下方向(鉛直方向)となるように、単結晶Cを耐熱容器1の上下方向に対し結晶育成軸AX1(引き上げ軸)が交わる角度が50°~54°になるように配置する。この場合、電極E1、E2は、耐熱容器1の上下方向に単結晶Cを挟んで対として、互いに実質的に平行になるように配置する。これにより、電極E1、E2のそれぞれと、単結晶CのZ軸とは実質的に垂直となる。
なお、電極E1、E2は、単結晶Cに加える電界の方向と単結晶CのZ軸とが平行になるような位置に配置すればよい。図6及び図7は、実施形態に係る単一分域化処理方法の他の例を示す図である。図6は、上面図及び断面図を示す。なお、図6及び図8の上面図においては結晶粉末Pの図示を省略している。例えば、電極E1、E2は、図6に示すように耐熱容器1の内側面に沿って配置させ、耐熱容器1の水平方向から単結晶Cを挟むように配置してもよいし、図7に示すように電極E1、E2を水平面に対して傾斜する所定の角度として単結晶Cを挟むように配置してもよい。図6に示す例の場合、耐熱容器1の上下方向に対し結晶育成軸AX1(引き上げ軸)が交わる角度が36°~40°になるように単結晶Cを配置し、単結晶CのZ軸方向が水平方向になるように合わせ、電極E1、E2を耐熱容器1の内側面に平行に、単結晶CのZ軸方向と垂直となるように配置してもよい。上記の例のいずれの場合にも、電極E1、E2が単結晶CのZ軸と垂直に配置されるため、単一分域化処理時に、単結晶Cに対して+Z軸方向へ電界を作用させることができ、安定して単結晶Cの電気的極性揃える処理を実施することができる。
単結晶Cと一対の電極E1、電極E2の間には、所定の電圧がかかるように設定されている。単結晶Cと一対の電極E1、E2間との距離(最短距離)は、同様であるのが望ましく、20mm程度(15mm~25mm)であるのが好ましいが、特に限定されない。また、耐熱容器20内で処理される単結晶Cが均一な温度になるように、単結晶Cは、耐熱容器1内に充填された結晶粉末P内において上下左右均等に設置されることが好ましい。
なお、電極E1、E2の大きさは単結晶Cの大きさに応じて設定するのが好ましい。電極E1、E2の大きさは、任意の方向から投影視した単結晶Cよりも大きいものが好ましい。単結晶Cは、対の電極E1、E2間内の領域R1(図1参照)に配置するのが好ましい。対の電極E1、E2間内の領域R1は、図1に示すように、電極E1と電極E2との間の領域である。なお、種結晶SCは、領域R1内でもよいし、領域R1外でもよい。電極E1、E2は、単結晶Cの全域と同等以上の大きさにするのが好ましい。電極E1、E2間にかかる電界の方向(図1では上下方向)から視た平面視において、電極E1、E2が単結晶Cが電極E1、E2内に収まることが好ましい。電極E1、E2は、図1に示すように、電極E1、E2との間の領域R1内に単結晶Cが入るような大きさとするのが好ましい。図1に例示する電極E1、E2の構成では、電極E1、E2が平面であるのに対し、単結晶Cは傾けて配置するため曲面等になり、電極E1、E2と単結晶Cとが平行ではなく電極E1又は電極E2と単結晶Cとの距離(表面間距離)に差が出るが、上記のいずれかの構成(例えば電極E1、E2を単結晶Cの形状を含む大きさにする等)にすることで、単結晶C全体に電界(電圧、電流)が掛かり、かつ、単結晶Cを結晶粉末Pに埋めこんでいるので、単結晶Cに対して(ほぼ)同じ電流が流れるため、安定した処理を実施することができる。電極E1、E2を、図6に示すように耐熱容器1の内側面に沿って配置する場合は、耐熱容器1を方形状(有底方形筒状)の容器とし対向する2辺に単結晶Cの形状を含む大きさの方形状の電極E1、E2を用いてもよい。
次に、単結晶Cを耐熱容器1に設置する方法の一例についてLT単結晶の事例で説明する。図3は、本単一分域化処理方法の一例を示すフローチャートである。図4及び図5は、本単一分域化処理方法の説明図である。なお、以下の説明では、上記で説明した事項については、適宜、簡略化又は省略する場合がある。また、以下の説明は、一例であって、本単一分域化処理方法を限定するものではない。
本単一分域化処理方法では、図1等に示すように、耐熱容器1にLT単結晶の結晶粉末P、LT単結晶C、電極E1、E2をセットする。用いる電極E1、E2は、上記のものが好ましく、例えば単結晶C全域と同等以上の大きさとするのが好ましい。
本単一分域化処理方法では、図3のステップS1において、電極E1を配置する。例えば、上記電極E1をアルミナ製等の耐熱容器1の底部2に設置(セット)する。
続いて、ステップS2において、耐熱容器1内に結晶粉末Pを設置する。LT結晶の結晶粉末Pを所定量入れる。好ましくは、電極E1と単結晶Cとの最小距離L1が20mm前後(15~25mm)になるようする。図4に示すように単結晶Cと電極E1との距離を所定距離とし、且つ単結晶CのZ軸を電極E1に対して垂直となるように傾けて保持することが容易な形状に粉末Pを設置する。例えば、LT結晶粉末Pの中央部が凹むように成形し、好ましくは結晶粉末Pの中央部が凹むようにすり鉢状に成形するのが好ましい。これにより、次のステップS3において、LT単結晶Cを容易に設置することができる。
続いて、ステップS3において、結晶粉末PにLT単結晶Cを設置する。この際、LT単結晶Cを水平面に対して傾斜するように設置するのが好ましい。これにより、LT単結晶Cを容易に設置することができる。結晶粉末Pの中央部を凹むようにすり鉢状に成形することで、単結晶Cを水平面に対して傾斜させて配置しやすくなる。例えば、40°RYの結晶育成軸AX1方向のLT単結晶Cの場合、耐熱容器1の上下方向に対し結晶育成軸AX1(引き上げ軸)が交わる角度が50°になるように配置する。具体的には、この単結晶Cをセットする際、耐熱容器1内にLT結晶粉末Pを中央部が凹むように入れ、水平面に対して50°程度の角度の先端を付けた治具10を用いてLT結晶粉末Pを成形し、そこに単結晶Cを設置する。この際、単結晶CのZ軸方向がわかるように、事前に単結晶Cの一部にZ軸を示す印を付けておくことが好ましい。すなわち、単結晶CはZ軸を示す印を有するのが好ましい。上記印を単結晶Cにつけておくと、印を付けた単結晶Cを成形した結晶粉末Pに置き、この印が上になるように単結晶Cを回転させて、単結晶CのZ軸を容易に所定の位置(電界に対して平行)に合わせることができる。
続いて、ステップS4において、結晶粉末Pを充填し、単結晶C全体を結晶粉末に埋め込む。例えば、LT単結晶Cの表面を覆える程度にLT結晶粉末Pを充填し、単結晶Cの全体を埋め込む。
続いて、ステップS5において、単結晶Cを埋め込んだ結晶粉末Pに電極E2を設置し、ステップS6において再度LT結晶粉末Pを適宜量充填して電極E2を覆い、電極E2を結晶粉末Pに埋め込む。
続いて、ステップS7において、結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cに所定の温度で電圧を印加する。例えば、ステップ6の後の状態の耐熱容器1を均熱炉内にセットし、1対の電極E1、E2を直流電源に接続し、単一分域化処理を行う。これにより、単一分域化処理を施した単結晶Cを得ることができる。単一分域化処理の際の温度、電圧は、公知の条件を用いることができる。本単一分域化処理方法により、単結晶CのZ軸方向と対の電極E1、E2のそれぞれとが実質的に垂直になるように単結晶Cと対の電極E1、E2を配置し電圧を印加することができ、単結晶CのZ軸方向と実質的に平行になるように、単結晶Cに対して電界を印加することができる。その結果、電気的極性が揃わない不具合が抑制された単結晶Cを得ることができ、単結晶Cの生産性を向上させることができる。なお、電極E1、E2の位置は、単結晶Cと上下均等になる距離にすることが好ましい。
以上のように、本単一分域化処理方法は、耐熱容器1内に結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cに対して、対の電極E1、E2を配置し、所定の温度で電極E1、E2に電圧を印加して単結晶Cを単一分域化する単一分域化処理方法であって、単結晶Cは育成方向(結晶育成軸AX1方向)がZ軸方向またはY軸方向ではなく、単結晶CのZ軸方向と対の電極E1、E2のそれぞれとが実質的に垂直になるように単結晶Cと対の電極E1、E2を配置し電圧を印加することを含む。また、本単一分域化処理方法は、耐熱容器1内に結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cに対して、所定の温度で電界を印加して単結晶Cを単一分域化する単一分域化処理方法であって、単結晶Cは育成方向がZ軸方向またはY軸方向ではなく、単結晶CのZ軸方向と電界の方向とが実質的に平行になるように、単結晶Cに対して電界を印加することを含む。本単一分域化処理方法において、上記の構成以外は、任意の構成である。本単一分域化処理方法によれば、酸化物単結晶の単一分域化処理において、電気的極性が揃わない等の不具合を防止し、生産性を向上させることができる。
以下、本発明の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、上記した本実施形態に係る耐熱容器及び単一分域化処理方法を用いて、LT単結晶の単一分域化処理を行った。実施例1では、コングルエント組成を有する直径φ160mm(6.3インチ)全長100mmの42゜RYのLT単結晶(キュリー点:603℃)を単一分域化処理した。
まず、図1に示すような、底部を有する円筒形状の耐熱容器を用意した。耐熱容器は、内径φ300mm、高さ300mm、厚み20mmのアルミナ製とした。次に、底部(底面)に直径φ200mm、厚み0.3mmの電極を設置した。次に、LT結晶を粉砕した単結晶粉末Pを耐熱容器の底面に敷いた。また、単結晶粉末は、図4に示すように、上方から視て中央部付近が凹んだ形状であるすり鉢状に成形した。この時、図4に示す水平面に対して50°程度の角度の先端有する治具10でLT結晶粉末を、図4に示す形状に成形した。この成形した角度に合わせ、図5に示すように単結晶を配置した。また、事前に単結晶のZ軸方向が解るように単結晶の一部に印を付けて置き、この印が上になるように単結晶を回転させて、単結晶のZ軸を鉛直方向に合わせた。これにより、耐熱容器の上下方向(鉛直方向)に対し、単結晶の育成方向(結晶育成軸AX1)との為す角度は50°となり、かつ、単結晶のZ軸方向は耐熱容器1の上下方向と一致した。各電極と単結晶との最小距離は20mmになるように設定した。耐熱容器内を単結晶の周辺を単結晶粉末で充填し、単結晶上面から20mmの位置に直径φ200mm、厚み0.3mmの電極を配置し、その上に10mm厚さで単結晶粉末を充填した。
単結晶を収容した耐熱容器を昇降式電気炉の炉床板上に配置した後、単結晶の下側に対峙する電極の白金線をプラス電極とし、単結晶の上側に対峙する電極の白金線をマイナス電極として直流電源に接続した。電気炉を、650℃に昇温し、単結晶が安定するまで5.5時間保持した。650℃に到達してから5.5時間後に、で上記電極間に300V電圧を印加し、約45分後に電極間の電圧を18Vとした。18Vになってから75分後、電極間に18Vを印加した状態で電気炉の降温を行った。
単一分域化処理後、電気炉より耐熱容器を取りだした。その後、耐熱容器より単結晶を取り出した。
単一分域化処理後のLT単結晶を調べたところクラックの発生はなく、また、LT単結晶の分極状態を評価したところ反対向きの分極はなく、良好に単一分域化されていた。上記を繰り返し50回行ったところ、電気的極性が揃わない不具合の発生はなかった。なお、結晶の単一分域化の評価は、オシロスコープ、プローブ端子を用い、得られた波形に基づいて行った。波形が出ない場合、単一分域化されていないとした。
[比較例1]
比較例1では、単結晶を傾けず、単結晶の育成方向が耐熱容器の上下方向になるように配置した。その他の条件は、実施例1と同じとした。これを、繰り返し50回行ったところ、電気的極性が揃わない不具合が13回発生した。
上記実施例及び比較例の結果から、本単一分域化処理方法は、酸化物単結晶の単一分域化処理において、電気的極性が揃わない等の不具合を防止する顕著な効果があることが確認される。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態等で説明した態様に限定されない。上述の実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態等で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
1・・・耐熱容器
2・・・底部
3・・・側壁部
10・・・治具
C・・・酸化物単結晶(単結晶)
P・・・酸化物結晶粉末(結晶粉末)
E1、E2・・・電極

Claims (5)

  1. 耐熱容器内に酸化物結晶粉末に埋め込んだ酸化物単結晶に対して、対の電極を配置し、所定の温度で前記電極に電圧を印加して酸化物単結晶を単一分域化する単一分域化処理方法であって、
    前記酸化物単結晶は育成方向がZ軸方向またはY軸方向ではなく、
    前記酸化物単結晶のZ軸方向と前記対の電極のそれぞれとが実質的に垂直になるように前記酸化物単結晶と前記対の電極を配置し前記電圧を印加することを含む、酸化物単結晶の単一分域化処理方法。
  2. 前記対の電極間内に、前記酸化物単結晶を配置することを含む、請求項1に記載の酸化物単結晶を単一分域化する単一分域化処理方法。
  3. 前記酸化物単結晶を前記酸化物結晶粉末に埋め込む際に、前記酸化物結晶粉末を中央部が凹むように形成した後、形成した前記酸化物結晶粉末に前記酸化物単結晶を配置することを含む、請求項1又は請求項2に記載の酸化物単結晶の単一分域化処理方法。
  4. 前記Z軸方向を鉛直方向に配置した前記酸化物単結晶に前記電圧を印加することを含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸化物単結晶の単一分域化処理方法。
  5. 前記酸化物単結晶は、前記Z軸方向を示す印を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の酸化物単結晶の単一分域化処理方法。
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