JPH06191983A - 酸化物単結晶の製造方法及びその装置 - Google Patents

酸化物単結晶の製造方法及びその装置

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JPH06191983A
JPH06191983A JP34704592A JP34704592A JPH06191983A JP H06191983 A JPH06191983 A JP H06191983A JP 34704592 A JP34704592 A JP 34704592A JP 34704592 A JP34704592 A JP 34704592A JP H06191983 A JPH06191983 A JP H06191983A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸化物の単結晶からなる材料をVTE処理す
るのに際し、熱処理時間を短縮できるようにし、所望の
組成を有する酸化物単結晶を短時間で量産できるように
することである。 【構成】 ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の
酸化物の単結晶からなる材料7と、この単結晶の組成と
異なる所定組成を有する上記酸化物の粉末6とを容器20
内に収容する。容器20内を熱処理するのと共に材料7に
電圧を印加する。これにより単結晶の組成を変化させる
のと共に単結晶に単分域ドメインを形成させる。好まし
くは、粉末6中に材料7を埋設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニオブ酸リチウム単結
晶等の酸化物単結晶を製造する方法及びその装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ニオブ酸リチウムは、重要な単結晶酸化
物材料であり、通常は LiNbO3 と表記される。現在、ほ
とんどすべての商業的に入手可能なニオブ酸リチウム単
結晶は、いわゆるチョクラルスキー (Czochralski)法で
製造されている。この方法では、いわゆるコングルエン
ト組成 (Liが48.6mol %)近辺では単結晶を引き上げる
ことができる。しかし、コングルエント組成から外れた
組成の単結晶を引き上げることは、クラック等の問題か
ら、現状では不可能である。
【0003】ニオブ酸リチウムは、特に光学材料として
多用されている。しかし、上記の製造上の制約から、コ
ングルエント組成のニオブ酸リチウムについては光学的
特性についてかなり研究が進んでいるが、コングルエン
ト組成を外れた組成のものについては、光学的研究が進
んでいない。このため、コングルエント組成を外れたニ
オブ酸リチウムを量産し、光学的デバイスとして利用す
ることが期待されている。
【0004】コングルエント組成を外れたニオブ酸リチ
ウムの製造法として、現在、VTE(Vapor Transport
Equilibration)法が知られている。この方法について簡
単に述べる。まず、チョクラルスキー法によって柱状の
ニオブ酸リチウム単結晶を引き上げる。この単結晶はコ
ングルエント組成を有している。次いでこの単結晶を焼
鈍し、1175℃で電圧をかけて単分域化処理し、次いでこ
の柱状物を切断して薄板を得る。一方、所望組成、例え
ば Li2O が 50mol%のニオブ酸リチウムからなる粉末を
用意し、上記の薄板と粉末とを密閉容器内に封入する。
充分な高温で充分長時間に亘って密閉容器内を熱処理す
ると、気相での輸送と固相拡散とによって、上記薄板に
おける組成と上記粉末における組成とが平衡状態に達す
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】コングルエント組成の
ニオブ酸リチウムは、1146℃のキュリー温度を有する。
そして、単分域化処理を単結晶に施しても、この単結晶
のキュリー温度を超える温度で熱処理すると、単結晶の
ドメインが再び多分域状態に戻る。このため、熱処理温
度は、単結晶のキュリー温度を超えないようにしなけれ
ばならない。
【0006】Li2Oが 50mol%である組成では、単結晶の
キュリー温度が1190℃である。そして、上記粉末として
Li2O が 50mol%である組成のニオブ酸リチウムを用い
る場合は、単結晶のキュリー温度が1146℃から 1190 ℃
へと向って上昇する。このため、従来は、1100℃程度で
熱処理をしていたが、単結晶のキュリー温度が1190℃に
達するまでに 500時間程度かかっていた。
【0007】一方、Li2Oが47.2 mol%である組成では、
単結晶のキュリー温度が1090℃である。そして、上記粉
末として Li2O が 47.2mol%である組成のニオブ酸リチ
ウムを用いる場合は、単結晶のキュリー温度が 1146 ℃
から1090℃へと向って下降する。このため、従来は、10
50℃程度で加熱処理をしていたが、単結晶のキュリー温
度が1090℃に達するまでに 800時間程度かかっていた。
【0008】しかも上記の例において、薄板の厚さは
0.5mm程度であり、これをもっと厚くすると、系内が平
衡状態に達するまでに一層膨大な時間が必要になる。こ
のように、コングルエント組成を外れた組成のニオブ酸
リチウムを合成するには、極めて膨大な時間と熱量とが
必要であるため、製造コストが高く、本格的な研究や商
業化の妨げになっていた。
【0009】本発明の課題は、酸化物の単結晶からなる
材料をVTE処理するのに際し、熱処理時間を短縮でき
るようにし、所望の組成を有する酸化物単結晶を短時間
で量産できるようにすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸化物の単結
晶からなる材料と、この単結晶の組成と異なる所定組成
を有する酸化物粉末とを容器内に収容し、この容器内を
熱処理するのと共に前記材料および前記粉末に電圧を印
加し、これにより前記単結晶の組成を変化させるのと共
に前記単結晶に単分域ドメインを形成させることを特徴
とする、酸化物単結晶の製造方法に係るものである。
【0011】また、本発明は、酸化物の単結晶の組成を
変化させるのと共に前記単結晶に単分域ドメインを形成
させるための、酸化物単結晶の製造装置であって、容
器;この容器内に収容された、前記単結晶の組成と異な
る所定組成を有する酸化物の粉末;この粉末中に埋設さ
れた一対の板状電極;前記粉末中に埋設され、前記一対
の板状電極の間に位置する、前記単結晶からなる材料;
及び前記一対の板状電極に電力を供給する部材を備え
た、酸化物単結晶の製造装置に係るものである。
【0012】上記の酸化物としては、各種の複合酸化物
を例示できる。こうした複合酸化物としては、例えば、
LiNbO3 , LiTaO3 などを例示できる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べる。以下
の実施例においては、主として、本発明をニオブ酸リチ
ウム単結晶の製造に対して適用した例について述べる。
まず、リチウム化合物とニオブ化合物とを混合し、例え
ば 950℃で仮焼し、1050℃で焼成する。この焼成物を用
い、チョクラルスキー法によって1250℃で引き上げ、コ
ングルエント組成の柱状物を引き上げる。次いで、この
柱状物を1170℃でアニールして結晶中の歪みを除く。次
いで、この柱状物を切断し、所定厚さの薄板を得る。
【0014】次いで、コングルエント組成と異なる所定
組成を有するニオブ酸リチウム粉末と上記薄板とを容器
に収容し、この容器内を熱処理することによって、薄板
を構成するニオブ酸リチウム単結晶の組成を変化させ
る。図1(a),(b) は、このVTE処理に適した熱処理装
置を概略的に示す断面図である。
【0015】容器20は、本体2と蓋1とから構成されて
いる。本体2の上側開口に蓋1が被せられている。本体
2の外形は略円筒状であり、本体2の上端面2aに、蓋1
の縁部1dが載置されている。蓋1の縁部1dの内側に段差
部1aが形成されており、段差部1aが、容器2の内側空間
内に突き出ている。段差部1aの平面形状は略円形であ
り、段差部1aの周囲に側周面1cが設けられている。
【0016】上端面2a及び縁部1dは共に精度良く研磨加
工し、かつ互いの平行度を上げるようにした。これによ
り、内側空間内の気密性が上がり、揮発性成分が容器20
の外に逃げないようになった。この結果、容器20内でリ
チウムが気相で平衡状態を保ち易くなった。また、段差
部1aを内側空間内へと突出させたことにより、側周面1c
と内側壁面2bとの間隔が小さくなった。この結果、リチ
ウム成分が、一層本体2と蓋1とのすり合わせ部分から
逃げにくくなった。
【0017】本体2内に所定組成のニオブ酸リチウム粉
末6が収容される。この粉末6中に一対の平板状電極5
A,5Bが埋設され、平板状電極5Aと5Bとは互いに
ほぼ平行であり、かつ底面2cに対して垂直である。各平
板状電極5A, 5Bの上端にそれぞれリード線3A,3
Bが接続され、各リード線3A,3Bは、蓋1の貫通孔
1eにそれぞれ挿通され、容器20の外へと引き出されてい
る。リード線3A,3Bは、図示しない電源に接続され
ている。リード線3A,3Bの引出口の周囲は、アルミ
ナセメント4で封止する。
【0018】コングルエント組成のニオブ酸リチウム単
結晶からなる薄板7が所定枚数、粉末6中に埋設されて
いる。各薄板7は、一対の平板状電極5Aと5Bとの間
に、これらに平行となるように配置されている。
【0019】好ましくは図1に示したような装置を用
い、容器20内を熱処理するのと共に薄板7に電圧を印加
し、これにより上記単結晶の組成を変化させると共に単
結晶に単分域ドメインを形成させる。こうした方法につ
いて、ニオブ酸リチウム単結晶を例にとりつつ、更に説
明する。
【0020】図2に示す従来の熱処理スケジュール11に
おいては、1100℃の温度で熱処理を続ける。この場合に
も、薄板7のキュリー温度Tc は、例えば1146℃から11
90℃へと向って、時間が経つにつれて上昇していく。し
かし、この方法では、キュリー温度が1190℃に達するま
でに長時間かかる。例えば、薄板の厚さが 0.5mmの場合
には、500 時間程度が必要である。
【0021】次に、Li2Oが 47.2mol%であるニオブ酸リ
チウム単結晶を製造する場合は、図3に示す従来の熱処
理スケジュール12においては、例えば1070℃で熱処理し
ていた。薄板7の単結晶のキュリー温度Tc が 1090 ℃
に達するまでには、800 時間程度の熱処理が必要であっ
た (薄板の厚さが0.5mm の場合) 。
【0022】これに対し、本発明によれば、極めて短い
熱処理時間で、コングルエント組成以外のニオブ酸リチ
ウム単結晶を製造できる。例えば、コングルエント組成
のニオブ酸リチウム単結晶からなる薄板7を1175℃で加
熱し、一対の平板状電極5A,5Bに電圧を加えると、
54時間以内に、単結晶の組成が、Li2Oが 50mol%となる
ことが解った。しかも、薄板の厚さが3mmの場合にも、
こうした結果が得られた。このようにVTE処理を促進
できるのは、コングルエント組成に対応するキュリー温
度(1146℃) 以上の温度で、熱処理を行えるからであ
る。
【0023】しかも、本発明では、上記の熱処理と同時
に、薄板7に電圧をかけることにより、これを構成する
単結晶に単分域ドメインを形成することができる。逆に
言うと、熱処理温度が単結晶のキュリー温度を超えてし
まっても、このときに電圧がかかっていれば、多分域ド
メインは生じない。
【0024】このように、本発明は、従来のVTE処理
と単結晶ドメインの単分域化とを同時に行うという点
で、画期的な方法を提供するものである。これにより、
VTE法によるニオブ酸リチウムの熱処理時間が著しく
短縮され、その生産量が著しく増大し、生産コストが大
きく下がった。しかも、単結晶のドメインが多分域化す
ることもなかった。更に、従来必要であった単分域化処
理工程が、本発明によって、不要になった。
【0025】また、例えば、コングルエント組成のニオ
ブ酸リチウム単結晶からなる薄板7を1175℃で加熱し、
一対の平板状電極5A,5Bに電圧を加えると、36時間
以内に、単結晶の組成が、Li2Oが 47.2mol%となること
が解った。
【0026】単結晶の熱処理温度は、単結晶の溶融温度
未満としなければならず、この熱処理温度と溶融温度と
の差を10℃以上とすることが好ましい。一対の板状電極
を酸化物の粉末内に埋設し、一対の板状電極の間に薄板
等の材料を埋設した場合には、電圧の大きさ(V)を一
対の板状電極の間隔(cm) で除した値を1V/cm以上と
すると、材料の単分域化処理を確実に行える。
【0027】(実験1)以下、更に具体的な実験結果に
ついて述べる。図1に示した熱処理装置を用い、コング
ルエント組成のニオブ酸リチウム単結晶をVTE処理し
た。Li2Oが 48.6mol%であるニオブ酸リチウム単結晶か
らなる直径3インチの円柱状物をチョクラルスキー炉か
ら引き上げ、長さ100mm の円柱状物を得た。これを焼鈍
処理し、内周刃で切断し、所定厚さの薄板を得た。
【0028】この薄板について、Z面を光学研磨処理
し、縦20mm、横10mmの長方形状の試料を得た。平板状電
極5A,5Bの材質は、厚さ1mmの白金とした。1050℃
で焼成した焼結体を粒径 250μm 以下に解砕後、密閉容
器内で1225℃で24時間熱処理した後、粒径250 μm 以下
に解砕して得た、Li2Oが 50mol%であるニオブ酸リチウ
ムの粉末を、粉末6として用いた。容器20内の粉末6を
圧縮成形して粉末6の高さを30mmに揃え、試料7間の隙
間を埋め、焦電によるクラック発生を防止した。
【0029】そして、平板状電極5A,5Bに直径 0.5
mmの白金リード線3A,3Bを接続し、蓋1と白金リー
ド線3A,3Bとの隙間をアルミナセメント4で封止し
た。
【0030】このようにして、表1に示す実験番号1〜
11の各条件で処理を行った。ただし、薄板7の厚さや熱
処理条件は、表1に示すように変更した。そして、熱処
理後の単結晶のキュリー温度を測定し、単分域判定を実
施した。
【0031】実験番号1〜11における熱処理条件等につ
いて、図4を参照しつつ更に説明する。ただし、図4に
おいて、グラフ13は熱処理スケジュールを示し、グラフ
14は印加電圧のスケジュールを示す。
【0032】容器20を電気炉内に入れ、100 ℃/時間の
速度で昇温させ、時刻t1 で所望の熱処理温度T1 に到
達させた。このT1 は、表1に示す熱処理温度である。
ただし、実験番号1〜3では、2段階の熱処理を行っ
た。各熱処理温度で6時間保持した後、電圧の値を徐々
に上昇させ、6時間かけて所望の電圧を印加した。
【0033】そして、表1に示す熱処理温度及び時間
で、熱処理を行う。即ち、図4に示すt3 −t1 が、表
1に示す「熱処理時間」である。この間に、実験番号
1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 10では、時刻t2 でTC が 1190
℃に達していた。上記の熱処理が終了した後、50℃/
時間の降温速度で室温まで冷却した。室温になったとき
の時刻をt4 とする。そして、室温になってから3時間
かけて印加電圧をOVにした。
【0034】印加電圧の大きさは、一対の平板状電極5
Aと5Bとの間に介在する粉末1cm当たり、1Vとし
た。ただし、平板状電極5Aと5Bとの間隔とは、図1
(a) に示すmである。
【0035】上記の印加電圧の大きさが1V/cm未満で
あると、薄板7をそのキュリー温度以上に加熱しても、
単結晶のドメインがすべて揃わない。
【0036】また、表1に示す実験番号12, 13では、従
来の図2に示す熱処理スケジュールで、従来のVTE装
置によってVTE処理を行った。単結晶のキュリー温度
Cは、DTA装置を用いて測定した。また、単結晶の
ドメインが単分域化していた場合には、「単分域判定」
の項目を「○」と表示した。
【0037】
【表1】
【0038】また、ニオブ酸リチウムの相図を、図5に
概略的に示す。この相図から解るように、Li2Oの割合と
キュリー温度TC 及び溶融温度の間には、表2に示す関
係がある。
【0039】
【表2】
【0040】実験番号1〜11と 12, 13 とを比較すれば
解るように、本発明に従うことにより、1190℃又は 118
0 ℃のキュリー温度を有するニオブ酸リチウム単結晶
を、従来よりも極めて短時間で製造することができる。
これは、VTE 反応が、基本的に温度によって律速されて
いるからである。しかも、単結晶のドメインも良好に単
分域化されていた。
【0041】また、実験番号1〜11においても、熱処理
温度が高い場合の方が、一層短時間でキュリー温度が 1
190 ℃に達している。更に詳しく述べると、1150℃、11
60℃、1175℃で熱処理すると、熱処理の当初には熱処理
温度の方がキュリー温度よりも高いが、やがてキュリー
温度が熱処理温度を上回り、1190℃に達する。このた
め、熱処理温度の方がキュリー温度よりも高い間に、所
定の電圧を印加し、単分域化処理を行っていなければな
らない。キュリー温度が熱処理温度を超えると、電圧を
印加するのを止めても、単分域ドメインは維持される。
【0042】コングルエント組成では、溶融温度が 125
2 ℃であり、少なくともこの時点では、1150〜1250℃で
熱処理を行う方がVTE反応を促進でき、かつこの範囲
で温度が高い方が良い。ただし、Li2Oが 50mol%になる
と、溶融温度が 1200 ℃にまで低下するので、この時点
では熱処理温度を 1190 〜1150℃で行うのがよい。
【0043】なお、同一の熱処理条件でも、薄板7の厚
さが3mm又は4mmになると、熱処理時間が若干長くな
り、また熱処理後のキュリー温度は 1180 ℃になった。
更に、薄板7の厚さが5mmを超えると、内部まで組成が
均一化しにくいことが判明した。
【0044】(実験2)実験1と全く同様にして、表3
に示す実験番号21〜31を実施した。各例について、薄板
7の厚さ、熱処理条件、熱処理後のキュリー温度、単分
域判定、熱処理時間を表3に示す。ただし、実験1とは
異なり、粉末としては、Li2Oが 47.2mol%であるニオブ
酸リチウムの粉末を用いた。本実験における熱処理条件
等について、図6を参照しつつ更に説明する。ただし、
図6において、グラフ15は熱処理スケジュールを示し、
グラフ16は印加電圧のスケジュールを示す。
【0045】容器20を電気炉内に入れ、100 ℃/時間の
速度で昇温させ、時刻t1 で所望の熱処理温度T2 に到
達させた。このT2 は、表3に示す熱処理温度である。
各熱処理温度で6時間保持した後、電圧の値を徐々に上
昇させ6時間かけて所望の電圧を印加した。
【0046】そして、表3に示す熱処理温度及び時間
で、熱処理を行う。即ち、図6に示すt3 −t1 が、表
3に示す「熱処理時間」である。上記の熱処理が終了し
た後、50℃/時間の降温速度で室温まで冷却した。室温
になったときの時刻をt4 とする。そして、室温になっ
てから3時間かけて印加電圧をOVにした。また、表3
に示す実験番号 32, 33 では、従来の図3に示す熱処理
スケジュールで、従来のVTE装置によってVTE処理
を行った。
【0047】
【表3】
【0048】上記の結果から解るように、本発明によ
り、単結晶を短時間でVTE処理することができる。ま
た、本発明の範囲内においても、熱処理温度が高い場合
の方が、一層短時間でキュリー温度が 1190 ℃に達して
いる。また、熱処理温度T2 が1146℃を超えていると、
電圧を印加し続けて単分域ドメインを維持する必要があ
る。
【0049】Li2Oが 47.2mol%のときには、単結晶の溶
融温度が 1230 ℃になるので、1220℃以下の熱処理温度
で熱処理を行うことができる。また、本実験におけるよ
うに、Li2Oが 47.2mol%の組成のものを得るには、その
キュリー温度である1090℃以下、例えば 1050 ℃で従来
は熱処理していた。そして、VTE処理はほぼ温度によ
って律速されるので、従来は、実験番号32に示すように
大変な長時間がかかっていた。この点で、本発明による
効果は更に大きい。
【0050】なお、上記と同様にして、Li2Oが 47.6mol
%、48.0mol %、49.0mol %、49.4mol %、49.8mol %
である組成のニオブ酸リチウム粉末6を用い、本発明に
従って各組成の単結晶を製造した。そして、各組成の単
結晶を量産できることを確認した。
【0051】(実験3)タンタル酸リチウム単結晶を、
本発明に従って製造した。この製造プロセスは、実験1
に従った。ただし、薄板7の材質は、コングルエント組
成(Li2Oが48.3mol %) のタンタル酸リチウム単結晶と
した。粉末6として、Li2Oが 50.0mol%のタンタル酸リ
チウム粉末を用いた。熱処理温度は1480℃とし、印加電
圧を2V/cmとし、単結晶のZ 軸方向に電圧を印加し
た。この結果、30時間後にキュリー温度が 646℃に達し
た。なお、表4に、Li2Oの割合と、単結晶の溶融温度及
びキュリー温度との関係を示す。
【0052】
【表4】
【0053】また、図7に、タンタル酸リチウムの相図
を示す。この相図においては、横軸にタンタルの方のモ
ル%を示してある。タンタル酸リチウム単結晶のキュリ
ー温度Tc は、その溶融温度にくらべると、相当低い。
【0054】なお、タンタル酸リチウムの場合は、溶融
温度 〜溶融温度−100 ℃の範囲で熱処理を行うと、
VTE処理を促進する効果が大きい。そして、タンタル
酸リチウム単結晶の場合は、キュリー温度が溶融温度に
くらべて極めて低いので、従来は、ドメインの多分域化
を伴わずにVTE処理を施して組成を変更することは、
ほぼ不可能であった。
【0055】(実験4)タンタル酸リチウム単結晶を、
本発明に従って製造した。この製造プロセスは、実験1
に従った。ただし、薄板7の材質は、コングルエント組
成のタンタル酸リチウム単結晶とした。粉末6として、
Li2Oが 47.0mol%のタンタル酸リチウム粉末を用いた。
熱処理温度は1480℃とし、印加電圧を2V/cmとし、単
結晶のZ軸方向に電圧を印加した。この結果、30時間後
にキュリー温度が 574℃に達した。
【0056】上記の実験1〜4によって製造した試料を
基板として用い、この基板に光導波路を形成してみたと
ころ、光の伝播損失が少なく、かつそのバラツキの小さ
い、好適な光導波路基板が得られた。また、試料のサイ
ズについては特に制限はなく、例えば直径1〜4インチ
のウエハーを処理できるし、一度に数枚処理することが
できる。
【0057】なお、本発明においては、例えば図8に示
すような装置によって、VTE処理と単分域化処理とを
同時に進行させることが可能である。ただし、図8に示
す各構成部分のうち、図1に示す各構成部分と同じもの
については、同一の符号を付した。
【0058】そして、図8に示す熱処理装置において
は、各薄板7は、底面2c及び段差部1aの表面1bに
対して、ほぼ垂直となるように埋設されている。リード
線3Aに平板状電極5Cが接続され、リード線3Bに平
板状電極5Dが接続されている。平板状電極5C,5D
は、いずれも底面2cや表面1bに対してほぼ平行に埋
設されている。
【0059】ニオブ酸リチウム単結晶を単分域化するに
は、Z軸方向に向かって電圧を印加する必要がある。こ
のため平板状電極5A,5Bと薄板7との位置関係が図
1に示す状態の場合は、Z板を処理し易い。一方光導波
路用途に好適な、主面と垂直にX軸が現れたX板を単分
域化処理する場合は、薄板7内にZ軸が存在する。従っ
て、図8に示すように薄板7を平板状電極5C,5Dに
対して垂直に配置し、かつ薄板7におけるZ軸が電圧印
加方向とほぼ一致するように配置する。Y板について
も、これと同様に薄板7及び平板状電極5C,5Dを配
置することが好ましい。
【0060】なお、表面弾性波(SAW)基板用に好適
な 128゜Y板においては、薄板7の主面と垂直に 128゜
Y軸が現れる。従って、図1に示すように薄板7を設置
しても、電圧の大きさのうちかなりの部分がZ軸方向に
印加され、若干はY軸方向に印加される。従って、Z板
を単分域処理するのにくらべて少し大きな電圧を印加
し、Z軸方向への印加電圧の目減りを補償すれば、問題
なく単分域化処理を行える。
【0061】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、VTE法による酸化物単結晶の熱処理時間が著しく
短縮される。従って、目的とする組成の酸化物単結晶を
量産することができるようになる。しかも、熱処理と共
に材料に電圧を印加するので、単結晶のドメインが多分
域化することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は、容器20内で薄板7をVTE処理してい
る状態を示す断面図、(b) は、(a)の Ib −Ib線断面図
である。
【図2】従来の熱処理スケジュールを示すグラフであ
る。
【図3】従来の熱処理スケジュールを示すグラフであ
る。
【図4】本発明の実施例に係る熱処理スケジュール及び
電圧印加スケジュールを示すグラフである。
【図5】ニオブ酸リチウムの相図である。
【図6】本発明の実施例に係る熱処理スケジュール及び
電圧印加スケジュールを示すグラフである。
【図7】タンタル酸リチウムの相図である。
【図8】容器20内で薄板7をVTE処理している状態を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 蓋 2 本体 3A,3B 電力供給用のリード線 5A,5B,5C,5D 一対の平板状電極 6 所定組成を有する酸化物の粉末 7 酸化物の単結晶からなる薄板 11, 12, 13, 15 熱処理スケジュール 14, 16 電圧印加スケジュール 20 容器 TC キュリー温度 T1, T2 熱処理温度

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物の単結晶からなる材料と、この単
    結晶の組成と異なる所定組成を有する酸化物の粉末とを
    容器内に収容し、この容器内を熱処理するのと共に前記
    材料および前記粉末に電圧を印加し、これにより前記単
    結晶の組成を変化させるのと共に前記単結晶に単分域ド
    メインを形成させることを特徴とする、酸化物単結晶の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記粉末中に前記材料が埋設されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の酸化物単結晶の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記熱処理温度が前記単結晶の溶融温度
    未満である、請求項1又は2記載の酸化物単結晶の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記熱処理温度が前記単結晶のキュリー
    温度を超えているときに前記材料に電圧を印加すること
    を特徴とする、請求項3記載の酸化物単結晶の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記粉末内に一対の板状電極が埋設され
    ており、これら一対の板状電極の間に前記材料が位置し
    ており、前記電圧の大きさ(V)を前記一対の板状電極
    の間隔(cm) で除した値が1 V/cm以上である、請求項
    2記載の酸化物単結晶の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸化物の単結晶の組成を変化させるのと
    共に前記単結晶に単分域ドメインを形成させるための、
    酸化物単結晶の製造装置であって、 容器;この容器内に収容された、前記単結晶の組成と異
    なる所定組成を有する酸化物の粉末;この粉末中に埋設
    された一対の板状電極;前記粉末中に埋設され、前記一
    対の板状電極の間に位置する、前記単結晶からなる材
    料;及び前記一対の板状電極に電力を供給する部材を備
    えた、酸化物単結晶の製造装置。
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