JP2022099960A - 酸化物単結晶の製造方法、及びその製造方法に用いる電極 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、タンタル酸リチウム(LiTaO3:以下、LTと略称する)単結晶やニオブ酸リチウム(LiNbO3:以下、LNと略称する)等の酸化物単結晶の熱処理と単一分域化処理を同時に行う処理方法に関する。
単結晶から得られる基板は、様々な材料として用いられている。例えば、タンタル酸リチウム(LT)単結晶から得られるタンタル酸リチウム単結晶基板(LT単結晶基板)やニオブ酸リチウム(LN)単結晶から得られるニオブ酸リチウム単結晶基板(LN単結晶基板)等の圧電性単結晶基板(以下、「単結晶基板」と略す場合もある)は、移動体通信機器に用いられる電気信号ノイズ除去用の表面弾性波素子(SAWフィルター)の材料として用いられている。
LT単結晶やLN単結晶は、主にチョクラルスキー法(以下、Cz法と略記する場合がある)で製造されており、Cz法は、単結晶の原料が収容された坩堝を高周波誘導加熱炉や抵抗加熱炉等で加熱して結晶原料を融液状態とし、所望とする方位の種結晶を上記融液面に接触させた後、温度勾配のついた炉内において上記種結晶を引き上げて種結晶と同じ方位の単結晶を育成する手法である。Cz法で育成された単結晶は、熱応力による残留歪みがあり、これを取り除くため融点に近い均熱下での熱処理(アニール)を施す。更に、Cz法で育成された単結晶は多分域状態となっており、多分域状態のままでは単結晶のウエハ加工時にクラックが入り易く、また、非線形光学材料や表面弾性波デバイス等の特性に影響を及ぼす。このため、育成された単結晶には単一分域化処理(ポーリング)を施す必要がある。単一分域化処理では、単結晶を室温からキュリー温度以上の所定温度まで昇温させ、単結晶に電圧を印加し、電圧を印加したままキュリー温度以下の所定温度まで降温させた後、電圧印加を停止して室温まで冷却する一連の処理が施される。育成された単結晶は、ポーリング処理後、外形を整えるために外表面が研削され、円柱状に加工された単結晶インゴットからウエハ状の単結晶基板へと加工される。
上記説明のアニールとポーリングは、個別に行うものであるが、キュリー温度と融点が近い品種、例えば、LN単結晶の場合、アニールとポーリングを同時に行い、アニール後の冷却時間や、単結晶の上下を切断する電極形成部の切断作業を短縮し生産性を向上させる方法が検討されている。アニールとポーリングを同時(一括)に行う方法としては、下記の特許文献1や特許文献2に記載されている。
ところで、Cz法で育成された単結晶は、所望とする方位の種結晶を融液面に接触させた後、種結晶を回転させながら引き上げて単結晶を育成する。このように育成された単結晶は、上方に種結晶を有する。種結晶の長さは5~10cm程度ある。従来、種結晶は、アニールを施し、冷却した後に種結晶を切断し、その後ポーリング処理をしている。
しかしながら、アニールとポーリングを同時に行う場合、アニール前の単結晶の状態は育成時の熱応力による残留歪みがあり、種結晶を切断した時に単結晶にクラックが入る確率が高くなることから、アニール前に切断することは難しい。このため、アニールとポーリングを同時に行う場合、単結晶に種結晶がある状態で行う必要がある。
特許文献1では、単結晶上側の種結晶部(種結晶の部分)を筒状の白金電極で覆い、この電極内を、銀粉粉末を含んだ熱硬化性樹脂からなるAgペースト等の導電性材料で充填している。単結晶下側は、白金電極の上に単結晶と同種の粉末を介して単結晶を設置している。この方法では、上側電極と下側電極で形状が違い、特に上側電極が結晶形状よりも小さいことにより、結晶全体に電圧をかけられず適切に処理できない可能性がある。また、上側電極内にAgペースト等を充填する必要があり、作業性が悪い等の問題点がある。
また、ポーリングは、単結晶を耐熱容器に設置し、白金電極を単結晶の上下に対になるように配置し結晶粉末に埋め込む方法もある。この方法の場合、単結晶を埋め込む際、単結晶上側には種結晶があるため、種結晶に接触しないように種結晶上端の上側に配置する必要がある。このため、電極と単結晶の上下間距離を同一にできず、その結果、適切にポーリングができず、単結晶の電気的極性が揃わないことがあった。電気的極性が揃わない場合、再度ポーリングをする必要がある。ポーリングを再度実施すると、単結晶の割れ率が高くなる。このように、従来の方法では、アニールとポーリングを同時に行った際、単結晶の電気的極性が揃わないことがあり、再度ポーリングを実施する等生産性低下の要因となっていることがわかった。
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、アニールとポーリングを同時に行う処理において、電気的極性が揃わない等の不具合を防止し、生産性を向上させることにある。
本発明の態様によれば、Cz法で育成された酸化物単結晶にアニール及びポーリングを行う酸化物単結晶の製造方法であって、耐熱容器内に酸化物結晶粉末に埋め込んだ酸化物単結晶に対して、対の電極を配置して、所定の温度でアニールした後、電極に電圧を印加して酸化物単結晶をポーリングすることを備え、対の電極の一方は、中央部に貫通孔を有し、貫通孔内に酸化物単結晶の種結晶部が設置されている、酸化物単結晶の製造方法が提供される。
また、対の電極は、酸化物単結晶の上下にほぼ均等に配置されてもよい。また、電極の貫通孔の孔径は、種結晶の大きさより5mm以上20mm以下大きくてもよい。また、酸化物単結晶の種結晶部を電極の貫通孔に挿入する前に、種結晶部を絶縁性のシートで覆うことを備えてもよい。
また、本発明の態様によれば、上記酸化物単結晶の製造方法に使用する電極であって、電極は、中央部に貫通孔を有し、貫通孔内に酸化物単結晶の種結晶部を設置可能である、電極が提供される。
本発明の態様によれば、アニールとポーリングを同時に行う処理において、電気的極性が揃わない等の不具合を防止し、生産性を向上させることにある。
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。なお、各図面においては、適宜、一部又は全部が模式的に記載され、縮尺が変更されて記載される。また、以下の説明において、「A~B」との記載は、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を意味する。
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。なお、各図面においては、適宜、一部又は全部が模式的に記載され、縮尺が変更されて記載される。また、以下の説明において、「A~B」との記載は、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を意味する。
上述のように、Cz法等で育成された単結晶は、熱応力による残留歪みがあり、これを取り除くため融点に近い均熱下での熱処理(アニール)を施す。更に、Cz法で育成された単結晶は多分域状態となっており、多分域状態のままでは単結晶のウエハ加工時にクラックが入り易く、また、非線形光学材料や表面弾性波デバイス等の特性に影響を及ぼす。このため、育成された単結晶には単一分域化処理(ポーリング)を施す必要がある。単一分域化処理では、単結晶を室温からキュリー温度以上の所定温度まで昇温させ、単結晶に電圧を印加し、電圧を印加したままキュリー温度以下の所定温度まで降温させた後、電圧印加を停止して室温まで冷却する一連の処理が施される。
上記説明で、アニールとポーリングは、個別に行うものであるが、キュリー温度と融点が近い品種、例えば、LN単結晶の場合、アニールとポーリングを同時に行うことが可能である。但し、アニール前の状態は育成時の熱応力による残留歪みがあり、切断した時に単結晶にクラックが入る確率が高くなることから種結晶部を切断数することは難しい。このため、アニールとポーリングを同時に行う場合、単結晶に種結晶がある状態で行う必要がある。しかしながら、従来の方法では、上述の問題があった。
本実施形態のアニールとポーリングを同時に行う酸化物単結晶の製造方法(以下「同時処理方法」と称すこともある)について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の酸化物単結晶の製造方法の一例を示す図である。
本実施形態の酸化物単結晶の製造方法(同時処理方法)は、Cz法で育成された酸化物単結晶C(「単結晶」と略す場合もある)にアニール及びポーリングを行う酸化物単結晶の製造方法であって、耐熱容器1内に酸化物結晶粉末Pに埋め込んだ酸化物単結晶Cに対して、対の電極E1、E2を配置して、所定の温度でアニールした後、電極E1、E2に電圧を印加して酸化物単結晶Cをポーリングすることを備え、対の電極E1、E2の一方E2は、中央部に貫通孔Hを有し、貫通孔H内に酸化物単結晶Cの種結晶部SCが設置されている。本実施形態の同時処理方法は、上述の問題を解決するものである。
以下、同時処理方法について具体的に説明する。同時処理方法は、従来のポーリングで用いる耐熱容器を用いて実施することができる。本同時処理方法に用いる耐熱容器1は、例えば図1に示すような、底部2と、側壁部3を有する容器である。また、耐熱容器1は蓋部を備えてもよい。蓋部の構成は、特に限定されず任意である。耐熱容器1の形状は、特に限定はないが、有底円筒状あるいは有底方形状(有底方形筒状)でもよい。耐熱容器1の各部の材質は、ポーリング処理温度に耐えられる材質であればよく、例えば、従来の耐熱容器と同様にアルミナ等を用いることができる。耐熱容器1内には、結晶粉末Pが収容される。この結晶粉末Pは、従来の方法と同様のものを用いることができる。例えば、結晶粉末Pは単結晶Cと類似の組成であるのが好ましく、実質的に同一の組成であるのが単結晶Cの組成に対する影響が低い等の点で好ましい。また、結晶粉末Pは、単結晶の粉末であるのが上記影響が低い等の点で好ましい。耐熱容器1内に収容した結晶粉末Pには、単結晶C及び対の電極E1、E2が埋め込まれる。
本同時処理方法に用いる電極は特徴がある。電極E1、E2は、単結晶Cを挟んで、対になるように配置される。下電極E1は単結晶下側に配置され、上電極E2は単結晶上側に配置される。例えば、本実施形態では、対の電極E1、E2は、図1に例示するように単結晶Cを耐熱容器1の上下方向(鉛直方向)から単結晶Cを挟んで配置する。本同時処理方法では、単結晶C上側に配置される上電極E2は、電極E2の上方から視た(平面視における)中央部に貫通孔Hを有している。この貫通孔Hは、後述する単結晶Cの種結晶部SCを設置可能に形成されており、種結晶部SCを挿入する孔となる。この貫通孔Hの大きさ(孔径)は、電極E2を耐熱容器1に設置する時に種結晶SCが貫通孔Hに接触することを防止するため、種結晶の大きさよりも5mm~20mm大きく設定することが好ましい。5mm未満では、電極E2を設置する時に種結晶部SCと接触する可能性が高くなる。20mmを超えると単結晶Cの中心部に電圧がかからなくなる可能性がある。なお、貫通孔Hの形状は、特に限定されず、例えば、貫通孔Hの孔軸と直交する断面の形状が円形でもよいし、矩形でもよい。種結晶部SCの大きさは、円形の場合は、直径とし、方形の場合は対角線の長さとする。なお、本同時処理方法に用いる単結晶Cは、Cz法により製造され、種結晶部SCを有するものであれば特に限定されず、任意である。例えば、単結晶Cの成分(組成)、大きさ、形状は任意である。
更に、単結晶Cの種結晶部SCを上電極E2の貫通孔Hに挿入する時、これらが接触しないように、挿入前に単結晶Cの種結晶部SCを絶縁シート(図示せず)で覆ってもよい。絶縁シートで種結晶部SCを覆う際、種結晶部SCの全体を覆ってもよいし、種結晶部SCの側部を覆ってもよい。
アニール前の育成された単結晶Cは、焦電性が大きいために、電極等の金属が接触すると放電を起こしクラックが入りやすい。このため、上記のように、絶縁シートで種結晶部SCを保護することで、電極との接触を防止しクラックの発生を抑制できる。
絶縁シート(図示せず)は、通電性がないものであれば、特に限定はないが、例えば、テフロンシート(テフロンは登録商標)等耐熱性を有する樹脂素材であってもよい。上述したように育成された単結晶Cは、焦電性が大きいために、単結晶Cの温度を50℃以下に下げると、温度変化による結晶内外の温度差によって、結晶表面が荷電してしまい、結晶表面の雰囲気等により放電を起こしてしまい、単結晶Cにクラックを生じてしまうことがあり、アニール前の単結晶は50°以上に保温した状態で作業が行われる。このため、絶縁シートは、100℃程度の耐熱性を有していることが好ましい。絶縁シートの厚みは、0.1mm~0.5mmが好ましい。絶縁シートの厚みが厚いと種結晶部SCに巻きづらくなる。なお、絶縁シートは、電極E1、E2を結晶粉末P内に埋め込み電極E1、E2が固定されたら取り除く。
単結晶Cと一対の電極E1、電極E2の間には、所定の電圧がかかるように設定されている。単結晶Cと一対の電極E1、E2間との距離L1、L2(最短距離)は、ほぼ均一であるのが望ましい。単結晶Cと一対の電極E1、E2間との距離L1、L2(最短距離)は、結晶の口径にもよるが15mm~50mmであるのが好ましい。ここで、電極E1、E2と単結晶Cとの最短距離L1、L2は、種結晶部SCを除いた単結晶Cと電極E1又は電極E2との最短距離とする。本実施形態では種結晶部SCを上電極E2の貫通孔Hに挿入するため、単結晶Cの下側と電極E1との最短距離L1になるように、上電極E2の位置を合わせることが可能となり、電極E1、E2と単結晶Cとの最短距離L1、L2がほぼ均等になるように容易に設置することができる。これにより、電極E1、E2と単結晶Cの上下間距離L1、L2を同一にすることが可能となるため、適切にポーリングができず、単結晶Cの電気的極性が揃わないことを抑制することができる。なお、ほぼ均等とは、±5mmの差は含まれる範囲である。例えば、単結晶Cと一対の電極E1、E2間との距離L1、L2(最短距離)を20mmに設定した場合、この最短距離L1、L2は15mm~25mmの範囲であればほぼ均等である。
また、耐熱容器1内で処理される単結晶Cが均一な温度になるように、単結晶Cは耐熱容器1内に充填された結晶粉末P内において上下左右均等に設置されることが好ましい。
電極E1、E2の大きさは単結晶Cの大きさに応じて設定するのが好ましい。電極E1、E2の大きさは、任意の方向から投影視した単結晶Cよりも大きいものが好ましい。単結晶Cは、対の電極E1、E2間内の領域R1(図1参照)に配置するのが好ましい。これにより、単結晶Cの全体に対して電圧を印加することができる。なお、対の電極E1、E2間内の領域R1は、図1の2点鎖線に示すように、電極E1と電極E2との間の領域である。
次に、本同時処理方法の一例について単結晶の事例で説明する。図2は、本同時処理方法の一例のフローチャートである。図3から図7は、本同時処理方法の一例を示す図である。
本同時処理方法では、耐熱容器1に単結晶の結晶粉末P、単結晶C、電極E1、E2をセットする。用いる電極E1、E2は、上記のものとする。
(ステップS1)
本同時処理方法では、まず、電極E1を配置する。例えば、上記下電極E1をアルミナ製等の耐熱容器1の底部2に設置(セット)する(図2のステップS1、図3)。
本同時処理方法では、まず、電極E1を配置する。例えば、上記下電極E1をアルミナ製等の耐熱容器1の底部2に設置(セット)する(図2のステップS1、図3)。
(ステップS2)
続いて、耐熱容器1内に結晶粉末Pを設置する(図2のステップS2、図4)。ステップS2では、結晶の結晶粉末Pを所定量入れる。単結晶Cと電極E1との最小距離L1が所定距離となるように、結晶粉末Pを設置する。この際、好ましくは、電極E1と単結晶Cとの最小距離L1が20mm前後(15~25mm)になるように、結晶粉末Pを設置する。耐熱容器1内に設置する結晶粉末Pは、育成された単結晶は単結晶下側が円錐状に吐出しているので、結晶粉末Pの中央部が凹むようにすり鉢状に成形することで、単結晶Cが安定して配置しやすくなるので、好ましい。
続いて、耐熱容器1内に結晶粉末Pを設置する(図2のステップS2、図4)。ステップS2では、結晶の結晶粉末Pを所定量入れる。単結晶Cと電極E1との最小距離L1が所定距離となるように、結晶粉末Pを設置する。この際、好ましくは、電極E1と単結晶Cとの最小距離L1が20mm前後(15~25mm)になるように、結晶粉末Pを設置する。耐熱容器1内に設置する結晶粉末Pは、育成された単結晶は単結晶下側が円錐状に吐出しているので、結晶粉末Pの中央部が凹むようにすり鉢状に成形することで、単結晶Cが安定して配置しやすくなるので、好ましい。
(ステップS3、S4)
続いて、結晶粉末Pに単結晶Cを設置する(図2のステップS3、図5)。なお、単結晶Cは、設置する前に種結晶部SCを上述した絶縁シート(図示せず)で覆うことにより、絶縁シートで種結晶部SCを保護することが好ましい(図2のステップS4)。なお、単結晶Cは、種結晶部SCが上方になるように設置する。
続いて、結晶粉末Pに単結晶Cを設置する(図2のステップS3、図5)。なお、単結晶Cは、設置する前に種結晶部SCを上述した絶縁シート(図示せず)で覆うことにより、絶縁シートで種結晶部SCを保護することが好ましい(図2のステップS4)。なお、単結晶Cは、種結晶部SCが上方になるように設置する。
(ステップS5)
続いて、結晶粉末Pを充填し、単結晶C全体を結晶粉末Pに埋め込む(図2のステップS5、図6)。例えば、単結晶Cの表面を覆う程度に結晶粉末Pを充填し、単結晶Cの全体を埋め込む。
続いて、結晶粉末Pを充填し、単結晶C全体を結晶粉末Pに埋め込む(図2のステップS5、図6)。例えば、単結晶Cの表面を覆う程度に結晶粉末Pを充填し、単結晶Cの全体を埋め込む。
(ステップS6)
続いて、単結晶Cを埋め込んだ結晶粉末Pに上電極E2を設置する(図2のステップS6、図7)。上電極E2は貫通孔Hを有しており、単結晶Cの絶縁シートで覆った種結晶SCを貫通孔Hに挿入して、上電極E2を設置する。この時、上電極E2と単結晶Cの種結晶部SCを除いた単結晶Cとの距離L2が、電極E1と単結晶Cとの最小距離L1と同等になるように設置する。このように本同時処理方法によれば、電極E1、E2と単結晶Cの上下間距離L1、L2を同一にすることが可能となるため、適切にポーリングができず、単結晶の電気的極性が揃わないことを抑制することができる。
続いて、単結晶Cを埋め込んだ結晶粉末Pに上電極E2を設置する(図2のステップS6、図7)。上電極E2は貫通孔Hを有しており、単結晶Cの絶縁シートで覆った種結晶SCを貫通孔Hに挿入して、上電極E2を設置する。この時、上電極E2と単結晶Cの種結晶部SCを除いた単結晶Cとの距離L2が、電極E1と単結晶Cとの最小距離L1と同等になるように設置する。このように本同時処理方法によれば、電極E1、E2と単結晶Cの上下間距離L1、L2を同一にすることが可能となるため、適切にポーリングができず、単結晶の電気的極性が揃わないことを抑制することができる。
(ステップS7)
続いて、再度結晶粉末Pを適宜量充填して電極E2を覆い、種結晶部SCの上端部を結晶粉末Pに埋め込む(図2のステップS7、図1)。なお、上電極E2を結晶粉末P内に埋め込み、上電極E2が固定されたら絶縁シートは取り除く。
続いて、再度結晶粉末Pを適宜量充填して電極E2を覆い、種結晶部SCの上端部を結晶粉末Pに埋め込む(図2のステップS7、図1)。なお、上電極E2を結晶粉末P内に埋め込み、上電極E2が固定されたら絶縁シートは取り除く。
(ステップS8)
続いて、ステップS7のように結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cにアニール及びポーリングを同時(一括)に行う(図2のステップS8)。ステップS8では、結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cに対して、同じ耐熱容器1内で移動等の他の処理を施すことなしに、アニール及びポーリングを同時(一括)に行う。ステップS8では、結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cを所定の温度でアニールし、その後、ポーリングする。ポーリングする所定温度にて、電圧を印加する。アニール、ポーリングの際の温度、電圧は、公知の条件を用いることができる。
続いて、ステップS7のように結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cにアニール及びポーリングを同時(一括)に行う(図2のステップS8)。ステップS8では、結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cに対して、同じ耐熱容器1内で移動等の他の処理を施すことなしに、アニール及びポーリングを同時(一括)に行う。ステップS8では、結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cを所定の温度でアニールし、その後、ポーリングする。ポーリングする所定温度にて、電圧を印加する。アニール、ポーリングの際の温度、電圧は、公知の条件を用いることができる。
以上のように、本同時処理方法は、Cz法で育成された単結晶Cにアニール及びポーリングを行う酸化物単結晶の製造方法であって、耐熱容器1内に結晶粉末Pに埋め込んだ単結晶Cに対して、対の電極E1、E2を配置して、所定の温度でアニールした後、電極E1、E2に電圧を印加して単結晶Cをポーリングすることを備え、対の電極E1、E2の一方の電極E2は、中央部に貫通孔Hを有し、貫通孔H内に単結晶Cの種結晶部SCが設置されている。なお、本同時処理方法において、上記以外の構成は、任意の構成である。本同時処理方法によれば、アニールとポーリングを同時に行う処理において、電気的極性が揃わない等の不具合を防止し、生産性を向上させることができる。また、本同時処理方法は、電極E2に貫通孔Hを形成すること以外は、従来と同様の方法であるため、容易に実施することができる。
(電極)
次に、実施形態に係る電極について説明する。実施形態に係る電極は、上記の同時処理方法に使用する上記の電極E2である。電極E2は、上記のように、中央部に貫通孔Hを有し、貫通孔H内に単結晶Cの種結晶部SCを設置可能である。本実施形態の電極によれば、上記の同時処理方法を行うことができるので、アニールとポーリングを同時に行う処理において電気的極性が揃わない等の不具合を防止し生産性を向上させることができる。
次に、実施形態に係る電極について説明する。実施形態に係る電極は、上記の同時処理方法に使用する上記の電極E2である。電極E2は、上記のように、中央部に貫通孔Hを有し、貫通孔H内に単結晶Cの種結晶部SCを設置可能である。本実施形態の電極によれば、上記の同時処理方法を行うことができるので、アニールとポーリングを同時に行う処理において電気的極性が揃わない等の不具合を防止し生産性を向上させることができる。
以下、本発明の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない
[実施例1]
実施例1では、上記した本実施形態に係る同時処理方法及び電極を用いて、LN単結晶のアニール及びポーリングを行った。実施例1では、コングルエント組成を有する直径φ160mm(6.3インチ)全長100mmの128゜RYのLN単結晶(キュリー点:1140℃)とした。種結晶は、大きさφ10mm、長さ70mmとした。
実施例1では、上記した本実施形態に係る同時処理方法及び電極を用いて、LN単結晶のアニール及びポーリングを行った。実施例1では、コングルエント組成を有する直径φ160mm(6.3インチ)全長100mmの128゜RYのLN単結晶(キュリー点:1140℃)とした。種結晶は、大きさφ10mm、長さ70mmとした。
まず、図1に示すような、底部を有する円筒形状の耐熱容器を用意した。耐熱容器は、内径φ300mm、高さ300mm、厚み20mmのアルミナ製とした。次に、底部(底面)に直径φ200mm、厚み0.3mmの電極(下電極)を設置した。次に、LN結晶を粉砕した単結晶粉末Pを耐熱容器の底面に敷いた。また、単結晶粉末は、上方から視て中央部付近が凹んだ形状であるすり鉢状に成形した。
LN単結晶の種結晶部には、厚み0.1mmの絶縁シートを1周巻いた。このLN単結晶を耐熱容器内に設置した。電極と単結晶との最小距離は20mmになるように設定した。耐熱容器内を単結晶の周辺を単結晶粉末で充填した。種結晶を除いた単結晶上面から20mmの位置に直径φ200mm、厚み0.3mm、中央部にφ25mmの貫通孔を有する電極(上電極)を、絶縁シートで覆われた種結晶部に、電極貫通孔に挿入し配置した。上電極の上に単結晶粉末を充填し、上電極が単結晶粉末で固定されてから絶縁シートを取り除いた。その後、種結晶の端部より10mmの位置まで単結晶粉末を充填した。
上記のように単結晶を収容した耐熱容器を昇降式電気炉の炉床板上に配置した後、単結晶の下側に対峙する電極の白金線をプラス電極とし、単結晶の上側に対峙する電極の白金線をマイナス電極として直流電源に接続した。電気炉を1150℃に昇温し、単結晶が安定するまで30時間保持し、1150℃に到達してから28時間後に、上記電極間に15V電圧を印加し、約90分後降温することにより、アニール、ポーリングの同時処理を行った。
アニール、ポーリング処理後、電気炉より耐熱容器を取りだした。その後、耐熱容器より単結晶を取り出した。
アニール、ポーリング処理後のLN単結晶を調べたところクラックの発生はなく、また、LN単結晶の分極状態を評価したところ反対向きの分極はなく、良好に単一分域化されていた。上記を繰り返し50回行ったところ、電気的極性が揃わない不具合の発生はなかった。なお、結晶の単一分域化の評価は、オシロスコープ、プローブ端子を用い、得られた波形に基づいて行った。波形が出ない場合、単一分域化されていないとした。
[比較例1]
比較例1では、単結晶に種結晶を付けたままで、単結晶の種結晶の端部から上側に20mm距離に貫通孔のない上電極を設けた。その他の条件は、実施例1と同じとして、アニール、ポーリング処理を行った。処理後の結晶の単一分域化の評価したところ、電気的極性が揃わない不具合が発生した。
比較例1では、単結晶に種結晶を付けたままで、単結晶の種結晶の端部から上側に20mm距離に貫通孔のない上電極を設けた。その他の条件は、実施例1と同じとして、アニール、ポーリング処理を行った。処理後の結晶の単一分域化の評価したところ、電気的極性が揃わない不具合が発生した。
上記実施例及び比較例の結果から、本実施形態の酸化物単結晶の製造方法は、酸化物単結晶のポーリングにおいて電気的極性が揃わない等の不具合を防止する顕著な効果があることが確認される。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態等で説明した態様に限定されない。上述の実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態等で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
1・・・耐熱容器
2・・・底部
3・・・側壁部
C・・・酸化物単結晶(単結晶)
SC・・・種結晶
P・・・酸化物結晶粉末(結晶粉末)
E1、E2・・・電極
H・・・貫通孔
2・・・底部
3・・・側壁部
C・・・酸化物単結晶(単結晶)
SC・・・種結晶
P・・・酸化物結晶粉末(結晶粉末)
E1、E2・・・電極
H・・・貫通孔
Claims (5)
- Cz法で育成された酸化物単結晶にアニール及びポーリングを行う酸化物単結晶の製造方法であって、
耐熱容器内に酸化物結晶粉末に埋め込んだ酸化物単結晶に対して、対の電極を配置して、所定の温度でアニールした後、前記電極に電圧を印加して酸化物単結晶をポーリングすることを備え、
前記対の電極の一方は、中央部に貫通孔を有し、前記貫通孔内に前記酸化物単結晶の種結晶部が設置されている、酸化物単結晶の製造方法。 - 前記対の電極は、前記酸化物単結晶の上下にほぼ均等に配置される、請求項1に記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 前記電極の貫通孔の孔径は、前記種結晶の大きさより5mm以上20mm以下大きい、請求項1又は請求項2に記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 前記酸化物単結晶の種結晶部を前記電極の貫通孔に挿入する前に、前記種結晶部を絶縁性のシートで覆う、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸化物単結晶の製造方法。
- 請求項1に記載の酸化物単結晶の製造方法に使用する電極であって、
前記電極は、中央部に貫通孔を有し、
前記貫通孔内に前記酸化物単結晶の種結晶部を設置可能である、電極。
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JP2020214055A JP2022099960A (ja) | 2020-12-23 | 2020-12-23 | 酸化物単結晶の製造方法、及びその製造方法に用いる電極 |
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