JP2021189101A - 放射線検出モジュール及び放射線検出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 狭額縁化が可能な放射線検出モジュール及び放射線検出器を提供する。又は、製造歩留まりの高い放射線検出モジュール及び放射線検出器を提供する。【解決手段】 放射線検出モジュールは、光電変換基板2と、シンチレータ層5と、枠状の封止部8と、防湿カバー7と、を備える。封止部8は、熱可塑性樹脂を含む材料で形成され、シンチレータ層5から離れて位置している。防湿カバー7は、シンチレータ層5を覆い、封止部8の外面8aに接合されている。【選択図】 図6
Description
本発明の実施形態は、放射線検出モジュール及び放射線検出パネルを備えた放射線検出器に関する。
放射線検出器として、例えばX線検出器(X線平面検出器)が知られている。X線検出器のX線検出モジュールは、X線を蛍光に変換するシンチレータ層と、蛍光を電気信号に変換する光電変換基板と、を備えている。シンチレータ層は、例えばヨウ化セシウム(CsI)を含んでいる。また、蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために、X線検出モジュールは、シンチレータ層の上に設けられた光反射層をさらに備える場合もある。
ここで、水蒸気などに起因する特性の劣化を抑制するために、シンチレータ層と光反射層は、外部雰囲気から隔離する必要がある。そこで、高い防湿性能が得られる構造として、シンチレータ層と光反射層をハット形状の防湿カバーで覆い、防湿カバーの周縁部を光電変換基板に接着する技術が提案されている。
本実施形態は、狭額縁化が可能な放射線検出モジュール及び放射線検出モジュールを備えた放射線検出器を提供する。又は、製造歩留まりの高い放射線検出モジュール及び放射線検出モジュールを備えた放射線検出器を提供する。
一実施形態に係る放射線検出モジュールは、
光電変換基板と、前記光電変換基板の上に設けられたシンチレータ層と、熱可塑性樹脂を含む材料で形成され、前記シンチレータ層の周囲に設けられ、前記光電変換基板に接合された枠状の封止部と、前記シンチレータ層を覆い、前記封止部の外面に接合された防湿カバーと、を備え、前記封止部は、前記シンチレータ層から離れて位置している。
光電変換基板と、前記光電変換基板の上に設けられたシンチレータ層と、熱可塑性樹脂を含む材料で形成され、前記シンチレータ層の周囲に設けられ、前記光電変換基板に接合された枠状の封止部と、前記シンチレータ層を覆い、前記封止部の外面に接合された防湿カバーと、を備え、前記封止部は、前記シンチレータ層から離れて位置している。
また、一実施形態に係る放射線検出器は、
放射線検出モジュールと、前記放射線検出モジュールに電気的に接続された回路基板と、を備え、前記放射線検出モジュールは、光電変換基板と、前記光電変換基板の上に設けられたシンチレータ層と、熱可塑性樹脂を含む材料で形成され、前記シンチレータ層の周囲に設けられ、前記光電変換基板に接合された枠状の封止部と、前記シンチレータ層を覆い、前記封止部の外面に接合された防湿カバーと、を備え、前記封止部は、前記シンチレータ層から離れて位置している。
放射線検出モジュールと、前記放射線検出モジュールに電気的に接続された回路基板と、を備え、前記放射線検出モジュールは、光電変換基板と、前記光電変換基板の上に設けられたシンチレータ層と、熱可塑性樹脂を含む材料で形成され、前記シンチレータ層の周囲に設けられ、前記光電変換基板に接合された枠状の封止部と、前記シンチレータ層を覆い、前記封止部の外面に接合された防湿カバーと、を備え、前記封止部は、前記シンチレータ層から離れて位置している。
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
図1は、本実施形態に係るX線検出器1を示す断面図である。X線検出器1は、X線画像検出器であり、X線検出パネルを利用するX線平面検出器である。
図1に示すように、X線検出器1は、X線検出モジュール10、支持基板12、回路基板11、スペーサ9a,9b,9c,9d、筐体51、FPC(フレキシブルプリント基板)2e1、入射窓52等を備えている。X線検出モジュール10は、X線検出パネルPNLと、防湿カバー7と、を備えている。X線検出パネルPNLは、支持基板12と防湿カバー7との間に位置している。防湿カバー7は入射窓52と対向している。
図1に示すように、X線検出器1は、X線検出モジュール10、支持基板12、回路基板11、スペーサ9a,9b,9c,9d、筐体51、FPC(フレキシブルプリント基板)2e1、入射窓52等を備えている。X線検出モジュール10は、X線検出パネルPNLと、防湿カバー7と、を備えている。X線検出パネルPNLは、支持基板12と防湿カバー7との間に位置している。防湿カバー7は入射窓52と対向している。
入射窓52は、筐体51の開口に取付けられている。入射窓52はX線を透過させる。そのため、X線は入射窓52を透過してX線検出モジュール10に入射される。入射窓52は、板状に形成され、筐体51内部を保護する機能を有している。入射窓52は、X線吸収率の低い材料で薄く形成することが望ましい。これにより、入射窓52で生じる、X線の散乱と、X線量の減衰とを低減することができる。そして、薄くて軽いX線検出器1を実現することができる。
X線検出モジュール10、支持基板12、回路基板11、FPC2e1等は、筐体51及び入射窓52で囲まれた空間の内部に収容されている。
X線検出モジュール10、支持基板12、回路基板11、FPC2e1等は、筐体51及び入射窓52で囲まれた空間の内部に収容されている。
X線検出モジュール10は、薄い部材を積層して構成されているため、軽く機械的強度の低いものである。このため、X線検出パネルPNL(X線検出モジュール10)は、粘着シートを介して支持基板12の平坦な一面に固定されている。支持基板12は、例えばアルミニウム合金で板状に形成され、X線検出パネルPNLを安定して保持するために必要な強度を有している。これにより、X線検出器1に外部から振動や衝撃が加わった際におけるX線検出パネルPNLの破損を抑制することができる。
支持基板12の他面には、スペーサ9a,9bを介して回路基板11が固定されている。スペーサ9a,9bを使用することで、主に金属から構成される支持基板12から回路基板11までの電気的絶縁距離を保持することができる。
筐体51の内面には、スペーサ9c,9dを介して回路基板11が固定されている。スペーサ9c,9dを使用することで、主に金属から構成される筐体51から回路基板11までの電気的絶縁距離を保持することができる。筐体51は、回路基板11及びスペーサ9a,9b,9c,9dを介して支持基板12等を支持している。
筐体51の内面には、スペーサ9c,9dを介して回路基板11が固定されている。スペーサ9c,9dを使用することで、主に金属から構成される筐体51から回路基板11までの電気的絶縁距離を保持することができる。筐体51は、回路基板11及びスペーサ9a,9b,9c,9dを介して支持基板12等を支持している。
回路基板11にはFPC2e1に対応するコネクタが実装され、FPC2e1はコネクタを介して回路基板11に電気的に接続されている。FPC2e1とX線検出パネルPNLとの接続には、ACF(異方性導電フィルム)を利用した熱圧着法が用いられる。この方法により、X線検出パネルPNLの複数の微細なパッドと、FPC2e1の複数の微細なパッドとの電気的接続が確保される。なお、X線検出パネルPNLのパッドに関しては後述する。
上記のように、回路基板11は、上記コネクタ、FPC2e1等を介してX線検出パネルPNLに電気的に接続されている。回路基板11は、X線検出パネルPNLを電気的に駆動し、かつ、X線検出パネルPNLからの出力信号を電気的に処理するものである。
図2は、本実施形態のX線検出器1の支持基板12、X線検出パネルPNL、回路基板11、及び複数のFPC2e1,2e2を示す斜視図である。なお、図2には、X線検出器1の全ての部材を示していない。後述する封止部等、X線検出器1のいくつかの部材の図示は、図2において省略している。
図2に示すように、X線検出パネルPNLは、光電変換基板2、シンチレータ層5等を備えている。光電変換基板2は、基板2a、光電変換部2b、複数の制御ライン(又はゲートライン)2c1、複数のデータライン(又はシグナルライン)2c2等を有している。なお、光電変換部2b、制御ライン2c1、及びデータライン2c2の数、配置等は図2の例に限定されるものではない。
複数の制御ライン2c1は、行方向に延在し、列方向に所定の間隔をあけて並べられている。複数のデータライン2c2は、列方向に延在し、複数の制御ライン2c1と交差し、行方向に所定の間隔をあけて並べられている。
光電変換部2bは、基板2aの一方の面側に複数設けられている。光電変換部2bは、制御ライン2c1とデータライン2c2とにより区画された四角形状の領域に設けられている。1つの光電変換部2bは、X線画像の1つの画素に対応する。複数の光電変換部2bは、マトリクス状に並べられている。上記のことから、光電変換部2bは、アレイ基板である。
各々の光電変換部2bは、光電変換素子2b1と、スイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)2b2と、を有している。TFT2b2は、対応する一の制御ライン2c1と、対応する一のデータライン2c2とに接続されている。光電変換素子2b1はTFT2b2に電気的に接続されている。
制御ライン2c1は、FPC2e1を介して回路基板11に電気的に接続されている。回路基板11は、FPC2e1を介して複数の制御ライン2c1に制御信号S1を与える。データライン2c2は、FPC2e2を介して回路基板11に電気的に接続されている。光電変換素子2b1によって変換された画像データ信号S2(光電変換部2bに蓄積された電荷)は、TFT2b2、データライン2c2、及びFPC2e2を介して回路基板11に伝送される。
X線検出器1は、画像伝送部4をさらに備えている。画像伝送部4は、配線4aを介して回路基板11に接続されている。なお、画像伝送部4は、回路基板11に組込まれてもよい。画像伝送部4は、図示しない複数のアナログ−デジタル変換器によりデジタル信号に変換された画像データの信号に基づいて、X線画像を生成する。生成されたX線画像のデータは、画像伝送部4から外部の機器に向けて出力される。
図3は、本実施形態に係るX線検出器1のX線検出モジュール10の一部を示す拡大断面図である。
図3に示すように、光電変換基板2は、基板2a、複数の光電変換部2b、絶縁層21,22,23,24,25を有している。複数の光電変換部2bは、検出領域DAに位置している。各々の光電変換部2bは、光電変換素子2b1と、TFT2b2と、を備えている。
図3に示すように、光電変換基板2は、基板2a、複数の光電変換部2b、絶縁層21,22,23,24,25を有している。複数の光電変換部2bは、検出領域DAに位置している。各々の光電変換部2bは、光電変換素子2b1と、TFT2b2と、を備えている。
TFT2b2は、ゲート電極GE、半導体層SC、ソース電極SE、及びドレイン電極DEを有している。光電変換素子2b1は、フォトダイオードで構成されている。なお、光電変換素子2b1は、光を電荷に変換するように構成されていればよい。
基板2aは、板状の形状を有し、絶縁材料で形成されている。上記絶縁材料としては、無アルカリガラスなどのガラスを挙げることができる。基板2aの平面形状は、例えば四角形である。基板2aの厚みは、例えば0.7mmである。絶縁層21は、基板2aの上に設けられている。
絶縁層21の上に、ゲート電極GEが形成されている。ゲート電極GEは、上記制御ライン2c1に電気的に接続されている。絶縁層22は、絶縁層21及びゲート電極GEの上に設けられている。半導体層SCは、絶縁層22の上に設けられ、ゲート電極GEに対向している。半導体層SCは、非晶質半導体としての非晶質シリコン、多結晶半導体としての多結晶シリコン等の半導体材料で形成されている。
絶縁層22及び半導体層SCの上に、ソース電極SE及びドレイン電極DEが設けられている。ゲート電極GE、ソース電極SE、ドレイン電極DE、上記制御ライン2c1、及び上記データライン2c2は、アルミニウムやクロムなどの低抵抗金属を用いて形成されている。
ソース電極SEは、半導体層SCのソース領域に電気的に接続されている。また、ソース電極SEは、上記データライン2c2に電気的に接続されている。ドレイン電極DEは、半導体層SCのドレイン領域に電気的に接続されている。
絶縁層23は、絶縁層22、半導体層SC、ソース電極SE、及びドレイン電極DEの上に設けられている。光電変換素子2b1は、ドレイン電極DEに電気的に接続されている。絶縁層24は、絶縁層23及び光電変換素子2b1の上に設けられている。バイアス線BLは、絶縁層24の上に設けられ、絶縁層24に形成されたコンタクトホールを通り光電変換素子2b1に接続されている。絶縁層25は、絶縁層24及びバイアス線BLの上に設けられている。
絶縁層21,22,23,24,25は、無機絶縁材料、有機絶縁材料等の絶縁材料で形成されている。無機絶縁材料としては、酸化物絶縁材料、窒化物絶縁材料、及び酸窒化物絶縁材料を挙げることができる。有機絶縁材料としては樹脂を挙げることができる。
シンチレータ層5は、光電変換基板2(複数の光電変換部2b)の上に設けられている。シンチレータ層5は、少なくとも検出領域DAに位置し、複数の光電変換部2bの上方を覆っている。シンチレータ層5は、入射されるX線を光(蛍光)に変換するように構成されている。
なお、光電変換素子2b1は、シンチレータ層5から入射される光を電荷に変換する。変換された電荷は光電変換素子2b1に蓄積される。TFT2b2は、光電変換素子2b1への蓄電及び光電変換素子2b1からの放電を切替えることができる。なお、光電変換素子2b1の自己容量が不十分である場合、光電変換基板2はコンデンサ(蓄積キャパシタ)をさらに有し、光電変換素子2b1で変換された電荷をコンデンサに蓄積してもよい。
シンチレータ層5は、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)で形成されている。真空蒸着法を用いてシンチレータ層5を形成すれば、複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ層5が得られる。シンチレータ層5の厚みは、例えば、600μmである。シンチレータ層5の最表面において、シンチレータ層5の柱状結晶の太さは、8乃至12μmである。
シンチレータ層5を形成する材料は、CsI:Tlに限定されるものではない。シンチレータ層5は、タリウム賦活ヨウ化ナトリウム(NaI:Tl)、ナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)、ユーロピウム賦活臭化セシウム(CsBr:Eu)、ヨウ化ナトリウム(NaI)等で形成されてもよい。
なお、真空蒸着法を用いてシンチレータ層5を形成する際には、開口を有するマスクが用いられる。この場合、光電変換基板2上の開口に対峙する領域にシンチレータ層5が形成される。また、蒸着によるシンチレータ材は、マスクの表面にも堆積する。そして、シンチレータ材は、マスクの開口の近傍にも堆積し、開口の内部に徐々に張り出すように結晶が成長する。マスクから開口の内部に結晶が張り出すと、開口の近傍において、光電変換基板2へのシンチレータ材の蒸着が抑制される。そのため、図2に示したように、シンチレータ層5の周縁近傍は、外側になるに従い厚みが漸減している。
又は、シンチレータ層5は、マトリクス状に並べられ、光電変換部2bに一対一で設けられ、それぞれ四角柱状の形状を有する複数のシンチレータ部を有してもよい。そのようなシンチレータ層5を形成する際、酸硫化ガドリニウム(Gd2O2S)蛍光体粒子をバインダ材と混合したシンチレータ材を、光電変換基板2上に塗布し、シンチレータ材を焼成して硬化させる。その後、ダイサによりダイシングするなどし、シンチレータ材に格子状の溝部を形成する。上記の場合、複数のシンチレータ部の間には、空気又は酸化防止用の窒素(N2)等の不活性ガスが封入される。又は、複数のシンチレータ部の間の空間は、大気圧より減圧された空間に設定されてもよい。
本実施形態において、X線検出パネルPNLは、光反射層6をさらに備えている。光反射層6は、シンチレータ層5のX線の入射側に設けられている。光反射層6は、少なくとも検出領域DAに位置し、シンチレータ層5の上面を覆っている。光反射層6は、光(蛍光)の利用効率を高めて感度特性の向上を図るために設けられている。すなわち、光反射層6は、シンチレータ層5において生じた光のうち、光電変換部2bが設けられた側とは反対側に向かう光を反射させて、光電変換部2bに向かうようにする。ただし、光反射層6は、必ずしも必要ではなく、X線検出モジュール10に求められる感度特性などに応じて設ければよい。
例えば、酸化チタン(TiO2)等からなる光散乱性粒子と、樹脂と、溶媒とを混合した塗布材料をシンチレータ層5上に塗布し、続いて塗布材料を乾燥することで光反射層6を形成することができる。
なお、光反射層6の構造及び光反射層6の製造方法は、上記の例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、銀合金やアルミニウムなどの光反射率の高い金属からなる層をシンチレータ層5上に成膜することで光反射層6を形成してもよい。又は、表面が銀合金やアルミニウムなどの光反射率の高い金属層を含むシートや、光散乱性粒子を含む樹脂シート等をシンチレータ層5の上に設けることで光反射層6を形成してもよい。
なお、ペースト状の塗布材料をシンチレータ層5の上に塗布し、上記塗布材料を乾燥する場合は、乾燥に伴い塗布材料が収縮するので、シンチレータ層5に引っ張り応力が加わり、シンチレータ層5が光電変換基板2から剥離する場合がある。そのため、シート状の光反射層6を、シンチレータ層5の上に設けることが好ましい。この場合、光反射層6を、例えば、両面テープなどを用いて、シンチレータ層5の上に接合することもできるが、光反射層6をシンチレータ層5の上に載置する方が好ましい。シート状の光反射層6をシンチレータ層5の上に載置すれば、光反射層6の膨張または収縮に起因した、光電変換基板2からシンチレータ層5の剥離を容易に抑制することができる。
防湿カバー(防湿部)7は、シンチレータ層5及び光反射層6を覆っている。防湿カバー7は、空気中に含まれる水分により、光反射層6の特性やシンチレータ層5の特性が劣化するのを抑制するために設けられている。防湿カバー7は、シンチレータ層5の露出部分を完全に覆っている。防湿カバー7は光反射層6等との間に隙間を空けてもよいし、防湿カバー7は光反射層6等と接触してもよい。
防湿カバー7は、金属を含むシートで形成されている。上記金属としては、アルミニウムを含む金属、銅を含む金属、マグネシウムを含む金属、タングステンを含む金属、ステンレス、コバール等を挙げることができる。防湿カバー7が金属を含んでいる場合、防湿カバー7は、水分の透過を、防止したり、大幅に抑制したりすることができる。
また、防湿カバー7は、樹脂層と金属層とが積層された積層シートで形成されてもよい。この場合、樹脂層は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、テフロン(登録商標)、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、弾性ゴム等の材料で形成することができる。金属層は、例えば、前述した金属を含むものとすることができる。金属層は、スパッタリング法、ラミネート法等を用いて形成することができる。
この場合、樹脂層より金属層をシンチレータ層5側に設けた方が好ましい。樹脂層により金属層を覆うことができるので、外力などにより金属層が受け得る損傷を抑制することができる。また、金属層が樹脂層よりもシンチレータ層5側)に設けられていれば、樹脂層を介した透湿によるシンチレータ層5の特性の劣化を抑制することができる。
防湿カバー7としては、金属層を含むシート、無機絶縁層を含むシート、樹脂層と金属層とが積層された積層シート、及び樹脂層と無機絶縁層とが積層された積層シートを挙げることができる。上記のことから、防湿カバー7の無機層は、金属層にかぎらず、無機絶縁層であってもよい。又は、防湿カバー7は、金属層及び無機絶縁層の両方を有してもよい。無機絶縁層は、酸化珪素、酸化アルミニウム等を含む層で形成することができる。無機絶縁層は、スパッタリング法等を用いて形成することができる。
金属層を含む積層シートで防湿カバー7を形成する場合には、例えば、樹脂層の厚みを金属層の厚みと実質的に同一とすることができる。防湿カバー7はこの様な厚みを持つ樹脂層を含んでいれば、防湿カバー7の剛性を増加させることができるので、製造工程中において、防湿カバー7におけるピンホールの発生を抑制することができる。なお、一般的に、樹脂の線膨張係数は、金属の線膨張係数よりも大きいため、樹脂層の厚みを大きくし過ぎると、光電変換基板2の反りが発生し易くなる。そのため、防湿カバー7において、樹脂層の厚みは、金属層の厚み以下である方が好ましい。
また、防湿カバー7の厚みは、X線の吸収や剛性などを考慮して決定することができる。この場合、防湿カバー7の厚みを大きくする程、防湿カバー7に吸収されるX線の量が多くなる。一方、防湿カバー7の厚みを小さくする程、防湿カバー7は、剛性の低下を招き、破損し易くなる。
例えば、防湿カバー7の厚みを10μm未満にすると、防湿カバー7の剛性が低くなりすぎて、外力などによるダメージにより防湿カバー7にピンホールが生じ、リークが発生する恐れがある。防湿カバー7の厚みが50μmを超えると、防湿カバー7の剛性が高くなり過ぎて、シンチレータ層5の上端の凹凸への追従性が悪くなる。そのため、前述した隙間やリークパスの確認が困難となる恐れがある。さらに、光電変換基板2の反りが発生し易くなる恐れがある。
そのため、防湿カバー7の厚みは、10μm以上、50μm以下であることが好ましい。この場合、防湿カバー7は、例えば、厚みが10乃至50μmのアルミニウム箔とすることができる。アルミニウム箔の厚みが10乃至50μmであれば、厚みが100μmのアルミニウム箔に比べてX線の透過量を20乃至30%程度多くすることができる。また、厚みが10乃至50μmのアルミニウム箔とすれば、前述したリークの発生を抑制することができ、且つ、前述した隙間やリークパスの確認が容易となる。また、光電変換基板2の反りを抑制することができる。
金属の熱膨張及び熱収縮を小さくするため、アルミニウムなどの金属の厚さは30μm以下である方が望ましい。すると、防湿カバー7は、10乃至30μmのアルミニウム箔を含んでいる方が望ましい。
ここで、人体に対して大量のX線照射を行うと健康への悪影響があるため、人体へのX線照射量は必要最低限に抑えられる。そのため、医療に用いられるX線検出器1の場合には、照射されるX線の強度が低くなり、防湿カバー7を透過するX線の強度が非常に低くなる恐れがある。本実施形態に係る防湿カバー7は、厚みが10乃至50μmのシートであるため、照射されるX線の強度が低い場合であってもX線画像の撮影が可能となる。
図4は、X線検出パネルPNL、回路基板11、及び複数のFPC2e1,2e2を示す回路図である。
図2乃至図4に示すように、回路基板11には、読み出し回路11aおよび信号検出回路11bが設けられている。なお、これらの回路を1つの基板に設けることもできるし、これらの回路を複数の基板に分けて設けることもできる。FPC2e1に設けられた複数の配線の他端は、読み出し回路11aとそれぞれ電気的に接続されている。FPC2e2に設けられた複数の配線の他端は、信号検出回路11bとそれぞれ電気的に接続されている。
図2乃至図4に示すように、回路基板11には、読み出し回路11aおよび信号検出回路11bが設けられている。なお、これらの回路を1つの基板に設けることもできるし、これらの回路を複数の基板に分けて設けることもできる。FPC2e1に設けられた複数の配線の他端は、読み出し回路11aとそれぞれ電気的に接続されている。FPC2e2に設けられた複数の配線の他端は、信号検出回路11bとそれぞれ電気的に接続されている。
読み出し回路11aは、TFT2b2のオン状態とオフ状態を切り替える。読み出し回路11aは、複数のゲートドライバ11aaと行選択回路11abとを有する。行選択回路11abには、X線検出器1の外部に設けられた図示しない画像処理部などから制御信号S1が入力される。行選択回路11abは、X線画像の走査方向に従って、対応するゲートドライバ11aaに制御信号S1を入力する。ゲートドライバ11aaは、対応する制御ライン2c1に制御信号S1を入力する。
例えば、読み出し回路11aは、FPC2e1を介して、制御信号S1を複数の制御ライン2c1に順に入力する。制御ライン2c1に入力された制御信号S1によりTFT2b2がオン又はオフされ、TFT2b2がオン状態となることで、光電変換素子2b1からの電荷(画像データ信号S2)がFPC2e2に出力される。
信号検出回路11bは、複数の積分アンプ11ba、複数の選択回路11bb、及び複数のADコンバータ11bcを有している。1つの積分アンプ11baは、1つのデータライン2c2と電気的に接続されている。積分アンプ11baは、複数の光電変換部2bからの画像データ信号S2を順に受信する。そして、積分アンプ11baは、一定時間内に流れる電流を積分し、その積分値に対応した電圧を選択回路11bbへ出力する。この様にすれば、所定の時間内にデータライン2c2を流れる電流の値(電荷量)を電圧値に変換することが可能となる。すなわち、積分アンプ11baは、シンチレータ層5において発生した蛍光の強弱分布に対応した画像データ情報を、電位情報へと変換する。
選択回路11bbは、読み出しを行う積分アンプ11baを選択し、電位情報へと変換された画像データ信号S2を順に読み出す。ADコンバータ11bcは、読み出された画像データ信号S2をデジタル信号に順に変換する。デジタル信号に変換された画像データ信号S2は、配線を介して画像処理部に入力される。なお、デジタル信号に変換された画像データ信号S2は、無線により画像処理部に送信されてもよい。画像処理部は、デジタル信号に変換された画像データ信号S2に基づいてX線画像を構成する。なお、画像処理部は、回路基板11と一体化することもできる。
図5は、X線検出モジュール10を示す平面図である。図5において、シンチレータ層5には右上がりの斜線を付し、封止部8には右下がりの斜線を付している。図6は、X線検出モジュール10を線VI−VIに沿って示す断面図である。
図5及び図6に示すように、光電変換基板2は、検出領域DAと、検出領域DAの周囲に位置する枠状の第1非検出領域NDA1と、第1非検出領域NDA1の外側の第2非検出領域NDA2と、を有している。本実施形態において、第2非検出領域NDA2は枠状の形状を有している。
図5及び図6に示すように、光電変換基板2は、検出領域DAと、検出領域DAの周囲に位置する枠状の第1非検出領域NDA1と、第1非検出領域NDA1の外側の第2非検出領域NDA2と、を有している。本実施形態において、第2非検出領域NDA2は枠状の形状を有している。
シンチレータ層5は、少なくとも検出領域DAに位置している。光電変換基板2は、さらに複数のパッド2d1及び複数のパッド2d2を有している。パッド2d1及びパッド2d2は、第2非検出領域NDA2に位置している。本実施形態において、複数のパッド2d1は基板2aの左辺に沿って並べられ、複数のパッド2d2は基板2aの下辺に沿って並べられている。なお、図5には複数のパッドを模式的に示しており、複数のパッドの個数、形状、サイズ、位置、及びピッチは、図5に示す例に限定されるものではない。
1つの制御ライン2c1は、検出領域DA、第1非検出領域NDA1、及び第2非検出領域NDA2を延在し、複数のパッド2d1のうちの1つと電気的に接続されている。1つのデータライン2c2は、検出領域DA、第1非検出領域NDA1、及び第2非検出領域NDA2を延在し、複数のパッド2d2のうちの1つと電気的に接続されている。
1つのパッド2d1にはFPC2e1に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続され、1つのパッド2d2にはFPC2e2に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続されている(図2)。
1つのパッド2d1にはFPC2e1に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続され、1つのパッド2d2にはFPC2e2に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続されている(図2)。
X線検出モジュール10は、封止部8をさらに備えている。封止部8は、シンチレータ層5の周囲に設けられている。封止部8は、枠状の形状を有し、シンチレータ層5の周囲を連続的に延在している。封止部8は、光電変換基板2(例えば、上記絶縁層25)に接合されている。
防湿カバー7は、図5に示す平面図において、シンチレータ層5を完全に覆っている。図6に示すように、シンチレータ層5のうち光電変換基板2及び封止部8で覆われていない部分は、防湿カバー7で完全に覆われている。防湿カバー7は、封止部8の外面8aに接合されている。防湿カバー7は、封止部8の少なくとも一部を覆っている。なお、防湿カバー7で封止部8を完全に覆った方が、透湿パスが小さくなるので有利である。例えば、大気圧よりも減圧された環境において防湿カバー7と封止部8とを接合すれば、防湿カバー7を光反射層6等に接触させることができる。また、一般的に、シンチレータ層5には、その体積の10乃至40%程度の空隙が存在する。そのため、空隙にガスが含まれていると、X線検出器1を航空機などで輸送した場合にガスが膨張して防湿カバー7が破損する恐れがある。大気圧よりも減圧された環境において防湿カバー7と封止部8とを接合すれば、X線検出器1が航空機などで輸送された場合であっても防湿カバー7の破損を抑制することができる。上記のことから、封止部8と防湿カバー7とにより画された空間の圧力は、大気圧よりも低くした方が好ましい。
防湿カバー7の厚みを小さくすると防湿カバー7の剛性が低下する。そのため、防湿カバー7につば部等を設けて立体的な防湿カバー7を形成する際、例えば、金属箔をプレス成形する際、亀裂等が生じ易くなる。一方、シート状を呈する防湿カバー7の周縁近傍は、封止部8の外面8aに接合される。そのため、予め防湿カバー7を立体形状に加工する必要はなく、シート状を呈する防湿カバー7をそのまま封止部8の外面8aに接合することができる。その結果、防湿カバー7の厚みを10μm以上、50μm以下としても、防湿カバー7に亀裂等の不良の発生を抑制することができる。また、光電変換基板2の反り、及び熱による光電変換基板2の変形を抑制することができる。
また、後述するように、防湿カバー7の周縁近傍を加熱することで、防湿カバー7の周縁近傍と封止部8を接合する。この場合、防湿カバー7の周縁近傍の温度と、封止部8の温度が低下すると、防湿カバー7の周縁近傍と封止部8との間に熱応力が発生する。防湿カバー7の周縁近傍と封止部8との間に熱応力が発生すると、防湿カバー7の周縁近傍と封止部8との間に剥離が生じる恐れがある。剥離が生じると防湿性能が著しく低下するおそれがある。防湿カバー7の厚みは10μm以上、50μm以下としているので、熱応力が発生した際に防湿カバー7が延びやすくなる。そのため、熱応力を緩和させることができるので、封止部8から防湿カバー7の周縁近傍の剥離を抑制することができる。
封止部8は、熱可塑性樹脂を含む材料で形成されている。封止部8は、熱可塑性樹脂を主成分として含む材料で形成されている。封止部8は、100%熱可塑性樹脂で形成されてもよい。又は、封止部8は、熱可塑性樹脂に添加物が混在した材料で形成されてもよい。封止部8が熱可塑性樹脂を主成分として含んでいれば、封止部8は、加熱により、光電変換基板2、及び防湿カバー7と接合することができる。
ここで、例えば、封止部8が紫外線硬化型樹脂を主成分として含んでいれば、封止部8を、光電変換基板2、及び防湿カバー7と接合する際に紫外線を照射する必要がある。ところが、防湿カバー7は金属などを含んでいるため紫外線を透過させることができない。また、防湿カバー7が紫外線を透過するものであると、紫外線によりシンチレータ層5が変色し、シンチレータ層5で発生した光(蛍光)がシンチレータ層5で吸収される恐れがある。
これに対し、封止部8は、熱可塑性樹脂を含んでいるので、加熱により容易に接合を行うことができる。また、シンチレータ層5が紫外線により変色することもない。また、封止部8の加熱と冷却に要する時間は短くてすむので、製造時間の短縮、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
熱可塑性樹脂は、ナイロン、PET(Polyethyleneterephthalate)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、アクリル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等を利用することができる。この場合、ポリエチレンの水蒸気透過率は0.068g・mm/day・m2であり、ポリプロピレンの水蒸気透過率は0.04g・mm/day・m2である。これらの水蒸気透過率は低い。そのため、封止部8が、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも何れかを主成分として含んでいれば、封止部8の内部を透過してシンチレータ層5に到達する水分を大幅に少なくすることができる。
熱可塑性樹脂の剛性は、防湿カバー7の剛性よりも低くすることができる。
熱可塑性樹脂の剛性は、防湿カバー7の剛性よりも低くすることができる。
また、封止部8は、無機材料を用いたフィラーをさらに含むことができる。無機材料からなるフィラーが封止部8に含まれていれば、水分の透過をさらに抑制することができる。無機材料は、タルク、グラファイト、雲母、カオリン(カオリナイトを主成分とする粘土)等を利用することができる。フィラーは、例えば、扁平な形態を有するものとすることができる。外部から封止部8の内部に侵入した水分は、無機材料からなるフィラーによって拡散が妨げられるので、水分が封止部8を通過する速度を減少させることができる。そのため、シンチレータ層5に到達する水分の量を少なくすることができる。
ここで、高温多湿の環境に保管されていたX線検出器1が、より低い温度の環境で使用される場合がある、この様な場合には、筐体の内部にある水蒸気が結露して、X線検出器1の表面に付着する場合がある。封止部8の外面8aに微細な亀裂があると、表面に付着した水分が亀裂に侵入し、封止部8の内部に導かれる恐れがある。また、X線検出器1が氷点下以下の環境に搬送され、亀裂に侵入した水分が凍結する場合がある。亀裂に侵入した水分が凍結すると体積が大きくなるので、亀裂が大きくなるとともに水分がさらに侵入し易くなる。以上のことが繰り返されると、封止部8の破損、封止部8からの防湿カバー7の剥離、光電変換基板2からの封止部8の剥離等が生じる恐れがある。
そのため、封止部8の少なくとも外面8aは、撥水性を有する方が好ましい。封止部8の少なくとも外面8aが撥水性を有していれば、封止部8の外面8aに亀裂があっても、亀裂への水分の侵入を抑制することができる。
例えば、封止部8の外面8aに撥水剤を塗布することができる。また、封止部8が、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも何れかを主成分として含んでいれば、撥水性を有する外面8aを得ることができる。
例えば、封止部8の外面8aに撥水剤を塗布することができる。また、封止部8が、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも何れかを主成分として含んでいれば、撥水性を有する外面8aを得ることができる。
また、熱可塑性樹脂を枠状に塗布した直後に、内部を観察して泡、異物、リークパス等の有無をチェックすることが好ましい。この様なチェックが、目視もしくは光学顕微鏡を用いて行うことができれば、生産効率を向上させることができる。そのため、枠状に塗布された熱可塑性樹脂は、厚みが最も大きい部分においても透明であることが好ましい。すなわち、封止部8は、透光性を有する方が好ましい。この様にすれば、封止部8に、泡、異物、リークパス等があり製品寿命が短くなる恐れのある製品を容易に除去することができる。そのため、製品の品質を向上させることができる。
封止部8は、シンチレータ層5から離れて位置している。封止部8は、第1非検出領域NDA1に位置している。封止部8は、複数のパッド2d1,2d2から離れてシンチレータ層5と複数のパッド2d1,2d2との間に位置している。光電変換基板2の清浄部の上のみに、封止部8を形成するための材料を塗布することができる。封止部8を形成するための材料の濡れ拡がり量を全周にわたって一定にする事ができ、高さT及び幅Wのそれぞれ均一な封止部8を得ることができる。
また、X線検出器1の狭額縁化に寄与することができる。なお、封止部8をシンチレータ層5に接触させた場合、封止部8の濡れ拡がり量が不均一となり、額縁領域の拡張を招いてしまう。
さらに、封止部8をシンチレータ層5に接触させた場合と比較し、封止部8の幅は小さくなり得る。しかしながら、シンチレータ層5上及び光電変換基板2の汚染部(光電変換基板2のうちシンチレータ層5の近傍の部分)では、熱可塑性樹脂とのとの密着力はもともと小さく、密着安定性に寄与していないと考えられ、封止部8の実質的な密着力低下は実質的にない。
以上のように、シンチレータ層5を囲うように枠状に形成される熱可塑性樹脂からなる封止部8を、シンチレータ層5から一定距離離れた位置に加熱塗布形成する事で、封止部8の高さT及び幅Wを均一にすることができ、狭額縁のX線検出器1であっても、安定した防湿カバー7の密着力の確保と、防湿カバー7及び封止部8の位置精度向上とを実現し、高い防湿性能を持ったX線検出器1用のX線検出モジュール10を得ることができる。
光反射層6は、シンチレータ層5の側面5aの一部を覆っている。但し、光反射層6は、シンチレータ層5の側面5aの全体を覆っていたり、シンチレータ層5の側面5aを全く覆っていなかったり、してもよい。なお、光反射層6は、光電変換基板2の上面に接触していない方が望ましい。光電変換基板2の上面に光反射層6が存在することで、封止部8を形成するための材料が光反射層6によってはじかれ、封止部8を形成するための材料の濡れ拡がり量が不均一となり得るためである。
上記のように、封止部8はシンチレータ層5に接触していない。封止部8がシンチレータ層5に接触している場合と比較して、封止部8の内部を透過してシンチレータ層5に到達し得る水分の量を抑制することができる。
封止部8の外面8aの形状が外側に突出する曲面となっていれば、防湿カバー7の周縁近傍を封止部8の外面8aに倣わせ易くなる。そのため、防湿カバー7を封止部8に密着させるのが容易となる。また、防湿カバー7をなだらかに変形させることができるので、防湿カバー7の厚みを薄くしても防湿カバー7に亀裂等の不良の発生を抑制することができる。
防湿カバー7を封止部8に密着させた際に、防湿カバー7の周端面7aが光電変換基板2の近傍に位置したり、光電変換基板2と接触したり、した方が好ましい。この様にすれば、大気に含まれている水分等の、封止部8の内部への侵入を効果的に抑制することができる。
封止部8の高さTは、特に限定されるものではない。封止部8の頂点は、シンチレータ層5の上面と同一平面上に位置してもよい。又は、封止部8は、シンチレータ層5の上面と同一平面を越えて突出してもよく、シンチレータ層5の上面と同一平面の手前まで突出してもよい。
X線検出器1は、上記のように構成されている。
X線検出器1は、上記のように構成されている。
上記のように構成された一実施形態に係るX線検出器1によれば、X線検出モジュール10は、光電変換基板2と、シンチレータ層5と、封止部8と、防湿カバー7と、を備えている。封止部8は、シンチレータ層5から一定距離、離れて位置している。光電変換基板2のうち清浄度が保たれている表面に、塗布した材料で封止部8を形成している。封止部8を形成するための材料の濡れ拡がり量を全周にわたって一定にすることができる。これにより、狭額縁化が可能なX線検出モジュール10及びX線検出モジュール10を備えたX線検出器1を得ることができる。そして、製造歩留まりの高いX線検出モジュール10及びX線検出モジュール10を備えたX線検出器1を得ることができる。
また、封止部8の形状を容易に制御することができ、防湿カバー7の封止部8への十分な密着力を確保することができ、防湿カバー7及び封止部8の位置精度の向上を図ることができ、高い防湿性能を持つことのできるX線検出モジュール10を得ることができる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。図7は、上記実施形態の変形例に係るX線検出モジュール10を示す断面図である。
図7に示しように、シンチレータ層5と封止部8との間において、防湿カバー7は撓んでもよい。例えば、光電変換基板2、シンチレータ層5、封止部8、及び防湿カバー7で囲まれた空間が減圧空間である場合、防湿カバー7は撓んで形成され得る。なお、防湿カバー7の周縁近傍を撓ませることができれば、防湿カバー7の熱収縮量と、光電変換基板2の熱収縮量との差を吸収することができる。そのため、熱応力による光電変換基板2の変形を抑制することができる。
図7に示しように、シンチレータ層5と封止部8との間において、防湿カバー7は撓んでもよい。例えば、光電変換基板2、シンチレータ層5、封止部8、及び防湿カバー7で囲まれた空間が減圧空間である場合、防湿カバー7は撓んで形成され得る。なお、防湿カバー7の周縁近傍を撓ませることができれば、防湿カバー7の熱収縮量と、光電変換基板2の熱収縮量との差を吸収することができる。そのため、熱応力による光電変換基板2の変形を抑制することができる。
次に、比較例に係るX線検出器1について説明する。図8は、本比較例に係るX線検出モジュール10を示す平面図である。図9は、本比較例に係るX線検出モジュール10を線IX−IXに沿って示す断面図である。
図8及び図9に示すように、防湿カバー7は、アルミラミネートフィルム、又は無機膜とPET等の有機材料の多層構造からなる透明防湿フィルムである。封止部8は、シンチレータ層5の側面5aと光電変換基板2に接合されている。封止部8は、ディスペンサー等を用いて塗布形成される。
図8及び図9に示すように、防湿カバー7は、アルミラミネートフィルム、又は無機膜とPET等の有機材料の多層構造からなる透明防湿フィルムである。封止部8は、シンチレータ層5の側面5aと光電変換基板2に接合されている。封止部8は、ディスペンサー等を用いて塗布形成される。
しかし、塗布材料の濡れ拡がりは、シンチレータ層5の側面5a、光電変換基板2の汚染部、及び光電変換基板2の清浄部(光電変換基板2のうちシンチレータ層5から離れた部分)で互いに異なる。光電変換基板2の汚染部には、異物100が存在し得る。そのため、封止部8の形状制御が困難となり、封止部8の高さ及び幅が不均一になり易い。防湿カバー7からはみ出る封止部8の量の制御、及び封止部8に対する防湿カバー7の密着の安定性の確保が困難となり、防湿カバー7の信頼性の悪化、及びパッド2d1への封止部8のはみ出しを招いてしまう。
本発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記の新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記の実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上述した技術は、上記X線検出モジュール10及び上記X線検出器1への適用に限定されるものではなく、他のX線検出モジュール等の各種の放射線検出モジュール、及び、他のX線検出器等の各種の放射線検出器に適用することができる。放射線検出モジュールは、X線検出パネルPNLの替わりに、放射線を検出する放射線検出パネルを備えていればよい。
1…X線検出器、10…X線検出モジュール、PNL…X線検出パネル、
2…光電変換基板、2a…基板、2b…光電変換部、2b1…光電変換素子、
2b2…TFT、2c1…制御ライン、2c2…データライン、
2d1,2d2…パッド、5…シンチレータ層、5a…側面、6…光反射層、
7…防湿カバー、8…封止部、8a…外面、11…回路基板、12…支持基板、
DA…検出領域、NDA1…第1非検出領域、NDA2…第2非検出領域。
2…光電変換基板、2a…基板、2b…光電変換部、2b1…光電変換素子、
2b2…TFT、2c1…制御ライン、2c2…データライン、
2d1,2d2…パッド、5…シンチレータ層、5a…側面、6…光反射層、
7…防湿カバー、8…封止部、8a…外面、11…回路基板、12…支持基板、
DA…検出領域、NDA1…第1非検出領域、NDA2…第2非検出領域。
Claims (6)
- 光電変換基板と、
前記光電変換基板の上に設けられたシンチレータ層と、
熱可塑性樹脂を含む材料で形成され、前記シンチレータ層の周囲に設けられ、前記光電変換基板に接合された枠状の封止部と、
前記シンチレータ層を覆い、前記封止部の外面に接合された防湿カバーと、を備え、
前記封止部は、前記シンチレータ層から離れて位置している、
放射線検出モジュール。 - 前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも何れかである、
請求項1に記載の放射線検出モジュール。 - 前記防湿カバーは、金属層を含むシート、無機絶縁層を含むシート、樹脂層と金属層とが積層された積層シート、及び樹脂層と無機絶縁層とが積層された積層シートの何れかである、
請求項1に記載の放射線検出モジュール。 - 前記封止部の高さ及び幅は、それぞれ均一である、
請求項1に記載の放射線検出モジュール。 - 前記光電変換基板は、複数のパッドを有し、
前記封止部は、前記複数のパッドから離れて前記シンチレータ層と前記複数のパッドとの間に位置している、
請求項1に記載の放射線検出モジュール。 - 請求項1乃至5の何れか1項に記載の放射線検出モジュールと、
前記放射線検出モジュールに電気的に接続された回路基板と、を備える、
放射線検出器。
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