JP2023032732A - シンチレータパネル及び放射線検出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 シンチレータ層への透湿を抑制することが可能なシンチレータパネル及び放射線検出器を提供する。【解決手段】 シンチレータパネル3は、炭素繊維強化プラスチックで形成された基板8と、シンチレータ層6と、前記基板と前記シンチレータ層との間に設けられた光反射層7と、防湿体9と、接合部13と、を備える。防湿体9は、それぞれ光透過性を持つ樹脂層9a及び無機層9bを有する第1積層体で形成され、シンチレータ層6の厚みより小さい厚みを有する。【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、シンチレータパネル及び放射線検出器に関する。
従来、医療用のデジタル放射線検出器、及び非破壊検査用等の工業用のデジタル放射線検出器に、感光性のX線フィルムが用いられてきた。昨今、利便性及び撮影結果の保存性の観点から放射線検査のデジタル化が普及してきており、放射線検査に、コンピューテッド・ラジオグラフィ(CR:Computed Radiography)又は平面検出器(FPD:Flat Panel Detector)が用いられている。
上記のような放射線画像を検出する検出器では、シンチレータパネルのシンチレータ層を用いて、入射X線を可視光に変換する方式が主流である。
上記のような放射線画像を検出する検出器では、シンチレータパネルのシンチレータ層を用いて、入射X線を可視光に変換する方式が主流である。
本実施形態は、シンチレータ層への透湿を抑制することが可能なシンチレータパネル及び放射線検出器を提供する。
一実施形態に係るシンチレータパネルは、
第1領域と、前記第1領域を囲む枠状の第2領域と、に位置し、炭素繊維強化プラスチックで形成された基板と、前記基板に隙間を設けて対向し、前記第1領域に位置し、入射される放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、前記基板と前記シンチレータ層との間に設けられ、前記第1領域及び前記第2領域に位置し、前記シンチレータ層で変換された蛍光を反射する光反射層と、それぞれ光透過性を持つ第1樹脂層及び無機層を有する第1積層体で形成され、前記シンチレータ層の厚みより小さい厚みを有し、前記シンチレータ層を覆った防湿体と、前記第2領域に位置し、前記防湿体と前記光反射層とを接合した接合部と、を備える。
第1領域と、前記第1領域を囲む枠状の第2領域と、に位置し、炭素繊維強化プラスチックで形成された基板と、前記基板に隙間を設けて対向し、前記第1領域に位置し、入射される放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、前記基板と前記シンチレータ層との間に設けられ、前記第1領域及び前記第2領域に位置し、前記シンチレータ層で変換された蛍光を反射する光反射層と、それぞれ光透過性を持つ第1樹脂層及び無機層を有する第1積層体で形成され、前記シンチレータ層の厚みより小さい厚みを有し、前記シンチレータ層を覆った防湿体と、前記第2領域に位置し、前記防湿体と前記光反射層とを接合した接合部と、を備える。
また、一実施形態に係る放射線検出器は、
シンチレータパネルと、光電変換基板と、回路基板と、を備える。前記シンチレータパネルは、第1領域と、前記第1領域を囲む枠状の第2領域と、に位置し、炭素繊維強化プラスチックで形成された基板と、前記基板に隙間を設けて対向し、前記第1領域に位置し、入射される放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、前記基板と前記シンチレータ層との間に設けられ、前記第1領域及び前記第2領域に位置し、前記シンチレータ層で変換された蛍光を反射する光反射層と、それぞれ光透過性を持つ第1樹脂層及び無機層を有する第1積層体で形成され、前記シンチレータ層の厚みより小さい厚みを有し、前記シンチレータ層を覆った防湿体と、前記第2領域に位置し、前記防湿体と前記光反射層とを接合した接合部と、を備える。前記光電変換基板には、前記シンチレータ層で変換された蛍光が入射される。前記回路基板は、前記光電変換基板と電気的に接続されている。
シンチレータパネルと、光電変換基板と、回路基板と、を備える。前記シンチレータパネルは、第1領域と、前記第1領域を囲む枠状の第2領域と、に位置し、炭素繊維強化プラスチックで形成された基板と、前記基板に隙間を設けて対向し、前記第1領域に位置し、入射される放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、前記基板と前記シンチレータ層との間に設けられ、前記第1領域及び前記第2領域に位置し、前記シンチレータ層で変換された蛍光を反射する光反射層と、それぞれ光透過性を持つ第1樹脂層及び無機層を有する第1積層体で形成され、前記シンチレータ層の厚みより小さい厚みを有し、前記シンチレータ層を覆った防湿体と、前記第2領域に位置し、前記防湿体と前記光反射層とを接合した接合部と、を備える。前記光電変換基板には、前記シンチレータ層で変換された蛍光が入射される。前記回路基板は、前記光電変換基板と電気的に接続されている。
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
始めに、本発明の実施形態の基本構想について説明する。
放射線検出器としてのX線検出器は、光電変換基板、シンチレータパネル等を備えている。シンチレータパネルはシンチレータ層を備えている。このシンチレータ層の材料として、一般的に、ナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)、酸硫化ガドリニウム(Gd2O2S)等が用いられている。ナトリウム賦活ヨウ化セシウム又はタリウム賦活ヨウ化セシウムでシンチレータ層を形成する場合、真空蒸着法により複数の柱状結晶が形成される。シンチレータ層は柱状結晶を持つため、X線検出器の解像度特性を向上させることができる。
放射線検出器としてのX線検出器は、光電変換基板、シンチレータパネル等を備えている。シンチレータパネルはシンチレータ層を備えている。このシンチレータ層の材料として、一般的に、ナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)、酸硫化ガドリニウム(Gd2O2S)等が用いられている。ナトリウム賦活ヨウ化セシウム又はタリウム賦活ヨウ化セシウムでシンチレータ層を形成する場合、真空蒸着法により複数の柱状結晶が形成される。シンチレータ層は柱状結晶を持つため、X線検出器の解像度特性を向上させることができる。
また、X線源からX線検出器に、被写体を透過する等して入射されたX線は、シンチレータパネルにおいて可視光に変換される。X線フォトンを使って説明すると、フォトンはシンチレータ層内の発光点で可視光に変換される。光は、発光点から入射フォトンのベクトルとは無関係に八方に発散する。ここで、シンチレータ層は、それぞれ3~10μmの太さを持つ複数の柱状結晶で構成されている。柱状結晶間の隙間とヨウ化セシウム(CsI)との屈折率の差により、発光フォトンのうちある割合の発光フォトンは、柱状結晶の内部を通って、シンチレータパネルの表面に出てくる。なお、CsIの屈折率は1.8である。上記入射フォトンは、上記発光フォトンの一部である。
隣の柱状結晶以遠に発散した光が、多くの柱状結晶間の光学的界面を横切ってシンチレータ層の面方向に発散する確率は低い。光は、ある界面に差し掛かるとやはりその柱状結晶内に閉じ込められ、シンチレータパネルの表面に出てくる。以上のような作用により、柱状結晶の構造を持つシンチレータ層は、それほど発光を滲ませることがなく、発光を次のデバイスに伝達するため、比較的解像度特性に優れたX線検出器が得られる。なお、平面検出器において、上記デバイスは光電変換基板であり、光電変換基板は、受光面、受光面に対向する領域に並べられた複数の光電変換素子(例えば、複数のフォトダイオード)等を有している。
この柱状結晶間の隙間部分の比率は、シンチレータ層の成膜条件で変化させることが出来る。成膜条件には、基板温度、蒸着を行うチャンバ内の圧力、蒸着速度等があり、これらのパラメータを変化させることにより、充填率(シンチレータ層全体に対する柱状結晶の部分の割合)を実質的に70%から100%までの範囲内で調整することができる。タリウム賦活ヨウ化セシウムを用いたシンチレータパネルは、基本的に、放射線透過性を持つ基板と、基板の上に形成された光反射層と、光反射層の上に成膜されタリウム賦活ヨウ化セシウムで形成されたシンチレータ層と、を有している。
光反射層は、シンチレータ層で発生した蛍光のうち光電変換素子側とは反対側に向かう蛍光を反射し、光電変換素子側に到達する蛍光を増大させるものである。光反射層の例としては、アルミニウム等の金属表面を持ちシンチレータ層に密着した光反射板が挙げられる。その光反射板にて蛍光を反射させる方式を採用した平面検出器は実用化されている。
また、光反射層に、酸化チタン(TiO2)等の光散乱性物質とバインダ樹脂とから成る光散乱反射性の反射膜シートを用いる技術等も知られている。その反射膜シートは、TiO2が分散された樹脂ペーストを塗布して形成されている。上記反射膜シートを使用した平面検出器は、優れた感度特性を得やすいが、樹脂ペーストの塗布むらにより、平面検出器に感度むらが発生する問題がある。
シンチレータ層を湿気から保護するための防湿体は、化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を用いポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)樹脂等の有機材料で形成された有機膜、単一層であり金属で形成された金属層、又は少なくとも金属(例えば、アルミニウム)で形成されたフィルムで形成されている。
例えば、基板、光反射層、及びシンチレータ層の上にポリパラキシリレン樹脂を蒸着させて防湿体を形成する場合がある。防湿体は、基板、光反射層、及びシンチレータ層を包み込むことができる。その場合、防湿体(ポリパラキシリレン樹脂)はシンチレータ層の柱状結晶間の隙間にある程度侵入する。シンチレータ層のうちポリパラキシリレン樹脂が蒸着する蒸着面は、柱状結晶の構造上、凹凸面となる。CVD法の利点は、ポリパラキシリレン樹脂を上記凹凸面に沿ってほぼ均一な膜厚で形成できることである。
シンチレータ層を使った平面検出器は、例えば、1次元又は2次元状に配列された複数の受光素子を有するイメージセンサと、そのイメージセンサに貼り合わせられたシンチレータパネルと、を備えている。上記イメージセンサとしては、例えば、複数の光電変換素子等を有する光電変換基板である。放射線がシンチレータパネルの基板側から上記平面検出器に入射すると、放射線はシンチレータパネルのシンチレータ層で光に変換され、変換された光はイメージセンサで検出される。
上記の平面検出器の解像度特性及び感度特性は、シンチレータパネルの特性の影響を受けることとなる。つまり、シンチレータパネルのうち、シンチレータ層の柱状結晶の構造と、光反射層の機能とが、平面検出器の上記特性を左右している。
ところで、CVD法によりポリパラキシリレン樹脂で防湿体を形成した場合、防湿体の剥がれが懸念として挙げられる。
例えば、光反射層が金属で形成されている場合、光反射層の表面は酸化等による悪影響を受け、濡れ性が悪くなり、光反射層に対する防湿体の密着性が良くないと言う問題が生じる。
冷熱サイクル試験や熱衝撃試験により防湿体が光反射層から剥がれると、シンチレータパネルの防湿性能が低下してしまう。詳しくは、シンチレータパネルの内部にアウトガスが侵入し、シンチレータ層の性能の劣化を招いてしまう。
例えば、光反射層が金属で形成されている場合、光反射層の表面は酸化等による悪影響を受け、濡れ性が悪くなり、光反射層に対する防湿体の密着性が良くないと言う問題が生じる。
冷熱サイクル試験や熱衝撃試験により防湿体が光反射層から剥がれると、シンチレータパネルの防湿性能が低下してしまう。詳しくは、シンチレータパネルの内部にアウトガスが侵入し、シンチレータ層の性能の劣化を招いてしまう。
そこで、シンチレータパネルの防湿性能を確保するための対策として、光反射層の表面改質を行い、光反射層に対する防湿体の密着性を向上させることが考えられる。
しかしながら、シンチレータ層を形成する工程の後の製造工程に、光反射層の表面改質を行う工程を追加する必要がある。上記工程が追加されることで、製造時間の長期化を招き、必然的に製造コストが上がってしまう。ひいては、製品価格の高騰を招いてしまう。
しかしながら、シンチレータ層を形成する工程の後の製造工程に、光反射層の表面改質を行う工程を追加する必要がある。上記工程が追加されることで、製造時間の長期化を招き、必然的に製造コストが上がってしまう。ひいては、製品価格の高騰を招いてしまう。
上述したことから、ポリパラキシリレン樹脂の替わりに金属フィルムで防湿体を形成することが考えられる。
しかしながら、防湿体をアルミニウム薄膜等の金属フィルムで形成した場合、シンチレータ層で変換された可視光が透過する部分に注目すると、防湿体の金属層は透明ではないため、防湿体が上記可視光を透過させずに反射させてしまい、光電変換基板に可視光が届かない。
しかしながら、防湿体をアルミニウム薄膜等の金属フィルムで形成した場合、シンチレータ層で変換された可視光が透過する部分に注目すると、防湿体の金属層は透明ではないため、防湿体が上記可視光を透過させずに反射させてしまい、光電変換基板に可視光が届かない。
そこで、本発明の実施形態においては、かかる問題を改善するものであり、シンチレータ層への透湿を抑制することが可能なシンチレータパネル及び放射線検出器を得ることができるものである。防湿体が剥がれ難くなるため、本発明の実施形態は、防湿の信頼性に優れたシンチレータパネルを得ることができるものである。また、光反射層の表面改質が不要となるため、本発明の実施形態は、表面改質に関する製造工程の制約を受けないものである。さらに、放射線がシンチレータ層に入射する途中の領域に防湿体を存在させる必要はない。言い換えると、基板、光反射層、及びシンチレータ層を防湿体で包み込む必要がないため、シンチレータ層に入射される放射線が防湿体によって不所望に吸収される事態を回避できるものである。次に、上記問題を改善するための手段及び手法について説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るX線検出器について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るX線検出器1の支持基板12、光電変換基板2、シンチレータパネル3、信号処理部としての回路基板11、及び複数のFPC(Flexible Printed Circuit)2e1,2e2を示す分解斜視図であり、画像伝送部4を併せて示す図である。なお、図1には、X線検出器1の全ての部材を示していない。X線検出器1は、X線画像検出器であり、光電変換基板2及びシンチレータパネル3を利用するX線平面検出器である。
まず、第1の実施形態に係るX線検出器について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るX線検出器1の支持基板12、光電変換基板2、シンチレータパネル3、信号処理部としての回路基板11、及び複数のFPC(Flexible Printed Circuit)2e1,2e2を示す分解斜視図であり、画像伝送部4を併せて示す図である。なお、図1には、X線検出器1の全ての部材を示していない。X線検出器1は、X線画像検出器であり、光電変換基板2及びシンチレータパネル3を利用するX線平面検出器である。
図1に示すように、X線検出器1は、光電変換基板2、シンチレータパネル3、支持基板12、回路基板11、複数のFPC2e1,2e2等を備えている。支持基板12は、回路基板11と光電変換基板2との間に位置している。光電変換基板2は、支持基板12とシンチレータパネル3との間に位置している。
光電変換基板2及びシンチレータパネル3を含む積層体は、薄い部材を積層して構成されているため、軽く機械的強度の低いものである。このため、光電変換基板2は、粘着シートを介して支持基板12の平坦な一面に固定されている。支持基板12は、例えばアルミニウム合金で板状に形成され、上記積層体を安定して支持するために必要な強度を有している。これにより、積層体に外部から振動や衝撃が加わった際における積層体の破損を抑制することができる。
支持基板12及び回路基板11は、電気的絶縁距離を保持して配置されている。回路基板11にはFPC2e1,2e2に対応するコネクタが実装され、FPC2e1,2e2はコネクタを介して回路基板11に電気的に接続されている。FPC2e1,2e2の各々と光電変換基板2との接続には、ACF(異方性導電フィルム)を利用した熱圧着法が用いられる。この方法により、光電変換基板2の複数の微細なパッドと、FPC2e1,2e2の複数の微細なパッドとの電気的接続が確保され、FPC2e1,2e2が光電変換基板2に物理的に固定される。
上記のように、回路基板11は、上記コネクタ、FPC2e1,2e2等を介して光電変換基板2に電気的に接続されている。回路基板11は、光電変換基板2を電気的に駆動し、かつ、光電変換基板2からの出力信号を電気的に処理するものである。
シンチレータパネル3は、シンチレータ層6等を備えている。入射X線はシンチレータ層6の内部にて吸収され、シンチレータ層6にて入射X線の強度に比例した光強度(輝度レベル)の蛍光に変換される。
光電変換基板2は、基板2a、複数の光電変換部2b、複数の制御ライン(又はゲートライン)2c1、複数のデータライン(又はシグナルライン)2c2等を有している。なお、光電変換部2b、制御ライン2c1、及びデータライン2c2の数、配置等は図1の例に限定されるものではない。
複数の制御ライン2c1は、行方向Xに延在し、行方向Xに直交する列方向Yに所定の間隔をあけて並べられている。複数のデータライン2c2は、列方向Yに延在し、複数の制御ライン2c1と交差し、行方向Xに所定の間隔をあけて並べられている。なお、行方向X及び列方向Yは、それぞれ第1方向及び第2方向と称される場合がある。
光電変換部2bは、基板2aの一方の面側に複数設けられている。光電変換部2bは、制御ライン2c1とデータライン2c2とにより区画された四角形状の領域に設けられている。複数の光電変換部2bの各々は、画素として機能している。そのため、画素(光電変換部2b)は、四角形状(例えば、矩形状)の平面形状を持っている。複数の光電変換部2bは、行方向X及び列方向Yにマトリクス状に並べられている。上記のことから、光電変換基板2は、アレイ基板である。
各々の光電変換部2bは、光電変換素子2b1と、スイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)2b2と、を有している。TFT2b2は、対応する一の制御ライン2c1と、対応する一のデータライン2c2とに接続されている。光電変換素子2b1はTFT2b2に電気的に接続されている。シンチレータ層6の内部にて変換された蛍光は、隣接して設置されている光電変換基板2の表面に到達し、光電変換素子2b1に入射する。
制御ライン2c1は、FPC2e1を介して回路基板11に電気的に接続されている。回路基板11は、FPC2e1を介して複数の制御ライン2c1に制御信号S1を与える。データライン2c2は、FPC2e2を介して回路基板11に電気的に接続されている。光電変換素子2b1は、蛍光を電荷情報に変換する。光電変換素子2b1によって変換された画像データ信号S2(光電変換部2bに蓄積された電荷)は、TFT2b2、データライン2c2、及びFPC2e2を介して回路基板11に伝送される。
回路基板11は、図示しない複数の積分回路、複数の選択回路、及び複数のアナログ-デジタル変換器を有し、入力される画像データ信号S2を処理する。
X線検出器1は、画像伝送部4を備えている。画像伝送部4は、配線4aを介して回路基板11に接続されている。なお、画像伝送部4は、回路基板11に組込まれてもよい。画像伝送部4は、回路基板11の複数のアナログ-デジタル変換器によりデジタル信号に変換された画像データの信号に基づいて、X線画像を生成する。生成されたX線画像のデータは、画像伝送部4から外部の機器に向けて出力される。
X線検出器1は、画像伝送部4を備えている。画像伝送部4は、配線4aを介して回路基板11に接続されている。なお、画像伝送部4は、回路基板11に組込まれてもよい。画像伝送部4は、回路基板11の複数のアナログ-デジタル変換器によりデジタル信号に変換された画像データの信号に基づいて、X線画像を生成する。生成されたX線画像のデータは、画像伝送部4から外部の機器に向けて出力される。
図2は、図1に示したX線検出器1の一部を示す断面図であり、光電変換基板2、シンチレータパネル3等を示す図である。
図2に示すように、光電変換基板2に、シンチレータ層6で変換された蛍光が入射される。光電変換基板2は、基板2a、複数の光電変換部2b、複数の絶縁層20,24,25等を有している。
図2に示すように、光電変換基板2に、シンチレータ層6で変換された蛍光が入射される。光電変換基板2は、基板2a、複数の光電変換部2b、複数の絶縁層20,24,25等を有している。
基板2aは、板状の形状を有し、絶縁材料で形成されている。上記絶縁材料としては、無アルカリガラス等のガラスを挙げることができる。基板2aの平面形状は、例えば四角形である。基板2aの厚みは、例えば0.7mmである。絶縁層20は、基板2aの上に設けられている。複数の光電変換部2bは、基板2aとシンチレータパネル3との間に位置している。複数の光電変換部2bは絶縁層20の上に設けられ、複数の光電変換部2bは絶縁層24,25で覆われている。
基板2a及び絶縁層20,24,25は、第1領域A1と、第1領域A1を囲む枠状の第2領域A2とに位置している。複数の光電変換部2bは第1領域A1に位置している。そのため、第1領域A1は、複数の光電変換部2bが配置されている領域であり、入射される光を電気信号に変換可能な領域である。
シンチレータパネル3は、シンチレータ層6と、光反射層7と、基板8と、防湿体9と、接合部13と、緩和層5と、を備えている。
基板8は、第1領域A1及び第2領域A2に位置し、複数の炭素繊維を有する炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon-Fiber-Reinforced Plastics)で形成されている。CFRPは、高いX線透過率を有する材料である。基板8は、光電変換基板2と対向した第1面Saと、第1面Saの反対側の第2面Sbと、を有している。
基板8は、第1領域A1及び第2領域A2に位置し、複数の炭素繊維を有する炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon-Fiber-Reinforced Plastics)で形成されている。CFRPは、高いX線透過率を有する材料である。基板8は、光電変換基板2と対向した第1面Saと、第1面Saの反対側の第2面Sbと、を有している。
シンチレータ層6は、基板8に隙間を設けて対向している。シンチレータ層6は、少なくとも第1領域A1に位置している。本実施形態において、シンチレータ層6は、第1領域A1及び第2領域A2に位置している。シンチレータ層6は、入射されるX線(放射線)を蛍光に変換する機能を有している。
シンチレータ層6は、光電変換基板2と対向する側に上面6a及び側面6bを有している。上面6aは、平面視にて四角形の形状を有し、シンチレータ層6の厚みが実質的に均一である領域に形成されている。側面6bは、平面視にて四角枠状の形状を有し、シンチレータ層6の厚みが実質的に漸減している領域に形成されている。側面6bはテーパ面である。平面視にて、側面6bは、上面6aを囲んでいる。第1領域A1に、上面6aは位置しているが、側面6bは位置していない。
そのため、第1領域A1は、上面6aが位置している領域であり、入射されるX線(放射線)を光に同一条件で変換可能な領域である。
そのため、第1領域A1は、上面6aが位置している領域であり、入射されるX線(放射線)を光に同一条件で変換可能な領域である。
光反射層7は、基板8とシンチレータ層6との間に設けられている。光反射層7は、第1領域A1及び第2領域A2に位置している。光反射層7は、蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために設けられている。すなわち、光反射層7は、シンチレータ層6で変換された蛍光を反射する機能を有している。光反射層7は光電変換基板2側とは反対側に向かう光を反射するため、光が光電変換部2bに向かう量を向上できる。
防湿体9は、第1樹脂層としての樹脂層9a及び無機層9bを有する第1積層体としての積層体で形成されている。樹脂層9a及び無機層9bは、それぞれ光透過性を持っている。本実施形態において、防湿体9は透明である。防湿体9越しにシンチレータ層6の表面構造を目視にて確認することが可能である。そのため、防湿体9は、シンチレータ層6で発生した光を良好に透過させることができる。防湿体9は、シンチレータ層6を覆っている。無機層9bは、シンチレータ層6と樹脂層9aとの間に位置している。
接合部13は、第2領域A2に位置している。接合部13は、防湿体9と光反射層7とを接合している。接合部13は、防湿体9のうち少なくとも無機層9bに接着している。例えば、大気圧よりも減圧された環境において、防湿体9と光反射層7とを接合部13にて接合すれば、防湿体9をシンチレータ層6の表面(上面6a等)に接触させることができる。光反射層7、防湿体9、及び接合部13で囲まれ、かつ、シンチレータ層6が位置している空間は、大気圧より減圧された空間である。
本実施形態において、樹脂層9a及び無機層9bは、平面視にて同一のサイズを有している。樹脂層9aの輪郭及び無機層9bの輪郭は、互いに重なっている。但し、樹脂層9a及び無機層9bは、平面視にて互いに異なるサイズを有してもよい。その場合、樹脂層9aの輪郭及び無機層9bの輪郭は、互いに重なっていない。
接合部13は、複数種類の接着剤のうち少なくとも1種類以上の接着剤を含んでいる。接着剤としては、二液混合型の接着剤、紫外線硬化型の接着剤、紫外線及び熱硬化併用型の接着剤、ホットメルト型の接着剤、粘着型の接着剤を挙げることができる。そのため、接合部13は、1種類の接着剤を含んでもよく、2種類以上の接着剤を含んでもよい。
防湿体9と光反射層7との間に接合部13が介在しているため、防湿体9と光反射層7とを容易に接合することができ、防湿体9と光反射層7とが接合された状態を良好に保持することができる。接合部13の剥離強度及びせん断強度は、それぞれ1N/mm以上である方が望ましい。これにより、防湿体9と光反射層7とが接合された状態を良好に保持することができ、例えば、接合部13からの防湿体9の剥がれを抑制することができる。なお、上記剥離強度は、日本工業規格(JIS Z0237:2009)の規定に準じて測定した値であり、上記せん断強度は日本工業規格(JIS K6850:1999)の規定に準じて測定した値である。
ここで、接合部13の信頼性について評価する。防湿体9がアルミニウムで形成されハット構造を有し、接合部13が紫外線及び熱硬化併用型の接着剤で形成されているシンチレータパネルに対して、0.6N/mmにて、温度サイクル試験を実施した。なお、ハット構造を有する防湿体9は、接合部13に接着する前に予めハット形状に成形されている。温度サイクル試験は、次の条件の下で行った。
温度サイクル試験:シンチレータパネルが置かれている環境の温度を、-20℃と+60℃との間で変化させ、サイクル数を30回としてシンチレータパネルの品質を評価する試験である。一のサイクルの期間は、シンチレータパネルが-20℃の環境にさらされる第1期間と、第1期間に続きシンチレータパネルが+60℃の環境にさらされる第2期間と、を含んでいる。第1期間及び第2期間は、それぞれ60分であり、第1期間から第2期間に移行する期間及び第2期間から第1期間に移行する期間は、それぞれ30分である。
温度サイクル試験を行った結果、シンチレータパネルの品質に問題が無いことを確認することができた。詳しくは、防湿体9が接合部13との接合面で破断せず、接合部13に対して防湿体9が接合された状態を保持することができた。
なお、防湿体9が、アルミニウムからなる第1層と、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリエチレン(PE:polyethylene)等の樹脂からなる第2層とを含む積層構造を有し、フィルム状に形成され、接合部13がホットメルト型の接着剤で形成されているシンチレータパネルに対しても、最大2N/mmで同様の結果が得られた。
上記のことから、接合部13の剥離強度及びせん断強度が、それぞれ0.6N/mm以上であれば、接合部13により防湿体9と光反射層7とが接合された状態を良好に保持することができる。
なお、防湿体9が、アルミニウムからなる第1層と、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリエチレン(PE:polyethylene)等の樹脂からなる第2層とを含む積層構造を有し、フィルム状に形成され、接合部13がホットメルト型の接着剤で形成されているシンチレータパネルに対しても、最大2N/mmで同様の結果が得られた。
上記のことから、接合部13の剥離強度及びせん断強度が、それぞれ0.6N/mm以上であれば、接合部13により防湿体9と光反射層7とが接合された状態を良好に保持することができる。
接合部13が接着する光反射層7に関して、表面改質を行う工程を追加する必要はない。シンチレータパネル3の製造時間の長期化を回避することができるため、製造コストの高騰及び製品価格の高騰を回避することができる。
基板8は、緩和層5と光反射層7とで挟まれている。緩和層5は基板8の一面に物理的に固定され、光反射層7は基板8の他の一面に物理的に固定されている。緩和層5は、シンチレータ層6と光反射層7との引張応力を緩和するために設けられている。例えば、緩和層5及び光反射層7は、平面視にて同一のサイズを有し、互いに完全に重なるように位置してもよい。なお、シンチレータパネル3は、必要に応じて緩和層5を備えていればよい。
接着層ADは、光電変換基板2と、シンチレータパネル3と、の間に位置している。詳しくは、接着層ADは、光電変換基板2の絶縁層25と、シンチレータパネル3の樹脂層9aと、にそれぞれ接着している。光電変換基板2及びシンチレータパネル3は、接着層ADにより貼り合わせられている。
図3は、シンチレータパネル3を示す平面図である。図3において、シンチレータ層6には右上がりの斜線を付し、接合部13にはドットパターンを付している。なお、図2に示したように、基板8、光反射層7、及び防湿体9は平面視にて同一のサイズを有し、光反射層7の輪郭及び防湿体9の輪郭はそれぞれ基板8の輪郭に重なっている。但し、図3では、便宜上、防湿体9の輪郭を基板8及び光反射層7の輪郭からずらして示している。
図3に示すように、第1領域A1は四角形の領域であり、第2領域A2は枠状の領域である。シンチレータ層6は、少なくとも第1領域A1に位置している。接合部13は、第2領域A2に位置し、枠状の形状を有し、シンチレータ層6の周囲を連続的に延出している。
光反射層7は、第1領域A1及び第2領域A2に位置している。第2領域A2において、光反射層7は、少なくとも接合部13が存在する領域に位置していればよい。接合部13は、基板8に接着することなく、光反射層7に接着する。上記のことから、光反射層7の輪郭の位置は接合部13の位置に依存するため、光反射層7の輪郭は基板8の輪郭からずれてもよい。
防湿体9は、第1領域A1及び第2領域A2に位置している。防湿体9は、平面図において、シンチレータ層6を完全に覆っている。防湿体9は、接合部13に接着されている。なお、上述したように、防湿体9の無機層9bが接合部13に接着していればよい。上記のことから、防湿体9の輪郭の位置は接合部13の位置に依存するため、防湿体9の輪郭は基板8の輪郭及び光反射層7の輪郭の少なくとも一方からずれてもよい。
図4は、図2に示した光電変換基板2、シンチレータパネル3、及び接着層ADを示す拡大断面図である。
図4に示すように、光電変換基板2は、基板2a、複数の光電変換部2b、絶縁層21,22,23,24,25を有している。なお、絶縁層21,22,23は、図2に示した上記絶縁層20を形成している。各々の光電変換部2bは、光電変換素子2b1と、TFT2b2と、を備えている。
図4に示すように、光電変換基板2は、基板2a、複数の光電変換部2b、絶縁層21,22,23,24,25を有している。なお、絶縁層21,22,23は、図2に示した上記絶縁層20を形成している。各々の光電変換部2bは、光電変換素子2b1と、TFT2b2と、を備えている。
TFT2b2は、ゲート電極GE、半導体層SC、ソース電極SE、及びドレイン電極DEを有している。光電変換素子2b1は、フォトダイオードで構成されている。なお、光電変換素子2b1は、光を電荷に変換するように構成されていればよい。
絶縁層21は、基板2aの上に設けられている。絶縁層21の上に、ゲート電極GEが形成されている。ゲート電極GEは、上記制御ライン2c1に電気的に接続されている。絶縁層22は、絶縁層21及びゲート電極GEの上に設けられている。半導体層SCは、絶縁層22の上に設けられ、ゲート電極GEに対向している。半導体層SCは、非晶質半導体としての非晶質シリコン、多結晶半導体としての多結晶シリコン等の半導体材料で形成されている。
絶縁層22及び半導体層SCの上に、ソース電極SE及びドレイン電極DEが設けられている。ゲート電極GE、ソース電極SE、ドレイン電極DE、上記制御ライン2c1、及び上記データライン2c2は、アルミニウム、クロム等の低抵抗金属を用いて形成されている。
ソース電極SEは、半導体層SCのソース領域に電気的に接続されている。また、ソース電極SEは、上記データライン2c2に電気的に接続されている。ドレイン電極DEは、半導体層SCのドレイン領域に電気的に接続されている。
絶縁層23は、絶縁層22、半導体層SC、ソース電極SE、及びドレイン電極DEの上に設けられている。光電変換素子2b1は、ドレイン電極DEに電気的に接続されている。絶縁層24は、絶縁層23及び光電変換素子2b1の上に設けられている。バイアス線BLは、絶縁層24の上に設けられ、絶縁層24に形成されたコンタクトホールを通り光電変換素子2b1に接続されている。絶縁層25は、絶縁層24及びバイアス線BLの上に設けられている。
絶縁層21,22,23,24,25は、無機絶縁材料、有機絶縁材料等の絶縁材料で形成されている。無機絶縁材料としては、酸化物絶縁材料、窒化物絶縁材料、及び酸窒化物絶縁材料を挙げることができる。有機絶縁材料としては樹脂を挙げることができる。
なお、光電変換素子2b1は、シンチレータ層6から入射される光を電荷に変換する。変換された電荷は光電変換素子2b1に蓄積される。TFT2b2は、光電変換素子2b1への蓄電及び光電変換素子2b1からの放電を切替えることができる。なお、光電変換素子2b1の自己容量が不十分である場合、光電変換部2bはコンデンサ(キャパシタ)をさらに有し、光電変換素子2b1で変換された電荷をコンデンサに蓄積してもよい。
シンチレータパネル3は、基板8、光反射層7、シンチレータ層6、防湿体9、緩和層5等を備えている。
基板8を形成する際、炭素繊維を一方向に並べた繊維層を樹脂に含浸させた中間素材を複数積層し、プリプレグ層を形成する。プリプレグ層の状態は、いわゆるBステージの状態であり、樹脂の状態は半硬化状態である。その後、プリプレグ層に対して加圧処理及び加熱処理を施し、樹脂を硬化(本硬化)させる。硬化したプリプレグ層の状態は、いわゆるCステージの状態であり、硬化したプリプレグ層により、板状の基板8が形成される。
基板8を形成する際、炭素繊維を一方向に並べた繊維層を樹脂に含浸させた中間素材を複数積層し、プリプレグ層を形成する。プリプレグ層の状態は、いわゆるBステージの状態であり、樹脂の状態は半硬化状態である。その後、プリプレグ層に対して加圧処理及び加熱処理を施し、樹脂を硬化(本硬化)させる。硬化したプリプレグ層の状態は、いわゆるCステージの状態であり、硬化したプリプレグ層により、板状の基板8が形成される。
光反射層7は、第2積層体としての積層体で形成されている。光反射層7は、第1金属層としての金属層7aと、第2樹脂層としての樹脂層7bと、を有している。金属層7aは、樹脂層7bとシンチレータ層6との間に位置している。樹脂層7bが金属層7aとシンチレータ層6との間に位置している場合と比較して光反射層7の光反射効率を向上させることができる。
金属層7aは、アルミニウム、銀等の金属で形成されている。金属層7aは、例えば金属箔である。樹脂層7bは、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂で形成されている。例えば、金属層7aの厚みT7aは20乃至50μmであり、樹脂層7bの厚みT7bは50乃至190μmである。
シンチレータ層6は、光反射層7を介して基板8の一方の面に設けられている。シンチレータ層6は、入射したX線を可視光すなわち蛍光に変換する。シンチレータ層6は、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)で形成されている。真空蒸着法を用いてシンチレータ層6を形成すれば、複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ層6が得られる。シンチレータ層6の厚みT6は、実質的に200乃至1000μmである。
シンチレータ層6を形成する材料は、CsI:Tlに限定されるものではない。シンチレータ層6は、タリウム賦活ヨウ化ナトリウム(NaI:Tl)、ナトリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Na)、ユーロピウム賦活臭化セシウム(CsBr:Eu)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、酸硫化ガドリニウム(Gd2O2S)等で形成されてもよい。
なお、真空蒸着法を用いてシンチレータ層6を形成する際には、開口を有するマスクが用いられる。この場合、光反射層7上の開口に対峙する領域にシンチレータ層6が形成される。また、蒸着によるシンチレータ材は、マスクの表面にも堆積する。そして、シンチレータ材は、マスクの開口の近傍にも堆積し、開口の内部に徐々に張り出すように結晶が成長する。マスクから開口の内部に結晶が張り出すと、開口の近傍において、光反射層7へのシンチレータ材の蒸着が抑制される。そのため、図2に示したように、シンチレータ層6の周縁近傍は、外側になるに従い厚みが漸減している。
緩和層5は、光反射層7と同一材料で形成され、光反射層7と同一の構成を有している。緩和層5は、第3積層体としての積層体で形成されている。緩和層5は、第2金属層としての金属層5aと、第4樹脂層としての樹脂層5bと、を有している。例えば、樹脂層5bは、基板8と金属層5aとの間に位置している。
金属層5aは金属層7aを形成する材料と同一の材料で形成され、樹脂層5bは樹脂層7bを形成する材料と同一の材料で形成されている。金属層5aは厚みT5aを有し、樹脂層5bは厚みT5bを有している。例えば、厚みT5aは厚みT7aと同一であり、厚みT5bは厚みT7bと同一である。
防湿体9は、空気中に含まれる水蒸気により、シンチレータ層6の特性が劣化するのを抑制するために設けられている。防湿体9は、シンチレータ層6の表面形状が確認できるほどの透光性を有し、透湿係数の小さい材料で形成可能である。防湿体9は、樹脂層9a及び無機層9bを有し、シート状に形成されている。
樹脂層9aは、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定されるものではない。樹脂層9aは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等の樹脂で形成されている。
無機層9bは、酸化シリコン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の酸化物、窒化シリコン等の窒化物、酸窒化シリコン等の酸窒化物等で形成されている。無機層9bに使用する無機材料を例示したが、無機層9bに使用する無機材料は、上述した例に限定されるものではない。無機層9bの形成は、例えば、スパッタリング法等の物理的気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、又は化学的気相成長法を用いて行うことができる。なお、防湿体9の製造方法は、上記の例に限定されるものではなく、種々変形可能である。
シンチレータパネル3に防湿体9を設ける場合、シート状の防湿体9を予め用意し、真空雰囲気中にて防湿体9と光反射層7とを上記接合部13により貼り合わせる工程のみ行えばよい。
光反射層7の表面改質を行う工程を省くことができ、シンチレータ層6の上に蒸着法にて、直接、防湿体9を形成しなくともよい。製造時間の短縮を図ることができ、製造コストの低減を図ることができる。
光反射層7の表面改質を行う工程を省くことができ、シンチレータ層6の上に蒸着法にて、直接、防湿体9を形成しなくともよい。製造時間の短縮を図ることができ、製造コストの低減を図ることができる。
本実施形態と異なり、防湿体9が金属フィルムで形成されている場合、金属部分が軟X線を吸収し、シンチレータ層6の感度の低下を招いてしまう。そこで、本実施形態において、防湿体9は金属フィルムで形成されていない。本実施形態の防湿体9はシンチレータ層6の表面形状が確認できるほどの透光性を有しているため、金属部分が軟X線を吸収し、シンチレータ層6の感度が低下する事態を回避することができる。
防湿体9は、厚みT9を有している。防湿体9の厚みT9は、シンチレータ層6の厚みT6より小さい(T9<T6)。
なお、防湿体9の厚みT9を小さくし過ぎると、外力に対する防湿体9の耐性が低くなり、防湿体9にピンホール等の欠陥が発生しやすくなる。逆に、防湿体9の厚みT9を大きくし過ぎると、剛性が向上し、シンチレータ層6の表面に防湿体9を沿わせるのが困難となる。さらに、防湿体9の内部で散乱し易くなり、X線検出器1の解像度特性の低下を招いてしまう。本願発明者が得た知見によれば、厚みT9は、シンチレータ層6の厚みT6の半分以下とすることが好ましい。
なお、防湿体9の厚みT9を小さくし過ぎると、外力に対する防湿体9の耐性が低くなり、防湿体9にピンホール等の欠陥が発生しやすくなる。逆に、防湿体9の厚みT9を大きくし過ぎると、剛性が向上し、シンチレータ層6の表面に防湿体9を沿わせるのが困難となる。さらに、防湿体9の内部で散乱し易くなり、X線検出器1の解像度特性の低下を招いてしまう。本願発明者が得た知見によれば、厚みT9は、シンチレータ層6の厚みT6の半分以下とすることが好ましい。
本実施形態と異なり、シンチレータ層6の上にポリパラキシリレン樹脂を蒸着させて防湿体9を形成した場合、シンチレータ層6の柱状結晶同士の間にポリパラキシリレン樹脂が入り込み、シンチレータパネル3の光学特性が不所望に変化してしまう恐れがある。
これに対し、本実施形態では、シンチレータパネル3に防湿体9を設ける際、シート状の防湿体9を上記接合部13により光反射層7に接合している。シンチレータ層6の上にポリパラキシリレン樹脂を蒸着させる製造工程無しにシンチレータパネル3を形成することができるため、シンチレータ層6の柱状結晶同士の間にポリパラキシリレン樹脂が入り込む事態を回避することができる。そして、シンチレータパネル3の光学特性が不所望に変化するリスクを低減することができる。
これに対し、本実施形態では、シンチレータパネル3に防湿体9を設ける際、シート状の防湿体9を上記接合部13により光反射層7に接合している。シンチレータ層6の上にポリパラキシリレン樹脂を蒸着させる製造工程無しにシンチレータパネル3を形成することができるため、シンチレータ層6の柱状結晶同士の間にポリパラキシリレン樹脂が入り込む事態を回避することができる。そして、シンチレータパネル3の光学特性が不所望に変化するリスクを低減することができる。
複数の光電変換部2b(複数の画素)は、行方向Xに第1ピッチp1で並べられている。第1ピッチp1は、行方向Xにおける画素ピッチに相当している。行方向Xに隣合う一対の光電変換素子2b1に注目した場合、第1ピッチp1は、一の光電変換素子2b1の重心と、隣の光電変換素子2b1の重心との間の行方向Xのピッチに相当している。
図5は、光電変換基板2の複数の制御ライン2c1、複数のデータライン2c2等を示す平面図であり、複数の光電変換部2b(複数の画素)を併せて示す図である。
図5に示すように、複数の光電変換部2b(複数の画素)は、行方向Xに第1ピッチp1で並べられ、列方向Yに第2ピッチp2で並べられている。
行方向Xに隣合う一対のデータライン2c2に注目した場合、第1ピッチp1は、一のデータライン2c2の行方向Xの中心と、隣のデータライン2c2の行方向Xの中心との間の行方向Xのピッチに相当している。
図5に示すように、複数の光電変換部2b(複数の画素)は、行方向Xに第1ピッチp1で並べられ、列方向Yに第2ピッチp2で並べられている。
行方向Xに隣合う一対のデータライン2c2に注目した場合、第1ピッチp1は、一のデータライン2c2の行方向Xの中心と、隣のデータライン2c2の行方向Xの中心との間の行方向Xのピッチに相当している。
第2ピッチp2は、列方向Yにおける画素ピッチに相当している。列方向Yに隣合う一対の制御ライン2c1に注目した場合、第2ピッチp2は、一の制御ライン2c1の列方向Yの中心と、隣の制御ライン2c1の列方向Yの中心との間の列方向Yのピッチに相当している。
第1ピッチp1及び第2ピッチp2は、それぞれ、実質的に50乃至200μmである。
第1ピッチp1及び第2ピッチp2は、それぞれ、実質的に50乃至200μmである。
防湿体9の厚みT9は、第1ピッチp1未満であり、且つ、第2ピッチp2未満である方が望ましい(T9<p1且つT9<p2)。何故なら、厚みT9が第1ピッチp1以上であったり、厚みT9が第2ピッチp2以上であったりすると、シンチレータ層6で変換された可視光が防湿体9の内部で散乱し易くなり、防湿体9が可視光を光電変換基板2に効率的に透過させなくなるためである。防湿体9の光透過率の低下は、X線検出器1の解像度特性の低下を招いてしまう。
上記のように構成された第1の実施形態に係るX線検出器1によれば、シンチレータパネル3は、基板8と、シンチレータ層6と、光反射層7と、防湿体9と、接合部13と、を備えている。接合部13により、防湿体9と光反射層7とを容易に接合することができる。シンチレータ層6が位置している空間は、光反射層7、防湿体9、及び接合部13で閉塞されている。そのため、シンチレータ層6への透湿を抑制することが可能なシンチレータパネル3及びシンチレータパネル3を備えたX線検出器1を得ることができる。
また、光反射層7の表面改質を行う必要が無いため、製造コストの高騰及び製品価格の高騰を抑制することができる。
また、光反射層7の表面改質を行う必要が無いため、製造コストの高騰及び製品価格の高騰を抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るX線検出器について詳細に説明する。X線検出器1は、本実施形態で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。図6は、第2の実施形態に係るシンチレータパネル3を示す断面図である。
次に、第2の実施形態に係るX線検出器について詳細に説明する。X線検出器1は、本実施形態で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。図6は、第2の実施形態に係るシンチレータパネル3を示す断面図である。
図6に示すように、光反射層7及び緩和層5は、それぞれ積層体で形成されていなくともよい。光反射層7は、第3樹脂層としての樹脂層7cで形成されている。樹脂層7cは、厚みT7cを有している。
光反射層7が樹脂層7cで形成されている場合、緩和層5は、第5樹脂層としての樹脂層5cで形成されている。樹脂層5cは、樹脂層7cを形成する材料と同一の材料で形成され、光反射層7と同一の構成を有している。樹脂層5cは、厚みT5cを有している。例えば、厚みT5cは厚みT7cと同一である。
光反射層7が樹脂層7cで形成されている場合、緩和層5は、第5樹脂層としての樹脂層5cで形成されている。樹脂層5cは、樹脂層7cを形成する材料と同一の材料で形成され、光反射層7と同一の構成を有している。樹脂層5cは、厚みT5cを有している。例えば、厚みT5cは厚みT7cと同一である。
樹脂層7c及び樹脂層5cは、それぞれ、樹脂にTiO2等からなる複数の光散乱性粒子が分散された材料で形成されてもよい。その場合、上記樹脂として、ポリエチレンテレフタレート等を利用することができる。また、厚みT5c及び厚みT7cを、それぞれ実質的に190μmとすることができる。
上記のように構成された第2の実施形態に係るX線検出器1によれば、樹脂で形成された光反射層7も、シンチレータ層6で変換された蛍光を反射する機能を有している。そのため、本第2の実施形態は、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(比較例)
次に、比較例に係るX線検出器について詳細に説明する。X線検出器1は、本比較例で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。図7は、比較例に係るシンチレータパネル3を示す断面図である。
図7に示すように、シンチレータパネル3は、接合部13無しに形成されている。防湿体9を形成する際、基板8、光反射層7、シンチレータ層6、及び緩和層5の上にポリパラキシリレン樹脂を蒸着させている。
次に、比較例に係るX線検出器について詳細に説明する。X線検出器1は、本比較例で説明する構成以外、上記第1の実施形態と同様に構成されている。図7は、比較例に係るシンチレータパネル3を示す断面図である。
図7に示すように、シンチレータパネル3は、接合部13無しに形成されている。防湿体9を形成する際、基板8、光反射層7、シンチレータ層6、及び緩和層5の上にポリパラキシリレン樹脂を蒸着させている。
ここで、高分子材料である樹脂は、分子鎖間にある隙間が元々大きく、熱運動によりさらに隙間が大きくなる。CVD法によりポリパラキシリレン樹脂で防湿体9を形成した場合、防湿体9のための製造に長時間要することになる。また、防湿体9は、基板8、光反射層7、及び緩和層5から剥がれ易い。そのため、比較例において、シンチレータ層6への透湿を抑制することが可能なシンチレータパネル3を得ることは困難である。
防湿体9の密着性を向上させるため、平面視における光反射層7及び緩和層5のそれぞれのサイズを大きくし、光反射層7及び緩和層5のそれぞれの表面改質を行い、防湿体9が光反射層7に接着する面積及び防湿体9が緩和層5に接着する面積をそれぞれ大きくする対策が考えられる。
しかしながら、シンチレータパネル3の製造工程に、例えば、光反射層7の表面改質を行う工程を追加する必要がある。上記工程が追加されることで、製造時間の長期化を招き、製造コストが上がってしまう。ひいては、製品価格の高騰を招いてしまう。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上述した技術は、上記シンチレータパネル3及び上記X線検出器1への適用に限定されるものではない。上記技術は、他のシンチレータパネル、及び他のX線検出器等の各種の放射線検出器に適用することができる。
1…X線検出器、2…光電変換基板、2b…光電変換部、2b1…光電変換素子、
2b2…TFT、2c1…制御ライン、2c2…データライン、11…回路基板、
3…シンチレータパネル、8…基板、6…シンチレータ層、7…光反射層、
7a…金属層、7b,7c…樹脂層、5…緩和層、5a…金属層、5b,5c…樹脂層、
9…防湿体、9a…樹脂層、9b…無機層、13…接合部、
T6,T7a,T7b,T7c,T5a,T5b,T5c,T9…厚みA1…第1領域、
A2…第2領域、X…行方向、Y…列方向、p1…第1ピッチ、p2…第2ピッチ。
2b2…TFT、2c1…制御ライン、2c2…データライン、11…回路基板、
3…シンチレータパネル、8…基板、6…シンチレータ層、7…光反射層、
7a…金属層、7b,7c…樹脂層、5…緩和層、5a…金属層、5b,5c…樹脂層、
9…防湿体、9a…樹脂層、9b…無機層、13…接合部、
T6,T7a,T7b,T7c,T5a,T5b,T5c,T9…厚みA1…第1領域、
A2…第2領域、X…行方向、Y…列方向、p1…第1ピッチ、p2…第2ピッチ。
Claims (12)
- 第1領域と、前記第1領域を囲む枠状の第2領域と、に位置し、炭素繊維強化プラスチックで形成された基板と、
前記基板に隙間を設けて対向し、前記第1領域に位置し、入射される放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、
前記基板と前記シンチレータ層との間に設けられ、前記第1領域及び前記第2領域に位置し、前記シンチレータ層で変換された蛍光を反射する光反射層と、
それぞれ光透過性を持つ第1樹脂層及び無機層を有する第1積層体で形成され、前記シンチレータ層の厚みより小さい厚みを有し、前記シンチレータ層を覆った防湿体と、
前記第2領域に位置し、前記防湿体と前記光反射層とを接合した接合部と、を備える、
シンチレータパネル。 - 前記接合部は、連続的に延出し、枠状に形成され、
前記光反射層、前記防湿体、及び前記接合部で囲まれた空間は減圧されている、
請求項1に記載のシンチレータパネル。 - 前記防湿体は透明である、
請求項1又は2に記載のシンチレータパネル。 - 前記無機層は、前記シンチレータ層と前記第1樹脂層との間に位置している、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシンチレータパネル。 - 前記接合部は、二液混合型、紫外線硬化型、紫外線及び熱硬化併用型、ホットメルト型、並びに粘着型の複数種類の接着剤のうち少なくとも1種類以上の前記接着剤を含んでいる、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のシンチレータパネル。 - 前記接合部の剥離強度及びせん断強度は、それぞれ0.6N/mm以上である、
請求項1乃至5の何れか1項に記載のシンチレータパネル。 - 前記光反射層は、第1金属層と第2樹脂層とを有する第2積層体、又は第3樹脂層で形成されている、
請求項1乃至6の何れか1項に記載のシンチレータパネル。 - 前記光反射層は、前記第2積層体で形成され、
前記第1金属層は、前記第2樹脂層と前記シンチレータ層との間に位置している、
請求項7に記載のシンチレータパネル。 - 前記光反射層と同一材料で形成され、前記光反射層と同一の構成を有する緩和層をさらに備え、
前記基板は、前記緩和層と前記光反射層とで挟まれている、
請求項1乃至8の何れか1項に記載のシンチレータパネル。 - 緩和層をさらに備え
前記基板は、前記緩和層と前記光反射層とで挟まれ、
前記光反射層が前記第2積層体で形成されている場合、
前記緩和層は、前記第1金属層を形成する材料と同一の材料で形成された第2金属層と、前記第2樹脂層を形成する材料と同一の材料で形成された第4樹脂層と、を有する第3積層体で形成され、
前記光反射層が前記第3樹脂層で形成されている場合、
前記緩和層は、前記第3樹脂層を形成する材料と同一の材料で形成された第5樹脂層で形成されている、
請求項7に記載のシンチレータパネル。 - 請求項1乃至10の何れか1項に記載のシンチレータパネルと、
前記シンチレータ層で変換された蛍光が入射される光電変換基板と、
前記光電変換基板と電気的に接続された回路基板と、を備える、
放射線検出器。 - 前記光電変換基板は、前記第1領域に位置し互いに直交する第1方向及び第2方向にマトリクス状に並べられた複数の光電変換素子を有し、
前記複数の光電変換素子は、前記第1方向に第1ピッチで並べられ、前記第2方向に第2ピッチで並べられ、
前記防湿体の前記厚みは、前記第1ピッチ未満であり、且つ前記第2ピッチ未満である、
請求項11に記載の放射線検出器。
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