JP2021088756A - 銅粒子の製造方法 - Google Patents

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洋一 上郡山
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大志 今村
英樹 尾▲崎▼
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英樹 尾▲崎▼
陽兵 丸山
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陽兵 丸山
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Junji Muramatsu
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Abstract

【課題】不純物が少なく、且つ粒子径が小さい銅粒子の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の銅粒子の製造方法は、銅化合物、水溶性ニッケル塩及び還元性化合物を、銅元素の含有モル量に対するニッケル元素の含有モル割合が25mol%以下となるように混合し、該銅化合物を有機分散剤の非存在下で還元して銅粒子を得る工程を備える。銅化合物は、亜酸化銅又は酸化銅であることが好適である。水溶性ニッケル塩は、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、又は酢酸ニッケルであることも好適である。【選択図】なし

Description

本発明は、銅粒子の製造方法に関する。
電子機器の小型化や高性能化に伴って、電子機器内の配線形成において、配線の密度を高めることや、寸法安定性、低温焼結性の向上が求められている。これらの要求を実現するために、例えば配線構造の構成材料の一つとして銅粒子を用いて、該粒子の粒子径を小さくしたり、銅以外の不純物を低減したりすることが検討されている。
本出願人は、耐酸化性が高く、かつ銅単体に近い導電性を有する銅粒子を得ることを目的として、ニッケル及びコバルトのうちの少なくとも一方を含み、ニッケル又はコバルトが粒子の表面域に偏在している銅粒子を提案した(特許文献1)。この銅粒子は、中心域の主要構成元素が銅であり、中心域から粒子表面に向かうに連れてニッケル又はコバルトの割合が漸増しているとともに銅の割合が漸減しているものである。
また本出願人は、微粒の銅粉を製造することを目的として、−(C=O)O−部位を複数有する配位子が銅に配位した銅錯体を含む水溶液に、粒子間での凝集及び/又は粒子の酸化を抑制するための剤の不存在下、還元剤を作用させる銅粒子の製造方法を提案した(特許文献2)。
その他に、特許文献3では、単分散の銅ナノ粒子を得ることを目的として、銅を含む第1の金属塩と、EDTA−2Na等の錯化剤と、ポリビニルピロリドン等の分散剤と、銅よりイオン化傾向の低い金属を含む第2の金属塩と、を水に溶解させ、反応溶液を調製する調製工程と、反応溶液を撹拌させながら、還元剤を添加し、銅ナノ粒子を析出させる析出工程とを備える銅ナノ粒子の製造方法が開示されている。
特開2012−180563号公報 特開2017−115199号公報 特開2017−172003号公報
ところで、銅粒子を液相中で製造する際には、銅粒子の製造中に粒子どうしが凝集して一次粒子径が大きくなることを防止するため、反応系に有機物である分散剤を添加したり、溶媒として非極性有機溶媒を利用したりすることがある。これらの方法で得られた銅粒子には、不純物の一つである有機物が不可避的に混入することから、該銅粒子を焼結に供すると、有機物由来のガスが発生してしまう。その結果、得られた配線構造にボイドが形成されて、配線構造に不具合が生じることがある。一方、有機物などの不純物の混入を低減する銅粒子の製造方法の一つとして気相合成法が挙げられるが、当該方法であると粒径の制御が困難である。このような、ガスの発生の低減と、粒径制御とを両立した銅粒子を製造する技術について、特許文献1ないし3では何ら検討されておらず、この点で改善の余地があった。
本発明の課題は、不純物が少なく、且つ粒子径が小さい銅粒子の製造方法を提供することにある。
本発明は、銅化合物、水溶性ニッケル塩及び還元性化合物を、銅元素の含有モル量に対するニッケル元素の含有モル割合が25mol%以下となるように混合し、該銅化合物を有機分散剤の非存在下で還元して銅粒子を得る工程を備える銅粒子の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、不純物が少なく、且つ粒子径が小さい銅粒子を得ることができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の銅粒子の製造方法は、銅源である銅化合物と、水溶性ニッケル塩と、還元性化合物とを混合し、銅化合物を還元して、目的となる銅粒子を得る。本製造方法は、得られる銅粒子の粒径制御を容易にする観点から、水性液中で銅粒子を得る湿式法で行うことが好ましい。以下の説明では、本製造方法の好適な態様である水性液中での湿式法を例にとり説明する。
まず、銅化合物と、水溶性ニッケル塩と、還元性化合物とを混合した反応液を調製する。本工程においては、純水等の溶媒に各原料を同時に添加して反応液としてもよく、各原料を任意の順序で溶媒に添加して反応液としてもよい。銅の還元反応を制御しやすくして、製造時の取扱い性を高める観点から、銅化合物と、水溶性ニッケル塩とを純水等の溶媒に混合したスラリーと、還元性化合物を純水等の溶媒に混合した還元性水溶液とをそれぞれ別に調製し、その後、スラリーと還元性水溶液とを混合して反応液とし、銅の還元反応を開始することが好ましい。特に、スラリー、還元性水溶液及び反応液を調製するための溶媒は、いずれも水のみを用いることによって、不純物の混入を防ぎ、得られる銅粒子の焼結時にガスの発生が更に起こりにくくなるので好ましい。
銅化合物としては、例えば塩化銅、硝酸銅、酢酸銅、硫酸銅等の銅(II)塩、水酸化銅等の銅(II)水酸化物、並びに、酸化銅及び亜酸化銅等の銅酸化物が挙げられる。これらの銅化合物は、無水物であってもよく、水和物であってもよい。銅化合物は、単独で又は複数組み合わせて用いることができる。特に、銅化合物として、好ましくは酸化銅又は亜酸化銅を用いることによって、銅粒子の粒子径を小さく制御できるとともに、得られる銅粒子を焼結したときに、銅化合物に含まれる対イオンの元素に由来するガスの発生が低減されるので好ましい。
銅化合物は、反応液中の銅元素の含有量に換算して、好ましくは0.001mol/L以上、更に好ましくは0.1mol/L以上となるように混合する。一方で、上限としては1mol/L、更に好ましくは0.5mol/Lとなるように混合する。このような銅化合物の含有量とすることによって、粒子径が小さい銅粒子を生産性高く得ることができる。
水溶性ニッケル塩は、銅イオンの還元によって生成する銅粒子の粒径を制御するために用いられる。水溶性ニッケル塩としては、例えばギ酸ニッケル、酢酸ニッケル等の脂肪族一価カルボン酸のニッケル(II)塩や、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及び炭酸ニッケル等の無機酸ニッケル(II)塩等が挙げられる。これらの水溶性ニッケル塩は、無水物であってもよく、水和物であってもよい。これらの水溶性ニッケル塩は、単独で又は複数組み合わせて用いることができる。特に、水溶性ニッケル塩として好ましくは塩化ニッケル、硝酸ニッケル又は酢酸ニッケルを、更に好ましくは塩化ニッケルを用いることによって、得られる銅粒子の粒子径を小さく制御することができる。
また、水溶性ニッケル塩は、反応液中での銅元素のモル量に対するニッケル元素のモル量の割合が、好ましくは25mol%以下、より好ましくは20mol%以下となるように混合する。上述したモル量の割合を25mol%以下とすることで、不純物の一つであるニッケル元素の含有量が低減された銅粒子が得られ、例えば該銅粒子を焼結させた際の面会合を良好なものとすることができる。一方で、下限としては好ましくは3mol%、より好ましくは5mol%、更に好ましくは10mol%となるように混合する。上述したモル量の割合を3mol%以上とすることで、得られる銅粒子の粒子径を小さく制御できる。
銅化合物及び水溶性ニッケル塩を含むスラリーの調製にあたり、銅化合物及び水溶性ニッケル塩の添加順序や方法に特に制限はない。例えば、固形の銅化合物及び固形の水溶性ニッケル塩を、純水等の溶媒に任意の順序で又は同時に添加してスラリーとしてもよく、銅化合物及び水溶性ニッケル塩の少なくとも一方を予め純水等に分散又は溶解させたあと、純水等の溶媒に任意の順序で又は同時に添加し、混合してスラリーとしてもよい。いずれの場合であっても、後述する工程においてスラリー中の銅イオンの還元効率を高めて、粒径の小さい銅粒子を得る観点から、スラリーは撹拌されている状態で以後の工程に供されることが好ましい。
また、前記のスラリーとは別に、還元性化合物を含む水溶液を調製する。本方法において用いられる還元性化合物は銅イオンを還元するものであり、例えば、ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン及び抱水ヒドラジン等のヒドラジン系化合物、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、次亜硝酸ナトリウム、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸、及び次亜リン酸ナトリウム等の化合物が挙げられる。これらの還元性化合物は、無水物であってもよく、水和物であってもよい。これらの還元性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、ヒドラジンは還元後に不純物の発生や、得られる粒子への不純物の混入が少ないので特に好適に用いられる。還元力が強く、且つ粒子への不純物の混入を抑制する観点から、還元性化合物として、ヒドラジンの無水物又は水和物のみを用いることがより一層好ましい。
続いて、銅化合物及び水溶性ニッケル塩を含むスラリーと、還元性化合物を含む還元性水溶液とを混合して反応液とし、銅化合物に由来する銅イオンを還元させて銅粒子を得る。
反応液の調製においては、反応液中の還元性化合物の含有量が、銅元素1molに対して好ましくは1mol以上、より好ましくは2mol以上、特に好ましくは3mol以上となるように、還元性化合物を含む水溶液を混合する。一方、上限としては好ましくは10mol、より好ましくは5molとなるようにする。還元性化合物の含有量をこのような割合とすることによって、粒子径が小さい銅粒子を容易に得ることができる。特に、還元性化合物による銅化合物の還元を一回のみ行うことによって、製造工程を簡略化しつつ、粒子径が十分に小さい銅粒子を生産性高く得ることができる。
銅化合物及び水溶性ニッケル塩を含むスラリーと、還元性化合物を含む還元性水溶液との混合においては、一方を他方に添加して混合してもよく、これらの水溶液を同時に混合してもよい。一方を他方に添加して混合する場合、一度に添加して混合してもよく、滴下等の方法で複数回に分けて混合してもよい。
反応液の反応条件は、混合開始時点から反応終了時点にわたって、加熱せずに反応させてもよく、加熱条件下で反応させてもよい。銅粒子の形成に十分な還元反応の進行と、製造コストの低減とを両立させる観点から、混合開始時点から反応終了時点にわたって、0℃以上80℃以下を維持するように反応させることが好ましい。混合開始時点から反応終了時点までの時間は、目的とする銅粒子の粒子径によって適宜変更可能であるが、好ましくは1時間以上4時間以下、更に好ましくは1.5時間以上3時間以下とすることができる。また、還元反応を均一に発生させて、粒径のばらつきが少ない銅粒子を得る観点から、混合開始時点から反応終了時点にわたって、反応液の撹拌を継続することも好ましい。
本製造方法は、反応液中に、得られる銅粒子の分散性を高めることを目的として含有される有機分散剤の非存在下で還元反応を行った場合であっても、得られる銅粒子の粒径を小さく制御することができる。この理由として、前記スラリーに含まれるニッケルイオンやその錯形成物が、還元反応で生成した金属銅の粒子表面を保護することにより、銅粒子の成長を適度に抑制するためと考えられる。また、有機分散剤の非存在下で還元反応を行うことにより、不純物の一つである有機物の含有量が低減され、焼結時におけるガスの発生が起こりにくい銅粒子を得ることができる。反応液中に有機分散剤を非存在とするためには、例えば、銅化合物及び水溶性ニッケル塩を含むスラリー、還元性水溶液及び反応液の各調製工程において、有機分散剤、及び有機分散剤を含有する原材料を用いなければよい。
このようにして得られた銅粒子は、純水リパルプ洗浄やデカンテーション法等によって洗浄する。その後、必要に応じて固液分離を行って得られた固形分を、水やアルコール等の溶媒に再度分散させて、銅粒子を含むスラリーやインク、ペースト等としてもよい。また、保管スペースを削減し、搬送性を高める観点から、洗浄又は溶媒置換された銅粒子を乾熱乾燥や真空乾燥等の方法で乾燥させて、銅粒子の集合体である乾燥粉とすることが好ましい。
以上の工程を経て得られた銅粒子は、粒子どうしの分散性を高めるための有機化合物の層を粒子表面に有していないにもかかわらず、一次粒子径が小さいものとなる。その理由として、本製造方法による製造時において生成する粒子の凝集の程度が低くなるので、粒径が小さい状態を維持したまま製造できると考えられるためである。また、このようにして得られた粒子は、一般に球状のものとなる。球状の銅粒子は、その分散性を高めやすい観点から好ましい。なお、本発明の効果が奏される限りにおいて、得られた銅粒子が他の元素を不可避的に微量含むことや、銅粒子表面が不可避的に微量酸化されたり、該表面にニッケルを含む層が微量形成されたりすることを排除するものではない。
以上の工程を経て得られた銅粒子は、一次粒子径が好ましくは0.01μm以上1.0μm以下、より好ましくは0.03μm以上0.5μm以下、更に好ましくは0.05μm以上0.3μm以下である。このような一次粒子径を有することによって、銅粒子をペーストに含有したときに良好な充填性を発現し、薄い塗膜を形成することに有利である。また、銅粒子の一次粒子径を0.01μm以上に設定することによって、銅粒子を焼成するときの粒子の意図しない収縮を防止することができる。
銅粒子の一次粒子径が小さくなるように制御するためには、原料となる銅化合物の粒子径が小さいものを用いればよい。一方で、一次粒子径が大きくなるように制御するためには、原料となる銅化合物の粒子径が大きいものを用いたり、反応液における還元反応時間を長くなるように調整すればよい。
一次粒子とは、外見上の幾何学的形態から判断して、粒子としての最小単位と認められる物体のことである。一次粒子径は、BET比表面積から算出された値である。具体的には、マイクロトラック・ベル社製の「ELSORP−R6」を用い、窒素吸着法で測定することができる。測定粉末の量は0.2gとし、予備脱気条件は大気圧下、60℃で15分間とする。そして、測定されたBET比表面積より、一次粒子の粒子径は、粒子形状が球形と仮定して、次式にて計算される。
d=6000/(A×ρ)
ここで、dは計算により算出される一次粒子径[nm]、AはBET一点法で測定される比表面積[m/g]、ρは測定対象の密度[g/cm]である。
また、以上の工程を経て得られた銅粒子は、粒子中のニッケル元素の含有量が好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。一方、下限としては0.01質量%が現実的である。このような含有量となっていることによって、銅粒子を焼成したときに焼結性を十分に発揮して、導電抵抗が低い導電層を形成できる点で有利である。
ニッケル元素の含有量を上述の範囲に制御するためには、反応液中に含まれる水溶性ニッケル塩を上述のモル量の範囲とすればよい。ニッケル元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析によって測定することができる。
本発明の銅粒子は、非酸化雰囲気下、25℃から1000℃まで加熱したときの熱重量分析において、25℃における質量に対する加熱後の質量の最大減少率が、好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、一層好ましくは1.0質量%以下である。本発明の銅粒子は、その製造にあたり不純物の一つである有機分散剤を使用しないため、銅粒子の加熱時において、有機物由来のガスが発生しづらくなり、質量減少率が低いものとなる。したがって、このような銅粒子を、例えば電子機器の配線等の製造原料として用いたときに、ボイドの発生を低減して、高密度で導電信頼性が高い配線を得ることができる。
上述した熱重量分析は、例えば以下の方法で行うことができる。すなわち、ブルカー・エイエックスエス社製のTG−DTA2000SAを用いて、25℃から1000℃まで加熱したときの質量減少率を測定する。雰囲気は窒素とし、昇温速度は10℃/minとする。質量減少率は、粒子中に存在する有機物に起因して、該粒子の加熱によって発生した有機物由来の分解ガスの量の尺度となるものであり、質量減少率が小さいほど、有機物由来のガスの発生量が少ないことを意味する。
以上の構成を有する銅粒子は、粒径が小さいので、銅粒子を電極形成用の導電性ペーストとして用いたときに、該ペーストから形成される膜の厚みを薄くすることができ、薄い導電膜が形成可能となる。また、不純物の一つであるニッケル元素の含有量が比較的少ないので、粒子の溶融性が高く、焼結性が良好であり、特に低温焼結性に優れる。更に、不純物となる有機分散剤の非存在下で還元して得られた銅粒子は、焼結時においてガスの発生源となり得る有機物の含有量が非常に低いので、焼結後に得られた導電層及び配線構造にボイド等が発生しづらく、高密度で導電信頼性に優れたものとなる。
銅粒子は、導電性組成物に配合される金属フィラーとして好適に用いられる。導電性組成物としては、例えば導電ペーストや導電インクなどが挙げられる。これらの導電性組成物は、金属フィラーとしての銅粒子、バインダ樹脂及び有機溶媒等の成分を含むものである。導電性組成物は、例えばこれを所定の手段によって塗布することで、プリント配線基板の配線回路を形成することができる。またプリント配線基板中のビア充填用材料や、プリント配線基板に電子デバイスを表面実装するときの接着剤として用いることもできる。更に、チップ部品の電極形成に用いることもできる。特に、本発明の銅粒子は、粒径が小さいものであるので、銅粒子を含む層を薄く形成することができ、小型化及び薄型化が要求されるMLCC(積層セラミックコンデンサ)や、LTCC(低温焼成セラミックス)多層回路基板等の小型電子部品における内部電極等の形成材料に特に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。以下の実施例及び比較例は、いずれも有機分散剤の非存在下で銅粒子を製造した。
〔実施例1〕
(1)スラリーの調製
銅化合物として亜酸化銅(日進ケムコ社製NC−102)を用い、水溶性ニッケル塩として塩化ニッケル六水和物を用いた。3.43gの亜酸化銅と、0.58gの塩化ニッケル六水和物とを155.98gの純水に分散及び溶解し、この水溶液を室温(25℃)で撹拌混合して、銅及びニッケルを含むスラリーを得た。このスラリーは、銅元素に対するニッケル元素のモル割合が5mol%となるように調製した。
(2)還元性水溶液の調製
還元性化合物としてヒドラジン一水和物を用いた。12.26gのヒドラジン一水和物と、37.74gの純水を混合して、ヒドラジン水溶液を得た。
(3)銅粒子の合成
前記工程(1)で得られたスラリーと、前記工程(2)で得られたヒドラジン水溶液とを混合して、反応液を調製し、還元反応を行った。反応液中におけるヒドラジン濃度が、銅元素1molに対して4molとなるように、前記のスラリーとヒドラジン水溶液とを混合した。反応液は、混合開始時点から反応終了時点にわたって、室温(25℃)を維持しながら2時間撹拌して反応させた。反応終了後、得られた固形物に対し純水リパルプ洗浄を行い、更にエタノールで溶媒置換を行った。その後、減圧濾過し、真空乾燥を行って、目的とする銅粒子を得た。
〔実施例2〕
水溶性ニッケル塩として酢酸ニッケル四水和物を用いた以外は、実施例1と同様にして、銅粒子を得た。
〔実施例3〕
銅元素に対するニッケル元素のモル割合が10mol%となるように塩化ニッケルの混合比率を変更したほかは実施例1と同様にして、銅粒子を得た。
〔比較例1〕
銅元素に対するニッケル元素のモル割合が30mol%となるようにスラリーとヒドラジン水溶液との混合比率を変更したほかは実施例1と同様にして、銅粒子を得た。
〔比較例2〕
水溶性ニッケル塩を用いずに調製したスラリーを還元反応に供したほかは実施例1と同様にして、銅粒子を得た。
〔粒子径の評価〕
各実施例及び比較例における銅粒子の粒子径は、上述した方法で測定した。結果を表1に示す。
〔粒子中のニッケル元素の評価〕
各実施例及び比較例における銅粒子におけるニッケル元素の含有量は、上述した方法で測定した。結果を表1に示す。表1中、「<X」(Xは数値である)は、X未満であることを示す。
〔銅粒子の質量減少率の評価〕
実施例及び比較例で得られた銅粒子について、上述のように窒素雰囲気にて25℃から1000℃まで加熱したときの熱重量分析を行い、25℃における質量に対する加熱後の質量の最大減少率を測定した。結果を表1に示す。
〔焼結性の評価〕
各実施例及び比較例で得た銅粒子0.003gに6gのプロピレングリコールを添加し、超音波ホモジナイザーを用いて30秒間分散処理を行った。得られた分散液を大気下で160℃、30分間加熱した。その後、走査型電子顕微鏡(日本エフイー・アイ社製XL30SFEG)を用いて倍率50,000倍で銅粒子を観察し、面会合の有無を調べた。面会合とは、一つの粒子の面と他の粒子の面とが連続するように粒子どうしが一体化した状態をいう。結果を表1に示す。表1中、「面会合有」は面会合が形成されて、焼結性が良好であることを示し、「面会合無」は面会合が形成されず、焼結性が不良であることを示す。
Figure 2021088756

Claims (5)

  1. 銅化合物、水溶性ニッケル塩及び還元性化合物を、銅元素の含有モル量に対するニッケル元素の含有モル割合が25mol%以下となるように混合し、該銅化合物を有機分散剤の非存在下で還元して銅粒子を得る工程を備える銅粒子の製造方法。
  2. 前記水溶性ニッケル塩は、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、及び酢酸ニッケルの少なくとも一つである、請求項1に記載の銅粒子の製造方法。
  3. 前記銅化合物を還元して、一次粒子径が0.01μm以上1.0μm以下である前記銅粒子を得る、請求項1又は2に記載の銅粒子の製造方法。
  4. 前記銅化合物を還元して、粒子中のニッケル元素の含有量が10質量%以下である前記銅粒子を得る、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の銅粒子の製造方法。
  5. 前記銅化合物は亜酸化銅又は酸化銅である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の銅粒子の製造方法。
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