JP2020169876A - 速度測定方法及び速度測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ光を用いて円柱状回転体の曲面の速度を正確に測定できる速度測定方法及び速度測定装置を提供する。【解決手段】速度測定装置1では、レーザ光の波長λと、基準径R、と第1測定光の第1光軸角度θ1と、第2測定光の第2光軸角度θ2と、定数kとの各情報を取得することで、算出した第1周波数差△f1及び第1周波数差△f2を用いて、式(19)から、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを算出することができる。このように速度測定装置1では、回転速度を測定する際に一般に必要となる距離の値を測定することなく、レーザ光を利用して円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vについて測定することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、速度測定方法及び速度測定装置に関する。
鉄鋼製品の製造現場においては、製品の品質管理、製造工程の自動化を目的として、高精度に被測定対象物までの距離を測定し、その寸法や形状を算出する必要がある。このような悪環境下で被測定対象物までの距離を測定して被測定対象物の形状を測定する距離測定装置として、例えば、特許文献1に示すように、FSFレーザ(周波数シフト帰還型レーザ:Frequency-Shifted Feedback Laser)光源を利用した距離測定装置が知られている。
一般的に、このような時間に対して周波数が変調されたレーザ光を用いた距離測定装置では、レーザ発振器から出射される周波数変調された光を、参照光と測定光とに分岐し、測定光を被測定対象物に照射して、被測定対象物の表面(測定面)で反射して戻ってきた反射光を光検出部に入射させる。一方、参照光は所定の光路長を有する経路を介して光検出部に入射される。そのため、光がレーザ発振器を出てから、被測定対象物の測定面での反射を経て反射光として光検出部に至るまでの経路と、光がレーザ発振器を出てから参照光として光検出部に至るまでの経路とでは光路長が通常異なる。よって、光がレーザ発振器を出てから光検出部に至るまでに要した時間も、反射光と参照光とでは異なっている。
レーザ発振器から出射される光の周波数は、操作者が事前に把握してある所定の規則(三角波、櫛状波、正弦波等)に基づき、時間と共に所定の周波数変調速度で常に変化しているので、光検出部に入射する反射光と参照光とでは周波数が異なることになる。従って、光検出部においては反射光と参照光との干渉により、反射光と参照光との周波数差に等しい周波数を有するビート(うなり)信号が検出される。
ビート信号の周波数(ビート周波数)は、測定光がレーザ発振器を出てから反射光として光検出部に至るまでに要した時間と、参照光がレーザ発振器を出てから光検出部に至るまでに要した時間との差の時間における、レーザ発振器の発振周波数の変化量に等しい。従って、このような時間に対して周波数が変調されたレーザ光(好ましくは周波数が直線的に変調されたレーザ光)を用いた距離測定装置では、ビート周波数を光路長の差に変換することにより、被測定対象物までの距離を測定できる。
そして、被測定対象物までの距離が分かることで、測定面の位置情報や速度情報等から、被測定対象物の形状を知ることもできる。そのため、距離測定装置を形状測定装置としても用いることが可能である。
ここで、例えば、鉄鋼製品の製造現場に距離測定装置を用いた例で説明すると、被測定対象物として、圧延ロール及び熱延・冷延コイルのような円柱状の回転体(以下、円柱状回転体と称する)が回転している場合に、所定の速度で回転する円柱状回転体の曲面に対し、距離測定装置の測定ヘッドから測定光が垂直に照射される。円柱状回転体の曲面で反射して戻ってきた反射光は測定ヘッドで受光され、光検出部へと送られる。
距離測定装置は、反射光と参照光との周波数差に等しい周波数を有するビート(うなり)信号を検出し、ビート周波数を光路長の差に変換することにより、回転している円柱状回転体の曲面までの距離をリアルタイムで測定している。
ここで、鉄鋼製品の製造現場において、回転する円柱状回転体について、その曲面の速度を高精度に測定することは、寸法管理精度向上による、品質・製造効率の改善に有効である。そのためには、測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度をオンラインで高精度に測定する必要があるが、例えば、レーザドップラー速度計を用いて、回転する円柱状回転体の曲面の速度を測定しようとすると、測定しようとする曲面位置に、レーザドップラー速度計の焦点位置(焦点深度)を合致させる必要がある。
しかしながら、回転する円柱状回転体において、使用による摩耗や経年劣化等により、寸法・形状が変化することで、回転する円柱状回転体の曲面位置が変動する場合には、焦点位置の調整は容易ではなく、結果として、レーザドップラー速度計を用いて円柱状回転体の曲面の速度を正確に測定することは困難である。
そこで、本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、レーザ光を用いて測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を正確に測定できる速度測定方法及び速度測定装置を提供することを目的とする。
本発明の速度測定方法は、測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を測定する速度測定方法において、レーザ発振部で、時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光を発振する発振ステップと、前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐ステップと、前記測定光の一部を、第1の光軸で前記円柱状回転体の曲面に照射して得られた反射光を受光し、前記測定光の一部を、第2の光軸で前記円柱状回転体の曲面に照射して得られた反射光を受光する受光ステップと、前記第1の光軸から得られた前記反射光及び前記参照光に基づく第1ビート周波数と、前記第2の光軸から得られた前記反射光及び前記参照光に基づく第2ビート周波数とを検出する周波数解析ステップと、既知の基準径を有する基準円柱状回転体が、静止又は基準速度で回転しているときに検出した前記第1ビート周波数と、測定対象となる円柱状回転体が回転しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である、第1周波数差を算出し、前記基準円柱状回転体が、静止又は前記基準速度で回転しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記測定対象となる円柱状回転体が回転しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である、第2周波数差を算出する周波数差算出ステップと、速度算出ステップと、を有し、前記基準円柱状回転体の回転軸を通る前記回転軸と平行な仮想面と、前記基準円柱状回転体の曲面とがなす直線上で、前記第1の光軸と前記第2の光軸とが交差しており、前記速度算出ステップは、前記レーザ光の波長と、前記基準径と、前記円柱状回転体の回転軸方向から見て、前記仮想面と前記第1の光軸とがなす第1光軸角度と、前記円柱状回転体の回転軸方向から見て、前記仮想面と前記第2の光軸とがなす第2光軸角度と、前記第1周波数差と、前記第2周波数差と、前記基準径に対する前記円柱状回転体の径の変化と前記レーザ光の周波数の変化との関係を示した定数kと、に基づいて、前記測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を測定する。
本発明の速度測定装置は、測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を測定する速度測定装置において、時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光を発振するレーザ発振部と、前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐器と、前記測定光の一部を、第1の光軸で前記円柱状回転体の曲面に照射しして得られた反射光を受光する第1測定ヘッドと、前記測定光の一部を、第2の光軸で前記円柱状回転体の曲面に照射して得られた反射光を受光する第2測定ヘッドと、前記第1の光軸から得られた前記反射光及び前記参照光に基づく第1ビート周波数と、前記第2の光軸から得られた前記反射光及び前記参照光に基づく第2ビート周波数とを検出する周波数解析部と、既知の基準径を有する基準円柱状回転体が、静止又は基準速度で回転しているときに検出した前記第1ビート周波数と、測定対象となる円柱状回転体が回転しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である、第1周波数差を算出し、前記基準円柱状回転体が、静止又は前記基準速度で回転しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記測定対象となる円柱状回転体が回転しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である、第2周波数差を算出する周波数差算出部と、速度算出部と、を有し、前記基準円柱状回転体の回転軸を通る前記回転軸と平行な仮想面と、前記基準円柱状回転体の曲面とがなす直線上で、前記第1の光軸と前記第2の光軸とが交差しており、前記速度算出部は、前記レーザ光の波長と、前記基準径と、前記円柱状回転体の回転軸方向から見て、前記仮想面と前記第1の光軸とがなす第1光軸角度と、前記円柱状回転体の回転軸方向から見て、前記仮想面と前記第2の光軸とがなす第2光軸角度と、前記第1周波数差と、前記基準径に対する前記円柱状回転体の径の変化と前記レーザ光の周波数の変化との関係を示した定数kと、に基づいて、前記測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を測定する。
本発明の速度測定方法及び速度測定装置によれば、レーザ光の波長と、基準径と、第1光軸角度と、第2光軸角度と、定数kとの各情報を取得することで、算出した第1周波数差及び第2周波数差を用いて、測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を算出することができ、レーザ光を用いて測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を正確に測定できる。
本発明者らは、一般的なFSF(Frequency-Shifted Feedback)レーザを用いた距離測定装置を用いて、円柱形状における、対向する一対の円形状端面の中心を貫く回転軸を中心に回転する、円柱状回転体について、円柱状回転体の外周側面の表面をなす曲面までの距離を測定したところ、その曲面の速度Vによって、距離計から得られる測定距離が変化してしまうことを確認した。そこで、本発明者らは、このような測定距離が変化する原因について鋭意検討を行った。
その結果、本発明者らは、レーザ発振器を用いて、回転している円柱状回転体までの距離を測定する際に、測定距離が見掛け上シフトしてしまうのは、レーザ光がドップラーシフトによる影響を受けていると考えられることを見出した。より具体的には、測定距離がシフトする原因として、(i)円柱状回転体の表面が移動しているためドップラーシフトの影響を受けていることと、(ii)FSFレーザの光軸が、円柱状回転体の表面の曲面に対して傾いているため、曲面の位置(曲面までの距離)が変化することで、FSFレーザが照射される位置(照射位置)が変わること、であるためと推測した。
こうした推測に基づき、見掛け上生じる測定値のシフトを排除し、回転する円柱状回転体の表面の速度Vを高精度に測定する方法及びそのための装置について検討を行った。また、併せて、円柱状回転体までの距離を測定することについても検討を行った。以下図面について、本発明の第一の実施形態を詳述する。
なお、円柱状回転体には、円柱形状の内部が物質で充填された物体のみならず、鋼管のように管状のものや円筒状のものを含むものとし、その場合には、回転軸を中心に回転させられるのであれば、円柱の内部に形成される空間の形状はいかなるものであってもよい。
なお、円柱状回転体には、円柱形状の内部が物質で充填された物体のみならず、鋼管のように管状のものや円筒状のものを含むものとし、その場合には、回転軸を中心に回転させられるのであれば、円柱の内部に形成される空間の形状はいかなるものであってもよい。
(1)<第一の実施形態>
(1−1)<本実施形態による測定ヘッドの構成>
図1は、本実施形態による速度測定装置に設けられる第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bを示す。これら第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは同一構成を有するものである。本発明の速度測定装置は、既知の周波数変調速度で変調されたFSF(Frequency-Shifted Feedback)レーザ光を発振するレーザ発振器を備えており、FSFレーザ光(以下、単にレーザ光とも称する)を、それぞれ第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから第1測定光及び第2測定光として、回転する円柱状回転体P1の表面をなす曲面S1に照射する。なお、この場合の円柱状回転体P1は、回転に起因する曲面S1の速度が未知であり、表面が空間上どの程度の距離離れているかも未知のものであり、測定によって、そうした未知の情報のいくつかを明らかにしたいと考える対象である。
(1−1)<本実施形態による測定ヘッドの構成>
図1は、本実施形態による速度測定装置に設けられる第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bを示す。これら第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは同一構成を有するものである。本発明の速度測定装置は、既知の周波数変調速度で変調されたFSF(Frequency-Shifted Feedback)レーザ光を発振するレーザ発振器を備えており、FSFレーザ光(以下、単にレーザ光とも称する)を、それぞれ第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから第1測定光及び第2測定光として、回転する円柱状回転体P1の表面をなす曲面S1に照射する。なお、この場合の円柱状回転体P1は、回転に起因する曲面S1の速度が未知であり、表面が空間上どの程度の距離離れているかも未知のものであり、測定によって、そうした未知の情報のいくつかを明らかにしたいと考える対象である。
図1において、点線で表したP1は、曲面S1の速度Vを測定する、測定対象となる円柱状回転体を示している。一方、実線で表したPは、測定対象となる円柱状回転体P1に対し、既知の径(以下、基準径Rと称する)を有し基準となる円柱状回転体(以下、基準円柱状回転体とも称する)を示しており、測定対象となる円柱状回転体P1の表面をなす曲面S1の速度Vを測定する際に基準とするものである。図1の例では、測定対象となる円柱状回転体P1は、基準円柱状回転体Pの基準径Rよりも△Rだけ大きくなっている例を示している。
なお、曲面S1を有する円柱状回転体P1としては、例えば、鋼管等のような筒状の円柱状回転体、その他、丸ビレッド、圧延ロール、熱延・冷延コイルのような、種々の円柱状回転体であってもよい。図1では、扇状の円柱状回転体P1が示されているが、これは円柱状回転体P1のうち一部の断面部分だけを示したものである。本実施形態では、円柱状回転体P1の円形中心点を回転軸O1とし、曲面S1が逆時計回り方向に回転する一例を示す。また、本実施形態では、基準円柱状回転体Pの中心軸も回転軸O1と一致している。
本実施形態において、第1測定ヘッド5aから照射される第1測定光の光軸(以下、第1の光軸とも称する)ax1は、円柱状回転体P1の回転軸O1と直交し円柱状回転体P1の回転方向Xに沿った面内に存在している。また、第2測定ヘッド5bから照射される第2測定光の光軸(以下、第2の光軸とも称する)ax2も、円柱状回転体P1の回転軸O1と直交し円柱状回転体P1の回転方向Xに沿った面内に存在している。なお、第1測定ヘッド5aの光軸ax1と第2測定ヘッド5bの光軸ax2は、必ずしも同一面内に存在している必要はなく、円柱状回転体P1の回転軸O1と直交し円柱状回転体P1の回転方向Xに沿った面内にそれぞれ存在していれば、円柱状回転体P1の曲面S上で回転軸方向(図1において紙面奥行き方向)にずれていてもよい。
また、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを測定するに先立ち用いる基準円柱状回転体Pに着目すると、基準円柱状回転体Pの回転軸O1を通り、当該回転軸O1と平行な仮想面を仮定したとすると、当該仮想面と基準円柱状回転体Pの曲面Sとがなす直線(以下、光軸基準線と称する)上において、第1測定光の光軸ax1と第2測定光の光軸ax2とが交差するように、基準円柱状回転体P、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b等が、設計される。
ここで、光軸基準線は、上記の通り、基準円柱状回転体Pの回転軸O1を通り、当該回転軸O1と平行な仮想面と、基準円柱状回転体Pの曲面Sとがなす直線であるため、回転軸O1と光軸基準線とを最短距離で結ぶ直線(以下、測定基準線と称する)は、回転軸O1に平行な方向から見て、任意の方向を向き得ることになるが、以下では、説明を簡単にするために、測定基準線が、鉛直方向下向きを向いた例で説明を行うが、本願発明はその場合に限定されるものではない。
ここで、第1測定ヘッド5aから照射される第1測定光の光軸(第1の光軸)ax1の傾き(以下、第1光軸角度θ1と称する)について、基準円柱状回転体Pに着目して説明する。この場合、第1光軸角度θ1とは、基準円柱状回転体Pの回転軸O1と直交し基準円柱状回転体Pの外周方向(すなわち、円柱状回転体P1が回転する方向(回転方向X))に沿った面内において、鉛直方向Zと第1の光軸ax1とがなす角度である。言い換えれば、第1光軸角度θ1は、基準円柱状回転体Pを回転軸方向から見て、前記仮想面と第1の光軸ax1とがなす角度である。
また、第2測定ヘッド5bから照射される第2測定光の光軸(第2の光軸)ax2の傾き(以下、第2光軸角度θ2と称する)についても、基準円柱状回転体Pに着目して説明する。この場合、第2光軸角度θ2とは、基準円柱状回転体Pの回転軸O1と直交し基準円柱状回転体Pの外周方向(すなわち、円柱状回転体P1の回転方向X)に沿った面内において、鉛直方向Zと第2測定光の光軸ax2とがなす角度である。言い換えれば、第2光軸角度θ2は、円柱状回転体P1を回転軸方向から見て、前記仮想面と第2の光軸ax2とがなす角度である。
(1−2)<第一の実施形態による速度測定装置について>
第一の実施形態における速度測定装置は、円柱状回転体P1までの距離を測定せずに、回転方向Xにおける円柱状回転体P1の曲面S1の速度のみを測定する。図2に示すように、本実施形態の速度測定装置1は、FSFレーザ光を発振するレーザ発振器2、分岐器3a,3b,3c、サーキュレータ(方向性結合器)4a,4b、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b、結合器(光ファイバカプラ)6a,6b、第1光検出部7a、第2光検出部7b、及び演算処理装置11を有する。
第一の実施形態における速度測定装置は、円柱状回転体P1までの距離を測定せずに、回転方向Xにおける円柱状回転体P1の曲面S1の速度のみを測定する。図2に示すように、本実施形態の速度測定装置1は、FSFレーザ光を発振するレーザ発振器2、分岐器3a,3b,3c、サーキュレータ(方向性結合器)4a,4b、第1測定ヘッド5a、第2測定ヘッド5b、結合器(光ファイバカプラ)6a,6b、第1光検出部7a、第2光検出部7b、及び演算処理装置11を有する。
レーザ発振器2は、FSFレーザ光を発振するレーザ発振器である。ここで、FSFレーザ光とは、光の周波数を変化させる素子(周波数シフト素子)を備えた共振器(図示せず)を用いて、周波数シフトを受けた光を帰還することにより発振されて生じるレーザ光を意味する。
図3は、FSFレーザ光の出力を模式的に表した図である。図3に示すように、FSFレーザ光は、共振器内の光波が周回ごとに周波数シフトを受けながら、共振器の利得曲線(周波数−振幅曲線)に従って増幅され、減衰して、最終的には消滅する。FSFレーザ光の発振出力においては、このような瞬時周波数成分が複数、一定の周波数間隔で櫛状に存在している。
図3中、τRTは共振器の周回時間を表し、νFSは周回あたりの周波数シフト量を表す。1/τRTは、共振器の縦モード周波数間隔(チャープ周波数コム間隔)を示し、rsは、FSFレーザ光の瞬時周波数の単位時間あたりの変化量、すなわち、周波数変調速度を示す。
図2に示すように、レーザ発振器2から出力されたレーザ光(FSFレーザ光)は、光ファイバを介して分岐器3aに入射される。分岐器3aは、レーザ発振器2から入射されたレーザ光を、測定光と参照光とに分岐する。また、分岐器3aにおいて分岐された測定光は、光ファイバを介して分岐器3bに入射される。この分岐器3bは、測定光を、第1測定光と第2測定光とに分岐する。なお、これら第1測定光及び第2測定光については、それぞれ単に測定光とも称する。
分岐器3bにおいて分岐された第1測定光は、第1の光ファイバ光路8aを経由して第1測定ヘッド5aに導かれる。第1の光ファイバ光路8aは、第1測定光が分岐器3bから出て第1測定ヘッド5aに至るまでの間にサーキュレータ4aを有している。サーキュレータ4aは、分岐器3bからの第1測定光を第1測定ヘッド5aに出射し、第1測定ヘッド5aから入射した第1反射光を結合器6aに出射する。
第1測定ヘッド5aには、第1の光ファイバ光路8aの端部9aと、集光レンズ9bとが内部に設けられている。第1測定ヘッド5aは、レーザ発振器2から第1の光ファイバ光路8aを介して伝送された第1測定光を、第1の光ファイバ光路8aの端部9aから出射して集光レンズ9bにより集光した後、例えば、円柱状回転体P1の曲面S1に向けて照射する。第1測定ヘッド5aは、回転方向Xに所定の速度Vで回転している円柱状回転体P1の曲面S1、或いは、静止している基準円柱状回転体Pの曲面Sに向けて第1測定光を照射する。
第1測定光を第1の光軸ax1で円柱状回転体P1の曲面S1に照射することで、円柱状回転体P1の曲面S1で反射した第1反射光を得る。第1反射光は、集光レンズ9bで集光された後、第1の光ファイバ光路8aの端部9aで受光され、第1の光ファイバ光路8aを経由して結合器6aに入射される。具体的には、第1測定ヘッド5aで受光した第1反射光は、第1測定光が通った光ファイバと同一の光ファイバを通じてサーキュレータ4aに導かれ、サーキュレータ4aから光ファイバを通じて結合器6aに導かれる。
一方、最初の分岐器3aで分岐された参照光は、光ファイバを介して分岐器3cに入射される。この分岐器3cは、参照光を、第1参照光と第2参照光とに分岐する。なお、これら第1参照光及び第2参照光については、それぞれ単に参照光とも称する。分岐器3cで分岐された第1参照光は、第3の光ファイバ光路8cを通じて第1光検出部7aに導かれる。具体的には、分岐器3cから出射した第1参照光は、所定の光路長の光ファイバを通じて結合器6aに導かれる。結合器6aは、第1参照光と第1反射光とを、光ファイバを通じてそれぞれ第1光検出部7aに入射させる。
第1光検出部7aは、第1反射光及び第1参照光を受光する。第1光検出部7aに同時に入射する第1反射光と第1参照光とは、それぞれのレーザ光がレーザ発振器2を出射してから第1光検出部7aに入射するまでに通った光路長の差に対応する周波数差を有するので、第1反射光と第1参照光との光干渉によりビート信号が発生する。第1光検出部7aは、このビート信号を検出し、これを演算処理装置11に送出する。
一方、上述した分岐器3bにおいて分岐された第2測定光は、第2の光ファイバ光路8bを経由して第2測定ヘッド5bに導かれる。第2の光ファイバ光路8bは、第2測定光が分岐器3bから出て第2測定ヘッド5bに至るまでの間にサーキュレータ4bを有している。サーキュレータ4bは、分岐器3bからの第2測定光を第2測定ヘッド5bに出射し、第2測定ヘッド5bから入射した第2反射光を結合器6bに出射する。
第2測定ヘッド5bは、第1測定ヘッド5aと同様の構成を有しており、レーザ発振器2から第2の光ファイバ光路8bを介して伝送された第2測定光を、第2の光ファイバ光路8bの端部9aから出射して集光レンズ9bにより集光した後、円柱状回転体P1の曲面S1に向けて照射する。第2測定ヘッド5bも、回転方向Xに所定の速度Vで回転している円柱状回転体P1の曲面S1、或いは、静止している基準円柱状回転体Pの曲面Sに向けて第2測定光を照射する。
第2測定光を第2の光軸ax2で円柱状回転体P1の曲面S1に照射することで、円柱状回転体P1の曲面S1で反射した第2反射光を得る。第2反射光は、集光レンズ9bで集光された後、第2の光ファイバ光路8bの端部9aで受光され、第2の光ファイバ光路8bを経由して結合器6bに入射される。具体的には、第2測定ヘッド5bで受光した第2反射光は、第2測定光が通った光ファイバと同一の光ファイバを通じてサーキュレータ4bに導かれ、サーキュレータ4bから光ファイバを通じて結合器6bに導かれる。なお、上述した第1反射光及び第2反射光については、それぞれ単に反射光とも称する。
一方、分岐器3cで分岐された第2参照光は、第4の光ファイバ光路8dを通じて第2光検出部7bに導かれる。具体的には、分岐器3cから出射した第2参照光は、所定の光路長の光ファイバを通じて結合器6bに導かれる。結合器6bは、第2参照光と第2反射光とを、光ファイバを通じてそれぞれ第2光検出部7bに入射させる。
第2光検出部7bは、第2反射光及び第2参照光を受光する。第2光検出部7bに同時に入射する第2反射光と第2参照光とは、それぞれのレーザ光がレーザ発振器2を出射してから第2光検出部7bに入射するまでに通った光路長の差に対応する周波数差を有するので、第2反射光と第2参照光との光干渉によりビート信号が発生する。第2光検出部7bは、このビート信号を検出し、これを演算処理装置11に送出する。
演算処理装置11は、第1光検出部7aで検出した第1反射光と第1参照光において、第1反射光と第1参照光とが光干渉することにより生じるビート信号の周波数(第1ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出する。
また、演算処理装置11は、第2光検出部7bで検出した第2反射光と第2参照光において、第2反射光と第2参照光とが光干渉することにより生じるビート信号の周波数(第2ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出する。
円柱状回転体P1が停止している場合においては、第1ビート周波数又は第2ビート周波数を、光路長に換算することで、円柱状回転体P1までの距離を求めることができる。
これに対して、円柱状回転体P1が回転している場合には、演算処理装置11は、後述する速度測定方法に従って演算処理を行うことにより、第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用いて、円柱状回転体P1が回転している際の曲面S1の速度Vを測定することができる。
(1−3)<本発明の速度測定方法について>
次に、本発明における速度測定方法について、図1、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4は、図1の第1測定ヘッド5aにのみ着目したときの概略図であり、図5は、図1の第2測定ヘッド5bにのみ着目したときの概略図である。
次に、本発明における速度測定方法について、図1、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4は、図1の第1測定ヘッド5aにのみ着目したときの概略図であり、図5は、図1の第2測定ヘッド5bにのみ着目したときの概略図である。
この速度測定方法では、従来と同様に、レーザ光を用いて、測定対象となる円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを測定できるものである。速度測定方法では、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bの2つを用い、第1測定ヘッド5aから測定対象となる円柱状回転体P1の曲面S1に第1測定光を照射するとともに、第2測定ヘッド5bからも測定対象となる円柱状回転体P1の曲面S1に第2測定光を照射する。
この際、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは、円柱状回転体P1に対して異なる位置に配置されており、円柱状回転体P1の回転軸O1と直交し円柱状回転体P1が回転する方向(回転方向X)に沿った面内において、第1測定ヘッド5aの光軸ax1の傾き(第1光軸角度θ1)が所定の角度に設定されているとともに、円柱状回転体P1の回転軸O1と直交し円柱状回転体P1が回転する方向(回転方向X)に沿った面内において、第2測定ヘッド5bの光軸ax2の傾き(第2光軸角度θ2)が所定の角度に設定されている。即ち、第1光軸角度θ1は、円柱状回転体P1の回転軸方向から見て、前記仮想面(回転軸O1を通り、当該回転軸O1と平行な面)と第1測定ヘッド5aの光軸ax1とがなす角度であり、第2光軸角度θ2は、円柱状回転体P1の回転軸方向から見て、前記仮想面と第2測定ヘッド5bの光軸ax2とがなす角度である。
ここで、図1は、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから所定距離離れた所定位置に回転軸O1を有し、回転方向Xに沿って曲面S1が速度Vで回転している円柱状回転体P1を示す。また、図1は、基準円柱状回転体として、前記所定位置に回転軸を有し、既知の径である基準径Rを有し、静止させた基準円柱状回転体Pも示している。
即ち、基準円柱状回転体Pは静止しているため、ドップラー効果が生じず、速度測定装置1を用いて基準円柱状回転体Pまでの距離を測定したとしても、上述した測定距離の見掛け上のシフトは生じず、真の距離を測定することができる。
ここで、基準径Rとは異なる径(R+△R)を有する円柱状回転体P1の曲面S1と、基準径Rを有する基準円柱状回転体Pの曲面Sとの(例えば、測定ヘッドから見た)距離の差を、以下、径変化量△Rと称する。なお、図1、図4及び図5においては、基準径Rを有する基準円柱状回転体Pの一例として、基準径Rとは異なる径(R+△R)を有し回転している円柱状回転体P1から、鉛直方向Zに沿って、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから遠ざかる方向に、径変化量△Rだけ径が変化した基準円柱状回転体Pを示している。
例えば、基準径Rを有し静止状態にある基準円柱状回転体Pの曲面Sから反射してきた第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数(第1基準周波数)と、基準径Rとは異なる径(R+△R)を有し回転している円柱状回転体P1の曲面S1から反射してきた第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数との周波数の差(以下、第1周波数差と称する)を、△f1とすると、第1周波数差△f1は、径変化量△Rにより第1測定光の照射位置Za1が変化することによる影響と、ドップラーシフトによる影響とを受けることから、次の式(1)で表すことができる。
△f1=k(△R−△L1)/cosθ1+(2Vsin(θ1−△θ1))/λ …(1)
θ1は、上述した第1光軸角度を示し、λはレーザ光の波長を示す。kは、例えば、基準径Rに対して円柱状回転体P1の径を変化させると、どれだけレーザ光の周波数が変化するかの関係を示した定数である。
円柱状回転体P1の径が基準径Rとは異なる径(R+△R)になると、第1測定光が照射される曲面S1上の照射位置Za2は、照射位置Za1と比べて回転方向X及び鉛直方向Zに移動するが、△L1は、その場合における、鉛直方向Z(より厳密には、測定基準線に沿った方向)の距離変化量を示す。より具体的には、△L1は、基準円柱状回転体Pでのレーザ光(第1測定光)の照射位置Za1を、径変化量△Rだけ鉛直方向Zに移動した位置Za3(即ち、位置Za3は、基準径Rを有する基準円柱状回転体Pの曲面S1上の点に対応する)と、円柱状回転体P1でのレーザ光の照射位置Za2との、鉛直方向Zにおける距離を示す。
また、測定対象となる円柱状回転体P1の径が、基準径Rとは異なる径(R+△R)である場合、基準円柱状回転体Pのときのレーザ光(第1測定光)の照射位置Za1が照射位置Za2に変化するが、△θ1は、照射位置Za1から照射位置Za2に変化したことにより、第1測定光の第1の光軸ax1が円柱状回転体P1の曲面S1に入射する際に生じる、入射角度の変化量(第1の角度変化量とも称する)を示す。すなわち、第1の角度変化量△θ1は、基準円柱状回転体Pの曲面Sに対する第1の光軸ax1の入射角度と、円柱状回転体P1のときに円柱状回転体P1の曲面S1に対する第1の光軸ax1の入射角度との差であり、より詳細には、照射位置Za2における曲面S1の法線N1が鉛直方向Zとなす角度と、照射位置Za1における曲面Sの法線が鉛直方向Zとなす角度との差である。なお、本実施形態においては説明を簡単にするため、図4に示すように、照射位置Za1での曲面Sの法線は、(測定基準線に沿った方向ではなく)鉛直方向Zに一致すると見なして以下説明する。
上記の式(1)のうち、第一項は、第1測定ヘッド5aから基準円柱状回転体Pまでの距離と、第1測定ヘッド5aから円柱状回転体P1までの距離とが変化することによる、レーザ光(第1反射光)の周波数変化量を示した項である。一方、上記の式(1)の第二項は、円柱状回転体P1が回転方向Xに回転することで生じるドップラーシフトの影響による、レーザ光(第1反射光)の周波数変化量を示した項である。
ここで、上記の式(1)中の未知数である径変化量△Rと距離変化量△L1と角度変化量△θ1の関係は、幾何学的に下記の式(2)及び式(3)で表すことができる。なお、Rは、基準円柱状回転体Pの基準径Rであり、基準円柱状回転体Pの中心である回転軸O1から曲面Sまでの距離を示す。
(R+△R)cos△θ1=R+△R−△L1 …(2)
(R+△R)sin△θ1=(△R−△L1)tanθ1 …(3)
これら式(2)及び式(3)から、距離変化量△L1と角度変化量△θ1を求めると、下記の式(4)及び式(5)が得られる。
△L1=((R+△R+△Rtan2θ1)-(R2+△R2+2R△R+2R△Rtan2θ1+△R2tan2θ1)1/2)/(1+tan2θ1) …(4)
△θ1=tan-1(((△R-△L1)tanθ1)/(R+△R-△L1)) …(5)
以上より、上記の式(1)、式(4)及び式(5)から、上記の式(1)の右辺は、定数k、レーザ光の波長λ、基準径R、第1光軸角度θ1、径変化量△R、及び、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vで表すことができる。このうち定数k、レーザ光の波長λ、基準径R及び第1光軸角度θ1については、予め取得することができ、径変化量△R及び曲面S1の速度Vは未知数となる。
また、第2測定ヘッド5bに関しても同様に、基準径Rを有し静止状態にある基準円柱状回転体Pの曲面Sから反射してきた第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数(第2基準周波数)と、基準径Rとは異なる径(R+△R)を有し回転している円柱状回転体P1の曲面S1から反射してきた第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数との周波数の差(以下、第2周波数差と称する)を、△f2とすると、第2周波数差△f2も、径変化量△Rにより第1測定光の照射位置Zb1が変化することによる影響と、ドップラーシフトによる影響とを受けることから、次の式(6)で表すことができる。
Δf2=k(△R−△L2)/cosθ2+(2Vsin(θ2−△θ2))/λ …(6)
なお、第1測定ヘッド5aと第2測定ヘッド5bは同一構成のものを用いていることから、定数kについては、第1測定ヘッド5aのときと同じとなる。
図5に示すように、θ2は、上述した第2光軸角度を示し、λはレーザ光の波長を示す。測定対象となる円柱状回転体P1の径が、基準径Rとは異なる径(R+△R)になると、第2測定光が照射される曲面S1上の照射位置Zb2は、基準円柱状回転体Pのときの照射位置Zb1と比べて回転方向X及び鉛直方向Zに移動するが、△L2は、その場合における、鉛直方向Z(より厳密には、測定基準線に沿った方向)の距離変化量を示す。より具体的には、△L2は、基準円柱状回転体Pでのレーザ光(第2測定光)の照射位置Zb1を、径変化量△Rだけ鉛直方向Zに移動した位置Zb3(即ち、位置Zb3は、基準径Rを有する基準円柱状回転体Pの曲面S1上の点に対応する)と、測定対象となる円柱状回転体P1でのレーザ光の照射位置Zb2との、鉛直方向Zにおける距離を示す。
また、測定対象となる円柱状回転体P1の径が、基準径Rとは異なる径(R+△R)である場合、基準円柱状回転体Pのときのレーザ光(第2測定光)の照射位置Zb1が照射位置Zb2に変化するが、△θ2は、照射位置Zb1から照射位置Zb2に変化したことにより、第2測定光の第2の光軸ax2が円柱状回転体P1の曲面S1に入射する際に生じる、入射角度の変化量(第2の角度変化量とも称する)を示す。すなわち、第2の角度変化量△θ2は、基準円柱状回転体Pの曲面Sに対する第2の光軸ax2の入射角度と、円柱状回転体P1のときに円柱状回転体P1の曲面S1に対する第2の光軸ax2の入射角度との差であり、より詳細には、照射位置Zb2における曲面S1の法線N2が鉛直方向Zとなす角度と、照射位置Zb1における曲面Sの法線が鉛直方向Zとなす角度との角度の差である。なお、本実施形態においては説明を簡単にするため、図5に示すように、照射位置Zb1での曲面Sの法線は、(測定基準線に沿った方向ではなく)鉛直方向Zに一致すると見なして以下説明する。
上記の式(6)のうち、第一項は、第2測定ヘッド5bから基準円柱状回転体Pまでの距離と、第2測定ヘッド5bから円柱状回転体P1までの距離とが変化することによる、レーザ光(第2反射光)の周波数変化量を示した項である。一方、上記の式(6)の第二項は、円柱状回転体P1が回転方向Xに回転することで生じるドップラーシフトの影響による、レーザ光(第2反射光)の周波数変化量を示した項である。
この場合も、上記の式(1)と同様、上記の式(6)中の未知数である径変化量△Rと距離変化量△L2と角度変化量△θ2の関係は、幾何学的に下記の式(7)及び式(8)で表すことができる。
(R+△R)cos△θ2=R+△R−△L2 …(7)
(R+△R)sin△θ2=(△R−△L2)tanθ2 …(8)
これら式(7)及び式(8)から、距離変化量△L2と角度変化量△θ2を求めると、下記の式(9)及び式(10)が得られる。
△L2=((R+△R+△Rtan2θ2)-(R2+△R2+2R△R+2R△Rtan2θ2+△R2tan2θ2)1/2)/(1+tan2θ2) …(9)
△θ2=tan-1(((△R-△L2)tanθ2)/(R+△R-△L2)) …(10)
以上より、上記の式(6)、式(9)及び式(10)から、上記の式(6)の右辺は、定数k、レーザ光の波長λ、基準径R、第2光軸角度θ2、径変化量△R、及び、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vで表すことができる。
このように、上記の式(1)の右辺を、定数k、レーザ光の波長λ、基準径R、第1光軸角度θ1、径変化量△R及び曲面S1の速度Vで表した式と、上記の式(6)の右辺を、定数k、レーザ光の波長λ、基準径R、第2光軸角度θ2、径変化量△R及び曲面S1の速度Vで表した式と、から、円柱状回転体P1が回転方向Xに回転する際の曲面S1の速度Vを算出することができる。
これらの式を数値解析で解くことが望ましいが、角度変化量△θ1,△θ2が微小である場合は、近似式を用いて簡易的に曲面S1の速度Vを算出することが可能である。
角度変化量△θ1が微小であるとした場合、上記の式(1)は下記の式(11)で表すことができる。
△f1=k(△R−△L1)/cosθ1+(2V(sinθ1−△θ1cosθ1))/λ …(11)
さらに、上記の式(2)及び式(3)も近似できるため、距離変化量△L1と角度変化量△θ1はそれぞれ下記の式(12)及び式(13)で表すことができる。
△L1=0 …(12)
△θ1=△Rtanθ1/(R+△R) …(13)
上記の式(12)及び式(13)を式(11)に代入すると、下記の式(14)を得ることができる。
△f1=k△R/cosθ1+(2Vsinθ1(R/(R+ΔR)))/λ …(14)
また、同様に、角度変化量△θ2が微小であるとした場合、上記の式(6)は下記の式(15)で表すことができる。
△f2=k(△R−△L2)/cosθ2+(2V(sinθ2−△θ2cosθ2))/λ …(15)
さらに、上記の式(7)及び式(8)も近似できるため、距離変化量△L2と角度変化量△θ2はそれぞれ下記の式(16)及び式(17)で表すことができる。
△L2=0 …(16)
△θ2=△Rtanθ2/(R+△R) …(17)
上記の式(16)及び式(17)を式(15)に代入すると、下記の式(18)を得ることができる。
△f2=k△R/cosθ2+(2Vsinθ2(R/(R+ΔR)))/λ …(18)
なお、上記の式(19)内のEは下記の式(20)で表され、上記の式(19)内のFは下記の式(21)で表される。
また、上記の式(19)内のAi、Bi、Ci及びDi(i=1,2)は下記の式で表される。
Ai=k/cosθi (i=1,2)
Bi=(k/cosθi)R−△fi (i=1,2)
Ci=(2Rsinθi)/λ (i=1,2)
Di=−R△fi (i=1,2)
Bi=(k/cosθi)R−△fi (i=1,2)
Ci=(2Rsinθi)/λ (i=1,2)
Di=−R△fi (i=1,2)
ここで、レーザ光の波長λについては、分光器等で予め測定することで取得可能であり、基準円柱状回転体Pの基準径Rについても、測定器等で予め測定することで取得可能である。上記の式内の定数kについても、例えば、径変化量△Rを設けて、異なる位置でそれぞれ基準円柱状回転体P及び円柱状回転体P1を静止させ、各位置での基準円柱状回転体P及び円柱状回転体P1からの第1反射光(又は第2反射光)の周波数をそれぞれ測定し、このときの第1反射光(又は第2反射光)の周波数変化量と、径変化量△Rと、から算出することができる。
具体的には、基準径Rとは異なる径(R+△R)を有し静止させた円柱状回転体P1に対して、例えば第1測定ヘッド5aから第1測定光を照射し、得られた第1反射光の周波数を測定する。また、基準径Rを有し静止させた基準円柱状回転体Pに対して、例えば第1測定ヘッド5aから第1測定光を照射し、得られた第1反射光の周波数を測定する。これにより、円柱状回転体P1及び基準円柱状回転体Pの各位置で測定した各第1反射光の周波数から周波数差△f11を算出し、k=△f11/△Rの式を基に、定数kを算出することができる。
なお、上述したように、第1測定ヘッド5aと第2測定ヘッド5bは、同じ構成からなるものを使用しているため、第1測定ヘッド5a又は第2測定ヘッド5bのいずれかを用いて、反射光の周波数差△f11を算出すればよい。
また、実際に基準径Rとは異なる径(R+△R)を有し静止させた円柱状回転体P1や、基準径Rを有し静止させた基準円柱状回転体Pを用いた試験を行うことなく、k=2rS/cとした演算で、kを求めることも可能である。rsはレーザ光の瞬時周波数の単位時間あたりの変化量、すなわち、周波数変調速度、cは空気中の光の速度を示す。
上記の式(19)における第1光軸角度θ1は、同じ位置で、円柱状回転体P1が回転方向Xに回転する際の曲面S1の速度Vを変え、円柱状回転体P1から反射した第1反射光と第1参照光とから得られた第1ビート周波数を、各曲面S1の速度でそれぞれ測定し、このときの第1ビート周波数の変化量と、曲面S1の速度Vの差と、から、それぞれ算出することができる。
また、第2光軸角度θ2についても、第1光軸角度θ1と同様に、同じ位置で、円柱状回転体P1が回転方向Xに回転する際の曲面S1の速度Vを変え、円柱状回転体P1から反射した第2反射光と第2参照光とから得られた第2ビート周波数を、各曲面S1の速度でそれぞれ測定し、このときの第2ビート周波数の変化量と、曲面S1の速度Vの差と、から、それぞれ算出することができる。
具体的には、上記の式(14)の第二項を利用して第1光軸角度θ1を算出でき、上記の式(18)の第二項を利用して第2光軸角度θ2を算出できる。例えば、同じ位置(すなわち径変化量△R=0)で基準円柱状回転体Pを回転方向Xに沿って複数の曲面Sの速度V1,V2で回転させ、これら曲面Sの速度V1,V2のときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数の差を、周波数差△f21として算出する。また、曲面Sの速度V1,V2の速度差を、校正用の曲面Sの速度VD1として算出する。
ここで、同じ位置で基準円柱状回転体Pの曲面Sの速度を単に変えているため、径変化量△Rはゼロとなり、上記の式(14)の第二項は、△f21=2VD1・Sinθ1/λとなる。よって、第1測定光の第1光軸角度θ1は、レーザ光の波長λと、校正用の曲面Sの速度VD1と、周波数差△f21とを用い、上記の式(1)の第二項(すなわち、△f21=2VD1・Sinθ1/λ)から算出することができる。
同様にして、第2測定光の第2光軸角度θ2についても、レーザ光の波長λと、校正用の曲面Sの速度VD1と、周波数差△f22とを用い、上記の式(18)の第二項(すなわち、△f22=2VD1・Sinθ2/λ)から算出することができる。
以上より、上記の式(19)において、レーザ光の波長λと、基準径Rと、第1光軸角度θ1と、第2光軸角度θ2と、定数kとについては事前に取得することができる。よって、第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2を測定することで、上記の式(19)から、円柱状回転体P1が回転している際の曲面S1の速度Vを算出することができる。
なお、速度測定装置1を構築した際に、正確に第1光軸角度θ1と第2光軸角度θ2が分かっている場合や、別の測定器で行われた正確な測定により第1光軸角度θ1と第2光軸角度θ2が分かっている場合には、その第1光軸角度θ1と第2光軸角度θ2とを用いて、直接上記式(19)から、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを算出することができる。
本実施形態においては、第1周波数差△f1の算出として、基準径Rを有する基準円柱状回転体Pが静止しているときに検出した第1ビート周波数と、基準径Rとは異なる径(R+△R)を有する円柱状回転体P1が回転しているときに検出した第1ビート周波数とを用いて、その周波数差を第1周波数差△f1として算出したが、本発明はこれに限らない。例えば、基準径Rを有する基準円柱状回転体Pが既知の基準速度で回転しているときに検出した第1ビート周波数と、基準径Rとは異なる径(R+△R)を有する円柱状回転体P1が基準速度以外で回転しているときに検出した第1ビート周波数とを用い、その周波数差を算出して第1周波数差△f1としてもよい。
また、同様に、第2周波数差△f2の算出についても、基準径Rを有する基準円柱状回転体Pが静止しているときに検出した第2ビート周波数を用いる必要はなく、例えば、基準径Rを有する基準円柱状回転体Pが既知の基準速度で回転しているときに検出した第2ビート周波数と、基準径Rとは異なる径(R+△R)を有する円柱状回転体P1が基準速度以外で回転しているときに検出した第2ビート周波数とを用い、その周波数差を算出して第2周波数差△f2としてもよい。なお、本実施形態では、第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2については、基準径Rを有し基準円柱状回転体Pが静止しているときに検出した第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用いて算出する場合について、以下説明する。
(1−4)<演算処理装置について>
次に、上述した速度測定方法を実行する演算処理装置11(図2)について以下説明する。この演算処理装置11は、上記の式(19)を基に、円柱状回転体P1が回転する際の曲面S1の速度Vを、距離を求めることなく測定できるものである。図6は、演算処理装置11の回路構成を示したブロック図である。図6に示すように、演算処理装置11は、周波数解析部17、距離算出部18、算出部13、定数取得部14及び基準径・波長取得部16を備えている。
次に、上述した速度測定方法を実行する演算処理装置11(図2)について以下説明する。この演算処理装置11は、上記の式(19)を基に、円柱状回転体P1が回転する際の曲面S1の速度Vを、距離を求めることなく測定できるものである。図6は、演算処理装置11の回路構成を示したブロック図である。図6に示すように、演算処理装置11は、周波数解析部17、距離算出部18、算出部13、定数取得部14及び基準径・波長取得部16を備えている。
なお、周波数解析部17は、第1周波数解析部17a及び第2周波数解析部17bを有している。第1周波数解析部17aは、第1反射光と第1参照光とが光干渉することにより生じるビート信号を第1光検出部7aから受け、当該ビート信号の周波数(第1ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出し、この検出結果を距離算出部18及び算出部13に送出する。
また、第2周波数解析部17bは、第2反射光と第2参照光とが光干渉することにより生じるビート信号を第2光検出部7bから受け、当該ビート信号の周波数(第2ビート周波数)を、所定の検出周波数範囲内で検出し、この検出結果を距離算出部18及び算出部13に送出する。
距離算出部18は、この第1ビート周波数又は第2ビート周波数を、光路長の差に変換することで、円柱状回転体P1の曲面S1までの距離を算出する。なお、距離算出部18で、第1ビート周波数又は第2ビート周波数から距離を測定する場合には、円柱状回転体P1が回転していると、上述の通りドップラー効果により測定距離が見掛け上シフトしてしまうため、既知の基準径Rを有して静止した基準円柱状回転体Pの曲面Sまでの距離を測定するものとしている。
算出部13は、基準周波数取得部22、周波数差算出部19、光軸角度取得部20及び速度算出部24を備えている。基準周波数取得部22は、第1基準周波数取得部18a及び第2基準周波数取得部18bを有しており、周波数差算出部19は、第1周波数差算出部19a及び第2周波数差算出部19bを有している。また、光軸角度取得部20は、第1光軸角度取得部20a及び第2光軸角度取得部20bを有している。
第1基準周波数取得部18aは、上記の式(19)にて用いる第1周波数差△f1を求める際に使用する第1基準周波数を取得するものである。第1基準周波数取得部18aは、静止状態かつ基準径Rを有する場合における第1ビート周波数、即ち、第1基準周波数を、第1周波数解析部17aから受け取り記憶している。
第1周波数差算出部19aは、上記の式(19)にて用いる第1周波数差△f1の他、必要に応じて第1光軸角度θ1を求める際に用いる第1周波数差を算出するものである。第1周波数差算出部19aは、第1周波数解析部17aを介して第1光検出部7aと接続されており、第1光検出部7aで検出された、回転している基準径Rとは異なる径(R+△R)を有する円柱状回転体P1に係る第1ビート周波数を示す信号を受ける。また、第1周波数差算出部19aは、第1基準周波数取得部18aと接続されており、第1基準周波数(第1ビート周波数)を示す信号を受ける。
これにより、第1周波数差算出部19aは、基準径Rとは異なる径(R+△R)を有し回転している円柱状回転体P1から検出した第1ビート周波数と、基準径Rを有し静止している基準円柱状回転体Pから検出した第1基準周波数との差を、第1周波数差△f1として算出する。第1周波数差算出部19aは、算出結果である第1周波数差△f1を示す情報を速度算出部24に送出する。
第2基準周波数取得部18bは、上記の式(19)にて用いる第2周波数差△f2を求める際に使用する第2基準周波数を取得するものである。第2基準周波数取得部18bは、第2周波数解析部17bから受け取った静止状態かつ基準径Rを有する場合における第2ビート周波数、即ち、第2基準周波数を記憶している。
第2周波数差算出部19bは、上記の式(19)にて用いる第2周波数差△f2の他、必要に応じて第2光軸角度θ2を求める際に用いる第2周波数差を算出するものである。第2周波数差算出部19bは、第2周波数解析部17bを介して第2光検出部7bと接続されており、第2光検出部7bで検出された、回転している基準径Rとは異なる径(R+△R)を有する円柱状回転体P1に係る第2ビート周波数を示す信号を受ける。また、第2周波数差算出部19bは、第2基準周波数取得部18bと接続されており、第2基準周波数(第2ビート周波数)を示す信号を受ける。
これにより、第2周波数差算出部19bは、回転している基準径Rとは異なる径(R+△R)を有し円柱状回転体P1から検出した第2ビート周波数と、基準径Rを有し静止している基準円柱状回転体Pから検出した第2基準周波数との差を、第2周波数差△f2として算出する。第2周波数差算出部19bは、算出結果である第2周波数差△f2を示す情報を速度算出部24に送出する。
第1光軸角度取得部20aは、上記の式(19)にて用いる第1光軸角度θ1を取得するものである。第1光軸角度取得部20aは、演算処理により第1光軸角度θ1を算出してもよく、また、計測手段により第1光軸角度θ1を測定して、実測値を取得してもよく、さらに、第1光軸角度θ1を予め単に記憶しているものでもよい。第1光軸角度取得部20aは、第1光軸角度θ1を示す情報を速度算出部24に送出する。
ここで、例えば、第1光軸角度θ1を実際の試験を行うことにより算出する場合は、例えば、基準円柱状回転体P又は円柱状回転体P1を回転方向Xに沿って複数の回転速度V1,V2で回転させ、これら回転速度V1,V2のときにそれぞれ検出した各第1ビート周波数を、第1周波数解析部17aから第1周波数差算出部19aへ送出する。第1周波数差算出部19aは、それらの第1ビート周波数の周波数の差を、周波数差△f21として算出し、これを第1光軸角度取得部20aに送出する。第1光軸角度取得部20aは、この周波数差△f21と、回転速度V1,V2の速度差を示す校正用の回転速度VD1と、波長λと、を取得し、上記の式(14)の第二項(すなわち、△f21=2VD1・Sinθ1/λ)から第1光軸角度θ1を算出する。
第2光軸角度取得部20bは、上記の式(19)にて用いる第2光軸角度θ2を取得するものである。第2光軸角度取得部20bは、演算処理により第2光軸角度θ2を算出してもよく、また、計測手段により第2光軸角度θ2を測定して、実測値を取得してもよく、さらに、第2光軸角度θ2を予め単に記憶しているものでもよい。第2光軸角度取得部20bは、第2光軸角度θ2を示した情報を速度算出部24に送出する。
ここで、例えば、第2光軸角度θ2を実際の試験を行うことにより算出する場合は、第1光軸角度θ1を算出するときと同様に、例えば、基準円柱状回転体P又は円柱状回転体P1を回転方向Xに沿って複数の回転速度V1,V2で移動させ、これら回転速度V1,V2のときにそれぞれ検出した各第2ビート周波数を第2周波数解析部17bから第2周波数差算出部19bへ送出する。第2周波数差算出部19bは、それらの第2ビート周波数の周波数の差を、周波数差△f22として算出し、これを第2光軸角度取得部20bに送出する。第2光軸角度取得部20bは、この周波数差△f22と、回転速度V1,V2の速度差を示す校正用の回転速度VD1と、波長λと、を取得し、上記の式(18)の第二項(すなわち、△f22=2VD1・Sinθ2/λ)から第2光軸角度θ2を算出する。
基準径・波長取得部16は、上記の式(19)にて用いるレーザ光の波長λと、基準径Rとを取得するものである。基準径・波長取得部16は、例えば、分光器等であり、レーザ発振器2で発振されるレーザ光の波長λを測定することで、波長λを取得する。基準径・波長取得部16は、波長λを示す情報を速度算出部24に送出する。また、基準径・波長取得部16は、事前に計測された基準円柱状回転体Pの基準径Rを予め記憶しており、基準径Rを示す情報を速度算出部24に送出する。
定数取得部14は、上記の式(19)にて用いる定数kを取得するものである。定数取得部14は、実際の試験を行うことにより定数kを算出してもよく、また、定数kを予め単に記憶しているだけであってもよい。定数取得部14は、定数kを示す情報を速度算出部24に送出する。
なお、定数kを実際の試験を行うことにより算出する場合は、例えば、円柱状回転体P1の径を既知の径変化量dだけ変化させ、変化前後の各径で検出した第1反射光の周波数差△f11を、第1周波数差算出部19aで算出する。定数取得部14は、この第1反射光の周波数差△f11と、位置を変えたときの円柱状回転体P1の径変化量dと、を取得して、k=△f11/dの式を基に、定数kを算出する。
速度算出部24は、取得した第1周波数差△f1、第2周波数差△f2、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2、定数k及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(19)に基づいて演算処理を行い、曲面S1の速度Vを算出する。このようにして、速度算出部24は、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを測定することができる。この際、上記式(19)から明らかなように、速度算出部24は、径変化量△Rをはじめとした距離の値を用いることなく、曲面S1の速度Vを算出することが可能である。
(1−5)<作用及び効果>
以上の構成において、本実施形態に係る速度測定装置1では、周波数が時間に対して変調するレーザ光を発振し(レーザ発振ステップ)、レーザ光を、参照光と測定光とに分ける(分岐ステップ)。第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bを用いて、測定光にあたるレーザ光を異なる位置から円柱状回転体P1の曲面S1に照射し、その反射光を第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bをそれぞれ用いて受光する(受光ステップ)。
以上の構成において、本実施形態に係る速度測定装置1では、周波数が時間に対して変調するレーザ光を発振し(レーザ発振ステップ)、レーザ光を、参照光と測定光とに分ける(分岐ステップ)。第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bを用いて、測定光にあたるレーザ光を異なる位置から円柱状回転体P1の曲面S1に照射し、その反射光を第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bをそれぞれ用いて受光する(受光ステップ)。
速度測定装置1は、第1測定ヘッド5aで受光した第1反射光と第1参照光とを干渉させて得られるビート信号を用いた第1ビート周波数を検出する。また、速度測定装置1は、第2測定ヘッド5bで受光した第2反射光と第2参照光とを干渉させて得られるビート信号を用いた第2ビート周波数を検出する(周波数解析ステップ)。
そして、速度測定装置1では、基準径Rを有し静止している基準円柱状回転体Pから検出した第1ビート周波数及び第2ビート周波数を、それぞれ第1基準周波数及び第2基準周波数として取得する。
速度測定装置1では、円柱状回転体P1が基準径Rと異なる径(R+△R)を有し回転しているときに検出された第1ビート周波数と、基準径Rを有した基準円柱状回転体Pが静止しているときに検出した第1基準周波数との差である第1周波数差△f1を算出する。また、速度測定装置1では、円柱状回転体P1が基準径Rと異なる径(R+△R)を有し回転しているときに検出された第2ビート周波数と、基準径Rを有した基準円柱状回転体Pが静止しているときに検出した第2基準周波数との差である第2周波数差△f2を算出する(周波数差算出ステップ)。
これにより、速度測定装置1では、レーザ光の波長λと、基準径Rと、第1測定光の第1光軸角度θ1と、第2測定光の第2光軸角度θ2と、定数kとの各情報を取得することで、算出した第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2を用いて、上記の式(19)から、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを算出することができる(速度算出ステップ)。
このように速度測定装置1では、曲面S1の速度を測定する際に一般に必要となる距離の値を測定することなく、レーザ光を利用して円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vについて測定することができる。
また、速度測定装置1では、円柱状回転体P1の径が基準径Rと異なる径(R+△R)になったときに曲面S1でレーザ光の照射位置Za2,Zb2が変化することにより生じる、照射位置Za2,Zb2の鉛直方向Zでの距離変化量△L1,△L2と、第1の光軸ax1で生じる第1の角度変化量△θ1と、第2の光軸ax2で生じる第2の角度変化量△θ2と、を考慮した式(19)を用いている。
これにより、速度測定装置1では、円柱状回転体P1の曲面S1でレーザ光の照射位置Za2,Zb2が変化した際に曲面S1の速度Vの測定誤差の原因となる、照射位置Za2,Zb2の距離変化量△L1,△L2及び角度変化量△θ1,△θ2を補正し得、その分、一段と正確に曲面S1の速度Vを測定できる。
また、この速度測定装置1では、単に上記の式(1)の第二項だけから曲面S1の速度Vを算出するものではなく、第1測定光及び第2測定光の両方を用いて、円柱状回転体P1の径変化量△R及び距離変化量△L1,△L2も考慮して上記の式(19)を求めていることから、基準径Rからずれて径変化量△Rが生じている円柱状回転体P1についても、上記の式(19)を基に、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを正確に算出することができる。
さらに、速度測定装置1では、例えば、上述した周波数差算出ステップを行い、基準径Rを有した基準円柱状回転体Pが静止しているときに検出される第1反射光及び第2反射光の各周波数の基準周波数情報を予め記憶しておくことが望ましい。
これにより、速度測定装置1では、円柱状回転体P1が基準径Rと異なる径(R+△R)を有し回転しているときの第1反射光及び第2反射光の各周波数を検出した際に、既に記憶している基準周波数情報(基準径Rを有する基準円柱状回転体Pを静止させたときの第1反射光及び第2反射光の各周波数の情報)を用い、即座に第1周波数差△f1及び第1周波数差△f2を算出できる。よって、円柱状回転体P1を回転させたときにリアルタイムで曲面S1の速度Vを測定することができる。
(2)<第二の実施形態>
以下図面について、本発明の第二の実施形態を詳述する。以下の説明において、第一の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
以下図面について、本発明の第二の実施形態を詳述する。以下の説明において、第一の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(2−1)<本実施形態による測定ヘッドの構成>
第二の実施形態でも、図1に示したような第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bを有している。これら第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは、上述した第一の実施形態と同一構成を有するものであり、FSFレーザ光(レーザ光)を第1測定光及び第2測定光として、回転する円柱状回転体P1の曲面S1に照射する。なお、これら第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bについては、上述した第一の実施形態と説明が重複するため、ここではその説明は省略する。
第二の実施形態でも、図1に示したような第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bを有している。これら第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bは、上述した第一の実施形態と同一構成を有するものであり、FSFレーザ光(レーザ光)を第1測定光及び第2測定光として、回転する円柱状回転体P1の曲面S1に照射する。なお、これら第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bについては、上述した第一の実施形態と説明が重複するため、ここではその説明は省略する。
(2−2)<第二の実施形態による速度測定装置について>
図2は、第二の実施形態における速度測定装置31の全体構成を示す。第二の実施形態における速度測定装置31は、回転方向Xにおける円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vに加えて、基準径Rから円柱状回転体P1の径までの距離の差分(径変化量△R)についても、一連の処理の中で同時的に測定できる点で、上述した第一の実施形態とは異なっている。本実施形態における速度測定装置31は、上述した第一の実施形態とは演算処理装置32の構成が相違しており、他の点については第一の実施形態と同様に構成されている。よって、ここでは、第一の実施形態とは異なる演算処理装置32により行われる演算処理に着目して以下説明する。
図2は、第二の実施形態における速度測定装置31の全体構成を示す。第二の実施形態における速度測定装置31は、回転方向Xにおける円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vに加えて、基準径Rから円柱状回転体P1の径までの距離の差分(径変化量△R)についても、一連の処理の中で同時的に測定できる点で、上述した第一の実施形態とは異なっている。本実施形態における速度測定装置31は、上述した第一の実施形態とは演算処理装置32の構成が相違しており、他の点については第一の実施形態と同様に構成されている。よって、ここでは、第一の実施形態とは異なる演算処理装置32により行われる演算処理に着目して以下説明する。
(2−3)<第二の実施形態における速度測定方法について>
先ずは、第二の実施形態における速度測定方法について説明する。この第二の実施形態における速度測定方法では、第一の実施形態と同様に、レーザ光を用いて円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを測定できる他、その際に、回転している円柱状回転体P1までの距離についても同時に測定できるものである。
先ずは、第二の実施形態における速度測定方法について説明する。この第二の実施形態における速度測定方法では、第一の実施形態と同様に、レーザ光を用いて円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを測定できる他、その際に、回転している円柱状回転体P1までの距離についても同時に測定できるものである。
ここで、第一の実施形態にて説明したように、上記の式(14)及び式(18)から、上記の式(19)に示したように、円柱状回転体P1が回転方向Xに回転する際の曲面S1の速度Vを算出することができるとともに、円柱状回転体P1の径変化量△Rを算出することもできる。これら上記の式(14)及び式(18)から、円柱状回転体P1の径変化量△Rを算出すると、下記の式(22)で表すことができる。
上記の式(22)内のAi、Bi、Ci及びDi(i=1,2)は、上記の式(19)で用いるAi、Bi、Ci及びDi(i=1,2)と同じである。
ここで、上記の式(22)において、レーザ光の波長λと、基準径Rと、第1光軸角度θ1と、第2光軸角度θ2と、定数kとについては、上述した第一の実施形態と同様に、事前に取得することができる。よって、第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2を測定することで、上記の式(22)から、測定対象である円柱状回転体P1の径変化量△Rを算出することができる。
なお、第二の実施形態においても、上述した第一の実施形態と同様に、第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2の算出については、基準径Rを有した基準円柱状回転体Pが静止しているときに検出した第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用いる必要はなく、例えば、基準径Rを有した基準円柱状回転体Pが基準速度で回転しているときに検出した第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用い、それぞれ第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2を算出してもよい。なお、ここでは、第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2については、基準径Rを有した基準円柱状回転体Pが静止しているときに検出した第1ビート周波数及び第2ビート周波数を用いて算出する場合について、以下説明する。
(2−4)<演算処理装置について>
次に、図7を用いて、第二の実施形態による演算処理装置32について以下説明する。この演算処理装置32は、上記の式(19)を基に、レーザ光を基に円柱状回転体P1が回転する際の曲面S1の速度Vを測定できる他、上記の式(22)を基に、円柱状回転体P1の基準径Rからの径変化量△Rについても、一連の処理の中で同時的に測定できるものである。図7は、この演算処理装置32の回路構成を示したブロック図である。
次に、図7を用いて、第二の実施形態による演算処理装置32について以下説明する。この演算処理装置32は、上記の式(19)を基に、レーザ光を基に円柱状回転体P1が回転する際の曲面S1の速度Vを測定できる他、上記の式(22)を基に、円柱状回転体P1の基準径Rからの径変化量△Rについても、一連の処理の中で同時的に測定できるものである。図7は、この演算処理装置32の回路構成を示したブロック図である。
図7に示すように、演算処理装置32は、算出部33に距離速度算出部21が設けられている点が、第一の実施形態と相違している。なお、その他の構成については、第一の実施形態と同様であるため、ここでは、距離速度算出部21に着目して以下説明し、第一の実施形態と同じ構成については説明を省略する。
この場合、距離速度算出部21は、径変化量算出部23と速度算出部24とを備えている。速度算出部24は、上述した第一の実施形態と同様に、取得した第1周波数差△f1、第2周波数差△f2、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2、定数k、基準径R及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(19)に基づいて演算処理を行い、円柱状回転体P1の回転方向Xにおける曲面S1の速度Vを算出する。
径変化量算出部23は、取得した第1周波数差△f1、第2周波数差△f2、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2、定数k、基準径R及びレーザ光の波長λを用い、上記の式(22)に基づいて演算処理を行い、径変化量△Rを算出する。このようにして、径変化量算出部23は、円柱状回転体P1の径変化量△Rを測定することができる。
なお、この径変化量△Rは、基準径Rの曲面Sに対する相対位置を示しているので、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bからの距離を求める場合には、予め測定しておいた基準径Rまでの距離の値を用いることで、算出可能である。
(2−5)<作用及び効果>
以上の構成において、第二の実施形態に係る速度測定装置31でも、上述した第一の実施形態と同様に、レーザ発振ステップ、分岐ステップ、第1受光ステップ、第2受光ステップ、周波数解析ステップ、周波数差算出ステップを実行し、レーザ光の波長λと、基準径Rと、第1測定光の第1光軸角度θ1と、第2測定光の第2光軸角度θ2と、定数kとの各情報を取得することで、算出した第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2を用いて、上記の式(19)から、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを算出することができる(速度算出ステップ)。
以上の構成において、第二の実施形態に係る速度測定装置31でも、上述した第一の実施形態と同様に、レーザ発振ステップ、分岐ステップ、第1受光ステップ、第2受光ステップ、周波数解析ステップ、周波数差算出ステップを実行し、レーザ光の波長λと、基準径Rと、第1測定光の第1光軸角度θ1と、第2測定光の第2光軸角度θ2と、定数kとの各情報を取得することで、算出した第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2を用いて、上記の式(19)から、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを算出することができる(速度算出ステップ)。
これに加えて、第二の実施形態の速度測定装置31では、レーザ光の波長λ、基準径R、第1周波数差△f1、第2周波数差△f2、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2及び定数kを基に、上記の式(22)から、円柱状回転体P1の径変化量△Rも算出することができる(径変化量算出ステップ)。
また、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから基準径Rを有する基準円柱状回転体Pの表面をなす曲面Sまでの距離を測定しておくことで、径変化量△Rのみならず、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから、測定対象となる円柱状回転体P1までの距離を算出することもできる。より具体的には、距離速度算出部21は、距離算出部18で測定した、基準径Rまでの距離(基準距離)を受け取り、この基準距離に対して、径変化量△Rを加算又は減算し、基準径Rまでの距離を径変化量△Rで補正する。これにより、速度測定装置31では、第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bから、測定対象となる円柱状回転体P1までの距離D1,D2(図2)を算出することができる。
このように速度測定装置31では、円柱状回転体P1の曲面S1の速度Vを測定できるとともに、円柱状回転体P1までの距離も一連の処理で同時に測定することができる。
また、速度測定装置31では、円柱状回転体P1の径が基準径Rから変化したときに曲面S1でレーザ光の照射位置Za2,Zb2が変化することにより生じる、照射位置Za2,Zb2の鉛直方向Zでの距離変化量△L1,△L2と、鉛直方向Zに対する照射位置Za2,Zb2での曲面S1の法線N1,N2の角度変化量△θ1,△θ2と、を考慮した式(22)を用いている。
これにより、速度測定装置31では、円柱状回転体P1の曲面S1でレーザ光の照射位置Za2,Zb2が変化した際に径変化量△Rの測定誤差の原因となる、照射位置Za2,Zb2の距離変化量△L1,△L2及び角度変化量△θ1,△θ2を補正し得、その分、一段と正確に径変化量△Rを測定できる。
(3)<他の実施形態>
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態においては、1つのレーザ発振器2を用いて第1測定光及び第2測定光を生成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第1測定光を生成する第1のレーザ発振器と、これとは別体でなる、第2測定光を生成する第2のレーザ発振器とを設けても良い。
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態においては、1つのレーザ発振器2を用いて第1測定光及び第2測定光を生成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第1測定光を生成する第1のレーザ発振器と、これとは別体でなる、第2測定光を生成する第2のレーザ発振器とを設けても良い。
なお、別体である第1測定ヘッド5a及び第2測定ヘッド5bをそれぞれ設け、第1測定ヘッド5aから第1測定光を照射し、これとは別に設けた第2測定ヘッド5bから第2測定光を照射した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、1つの測定ヘッドを設け、第1光軸角度θ1に設定した測定ヘッドから第1測定光を円柱状回転体P1に照射した後に、測定ヘッドの角度を変えて第2光軸角度θ2に設定した測定ヘッドから第2測定光を円柱状回転体P1に照射してもよい。このように同じ測定ヘッドを用いて測定光の照射タイミングを変えて、第1測定光及び第2測定光を照射するようにしても、上述した実施形態と同様の処理を行える。よって、第1測定ヘッド5aと第2測定ヘッド5bを1つの測定ヘッドが兼用してもよい。
また、上述した実施形態においては、時間に対して所定の周波数変化量で変調されたレーザ光を発振するレーザ発振部として、FSFレーザを適用したが、本発明はこれに限らず、時間に対して周波数が変調されたレーザ光を発振可能であれば、例えば、注入電流により周波数を変調可能な波長可変半導体レーザ等、種々のレーザ発振部を適用してもよい。
また、上述した実施形態においては、反射光及び参照光(例えば、第1反射光及び第1参照光)の周波数差に等しい周波数を有するビート信号を検出し、このビート周波数を用いて、円柱状回転体P1までの距離及び円柱状回転体P1の曲面S1の速度を測定するようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、特開2016−80409号公報に開示されているように、第1測定ヘッド及び第2測定ヘッドに反射源を設け、反射源で測定光を反射させて戻り光を生成し、反射光と参照光のビート信号の周波数と、戻り光と参照光のビート信号の周波数を測定し、両ビート周波数の差を上記ビート周波数の代わりに利用して、円柱状回転体P1までの距離及び円柱状回転体P1の曲面S1の速度を測定してもよい。
また、上述した第二の実施形態では、演算処理装置32は、距離を算出する要素として、距離算出部18と径変化量算出部23を有しているが、両方が必要なわけではなく、距離算出部18を省略することも可能である。
次に、図8に示すように、円柱状でなり、直径Φが800mm(基準径Rが400mm)の円柱状回転体P3を用意するとともに、円柱状回転体P3の中心軸を回転軸として、円柱状回転体P3を回転させる円盤回転装置を用意した。そして、本発明の効果を確認するために、この円盤回転装置と、本発明の速度測定装置31とを用いて、距離速度測定試験を実施した。なお、図8では、扇状の円柱状回転体P3が示されているが、これは円柱状回転体P3のうち一部の断面部分だけを示したものである。
この場合、第1測定ヘッド25aと第2測定ヘッド25bを同じ基台(図示せず)に並べて固定し、円柱状回転体P3の曲面(円周面)S3に対して基台が鉛直方向に移動できるようにした。これにより、基台を鉛直方向に移動して、第1測定ヘッド25aと第2測定ヘッド25bを同時に鉛直方向に移動させることができるようにし、模擬的に、位置の変化を径の変化の代用とすることで、径変化量△Rを調整可能とした。
第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bのそれぞれのレンズは、焦点距離が300mmのものを使用した。そのため、円柱状回転体P3の曲面S3から約300mmの位置を、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの基準位置とした。そして、円柱状回転体P3の回転速度を変えながら、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置から鉛直方向に移動し、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを数か所の位置に順番に変えてゆき、曲面S3の速度Vと径変化量△Rの測定を実施した。
<定数k、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2の校正>
先ずは、測定前に実施した、定数k、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2の校正について説明する。定数kについては、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置を鉛直方向に順次変え、第1測定ヘッド25a又は第2測定ヘッド25bで検出した第1反射光又は第2反射光(反射光)の周波数の変化量を調べた。そして、第1測定ヘッド25a又は第2測定ヘッド25bの移動量である径変化量△Rと、第1測定ヘッド25a又は第2測定ヘッド25bで検出した第1反射光又は第2反射光(反射光)の周波数の変化量とから、定数kを算出したところ、定数kは、43.14MHz/mと算出された。
先ずは、測定前に実施した、定数k、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2の校正について説明する。定数kについては、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置を鉛直方向に順次変え、第1測定ヘッド25a又は第2測定ヘッド25bで検出した第1反射光又は第2反射光(反射光)の周波数の変化量を調べた。そして、第1測定ヘッド25a又は第2測定ヘッド25bの移動量である径変化量△Rと、第1測定ヘッド25a又は第2測定ヘッド25bで検出した第1反射光又は第2反射光(反射光)の周波数の変化量とから、定数kを算出したところ、定数kは、43.14MHz/mと算出された。
次に、第1光軸角度θ1及び第2光軸角度θ2を算出した。ここでは、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置に固定し、円柱状回転体P3の曲面S3の速度を変えて、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bでそれぞれ検出した第1反射光及び第2反射光の周波数の変化を調べた。
第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置に固定したときの円柱状回転体P3の曲面S3の速度の変化量(速度VD1)と、第1反射光の周波数変化量△f21とから、△f21=2VD1sinθ1/λの式を用いて第1光軸角度θ1を算出した。また、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置に固定したときの円柱状回転体P3の曲面S3の速度の変化量(速度VD1)と、第2反射光の周波数変化量△f22とから、△f22=2VD1sinθ2/λの式を用いて第2光軸角度θ2を算出した。なお、レーザ光の波長λは1550nmである。
その結果、第1光軸角度θ1は7.71度と算出され、第2光軸角度θ2は6.69度と算出された。ここで、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを設置する際、円柱状回転体P3の中心から延びる鉛直方向と、第1測定光の光軸ax1とがなす第1光軸角度θ1は、約5度に設定していた。また、円柱状回転体P3の中心から延びる鉛直方向と、第2測定光の光軸ax2とがなす第2光軸角度θ2も、約5度に設定していた。
しかしながら、上記の算出結果から、第1光軸角度θ1は、5度に設定されておらず、実際には7.71度となっていると推測できる。また、第2光軸角度θ2についても、同様に、5度に設定されておらず、実際には6.69度となっていると推測できる。取り付け精度として、第1測定光の光軸ax1及び第2測定光の光軸ax2が、上記で求めたように7.71度程度、6.69度程度、傾いてしまっている可能性は十分考えられる。
<比較例>
次に、比較例として、円柱状回転体P3の曲面S3にレーザ光を照射することにより生じる距離変化量△L1,△L2及び角度変化量△θ1,△θ2を考慮せずに、単に、円柱状回転体P3が径変化量△Rだけ変化したとして、円柱状回転体P3の曲面S3の速度V及び径変化量△Rを算出した。
次に、比較例として、円柱状回転体P3の曲面S3にレーザ光を照射することにより生じる距離変化量△L1,△L2及び角度変化量△θ1,△θ2を考慮せずに、単に、円柱状回転体P3が径変化量△Rだけ変化したとして、円柱状回転体P3の曲面S3の速度V及び径変化量△Rを算出した。
この場合、距離変化量△L1,△L2及び角度変化量△θ1,△θ2の影響を考慮していないことから、第1周波数差△f1は、次の式(23)で表すことができ、また、第2周波数差△f2は、次の式(24)で表すことができる。
Δf1=k(△R/cosθ1)−(2Vsinθ1)/λ …(23)
Δf2=k(△R/cosθ2)+(2Vsinθ2)/λ …(24)
このような上記の式(23)及び式(24)から、円柱状回転体P3が回転する際の曲面S3の速度Vと、円柱状回転体P3の径変化量△Rとを算出すると、下記の式(25)及び式(26)で表すことができる。
V=(λ/2)・(−Δf1cosθ1+Δf2cosθ2)/(sinθ1cosθ1+sinθ2cosθ2) …(25)
△R=(cosθ1cosθ2)/k・(Δf1sinθ2+Δf2sinθ1)/(sinθ1cosθ1+sinθ2cosθ2)
…(26)
…(26)
そこで、先ずは、円柱状回転体P3の曲面S3の速度の実測値と、上記の式(25)から算出した、比較例の速度測定値(曲面S3の速度V)と、について比較する検証試験を行った。ここでは、円柱状回転体P3を所定の曲面S3の速度で回転させつつ、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを鉛直方向に移動した。
そして、円柱状回転体P3が基準位置で静止しているときと、回転している円柱状回転体P3に対して第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置を変えたときとについて、第1反射光の周波数差(第1周波数差△f1)、第2反射光の周波数差(第2周波数差△f2)をそれぞれ算出した。
ここで、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの基準位置は、円柱状回転体P3の曲面S3から約300mmの位置とした。また、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置から−50mm、−100mm、50mm、100mmだけ移動し、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置を変え、各位置毎にそれぞれ第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2を算出した。
そして、上述した定数k、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2、位置毎に得た第1周波数差△f1、位置毎に得た第2周波数差△f2を用いて、上記の式(25)から曲面S3の速度Vを、各位置毎にそれぞれ算出した。図9はこれら結果をまとめたものである。
図9の横軸は、円柱状回転体P3の曲面S3の速度の実測値であり、円柱状回転体P3の回転数と円柱状回転体P3の径から算出した曲面S3の速度(図9中、速度と称する)を示している。図9の縦軸は、上記の式(25)から算出した比較例の曲面S3の速度V(図9中、速度計測値と称する)を示している。なお、速度計測値及び速度は、円柱状回転体P3を時計回りに回転させたときを正とし、逆時計回りに回転させたときを負としている。
図9に示すように、比較例では、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bと円柱状回転体P3との距離が大きくなるほど、上記の式(25)を基に求めた曲面S3の速度Vは誤差が大きくなることが確認できた。
次に、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置を−100mm、−75mm、−50mm、0mm、50mm、75mm、100mmに変え、各位置でそれぞれ円柱状回転体P3の曲面S3の速度を変えて、そのときに得られた第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2を用いて、上記の式(26)に基づいて円柱状回転体P3の径変化量△Rを算出した。その結果、図10に示すような結果が得られた。
図10の横軸は、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置から移動させたときの実測値(直動ステージの設定値)を移動距離として示している。また、図10の縦軸は、上記の式(26)を基に算出した比較例の径変化量△R(図10中、距離測定値と称する)を示している。
図10に示すように、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの位置を変えて上記の式(26)を基に求めた距離測定値(径変化量△R)は、実測値である移動距離に全て一致しているように見えた。そこで、図10に示した距離測定値と移動距離の結果をより詳細に検討するために、距離測定値と移動距離との誤差を算出し、改めてグラフにまとめたところ、図11に示すような結果が得られた。
図11の横軸は、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bの径変化量の実測値である移動距離を示している。また、図11の縦軸は、距離測定値と移動距離との差を距離測定値誤差として示している。図11の結果から、図10では移動距離と一致しているかのように見えた距離測定値は、実際は円柱状回転体P3の曲面S3の速度の違いにより誤差が生じていることが確認できた。
<実施例>
次に、実施例として、レーザ光を円柱状回転体P3の曲面S3に照射することにより生じる距離変化量△L1,△L2及び角度変化量△θ1,△θ2を考慮して求めた、上記の式(19)及び式(22)を用いて、円柱状回転体P3の曲面S3の速度V及び径変化量△Rを算出し、これら曲面S3の速度V及び径変化量△Rがどの程度正確であるかを確かめる検証試験を行った。
次に、実施例として、レーザ光を円柱状回転体P3の曲面S3に照射することにより生じる距離変化量△L1,△L2及び角度変化量△θ1,△θ2を考慮して求めた、上記の式(19)及び式(22)を用いて、円柱状回転体P3の曲面S3の速度V及び径変化量△Rを算出し、これら曲面S3の速度V及び径変化量△Rがどの程度正確であるかを確かめる検証試験を行った。
この検証試験でも、比較例の検証試験と同様に、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを鉛直方向に移動し、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bに対する円柱状回転体P3の位置を変え、それぞれの位置から第1周波数差△f1及び第2周波数差△f2を算出した。
そして、上述した定数k、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2、位置毎に得た第1周波数差△f1、位置毎に得た第2周波数差△f2、予め測定しておいた基準径Rを用いて、各位置毎に上記の式(19)から曲面S3の速度Vをそれぞれ算出した。
次いで、円柱状回転体P3の回転数と円柱状回転体P3の径とから算出した実測値である曲面S3の速度と、上記の式(19)により算出した曲面S3の速度Vとの差を速度測定値誤差として、移動距離毎にそれぞれ算出したところ、図12に示すような結果が得られた。また、この際、市販のレーザドップラー速度計(LDV)を同時に使用して、円柱状回転体P3の曲面S3の速度を測定した。
図12から、上記の式(19)により算出した曲面S3の速度Vは、上記の式(25)から算出した比較例の曲面S3の速度V(図9)と比べて、速度測定値誤差の値が0に近づいて極めて小さくなっており、一段と正確に曲面S3の速度Vが測定できることが確認できた。また、上記の式(19)により算出した曲面S3の速度Vは、同時に測定したレーザドップラー速度計(LDV)と同等の精度で測定できることが確認できた。
次に、上述した定数k、第1光軸角度θ1、第2光軸角度θ2、位置毎に得た第1周波数差△f1、位置毎に得た第2周波数差△f2、予め測定しておいた基準径Rを用いて、各位置毎に上記の式(22)から径変化量△Rをそれぞれ算出し、これを距離測定値とした。
そして、第1測定ヘッド25a及び第2測定ヘッド25bを基準位置から移動させたときの実測値(直動ステージの設定値)である移動距離と、上記の式(22)により算出した距離測定値(径変化量△R)との差を距離測定値誤差として、曲面S3の速度毎にそれぞれ算出したところ、図13に示すような結果が得られた。
図13から、上記の式(22)により算出した径変化量△Rは、上記の式(26)から算出した比較例の径測定値△R(図11)と比べて、距離測定値誤差の値が0に近づいて極めて小さくなっており、一段と正確に径変化量△Rが測定できることが確認できた。
1,31 速度測定装置
2 レーザ発振器
5a,25a 第1測定ヘッド
5b,25b 第2測定ヘッド
7a 第1光検出部
7b 第2光検出部
11,32 演算処理装置
18 距離算出部
17 周波数解析部
19 周波数差算出部
21 距離速度算出部
23 径変化量算出部
24 速度算出部
ax1 光軸(第1の光軸)
ax2 光軸(第2の光軸)
P 基準円柱状回転体
P1 円柱状回転体
2 レーザ発振器
5a,25a 第1測定ヘッド
5b,25b 第2測定ヘッド
7a 第1光検出部
7b 第2光検出部
11,32 演算処理装置
18 距離算出部
17 周波数解析部
19 周波数差算出部
21 距離速度算出部
23 径変化量算出部
24 速度算出部
ax1 光軸(第1の光軸)
ax2 光軸(第2の光軸)
P 基準円柱状回転体
P1 円柱状回転体
Claims (6)
- 測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を測定する速度測定方法において、
レーザ発振部で、時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光を発振する発振ステップと、
前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐ステップと、
前記測定光の一部を、第1の光軸で前記円柱状回転体の曲面に照射して得られた反射光を受光し、前記測定光の一部を、第2の光軸で前記円柱状回転体の曲面に照射して得られた反射光を受光する受光ステップと、
前記第1の光軸から得られた前記反射光及び前記参照光に基づく第1ビート周波数と、前記第2の光軸から得られた前記反射光及び前記参照光に基づく第2ビート周波数とを検出する周波数解析ステップと、
既知の基準径を有する基準円柱状回転体が、静止又は基準速度で回転しているときに検出した前記第1ビート周波数と、測定対象となる円柱状回転体が回転しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である、第1周波数差を算出し、前記基準円柱状回転体が、静止又は前記基準速度で回転しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記測定対象となる円柱状回転体が回転しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である、第2周波数差を算出する周波数差算出ステップと、
速度算出ステップと、
を有し、
前記基準円柱状回転体の回転軸を通る前記回転軸と平行な仮想面と、前記基準円柱状回転体の曲面とがなす直線上で、前記第1の光軸と前記第2の光軸とが交差しており、
前記速度算出ステップは、
前記レーザ光の波長と、
前記基準径と、
前記円柱状回転体の回転軸方向から見て、前記仮想面と前記第1の光軸とがなす第1光軸角度と、
前記円柱状回転体の回転軸方向から見て、前記仮想面と前記第2の光軸とがなす第2光軸角度と、
前記第1周波数差と、
前記第2周波数差と、
前記基準径に対する前記円柱状回転体の径の変化と前記レーザ光の周波数の変化との関係を示した定数kと、
に基づいて、前記測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を測定する、速度測定方法。 - 前記速度算出ステップは、
前記円柱状回転体の径が前記基準径から変化したときに、前記円柱状回転体の曲面に前記測定光が照射される照射位置が変化することによる、前記照射位置の距離変化量と、前記照射位置が変化することによる、前記円柱状回転体の曲面に対する前記第1の光軸の入射角度の変化量を示す第1の角度変化量と、前記照射位置が変化することによる、前記円柱状回転体の曲面に対する前記第2の光軸の入射角度の変化量を示す第2の角度変化量と、に基づいて、前記測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を測定する、請求項1に記載の速度測定方法。 - 径変化量算出ステップを有し、
前記径変化量算出ステップは、
前記レーザ光の波長と、
前記基準径と、
前記第1光軸角度と、
前記第2光軸角度と、
前記第1周波数差と、
前記第2周波数差と、
前記定数kと、
に基づいて、前記基準径と前記測定対象となる円柱状回転体の径の差を測定する、請求項1又は2に記載の速度測定方法。 - 前記径変化量算出ステップは、
前記円柱状回転体の径が前記基準径から変化したときに、前記円柱状回転体の曲面に前記測定光が照射される照射位置が変化することによる、前記照射位置の距離変化量と、前記照射位置が変化することによる、前記円柱状回転体の曲面に対する前記第1の光軸の入射角度の変化量を示す第1の角度変化量と、前記照射位置が変化することによる、前記円柱状回転体の曲面に対する前記第2の光軸の入射角度の変化量を示す第2の角度変化量と、に基づいて、前記基準径と前記測定対象となる円柱状回転体の径の差を測定する、請求項3に記載の速度測定方法。 - 測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を測定する速度測定装置において、
時間に対して所定の周波数変調速度で変調されたレーザ光を発振するレーザ発振部と、
前記レーザ光を、参照光と測定光とに分ける分岐器と、
前記測定光の一部を、第1の光軸で前記円柱状回転体の曲面に照射して得られた反射光を受光する第1測定ヘッドと、
前記測定光の一部を、第2の光軸で前記円柱状回転体の曲面に照射して得られた反射光を受光する第2測定ヘッドと、
前記第1の光軸から得られた前記反射光及び前記参照光に基づく第1ビート周波数と、前記第2の光軸から得られた前記反射光及び前記参照光に基づく第2ビート周波数とを検出する周波数解析部と、
既知の基準径を有する基準円柱状回転体が、静止又は基準速度で回転しているときに検出した前記第1ビート周波数と、測定対象となる円柱状回転体が回転しているときに検出した前記第1ビート周波数との周波数差である、第1周波数差を算出し、前記基準円柱状回転体が、静止又は前記基準速度で回転しているときに検出した前記第2ビート周波数と、前記測定対象となる円柱状回転体が回転しているときに検出した前記第2ビート周波数との周波数差である、第2周波数差を算出する周波数差算出部と、
速度算出部と、
を有し、
前記基準円柱状回転体の回転軸を通る前記回転軸と平行な仮想面と、前記基準円柱状回転体の曲面とがなす直線上で、前記第1の光軸と前記第2の光軸とが交差しており、
前記速度算出部は、
前記レーザ光の波長と、
前記基準径と、
前記円柱状回転体の回転軸方向から見て、前記仮想面と前記第1の光軸とがなす第1光軸角度と、
前記円柱状回転体の回転軸方向から見て、前記仮想面と前記第2の光軸とがなす第2光軸角度と、
前記第1周波数差と、
前記第2周波数差と、
前記基準径に対する前記円柱状回転体の径の変化と前記レーザ光の周波数の変化との関係を示した定数kと、
に基づいて、前記測定対象となる円柱状回転体の曲面の速度を測定する速度測定装置。 - 径変化量算出部を有し、
前記径変化量算出部は、
前記レーザ光の波長と、
前記基準径と、
前記第1光軸角度と、
前記第2光軸角度と、
前記第1周波数差と、
前記第2周波数差と、
前記定数kと、
に基づいて、前記基準径と前記測定対象となる円柱状回転体の径の差を測定する、請求項5に記載の速度測定装置。
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