JP2020133822A - 動力伝達装置、動力伝達装置を備える工作機械の旋回装置及び動力伝達装置の調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】動力伝達装置1は、ハウジング10と、第一入出力歯車20と、中間歯車50と、第二入出力歯車70と、ギヤフランジ30と、第一回転体支持部材40と、第一回転体支持部材40の径方向への移動により、第一入出力歯車20と中間歯車50との間が第一噛合状態となるよう調整可能な第一噛合状態調整機構60と、ギヤフランジ30の第一入出力軸線周りへの回転により、中間歯車50と第二入出力歯車70との間が所定の第二バックラッシュを有する第二噛合状態となるよう調整可能な第二噛合状態調整機構80とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明に係る動力伝達装置は、ハウジングと、第一入出力軸線を備える第一入出力回転軸が連結される第一入出力歯車と、前記第一入出力軸線から所定距離だけオフセットした中間軸線上に配置され、前記第一入出力歯車と噛合する中間歯車と、前記ハウジングに回転可能に支持され、前記中間歯車と噛合する、少なくとも一つの歯車を備える歯車群である第二入出力歯車とを備える。また、動力伝達装置は、前記第一入出力回転軸を回転可能に支持するとともに、前記第一入出力軸線周りにおいて回転可能となるよう前記ハウジングに支持されるギヤフランジと、前記中間軸線と同軸に配置され前記中間歯車を回転可能に支持するとともに、径方向への所定の範囲内での移動が可能となるよう前記ギヤフランジに支持される第一回転体支持部材と、前記第一回転体支持部材の前記径方向への移動により、前記第一入出力歯車と前記中間歯車との間が所定の第一バックラッシュを有する第一噛合状態となるよう調整可能な第一噛合状態調整機構と、前記ギヤフランジの前記第一入出力軸線周りへの回転により、前記第一入出力歯車との間で前記第一噛合状態に調整された前記中間歯車と前記第二入出力歯車との間が所定の第二バックラッシュを有する第二噛合状態となるよう調整可能な第二噛合状態調整機構と、を備える。
本発明に係る上記動力伝達装置を備える工作機械の旋回装置は、動力伝達装置の第二入出力歯車の前記第二入出力回転軸が、旋回装置が備える減速機の入力軸に連結される。このように、旋回装置に低コストな動力伝達装置を適用するため、旋回装置の低コスト化が図れる。
本発明に係る動力伝達装置の調整方法は、第一噛合状態調整機構によって前記中間歯車を前記径方向に移動させ、前記中間歯車と前記第一入出力歯車との噛合状態を前記第一噛合状態に調整する第一工程と、前記第一工程後に前記第一噛合状態が維持された状態で前記中間歯車が支持される前記第一回転体支持部材を前記ギヤフランジに固定する第二工程と、前記第二噛合状態調整機構によって前記ギヤフランジを回転させることにより、前記ギヤフランジ上において前記第一噛合状態で噛合する前記第一入出力歯車及び前記中間歯車を前記第一入出力軸線周りに回転させ、前記中間歯車と前記第二入出力歯車との噛合状態を前記第二噛合状態とする第三工程と、を備える。このような、調整方法により、上述した精度が良く低コストな動力伝達装置が提供できる。
(1−1.動力伝達装置1の概要)
まず、動力伝達装置の概要について説明する。本実施形態において、図1、図2に示す動力伝達装置1は、複数(少なくとも三つ)の歯車(第一入出力歯車、第二入出力歯車及び中間歯車に相当)の組み合わせによって構成された動力の伝達装置であるとともに変速装置である。複数の歯車のうち、両端に配置される歯車(第一入出力歯車、第二入出力歯車)のうちの一方の歯車には入力軸が一体的に連結される。また、他方に配置される歯車には出力軸が一体的に連結される。そして、動力伝達装置の入力軸には、一例としてモータ等、動力源の出力軸が連結される。
動力伝達装置1の第一実施形態について説明する。尚、説明に用いる各図は概略図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。図1,図2に示すように、動力伝達装置1は、主にハウジング10(図2参照)と、第一入出力歯車20と、ギヤフランジ30と、第一回転体支持部材40と、中間歯車50と、第一噛合状態調整機構60と、第二入出力歯車70と、第二噛合状態調整機構80と、を備えるユニットである。
図2に示すようにハウジング10は、主に底板11と、側壁12とを備える。図示省略するが側壁12は、底板11の外周全周に沿って立設される。ハウジング10は、底板11及び側壁12によって包囲される空間内に、動力伝達装置1を構成する第一入出力歯車20、ギヤフランジ30等を収容する。底板11は、ギヤフランジ30をインローで嵌合するための段付きの段付き貫通孔13と、第一入出力歯車20側において、段付き貫通孔13の径方向外側に形成される段付き面14と、を備える。
図2に示すように、ギヤフランジ30は、外周面31aを備える円柱部31と、円柱部31の第一入出力歯車20側に形成される上述した鍔部32と、を備える。鍔部32は、軸線方向における円柱部31側に端面32aを備える。また、ギヤフランジ30は、円柱部31及び鍔部32の軸線中心周りに貫通孔30aを備える。
第一回転体支持部材40は、中間歯車50を回転可能に支持する部材である。図1に示すように、第一回転体支持部材40は、ギヤフランジ30に支持される第一入出力回転軸21の第一入出力軸線C1から所定距離L1だけオフセットした位置に軸線(中間軸線C2)が配置され、ギヤフランジ30に後述する径方向への所定の範囲内での移動(図5A参照)が可能となるよう支持される。中間軸線C2は、中間歯車50の軸線と同じものである。
上述したように第一ボルト44を、第一回転体支持部材40が備える鍔部41の段付き孔42aに挿通し、第一回転体支持部材40とギヤフランジ30とを螺着によって固定し固定状態とする際、第一ボルト44及びドライバ等と干渉しないよう、中間歯車50には、両端面間を貫通する複数の貫通孔51が形成される。
図2に示すように、第二入出力歯車70は第二入出力回転軸71周りに回転可能となるようハウジング10の底板11に支持され、中間歯車50と噛合する少なくとも一つの歯車を備える歯車群である。本実施形態では、第二入出力歯車70は一個の歯車で構成される。第二入出力歯車70は、第二入出力回転軸71と一体回転可能に連結される。このとき、第二入出力回転軸71と、第二入出力歯車70とはどのような手段によって連結されてもよい。また、第二入出力歯車70の歯先円直径ΦD2は第一入出力歯車20の歯先円直径ΦD1よりも大きい。そして、第二入出力回転軸71は、ハウジング10に形成された貫通孔18にボールベアリングBr3を介して回転可能に支持される。
第一噛合状態調整機構60は、上述した様に、主に鍔部貫通孔43と、第一ボルト44と、によって構成される。鍔部貫通孔43は、第一回転体支持部材40の鍔部41に形成される。鍔部貫通孔43は、鍔部孔径ΦDa1で形成される。第一ボルト44は、鍔部貫通孔43を挿通し、ギヤフランジ30に螺着する鍔部貫通孔43の鍔部孔径ΦDa1より小さな第一ボルト軸径Φda1(<ΦDa1)で形成される。
第二噛合状態調整機構80は、上述した様に、ギヤフランジ鍔部貫通孔32bと、第二ボルト16と、によって構成される。ギヤフランジ鍔部貫通孔32bは、ギヤフランジ30の鍔部32を貫通して形成される。第二ボルト16は、軸部がギヤフランジ鍔部貫通孔32bのギヤフランジ孔径ΦDa2より小さな第二ボルト軸径Φda2(<ΦDa2)で形成される。
次に、第一噛合状態調整機構60及び第二噛合状態調整機構80を用いたバックラッシュの調整方法について説明する。なお、バックラッシュの調整方法における前提として、初めは、第一入出力歯車20及び中間歯車50のみが組み付けられ、第一入出力歯車20及び中間歯車50が成り行きで噛合しているとともに、第二入出力歯車70は組み付けられていない状態であることが好ましい。
第一工程S10(第一噛合状態調整部)では、第一噛合状態調整機構60によって第一回転体支持部材40(中間歯車50)を径方向に移動させ、中間歯車50と第一入出力歯車20との噛合状態を第一噛合状態に調整する。詳細には、作業者は、図5Aに示すように、固定解除状態にある第一回転体支持部材40(中間歯車50)を径方向である、第一入出力歯車20に向かう方向、若しくは第一入出力歯車20から離間する方向に移動させる。本実施形態では、第一入出力歯車20に向かう方向が矢印Aで図示されている。
次に、第二工程S20(第一回転体支持部材固定部)では、第一工程S10後において、第一噛合状態が維持された状態で中間歯車50が支持される第一回転体支持部材40をギヤフランジ30に固定する。具体的には、第一ボルト44を締め込むことにより、第一回転体支持部材40をギヤフランジ30に固定する。
第三工程(第二噛合状態調整部)では、まず、第二入出力歯車70を組み付ける。そして、図5Bに示すように、第二噛合状態調整機構80によって、ギヤフランジ30を第一入出力軸線C1を中心に回転させる。これにより、ギヤフランジ30上において第一噛合状態が維持された状態で噛合する第一入出力歯車20及び中間歯車50を第一入出力軸線C1周りに回転させ、中間歯車50と第二入出力歯車70との噛合状態を第二噛合状態とする。
次に、第四工程S40(ギヤフランジ固定部)では、第一噛合状態及び第二噛合状態が共に保持された状態のギヤフランジ30をハウジング10に固定する。具体的には、複数の第二ボルト16を締め込むことにより、ギヤフランジ30をハウジング10に固定する。
上記第一実施形態によれば、動力伝達装置1は、第一回転体支持部材40の径方向への移動により、第一入出力歯車20と中間歯車50との間が所定の第一バックラッシュα1を有する第一噛合状態となるよう調整可能な第一噛合状態調整機構60と、ギヤフランジ30の第一入出力軸線C1周りへの回転により、第一入出力歯車20との間で第一噛合状態にある中間歯車50と第二入出力歯車70との間が所定の第二バックラッシュα2を有する第二噛合状態となるよう調整可能な第二噛合状態調整機構80と、を備える。
上記第一実施形態では、第二入出力歯車は、一つで構成される態様としたが、これには限らない。図8に示すように、第二実施形態の動力伝達装置1Aとして、歯車群である第二入出力歯車は、二つの歯車70A、70Bにより構成されてもよい。なお、第二実施形態の動力伝達装置1Aは、第一実施形態の動力伝達装置1と第二入出力歯車のみ異なる。よって、異なる部分のみ詳細に説明し、その他の同様部分の説明については省略する。また、同様の構成については、同じ符号を付して説明する場合がある。
なお、上記第二実施形態では、二つの第二入出力歯車70A及び70Bが、何れもハウジング10Aに支持される態様であった。しかし、この態様に限らず、変形例1として、二つの第二入出力歯車70A及び70Bが共に、第一実施形態における第一入出力歯車20及び中間歯車50と同様に、ハウジング10Aに回転可能に支持されるギヤフランジ(図示しない)に支持される態様であってもよい。つまり、第二入出力歯車(第二入出力歯車70A及び70B)は、ギヤフランジを介してハウジング10Aに支持されてもよい。なお、このとき、ギヤフランジは、第一実施形態におけるギヤフランジ30と同様の構造を有するものとする。
次に、第一実施形態で説明した動力伝達装置1を適用する装置の一例として工作機械の旋回装置について説明する。図10に示すように、工作機械100は、五軸マシニングセンタであり、主にベッド110、コラム120、サドル130、旋回装置200、スライドテーブル140及びターンテーブル150を備える。ベッド110は、ほぼ矩形状であり、床上に配置される。ベッド110上には、コラム120が起立して設けられる。
次に、工作機械100の工作物に対する加工動作について説明する。尚、本実施形態においては、主軸装置300の姿勢(回転軸Rの向き)が水平方向(0度)にあるときに工作物の一側面に孔を穿設する加工動作について説明する。
Claims (9)
- ハウジングと、
第一入出力軸線を備える第一入出力回転軸が連結される第一入出力歯車と、
前記第一入出力軸線から所定距離だけオフセットした中間軸線上に配置され、前記第一入出力歯車と噛合する中間歯車と、
前記ハウジングに回転可能に支持され、前記中間歯車と噛合する、少なくとも一つの歯車を備える歯車群である第二入出力歯車と、
前記第一入出力回転軸を回転可能に支持するとともに、前記第一入出力軸線周りにおいて回転可能となるよう前記ハウジングに支持されるギヤフランジと、
前記中間軸線と同軸に配置され前記中間歯車を回転可能に支持するとともに、径方向への所定の範囲内での移動が可能となるよう前記ギヤフランジに支持される第一回転体支持部材と、
前記第一回転体支持部材の前記径方向への移動により、前記第一入出力歯車と前記中間歯車との間が所定の第一バックラッシュを有する第一噛合状態となるよう調整可能な第一噛合状態調整機構と、
前記ギヤフランジの前記第一入出力軸線周りへの回転により、前記第一入出力歯車との間で前記第一噛合状態に調整された前記中間歯車と前記第二入出力歯車との間が所定の第二バックラッシュを有する第二噛合状態となるよう調整可能な第二噛合状態調整機構と、
を備える、動力伝達装置。 - 前記ギヤフランジは、前記ハウジングにインローで嵌合される、請求項1に記載の動力伝達装置。
- 前記第一噛合状態調整機構は、
前記第一回転体支持部材の前記ギヤフランジへの取り付け側の端部に設けられた鍔部に形成される鍔部貫通孔と、
前記鍔部貫通孔を挿通し前記ギヤフランジに螺着する、前記鍔部貫通孔の鍔部孔径より小さな第一ボルト軸径で形成された第一ボルトと、を備え、
前記鍔部貫通孔の前記鍔部孔径と前記第一ボルトの前記第一ボルト軸径との径差分を前記第一回転体支持部材が移動可能な前記径方向への前記所定の範囲の調整代として前記第一噛合状態とするための調整が行なわれる、請求項1又は2に記載の動力伝達装置。 - 前記第二噛合状態調整機構は、
前記ギヤフランジに形成されるギヤフランジ鍔部貫通孔と、
前記ギヤフランジ鍔部貫通孔を挿通し前記ギヤフランジに螺着する、前記ギヤフランジ鍔部貫通孔のギヤフランジ孔径より小さな第二ボルト軸径で形成された第二ボルトと、を備え、
前記ギヤフランジ鍔部貫通孔の前記ギヤフランジ孔径と前記第二ボルトの前記第二ボルト軸径との径差分を前記ギヤフランジが回転可能な周方向への調整代として前記第二噛合状態とするための調整が行われる、請求項1−3の何れか1項に記載の動力伝達装置。 - 前記第一入出力回転軸が、入力軸であるとともにモータの出力軸であり、
前記ギヤフランジが、前記モータのモータフランジである、
請求項1−4の何れか1項に記載の動力伝達装置。 - 前記第二入出力歯車は、一つの歯車により構成され、前記第二入出力歯車に第二入出力回転軸が連結される、請求項1−5の何れか1項に記載の動力伝達装置。
- 前記第二入出力歯車は、二つの歯車により構成され、
前記二つの歯車は、
前記第二噛合状態で前記中間歯車と噛合する一方の第二入出力歯車、及び前記一方の第二入出力歯車と所定の第三バックラッシュを有する第三噛合状態で噛合する他方の第二入出力歯車であり、
前記ハウジングは、
前記他方の第二入出力歯車が連結する第二入出力回転軸を第二入出力軸線周りに回転可能に支持するとともに、前記第二入出力回転軸から所定距離だけオフセットした位置に第三入出力軸線が配置され、径方向への所定の範囲内での移動が可能となるよう第二回転体支持部材を支持し、
前記動力伝達装置は、
前記第二噛合状態調整機構が、前記中間歯車と前記第二入出力歯車との噛合状態を前記第二噛合状態に調整する前の状態において、前記一方の第二入出力歯車が支持される前記第二回転体支持部材の前記径方向への移動により、前記一方の第二入出力歯車と前記他方の第二入出力歯車との間が前記所定の第三バックラッシュを有する第三噛合状態となるよう調整可能な第三噛合状態調整機構を備える、請求項1−5の何れか1項に記載の動力伝達装置。 - 請求項6又は7に記載の動力伝達装置を備える工作機械の旋回装置であって、
前記動力伝達装置は、
前記第二入出力歯車の前記第二入出力回転軸が、前記旋回装置が備える減速機の入力軸に連結される、工作機械の旋回装置。 - 請求項1−7の何れか1項に記載の動力伝達装置の調整方法であって、
前記第一噛合状態調整機構によって前記中間歯車を前記径方向に移動させ、前記中間歯車と前記第一入出力歯車との噛合状態を前記第一噛合状態に調整する第一工程と、
前記第一工程後に前記第一噛合状態が維持された状態で前記中間歯車が支持される前記第一回転体支持部材を前記ギヤフランジに固定する第二工程と、
前記第二噛合状態調整機構によって前記ギヤフランジを回転させることにより、前記ギヤフランジ上において前記第一噛合状態で噛合する前記第一入出力歯車及び前記中間歯車を前記第一入出力軸線周りに回転させ、前記中間歯車と前記第二入出力歯車との噛合状態を前記第二噛合状態とする第三工程と、を備える、動力伝達装置の調整方法。
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