JP2019214119A - ロボットの関節に好適なジョイント構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロボットの関節に好適なジョイント構造を提供する。【解決手段】ジョイント構造は、ロボットの第1部位と第2部位との接続に用いられる。このジョイント構造は、第1部位に設けられる第1部材504と、第2部位に設けられ、第1部材504と嵌合する嵌合面を有する第2部材506と、第1部材504と第2部材506との嵌合状態が維持されるよう第1部材504と第2部材506との連結力を発揮させる連結機構と、を備える。連結機構は、嵌合状態からの第1部材504と第2部材506との相対変位が所定量を超えた場合に、嵌合状態を解除する。【選択図】図9
Description
本発明は、複数の部材を相互に連結するジョイント構造に関し、特にロボットの関節に好適なジョイント構造に関する。
ヒューマノイドロボットやペットロボット等、人間との対話や癒しを提供する自律行動型ロボットの開発が進められている(例えば特許文献1参照)。このようなロボットは、周囲の状況に基づいて自律的に学習することで行動を進化させ、生き物に近い存在となるものもある。
ところで、このようなロボットが室内を動き回ると、その自律的な学習の過程で障害物にぶつかったり、段差につまずいて転倒することも想定される。あるいは、室内にある物を持ち上げることがあるかもしれない。このようなとき、ロボットの関節に想定外の荷重がかかることもあり得る。このようなロボットは、その行動が進化するが故に、負荷される荷重範囲を予め想定して設計することが難しい。
本発明は上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その目的の一つは、ロボットの関節に好適なジョイント構造を提供することにある。
本発明のある態様は、ロボットの第1部位と第2部位との接続に用いられるジョイント構造である。このジョイント構造は、第1部位に設けられる第1部材と、第2部位に設けられ、第1部材と嵌合する嵌合面を有する第2部材と、第1部材と第2部材との嵌合状態が維持されるよう第1部材と第2部材との連結力を発揮させる連結機構と、を備える。連結機構は、嵌合状態からの第1部材と第2部材との相対変位が所定量を超えた場合に、嵌合状態を解除する。
本発明の別の態様もジョイント構造である。このジョイント構造は、第1部材と、第1部材に支持される第1軸と、第1軸とジョイントを介して回動可能に連結される第2軸と、第2軸に支持される第2部材と、を備える。第1軸および第2軸を貫通する貫通路が形成され、貫通路に配線が挿通される。
本発明のさらに別の態様は、第1部位と第2部位とが接続されるロボットである。このロボットは、第1部位を構成する第1部材と、第2部位を構成し、第1部材と嵌合する嵌合面を有する第2部材と、第1部材と第2部材との嵌合状態が維持されるよう第1部材と第2部材との連結力を発揮させる連結機構と、を備える。連結機構は、嵌合状態からの第1部材と第2部材との相対変位が所定量を超えた場合に、嵌合状態を解除する。
本発明のさらに別の態様もロボットである。このロボットは、第1部位を構成する第1部材と、第1部材に支持される第1軸と、第1軸とジョイントを関節として回動可能に連結される第2軸と、第2軸に支持され、第2部位を構成する第2部材と、を備える。第1軸および第2軸を貫通する貫通路が形成され、貫通路に配線が挿通される。
本発明によれば、ロボットの関節に好適なジョイント構造を提供できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。また、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略することがある。
本実施形態は、ロボットの関節等、第1部位と第2部位とが接続される部分が容易に破壊されないよう、人間や動物でいう脱臼をイメージした構造を取り入れている。すなわち、工場などで利用されるアームを有する機械は、予め取り扱う荷重の範囲が決められており、その範囲内であれば、破壊することなく理想的に動くように設計されている。一方、家庭での利用を主目的とするロボットは、荷重の範囲を定め難い。耐荷重に十分な余裕を持たせると、産業用ロボットのように重量級になってしまい、家庭での利用が困難となる。そうとはいえ、従来家庭で許容されていた範囲の耐荷重設計では、ロボットに想定限界を超える荷重がかかったとき、その関節などが壊れてしまう。特に、近年開発が進められている自律行動型ロボットは、自らの選択で行動し、その行動が進化するが故に、関節に負荷され得る荷重範囲の予測が困難である。そこで、本実施形態では、関節に限界を超えた負荷が作用した場合、脱臼というコントロールされた破壊をあえて引き起こすことで、負荷を受け流し、破壊を防ぐ仕組みを実現している。以下、その詳細について説明する。
図1は、実施形態に係るロボット100の外観を表す図である。図1(a)は正面図であり、図1(b)は側面図である。
本実施形態におけるロボット100は、外部環境および内部状態に基づいて行動や仕草(ジェスチャー)を決定する自律行動型のロボットである。外部環境は、カメラやサーモセンサなど各種のセンサにより認識される。内部状態はロボット100の感情を表現するさまざまなパラメータとして定量化される。
本実施形態におけるロボット100は、外部環境および内部状態に基づいて行動や仕草(ジェスチャー)を決定する自律行動型のロボットである。外部環境は、カメラやサーモセンサなど各種のセンサにより認識される。内部状態はロボット100の感情を表現するさまざまなパラメータとして定量化される。
ロボット100は、屋内行動が前提とされており、例えば、オーナー家庭の家屋内を行動範囲とする。以下、ロボット100に関わる人間を「ユーザ」とよび、ロボット100が所属する家庭の構成員となるユーザのことを「オーナー」とよぶ。
ロボット100のボディ104は、全体的に丸みを帯びた形状を有し、ウレタンやゴム、樹脂、繊維など柔らかく弾力性のある素材により形成された外皮を含む。ロボット100に服を着せてもよい。丸くてやわらかく、手触りのよいボディ104とすることで、ロボット100はユーザに安心感とともに心地よい触感を提供する。
ロボット100は、総重量が15キログラム以下、好ましくは10キログラム以下、さらに好ましくは、5キログラム以下である。ロボット100の身長は1.2メートル以下、好ましくは、0.7メートル以下である。ユーザは、乳児を抱っこするのと同等の労力でロボット100を抱っこできる。
ロボット100は、3輪走行するための3つの車輪を備える。図示のように、一対の前輪102(左輪102a,右輪102b)と、一つの後輪103を含む。前輪102が駆動輪であり、後輪103が従動輪である。前輪102は、操舵機構を有しないが、回転速度や回転方向が個別に制御可能とされている。後輪103は、いわゆるオムニホイールからなり、ロボット100を前後左右への移動させるために回転自在となっている。左輪102aよりも右輪102bの回転数を大きくすることで、ロボット100が左折したり、左回りに回転できる。右輪102bよりも左輪102aの回転数を大きくすることで、ロボット100が右折したり、右回りに回転できる。
前輪102および後輪103は、後述する駆動機構(回動機構、リンク機構)によりボディ104に完全収納できる。走行時においても各車輪の大部分はボディ104に隠れているが、各車輪がボディ104に完全収納されるとロボット100は移動不可能な状態となる。すなわち、車輪の収納動作に伴ってボディ104が降下し、床面に着座する。この着座状態においては、ボディ104の底部に形成された平坦状の着座面108(接地底面)が床面Fに当接する。
ロボット100は、2つの手106を有する。手106には、モノを把持する機能はない。手106は上げる、振る、振動するなど簡単な動作が可能である。2つの手106も個別制御可能である。
ロボット100の頭部正面(顔)には2つの目110が設けられている。目110には高解像度カメラ402が内蔵される。目110は、液晶素子または有機EL素子による画像表示も可能である。ロボット100は、スピーカーを内蔵し、簡単な音声を発することもできる。ロボット100の頭頂部にはツノ112が取り付けられる。
本実施形態のロボット100は、ツノ112に全天球カメラ400(第1のカメラ)が内蔵される。全天球カメラ400は、魚眼レンズにより上下左右全方位(360度:特に、ロボット100の上方略全域)を一度に撮影できる。目110に内蔵される高解像度カメラ402(第2のカメラ)は、ロボット100の正面方向のみを撮影できる。全天球カメラ400は撮影範囲が広いが高解像度カメラ402よりは解像度が低い。
このほか、ロボット100は、周辺温度分布を画像化する温度センサ(サーモセンサ)、複数のマイクロフォンを有するマイクロフォンアレイ、計測対象の形状を測定可能な形状測定センサ(深度センサ)、超音波センサなどさまざまなセンサを内蔵する。
図2は、ロボット100の構造を概略的に表す断面図である。図3は、ロボット100の構造をフレームを中心に表す側面図である。図2は図3のA−A矢視断面に対応する。
図2に示すように、ロボット100のボディ104は、ベースフレーム308、本体フレーム310、一対のホイールカバー312および外皮314を含む。ベースフレーム308は、金属からなり、ボディ104の軸芯を構成するとともに内部機構を支持する。ベースフレーム308は、アッパープレート332とロアプレート334とを複数のサイドプレート336により上下に連結して構成される。複数のサイドプレート336間には通気が可能となるよう、十分な間隔が設けられている。ベースフレーム308の内方には、バッテリー118、制御回路342および各種アクチュエータ等が収容されている。
図2に示すように、ロボット100のボディ104は、ベースフレーム308、本体フレーム310、一対のホイールカバー312および外皮314を含む。ベースフレーム308は、金属からなり、ボディ104の軸芯を構成するとともに内部機構を支持する。ベースフレーム308は、アッパープレート332とロアプレート334とを複数のサイドプレート336により上下に連結して構成される。複数のサイドプレート336間には通気が可能となるよう、十分な間隔が設けられている。ベースフレーム308の内方には、バッテリー118、制御回路342および各種アクチュエータ等が収容されている。
本体フレーム310は、樹脂材からなり、頭部フレーム316および胴部フレーム318を含む。頭部フレーム316は、中空半球状をなし、ロボット100の頭部骨格を形成する。胴部フレーム318は、段付筒形状をなし、ロボット100の胴部骨格を形成する。胴部フレーム318は、ベースフレーム308と一体に固定されている。頭部フレーム316は、胴部フレーム318の上端部に相対変位可能に組み付けられている。
頭部フレーム316には、ヨー軸321、ピッチ軸322およびロール軸323の3軸と、各軸を回転駆動するアクチュエータ324,325が設けられている。アクチュエータ324は、ヨー軸321を駆動するためのサーボモータを含む。アクチュエータ325は、ピッチ軸322およびロール軸323をそれぞれ駆動するための複数のサーボモータを含む。首振り動作のためにヨー軸321が駆動され、頷き動作,見上げ動作および見下ろし動作のためにピッチ軸322が駆動され、首を傾げる動作のためにロール軸323が駆動される。頭部フレーム316の上部には、ヨー軸321に支持されるプレート326が固定されている。
頭部フレーム316およびその内部機構を下方から支持するように、金属製のベースプレート328が設けられている。ベースプレート328は、ジョイント330を介してアッパープレート332(ベースフレーム308)と連結されている。ベースプレート328には支持台335が設けられ、アクチュエータ324,325およびクロスリンク機構329(パンタグラフ機構)が支持されている。クロスリンク機構329は、アクチュエータ324,325を上下に連結し、それらの間隔を変化させることができる。
より詳細には、アクチュエータ325のロール軸323が、図示略のギア機構を介して支持台335に連結されている。アクチュエータ325のピッチ軸322は、クロスリンク機構329の下端部に連結されている。一方、クロスリンク機構329の上端部にアクチュエータ324が固定されている。アクチュエータ324のヨー軸321が、プレート326に連結されている。なお、アクチュエータ325には、クロスリンク機構329を伸縮駆動するための図示略の回転駆動機構が設けられている。
このような構成により、ロール軸323を回転させることにより、アクチュエータ325と頭部フレーム316とを一体に回転(ローリング)させることができ、首を傾げる動作を実現できる。また、ピッチ軸322を回転させることにより、クロスリンク機構329と頭部フレーム316とを一体に回転(ピッチング)させることができ、頷き動作等を実現できる。ヨー軸321を回転させることにより、プレート326と頭部フレーム316とを一体に回転(ヨーイング)させることができ、首振り動作を実現できる。さらに、クロスリンク機構329を伸縮させることにより、首の伸縮動作を実現できる。
胴部フレーム318は、ベースフレーム308および車輪駆動機構370を収容している。図3にも示すように、車輪駆動機構370は、前輪駆動機構374および後輪駆動機構376を含む。胴部フレーム318は、ボディ104のアウトラインに丸みをもたせるよう、上半部380が滑らかな曲面形状とされている。上半部380は、首部に対応する上部に向けて徐々に小幅となるように形成されている。胴部フレーム318の下半部382は、ホイールカバー312との間に前輪102の収納スペースSを形成するために小幅とされている。上半部380と下半部382との境界は段差形状となっている。
下半部382を構成する左右の側壁は互いに平行とされ、前輪駆動機構374の後述する回動軸378を貫通させ、これを支持している。下半部382の下端開口部を閉止するようにロアプレート334が設けられている。言い換えれば、ベースフレーム308は、胴部フレーム318の下端部に固定され、支持されている。
一対のホイールカバー312は、胴部フレーム318の下半部382を左右から覆うように設けられている。ホイールカバー312は、樹脂からなり、胴部フレーム318の上半部380と連続した滑らかな外面(曲面)を形成するように組み付けられている。ホイールカバー312の上端部が、上半部380の下端部に沿って連結されている。それにより、下半部382の側壁とホイールカバー312との間に、下方に向けて開放される収納スペースSが形成されている。
外皮314は、ウレタンゴム又はスポンジからなり、本体フレーム310およびホイールカバー312を外側から覆う。手106は、外皮314と一体成形される。外皮314の上端部には、開口部390が設けられる。ツノ112の下端部が、開口部390を介して頭部フレーム316に接続されている。ツノ112は、関節として機能するジョイント機構500を有する。ツノ112に過負荷がかかると、ジョイント機構500の脱臼作用によりその荷重が逃がされ、ツノ112の破損が防止される。また、制御回路342につながる(電源線130,信号線132)が、ジョイント機構500を貫通して全天球カメラ400に接続されている。このジョイント機構500の詳細については後述する。
前輪駆動機構374は、前輪102を回転させるための回転駆動機構と、前輪102を収納スペースSから進退させるための収納作動機構とを含む。すなわち、前輪駆動機構374は、回動軸378およびアクチュエータ379を含む。前輪102は、その中心部にダイレクトドライブモータ(以下「DDモータ」と表記する)396を有する。DDモータ396は、アウターロータ構造を有し、ステータが車軸398に固定され、ロータが前輪102のホイール397に同軸状に固定されている。車軸398は、アーム350を介して回動軸378と一体化されている。胴部フレーム318の下部側壁には、回動軸378を貫通させつつ回動可能に支持する軸受352が埋設されている。軸受352には、胴部フレーム318の内外を気密にシールするためのシール構造(軸受シール)が設けられている。アクチュエータ379の駆動により、前輪102を収納スペースSから外部へ向けて進退駆動できる。
後輪駆動機構376は、回動軸354およびアクチュエータ356を含む。回動軸354からは2本のアーム358が延び、その先端に車軸360が一体に設けられている。車軸360に後輪103が回転可能に支持されている。胴部フレーム318の下部側壁には、回動軸354を貫通させつつ回動可能に支持する図示略の軸受が埋設されている。その軸受にも軸シール構造が設けられている。アクチュエータ356の駆動により、後輪103を収納スペースSから外部へ向けて進退駆動できる。
車輪収納時には、アクチュエータ379,356が一方向に駆動される。このとき、アーム350が回動軸378を中心に回動し、前輪102が床面Fから上昇する。また、アーム358が回動軸354を中心に回動し、後輪103が床面Fから上昇する。それにより、ボディ104が降下し、着座面108が床面Fに接地する。これにより、ロボット100がお座りした状態が実現される。アクチュエータ379,356を反対方向に駆動することにより、各車輪を収納スペースSから進出させ、ロボット100を立ち上がらせることができる。
手106を駆動するための駆動機構は、外皮314に埋設されたワイヤ134と、その駆動回路340(通電回路)を含む。ワイヤ134は、本実施形態では形状記憶合金線からなり、加熱されると収縮硬化し、徐熱されると弛緩伸長する。ワイヤ134の両端から引き出されたリード線が、駆動回路340に接続されている。駆動回路340のスイッチがオンされるとワイヤ134(形状記憶合金線)に通電がなされる。
ワイヤ134は、外皮314から手106に延びるようにモールド又は編み込まれている。ワイヤ134の両端から胴部フレーム318の内方にリード線が引き出されている。ワイヤ134は外皮314の左右に1本ずつ設けてもよいし、複数本ずつ並列に設けてもよい。ワイヤ134に通電することで手106を上げることができ、通電遮断することで手106を下げることができる。
ロボット100は、ピッチ軸322の回転角度を制御することにより、視線(点線矢印参照)の角度を調整できる。なお、本実施形態では便宜上、ピッチ軸322と目110とを通る仮想直線の方向を視線の方向とする。高解像度カメラ402の光軸は視線と一致する。また、後述の演算処理を容易にするため、全天球カメラ400とピッチ軸322とを結ぶ直線と視線とが直角となるように設定されている。
頭部フレーム316の前後には、胴部フレーム318の上端部を挿通可能なスリット362,364が設けられている。このため、ピッチ軸322を中心とする頭部フレーム316の可動範囲(回転範囲)を大きくとることができる。本実施形態では、この可動範囲を90度とし、視線が水平となる状態から上下に45度ずつとしている。すなわち、ロボット100の視線が上向く角度(見上げ角)の限界値が45度とされ、視線が下向く角度(見下ろし角)の限界値も45度とされている。
図4は、ロボットシステム300の構成図である。
ロボットシステム300は、ロボット100、サーバ200および複数の外部センサ114を含む。家屋内にはあらかじめ複数の外部センサ114(外部センサ114a、114b、・・・、114n)が設置される。外部センサ114は、家屋の壁面に固定されてもよいし、床に載置されてもよい。サーバ200には、外部センサ114の位置座標が登録される。位置座標は、ロボット100の行動範囲として想定される家屋内においてx,y座標として定義される。
ロボットシステム300は、ロボット100、サーバ200および複数の外部センサ114を含む。家屋内にはあらかじめ複数の外部センサ114(外部センサ114a、114b、・・・、114n)が設置される。外部センサ114は、家屋の壁面に固定されてもよいし、床に載置されてもよい。サーバ200には、外部センサ114の位置座標が登録される。位置座標は、ロボット100の行動範囲として想定される家屋内においてx,y座標として定義される。
サーバ200は、家庭内に設置される。本実施形態におけるサーバ200とロボット100は1対1で対応する。ロボット100の内蔵するセンサおよび複数の外部センサ114から得られる情報に基づいて、サーバ200がロボット100の基本行動を決定する。外部センサ114はロボット100の感覚器を補強するためのものであり、サーバ200はロボット100の頭脳を補強するためのものである。
外部センサ114は、定期的に外部センサ114のID(以下、「ビーコンID」とよぶ)を含む無線信号(以下、「ロボット探索信号」とよぶ)を送信する。ロボット100はロボット探索信号を受信するとビーコンIDを含む無線信号(以下、「ロボット返答信号」とよぶ)を返信する。サーバ200は、外部センサ114がロボット探索信号を送信してからロボット返答信号を受信するまでの時間を計測し、外部センサ114からロボット100までの距離を測定する。複数の外部センサ114とロボット100とのそれぞれの距離を計測することで、ロボット100の位置座標を特定する。もちろん、ロボット100が自らの位置座標を定期的にサーバ200に送信する方式でもよい。
図5は、感情マップ116の概念図である。
感情マップ116は、サーバ200に格納されるデータテーブルである。ロボット100は、感情マップ116にしたがって行動選択する。感情マップ116は、ロボット100の場所に対する好悪感情の大きさを示す。感情マップ116のx軸とy軸は、二次元空間座標を示す。z軸は、好悪感情の大きさを示す。z値が正値のときにはその場所に対する好感が高く、z値が負値のときにはその場所を嫌悪していることを示す。
感情マップ116は、サーバ200に格納されるデータテーブルである。ロボット100は、感情マップ116にしたがって行動選択する。感情マップ116は、ロボット100の場所に対する好悪感情の大きさを示す。感情マップ116のx軸とy軸は、二次元空間座標を示す。z軸は、好悪感情の大きさを示す。z値が正値のときにはその場所に対する好感が高く、z値が負値のときにはその場所を嫌悪していることを示す。
感情マップ116において、座標P1は、ロボット100の行動範囲としてサーバ200が管理する屋内空間のうち好感情が高い地点(以下、「好意地点」とよぶ)である。好意地点は、ソファの陰やテーブルの下などの「安全な場所」であってもよいし、リビングのように人が集まりやすい場所、賑やかな場所であってもよい。また、過去にやさしく撫でられたり、触れられたりした場所であってもよい。ロボット100がどのような場所を好むかという定義は任意であるが、一般的には、小さな子どもや犬や猫などの小動物が好む場所を好意地点として設定することが望ましい。
座標P2は、悪感情が高い地点(以下、「嫌悪地点」とよぶ)である。嫌悪地点は、テレビの近くなど大きな音がする場所、お風呂や洗面所のように濡れやすい場所、閉鎖空間や暗い場所、ユーザから乱暴に扱われたことがある不快な記憶に結びつく場所などであってもよい。ロボット100がどのような場所を嫌うかという定義も任意であるが、一般的には、小さな子どもや犬や猫などの小動物が怖がる場所を嫌悪地点として設定することが望ましい。
座標Qは、ロボット100の現在位置を示す。複数の外部センサ114が定期的に送信するロボット探索信号とそれに対するロボット返答信号により、サーバ200はロボット100の位置座標を特定する。例えば、ビーコンID=1の外部センサ114とビーコンID=2の外部センサ114がそれぞれロボット100を検出したとき、2つの外部センサ114からロボット100の距離を求め、そこからロボット100の位置座標を求める。
あるいは、ビーコンID=1の外部センサ114は、ロボット探索信号を複数方向に送信し、ロボット100はロボット探索信号を受信したときロボット返答信号を返す。これにより、サーバ200は、ロボット100がどの外部センサ114からどの方向のどのくらいの距離にいるかを把握してもよい。また、別の実施の形態では、車輪(前輪102)の回転数からロボット100の移動距離を算出して、現在位置を特定してもよいし、カメラから得られる画像に基づいて現在位置を特定してもよい。感情マップ116が与えられた場合、ロボット100は好意地点(座標P1)に引き寄せられる方向、嫌悪地点(座標P2)から離れる方向に移動する。
感情マップ116は動的に変化する。ロボット100が座標P1に到達すると、座標P1におけるz値(好感情)は時間とともに低下する。これにより、ロボット100は好意地点(座標P1)に到達して、「感情が満たされ」、やがて、その場所に「飽きてくる」という生物的行動をエミュレートできる。同様に、座標P2における悪感情も時間とともに緩和される。時間経過とともに新たな好意地点や嫌悪地点が生まれ、それによってロボット100は新たな行動選択を行う。ロボット100は、新しい好意地点に「興味」を持ち、絶え間なく行動選択する。
感情マップ116は、ロボット100の内部状態として、感情の起伏を表現する。ロボット100は、好意地点を目指し、嫌悪地点を避け、好意地点にしばらくとどまり、やがてまた次の行動を起こす。このような制御により、ロボット100の行動選択を人間的・生物的なものにできる。
なお、ロボット100の行動に影響を与えるマップ(以下、「行動マップ」と総称する)は、図3に示したようなタイプの感情マップ116に限らない。例えば、好奇心、恐怖を避ける気持ち、安心を求める気持ち、静けさや薄暗さ、涼しさや暖かさといった肉体的安楽を求める気持ち、などさまざまな行動マップを定義可能である。そして、複数の行動マップそれぞれのz値を重み付け平均することにより、ロボット100の目的地点を決定してもよい。
ロボット100は、行動マップとは別に、さまざまな感情や感覚の大きさを示すパラメータを有してもよい。例えば、寂しさという感情パラメータの値が高まっているときには、安心する場所を評価する行動マップの重み付け係数を大きく設定し、目標地点に到達することでこの感情パラメータの値を低下させてもよい。同様に、つまらないという感覚を示すパラメータの値が高まっているときには、好奇心を満たす場所を評価する行動マップの重み付け係数を大きく設定すればよい。
図6は、ロボット100のハードウェア構成図である。
ロボット100は、内部センサ128、通信機126、記憶装置124、プロセッサ122、駆動機構120およびバッテリー118を含む。駆動機構120は、上述した車輪駆動機構370を含む。プロセッサ122と記憶装置124は、制御回路342に含まれる。各ユニットは電源線130および信号線132により互いに接続される。バッテリー118は、電源線130を介して各ユニットに電力を供給する。各ユニットは信号線132により制御信号を送受する。バッテリー118は、リチウムイオン電池などの二次電池であり、ロボット100の動力源である。
ロボット100は、内部センサ128、通信機126、記憶装置124、プロセッサ122、駆動機構120およびバッテリー118を含む。駆動機構120は、上述した車輪駆動機構370を含む。プロセッサ122と記憶装置124は、制御回路342に含まれる。各ユニットは電源線130および信号線132により互いに接続される。バッテリー118は、電源線130を介して各ユニットに電力を供給する。各ユニットは信号線132により制御信号を送受する。バッテリー118は、リチウムイオン電池などの二次電池であり、ロボット100の動力源である。
内部センサ128は、ロボット100が内蔵する各種センサの集合体である。具体的には、カメラ410(全天球カメラ400と高解像度カメラ402)、マイクロフォンアレイ404、温度センサ406、形状測定センサ408のほか、赤外線センサ、タッチセンサ、加速度センサ、ニオイセンサなどである。ニオイセンサは、匂いの元となる分子の吸着によって電気抵抗が変化する原理を応用した既知のセンサである。
通信機126は、サーバ200や外部センサ114、ユーザの有する携帯機器など各種の外部機器を対象として無線通信を行う通信モジュールである。記憶装置124は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリにより構成され、コンピュータプログラムや各種設定情報を記憶する。プロセッサ122は、コンピュータプログラムの実行手段である。駆動機構120は、内部機構を制御するアクチュエータである。このほかには、表示器やスピーカーなども搭載される。
プロセッサ122は、通信機126を介してサーバ200や外部センサ114と通信しながら、ロボット100の行動選択を行う。内部センサ128により得られるさまざまな外部情報も行動選択に影響する。
駆動機構120は、主として、車輪(前輪102)、頭部(頭部フレーム316)および胴部(手106)を制御する。駆動機構120は、2つの前輪102のそれぞれの回転速度や回転方向を変化させることにより、ロボット100の移動方向や移動速度を変化させる。また、駆動機構120は、車輪(前輪102および後輪103)を昇降させることもできる。車輪が上昇すると、車輪はボディ104に完全に収納され、ロボット100は着座面108にて床面に当接し、着座状態となる。
駆動機構120がワイヤ134を介して手106を引っ張ることにより、手106を持ち上げることができる。手106を振動させることで手を振るような仕草も可能である。多数のワイヤ134を利用すればさらに複雑な仕草も表現可能である。
図7は、ロボットシステム300の機能ブロック図である。
上述のように、ロボットシステム300は、ロボット100、サーバ200および複数の外部センサ114を含む。ロボット100およびサーバ200の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。ロボット100の機能の一部はサーバ200により実現されてもよいし、サーバ200の機能の一部または全部はロボット100により実現されてもよい。
上述のように、ロボットシステム300は、ロボット100、サーバ200および複数の外部センサ114を含む。ロボット100およびサーバ200の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。ロボット100の機能の一部はサーバ200により実現されてもよいし、サーバ200の機能の一部または全部はロボット100により実現されてもよい。
(サーバ200)
サーバ200は、通信部204、データ処理部202およびデータ格納部206を含む。通信部204は、外部センサ114およびロボット100との通信処理を担当する。データ格納部206は各種データを格納する。データ処理部202は、通信部204により取得されたデータおよびデータ格納部206に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部202は、通信部204およびデータ格納部206のインタフェースとしても機能する。
サーバ200は、通信部204、データ処理部202およびデータ格納部206を含む。通信部204は、外部センサ114およびロボット100との通信処理を担当する。データ格納部206は各種データを格納する。データ処理部202は、通信部204により取得されたデータおよびデータ格納部206に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部202は、通信部204およびデータ格納部206のインタフェースとしても機能する。
データ格納部206は、モーション格納部232、マップ格納部216および個人データ格納部218を含む。ロボット100は、複数の動作パターン(モーション)を有する。手を震わせる、蛇行しながらオーナーに近づく、首をかしげたままオーナーを見つめる、などさまざまなモーションが定義される。
モーション格納部232は、モーションの制御内容を定義する「モーションファイル」を格納する。各モーションは、モーションIDにより識別される。モーションファイルは、ロボット100のモーション格納部160にもダウンロードされる。どのモーションを実行するかは、サーバ200で決定されることもあるし、ロボット100で決定されることもある。
ロボット100のモーションの多くは、複数の単位モーションを含む複合モーションとして構成される。例えば、ロボット100がオーナーに近づくとき、オーナーの方に向き直る単位モーション、手を上げながら近づく単位モーション、体を揺すりながら近づく単位モーション、両手を上げながら着座する単位モーションの組み合わせとして表現されてもよい。このような4つのモーションの組み合わせにより、「オーナーに近づいて、途中で手を上げて、最後は体をゆすった上で着座する」というモーションが実現される。モーションファイルには、ロボット100に設けられたアクチュエータの回転角度や角速度などが時間軸に関連づけて定義される。モーションファイル(アクチュエータ制御情報)にしたがって、時間経過とともに各アクチュエータを制御することで様々なモーションが表現される。
先の単位モーションから次の単位モーションに変化するときの移行時間を「インターバル」とよぶ。インターバルは、単位モーション変更に要する時間やモーションの内容に応じて定義されればよい。インターバルの長さは調整可能である。以下、いつ、どのモーションを選ぶか、モーションを実現する上での各アクチュエータの出力調整など、ロボット100の行動制御にかかわる設定のことを「行動特性」と総称する。ロボット100の行動特性は、モーション選択アルゴリズム、モーションの選択確率、モーションファイル等により定義される。
マップ格納部216は、複数の行動マップを格納する。個人データ格納部218は、ユーザ、特に、オーナーの情報を格納する。具体的には、ユーザに対する親密度やユーザの身体的特徴・行動的特徴など各種のパラメータを格納する。年齢や性別などの他の属性情報を格納してもよい。
ロボット100はユーザの身体的特徴や行動的特徴に基づいてユーザを識別する。ロボット100は、内蔵のカメラで常時周辺を撮像する。そして、画像に写る人物の身体的特徴と行動的特徴を抽出する。身体的特徴とは、背の高さ、好んで着る服、メガネの有無、肌の色、髪の色、耳の大きさなど身体に付随する視覚的特徴であってもよいし、平均体温や匂い、声質、などその他の特徴も含めてもよい。行動的特徴とは、具体的には、ユーザが好む場所、動きの活発さ、喫煙の有無など行動に付随する特徴である。例えば、父親として識別されるオーナーは在宅しないことが多く、在宅時にはソファで動かないことが多いが、母親は台所にいることが多く、行動範囲が広い、といった行動上の特徴を抽出する。ロボット100は、大量の画像情報やその他のセンシング情報から得られる身体的特徴および行動的特徴に基づいて、高い頻度で出現するユーザを「オーナー」としてクラスタリングする。
ユーザIDでユーザを識別する方式は簡易かつ確実であるが、ユーザがユーザIDを提供可能な機器を保有していることが前提となる。一方、身体的特徴や行動的特徴によりユーザを識別する方法は画像認識処理負担が大きいものの携帯機器を保有していないユーザでも識別できるメリットがある。2つの方法は一方だけを採用してもよいし、補完的に2つの方法を併用してユーザ特定を行ってもよい。本実施形態においては、身体的特徴と行動的特徴からユーザをクラスタリングし、ディープラーニング(多層型のニューラルネットワーク)によってユーザを識別する。
ロボット100は、ユーザごとに親密度という内部パラメータを有する。ロボット100が、自分を抱き上げる、声をかけてくれるなど、自分に対して好意を示す行動を認識したとき、そのユーザに対する親密度が高くなる。ロボット100に関わらないユーザや、乱暴を働くユーザ、出会う頻度が低いユーザに対する親密度は低くなる。
データ処理部202は、位置管理部208、マップ管理部210、認識部212、動作判断部222および親密度管理部220を含む。位置管理部208は、ロボット100の位置座標を、図4を用いて説明した方法にて特定する。位置管理部208はユーザの位置座標もリアルタイムで追跡してもよい。
マップ管理部210は、複数の行動マップについて図5に関連して説明した方法にて各座標のパラメータを変化させる。マップ管理部210は、行動マップの一種である温度マップを管理する。
マップ管理部210は、複数の行動マップのいずれかを選択してもよいし、複数の行動マップのz値を加重平均してもよい。例えば、行動マップAでは座標R1、座標R2におけるz値が4と3であり、行動マップBでは座標R1、座標R2におけるz値が−1と3であるとする。単純平均の場合、座標R1の合計z値は4−1=3、座標R2の合計z値は3+3=6であるから、ロボット100は座標R1ではなく座標R2の方向に向かう。行動マップAを行動マップBの5倍重視するときには、座標R1の合計z値は4×5−1=19、座標R2の合計z値は3×5+3=18であるから、ロボット100は座標R1の方向に向かう。
認識部212は、外部環境を認識する。外部環境の認識には、温度や湿度に基づく天候や季節の認識、光量や温度に基づく物陰(安全地帯)の認識など多様な認識が含まれる。認識部212は、更に、人物認識部214と応対認識部228を含む。人物認識部214は、ロボット100の内蔵カメラによる撮像画像から人物を認識し、その人物の身体的特徴や行動的特徴を抽出する。そして、個人データ格納部218に登録されている身体特徴情報や行動特徴情報に基づいて、撮像されたユーザ、すなわち、ロボット100が見ているユーザが、父親、母親、長男などのどの人物に該当するかを判定する。人物認識部214は、表情認識部230を含む。表情認識部230は、ユーザの表情を画像認識することにより、ユーザの感情を推定する。なお、人物認識部214は、人物以外、例えば、ペットである猫や犬についても特徴抽出を行う。
応対認識部228は、ロボット100になされたさまざまな応対行為を認識し、快・不快行為に分類する。応対認識部228は、また、ロボット100の行動に対するオーナーの応対行為を認識することにより、肯定・否定反応に分類する。快・不快行為は、ユーザの応対行為が、生物として心地よいものであるか不快なものであるかにより判別される。例えば、抱っこされることはロボット100にとって快行為であり、蹴られることはロボット100にとって不快行為である。肯定・否定反応は、ユーザの応対行為が、ユーザの快感情を示すものか不快感情を示すものであるかにより判別される。例えば、抱っこされることはユーザの快感情を示す肯定反応であり、蹴られることはユーザの不快感情を示す否定反応である。
動作判断部222は、ロボット100の制御部150と協働して、ロボット100のモーションを決定する。動作判断部222は、マップ管理部210による行動マップ選択に基づいて、ロボット100の移動目標地点とそのための移動ルートを作成する。動作判断部222は、複数の移動ルートを作成し、その上で、いずれかの移動ルートを選択してもよい。
動作判断部222は、モーション格納部232の複数のモーションからロボット100のモーションを選択する。各モーションには状況ごとに選択確率が対応づけられている。例えば、オーナーから快行為がなされたときには、モーションAを20%の確率で実行する、気温が30度以上となったとき、モーションBを5%の確率で実行する、といった選択方法が定義される。行動マップに移動目標地点や移動ルートが決定され、後述の各種イベントによりモーションが選択される。
親密度管理部220は、ユーザごとの親密度を管理する。上述したように、親密度は個人データ格納部218において個人データの一部として登録される。快行為を検出したとき、親密度管理部220はそのオーナーに対する親密度をアップさせる。不快行為を検出したときには親密度はダウンする。また、長期間視認していないオーナーの親密度は徐々に低下する。
(ロボット100)
ロボット100は、内部センサ128、通信部142、データ処理部136、データ格納部148および駆動機構120を含む。内部センサ128は、各種センサの集合体である。内部センサ128は、マイクロフォンアレイ404、カメラ410、温度センサ406および形状測定センサ408を含む。
ロボット100は、内部センサ128、通信部142、データ処理部136、データ格納部148および駆動機構120を含む。内部センサ128は、各種センサの集合体である。内部センサ128は、マイクロフォンアレイ404、カメラ410、温度センサ406および形状測定センサ408を含む。
マイクロフォンアレイ404は、複数のマイクロフォンをつなぎ合わせたユニットであり、音を検出する音声センサである。マイクロフォンアレイ404は、音を検出し、音源の方向を検出可能なデバイスであればよい。マイクロフォンアレイ404は、頭部フレーム316に内蔵される。音源と各マイクロフォンの距離は一致しないため、集音タイミングにばらつきが生じる。このため、各マイクロフォンにおける音の強さと位相から音源の位置を特定できる。ロボット100は、マイクロフォンアレイ404により音源の位置、特に音源の方向を検出する。
カメラ410は外部を撮影するデバイスである。カメラ410は、全天球カメラ400と高解像度カメラ402を含む。温度センサ406は、外部環境の温度分布を検出し、画像化する。形状測定センサ408は、プロジェクタから近赤外線を照射し、近赤外線カメラにて近赤外線の反射光を検出することにより、対象物体の深度、ひいては、凹凸形状を読み取る赤外線深度センサである。
通信部142は、通信機126(図6参照)に該当し、外部センサ114およびサーバ200との通信処理を担当する。データ格納部148は各種データを格納する。データ格納部148は、記憶装置124(図6参照)に該当する。データ処理部136は、通信部142により取得されたデータおよびデータ格納部148に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部136は、プロセッサ122およびプロセッサ122により実行されるコンピュータプログラムに該当する。データ処理部136は、通信部142、内部センサ128、駆動機構120およびデータ格納部148のインタフェースとしても機能する。
データ格納部148は、ロボット100の各種モーションを定義するモーション格納部160を含む。モーション格納部160には、サーバ200のモーション格納部232から各種モーションファイルがダウンロードされる。モーションは、モーションIDによって識別される。前輪102を収容して着座する、手106を持ち上げる、2つの前輪102を逆回転させることで、あるいは、片方の前輪102だけを回転させることでロボット100を回転行動させる、前輪102を収納した状態で前輪102を回転させることで震える、ユーザから離れるときにいったん停止して振り返る、などのさまざまなモーションを表現するために、各種アクチュエータ(駆動機構120)の動作タイミング、動作時間、動作方向などがモーションファイルにおいて時系列定義される。
データ処理部136は、認識部156、制御部150およびセンサ制御部172を含む。制御部150は、移動制御部152および動作制御部154を含む。移動制御部152は、サーバ200の動作判断部222とともにロボット100の移動方向を決める。行動マップに基づく移動をサーバ200で決定し、障害物をよけるなどの即時的移動をロボット100で決定してもよい。駆動機構120は、移動制御部152の指示にしたがって前輪102を駆動することで、ロボット100を移動目標地点に向かわせる。
動作制御部154は、サーバ200の動作判断部222と協働してロボット100のモーションを決める。一部のモーションについてはサーバ200で決定し、他のモーションについてはロボット100で決定してもよい。また、ロボット100がモーションを決定するが、ロボット100の処理負荷が高いときにはサーバ200がモーションを決定するとしてもよい。サーバ200においてベースとなるモーションを決定し、ロボット100において追加のモーションを決定してもよい。モーションの決定処理をサーバ200およびロボット100においてどのように分担するかはロボットシステム300の仕様に応じて設計すればよい。動作制御部154は選択したモーションを駆動機構120に実行指示する。駆動機構120は、モーションファイルにしたがって、各アクチュエータを制御する。
動作制御部154は、親密度の高いユーザが近くにいるときには「抱っこ」をせがむ仕草として両方の手106をもちあげるモーションを実行することもできるし、「抱っこ」に飽きたときには左右の前輪102を収容したまま逆回転と停止を交互に繰り返すことで抱っこをいやがるモーションを表現することもできる。駆動機構120は、動作制御部154の指示にしたがって前輪102や手106、首(頭部フレーム316)を駆動することで、ロボット100にさまざまなモーションを表現させる。
センサ制御部172は、内部センサ128を制御する。具体的には、高解像度カメラ402、温度センサ406および形状測定センサ408の計測方向を制御する。頭部フレーム316の方向に合わせて、ロボット100の頭部に搭載される高解像度カメラ402、温度センサ406および形状測定センサ408の計測方向が変化する。センサ制御部172は、高解像度カメラ402の撮像方向を制御する(つまり、その撮像方向に合わせて頭部の動きを制御する)。センサ制御部172およびカメラ410が、「撮像部」として機能する。
認識部156は、内部センサ128から得られた外部情報を解釈する。認識部156は、視覚的な認識(視覚部)、匂いの認識(嗅覚部)、音の認識(聴覚部)、触覚的な認識(触覚部)が可能である。認識部156は、カメラ410、温度センサ406および形状測定センサ408の検出情報を定期的に取得し、人やペットなどの移動物体を検出する。これらの情報はサーバ200に送信され、サーバ200の人物認識部214は移動物体の身体的特徴を抽出する。また、ユーザの匂いやユーザの声も検出する。匂いや音(声)は既知の方法にて複数種類に分類される。
ロボット100に対する強い衝撃が与えられたとき、認識部156は内蔵の加速度センサによりこれを認識し、サーバ200の応対認識部228は、近隣にいるユーザによって「乱暴行為」が働かれたと認識する。ユーザがツノ112を掴んでロボット100を持ち上げるときにも、乱暴行為と認識してもよい。ロボット100に正対した状態にあるユーザが特定音量領域および特定周波数帯域にて発声したとき、サーバ200の応対認識部228は、自らに対する「声掛け行為」がなされたと認識してもよい。また、体温程度の温度を検知したときにはユーザによる「接触行為」がなされたと認識し、接触認識した状態で上方への加速度を検知したときには「抱っこ」がなされたと認識する。ユーザがボディ104を持ち上げるときの物理的接触をセンシングしてもよいし、前輪102にかかる荷重が低下することにより抱っこを認識してもよい。
サーバ200の応対認識部228は、ロボット100に対するユーザの各種応対を認識する。各種応対行為のうち一部の典型的な応対行為には、快または不快、肯定または否定が対応づけられる。一般的には快行為となる応対行為のほとんどは肯定反応であり、不快行為となる応対行為のほとんどは否定反応となる。快・不快行為は親密度に関連し、肯定・否定反応はロボット100の行動選択に影響する。
検出・分析・判定を含む一連の認識処理は、サーバ200の認識部212だけで行ってもよいし、ロボット100の認識部156だけで行ってもよいし、双方が役割分担をしながら上記認識処理を実行してもよい。
認識部156により認識された応対行為に応じて、サーバ200の親密度管理部220はユーザに対する親密度を変化させる。原則的には、快行為を行ったユーザに対する親密度は高まり、不快行為を行ったユーザに対する親密度は低下する。
サーバ200の認識部212は、応対に応じて快・不快を判定し、マップ管理部210は「場所に対する愛着」を表現する行動マップにおいて、快・不快行為がなされた地点のz値を変化させてもよい。例えば、リビングにおいて快行為がなされたとき、マップ管理部210はリビングに好意地点を高い確率で設定してもよい。この場合、ロボット100はリビングを好み、リビングで快行為を受けることで、ますますリビングを好む、というポジティブ・フィードバック効果が実現する。
サーバ200の人物認識部214は、外部センサ114または内部センサ128から得られた各種データから移動物体を検出し、その特徴(身体的特徴と行動的特徴)を抽出する。そして、これらの特徴に基づいて複数の移動物体をクラスタ分析する。移動物体としては、人間だけでなく、犬や猫などのペットが分析対象となることがある。
ロボット100は、定期的に画像撮影を行い、人物認識部214はそれらの画像から移動物体を認識し、移動物体の特徴を抽出する。移動物体を検出したときには、ニオイセンサや内蔵の集音マイク、温度センサ等からも身体的特徴や行動的特徴が抽出される。例えば、画像に移動物体が写っているとき、ひげが生えている、早朝活動している、赤い服を着ている、香水の匂いがする、声が大きい、メガネをかけている、スカートを履いている、白髪である、背が高い、太っている、日焼けしている、ソファにいる、といったさまざまな特徴が抽出される。
このような特徴抽出によるクラスタ分析が完了している状態において、ロボット100が新たに移動物体(ユーザ)を認識したとする。このとき、サーバ200の人物認識部214は、ロボット100から得られる画像等のセンシング情報から特徴抽出を行い、ディーブラーニング(多層型ニューラルネットワーク)により、ロボット100の近くにいる移動物体がどのクラスタに該当するかを判断する。
特徴抽出によるクラスタの形成(クラスタ分析)と、特徴抽出にともなうクラスタへの当てはめ(ディープラーニング)は同時並行的に実行されてもよい。移動物体(ユーザ)からどのような行為をされるかによってそのユーザに対する親密度が変化する。
ロボット100は、よく出会う人、よく触ってくる人、よく声をかけてくれる人に対して高い親密度を設定する。一方、めったに見ない人、あまり触ってこない人、乱暴な人、大声で叱る人に対する親密度は低くなる。ロボット100はセンサ(視覚、触覚、聴覚)によって検出するさまざまな外界情報にもとづいて、ユーザごとの親密度を変化させる。
次に、ツノ112およびそのジョイント機構500の詳細について説明する。
図8は、ツノ112の外観を表す斜視図である。図9は、ジョイント機構500を表す斜視図である。図9(a)はジョイント機構500の連結解除状態を斜め前方(図2におけるツノ112の下方)からみた図であり、図9(b)はジョイント機構500の同状態を斜め後方(図2におけるツノ112の上方)からみた図である。
図8は、ツノ112の外観を表す斜視図である。図9は、ジョイント機構500を表す斜視図である。図9(a)はジョイント機構500の連結解除状態を斜め前方(図2におけるツノ112の下方)からみた図であり、図9(b)はジョイント機構500の同状態を斜め後方(図2におけるツノ112の上方)からみた図である。
図8に示すように、ツノ112は、ジョイント機構500(ジョイント構造)にツノ本体502を組み付けて構成される。ツノ本体502には、「センサモジュール」としての全天球カメラ400が収容されている。ジョイント機構500は、第1部材504および第2部材506を含む。第1部材504は、頭部フレーム316に組み付けられる。第2部材506には、ツノ本体502が組み付けられる。なお、本実施形態では、頭部フレーム316が「第1部位」に該当し、ツノ本体502が「第2部位」に該当する。第1部材504および第2部材506は、本実施形態では樹脂材からなるが、金属材を成形して得てもよい。
第1部材504は、フランジ状の大径部508を有し、その大径部508の周縁の一部がフラットに切り欠かれている(切欠き510)。頭部フレーム316の頂部にも、これと嵌合するほぼ同形状の円孔が設けられており、組付作業時の位置決めが容易となるよう工夫されている。また、大径部508の後面の周縁部には、周方向に段差を有する嵌合構造512が形成されている。頭部フレーム316にも、これに対応する嵌合構造が形成されている。頭部フレーム316の円孔に形状を合わせるように大径部508を突き当て、第1部材504を軸線周りに回転させることにより、第1部材504を頭部フレーム316に固定できる。第1部材504には、配線L(電源線130,信号線132)を通すための挿通孔514が形成されている。
図9(a)および(b)に示すように、ジョイント機構500は、第1部材504から延びる第1軸516と、第2部材506から延びる第2軸518を含む。これら第1軸516と第2軸518とは、ジョイント520を介して連結されている。ジョイント520は、ユニバーサルジョイントであり、第1軸516および第2軸518のそれぞれが回動可能に接続される連結部材522を含む。
第1部材504は、第1軸516を自軸周りに回動可能に支持する。第2軸518は、第2部材506を軸線方向にスライド可能に支持する。図9に示す状態から第2部材506を前方(第1部材504に近づける方向)にスライドさせることで、図8に示すように、第1部材504と第2部材506とを嵌合させることができる。第1部材504の内周面には複数の嵌合突起524が設けられ、第2部材506の先端部外周面には、複数の嵌合溝526が設けられている。各嵌合突起524が対応する嵌合溝526に嵌合することで、第1部材504に対する第2部材506の回転をロックできる。また、第1部材504の後面には、環状の弾性部材528(本実施形態ではゴム)が設けられている。弾性部材528は、第1部材504と第2部材506とが嵌合する際、および第2部材506が第1部材504から離脱する際に両者間に作用する力を吸収し、それらの破損や変形を防止する。弾性部材528は、弾性力をもって第2部材506を受け入れ、両部材の嵌合部による連結力を高める「連結機構」としても機能する。
図10および図11は、ジョイント機構500の内部構造を表す断面図である。図10は両部材の嵌合解除状態を示す。図10(a)は縦断面であり、図10(b)は図10(a)のB−B矢視断面図である。一方、図11は両部材の嵌合状態を示す。図11(a)は図10(a)に対応し、図11(b)は図10(b)に対応する。
図10(a)および(b)に示すように、第1部材504は、有底円筒状の本体530を有する。本体530の側面から半径方向外向きにフランジ部が延出し、大径部508を構成している。本体530に対して同軸状に第1軸516が組み付けられている。本体530の底部531の中央には、第1軸516の一端部を挿通する挿通孔532が形成されている。
第1軸516は、円板状のベース部534と、ベース部534の片側面から二股状に延出する一対のアーム536と、ベース部534の反対側面から同軸状に延出する円ボス状の軸部538を有する。軸部538が挿通孔532に挿通されている。一対のアーム536は、ベース部534の軸線に対して対称に配置される。
軸部538は、挿通孔532からやや突出する長さ寸法とされており、その先端面と当接するようにワッシャ540が配置されている。ワッシャ540は、軸部538よりも外径が大きく、ねじ542により軸部538に締結されている。図示のように、ベース部534とワッシャ540との間に底部531が挟まれる形となるが、ベース部534とワッシャ540との間隔が底部531の厚みよりもやや大きい。このような構成により、第1軸516が第1部材504に対して自軸周りに回転可能に支持される。
一対のアーム536の先端に挟まれるように連結部材522が支持されている。連結部材522は、断面正方形の角筒状をなし、その4側面のうち互いに反対側となる2側面から一対のピボット544が突出し、残る2側面から一対のピボット545が突出している。一対のピボット544は、同軸状かつ反対向きに突出して第1回動軸を形成する。一対のピボット545は、同軸状かつ反対向きに突出して第2回動軸を形成する。これらの回動軸の軸線は、互いに直交する。一対のアーム536のそれぞれの先端部には円形の支持孔546が設けられ、一対のピボット544がそれぞれ嵌合している。それにより、第1軸516と連結部材522とは、第1回動軸の軸線周りに相対的に回動できる。
嵌合突起524は、本体530の内周面に所定間隔にて複数配設されている。本体530の開口端には、環状の装着部548が突設されている。弾性部材528の裏面には、環状の凹溝550が形成されている。この凹溝550が装着部548に嵌合するようにして、弾性部材528が第1軸516に装着されている。また、弾性部材528の開口端がテーパ状に形成され(テーパ部552)、第2部材506の受け入れを容易にしている。第2部材506は、たとえ第1部材504に対して多少傾いていたとしても、その先端部が弾性部材528に沿って滑りこむようにして組み付けられる。
一方、第2部材506は、段付円筒状の本体560を有する。本体560は、第1部材504に嵌合又は離脱する小径部562と、ツノ本体502が接続される大径部564を有する。本体560に対して同軸状に第2軸518が組み付けられている。小径部562の先端部はR形状とされ、その周面に複数の嵌合溝526が所定間隔で設けられている。なお、このR形状をなす小径部562の外周面が、第1部材504と嵌合する「嵌合面」として機能する。小径部562の後端部には、環状の磁性部材566が固定されている。また、小径部562の内周面には複数のガイド部568が突設され、軸線方向に延在している。
第2軸518は、円筒状のベース部570と、ベース部570の片側面から二股状に延出する一対のアーム572を有する。一対のアーム572は、ベース部570の軸線に対して対称に配置される。ベース部570の中央には、配線Lを通すための挿通孔574が形成されている。挿通孔514、連結部材522の内部通路、挿通孔574、およびこれらをつなぐ通路が、第1軸516および第2軸518を貫通する「貫通路」として機能する。ベース部570の外周面には、複数のガイド部568とそれぞれ嵌合する複数のガイド溝(凹溝)が設けられ、軸線方向に延在している。これらの嵌合により、第2軸518に対する第2部材506の回転が防止されている。なお、第2部材506の軸線周りの回転は、第1軸516の回転により確保される。
一対のアーム572のそれぞれの先端部には円形の支持孔573が設けられている。これらの支持孔573が、一対のピボット545にそれぞれ嵌合している。それにより、第2軸518と連結部材522とが、第2回動軸の軸線周りに相対的に回動できる。このような構成により、第1軸516と第2軸518とが、連結部材522を介して互いに回動可能となっている(図中一点鎖線矢印)。
ベース部570の外径が小径部562の内径とほぼ等しく、第2部材506は、第2軸518により軸線方向にスライド可能に支持されている。ベース部570の後面に環状の嵌合溝576が設けられ、環状の磁石578(本実施形態では永久磁石)が嵌着されている。磁石578は、磁性部材566と軸線方向に対向する。
図示の状態から第2部材506を第2軸518に対してスライドさせると、第2部材506が第1部材504に近接し、弾性部材528に当接する。この弾性部材528の弾性力に抗してさらに第2部材506を押し込むと、図11(a)および(b)に示すように、小径部562が第1部材504の本体530に挿入される。弾性部材528のテーパ部552と小径部562のR形状とにより、その挿入が促される。このとき、嵌合溝526を嵌合突起524に嵌合させることにより、第2部材506の回転をロックできる。このようにして、第1部材504を第2部材506に対して正確な姿勢で安定に固定できる。
また、このとき、磁石578と磁性部材566との間に磁力が生じるため、第2部材506が軸線方向に吸引(付勢)され、第2軸518にしっかりと固定される。すなわち、第2部材506の第1部材504に対する軸線方向の固定も安定する。言い換えれば、第2部材506が第1部材504に嵌合した状態では、この磁力を超えるような外力が作用しない限り、第1部材504から離脱することはない。つまり、ツノ112が頭部フレーム316から離脱することがない。ツノ112の外力に対する耐性を、磁石578の磁力の設定により調整できる。なお、磁石578および磁性部材566は、第1部材504と第2部材506との連結力を発揮させる「連結機構」として機能し、また、両部材の連結方向の付勢力を高める「付勢機構」としても機能する。
なお、本実施形態では、ツノ112における連結機構(付勢機構)以外の主要部材(第1部材504、第2部材506、第1軸516、第2軸518、連結部材522等)の強度を、磁石578と磁性部材566との連結力よりも大きくしている。それにより、ジョイント機構500の脱臼作用が起こらないままツノ112が破壊されることを防止している。また、ロボット100の自重(重力方向の荷重)を上記連結力よりも大きくすることで、ツノ112を引っ張れば離脱する(脱臼作用で抜ける)ようにしている。さらに、ツノ112の重さ(重力方向の荷重)を上記連結力よりも小さくすることで、ロボット100の通常作動時において、その連結力によりツノ112を保持(第1部材504と第2部材506との嵌合状態を保持)できるようにしている。
一方、磁石578および磁性部材566による連結力を超える外力がツノ112に作用することで、第1部材504と第2部材506との嵌合が解除されても、第1軸516と第2軸518とが連結しているため、第2部材506と第1部材504との接続がなくなることはない。つまり、ツノ112が脱臼のような態様で頭部フレーム316から離脱することはあっても、脱落することはない。第1軸516、第2軸518および連結部材522は、第1部材504と第2部材506との間に介在して両者をつなぐ「接続部材」として機能する。なお、連結部材522による第1軸516と第2軸518との接続強度は、第1部材504と第2部材506が離脱した後にツノ112(第2部材506)を保持できるよう十分な大きさを有する。
図12は、第2部材506の回転規制構造を表す説明図である。図12(a)は、図11(a)のC−C矢視断面図である。図12(b)および(c)は、図12(a)の状態から第2部材506が回転するときの回転限界を示す模式図である。
図12(a)に示すように、第1部材504の底部531と、第1軸516のベース部534との間には、第1軸516の自軸周りの回転角度範囲を制限する回転規制構造が設けられている。すなわち、底部531には、ベース部534との対向面に環状のガイド溝580が形成されている。本実施形態では、ガイド溝580の範囲をベース部534の軸線を中心とする330度の範囲に設定しているが、その角度範囲は360度未満の範囲で適宜設定できる。
一方、ベース部534には、底部531との対向面に扇状の係止片582が突設され、ガイド溝580に遊嵌されている。本実施形態では、係止片582の幅を、ベース部534の軸線を中心とする30度の範囲に設定しているが、その角度範囲は適宜設定できる。
第1軸516が一方向に回転すると、図12(b)に示すように、ガイド溝580の一方の周端に位置する壁584に係止される。第1軸516が他方向に回転すると、図12(c)に示すように、ガイド溝580の他方の周端に位置する壁586に係止される。このため、第1軸516の回転角度は、360度未満の所定角度範囲(本実施形態では300度の範囲)に制限される。既に述べたように、第2部材506の軸線周りの回転は、第1軸516の回転により確保されることから、その回転角度範囲も第1軸516と同様に制限される。
図13は、第2部材506の離脱過程(嵌合解除)を例示する図である。図13(a)および(b)は、その離脱過程を示している。第2部材506を第1部材504から離脱させるためには、図13(a)に示すように、少なくとも嵌合突起524と嵌合溝526との嵌合を解除する必要があり、そのために第2部材506に対して軸線方向の力成分を作用させる必要がある。
第2部材506が第1部材504から離れる方向に所定量変位すると、嵌合突起524と嵌合溝526との嵌合が解除される。この状態で第2部材506に径方向の力成分を作用させることで、図13(b)に示すように、第2部材506を第1部材504に対して回動させることができる。このとき、第2部材506は、第1軸516の軸線L1周り、連結部材522の第1回動軸の軸線L2周り、および連結部材522の第2回動軸の軸線L3周り(つまり3軸周り)に回動できる。それにより、ツノ112の動作自由度が高まる。
以上、実施形態に基づいて、ロボット100に適用されるジョイント構造について説明した。本実施形態によれば、ロボット100の本体に設けられる第1部材504と、ツノ112を構成する第2部材506とが、嵌合又は離脱(嵌合解除)可能に構成される。ロボット100の行動過程でツノ112に想定外の外力が加わったとしても、両部材の相対変位が所定量を超えたときに嵌合状態が解除され、脱臼のような現象を生じさせることで、その外力による負荷を受け流すことができる。それにより、ツノ112の破壊を防止できる。また、両部材が離脱しても、第1軸516と第2軸518との連結状態が保たれるため、ツノ112が脱落することを防止できる。
また、本実施形態によれば、第1軸516、連結部材522および第2軸518を貫通する貫通路が形成され、その貫通路に配線Lが挿通される。ジョイント520そのものに配線Lが通されることとなるため、部材間の配線を最短距離で行うことができる。ジョイント520が複雑な回転作動をしても、配線Lがその作動に干渉することがない。さらに、第1軸516の回転角度範囲を360度未満に制限したため、配線L(電源線130,信号線132)が捩れることも防止又は抑制できる。このため、配線Lの切断や破損を効果的に防止できる。
[変形例]
図14は、変形例に係るジョイント構造を表す断面図である。図14(a)は第1変形例を示し、図14(b)は第2変形例を示す。
第1変形例では、「連結機構」および「付勢機構」として、ばね610(引きばね)が設けられている。ばね610の一端が第2軸618に固定され、他端が第2部材606の大径部564に固定されている。小径部562の後端近傍には、第2軸618の脱落を防止するための止輪666が設けられている。このような構成によれば、ばね610の仕様(荷重)を選択することにより、ツノを脱臼させるべき外力の大きさ(脱臼しやすい/し難い)を調整できる。
図14は、変形例に係るジョイント構造を表す断面図である。図14(a)は第1変形例を示し、図14(b)は第2変形例を示す。
第1変形例では、「連結機構」および「付勢機構」として、ばね610(引きばね)が設けられている。ばね610の一端が第2軸618に固定され、他端が第2部材606の大径部564に固定されている。小径部562の後端近傍には、第2軸618の脱落を防止するための止輪666が設けられている。このような構成によれば、ばね610の仕様(荷重)を選択することにより、ツノを脱臼させるべき外力の大きさ(脱臼しやすい/し難い)を調整できる。
第2変形例では、「連結機構」および「付勢機構」として、電磁石630が設けられている。小径部562の後端近傍には、その内周面に沿って複数の電磁石630が配置されている。第2軸628には、各電磁石との対向面に磁性部材678が配設されている。制御部150が、電磁石630への電源供給を制御する。このような構成によれば、電磁石630への供給電流値を調整することにより、第1部材504と第2部材626との嵌合力(連結力、付勢力)を制御できる。すなわち、ロボット100がおかれる状況に応じて、ツノを脱臼させるべき外力の大きさ(脱臼しやすい/し難い)を調整できる。
図15は、他の変形例(第3変形例)に係るジョイント構造を表す断面図である。
第3変形例では、第1変形例の構成に加え、第1部材704と第2部材706との嵌合状態をロック可能なロック機構710が設けられている。ロック機構710は、第1部材704と第2部材706とを締結可能なねじ712(ボルト)と、ねじ712を締結又は解除方向に駆動するモータ714を含む。制御部150が、モータ714を制御する。
第3変形例では、第1変形例の構成に加え、第1部材704と第2部材706との嵌合状態をロック可能なロック機構710が設けられている。ロック機構710は、第1部材704と第2部材706とを締結可能なねじ712(ボルト)と、ねじ712を締結又は解除方向に駆動するモータ714を含む。制御部150が、モータ714を制御する。
第1部材704には、ねじ712を挿通するための挿通孔716が貫通形成されている。挿通孔716の開口端部に軸受718が配設されている。ねじ712の後端部には、ギヤ720が同軸かつ一体に設けられている。ギヤ720は、モータ714の出力ギヤ722と噛合している。第1部材704の端面とギヤ720との間には、ワッシャ726が介装されている。一方、第2部材706の大径部764には雌ねじ部730が設けられ、ねじ712の雄ねじ部728が螺合する。
モータ714を一方向に回転駆動することにより、ねじ712を締結方向(図の右方)に駆動できる。モータ714を他方向に回転駆動することにより、ねじ712を締結解除方向(図の左方)に駆動できる。ねじ712を締結解除方向に駆動し、雄ねじ部728を雌ねじ部730から脱抜させることにより、第1部材704と第2部材706とを離脱させることができる。このような構成によれば、第1部材704と第2部材706との締結により、両者の連結強度を高めることができる。例えば、ツノが壊れても連結状態を維持する必要が生じる場合、このような構成が有効となる。
図16は、他の変形例(第4変形例)に係るジョイント構造を表す断面図である。図16(a)は第1部材と第2部材との嵌合状態を示し、図16(b)は離脱状態を示す。
第4変形例では、「連結機構」および「付勢機構」として、ベローズ810が設けられている。ベローズ810の一端が第1部材804に固定され、他端が第2部材806に固定されている。ベローズ810は、軸線方向の弾性力を有するため、第1部材804と第2部材806とを嵌合方向に付勢する「付勢機構」として機能する。本変形例では、第1軸および第2軸は設けられていない。第1部材804には、配線Lを挿通させるための挿通孔514が設けられている。
第4変形例では、「連結機構」および「付勢機構」として、ベローズ810が設けられている。ベローズ810の一端が第1部材804に固定され、他端が第2部材806に固定されている。ベローズ810は、軸線方向の弾性力を有するため、第1部材804と第2部材806とを嵌合方向に付勢する「付勢機構」として機能する。本変形例では、第1軸および第2軸は設けられていない。第1部材804には、配線Lを挿通させるための挿通孔514が設けられている。
図16(a)に示す嵌合状態から外力を加えることにより、図18(b)に示すように、第2部材806を脱臼態様にて離脱させることができる。このとき、ベローズ810は、第2部材806の脱落を防止する「接続部材」として機能する。このような構成によれば、ジョイント構造の部品点数を削減でき、コスト低減を図ることができる。
なお、ベローズ810に代えて、スポンジ(ウレタン)等の外皮を配置してもよい。また、両部材をワイヤにより接続してもよい。そのワイヤを形状記憶合金線としてもよい。ワイヤに通電又は通電遮断することにより、そのワイヤを緊張又は弛緩させることができる。例えば、両部材の嵌合状態を維持したときに緊張させ、離脱を許容するときに弛緩させてもよい。
図17は、他の変形例(第5変形例)に係るジョイント構造を表す断面図である。
第5変形例では、上記実施形態のジョイント機構500を、ロボット900(ヒューマノイドロボット)の肩関節に適用している。ロボット900の肩部902が「第1部位」に該当し、腕部904が「第2部位」に該当する。第1部材504が肩部902を構成し、第2部材506が腕部904を構成している。なお、腕部904の詳細については説明を省略する。
第5変形例では、上記実施形態のジョイント機構500を、ロボット900(ヒューマノイドロボット)の肩関節に適用している。ロボット900の肩部902が「第1部位」に該当し、腕部904が「第2部位」に該当する。第1部材504が肩部902を構成し、第2部材506が腕部904を構成している。なお、腕部904の詳細については説明を省略する。
ねじ542とワッシャ540との間に挟まれるようにギヤ920が固定されている。ギヤ920は、モータ914の出力ギヤ922と噛合している。制御部150が、モータ914を制御する。モータ914を駆動することで、腕部904を回転させることができる。そして、腕部904に所定値以上の外力が加わった場合、第2部材506が第1部材504から離脱し、その外力を受け流すことができる。このように、上記実施形態のジョイント機構500は肩部の関節にも適用できる。もちろん、ロボット900に設けられた関節毎にジョイント機構500が組み合わされてもよい。なお、変形例1〜4についても同様に、ロボット900の肩関節に適用可能であることは言うまでもない。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
1つのロボット100と1つのサーバ200、複数の外部センサ114によりロボットシステム300が構成されるとして説明したが、ロボット100の機能の一部はサーバ200により実現されてもよいし、サーバ200の機能の一部または全部がロボット100に割り当てられてもよい。1つのサーバ200が複数のロボット100をコントロールしてもよいし、複数のサーバ200が協働して1以上のロボット100をコントロールしてもよい。
ロボット100やサーバ200以外の第3の装置が、機能の一部を担ってもよい。図7において説明したロボット100の各機能とサーバ200の各機能の集合体は大局的には1つの「ロボット」として把握することも可能である。1つまたは複数のハードウェアに対して、本発明を実現するために必要な複数の機能をどのように配分するかは、各ハードウェアの処理能力やロボットシステム300に求められる仕様等に鑑みて決定されればよい。
上記実施形態では、第2部材に設けられる「センサモジュール」として全天球カメラ400を例示したが、これに限らず、例えば温度センサ等、種々のセンサを設けることができる。「センサモジュール」に代えて、モータ等の「アクチュエータモジュール」としてもよい。このアクチュエータモジュールにも配線L(電源線、信号線等)が接続される。
上記実施形態では述べなかったが、磁性部材566の近傍にホール素子等による磁気センサ(非接触センサ)を配置し、磁石578と磁性部材566との着脱(つまり、第1部材504と第2部材506との嵌合有無)を検知してもよい。この離脱検知によりツノ112が抜かれたと判定し、アラート信号を出力してもよい。制御部150は、このアラート信号の入力に応じてロボット100の動力系電源をオフにするなどしてもよい。あるいは、電源回路そのものを遮断してもよい。
上記実施形態および変形例では、上記ジョイント構造をツノや肩関節に適用する例を示した。他の変形例においては、腕や手足の関節、指の関節等その他の関節部分に適用してもよい。例えば、二足歩行ロボットが転倒したとき、腕に想定外の力がかかり関節が壊れるかもしれない。二足歩行ロボットが歩行中に片足が滑り、その股が想定以上に開き、股関節が破壊するかもしれない。そのようなとき、上述のようなジョイント機構による脱臼構造があれば、致命的な破壊を防ぐことができる。脱臼構造は一箇所なくてもよく、例えば、腕の各関節(手首、肘、肩)のそれぞれに設けてもよい。転倒時には手首から順番に脱臼していくことで、衝撃を逃がしつつ転倒させることもできる。
上記実施形態では、ジョイント520としてユニバーサルジョイントを例示したが、モールジョイントその他のジョイントを採用してもよい。なお、ジョイントの回動部分に配線を通すことを考慮すると、ユニバーサルジョイントを採用するのが好ましい。
上記実施形態では、図11に示したように、第1部材504において、第2部材506を弾性部材528にて導入し、本体530にて固定する例を示した。つまり、第1部材504において第2部材506が嵌合する部分の根元部分を硬質の樹脂材、先端部分を弾性部材とした。変形例においては、第1部材504において第2部材506が嵌合する部分全体を弾性部材としてもよい。
上記実施形態では述べなかったが、第2部材を離脱(脱臼)させるべき荷重の大きさを、第2部材506に対する連結部材522の位置(回動支点位置)により調整することができる。外力が作用する位置と支点位置との距離により、回転モーメントが異なるからである。例えば、第2軸518を長くするほど回転モーメントが大きくなるため、離脱し易くできる。なお、このように離脱させるべき荷重を物理的に調整する場合、嵌合突起524と嵌合溝526とによる嵌合構造を省略してもよい。それにより、第2部材506を軸線方向にスライドさせることなく離脱させることもできる。
上記実施形態では述べなかったが、第1部材と第2部材とが、嵌合状態にて互いを係止させる係止部を備えてもよい。例えば、第2部材を第1部材に対して引っ掛ける構造としてもよい。係止部の弾性変形により、係止状態を解除できるようにしてもよい。
上記実施形態では、第2軸と第2部材との間に磁石(連結機構、付勢機構)を配置したが、第1部材と第2部材との間に磁石を配置してもよい。
上記第5変形例では、モータ914と第1軸516とをギヤ接続としたが、クラッチ接続としてもよい。
なお、上記実施形態のジョイント構造を以下のように捉えることもできる。すなわち、このジョイント構造は、第1部材と、前記第1部材に支持される第1軸と、前記第1軸とジョイントを介して回動可能に連結される第2軸と、前記第2軸に相対変位可能に支持される第2部材と、を備え、前記第2部材の前記第2軸に対する相対変位に応じて、前記第2部材が前記第1部材に対して着脱可能に構成されている。このジョイント構造は、前記第2軸の長手方向への前記第2部材のスライドをガイドするガイド部が設けられている。
上記実施形態では、図10(a)に示したように、第1部材504の軸線から離隔した位置に挿通孔514を設け、第2部材506から延びる配線Lを挿通させる構成を示した。このような構成では、第1部材504に対する第2部材506の回転角度範囲に応じて、配線Lが第1軸516の外周に巻きとられる可能性がある。このため、配線Lの長さについては、その回転角度範囲を考慮して余裕をもって設定するのがよい。
上記実施形態では、挿通孔514を第1部材504の軸線から離隔した位置に設ける一方、第1軸516の回転角度範囲を360度未満に制限することで、配線Lの捩れを抑制し、切断や破損を防止する例を示した。変形例においては、第1部材504の軸線上(つまり第1軸516の軸線上)に挿通孔を設けてもよい。例えば、ねじ542を軸線方向に貫通するように挿通孔を設け、上記「貫通路」の一部としてもよい。「貫通路」は、第1軸516をその軸線方向に貫通する通路と、第2軸518をその軸線方向に貫通する通路と、連結部材522(接続部材)を貫通する通路とにより構成される。このような構成により、配線Lを第1軸516および第2軸518の軸線に沿って延ばすことができる。その結果、第2部材506を軸線周りに回転させても、配線Lがより捩れ難くなり、その切断や破断を防止できる。第1軸516の回転角度範囲を360度未満に制限する必要がなくなり、第2部材506を軸線周りに回転自在とすることもできる。
Claims (13)
- ロボットの第1部位と第2部位との接続に用いられるジョイント構造であって、
前記第1部位に設けられる第1部材と、
前記第2部位に設けられ、前記第1部材と嵌合する嵌合面を有する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との嵌合状態が維持されるよう前記第1部材と前記第2部材との連結力を発揮させる連結機構と、
を備え、
前記連結機構は、前記嵌合状態からの前記第1部材と前記第2部材との相対変位が所定量を超えた場合に、前記嵌合状態を解除することを特徴とするジョイント構造。 - 前記連結機構は、前記第2部材を前記第1部材と嵌合する方向に付勢する付勢機構であることを特徴とする請求項1に記載のジョイント構造。
- 前記第1部材と前記第2部材との嵌合状態が解除されても、前記第1部材と前記第2部材との間に介在して両者をつなぐ接続部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のジョイント構造。
- 前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方の嵌合部に弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のジョイント構造。
- 前記第1部材に支持される第1軸と、
前記第1軸とジョイントを介して回動可能に連結される第2軸と、
をさらに備え、
前記第2部材が、前記第2軸に相対変位可能に支持され、
前記連結機構は、前記第2部材の前記第2軸に対する相対的な位置関係に応じて、前記第1部材と前記第2部材との嵌合状態を実現又は解除することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のジョイント構造。 - 前記第1軸および前記第2軸を貫通する貫通路が形成され、
前記貫通路に配線が挿通されることを特徴とする請求項5に記載のジョイント構造。 - 前記第1部材と前記第2部材との離脱を検出するセンサを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のジョイント構造。
- 第1部材と、
前記第1部材に支持される第1軸と、
前記第1軸とジョイントを介して回動可能に連結される第2軸と、
前記第2軸に支持される第2部材と、
を備え、
前記第1軸および前記第2軸を貫通する貫通路が形成され、
前記貫通路に配線が挿通されることを特徴とするジョイント構造。 - 前記第1軸が、前記第1部材により自軸周りに回転可能に支持されていることを特徴とする請求項8に記載のジョイント構造。
- 前記第1軸の回転角度範囲を360度未満の所定角度範囲に制限する回転規制構造をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のジョイント構造。
- 前記第2部材にセンサモジュールが固定され、
前記配線が前記センサモジュールに接続されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のジョイント構造。 - 第1部位と第2部位とが接続されるロボットであって、
前記第1部位を構成する第1部材と、
前記第2部位を構成し、前記第1部材と嵌合する嵌合面を有する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との嵌合状態が維持されるよう前記第1部材と前記第2部材との連結力を発揮させる連結機構と、
を備え、
前記連結機構は、前記嵌合状態からの前記第1部材と前記第2部材との相対変位が所定量を超えた場合に、前記嵌合状態を解除することを特徴とするロボット。 - 第1部位と第2部位とが接続されるロボットであって、
前記第1部位を構成する第1部材と、
前記第1部材に支持される第1軸と、
前記第1軸とジョイントを介して回動可能に連結される第2軸と、
前記第2軸に支持され、前記第2部位を構成する第2部材と、
を備え、
前記第1軸および前記第2軸を貫通する貫通路が形成され、
前記貫通路に配線が挿通されることを特徴とするロボット。
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