JP2019189996A - 織物製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】セルロース繊維を用いて製織された織地からなる織物製品であって、優れた防しわ性と優れた着用感とを両立する織物製品を提供すること。【解決手段】本発明の織物製品は、前身頃部と、後身頃部またはヨーク部とが縫合されて形成される肩縫合部を有し、セルロース繊維を20質量%以上含むセルロース系繊維を用いて製織され、かつ、セルロース繊維を20質量%以上含む織地からなり、該織地の緯方向の伸長率が10〜50%であり、かつ該肩縫合部の縫い目方向の伸長率が10〜50%である。【選択図】図1

Description

本発明は、織物製品に関する。
セルロース繊維を含む織地は、一般に、洗濯によって生じたしわが残りやすく、ウォッシュアンドウェアー性(以下「W&W性」とも称する。)が低い。W&W性を改善するために、架橋剤を用いてセルロース分子相互を化学架橋する方法が用いられている。さらに、該織地を使用したドレスシャツの縫合部に、伸びたり収縮したりしないよう接着芯地等を用いて縫合部を固定することで、着用および/または洗濯を繰り返しても、縫合部の変形が生じない防しわ性の高いドレスシャツが提供されている。このようなドレスシャツは、着用時に例えば肩の動きが制限され、着用感に劣る欠点がある。
これに対して、編地でドレスシャツを形成する方法(特許文献1)が提案されている。しかしながら、当該方法は、編地に対しては有効であるが、織地に適用しても防しわ性と着用感の両立は困難であるという問題がある。
特開2013−096022号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、セルロース繊維を用いて製織された織地からなる織物製品であって、優れた防しわ性と優れた着用感とを両立する織物製品を提供することにある。
本発明の織物製品は、前身頃部と、後身頃部またはヨーク部とが縫合されて形成される肩縫合部を有し、セルロース繊維を20質量%以上含むセルロース系繊維を用いて製織され、かつ、セルロース繊維を20質量%以上含む織地からなり、該織地の緯方向の伸長率が10〜50%であり、かつ該肩縫合部の縫い目方向の伸長率が10〜50%である。
1つの実施形態においては、上記セルロース系繊維の英式綿番手は30〜80番手である。
1つの実施形態においては、上記織地の経糸密度は50〜350本/インチ、かつ緯糸密度は50〜300本/インチである。
1つの実施形態においては、上記セルロース系繊維は架橋されている。
1つの実施形態においては、上記織地の緯糸は、セルロース繊維、ポリエステル繊維、およびポリウレタン弾性繊維からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
1つの実施形態においては、前身頃部と後身頃部とが縫合されて上記肩縫合部が形成されている。
1つの実施形態においては、上記織地の経方向と前身頃部の縦方向とが同一の方向であり、かつ上記織地の経方向と後身頃部の縦方向とが同一の方向である。
本発明の別の局面によれば、織物製品の製造方法が提供される。この織物製品の製造方法は、セルロース繊維を20質量%以上含むセルロース系繊維を用いて製織され、かつ、セルロース繊維を20質量%以上含む織地からなる織物製品の製造方法であって、前身頃部を構成する該織地と、後身頃部またはヨーク部を構成する該織地とを縫合して肩縫合部を形成する肩縫合部形成工程を有し、該織地の緯方向の伸長率が10〜50%であり、かつ該肩縫合部の縫い目方向の伸長率が10〜50%である。
本発明の織物製品によれば、前身頃部と、後身頃部またはヨーク部とが縫合されて形成される肩縫合部を有し、セルロース繊維を20質量%以上含むセルロース系繊維を用いて製織された織地からなり、該織地の緯方向の伸長率が10〜50%であり、かつ該肩縫合部の縫い目方向の伸長率が10〜50%であることにより、優れた防しわ性と優れた着用感とを両立することができる。
本発明の1つの実施形態による織物製品の概略正面図である。 本発明の1つの実施形態による織物製品の概略背面図である。 本発明の別の実施形態による織物製品の概略正面図である。 本発明のさらに別の実施形態による織物製品の概略正面図である。 本発明のさらに別の実施形態による織物製品の概略正面図である。 本発明のさらに別の実施形態による織物製品の概略背面図である。 肩縫合部の縫合状態を説明する概略断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、図面における上下左右の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。織物製品の正面図から見た織物製品を織物製品前部、織物製品の背面図から見た織物製品を織物製品後部という。本明細書において、前身頃部、後身頃部、ポケット部、上前立て部、および下前立て部について「ヨコ方向」とは、織物製品の実質的な左右方向を意味する。なお、「織物製品の実質的な左右方向」とは、織物製品の左右方向に対して±20°の角度をなす方向を包含し、好ましくは±5°である。図面に示す寸法比率は、図示の比率に限られるものではない。
A.織物製品の全体構成
織物製品は、任意の適切な織物製品であり得る。織物製品としては、例えば、シャツが挙げられる。シャツは長袖であっても半袖であってもよい。シャツとしては、例えば、ドレスシャツ、ブラウス、およびカジュアルシャツが挙げられる。ドレスシャツとしては、例えば、ワイシャツ、およびカッターシャツが挙げられる。
図1は、本発明の1つの実施形態による織物製品の概略正面図であり、図2は、その概略背面図である。本明細書では、織物製品の正面側を前部、背面側を後部と称する。織物製品100は、前身頃部10、後身頃部20、袖部70、カウス部71、襟部40、ポケット部11、上前立て部12、および下前立て部13を有する。「上前立て部」とは、織物製品を着用しボタンをつけた状態で表側になる部分をいい、「下前立て部」とは、裏側(以下、肌側と称する)になる部分をいう。襟部40は、襟羽根41と襟台42とからなる。襟台42は下側に凸となるように形成されている。
織物製品は、前身頃部と、後身頃部またはヨーク部とが縫合されて形成される肩縫合部を有する。織物製品100では、前身頃部10と後身頃部20とが縫合されて肩縫合部30が形成されている(図1)。前身頃部と後身頃部とが縫合されて肩縫合部が形成されていることにより、該縫合部の縫い目方向の伸長率や伸長回復率が高くなり、着用した際の肩と肩の回りの動きが一層滑らかになるので、特に優れた着用感を実現することができる。
肩縫合部は、代表的には織物製品の前部に形成される。肩縫合部は、任意の適切な方向に延びるように形成され得る。肩縫合部は、例えば、肩稜線に沿って延びるように形成されても良いし、織物製品のヨコ方向に延びるように形成されてもよい。肩縫合部がこれらの方向に延びるように形成されることにより、織物製品の審美性が向上する。図示例では、肩縫合部30は肩稜線50に沿って延びるように形成されている。
肩縫合部の上限位置は、代表的には肩稜線である。肩縫合部の下限位置は、代表的には襟台の最下位である。図示例では、肩縫合部30は肩稜線50よりも約2cm下方に位置している。
肩縫合部の縫い目方向の伸長率は10〜50%であり、好ましくは10〜45%、より好ましくは15〜45%である。上記伸長率が所定値以上であることにより、着用感がさらに向上する。上記伸長率が所定値以下であることにより、優れた着用感を実現しつつ、着用中に繰り返し伸長されることにより生じる身生地の「変形、目ずれ、わらい」をより確実に防止することができる。その結果、より優れた着用感とより優れた防しわ性とを両立することができる。
肩縫合部の縫い目方向の伸長回復率は、任意の適切な値であり得る。上記伸長回復率は、例えば50〜100%であり、好ましくは60〜100%、より好ましくは70〜100%である。伸長回復率が所定値以上であることにより、肩の縫合部またはその周囲にパッカリングが生じることをより確実に防止することができる。その結果、より優れた防しわ性を実現することができる。
肩縫合部の縫い目方向の伸長比率(肩縫合部の縫い目方向の伸長率/身生地緯方向の伸長率×100)は、任意の適切な値であり得る。上記伸長比率は、例えば20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは60%以上である。上記伸長比率が所定値以上であることにより、優れた着用感を実現しつつ、吊り干し乾燥時に、肩縫合部も身生地と同様に適度なテンションが生じて、しわが取れやすくなる。その結果、より優れた着用感とより優れた防しわ性とを両立することができる。
織物製品は、セルロース繊維を20質量%以上含むセルロース系繊維を製織した織地からなる。
上記織地の経方向と、前身頃部の縦方向および後身頃部の縦方向とは同一の方向であり得る。織物製品100は、上記織地の経方向が、前身頃部10、後身頃部20、袖部70、ポケット部11、上前立て部12、および下前立て部13の縦方向となるように形成されている。
図3は、本発明の別の実施形態による織物製品の概略正面図である。織物製品101では、肩縫合部30は肩稜線50上に形成されている点が織物製品100と異なる。
図4は、本発明のさらに別の実施形態による織物製品の概略正面図である。織物製品102では、肩縫合部30は、襟台42の最下位から織物製品のヨコ方向に延びるように形成されている点が織物製品100と異なる。
図5は、本発明のさらに別の実施形態による織物製品の概略正面図であり、図6はその概略背面図である。織物製品103は、前身頃部10、後身頃部20、袖部70、カウス部71、襟部40、ポケット部11、上前立て部12、および下前立て部13に加えて、ヨーク部60を有する。織物製品103では、前身頃部10とヨーク部60とが縫合されて肩縫合部30が形成されている(図5)。さらに、ヨーク部60と後身頃部20とが縫合されてヨーク後部縫合部62が形成されている(図6)。ヨーク後部縫合部62は織物製品のヨコ方向に延びるように形成されている。ヨーク後部縫合部は、代表的には織物製品の後部に形成される。
B.織地
織地の織組織としては、任意の適切な織組織を採用し得る。織組織としては、例えば、平織、朱子織(サテン)、綾織、ドビー織、およびこれらの組み合わせが挙げられる。これらの織組織によれば、多様なデザインを有する織物製品が得られ得る。織地は、任意の適切な織機を用いて製織され得る。
平織組織としては、例えば、ブロード、およびローンが挙げられる。ブロードは、地合いが密で光沢を持つ点で好ましい。ローンは、ソフトな手触りを持つ点で好ましい。
朱子織(サテン)によれば、光沢に富み、滑りの良い滑らかな感触が得られる。織密度を粗くすることにより、軽量で柔らかく様々なデザインの織物製品が得られる。綾織によれば、光沢に富み、良好な伸長率および伸長回復率を実現することができる。
織地は、上述のように、セルロース繊維を20質量%以上含むセルロース系繊維を用いて製織されている。
織地は、必要に応じて、上記セルロース系繊維に加えて他の繊維を経糸および/または緯糸として用いて製織(いわゆる、交織り)されてもよい。
上記他の繊維は任意の適切な形態であり得る。上記形態としては、例えば、原糸(未加工糸)、仮撚糸、および染色糸の形態が挙げられる。また、上記形態として、例えば、単糸、合撚糸、およびカバリングヤーンの形態が挙げられる。また、上記他の繊維が2種以上の繊維を含む場合、当該2種以上の繊維は、例えば、混紡糸、混撚糸等の形態であり得る。これらの形態は、単独でまたは2種以上組み合わせて採用され得る。
上記他の繊維としては、任意の適切な繊維を採用し得る。上記他の繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリイミド繊維、およびポリ乳酸繊維が挙げられる。上記他の繊維は、好ましくは、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、またはポリアミド繊維であり、より好ましくは、ポリエステル繊維、またはポリウレタン繊維である。上記他の繊維は短繊維であってもよいし、長繊維であってもよい。
織地は、上述のように、セルロース繊維を20質量%以上含む。織地のセルロース繊維含有量は、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上である。上記含有量が所定値以上であることにより、優れた吸湿性、肌触り、および風合いを有する織物製品を実現することができる。
織地が、セルロース系繊維にポリエステル繊維を混用した織地である場合、織地中のセルロース繊維の含有量は、好ましくは20〜95質量%である。織地が、セルロース系繊維にポリウレタン繊維を混用した織地である場合、織地中のセルロース繊維の含有量は、好ましくは20〜99質量%である。これらの含有量が上記範囲内であることにより、着用感および風合いがさらに向上し、架橋処理による防しわ効果がさらに向上した織物製品を実現できる。
織地の緯糸としては、任意の適切な繊維を用い得る。織地の緯糸としては、例えば、セルロース繊維、ポリエステル繊維、およびポリウレタン弾性繊維が挙げられる。上記セルロース繊維としては、例えばアセテート繊維が挙げられる。
織地の経糸密度としては、任意の適切な値を採用し得る。織地の経糸密度は、例えば50〜350本/インチ(2.54cm)であり、好ましくは100〜200本/インチである。織地の緯糸密度としては、任意の適切な値を採用し得る。織地の緯糸密度は、例えば50〜300本/インチであり、好ましくは70〜140本/インチである。経糸密度と緯糸密度とは、互いに同じであっても、異なっていてもよい。これらの織密度が所定値以上であることにより、織地の強度が向上し、さらに織物製品が透けにくくなる。これらの織密度が所定値以下であることにより、好適な風合いが得られ、張りを解消し、織地を軽量化できる。所望の用途に応じた性能(例えば、伸長性、着用感、柔らかさ)、織地の強度、厚さ、および重さなどを考慮して、上記範囲の織密度を好適に採用し得る。なお、上記織地の織密度は、後述する縫製を経て得られる織物製品における織地の織密度である。よって、上記織地の織密度は、製織時の織密度とは異なる場合がある。
織地の緯方向の伸長率は10〜50%であり、好ましくは10〜45%、より好ましくは15〜45%である。伸長率が所定値以上であることにより、より優れた着用感を実現できる。伸長率が所定値以下であることにより、優れた着用感を実現しつつ、着用中に繰り返し伸長されることにより生じる生地の「変形、目ずれ、わらい」等を防止することができる。その結果、より優れた着用感とより優れた防しわ性とを両立することができる。
織地の緯方向の伸長回復率は、任意の適切な値をとり得る。伸長回復率は、例えば、30〜100%であり、好ましくは45〜100%、より好ましくは60〜100%である。伸長回復率が所定値以上であることにより、織物製品のフィット性が向上する。
織地の引裂強力は、任意の適切な値をとり得る。織地の引裂強力は、例えば200cN以上であり、好ましくは500cNより高く、より好ましくは600cNより高い。引裂強力が上記範囲であることにより、使用時または洗濯時に織物製品に破れや裂けが発生しにくくなる。
(架橋処理)
織地には架橋処理を施してもよい。架橋処理によってセルロース系繊維が架橋されるので、W&W性などの防しわ性がより向上した織物製品を実現することができる。織地には、必要に応じて、他の処理(例えば、糊抜き、精錬、漂白、洗浄、および柔軟化)を施してもよい。
架橋処理は、架橋剤等を含む架橋処理液を処理対象の織地に付着させ、次いで、熱処理することによって行われ得る。熱処理は上記所定の織密度になる範囲において織地に張力を付与しながら行ってもよい。架橋剤は、セルロースの水酸基と反応し、セルロース系繊維間に架橋結合を形成させる任意の適切な化合物であり得る。
上記架橋剤として使用可能な化合物としては、例えば、特開2013−096022号公報記載の化合物が挙げられる。その中でも、メラミン誘導体、エチレン尿素型の環状尿素化合物、トリオルガノキシシラン、テトラオルガノキシシラン、3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、およびセルロースの水酸基と直接反応するエポキシ基を持つ化合物を好適に用いることができる。トリオルガノキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、およびメチルトリエトキシシランが挙げられる。テトラオルガノキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、およびテトラエトキシシランが挙げられる。
上記架橋処理においては、上記架橋剤を水等に溶解または分散させた架橋処理液を用いることが好ましい。当該架橋処理液中の架橋剤の濃度は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは2〜40質量%である。
上記架橋処理液には、上記架橋剤とセルロースとの反応性を高め、架橋処理を迅速に行うために触媒を添加することができる。当該触媒としては、通常、セルロース系繊維の樹脂加工に用いられる触媒であれば特に限定されず、尿素誘導体;メラミン誘導体;環状尿素化合物;エポキシ化合物;シリコーン化合物;アルキルカーバメート樹脂;ホウ弗化アンモニウム、ホウ弗化ナトリウム、ホウ弗化カリウム、ホウ弗化亜鉛等のホウ弗化化合物;塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等の中性金属塩触媒;燐酸、塩酸、硫酸、亜硫酸、次亜硫酸、ホウ酸等の無機酸;等が挙げられる。これらの触媒には、必要に応じて、助触媒としてクエン酸、酒石酸、林檎酸、マレイン酸等の有機酸等を併用することもできる。
上記触媒の使用量は、上記架橋剤に対して0.1〜100質量%が好ましく、より好ましくは1〜90質量%である。触媒の使用量が0.1質量%未満であると、反応収率が低下して架橋量が少なくなり、効果が不足する場合がある。一方、触媒の使用量が100質量%を超えると、セルロース系繊維の酸分解等により繊維の強度が低下したり、変色の原因になったりする場合がある。
上記架橋処理液には、必要に応じて、セルロースと架橋剤との反応を円滑に進めるための助剤を添加することができる。助剤は、架橋剤とセルロースの反応を促進させたり、架橋生成反応においても反応を均一に進めたりするといった反応溶媒としての作用、更にはセルロースを膨潤させる作用等を有するものである。当該助剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類、ジメチルホルムアミド、モルホリン、2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素溶媒類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記助剤の使用量は、架橋剤に対して0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは1〜40質量%である。助剤の使用量が0.1質量%未満であると、反応を円滑にする効果が不十分となる場合がある。一方、助剤の使用量が50質量%を超えると、セルロースの脆化を招いたり、架橋処理後に織地から助剤を除去することが煩雑になったりする場合がある。
上記架橋処理液には、上述の成分の他に、必要に応じて、風合い調整用の柔軟剤や、遊離ホルマリン濃度低減のためのホルマリンキャッチャー、浸透剤としての界面活性剤等を添加することもできる。メラミン誘導体や環状尿素型樹脂等のホルマリンを発生するおそれのあるものはホルマリンキャッチャー剤との併用が、架橋セルロースが硬くなることで引裂強力や引張強度が低下する場合は柔軟剤の併用が、架橋処理液の織地への浸透性が低い場合は浸透剤の併用が好ましい。
上記架橋処理液のpHは、通常1〜10、好ましくは2〜9の範囲内に調整され得る。このような範囲内であれば、セルロースの加水分解による繊維強度の低下や変色を防止することができる。pHは、任意の適切なpH調整剤によって調整され得る。
上記架橋処理は、代表的には、上記架橋剤等を含む架橋処理液を織地に付着させ、次いで、熱処理することによって行われ得る。織地に架橋処理液を付着させる方法としては、通常のパッド・ドライ法、浸漬法、含浸法、印捺法、インクジェット印刷法、レーザープリンター印刷法、塗布法、噴霧法等の公知の方法を採用することができる。例えば、織地全体を処理する場合は、パッド・ドライ法が効率的で好ましい。製品全域を処理する場合は、浸漬法や噴霧法によって手軽に実施できる。製品の一部を処理する場合は、噴霧法が効率的である。例えば、架橋処理しない部分を所望の形状をしたマスキング等で覆い、その上から生地全体に架橋処理液を噴霧することで、マスキングした部分以外に処理液を付着させることができる。また、所望の形状に型抜きしたシート等を生地の上にセットし、型抜きされた部分だけに処理液を噴霧して付着させることもできる。インクジェット印刷方式等で精巧な柄を形成する場合、液の滲み、濃度むら等のない鮮明な図柄を得る目的で、上記処理液に、公知の増粘剤、浸透剤、粘着剤、カチオン処理剤等を添加することができる。
上記織地に対する架橋剤の付着量は、織地の質量に対して、0.5〜15質量%が好ましい。付着量が0.5質量%以上であることにより、W&W性などの防しわ性がさらに向上する。また、付着量が15質量%以下であることにより、架橋セルロース繊維の破断強度および引裂強力がさらに向上する。ただし、セルロース系繊維の種類等を選択することにより物性(引張強度、引裂強力、破裂強力等)を高めることができる場合は、架橋剤の付着量が多くても高い破断強度および引裂強力を実現することができる。例えば、中繊維綿からなる綿糸に代えて、長繊維綿、超長綿または超・超長綿を含む綿糸を一部あるいは全部使用すると破裂強力、引張強度および引裂強力の向上に効果がある。
上記熱処理は、ピンテンター、オーブン、ベーキング機等の加熱手段を用いて行われ得る。上記熱処理は、好ましくは70〜220℃、より好ましくは80〜180℃の熱処理条件で行われ得る。上記熱処理は、好ましくは0.5〜60分間、より好ましくは1〜40分間の熱処理条件で行われ得る。このような条件であれば、セルロース繊維や架橋セルロース繊維を脆化させることなく、十分な架橋量が得られ得る。
C.セルロース系繊維
セルロース系繊維は、目的に応じて任意の適切な形態であり得る。具体的には、原糸(未加工糸)、仮撚糸、染色糸等の形態が挙げられる。また、単糸、合撚糸、カバリングヤーン等の形態が挙げられる。また、当該セルロース系繊維が2種以上の繊維を含む場合、当該2種以上の繊維は、例えば、混紡糸、混撚糸等の形態であり得る。これらの形態は、単独でまたは2種以上組み合わせて採用され得る。
セルロース系繊維の繊度としては、任意の適切な値を採用し得る。上記繊度は、例えば、英式綿番手で30〜80番手である。例えば、本発明の織物製品をドレスシャツとして用いる場合の繊度は、好ましくは40〜60番手である。例えば、ブラウスとして用いる場合の繊度は、好ましくは50〜60番手である。なお、繊度が40番手である糸としては、例えば、40番手の単糸および80番手の単糸からなる双糸等を用いることができる。繊度が所定値以上であることにより、柔らかい織地を得ることがより容易になる。繊度が所定値以下であることにより、十分な引張強力、引裂強力等を有する織地を得ることがより容易になり、製造コストが抑えられる。
セルロース系繊維は、上述のように、セルロース繊維を20質量%以上含み、好ましくは30質量%以上含み、より好ましくは50質量%以上含む。セルロース系繊維がセルロース繊維を所定量以上含むことにより、着用感および風合いにより優れた織物製品が得られ得る。セルロース繊維の含有量は、JIS L 1030−2に準拠して求められる値である。
セルロース系繊維は、セルロース繊維を単独で使用した繊維であってもよいし、セルロース繊維に任意の適切な他の繊維を混用した繊維であってもよい。上記他の繊維は、代表的には、織地の緯糸に用いる。
セルロース系繊維が、セルロース繊維を単独で使用した繊維であることにより、織地の伸長率および伸長回復率が向上し、着用感および風合いが向上し、さらに、架橋処理による防しわ効果が向上した織物製品を実現できる。
上記他の繊維としては、任意の適切な繊維を採用し得る。上記他の繊維としては、例えば、織地においてセルロース系繊維に混用し得る繊維が挙げられる。上記他の繊維は、好ましくは、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、またはポリアミド繊維であり、より好ましくは、ポリエステル繊維、またはポリウレタン繊維である。セルロース系繊維が、セルロース繊維に他の繊維を混用した繊維であることにより、織地の緯方向の伸長率および伸長回復率を好ましい範囲に調整することがさらに容易になる。その結果、織物製品の着用感が向上し、W&W性などの防しわ性が向上し、フィット性が向上する。
(セルロース繊維)
セルロース系繊維に含有されるセルロース繊維としては、任意の適切なセルロース繊維を採用し得る。セルロース繊維としては、例えば、天然セルロース繊維、再生セルロース繊維、半再生セルロース繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられる。天然セルロース繊維は、植物性のセルロース繊維であってもよく、動物性のセルロース繊維であってもよい。天然セルロース繊維としては、例えば、綿、麻、竹、こうぞ、みつまた、バナナ、および被嚢類に由来する繊維が挙げられる。綿としては、例えば、短繊維綿、中繊維綿、長繊維綿、超長綿、および超・超長綿が挙げられる。再生セルロース繊維としては、例えば、レーヨン繊維(例えば、ビスコースレーヨン、および銅アンモニアレーヨン)が挙げられる。半再生セルロース繊維としては、例えば、アセテート繊維(例えば、ビスアセテート、およびトリアセテート)が挙げられる。セルロース繊維は、好ましくは、綿、麻、レーヨン繊維、およびこれらの組み合わせである。セルロース繊維として、綿、麻、レーヨン繊維、およびこれらの組み合わせを用いることにより、吸水性、風合い、および物性に優れた織物製品を実現することができる。
セルロース繊維は架橋されていてもよい。架橋されたセルロース繊維を用いることにより、織地のW&W性などの防しわ性が向上する。
(ポリエステル繊維)
セルロース系繊維に含有され得るポリエステル繊維としては、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート(以下「PTT」と称する場合がある。)、ポリエチレンテレフタレート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。上記ポリエステル繊維は、好ましくはPTTである。ポリエステル繊維としてPTTを用いることにより、織地の緯方向の伸長率および伸長回復率を好ましい範囲に調整することがさらに容易になり、織物製品の着用感が向上し、W&W性などの防しわ性が向上し、フィット性が向上する。
ポリエステル繊維は、任意の適切な繊度を有する。上記繊度は、例えば33〜330dtexである。繊度が330dtex以下であることにより、織地の厚みが適度な範囲になりやすくなるので、着用感が向上する。繊度が33dtex以上であることにより、加工時および使用中に該繊維が断糸する等の問題をより確実に回避することができる。
ポリエステル繊維の織地中の含有量としては、任意の適切な値をとり得る。上記含有量は、例えば5〜70質量%である。含有量が70質量%以下であることにより、吸湿性および着用感が向上する。含有量が5質量%以上であることにより、例えば、伸長回復率が向上し、より優れた防しわ性を実現することができる。
(ポリウレタン繊維)
セルロース系繊維に含有され得るポリウレタン繊維としては、任意の適切なポリウレタン繊維を採用し得る。ポリウレタン繊維は、好ましくは、ポリウレタン弾性繊維である。ポリウレタン繊維は、任意の適切な繊度を有する。上記繊度は、例えば22〜154dtexである。繊度が154dtex以下であることにより、織地の厚みが適度な範囲になりやすくなり、ゴムライクになりにくくなるので、着用感が向上する。繊度が22dtex以上であることにより、加工時および使用中に繊維が断糸する等の問題をより確実に回避することができる。
ポリウレタン繊維の織地中の含有量としては、任意の適切な値をとり得る。上記含有量は、例えば1〜20質量%である。含有量が20質量%以下であることにより、ゴムライクになりにくくなるので、着用感が向上する。含有量が1質量%以上であることにより、例えば、伸長率および伸長回復率が低下しにくくなるので、より優れた防しわ性とより優れた着用感とを両立することができる。
D.織物製品の製造方法
本発明の織物製品の製造方法は、上述のように、前身頃部を構成する上記織地と、後身頃部またはヨーク部を構成する上記織地とを縫合して肩縫合部を形成する肩縫合部形成工程を有する。上記製造方法は、上記織地にセルロース系繊維を架橋するための処理を施す工程(架橋処理工程)をさらに有していてもよい。架橋処理工程については、上述した通りである。好ましくは、上記肩縫合部形成工程は上記架橋処理工程後に行われる。好ましくは、上記肩縫合部形成工程において、上記織地を、その緯方向が、前身頃部、および後身頃部またはヨーク部のヨコ方向となるように縫い合わせる。
本発明の1つの実施形態による織物製品の製造方法の一例を説明する。織物製品は、代表的には、上記織地を所定の寸法に片取りし、これにより得られた各部材を任意の適切な方法で縫い合わせることによって得られる。具体的には、織物製品は、上記織地を、その緯方向が、前身頃部、後身頃部、袖部、ポケット部、上前立て部、下前立て部、および必要に応じてヨーク部のヨコ方向となるように縫い合わせる工程(縫合工程)を含む製造方法によって得られ得る。好ましくは、上記製造方法は、上記架橋処理工程、および、上記架橋処理工程後の上記縫合工程を含む。
(ミシン針)
上記縫合工程における縫合は、ミシンによる機械縫いまたは手縫いで行われ得、好ましくはミシンを用いて行われる。縫製に使用するミシン針は縫製する部位によって番手を選定することが好ましい。ミシン針の番手は数字が大きくなる程太い。特に脇など生地が重なる部分は、ミシン針が細いと針がぶれて目飛びの原因になってしまうため太い針を使用するのが好ましく、シームパッカリングを防ぐためにはミシン針が細い針を使用するのが好ましい。縫製に使用するミシン針は9番〜11番を使用することが好ましい。
(ミシン糸)
上記縫合に用いる糸としては、目的に応じて任意の適切な糸が選択され得る。好ましい糸としては、綿糸、ポリエステル糸、ナイロン糸、ポリエステルフィラメントを芯にした綿のカバリング糸、ポリエステルフィラメントを芯、綿を鞘にしたコアスパン糸等の複合糸が挙げられる。優れた平滑性を備えた糸使用することで、よりシームパッカリングを軽減することができるため、ポリエステル複合フィラメント糸が好ましく使用され得る。ミシン糸の繊度は60〜120番手が好ましい。インターロック縫い用には100番手のポリエステルスパン糸を用い、その他の箇所には80番手のポリエステルスパン糸をミシン糸として使用するなど、縫製部位により繊度や糸の種類を変更することもできる。
(縫い目)
上記縫合における縫い目としては、目的に応じて任意の適切な縫い目が選択され得る。好ましい縫い目としては、本縫い、環縫い(例えば、チェーンステッチ)、割縫い、オーバーロック縫い、インターロック縫い、巻き縫い、平縫い、伏せ縫い等が挙げられる。これらの縫い目は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられ得る。
(運針数)
本縫いによる縫合における運針数(30mmあたりのステッチ数)は、好ましくは12〜30/30mmであり、より好ましくは14〜25/30mmである。運針数が12/30mm以上であることにより、織物製品としての見栄えが向上する。運針数が30/30mm以下であることにより、地糸切れがより生じにくくなる。
(糸調子)
本縫いによる縫合において糸調子(上糸と下糸の引っ張り合う強さを調節することを糸調子という)は、好ましくは下糸15gに対して上糸が70〜80gであり、より好ましくは下糸15gに対して上糸が70〜75gである。糸調子が上記範囲内であることにより、耐久性、審美性、着心地などが向上する。
(折り返し部の幅)
上記折り返し部の幅としては、任意の適切な幅を採用し得る。上記幅としては、例えば2mm〜20mmであり、好ましくは2mm〜10mmである。上記幅が上記範囲内にあることにより、肌への不快感が抑制される。本縫いC1は、好ましくは、上記縫い合わされた端部の近傍に施される。本縫いC1が当該端部の近傍に施されることにより、縫い合わされた端部が固定される。
(織地の縫い合わせ)
織物製品は、織地をその緯方向が前身頃、および後身頃部またはヨーク部のヨコ方向となるように、かつ、縫製前の織地の緯方向への伸縮性を減殺しないように縫い合わせることによって得られ得る。上記のように縫い合わせることにより、各縫合部は、二度縫いを施した場合でも、縫い目方向への伸縮性を十分に維持することができる。さらに、縫合部が着用時に身生地に追随してより適度に伸長することができ、吊り干し乾燥時においても身生地に追随して収縮することが容易になる。
(芯地)
本発明の織物製品においては、肩縫合部を芯地等で固定してもよいし、固定しなくてもよい。肩縫合部を芯地等で固定しないことにより、肩縫合部のごろつき感がより少なくなり、体の動きにより追随しやすくなり、より軽くなり、縫合がより容易になる。さらに、上記のように縫い合わせることにより、縫合部が着用時に身生地に追随して適度に伸長し、吊り干し乾燥時においても身生地に追随して収縮することができる。その結果、より優れた防しわ性を実現することができる。一方、肩縫合部を芯地等で固定することにより、縫合部の縫い目方向の伸長回復率が向上し、肩の縫合部またはその周囲のパッカリングが特に軽減でき、より優れたW&W性を得ることができる。さらに、身生地に伸長率の高い織地を使用することにより、肩の縫合部の縫い目方向の高い伸長率と高い伸長回復率をより高い次元で両立することができる。
芯地としては、任意の適切な芯地を採用し得る。芯地としては、例えば、フラシ芯、仮接着芯、および永久接着芯が挙げられる。なお、接着芯を使用し、身生地に使用する糸の耐熱性が低い場合は、低温接着する接着芯を用いることが脆化防止に有効である。例えば、織地の緯糸にポリウレタン弾性繊維を使用する場合は、135〜155℃で接着する芯地を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。実施例における試験および評価方法は以下のとおりである。
(1)伸長率の測定
JIS L−1096 伸長率 定荷重法に準じて実施した。具体的には、試料の寸法を幅2.5cm、把握長を10cmとし、試料の長さ方向の伸びを定量するために、長さ方向に8cmの直線(印間8cmの意味)を引いた後、定荷重14.7N(伸長速度30cm/分で試料を伸長させ14.7Nの荷重がかかった段階で伸長状態を保持)で60秒間伸長させ、その時の直線の長さを計測し、計算より伸長率(%)(直線の長さの増分(cm)/8cm×100)を求めた。伸長率測定時の温湿度は、温度23℃、湿度70RH%とした。なお、肩の縫製部の測定試料としては、複数枚のシャツ用の生地を仕様通りに縫い合わせ、次いで、当該縫合部が幅方向の中心となり、縫い目線の延びる方向が長さ方向となるように幅2.5cm、長さ16cmの寸法で切り出したもの(把握長10cm)を用いた。
(2)伸長回復率の測定
JIS L−1096 伸長回復率及び残留ひずみ率 定荷重法に準じて実施した。具体的には、定荷重14.7Nで5分間伸長させた以外は、上記伸長率の測定と同様にして試料を伸長させ印間の長さを求めた後、荷重を取り除き、30秒後に初荷重を加え、印間の長さを計り、計算より伸長回復率{(L1−L2)/(L1−8)×100}を求めた。
L1:14.7Nで5分間伸長させた後の印間の長さ(cm)
L2:荷重を取り除き、30秒後に初荷重を加えた時の印間の長さ(cm)
(3)織地の引裂強力の測定
JIS L−1096 D法(ペンジュラム法)に準拠して測定した。具体的には、経10cm×緯6.3cmの試験片をそれぞれ3枚以上採取した。エレメンドルフ形引裂強さ試験機を用い、両つかみの中央で該試験片の長辺のほぼ中央に該辺と直角に鋭利な刃によって2cmの切れ目を入れ、残りの4.3cm分の経糸が引裂かれたときに示す荷重(cN)を測定した。平均値を生地の緯方向の引裂強力とした。上記測定方法は緯方向の引裂強力の測定方法であるが、経方向の引裂強力は、試験片の長辺を緯方向とすること以外は同様にして測定できる。経方向および緯方向の引裂強力のうち、より低い値を当該試験片の引裂強力とした。
(4)織地のW&W性評価試験
JIS L−1096 洗濯後のしわ A法に準じて、洗濯を実施した。脱水後はタンブル乾燥を実施した。試験点数は1点とした。W&W性は、3名の判定者の平均値として、レプリカ(AATCC TEST METHOD 124にて規定)と比較して判定した。判定標準間は0.1級刻みで評価した。例えば、等級3.0から等級3.5の場合、3.1級と3.2級、3.3級、3.4級、3.5級とした。なお、一般に、W&W性が2.0級以上であれば、織物製品のしわが少なくなり、3.0級以上であればさらにしわが目立ちにくくなり、さらに3.3級以上とすると、アイロン掛けをしなくてもしわが目立ちにくいレベルになり得る。
(5)着用感の評価
被験者10名が各自の体型にあったシャツを1日着用し、動きやすさ、シャツのズボンからのはみだし難さ、およびシルエット感をそれぞれ以下の基準により評価し、その平均値を小数点一位で四捨五入して求めた。
(動きやすさ)
5点:かなり動きやすい
4点:相当動きやすい
3点:動きやすい
2点:動きにくい
1点:かなり動きにくい
(シャツのズボンからのはみだし難さ)
5点:全くはみださなかった
4点:はみだし難かった
3点:少しはみだしが気になった
2点:はみだしやすい
1点:ドレスシャツとして着用が困難なほどはみだす
(シルエット感)
5点:体型が全く気にならない
4点:体型が気にならない
3点:やや体型がシルエットに映る感じがする
2点:体型がシルエットに映り気になる
1点:ドレスシャツとして着用が困難なほど体型がシルエットに映った
(織地A)
英国式綿番手綿50番手(50番単糸、綿100%)を経糸とし、英国式綿番手綿50番手(50番単糸、綿100%)とPTT繊維83dtex(帝人フロンティア株式会社製、製品名「SOLOTEX」(登録商標))を1本交互で緯糸として、経糸110本/2.54cm、緯糸100本/2.54cmの織密度で平織の織地を製織した。
得られた織地を、糊抜き、精練(90℃×1分間の湯洗いで糊抜きを行った後、1.5質量%の過硫酸ナトリウム、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、マングルで絞った後、庫内90℃の飽和蒸気の条件下で30分間滞留させた)、漂白(1.2質量%の亜塩素酸ナトリウム液に浸漬し、マングルで絞った後、庫内90℃の飽和蒸気の条件下で30分間滞留させた)、および、水洗(60℃の水で1分間処理して残留薬剤を除去した)の順で処理して乾燥した。
次いで、シルケット加工として、20質量%の水酸化ナトリウム水溶液に20℃で10秒間浸漬し、マングルで絞った後に湯洗いし、酸による中和と水洗および乾燥を実施した。さらに、織地を液体アンモニアに約2秒間浸漬した後、水洗乾燥した。次いで、液体アンモニアに約2秒間浸漬した後、水洗乾燥した。
次に、織地を下記組成の架橋処理液を付与したパッダーに浸漬し、マングルで絞った。パッドオン率(織地中に含まれる架橋処理液重量/架橋処理液付与前の織地の重量×100)は65%とした。次いで、155℃に設定したピンテンターで4分間処理として、織地を架橋反応に供した。架橋反応は、経糸密度が143本/2.54cm、緯糸密度が99本/2.54cmとなるように織地の幅を固定して実施した。これにより、ドレスシャツ用の仕上がり織地を得た。
(架橋処理液の組成)
水 70質量部
架橋剤 16質量部
[ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素(固形分濃度60質量%)]
触媒 3質量部
[塩化マグネシウム水溶液(固形分濃度20質量%)]
ホルマリンキャッチャー剤 3質量部
[大日本インキ化学工業(株)製、製品名「ファインテックスFC−KP」]
柔軟剤A 3質量部
[大日本インキ化学工業(株)製、製品名「ファインテックスPE−140−E」]
柔軟剤B 5質量部
[日華化学(株)製、製品名「AMC−800E」]
該平織組織の織地の仕上がり幅は123cm、目付け量が117g/mでセルロース繊維の含有率は82%であった。また、緯方向の抗張強力は210N、引裂強力は1230cN、緯方向の伸長率は20.0%、織地のW&W性は3.3級であった。
(織地B)
英国式綿番手綿50番手(50番単糸、綿100%)を経糸とし、PTT繊維83dtex(帝人フロンティア株式会社製、製品名「SOLOTEX」(登録商標))を緯糸として、経糸110本/2.54cm、緯糸100本/2.54cmの織密度で2/2綾織の織地を製織した。
得られた織地に対して、織地Aに施した処理と同一の処理を施してドレスシャツ用の仕上がり織地を得た。ただし、架橋反応は、経糸密度が163本/2.54cm、緯糸密度が100本/2.54cmとなるように織地の幅を固定して実施した。
該綾組織の織地の仕上がり幅は、108cm、目付け量が127g/m、セルロース繊維の含有率は59%であった。また、緯方向の抗張強力は240N、引裂強力は3200cN以上、緯方向の伸長率は41.3%、織地のW&W性は3.3級であった。
(織地C)
英国式綿番手T/C混紡糸45番手(45番単糸、綿55%ポリエステル45%)を経糸とし、英国式綿番手T/C混紡糸45番手(45番単糸、綿55%ポリエステル45%)を緯糸として、経糸136本/2.54cm、緯糸72本/2.54cmの織密度で平織(セルロース繊維の混率は55%)の織地を製織した。
得られた織地に対して、織地Aに施した処理と同一の処理を施してドレスシャツ用の仕上がり織地を得た。ただし、架橋反応は、経糸密度が139本/2.54cm、緯糸密度が72本/2.54cmとなるように織地の幅を固定して実施した。
上記平織組織の織地の仕上がり幅は、154.7cm、目付け量が82.28g/mでセルロース繊維の含有率は55%であった。また、緯方向の抗張強力は216N、引裂強力は735cN、緯方向の伸長率は3.5%、織地のW&W性は3.3級であった。
(肩縫合部No.1(インターロック本縫い1本針2本糸))
肩縫合部No.1として、図7(a)に示すような縫合部を形成した。具体的には、前身頃部10と後身頃部20とを表面同士が対面するように、かつ、縫い合わせる側の端部を揃えて重ね合わせた。次いで、インターロックミシンを用いて当該端部に沿って1本針3本糸オーバーロック縫いA1および1本針2本糸チェーンステッチB1を施した。次いで、チェーンステッチB1に沿って後身頃部20を折り返し、当該折り返し部(織地が3重になっている部分)に本縫いC1を施した。これにより、肩縫合部No.1を形成した。
(肩縫合部No.2(インターロック))
本縫いC1を実施しなかった以外は、肩縫合部No.1を形成した方法と同一の方法で肩縫合部No.2を形成した。
(肩縫合部No.3)
縫い合わせを本縫い巻き伏せ(3つ巻)とした以外は、肩縫合部No.1を形成した方法と同一の方法で肩縫合部No.3を形成した。
(肩縫合部No.4)
図7(b)に示すように、前身頃部10と後身頃部20とを重ねあわせ、2本針2本糸チェーンステッチD1およびD2を施すことで肩縫合部No.4を形成した。
(肩縫合部No.5)
地縫い伏せで縫合部を形成した。具体的には、図7(c)に示すように、前身頃部10の表面とシャツの表側に配置されるヨーク部30の表面とが対面するように重ねあわせ、ヨーク部30を折り返し、当該折り返し部に本縫いC2を施した。さらに、前身頃部10とシャツの肌側に配置されるヨーク部30’とを重ねあわせ、本縫いC3を施し、本縫いC3に沿ってヨーク部30’を折り返して、肩縫合部No.5を形成した。
(肩縫合部No.6)
図7(d)に示すように、前身頃部10と2枚のヨーク部30および30’のうち、前身頃部10の表面とシャツの表側に配置されるヨーク部30’の表面同士が対面するように、かつ、縫い合わせる側の端部を揃えて重ね合わせ、インターロックミシンを用いて当該端部に沿って1本針3本糸オーバーロック縫いA2および1本針2本糸チェーンステッチB2を施した。次いで、チェーンステッチB2に沿ってヨーク部30および30’を折り返した。これにより、肩縫合部No.6を形成した。
(肩縫合部No.7)
図7(e)に示すように、前身頃部10と後身頃部20とをそれぞれ折り返した状態で重ねあわせ、さらに永久接着芯31を前身頃部10と後身頃部20とで挟み込んだ状態で接着させた。永久接着芯31としては、品番GF150(東海サーモ株式会社製)を用いた。この状態で、2本針2本糸で本縫いC4およびC5を施すことで肩縫合部No.7を形成した。
(実施例1〜実施例15、比較例1、および比較例2)
上記仕上がり織地を所定の寸法に片取りし、糸で縫い合わせることによってドレスシャツを作製した。このとき、織地の緯方向が、ドレスシャツの前身頃部、後身頃部、袖部、ポケット部、上前立て部、および、下前立て部のヨコ方向となるように縫い合わせた。襟部、およびカフス部については、生地の経方向をこれらのヨコ方向と一致させた。使用した織地の種類、肩縫合部の縫製パターン、縫合部No.および縫製条件を表1記載の条件として、実施例1〜実施例15、比較例1、および比較例2のドレスシャツを作成した。肩縫合部の縫製パターンは、図1および図2、図3、図4、ならびに図5および図6に示した縫製パターンをそれぞれ1、2、3、および4とする。すなわち、縫製パターン1〜3のドレスシャツにおいては、前身頃部と後身頃部とが縫合されて肩縫合部が形成されており、縫製パターン4のドレスシャツにおいては、前身頃部とヨーク部とが縫合されて肩縫合部が形成されている。さらに、これらのドレスシャツについて、織地の緯方向の伸長率(%)、当該方向の伸長回復率(%)、および身生地緯方向に対する肩縫合部の縫い目方向の伸長比率(%)を測定し、着用感を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2019189996
Figure 2019189996
表2に示すように、実施例1〜実施例15のドレスシャツは、伸長率、伸長回復率共に優れ、肩と肩の回りの動きが滑らかで優れた着用感を実現しており、かつパッカリングも少なく形態安定性にも優れ、優れた防しわ性を実現している。特に、前身頃部と後身頃部とが縫合されて肩縫合部が形成されている実施例1〜6および実施例8〜15のドレスシャツは、伸長率が15%以上で、伸長比率が60%以上であり、身生地と肩縫合部の伸長率が共に高く、身生地の動きに肩縫合部が追随しやすく、肩と肩の回りの動きが一層滑らかになり、特に優れた着用感を実現している。さらに、伸長回復率が90%以上である実施例10および実施例15は、洗濯後の縫合部のパッカリングが特に少なく、特に優れた防しわ性を実現している。これに対して、比較例1および比較例2のドレスシャツは、伸長率および着用感に劣っていた。したがって、本発明のドレスシャツによれば、優れた防しわ性と優れた着用感とを両立することができる。さらに、前身頃部と後身頃部とが縫合されて肩縫合部が形成されている場合、特に優れた着用感を実現することができる。さらに、肩縫合部の縫い目方向の伸長回復率が所定値以上である場合、特に優れた防しわ性を実現することができる。
本発明の織物製品は、衣料に関連する分野で好適に利用され得る。
10 前身頃部
11 ポケット部
12 上前立て部
13 下前立て部
20 後身頃部
30 肩縫合部
31 永久接着芯
40 襟部
50 肩稜線
60 ヨーク部
62 ヨーク後部縫合部
70 袖部
100,101,102,103 織物製品

Claims (1)

  1. 前身頃部と、後身頃部またはヨーク部とが縫合されて形成される肩縫合部を有し、
    セルロース繊維を20質量%以上含むセルロース系繊維を用いて製織され、かつ、セルロース繊維を20質量%以上含む織地からなり、
    該織地の緯方向の伸長率が10〜50%であり、かつ該肩縫合部の縫い目方向の伸長率が10〜50%である、
    織物製品。


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