JP4193070B2 - 熱融着ポリウレタン弾性繊維混用緯編地及び該緯編地を使用した衣類、並びに該緯編地の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)複合糸として、熱融着ポリウレタン弾性繊維と第1の非弾性繊維とからなるカバリング糸、合撚糸又はエア交絡糸を用いると共に、この複合糸と少なくとも1種類の第2の非弾性繊維をプレーティング編した緯編地であって、
前記熱融着ポリウレタン弾性繊維の太さが15〜156デシテックスであり、前記カバリング糸が、芯糸を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、その芯糸を被覆する第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記合撚糸が、その撚り糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記エア交絡糸が、その交絡させる糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その交絡数が30〜100個/mの範囲であり、かつ前記熱融着ポリウレタン弾性繊維のドラフトが1.2〜4.5倍であると共に、前記カバリング糸、合撚糸及びエア交絡糸の被覆率がいずれも2〜40%であって、熱融着ポリウレタン弾性繊維相互を熱融着させたことを特徴とする緯編地、
(2)前記緯編地が、縁の一部又は全部もしくは縁でない箇所の一部において、任意のラインで裁断した裁断部を有し、該裁断部が裁断されたままの状態であることを特徴とする(1)記載の緯編地、
(3)前記緯編地が、上下針の相対位置をリブ出合いに配列して編まれた組織であることを特徴とする(1)又は(2)記載の緯編地、
(4)1×1ゴム編組織で製編されてなる(3)記載の緯編地、
(5)前記緯編地が、上下針の相対位置をリブ出合いに配列して編まれた変化組織であることを特徴とする(1)又は(2)記載の緯編地、
(6)前記複合糸を全コースに用いて製編されてなる(1)乃至(5)のいずれかに記載の緯編地、
(7)前記複合糸を1コース以上おきに用い、他のコースには熱融着ポリウレタン弾性繊維単独、非熱融着ポリウレタン弾性繊維単独又は非熱融着ポリウレタン弾性繊維を含む複合糸を用いて製編されてなる(1)乃至(5)のいずれかに記載の緯編地、
(8)前記熱融着ポリウレタン弾性繊維の熱融着力が、0.10cN/デシテックス以上である(1)乃至(7)のいずれかに記載の緯編地、
(9)前記熱融着ポリウレタン弾性繊維が、ポリオール及びジイソシアネートを反応させて得られる両末端イソシアネート基プレポリマーと、ポリオール、ジイソシアネート及び低分子量ジオールを反応させて得られる両末端水酸基プレポリマーとから得られるポリマーを溶融紡糸してなる(1)乃至(8)のいずれかに記載の緯編地、
(10)前記第1及び第2の非弾性繊維が、それぞれ、木綿、麻、羊毛、絹、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、アセテート、ナイロン、ポリエステル及びアクリルから選ばれる繊維である(1)乃至(9)のいずれかに記載の緯編地、
(11)(1)乃至(10)のいずれかに記載の緯編地を用いた衣類、
(12)熱融着ポリウレタン弾性繊維と第1の非弾性繊維とからなるカバリング糸、合撚糸又はエア交絡糸であって、前記熱融着ポリウレタン弾性繊維の太さが15〜156デシテックスであり、前記カバリング糸が、芯糸を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、その芯糸を被覆する第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記合撚糸が、その撚り糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記エア交絡糸が、その交絡させる糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その交絡数が30〜100個/mの範囲であり、かつ前記熱融着ポリウレタン弾性繊維のドラフトが1.2〜4.5倍であると共に、前記カバリング糸、合撚糸及びエア交絡糸の被覆率がいずれも2〜40%である複合糸を用い、この複合糸と少なくとも1種類の第2の非弾性繊維をプレーティング編により緯編地を編成し、該緯編地を、湿熱100〜130℃、又は乾熱130〜220℃の熱セットにより、上記熱融着ポリウレタン弾性繊維相互を熱融着させたことを特徴とする緯編地の製造方法、及び
(13)熱融着ポリウレタン弾性繊維と第1の非弾性繊維とからなるカバリング糸、合撚糸又はエア交絡糸であって、前記熱融着ポリウレタン弾性繊維の太さが15〜156デシテックスであり、前記カバリング糸が、芯糸を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、その芯糸を被覆する第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記合撚糸が、その撚り糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記エア交絡糸が、その交絡させる糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その交絡数が30〜100個/mの範囲であり、かつ前記熱融着ポリウレタン弾性繊維のドラフトが1.2〜4.5倍であると共に、前記カバリング糸、合撚糸及びエア交絡糸の被覆率がいずれも2〜40%である複合糸を用い、この複合糸と少なくとも1種類の第2の非弾性繊維をプレーティング編により緯編地を編成し、該緯編地を、湿熱100〜130℃、又は乾熱130〜220℃の熱セットにより、上記熱融着ポリウレタン弾性繊維相互を熱融着させた後、上記緯編地を裁断し、該裁断部を裁断したままにすることを特徴とする緯編地の製造方法
を提供するものである。
本発明の緯編地は、熱融着ポリウレタン弾性繊維を含む複合糸と少なくとも1種類の非弾性繊維をプレーティング編した緯編地で、熱セット等の熱処理によって、熱融着ポリウレタン弾性繊維相互を熱融着させたことを特徴とするものである。
また、熱融着ポリウレタン弾性繊維を含む複合糸を使用することにより、編地の伸度を適度に規制してポリウレタン弾性繊維の断糸を防ぐことができることからも、ゴム編など上下針の相対位置をリブ出合いに配列して編まれた組織のように、緯伸度が大きく断糸の発生しやすい編地に対して好適に用いられる。
さらに、上下針の相対位置をリブ出合いに配列して編まれた変化組織の場合、糸が変則的に動き、糸にかかるテンションが変化するために、ポリウレタン弾性繊維のベア糸のプレーティング編は技術的に困難であったが、ポリウレタン弾性繊維の伸度が規制された複合糸を使用し、かつ、ポリウレタン弾性繊維として熱融着のものを用いることで、針抜き、2×2テレコなどの変化組織に対しても、ポリウレタン弾性繊維を容易にプレーティング編することができ、切りっぱなしの衣類に好適な編地が得られる。
また、複合糸全体に対してポリウレタン弾性繊維の混用割合は、3〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%である。
C=(0.012×√D×T/(1000/DR))×100 (1)式
ここで、Cは被覆度(%)を、Dは熱融着ポリウレタン弾性繊維の周囲に被覆される非弾性繊維の繊度(デシテックス)を、Tは撚糸時の撚り数(T/m)(ダブルカバリング糸の場合は上下撚り数の和)を、DRはカバリング又は撚糸時のポリウレタン弾性繊維のドラフト(倍)を示す。
C=(K×KL/1000)×100 (2)式
ここで、Kはエア交絡時の交絡数(個/m)を、KLは平均交絡長(mm/個)を示す。
また、図2、3で、熱融着ポリウレタン弾性繊維を含む複合糸または熱融着弾性繊維などを、上下針で編み込む方法を示したが、それら弾性繊維を上針のみで編み込む方法や下針のみで編み込む方法、或いはそれら3つを複合した方法でもよい。さらに、針抜き、2×2リブ、フライスメッシュ、フライスジャカード他、上下針の相対位置をリブ出合いに配列して編まれた変化組織でもよい。
また、本発明の緯編地を切りっぱなしでニット衣類の少なくとも一部分に用いて、水着、トレーニングウェア、レオタード、スキー・野球・サッカーなど様々な競技用スポーツウェアに、機能性かつスポーティな印象を付与することができる。
さらに、本発明の緯編地を切りっぱなしでニット衣類の少なくとも一部分に用いて、Tシャツ、ジャケット、セーター、ベストなどの切りっぱなし衣類を提供したり、手袋、帽子、パジャマ、ガウンなどでも従来にない機能、デザイン、印象の衣類を提供したりすることができる。
その他、消費者など製品使用者の好みにより、衣類などの製品を裁断して使用したり、丸、ダイヤ、ハート、星型等の任意の形状で製品の一部を切り抜いて好みのお洒落を楽しんだり、ファッション性を付与した状態で使用することもできる。
なお、従来の縫製した衣類と比較しても、従来の非熱融着ポリウレタン弾性繊維を使用した衣類と比較しても、物性、風合い、消費耐久性など衣類として何ら問題なく、安心して使用することができる。(消費耐久性とは、衣類を利用する消費者が着用、洗濯、乾燥、保管など通常の使用に耐える物性を所有しているかどうかを表現した特性である。)
カバリング糸の芯糸として熱融着ポリウレタン弾性繊維44デシテックスを、鞘糸として東レ(株)製ナイロン仮撚加工糸13デシテックス5フィラメントZ撚を用いて、カバリング機を使用し、該芯糸をドラフト2.3倍で延伸しつつ、該芯糸に撚り数600T/m、スピンドル回転数16,000rpmでZ撚に該鞘糸を巻付け、シングルカバリング糸を得た。得られたシングルカバリング糸の被覆度は6.0%であった。フライス編機(釜径:16インチ、ゲージ:20、給糸口数:30口)で日清紡績(株)製綿60番手と該カバリング糸をプレーティング編にて編み込み、全針でニット編を行い、1×1ゴム編組織の緯編地を編成した。綿糸の編み込み糸長は46.0cm/100W(100ウェールあたりの糸長が46.0cm)として、カバリング糸は加工倍率(ドラフト)2.3倍そのままで編みこんだ結果、該熱融着ポリウレタン弾性繊維の編み込み糸長は、20.0cm/100Wとなった。
1)プリセット工程として、乾熱190℃で60秒間処理した。
2)精練工程として、精練剤を2mL/L、苛性ソーダを2.2g/L使用して90℃で20分間処理した。
3)漂白工程として、30%過酸化水素を15mL/L、珪酸ナトリウムを5mL/L、苛性ソーダを1.1g/L使用して90℃で30分間処理した。
4)綿の染色工程として、反応染料を20owf%、無水芒哨を90g/L、ソーダ灰を16g/L使用して60℃で30分間処理した。
5)フィックス工程として、フィックス剤を3.0owf%使用して50℃で20分間処理した。
6)ソーピング工程として、ソーピング剤1mL/L使用して90℃で10分間処理した。
7)ナイロンの染色工程として、酸性染料を2owf%、均染剤を2owf%、硫安を0.3owf%使用して97℃で50分間処理した。
8)フィックス工程として、フィックス剤を4owf%、酢酸を0.7owf%使用して80℃で20分間処理した。
9)柔軟工程として、柔軟剤(a)を3owf%、柔軟剤(b)を1owf%使用して45℃で15分間処理した。
10)ファイナルセット工程として、乾熱160℃で30秒間処理した。
綿の染色での使用薬剤
精練剤:SSK−15A(松本油脂社製)
反応染料:KPZOL BLACK KMN(紀和化学工業社製)
フィックス剤:ダンフィックスRE(日東紡社製)
ソーピング剤:スコアロールTS840(旭電化工業社製)
ナイロンの染色での使用薬剤
酸性染料:Nylosan Black F−WL(クラリアントジャパン社製)
均染剤:サンドゲンNH(クラリアントジャパン社製)
フィックス剤:ハイフィックスGM(大日本製薬社製)
柔軟剤(a):サファノール N−750(三洋化成工業社製)
柔軟材(b):ニッカシリコン AM−202(日華化学社製)
編地をコース方向にカットし、カット部に編み込んだポリウレタン弾性繊維又はポリウレタン弾性繊維を含む複合糸の解編張力を測定した。解編速度は100mm/分とし、1分間の平均解編張力を測定した。ポリウレタン弾性繊維又は複合糸中のポリウレタン弾性繊維の解編が困難な場合は、熱融着良好として、連続した解編が可能な場合は、熱処理前後の平均解編張力を測定し、続いて、熱処理後の平均解編張力(cN)をポリウレタン弾性繊維の初期繊度(デシテックス)で除して熱融着力(cN/デシテックス)とし、下記の評価を行なった。
〈評価基準〉
熱融着良好:ポリウレタン弾性繊維又は複合糸中のポリウレタン弾性繊維の解編が困難な場合(熱融着力は解編不可能とした。)、もしくは熱融着力が0.10cN/デシテックス以上。
熱融着不良:熱融着力が0.10cN/デシテックス未満。
タテ2.5cm×ヨコ16cmの試料片を採取し、把握長10cmで引張試験機に取り付け、伸長速度300mm/分で試料片を緯方向に22N定荷重となるまで伸長し、10N、15N及び22N荷重時の伸度を測定した。測定時の環境は温度20℃、相対湿度65%であった。
さらに、22N定荷重伸長した試料のポリウレタン弾性繊維の断糸を目視で判定した。
タテ9cm×ヨコ17cmの試料片を採取し、把握長7cmでデマッチャー試験機に取り付け、試験片を緯方向に下記設定伸度で7500回、伸長速度200回/分で繰返し伸縮を行い、伸縮後試料のポリウレタン弾性繊維の断糸を目視で判定した。
試験伸度の設定
定荷重伸度の測定結果より
(1)15N荷重時伸度が100%未満の場合…15N荷重時伸度で設定。
(2)15N荷重時伸度が100%以上の場合…(10N荷重時伸度+15N荷重時伸度)/2で設定。但し、150%を上限とする。
尚、設定伸度は2捨3入(5%刻み)とする。
例)132%→130%、133%→135%
137%→135%、138%→140%
タテ5cm×ヨコ40cmの編地サンプルを取り、編地のウェール方向に対して40°の切り込みを5箇所入れて、タテ方向の裁断面を合わせて筒状に縫製した後、家庭用2槽式洗濯機((株)東芝製 商品名:GINGA4.5)を使用して下記条件にて洗濯を行った。
洗濯(300分)→遠心脱水(5分)→注水すすぎ(10分)→遠心脱水(5分)
液温:常温(25℃),水流:強水流
洗剤:ライオン(株)製、商品名:トップ,水量:30リットル
洗濯水1リットルに対して洗剤1.3g使用
負荷布:綿とポリウレタン弾性繊維混用ベア天竺編地1.0kg分
次に、編地のヨコ方向に裁断した編地端とウェール方向に対して40°に裁断した編地端のほつれ程度を観察し、ほつれ程度は下記の4段階で評価した。
尚、△と×は裁断面より糸端が飛び出しており、裁断ラインが凹凸になる外観の悪いものであり、◎又は○が裁断面から糸端の飛び出しもなく、外観が良く、洗濯耐久性の点で好ましい。
〈評価基準〉
◎:傷みが認められず、洗濯前との差なし。耐久性良好。
○:やや傷みが認められるが、糸端の飛び出しはなし。耐久性良好。
△:傷みが認められ、糸端が飛び出している。耐久性不良。
×:傷みが激しく、裁断面の編地組織が崩れている。耐久性不良。
図1のパターン図に基づき、図1の9のラインが編地ウェール方向に対して0°近傍になるように、編地を裁断し、図1の1と2、3と5、4と5(1〜5は縫製部)を重ね合わせて縫製して、図1の6のウエスト部、7、8の脚回り部、9のクロッチ部はいずれも裁断したままの切りっぱなしとして、ショーツを作製した。
尚、各部の編地ウェール方向に対する裁断角度とラインは以下の通りであった。
ウエスト部:70°〜90°の曲線
脚回り部 :0°〜90°の曲線
クロッチ部:0°近傍の曲線
作製したショーツを着用、洗濯、乾燥を3日間繰り返した。3日間着用後の編地端のほつれ程度と着用中、着用後のカール発生状況を観察し、下記の4段階で評価した。
尚、傷み評価については、△と×は裁断面より糸端が飛び出しており、裁断ラインが凹凸になる外観の悪いものであり、◎又は○が裁断面から糸端の飛び出しもなく、外観が良く、洗濯耐久性の点で好ましい。
〈傷み評価基準〉
◎:傷みが認められず、着用前との差なし。耐久性良好。
○:やや傷みが認められるが、糸端の飛び出しはなし。耐久性良好。
△:傷みが認められ、糸端が飛び出している。耐久性不良。
×:傷みが激しく、裁断面の編地組織が崩れている。耐久性不良。
カールの評価については、△と×は着用後、着用中にカールが発生しており、洗濯してもカールが解消しないもので、カール部が折れることで外衣に折れた箇所が見えたり、着用感の悪いものであり、◎又は○が着用中にカールの発生がなく、外衣にひびくことがなく、着用後にカールしても、洗濯をするとカールが解消するので、衣類として好ましい。
〈カール評価基準〉
◎:着用中、着用後ともカールの発生はなし。耐久性良好。
○:着用直後にカールが見られたが、洗濯、乾燥により解消した。耐久性良好。
△:着用後にカールが発生、洗濯、乾燥しても解消しない。耐久性不良。
×:着用中にカールが発生、洗濯、乾燥しても解消しない。耐久性不良。
天竺編機(釜径:38インチ、ゲージ:28、給糸口数:100口)で東レ(株)製ナイロン仮撚加工糸78デシテックス52フィラメントのS撚とZ撚を1コースおき交互に、実施例1のカバリング糸を全コースにプレーティング編にて編み込み、全針でニット編を行い、平編組織の緯編地を編成した。ナイロン仮撚加工糸の編み込み糸長は25.6cm/100W(100ウェールあたりの糸長)として、カバリング糸は加工倍率(ドラフト)2.3倍そのままで編みこんだ結果、該熱融着ポリウレタン弾性繊維の編み込み糸長は、11.1cm/100Wとなった。
得られた緯編地を実施例1と同様のセット、ナイロンの染色を行った後、同様の試験を行った。結果を表1に示す。
プリセット工程を180℃で30秒に変更した以外は実施例1と同じようにして試験した。結果を表1に示す。
実施例1のカバリング糸の鞘糸の代わりに東レ(株)製ナイロンフィラメント糸17デシテックス5フィラメントを用いて、撚り数1600T/mにした以外は実施例1と同様の方法で編地を作製し、同様の試験を行った。結果を表1に示す。得られたシングルカバリング糸の被覆度は18.2%であった。
エア交絡糸用の糸として、実施例1の熱融着ポリウレタン弾性繊維と、東レ(株)製ナイロン仮撚加工糸33デシテックス24フィラメントZ撚を用いて、該熱融着ポリウレタン弾性繊維をドラフト2.3倍で延伸しつつ、エア圧4.5kg/cm2でエア交絡させ、交絡数52個/m、平均交絡長を4.8mm/個とし、プリセット工程を190℃で30秒とした以外は実施例1と同様の方法で編地を作製し、同様の試験を行った。結果を表1に示す。得られたエア交絡糸の被覆度は25.0%であった。
実施例1のカバリング糸の代わりに熱融着ポリウレタン弾性繊維44デシテックスをベア糸で編み込み倍率2.3倍(編込糸長に換算すると20.0cm/100W)の設定で編み込んだ以外は実施例1と同様の方法で編地を作製し、同様の試験を行った。結果を表1に示す。
実施例2のカバリング糸の代わりに熱融着ポリウレタン弾性繊維44デシテックスをベア糸で編み込み倍率2.3倍(編込糸長に換算すると11.1cm/100W)の設定で編み込んだ以外は実施例2と同様の方法で編地を作製し、同様の試験を行った。結果を表1に示す
さらに、実施例1〜5は、熱融着ポリウレタン弾性繊維を他の繊維との複合糸にすることによって、融着面積が低減して、接触箇所への応力集中が緩和され、さらに熱融着ポリウレタン弾性繊維の周囲に被覆される非弾性繊維によって、熱融着ポリウレタン弾性繊維の伸長が抑制され、耐伸縮疲労性試験においても熱融着ポリウレタン弾性繊維が断糸しない耐久性の高い緯編地が得られた。
実施例1〜5の編地を使用したショーツなどの製品の製造にあたり、縫製時にカールを広げたり、押さえたりする手間が省けたり、ランが発生しにくいため縫製が容易にできるので、高い生産効率で製造できた。また、薄く切りっぱなしの製品ができるので、外衣にひびかない、着用痕が肌に残らない、皮膚刺激性の低い、肌触り感や着心地といった着用感良好の衣類、さらに、洗濯、着用を繰り返してもほつれ、カール、熱融着ポリウレタン弾性繊維が断糸しない耐久性の高い切りっぱなしの衣類が得られた。
比較例1、2も、熱融着により組織が固定化されており、耐ほつれ、耐カールなど切りっぱなし部を含む衣類として耐久性は良好であったが、22N定荷重で編地を大きく伸長した際や、耐伸縮疲労性試験でポリウレタン弾性繊維が断糸しており、伸長や繰り返し伸縮に対する耐久性が劣る編地であった。
2 縫製部
3 縫製部
4 縫製部
5 縫製部
6 ウエスト部
7 脚回り部
8 脚回り部
9 クロッチ部
10 ダイヤル針
11 非弾性繊維
12 熱融着ポリウレタン弾性繊維を含む複合糸
13 熱融着ポリウレタン弾性繊維単独又は非熱融着ポリウレタン弾性繊維単独あるいは非熱融着ポリウレタン弾性繊維を含んだ複合糸
14 シリンダ針
Claims (13)
- 複合糸として、熱融着ポリウレタン弾性繊維と第1の非弾性繊維とからなるカバリング糸、合撚糸又はエア交絡糸を用いると共に、この複合糸と少なくとも1種類の第2の非弾性繊維をプレーティング編した緯編地であって、
前記熱融着ポリウレタン弾性繊維の太さが15〜156デシテックスであり、前記カバリング糸が、芯糸を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、その芯糸を被覆する第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記合撚糸が、その撚り糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記エア交絡糸が、その交絡させる糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その交絡数が30〜100個/mの範囲であり、かつ前記熱融着ポリウレタン弾性繊維のドラフトが1.2〜4.5倍であると共に、前記カバリング糸、合撚糸及びエア交絡糸の被覆率がいずれも2〜40%であって、熱融着ポリウレタン弾性繊維相互を熱融着させたことを特徴とする緯編地。 - 前記緯編地が、縁の一部又は全部もしくは縁でない箇所の一部において、任意のラインで裁断した裁断部を有し、該裁断部が裁断されたままの状態であることを特徴とする請求項1記載の緯編地。
- 前記緯編地が、上下針の相対位置をリブ出合いに配列して編まれた組織であることを特徴とする請求項1又は2記載の緯編地。
- 1×1ゴム編組織で製編されてなる請求項3記載の緯編地。
- 前記緯編地が、上下針の相対位置をリブ出合いに配列して編まれた変化組織であることを特徴とする請求項1又は2記載の緯編地。
- 前記複合糸を全コースに用いて製編されてなる請求項1乃至5のいずれか1項記載の緯編地。
- 前記複合糸を1コース以上おきに用い、他のコースには熱融着ポリウレタン弾性繊維単独、非熱融着ポリウレタン弾性繊維単独又は非熱融着ポリウレタン弾性繊維を含む複合糸を用いて製編されてなる請求項1乃至5のいずれか1項記載の緯編地。
- 前記熱融着ポリウレタン弾性繊維の熱融着力が、0.10cN/デシテックス以上である請求項1乃至7のいずれか1項記載の緯編地。
- 前記熱融着ポリウレタン弾性繊維が、ポリオール及びジイソシアネートを反応させて得られる両末端イソシアネート基プレポリマーと、ポリオール、ジイソシアネート及び低分子量ジオールを反応させて得られる両末端水酸基プレポリマーとから得られるポリマーを溶融紡糸してなる請求項1乃至8のいずれか1項記載の緯編地。
- 前記第1及び第2の非弾性繊維が、それぞれ、木綿、麻、羊毛、絹、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、アセテート、ナイロン、ポリエステル及びアクリルから選ばれる繊維である請求項1乃至9のいずれか1項記載の緯編地。
- 請求項1乃至10のいずれか1項記載の緯編地を用いた衣類。
- 熱融着ポリウレタン弾性繊維と第1の非弾性繊維とからなるカバリング糸、合撚糸又はエア交絡糸であって、前記熱融着ポリウレタン弾性繊維の太さが15〜156デシテックスであり、前記カバリング糸が、芯糸を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、その芯糸を被覆する第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記合撚糸が、その撚り糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記エア交絡糸が、その交絡させる糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その交絡数が30〜100個/mの範囲であり、かつ前記熱融着ポリウレタン弾性繊維のドラフトが1.2〜4.5倍であると共に、前記カバリング糸、合撚糸及びエア交絡糸の被覆率がいずれも2〜40%である複合糸を用い、この複合糸と少なくとも1種類の第2の非弾性繊維をプレーティング編により緯編地を編成し、該緯編地を、湿熱100〜130℃、又は乾熱130〜220℃の熱セットにより、上記熱融着ポリウレタン弾性繊維相互を熱融着させたことを特徴とする緯編地の製造方法。
- 熱融着ポリウレタン弾性繊維と第1の非弾性繊維とからなるカバリング糸、合撚糸又はエア交絡糸であって、前記熱融着ポリウレタン弾性繊維の太さが15〜156デシテックスであり、前記カバリング糸が、芯糸を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、その芯糸を被覆する第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記合撚糸が、その撚り糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その撚り数が200〜1800T/mの範囲であり、前記エア交絡糸が、その交絡させる糸の少なくとも1本を熱融着ポリウレタン弾性繊維とし、第1の非弾性繊維の太さが5〜111デシテックスであって、その交絡数が30〜100個/mの範囲であり、かつ前記熱融着ポリウレタン弾性繊維のドラフトが1.2〜4.5倍であると共に、前記カバリング糸、合撚糸及びエア交絡糸の被覆率がいずれも2〜40%である複合糸を用い、この複合糸と少なくとも1種類の第2の非弾性繊維をプレーティング編により緯編地を編成し、該緯編地を、湿熱100〜130℃、又は乾熱130〜220℃の熱セットにより、上記熱融着ポリウレタン弾性繊維相互を熱融着させた後、上記緯編地を裁断し、該裁断部を裁断したままにすることを特徴とする緯編地の製造方法。
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