JP2019179629A - 配線材 - Google Patents

配線材 Download PDF

Info

Publication number
JP2019179629A
JP2019179629A JP2018067183A JP2018067183A JP2019179629A JP 2019179629 A JP2019179629 A JP 2019179629A JP 2018067183 A JP2018067183 A JP 2018067183A JP 2018067183 A JP2018067183 A JP 2018067183A JP 2019179629 A JP2019179629 A JP 2019179629A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating layer
resin
silane
insulating coating
aluminum conductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018067183A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7157541B2 (ja
Inventor
有史 松村
Yuji Matsumura
有史 松村
西口 雅己
Masami Nishiguchi
雅己 西口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Electric Co Ltd filed Critical Furukawa Electric Co Ltd
Priority to JP2018067183A priority Critical patent/JP7157541B2/ja
Publication of JP2019179629A publication Critical patent/JP2019179629A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7157541B2 publication Critical patent/JP7157541B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Insulated Conductors (AREA)

Abstract

【課題】導体としてアルミニウム導体を用いても、アルミニウム導体の損傷とヒゲの残存を抑えて絶縁被覆層を除去することができる配線材を提供する。【解決手段】アルミニウム導体の外周に少なくとも1層の絶縁被覆層を有する配線材であって、絶縁被覆層のうちアルミニウム導体の外周に直接設けられた最内絶縁被覆層が、下記特性(A1)〜(A3)を満たす、配線材。(A1)引張弾性率:140MPa以下(A2)引張破断応力:5〜40MPa(A3)引張破断応力に対する引張弾性率の比[引張弾性率/引張破断応力]:1〜8【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム導体を有する配線材に関する。
低圧電線ないし低圧ケーブルには、銅で形成された導体(銅導体)が使用されてきた。昨今の建設現場では労働者の高齢化が進み、また建設現場のスキルレス化が求められている。そのため、銅と比較して軽量なアルミニウムで形成された導体(アルミニウム導体)を有する配線材(電線やケーブル)の需要が高まっている。更に、資源希少性やコストの観点からも、アルミニウム導体を用いた配線材が電力分野や配電分野に使用されてきている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2017−143645号公報
導体の外周に絶縁被覆層を有する配線材を使用する際は、通常、配線材の端部の絶縁被覆層を導体から剥離する(口剥き加工を施す。)。しかし、架橋ポリエチレン等の樹脂で形成された絶縁被覆層を備えた従来の配線材は、絶縁被覆層に刃を入れる際に導体を傷つけやすく、導体を破断させることがある。
また、アルミニウム導体を使用する場合、接触抵抗の上昇を抑えるため、通常、口剥き加工後にアルミニウムの酸化皮膜を研磨して除去する工程を行う。しかし、架橋ポリエチレンからなる絶縁被覆層は、導体から剥離しにくく、切断端面に絶縁被覆層の線状体ないし毛状体(ヒゲということがある。)が残存する(切断端面からヒゲが延在する)ことがある。
本発明は、導体としてアルミニウム導体を用いても、アルミニウム導体の損傷とヒゲの残存を抑えて絶縁被覆層を除去することができる配線材を提供することを課題とする。
本発明者らは、アルミニウム導体に対してその外周に直接設ける絶縁被覆層について、引張弾性率及び引張破断応力に加えて、これらの比[引張弾性率/引張破断応力]をそれぞれ特定の範囲に設定することにより、絶縁被覆層の剥離性が向上して、ヒゲの残存も、口剥き加工におけるアルミニウム導体の損傷も抑制できることを見出した。本発明者らはこの知見に基づき、更に研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
<1>アルミニウム導体の外周に少なくとも1層の絶縁被覆層を有する配線材であって、
前記絶縁被覆層のうち前記アルミニウム導体の外周に直接設けられた最内絶縁被覆層が、下記特性(A1)〜(A3)を満たす、配線材。
(A1)引張弾性率:140MPa以下
(A2)引張破断応力:5〜40MPa
(A3)引張破断応力に対する引張弾性率の比[引張弾性率/引張破断応力]:1〜8
<2>前記最内絶縁被覆層が、下記特性(A4)を満たす、<1>に記載の配線材。
(A4)50%伸張時のひずみ引張応力:10MPa以下
<3>前記絶縁被覆層が2層以上であって、その最外絶縁被覆層がポリ塩化ビニルの絶縁被覆層である<1>又は<2>に記載の配線材。
<4>前記最外絶縁被覆層が、下記特性(B1)及び(B2)を満たす<3>に記載の配線材。
(B1)50%伸張時のひずみ引張応力:12MPa以下
(B2)引張破断強度:10MPa以上
<5>前記アルミニウム導体を構成するアルミニウム素線の外径が3.5mm以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の配線材。
<6>前記最内絶縁被覆層が、下記シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の配線材。
<シラン架橋性組成物>
ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム、スチレンエラストマーのいずれかを含むベース樹脂100質量部と、無機フィラー10〜400質量部と、前記ベース樹脂にグラフト化結合したシランカップリング剤1〜15質量部とを含有し、更にシラノール縮合触媒を含有するシラン架橋性組成物
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の配線材は、導体としてアルミニウム導体を有していても、アルミニウム導体の損傷とヒゲの残存とを抑えて絶縁被覆層を除去することができる。
[配線材]
本発明の配線材は、アルミニウム導体の外周に少なくとも1層の絶縁被覆層を有している。少なくとも1層の絶縁被覆層(以下、単に被覆層ということがある。)のうち、アルミニウム導体の外周に直接設けられた最内絶縁被覆層は、下記特性(A1)〜(A3)を満たす。特性(A1)〜(A3)の詳細は後述する。
(A1)引張弾性率:140MPa以下
(A2)引張破断応力:5〜40MPa
(A3)引張破断応力に対する引張弾性率の比[引張弾性率/引張破断応力]:1〜8
本発明において、アルミニウム導体の外周に直接設けられるとは、アルミニウム導体の外周に、接着層やプライマー層、更には他の絶縁被覆層等の層を介することなく、アルミニウム導体の外周に接した状態で設けられることを意味する。
アルミニウ導体と、上記特性(A1)〜(A3)を満たす最内絶縁被覆層とを有する配線材が、アルミニウム導体の損傷とヒゲの残存とを抑えて被覆層を除去することができる(被覆層を剥離する際の加工しやすさ(口剥き加工性)に優れる)理由の詳細は、まだ定かではないが、以下のように考えられる。
すなわち、従来の構成である、アルミニウム導体の外側に形成された架橋ポリエチレンからなる被覆層はアルミニウム導体と一体化することにより、アルミニウム導体の硬さを助長させる。更に架橋ポリエチレンからなる被覆層は硬くて刃が入りにくく、更に架橋ポリエチレンが伸びるため、導体近傍まで刃を入れないと剥離することができない。
しかし、本発明の配線材は、アルミニウム導体に直接接して設けられた被覆層(最内絶縁被覆層)の上記特性(A1)〜(A3)をそれぞれ上記範囲に設定することにより、最内絶縁被覆層に刃を入れる際に刃が導体に過度に接触することを抑え、更にヒゲの残存も抑えて、被覆層を切断、除去することができる。
更に、本発明の配線材は、比重の小さなアルミニウムを用いているため、銅導体を備えた配線材に対して、軽量化を図ることもできる。
本発明の好ましい配線材は、上述の作用効果に加えて、必要により優れた柔軟性をも示す。
アルミニウム導体を用いた配線材は、銅導体を用いた配線材と比較して、導体抵抗が低く、許容電流が少なくなるため、通常、サイズアップ(大径化)して対応する。このサイズアップに伴い、配線材自体が硬くなるため、アルミニウム導体を構成するアルミニウム素線を細線化するなどして、サイズアップに伴う硬度上昇を相殺している。しかし、これらの対策では十分ではなく、配線材がはねて配線しにくく、柔軟性の更なる改善が求められる。更に、アルミニウム導体は銅導体よりも強度が低いばかりか、細線化することで更に強度が下がる。
しかし、最内絶縁被覆層が、上記特性(A1)〜(A3)に加えて、後述する特性(A4)を満たす本発明の好ましい配線材は、優れた口剥き加工性を維持しつつも、アルミニウム導体の硬さを効果的に緩和することができ、高い柔軟性を示す。
更に、本発明の配線材の好ましい態様として、最内絶縁被覆層を、後述するシラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる層で形成すると、配線材及びシラノール縮合硬化物は、短期の(例えば環境雰囲気の瞬間的高温化に対する)耐熱性に優れており溶融しにくく、しかも、長期の(例えば環境雰囲気の連続的若しくは断続的な高温化に対する)耐熱性も向上させることができる。また、配線材の小径化も可能となる。
本発明の配線材は、優れた口剥き加工性を示すため、口剥き加工される前(未口剥き加工)の配線材である態様と、優れた口剥き加工性により所望のように被覆層が除去された後(口剥き加工済)の配線材である態様とを包含する。
本発明の配線材として採りうる絶縁電線は、アルミニウム導体の外周に少なくとも1層の絶縁被覆層を有する電線であればよく、アルミニウム導体としては単線でも後述するアルミニウム撚り線でも用いることができる。
本発明の配線材として採りうるケーブルは、アルミニウム導体の外周に、通常2層以上の絶縁被覆層を有するものであって、2層以上の絶縁被覆層のうち最も外側に位置する絶縁被覆層(最外絶縁被覆層)がアルミニウム導体とその他の絶縁被覆層を囲繞する形態を有するものをいう。例えば、アルミニウム導体の外周に最内絶縁被覆層を備えた、1本又は複数本の絶縁電線をシースと称される最外絶縁被覆層で一括して囲繞してなるケーブルが挙げられる。このケーブルにおいて、絶縁電線を複数有する場合、複数の絶縁電線は並列に配置されていてもよく、撚り合わされて配置(撚り線)されていてもよい。絶縁電線を撚り合わせる際の、絶縁電線の本数、絶縁電線の配置、撚り方向、撚りピッチ等は、用途等に応じて、適宜に設定できる。
配線材の直径は、用途等に応じて適宜に決定することができ、特に制限されない。例えば、絶縁電線として用いる場合、強度と柔軟性の点で、0.8〜35mmが好ましく、1〜30mmがより好ましい。ケーブルとして用いる場合、強度と柔軟性の点で、0.8〜50mmが好ましく、1〜35mmがより好ましい。
本発明の配線材は、主として配電ケーブルであるCVケーブル(cross−linked polyethylene insulated vinyl sheath cable)の代替電線ないしケーブルとして用いられ、その他、キャブタイヤケーブル、コード、鉄道用ケーブル、太陽光や風力発電ケーブル、また航空機用ケーブル等としても好適に用いられる。
<アルミニウム導体>
本発明に用いるアルミニウム導体は、アルミニウム製の導体であれば特に制限されず、例えば、1本のアルミニウム素線からなる導体、又は、複数本のアルミニウム素線を撚り合わせた撚り線(アルミニウム撚り線ともいう。)からなる導体が挙げられる。
アルミニウム素線としては、従来、配線材に用いられるものを用いることができ、例えば、(純)アルミニウム若しくはアルミニウム合金で形成された素線を用いることができる。アルミニウム合金としては、特に制限されないが、例えば、1000系アルミニウム合金、2000系アルミニウム合金、3000系アルミニウム合金、4000系アルミニウム合金、5000系アルミニウム合金、6000系アルミニウム合金などが挙げられ、代表的には、Feが0.6質量%以下、Siが0.2〜1.0質量%、Mgが0.2〜1.0質量%の成分を含み、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなるアルミニウム合金が挙げられる。
アルミニウム及びアルミニウム合金の中でも、アルミニウム純度が99%以上の1000系アルミニウム合金が好ましく、また、高い電気導電性を有するものが好ましい。
アルミニウム素線の断面形状は、用途等に応じて適宜に決定することができ、例えば、丸形(円形)や平角形(矩形)、六角形等が挙げられる。本発明においては、例えば撚り線を形成しやすい点で、断面円形が好ましい。
撚り線を形成するアルミニウム素線の数としては、複数(2本以上)であれば特に制限されない。
アルミニウム素線を撚り合わせる際の、アルミニウム素線の配置、撚り方向、撚りピッチ等は、用途等に応じて、適宜に設定できる。
アルミニウム撚り線は、外径を抑えるため、撚り合わせた後に更にダイス等によって絞りこんだ圧延導体が用いられることが好ましい。
アルミニウム素線の外径は、用途等に応じて適宜に決定することができるが、強度と柔軟性の点で、3.5mm以下が好ましく、0.15〜3.5mmがより好ましく、0.3〜3mmが更に好ましく、0.35〜2.5mmが特に好ましい。
アルミニウム撚り線の外径は、用途等に応じて適宜に決定することができるが、強度と柔軟性の点で、0.8〜45mmが好ましく、1〜35mmがより好ましく、1〜30mmが更に好ましい。アルミニウム撚り線の外径は、撚り線の軸線に垂直な断面において、外側に配置された複数のアルミニウム素線の外周面に外接する仮想外接円の直径とする。
撚り線の外径、導体断面積は許容電流によって決定されるが、1本当たりのアルミニウム素線径は細い方が柔軟性に優れるものの、心線(素線)切れが生じやすくなる。その観点から素線径は0.3〜1mm程度が特に好ましい。
<絶縁被覆層>
アルミニウム導体の外周に設けられる絶縁被覆層は、絶縁被覆層として機能するものであり、単層構造又は複層構造を有している。
絶縁被覆層が単層である場合、この絶縁被覆層はアルミニウム導体の外周に直接接設けられた最内絶縁被覆層となる。
一方、絶縁被覆層が複層構造である場合(複層絶縁被覆層という。)、複層絶縁被覆層を構成する構成層の数は、用途等に応じて適宜に決定することができ、例えば、2〜5層が好ましく、2層がより好ましい。特に、配線材がケーブルである場合、絶縁被覆層は複層絶縁被覆層であることが好ましく、複層絶縁被覆層において最も外側に位置する構成層(最外絶縁被覆層)がシースとして機能する。複層絶縁被覆層においては、各構成層間には、接着層等の他の層を介することなく、直接積層されることが好ましい。
本発明において、便宜上、単層の絶縁被覆層(最内絶縁被覆層)を有する配線材を絶縁電線と称し、複層絶縁被覆層、特に最外絶縁被覆層(シース)を有する配線材をケーブルと称することがあるが、上述のように、絶縁電線であっても複層絶縁被覆層を有する形態を包含する。
本発明において、絶縁被覆層を形成する材料が同じ材料(成分及び含有量)で形成された層を積層した場合は、これらの層を合わせて1層としてカウントする。一方、絶縁被覆層を形成する材料が同じ材料で形成された層であっても隣接して積層していない場合、すなわち他の層を介して積層した場合は、それぞれの層を1層としてカウントする。また、絶縁被覆層を形成する材料が異なる材料で形成された層を積層した場合は、隣接しているか否かに関わらず、それぞれの層を1層としてカウントする。
− 最内絶縁被覆層 −
最内絶縁被覆層(以下、単に最内被覆層ということがある。)は、下記特性(A1)〜(A3)を満たす。
(A1)引張弾性率:140MPa以下
(A2)引張破断応力:5〜40MPa
(A3)引張破断応力に対する引張弾性率の比[引張弾性率/引張破断応力]:1〜8
最内被覆層が上記範囲の引張弾性率(A1)を満たすと、配線材の口剥き加工の際に、最内被覆層に刃が入りやすく、口剥き加工の熟練を要しなくても、刃がアルミニウム導体に過度に接触(到達ないし侵入)することを抑え、アルミニウム導体の損傷を防止できる。アルミニウム導体の損傷を効果的に抑制できる点で、最内被覆層の引張弾性率は、100MPa以下が好ましい。引張弾性率の下限は、特に制限されず、例えば、5MPa以上とすることができ、10MPa以上が好ましい。
最内被覆層が上記範囲の引張破断応力(A2)を満たすと、配線材の口剥き加工の際に、最内被覆層を切断しやすく、口剥き加工の熟練を要しなくても、最内被覆層の切断端面でのヒゲの残存を抑えて最内被覆層を切断除去できる。ヒゲの残存を効果的に抑えて最内被覆層を切断除去できる点で、最内被覆層の引張破断応力は、10〜30MPaが好ましい。
最内被覆層が上記範囲の比[引張弾性率/引張破断応力](A3)を満たすと、配線材の口剥き加工において、アルミニウム導体の損傷防止とヒゲの発生とを効果的に抑えることができる。ヒゲの発生を効果的に抑制できる点で、最内被覆層の引張弾性率は、1〜8が好ましい。
最内被覆層が上記特性(A1)〜(A3)のいずれも満たしていると、これら特性による作用が協働することにより、口剥き加工の熟練を要しなくても、被覆層の剥離性(口剥き容易性)が向上して、ヒゲの残存も、口剥き加工中のアルミニウム導体の損傷も抑制できる。
最内被覆層は、好ましくは、下記特性(A4)を満たす。
(A4)50%伸張時のひずみ引張応力:10MPa以下
最内被覆層が上記範囲の50%伸張時のひずみ引張応力(A4)を満たすと、配線材に柔軟性を付与することができる。より優れた柔軟性を付与できる点で、最内被覆層の50%伸張時のひずみ引張応力は、8MPa以下がより好ましい。50%伸張時のひずみ引張応力の下限は、特に制限されず、例えば、2MPa以上とすることができ、2.5MPa以上が好ましい。
上記特性(A1)〜(A4)は、最内被覆層を形成する樹脂や添加剤の種類、含有量等により、上記範囲に設定することができる。具体的には、引張弾性率(A1)を小さくする方法としては、特に制限されないが、例えば、用いる樹脂の結晶性を下げる方法、用いる樹脂に可塑剤を含有させる方法等が挙げられる。また、引張破断応力(A2)を大きくする方法としては、特に制限されないが、例えば、用いる樹脂の分子量を大きくする(樹脂を架橋させる)方法、用いる樹脂の結晶性を上げる方法、用いる樹脂にフィラーを含有させる方法等が挙げられる。
上記特性(A1)〜(A4)は、いずれも、JIS K 7161−1に規定の方法及び条件に準じて、測定した値とする。
ただし、弾性率は2点から求める傾きとし、試験速度は0.5mm/minとする。
引張破断応力、ひずみ引張応力の試験速度は200mm/minとするが、使用する材料により適切な試験条件としてもよい。
最内被覆層は、上述の特性(A1)〜(A3)を満たすことができる各種の樹脂で形成される。このような樹脂としては、特に制限されず、配線材に用いられる公知の樹脂(熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂)が挙げられる。例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレンゴム、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、変性PEEKを含む。)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエステル(PEst)、ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、フッ素樹脂、フッ素ゴム、アクリルゴム等が挙げられる。
樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を用いてもよい。
樹脂(組成物)は、通常用いられる各種添加剤を含有していてもよい。
最内被覆層の形成に用いる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレンゴム、スチレン系エラストマー又はこれらの組み合わせが好ましく、ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム、スチレン系エラストマー又はこれらの組み合わせがより好ましい。
これらの樹脂は、架橋されていることも好ましい。樹脂の架橋方法は、特に制限されず、公知の架橋法(例えば、電子線架橋、架橋剤、架橋触媒等を用いた化学架橋法、シラン架橋法)を特に制限されることなく適用できるが、特殊な設備を要しない等の点で、シラン架橋法が好ましい。
最内被覆層の形成に用いる樹脂としては、架橋樹脂を含有することが好ましく、例えば、シラン架橋又は電子線架橋されている、ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム若しくはスチレン系エラストマー、又はこれらの組み合わせが更に好ましく、シラン架橋されている、ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム若しくはスチレン系エラストマー、又はこれらの組み合わせが特に好ましい。これらの樹脂を用いることにより、引張弾性率と引張破断応力を上記範囲に設定することができる上、柔軟性、電気特性及び耐熱性を兼ね備えた被覆層(配線材)とすることができる。
シラン架橋されている樹脂は、樹脂にグラフト化結合したシランカップリング剤(シラングラフト樹脂のシランカップリング剤)の加水分解性基を加水分解し、次いでシラノール縮合反応させて得られる架橋樹脂である。シラングラフト樹脂は、通常、シランカップリング剤のグラフト化反応部位と樹脂のグラフト化反応可能な部位とを公知の方法でグラフト化反応させることにより、樹脂にシランカップリング剤が共有結合等でグラフト鎖状に結合したグラフト樹脂である。シラングラフト樹脂は、市販品を用いてもよく、後述する方法による合成品を用いてもよい。
最内被覆層は、後述するシラン架橋性組成物についてシラノール縮合反応してなる、シラノール縮合硬化物の層(硬化物層ということがある。)で形成されることが、優れた口剥き加工性を維持しつつも、柔軟性、電気特性及び耐熱性をより高い水準で兼ね備えることができる点で、特に好ましい。この硬化物層の詳細は後述する。
− 最外絶縁被覆層 −
最外絶縁被覆層(単に最外被覆層、又は表面層ともいう。)は、配線材に用いられる公知の樹脂(熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂)で形成され、具体的には最内被覆層で挙げた各種樹脂を挙げることができる。
最外被覆層に用いる樹脂としては、ポリ塩化ビニルが好ましく、軟質ポリ塩化ビニルがより好ましく、ポリ塩化ビニル100質量部に対して、後述する可塑剤35〜70質量部と、後述する無機フィラー20〜70質量部とを含有するPVC混和物(組成物)が更に好ましい。PVC混和物に用いる可塑剤としては、特に制限されず、例えば、フタル酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、アジピン酸可塑剤、ポリエステル系可塑剤等が挙げられ、また最内絶縁被覆層に用いられる有機鉱物油もPVC混和物に用いる可塑剤に包含する。中でも、フタル酸系可塑剤が好ましく、フタル酸ジイソノニル(DINP)がより好ましい。PVC混和物に用いる無機フィラーとしては、特に制限されず、例えば、最内被覆層に用いる後述する無機フィラーが挙げられ、中でも、炭酸カルシウム、三酸化アンチモン、シリカ又はクレーが好ましい。
最外被覆層は、好ましくは、下記特性(B1)及び(B2)の少なくとも一方を満たすことが好ましく、両方を満たすことがより好ましい。特性(B1)及び(B2)の両方を満たすことにより、高い耐傷付性と柔軟性を持った配線材を得ることができる。
(B1)50%伸張時のひずみ引張応力:15MPa以下
(B2)引張破断強度:10MPa以上
最外被覆層が上記範囲の50%伸張時のひずみ引張応力(B1)を満たすと、配線材、とりわけケーブルとして高い柔軟性を示す。柔軟性により優れる点で、50%伸張時のひずみ引張応力(B1)は、12MPa以下が好ましい。50%伸張時のひずみ引張応力の下限は、特に制限されず、例えば、3MPa以上とすることができ、4MPa以上が好ましい。
最外被覆層が上記範囲の引張破断強度(B2)を満たすと、配線する際の外傷性(耐傷付性)に優れる。この外傷性により優れる点で、引張破断強度(B2)は、11MPa以上が好ましい。引張破断強度(B2)の上限は、特に制限されず、例えば、20MPa以下とすることができ、15MPa以下が好ましい。
上記特性(B1)及び(B2)は、最外被覆層を形成する樹脂や添加剤の種類、含有量等により、上記範囲に設定することができ、例えば、最内被覆層と同様の方法、また下記方法等が挙げられる。より具体的には、50%伸張時のひずみ引張応力(B1)を小さくする方法としては、特に制限されないが、例えば、用いる樹脂に含有させる可塑剤の含有量を多くする方法、用いる樹脂に含有させるフィラーの含有量を少なくする方法等が挙げられる。また、引張破断強度(B2)を大きくする方法としては、特に制限されないが、例えば、用いる樹脂に含有させる可塑剤の含有量を少なくする方法、用いる樹脂に含有させるフィラーの含有量を多くする方法等が挙げられる。
上記特性(B1)及び(B2)は、いずれも、JIS K 7161−1に規定の方法及び条件に準じて、測定した値とする。
− 中間絶縁被覆層 −
絶縁被覆層が3層以上の複層絶縁被覆層である場合、最内被覆層と最外被覆層との間に設けられる中間絶縁被覆層は、配線材に用いられる公知の樹脂(熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂)で形成され、具体的には最内被覆層で挙げた各種樹脂を挙げることができる。
− 絶縁被覆層の厚さ −
絶縁被覆層の厚さは、配線材の直径、用途等に応じて適宜に決定することができる。例えば、被覆層の総厚(複層絶縁被覆層の場合、各構成層の合計厚さ)としては、耐熱性、絶縁耐圧、強度と柔軟性の点で、0.2〜10mmが好ましく、0.6〜5mmがより好ましい。
各構成層の厚さも、被覆層の総厚、配線材の直径、用途等に応じて適宜に決定することができる。例えば、最内被覆層の厚さは、絶縁電線として用いる場合、例えば、0.2〜5mmが好ましく、0.5〜4mmがより好ましく、ケーブルとして用いる場合、例えば、0.4〜5mmが好ましく、0.5〜3mmがより好ましい。本発明において、最内被覆層の厚さは、アルミニウム導体の外径と最内被覆層の外径との差(最薄厚さ)とする。最外被覆層の厚さは、例えば、0.2〜5mmが好ましく、0.5〜4mmがより好ましい。中間絶縁被覆層の(合計)厚さは、例えば、0〜5mmが好ましい。
[配線材の製造方法]
まず、配線材の製造方法に用いる各成分について説明する。
<アルミニウム導体>
本発明に用いるアルミニウム導体は、市販品のアルミニウム導体を用いてもよい。アルミニウム撚り線は、市販のアルミニウム素線を公知の方法で撚り合わせて作製してもよい。
<最内被覆層形成用樹脂>
最内被覆層の形成に用いられる樹脂は、上述の通りである。
最内被覆層の形成に特に好ましく用いられるシラン架橋性組成物は、ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム、スチレンエラストマーのいずれかを含むベース樹脂と、無機フィラーと、ベース樹脂にグラフト化結合したシランカップリング剤とを含有し、更にシラノール縮合触媒を、それぞれ特定量で、含有する。
このシラン架橋性組成物は、ベース樹脂、有機過酸化物、シランカップリング剤、シラノール縮合触媒、キャリア樹脂、無機フィラー、更には添加剤等を用いて調製されることが好ましい。以下に、シラン架橋性組成物を形成するための成分について説明する。
− ベース樹脂 −
ベース樹脂が、ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム、スチレンエラストマー及びこれらの組み合わせから選択される。ベース樹脂がこれらの樹脂を含有することにより、優れた口剥き加工性を被覆層に付与でき、更にはアルミニウム導体の強度とのバランスを良化できる。上記各樹脂は、それぞれ1種を単独で用いても2種以上を用いてもよい。ベース樹脂は、上記樹以外の樹脂を含有してもよく、更に、必要に応じて、有機鉱物油、可塑剤等を含有してもよい。
(ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂としては、後述する有機過酸化物から発生したラジカルの存在下において、シランカップリング剤のグラフト化反応部位とグラフト化反応可能な部位を主鎖中又はその末端に有しており、シラン架橋法により、縮合(架橋)することができるものであれば特に制限されない。このグラフト化反応可能な部位としては、例えば、炭素鎖の不飽和結合部位、水素原子を有する炭素原子等が挙げられる。このような樹脂として、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、酸共重合成分を有するポリオレフィン樹脂共重合体樹脂(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル(好ましくは炭素数1〜12)共重合体等の各樹脂)、又は、これらの酸変性樹脂等が挙げられる。
(エチレンゴム)
エチレンゴムとしては、エチレンとα−オレフィンとの共重合体のゴムであれば特に限定されない。例えば、エチレンゴムとしては、好ましくは、エチレンとα−オレフィン(好ましくは炭素数1〜12)との二元共重合体ゴム、エチレンとα−オレフィン(好ましくは炭素数1〜12)とα−オレフィン以外の、不飽和結合を有する第三成分(共役若しくは非共役のジエン)との3元共重合体からなるゴムが挙げられる。二元共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、三元共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が挙げられる。
(スチレン系エラストマー)
スチレン系エラストマーとしては、分子内に芳香族ビニル化合物を構成成分とするものをいう。このようなスチレン系エラストマーとしては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック共重合体及びランダム共重合体、又は、それらの水素添加物等が挙げられる。このようなスチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素化SIS、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素化SBS、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、水素化スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)等が挙げられる。
(有機鉱物油)
有機鉱物油は、芳香族系オイル、パラフィン系オイル若しくはナフテン系オイル、又は、これら三者を含む混合油が挙げられる。有機鉱物油としては、樹脂組成物に通常用いられるものを特に制限されることなく用いることができ、パラフィン系オイル又はナフテン系オイルが好ましい。有機鉱物油は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(ベース樹脂の含有率)
ベース樹脂中の、ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム及びスチレン系エラストマーの合計含有率は、0質量%を越える限り特に制限されないが、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
ベース樹脂中の、ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム又はスチレン系エラストマーの含有率は、それぞれ、上記合計含有率を満たす範囲内で適宜に設定される。例えば、ポリオレフィン樹脂の含有率は、30〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、55〜85質量%が更に好ましい。エチレンゴム及びスチレン系エラストマーの含有率は、それぞれ、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。スチレン系エラストマーの含有率は、口剥き加工性(ヒゲ発生の抑制)の観点からは、20質量%以上が好ましい。
ベース樹脂中の、有機鉱物油の含有率(ベース樹脂が可塑剤を含有する場合、可塑剤との合計含有率)は、特に制限されないが、0〜40質量%であることが好ましい。
− 有機過酸化物 −
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、シランカップリング剤のベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)へのラジカル反応によるグラフト化反応(シランカップリング剤のグラフト化反応部位とベース樹脂のグラフト化反応可能な部位との共有結合形成反応であって、(ラジカル)付加反応ともいう。)を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、上記機能を有し、ラジカル重合又は従来のシラン架橋法に用いられるものを特に制限されずに用いることができる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド(DCP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン又は2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
有機過酸化物の分解温度は、80〜195℃が好ましく、125〜180℃が特に好ましい。本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
有機過酸化物は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
− シランカップリング剤 −
シランカップリング剤としては、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下で、ベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)のグラフト化反応可能な部位にグラフト化反応しうる部位(基又は原子)と、シラノール縮合可能な加水分解性シリル基とを有するものであれば、特に限定されない。このようなシランカップリング剤としては、従来のシラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。
このようなシランカップリング剤としては、グラフト化反応しうる部位としてエチレン性不飽和基を有するシランカップリング剤が挙げられ、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルシラン、(メタ)アクリロキシシラン等が挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シランカップリング剤は、そのままの形態で用いてもよいし、溶剤で希釈した形態で用いてもよい。
− シラノール縮合触媒 −
シラノール縮合触媒は、ベース樹脂にグラフト化反応したシランカップリング剤を水の存在下でシラノール縮合反応(促進)させる。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介してベース樹脂が架橋される。その結果、シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる最内被覆層に高い耐熱性を付与できる。
このようなシラノール縮合触媒としては、特に制限されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。有機スズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等が挙げられる。
シラノール縮合触媒は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
− キャリア樹脂 −
シラノール縮合硬化物の形成に際して、シラノール縮合触媒は、そのまま用いてもよいが、樹脂との混合物(縮合触媒マスターバッチ)として用いることができる。シラノール縮合触媒と溶融混練される(担持する)樹脂(キャリア樹脂という。)としては、特に制限されないが、上記ベース樹脂で説明した各樹脂を用いることができる。キャリア樹脂として、ベース樹脂の一部を用いることができる。
キャリア樹脂は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
− 無機フィラー −
無機フィラーは、従来の樹脂組成物に通常用いられるものであれば特に制限されない。
無機フィラーは、その表面に、後述するシランカップリング剤の加水分解性シリル基と水素結合若しくは共有結合等又は分子間結合により、化学結合しうる部位を有するものが好ましい。加水分解性シリル基と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水若しくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク等の水酸基又は結晶水を有する化合物のような金属水和物が挙げられる。また、窒化ほう素、シリカ(結晶質シリカ、非晶質シリカ等)、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛等も挙げられる。中でも、金属水和物、シリカ、炭酸カルシウム及びクレーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。無機フィラーは、公知の各種表面処理剤で表面処理されたものを用いることもできる。
無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
無機フィラーを粉体として用いる場合、その平均粒径は、0.2〜10μmであることが好ましく、0.3〜8μmであることがより好ましく、0.4〜5μmであることが更に好ましく、0.4〜3μmであることが特に好ましい。無機フィラーの平均粒径は、無機フィラーをアルコール又は水中に分散させて、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置等の光学式粒径測定器によって求められる。
− 添加剤 −
本発明においては、各種の添加剤を用いることができる。添加剤としては、配線材等において、一般的に使用される各種の添加剤が挙げられる。このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、架橋助剤、滑剤、金属不活性剤、難燃(助)剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾイミダゾール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられる。
− シラン架橋性組成物中の各成分の含有量 −
シラン架橋性組成物における各成分の含有量は、特に制限されず、用途等に応じて適宜に設定される。各成分の含有量は、ベース樹脂100質量部に対して、設定される。ベース樹脂100質量部とは、ベース樹脂を構成する各成分の合計含有量を意味し、通常、エチレンゴム、スチレン系エラストマー及びポリオレフィン樹脂を含む樹脂成分と、有機鉱物油(可塑剤を含む。)との合計量を意味する。ただし、シラングラフト樹脂を用いる場合は、グラフト化結合しているシランカップリング剤のグラフト量(質量)を算入しない。
シラン架橋性組成物において、ベース樹脂を構成する各成分の、ベース樹脂中の含有率は上述した通りである。
シラン架橋性組成物中の、シランカップリング剤の含有量は、ベース樹脂100質量部に対して、1〜15質量部が好ましく、3〜12質量部が好ましく、4〜12質量部がより好ましい。シランカップリング剤がポリオレフィン樹脂にグラフト化反応している場合、シランカップリング剤の含有量は、グラフト化反応前のシランカップリング剤の含有量に換算した含有量とする。
シラン架橋性組成物中の、シラノール縮合触媒の含有量は、特に制限されないが、ベース樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.6質量部、より好ましくは0.001〜0.4質量部である。
シラン架橋性組成物は、好ましくは無機フィラーを含有する。この場合、無機フィラーの含有量は、ベース樹脂100質量部に対して、10〜400質量部が好ましく、30〜280質量部がより好ましい。無機フィラーの配合量は、100質量部未満が好ましい。
シラン架橋性組成物の調製に際して、マスターバッチ(以下、MBということがある。)を数種用いる場合、各MBの調製に用いる成分の配合量は、シラン架橋性組成物全体として上記含有量を満たす配合量であれば、特に制限されず、適宜に決定される。例えば、ベース樹脂を後述するシランMB及び縮合触媒MBの両方に配合する場合、両MBに用いるベース樹脂の配合量は、合計で、シラン架橋性組成物におけるベース樹脂の含有量100質量部となるように、各MBの配合量を適宜に設定できる。例えば、シランMBに用いるベース樹脂は、ベース樹脂合計100質量部中、好ましくは40〜99質量部、より好ましくは50〜98質量部、更に好ましくは60〜98質量部のベース樹脂であり、縮合触媒MBにキャリア樹脂として用いるベース樹脂は、その残部である。
<配線材の製造方法>
本発明の配線材は、被覆層を形成する樹脂(樹脂組成物)をアルミニウム導体の外周に配置して製造することができる。樹脂をアルミニウム導体の外周に配置する方法は、通常の方法を特に制限されることなく適用することができる。例えば、樹脂をアルミニウム導体の外周に成形する方法、樹脂のワニスをアルミニウム導体の外周に塗布焼付する方法等が挙げられる。本発明においては成形する方法が好ましく、以下に、樹脂を押出成形して配線材を製造する方法を説明する。
樹脂組成物を用いる場合、各成分を溶融混練(溶融混合)して樹脂組成物を調製する。溶融混練方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に制限されない。混練装置としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が挙げられる。中でも、バンバリーミキサー、各種のニーダー等の密閉型ミキサーが樹脂の分散性の点で好ましい。混練り条件は、通常、樹脂組成物が溶融する温度以上の温度に設定されればよく、用いる樹脂に応じて適宜に設定され、例えば、好ましくは80〜250℃に設定できる。
また、溶融混練前に、必要により、樹脂の非溶融下で混合、例えばドライブレンドすることができる。混合温度としては、好ましくは10〜60℃、より好ましくは室温(25℃)で、数分〜数時間程度の条件に設定できる。
次に、樹脂又は樹脂組成物をアルミニウム導体の外周に成形(被覆成形)する。
成形する方法は、樹脂又は樹脂組成物を最内被覆層の形状に成形できる方法であれば特に制限されず、押出機を用いた押出成形法、射出成形機を用いた押出成形法、その他の成形機を用いた成形法が挙げられ、アルミニウム導体と同時に押し出す押出成形法が好ましい。成形温度は、樹脂又は樹脂組成物の種類、押出速度(引取り速度)の諸条件に応じて樹脂又は樹脂組成物が溶融する温度に設定され、例えば、80〜250℃に設定できる。
上記混練り工程及び成形工程は、押出機等を用いて、同時に又は連続して行うことができる。例えば、樹脂又は各成分を押出機(被覆装置)に導入して溶融混練(樹脂組成物の調製)し、次いでアルミニウム導体の外周に押出成形する一連の工程を採用できる。
上述のようにして、最内被覆層の形状に成形された樹脂又は樹脂組成物の層をアルミニウム導体の外周面に成形できる。
本発明においては、こうして形成された最内被覆層表面に電子線を照射して架橋することができる。また、最内被覆層を化学架橋する場合は、後述するように、架橋剤、架橋触媒などを含有させた樹脂又は樹脂組成物を押出被覆中、又は後に通常の方法及び条件により、架橋処理する。
こうして、単層の被覆層(最内被覆層)を備えた本発明の配線材を製造できる。
本発明の配線材が複層絶縁被覆層を有する場合、最内被覆層の外周面に順次必要数の構成層(中間絶縁被覆層及び最外被覆層)を形成して配線材を製造できる。構成層を形成する材料及び配置方法は上述の通りである。
(シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる最内被覆層を有する配線材を製造する方法)
最内被覆層がシラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる層である場合、上記樹脂又は樹脂組成物に代えて上述のシラン架橋性組成物をアルミニウム導体の外周に配置する。その後に、シラン架橋性組成物を水と接触させて架橋する。
この方法に用いるシラン架橋性組成物は、シラングラフト樹脂を含有する架橋性組成物であればよく、市販の若しくは別途合成したシラングラフト樹脂を用いて調製されてもよく、シラン架橋性樹脂の合成を経て調製してもよい。
シラン架橋性組成物の調製方法としては、シラングラフト樹脂を含有するシランMBと、シラノール縮合触媒又はこの触媒を含有する縮合触媒MBとを溶融混練する方法が好ましい。シラン架橋性組成物の調製に際して、各成分の溶融混練方法及び条件は、上述の樹脂又は樹脂組成物の溶融混練方法を適宜採用できる。
− シラン架橋性樹脂の合成を経てシラン架橋性組成物を調製する方法 −
シラン架橋性樹脂の合成を経てシラン架橋性組成物を調製する方法としては、例えば、シランMBの調製工程(シラン架橋性樹脂の合成工程)、必要により縮合触媒MBの調製工程、シランMBとシラノール縮合触媒又は縮合触媒MBの溶融混練工程を有する方法が挙げられる。
(a)シランMBの調製工程
シランMBの調製工程は、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム、スチレンエラストマー及びこれらの組み合わせから選択されるベース樹脂と、有機過酸化物と、好ましくは無機フィラーと、シランカップリング剤とを、有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混練して、有機過酸化物から発生したラジカルによってベース樹脂とシランカップリング剤とをグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む反応組成物(溶融混練物)としてシランMBを調製する工程が挙げられる。
上記シランMBを調製する工程で無機フィラーを用いることが、得られる硬化物層、ひいては本発明の配線材が高い耐熱性を示す点で、好ましい。
この方法(工程)において、各成分の配合量は、シラン架橋性組成物全体としての上記含有量を満たす配合量に設定される。例えば、無機フィラー、シランカップリング剤及びシラノール縮合触媒の配合量は上述の通りである。有機過酸化物の配合量は、シラン架橋性組成物の調製に用いるベース樹脂100質量部に対して、0.01〜0.6質量部が好ましく、0.05〜0.3質量部がより好ましく、0.07〜0.25質量部が更に好ましい。
シランMBを調製する工程において、各成分の混合順は、特に制限されず、どのような順で混合してもよい。各成分を一度に溶融混錬することもできるが、無機フィラーを用いる場合、上記各成分を、下記工程(a−1)及び(a−2)により、溶融混錬することが好ましい。
工程(a−1):少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a−2):工程(a−1)で得られた混合物と、(シランMBの調製工程に用いる)ベース樹脂とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混錬する工程
工程(a−1)において、無機フィラーとシランカップリング剤を混合する方法としては、特に限定されず、無機フィラーにシランカップリング剤を加熱又は非加熱で混合する乾式混合が好ましい。これにより、工程(a−2)等においてシランカップリング剤の揮発を低減でき、また高い耐熱性の硬化物及び配線材を調製又は製造できる。工程(a−1)の混合条件は、特に制限されず、例えば上述のドライブレンド条件が挙げられる。
次いで、工程(a−1)で得られた混合物と、ベース樹脂と、工程(a−1)で混合されていない残余の成分とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混錬する。これにより、有機過酸化物から発生したラジカルによって、シランカップリング剤のグラフト化反応部位とベース樹脂のグラフト化反応可能な部位とをグラフト化(結合)反応させる。
工程(a)及び工程(a−2)において、上記成分を溶融混錬する温度は、有機過酸化物の分解温度以上、好ましくは有機過酸化物の分解温度+(25〜110)℃であり、例えば150〜230℃の温度である。その他の溶融混錬条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。混練方法としては、上述の樹脂又は樹脂組成物の混練方法及び条件と同様である。
有機過酸化物は、工程(a−2)を行う際に存在していればよく、工程(a−1)で混合してもよく、工程(a−2)で混合してもよい。有機過酸化物を工程(a−1)で混合する場合、混合温度は、有機過酸化物の分解温度未満の温度を保持する。
このようにして、ベース樹脂とシランカップリング剤とをグラフト化反応させることにより、シラングラフト樹脂が合成され、反応組成物としてこのシラングラフト樹脂を含むシランMBが調製される。
(b−1)縮合触媒MBの調製工程
シラン架橋性樹脂の合成を経てシラン架橋性組成物を調製する方法においては、必要により、シラノール縮合触媒とキャリア樹脂とを溶融混練して縮合触媒MBを調製する。キャリア樹脂とシラノール縮合触媒との溶融混練は、キャリア樹脂の溶融下で行う方法であれば特に制限されず、樹脂又は樹脂組成物の混練方法における溶融混練方法及び条件を適宜採用できる。
(b−2)溶融混練工程
シラン架橋性樹脂の合成を経てシラン架橋性組成物を調製する方法においては、次いで、シランMBと、シラノール縮合触媒又は縮合触媒MBとを溶融混練する。溶融混練は樹脂又は樹脂組成物の混練方法における溶融混練方法及び条件を適宜採用できる。
配線材の製造方法において、上記成分の他に用いることができる他の樹脂や上記添加物は、いずれの工程で混練又は混合されてもよく、また各工程における混合順も特に制限されない。添加剤の配合量は、特に制限されず、目的とする効果を損なわない範囲で適宜に設定できる。酸化防止剤の配合量は、適宜に設定できるが、樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.1〜15.0質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。
こうして、シラン架橋性樹脂の合成を経てシラン架橋性組成物を調製することができる。
(c)シラン架橋性組成物の配置工程
シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる最内被覆層を有する配線材を製造する方法においては、シラン架橋性組成物をアルミニウム導体の外周に配置する。シラン架橋性組成物の配置方法は樹脂又は樹脂組成物を用いる場合と同様である。
(d)シラン架橋性組成物の架橋工程
次いで、アルミニウム導体の周りに被覆成形したシラン架橋性組成物と水とを接触させて架橋する。これにより、シランカップリング剤の加水分解性シリル基が水により加水分解されてシラノール(ケイ素原子に結合するOH基)となり、シラン架橋性組成物中に存在するシラノール縮合触媒によりシラノールの水酸基同士が(脱水)縮合して、架橋反応が起こる(シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化が形成される)。架橋する方法は、被覆成形したシラン架橋性組成物を常温で放置する方法でもよいし、加湿又は加温下に被覆成形したシラン架橋性組成物を放置する方法でもよいし、被覆成形したシラン架橋性組成物を温水に浸漬する方法でもよい。
このようにして、アルミニウム導体の外周にシラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる最内被覆層を備えた配線材が製造される。
シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物は、ベース樹脂に対してシランカップリング剤がグラフト化反応したシラングラフト樹脂と、好ましい態様では無機フィラーとを含むシラン架橋性組成物について、シラングラフト樹脂に結合したシランカップリング剤の加水分解性基を加水分解し、次いでシラノール縮合させることにより、架橋させたものである。このシラングラフト樹脂は、シラノール結合(シロキサン結合)を介して縮合した架橋樹脂を含んでいる。シラン架橋性組成物が無機フィラーを含有する好ましい態様では、無機フィラーはシラングラフト樹脂のシランカップリング剤に結合していてもよい。
よって、この硬化物層は、シラングラフト樹脂の架橋硬化物と、好ましい態様では無機フィラーとを含有している。シラングラフト樹脂の架橋硬化物は、ベース樹脂構成成分(ポリオレフィン樹脂構成成分、エチレンゴム構成成分、スチレン系エラストマー構成成分)、シランカップリング剤構成成分、好ましい態様では無機フィラー構成成分を有している。硬化物層中の各成分の含有量は、反応条件、反応率等に応じて変動するが、好ましくは上記配合量の範囲内である。より詳細には、この硬化物層は、シラングラフト樹脂にグラフトしたシランカップリング剤の反応部位が加水分解して互いにシラノール縮合反応することにより、シラングラフト樹脂同士がシランカップリング剤を介して架橋したシラン架橋樹脂と、好ましくは、シラングラフト樹脂がシランカップリング剤により無機フィラーに結合又は吸着して、無機フィラー及びシランカップリング剤を介して結合(架橋)した架橋樹脂とを含む。
シラノール縮合硬化物からなる最内被覆層を備えた本発明の配線材を製造する方法は、好ましくは、下記の、調製工程(A)、調製工程(B)、配置工程(C)及び架橋工程(D)を有する。
調製工程(A):ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム、スチレンエラストマー及びこれらの組み合わせから選択されるベース樹脂に対して、有機過酸化物と、好ましくは無機フィラーと、シランカップリング剤とを、有機過酸化物の分解温度以上の温度で、好ましくはシラノール縮合触媒の非存在下、溶融混練して、有機過酸化物から発生したラジカルによってベース樹脂にシランカップリング剤をグラフト化反応させることにより、シラングラフト樹脂を含むシランMBを調製する工程
調製工程(B):シランMBと、シラノール縮合触媒又は縮合触媒MBとを溶融混練する工程
配置工程(C):調製工程(B)で得られたシラン架橋性組成物をアルミニウム導体の外周に配置する工程
架橋工程(D):アルミニウム導体の外周面に配置されたシラン架橋性組成物と水とを接触させる工程
上記工程(A)〜(D)を有する好ましい製造方法における各工程は、それぞれ、上述の工程(a)と、工程(b−1)及び(b−2)と、工程(c)と、工程(d)と対応し、これらの各工程で説明した方法及び条件を適宜に適用できる。
また、上記好ましい製造方法における各工程、更にはシラン架橋法における反応及び得られる縮合硬化物の形態については、例えば、特開2017−145370号公報の記載を適宜に適用でき、この公報に記載の内容はそのまま本明細書の記載の一部として取り込まれる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
表2及び表4において、各例の配合量に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。また、各成分について空欄は対応する成分の配合量が0質量部であることを意味する。
表1〜表5に示す各成分(化合物)の詳細を以下に示す。
<ベース樹脂>
− エチレンゴム −
三井EPT0045H:商品名、EPM、三井化学社製
ノーデル3720P:商品名、EPDM(エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンゴム)、ダウ・ケミカル社製
− スチレン系エラストマー −
セプトン4077:商品名、SEEPS、クラレ社製
タフテック(登録商標)N504:水素化SEBS(スチレン/エチレン・ブチレン比=32/68、旭化成社製)
セプトン4033:商品名、SEEPS、クラレ社製
クレイトン1901FG:商品名、マレイン酸変性スチレン系エラストマー、クレイトンジャパン社製
− ポリオレフィン樹脂 −
エボリューSP1540:商品名、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE)、プライムポリマー社製)
NUC7540:商品名、LLDPE、日本ユニカー製
PB222A:商品名、ポリプロピレン(エチレン−プロピレンランダム共重合体)、サンアロマー社製
NUC6520:商品名、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、日本ユニカー社製
EV360:エバフレックスEV360(商品名)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、三井・デュポンポリケミカル社製
ハイゼックス(登録商標)5305E:商品名、高密度ポリエチレン(HDPE)、プライムポリマー社製)
− その他の樹脂 −
ポリ塩化ビニル:商品名「ZEST1400」、トクヤマ社製
アクリルゴム:商品名「ベイマックGLS」、デュポン社製
フッ素樹脂:商品名「ネオフロンEFEP RP−402」、ダイキン社製
ポリエステルエラストマー:商品名「ハイトレル2041」、東レ・デュポン社製
ポリエステルエラストマー:商品名「ハイトレル4047」、東レ・デュポン社製
ポリエステルエラストマー:商品名「ハイトレル4777」、東レ・デュポン社製
ポリオレフィンエラストマー:商品名「サントプレーン101−64」、エクソンモービル社製
ポリオレフィンエラストマー:商品名「サントプレーン103−50」、エクソンモービル社製
− 有機鉱物油 −
ダイアナプロセスPW−90:商品名、パラフィン系オイル、出光興産社製
<無機フィラー>
アエロジル200:商品名、親水性フュームドシリカ、日本アエロジル社製
キスマ5L:商品名、シランカップリング剤表面処理水酸化マグネシウム、協和化学工業社製
ソフトン1200:商品名、炭酸カルシウム、備北粉化工業社製
グローマックスLL:商品名、カリオンクレー(焼成カリオン)、竹原化学工業社製
<シランカップリング剤>
KBM−1003:商品名、ビニルトリメトキシシラン、信越化学工業社製
<有機過酸化物>
パーヘキサ25B:商品名、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、分解温度179℃、日本油脂社製
<酸化防止剤>
イルガノックス1010:商品名、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF社製
イルガノックス1076:商品名、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF社製
<シラノール縮合触媒>
アデカスタブOT−1:商品名、ジオクチルスズジラウレート、ADEKA社製
<その他の成分>
DINP:フタル酸ジイソノニル(可塑剤)
アデカスタブ RUP−103:商品名、安定剤、ADEKA社製
1.実施例1−1〜1−14及び比較例1−1〜1−3
シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる最内被覆層をアルミニウム導体の外周に備えた、アルミニウム導体電線及びアルミニウム導体ケーブルを、それぞれ、径が異なる2種、製造した。
<PVC混和物の調製>
表1の「PVC混和物」欄に示す配合量で、ポリ塩化ビニル、可塑剤、無機フィラー及び安定剤を75Lバンバリーミキサー溶融混錬した後、フィーダールーダーを通して、PVC混和物I〜IVのペレットを、それぞれ、調製した。
表1において、括弧内の数値はポリ塩化ビニル100質量部に対する含有量を示す。
Figure 2019179629
<シランMBの調製>
表2の「シランMB」欄に示す配合量で、有機過酸化物とシランカップリング剤とを25℃で混合(ドライブレンド)した混合物を、無機フィラーに加えてヘンシェルミキサーで10分間攪拌(25℃)して無機フィラー混合物を得た。次いで、同欄に示す配合量で、ベース樹脂及び酸化防止剤と、調製した無機フィラー混合物とをバンバリーミキサーに加え、190℃で10分間混練して200℃で排出した。排出後、フィーダールーダーを介して、ホットカットにより、シランMBのペレットを得た。
上記バンバリーミキサーでの溶融混練により、シラングラフト化反応を惹起させた。得られたシランMBはシラン架橋性樹脂を含有している。
<縮合触媒MBの調製>
表2の「縮合触媒MB」欄に示す配合量で、キャリア樹脂、シラノール縮合触媒及び酸化防止剤をバンバリーミキサーに投入して170℃で溶融混錬した後、材料排出温度180℃で排出し、フィーダールーダーを通して、縮合触媒MBのペレットを得た。
比較例1−1を除く各例において、キャリア樹脂として、ベース樹脂の一部(全量に対して5質量%)を用いた。
<アルミニウム導体電線の製造>
調製した、シランMBのペレットと縮合触媒MBのペレットを表2に示す配合割合ドライブレンドした。
得られたドライブレンド物を、直径が40mmのスクリューを備えた押出機(スクリュー有効長Lと直径Dとの比:L/D=24、圧縮部スクリュー温度190℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内にてドライブレンド物を溶融混錬(シラン架橋性組成物を調製)しつつ、導体としての1/0.8mmアルミニウム導体の外周面に肉厚1mmで直接押出成形(配置)して、外径2.8mmの細径被覆導体を得た。
これとは別に、上記ドライブレンド物を、直径が90mmのスクリューを備えた押出機(L/D=28、圧縮部スクリュー温度190℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内にてドライブレンド物を溶融混錬しつつ、導体としての38SQ(19/1.6)(導体径7.3mm)のアルミニウム撚り線の外周面に肉厚1.2mmで直接押出成形(配置)して、外径9.7mmの太径被覆導体を得た。
得られた細径被覆導体及び太径被覆導体を、それぞれ、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気に24時間放置して、水と接触させた。これにより、シランカップリング剤のトリメトキシ基を加水分解反応、次いでシラノール縮合反応させて、シラン架橋させた。こうして、シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる最内被覆層を有するアルミニウム導体電線(絶縁電線)をそれぞれ得た。
<アルミニウム導体ケーブルの製造>
直径が90mmのスクリューを備えた押出機(スクリュー有効長Lと直径Dとの比:L/D=28、圧縮部スクリュー温度170℃、ヘッド温度180℃)に表2に示すPVC混和物を供給して、得られた2種類の絶縁電線の外側に、PVC混和物を押出成形して、細径絶縁電線に対して層厚2mm、また太径絶縁電線に対して層厚1.5mmの最外被覆層(シース)を形成した。こうして、外径が6.8mm(細径)又は12.7mm(太径)の、2層被覆層を有するアルミニウム導体ケーブルそれぞれを製造した。
2.実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2−11
非架橋樹脂からなる最内被覆層をアルミニウム導体の外周に備えた、アルミニウム導体電線及びアルミニウム導体ケーブルを、それぞれ、径が異なる2種、製造した。
<非架橋樹脂組成物の調製>
最内被覆層を形成する成分を2種以上用いる場合、次のようにして、非架橋樹脂組成物を形成した。すなわち、表4の「樹脂/非架橋樹脂組成物」欄及び「添加剤」欄に示す配合量で、各成分を一度に75Lバンバリーミキサーにより170℃で溶融混練して、非架橋樹脂組成物のペレットを得た。
<アルミニウム導体電線の製造>
次いで、表4の「樹脂/非架橋樹脂組成物」欄に示す樹脂、又は得られた非架橋樹脂組成物を、直径が40mmのスクリューを備えた押出機(L/D=24、圧縮部スクリュー温度190℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内により、導体としての1/0.8mmアルミニウム導体の外周面に肉厚1mmで直接押出(配置)して、外径2.8mm(細径)のアルミニウム導体電線(絶縁電線)を得た。
これとは別に、表4の「樹脂/非架橋樹脂組成物」欄に示す樹脂、又は得られた非架橋樹脂組成物を、直径が90mmのスクリューを備えた押出機(L/D=28、圧縮部スクリュー温度190℃、ヘッド温度200℃)に導入した。この押出機内により、導体としての38SQ(19/1.6)(導体径7.3mm)のアルミニウム撚り線の外周面に肉厚1.2mmで直接押出成形(配置)して、外径9.7mm(太径)のアルミニウム導体電線(絶縁電線)を得た。
なお、実施例2−3、比較例2−5及び比較例2−6については、押出成形条件として、圧縮部スクリュー温度を170℃、ヘッド温度を180℃に設定した。また、比較例2−8については、押出成形条件として、圧縮部スクリュー温度を230℃、ヘッド温度を240℃に設定した。
<アルミニウム導体ケーブルの製造>
直径が90mmのスクリューを備えた押出機(L/D=28、圧縮部スクリュー温度170℃、ヘッド温度180℃)に、実施例1で調製したPVC混和物Iを供給して、得られた2種類の絶縁電線の外側に、PVC混和物を押出成形して、細径絶縁電線に対して層厚2mm、また太径絶縁電線に対して層厚1.5mmの最外被覆層(シース)を形成した。こうして、外径が6.8mm(細径)又は12.7mm(太径)の、2層被覆層を有するアルミニウム導体ケーブルをそれぞれ製造した。
3.最内被覆層及び最外被覆層の特性評価
得られた各アルミニウム導体電線の最内被覆層について、(A1)引張弾性率、(A2)引張破断応力、(A3)[引張弾性率/引張破断応力]、(A4)50%伸張時のひずみ引張応力(表3及び表5において「ひずみ引張応力」と表記する。)を、上記測定方法により、測定した。その結果を表3及び表5に示す。
また、各アルミニウム導体ケーブルの最外被覆層について、(B1)50%伸張時のひずみ引張応力(表3及び表5において「ひずみ引張応力」と表記する。)及び(B2)引張破断強度、上記測定方法により、測定した。その結果を表3及び表5に示す。
4.製造したアルミニウム導体電線及びアルミニウム導体ケーブルについて下記評価をし、その結果を表3及び表5に示した。
<アルミニウム導体電線のカッティング性試験>
アルミニウム導体電線のカッティング性を、下記各試験により、評価した。
− 1.ヒゲ発生の有無確認試験 −
各実施例及び比較例で製造した細径のアルミニウム導体電線をワイヤーストリッパーで加工し、ヒゲ発生の有無を確認した。ストリッパーの穴径は0.8mmのものを使用し、被覆層の皮むき(剥離)長は15mmとした。この加工を各アルミニウム導体電線に対して4回試験を行った。
評価は、4回の試験全てにおいてカット部に発生したヒゲの長さが4mm以下であった場合を「A」、4回の試験全てにおいてカット部に発生したヒゲの長さが4mmを越え8mm以下であった場合を「B」、1回でもカット部に発生したヒゲの長さが8mmを越えた場合を「C」とした。本試験において、評価ランク「A」及び「B」が合格である。
− 2.導体の損傷(切断)の有無確認試験 −
各実施例及び比較例で製造した太径のアルミニウム導体電線の最内被覆層を長さ50mmにわたって、電工ナイフ(商品名:電工ナイフ DK−660B、デンサン社製)を用いて、口剥き加工した際に、38SQアルミニウム撚り線について損傷の有無を確認した。各アルミニウム導体電線につき、この口剥き加工を5回行い、以下の基準で判断した。
評価は、5回の口剥き加工全てにおいて、アルミニウム撚り線が損傷していなかった場合を「A」とし、5回の口剥き加工のうち1回でもアルミニウム撚り線に損傷を確認できた場合、又は、上記電工ナイフで口剥き加工できなかった場合を「C」とした。
<アルミニウム導体電線の柔軟性試験>
各実施例及び比較例で製造した太径のアルミニウム導体電線をU字状に、4D(Dはアルミニウム導体電線の半径を示す。)に曲げた際(U字状曲部の内径はアルミニウム導体電線の半径の4倍)に、曲げるのに必要な力をテンシロンで測定した。
本発明において、本試験は参考試験であり、曲げるのに必要な力が35N以下である場合を「○」として柔軟性に優れると判断し、一方、35Nを超える場合を「×」として柔軟性に劣ると判断する。
<アルミニウム導体ケーブルの柔軟性試験>
各実施例及び比較例で製造した太径のアルミニウム導体ケーブルをU字に、4D(Dはアルミニウム導体ケーブルの半径を示す。)に曲げた際(U字状曲部の直径はアルミニウム導体ケーブルの半径の4倍)に、曲げるのに必要な力をテンシロンで測定した。
本発明において、本試験は参考試験であり、曲げるのに必要な力が65N以下である場合(柔軟性に優れる)を「○」、65Nを超える場合(柔軟性に劣る)を「×」とした。
<アルミニウム導体ケーブルの加熱巻き付け試験>
アルミニウム導体ケーブルの耐熱性を、下記の加熱巻き付け試験により評価した。
具体的には、各実施例及び比較例で製造した細径のアルミニウム導体ケーブルを自己径(直径)と同一の外径を有するマンドレルに6ターン巻き付けて試験サンプルを作製した。この試験サンプルを120℃の恒温槽に24時間放置した。放置後、試験サンプルを常温に戻し、試験サンプルからアルミニウム導体ケーブルを解いて、その表面を確認した。
評価は、アルミニウム導体ケーブルが全体にわたって溶融していなかった場合を「○」、被覆層が溶融してアルミニウム導体が露出していた場合を「×」とした。本発明において、本試験は参考試験である。評価ランクが「○」であると耐熱性が高く、銅導体を用いたこと以外は同様にして製造したケーブルが示す耐熱性と同等以上の耐熱性を示す。
<アルミニウム導体ケーブルの耐傷付性試験>
アルミニウム導体ケーブルの耐傷付性を、下記試験により評価した。
具体的には、各実施例及び比較例で製造した細径のアルミニウム導体ケーブルを用いて、JASO(日本自動車技術会規格) D 618 に準じて、上記ケーブルに7Nの荷重を加え、直径0.45mmのニードルを500往復させた。
この試験後に、ケーブル表面に生じた摩耗の深さが0.5mm未満である場合を「○」、0.5mmを超える場合を「×」とした。本試験は参考試験である。
<アルミニウム導体ケーブルの電気特性試験>
アルミニウム導体ケーブルの電気特性を、絶縁抵抗を測定することにより評価した。
具体的には、各実施例及び比較例で製造した細径のアルミニウム導体ケーブルを用いて、JIS C 3005に記載の方法に準拠して、アルミニウム導体ケーブルの絶縁抵抗を測定した。測定条件は、20℃の水中とし、試験上長は5mとした。
評価は、1000MΩ・km以上である場合を「○」、1000MΩ・km未満である場合を「×」とした。本発明において、本試験は参考試験である。評価ランクが「○」であると電気特性に優れるといえる。
Figure 2019179629
Figure 2019179629
Figure 2019179629
Figure 2019179629
表2〜表5の結果から、以下のことが分かる。
比較例のアルミニウム導体電線及びアルミニウム導体ケーブルは、いずれも、最内被覆層が、本発明で規定する、(A1)引張弾性率、(A2)引張破断応力及び(A3)比[引張弾性率/引張破断応力]のいずれかを満たさないので、最内被覆層を形成する樹脂がシラン架橋樹脂であっても非架橋樹脂であっても、口剥き加工において、アルミニウム導体の損傷及び/又はヒゲの残存を抑えて、被覆層を除去することができない。
これに対して、実施例のアルミニウム導体電線及びアルミニウム導体ケーブルは、いずれも、最内被覆層が本発明で規定する特性(A1)〜(A3)を満たすので、最内被覆層を形成する樹脂がシラン架橋樹脂であっても非架橋樹脂であっても、口剥き加工において、アルミニウム導体の損傷及びヒゲの残存を抑えて、被覆層を除去することができる。この優れた口剥き加工性は、上記特性を満たす最内被覆層を備えていればその外周に最外被覆層を備えていても維持できる。また、最内被覆層が10MPa以下の50%伸張時のひずみ引張応力(A4)を示すと、上記作用効果に加えて高い柔軟性を示す。更に、最外被覆層がポリ塩化ビニルで形成され、かつ本発明で規定される好ましい特性(B1)及び(B2)を満たすと、優れた口剥き加工性を維持しつつも、高い耐傷付性と優れた柔軟性とを両立することができる。特に、シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる最内被覆層を有する電線及びケーブルは高い耐熱性を示す。

Claims (6)

  1. アルミニウム導体の外周に少なくとも1層の絶縁被覆層を有する配線材であって、
    前記絶縁被覆層のうち前記アルミニウム導体の外周に直接設けられた最内絶縁被覆層が、下記特性(A1)〜(A3)を満たす、配線材。
    (A1)引張弾性率:140MPa以下
    (A2)引張破断応力:5〜40MPa
    (A3)引張破断応力に対する引張弾性率の比[引張弾性率/引張破断応力]:1〜8
  2. 前記最内絶縁被覆層が、下記特性(A4)を満たす、請求項1に記載の配線材。
    (A4)50%伸張時のひずみ引張応力:10MPa以下
  3. 前記絶縁被覆層が2層以上であって、その最外絶縁被覆層がポリ塩化ビニルの絶縁被覆層である請求項1又は2に記載の配線材。
  4. 前記最外絶縁被覆層が、下記特性(B1)及び(B2)を満たす請求項3に記載の配線材。
    (B1)50%伸張時のひずみ引張応力:12MPa以下
    (B2)引張破断強度:10MPa以上
  5. 前記アルミニウム導体を構成するアルミニウム素線の外径が3.5mm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線材。
  6. 前記最内絶縁被覆層が、下記シラン架橋性組成物のシラノール縮合硬化物からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の配線材。
    <シラン架橋性組成物>
    ポリオレフィン樹脂、エチレンゴム、スチレンエラストマーのいずれかを含むベース樹脂100質量部と、無機フィラー10〜400質量部と、前記ベース樹脂にグラフト化結合したシランカップリング剤1〜15質量部とを含有し、更にシラノール縮合触媒を含有するシラン架橋性組成物
JP2018067183A 2018-03-30 2018-03-30 配線材 Active JP7157541B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018067183A JP7157541B2 (ja) 2018-03-30 2018-03-30 配線材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018067183A JP7157541B2 (ja) 2018-03-30 2018-03-30 配線材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019179629A true JP2019179629A (ja) 2019-10-17
JP7157541B2 JP7157541B2 (ja) 2022-10-20

Family

ID=68278768

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018067183A Active JP7157541B2 (ja) 2018-03-30 2018-03-30 配線材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7157541B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010257952A (ja) * 2009-03-31 2010-11-11 Jsr Corp 電線被覆用放射線硬化性樹脂組成物
WO2012169298A1 (ja) * 2011-06-08 2012-12-13 リケンテクノス株式会社 電線成形体の製造方法
JP2015086384A (ja) * 2013-09-27 2015-05-07 古河電気工業株式会社 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、シランマスターバッチ、並びに耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品
JP2016020450A (ja) * 2014-07-15 2016-02-04 日立金属株式会社 非ハロゲン難燃性熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法、並びに電線及びケーブル
JP2018014247A (ja) * 2016-07-21 2018-01-25 住友電気工業株式会社 絶縁電線及び塩化ビニル樹脂組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010257952A (ja) * 2009-03-31 2010-11-11 Jsr Corp 電線被覆用放射線硬化性樹脂組成物
WO2012169298A1 (ja) * 2011-06-08 2012-12-13 リケンテクノス株式会社 電線成形体の製造方法
JP2015086384A (ja) * 2013-09-27 2015-05-07 古河電気工業株式会社 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、シランマスターバッチ、並びに耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品
JP2016020450A (ja) * 2014-07-15 2016-02-04 日立金属株式会社 非ハロゲン難燃性熱可塑性エラストマー組成物及びその製造方法、並びに電線及びケーブル
JP2018014247A (ja) * 2016-07-21 2018-01-25 住友電気工業株式会社 絶縁電線及び塩化ビニル樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP7157541B2 (ja) 2022-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6623260B2 (ja) 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、シランマスターバッチ、並びに耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品
JP6523407B2 (ja) 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、シランマスターバッチ、並びに耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品
US11242453B2 (en) Heat-resistant chlorine-containing crosslinked resin formed body and method for producing the same, silane master batch, master batch mixture and formed body thereof, and heat-resistant product
JP6391580B2 (ja) 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、シランマスターバッチ、並びに耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品
US11192984B2 (en) Heat-resistant crosslinked fluorocarbon rubber formed body and method for producing the same, silane master batch, master batch mixture and formed body thereof, and heat-resistant product
JP6265876B2 (ja) 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、シランマスターバッチ、並びに耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品
JP6452610B2 (ja) 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、耐熱性シラン架橋性樹脂組成物及びその製造方法、シランマスターバッチ、並びに耐熱性シラン架橋樹脂成形体を用いた耐熱性製品
JP6706855B2 (ja) 耐熱性塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法、並びに、耐熱性製品
JP6219307B2 (ja) 耐熱性シラン架橋性樹脂組成物を用いた成形体の製造方法
JP6706858B2 (ja) 耐熱性塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、耐熱性製品
JP7157539B2 (ja) 配線材
JP2017141386A (ja) 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、並びに、シランマスターバッチ及び耐熱性製品
JP7426876B2 (ja) 架橋フッ素ゴム組成物、並びに、これを用いた配線材及びその製造方法
JP5535136B2 (ja) ノンハロゲン系難燃性多層絶縁電線
JP6639937B2 (ja) 耐熱性シラン架橋熱可塑性エラストマー成形体の製造方法、シランマスターバッチ、並びに、耐熱性製品
JP7157541B2 (ja) 配線材
JP7019623B2 (ja) キャブタイヤケーブル、キャブタイヤケーブル用絶縁電線及びこれらの製造方法
JP7157540B2 (ja) 配線材
JP2004352763A (ja) キャブタイヤコード
JP6567589B2 (ja) 塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法、シランマスターバッチ、マスターバッチ混合物及びその成形体、並びに、成形品
JP6928627B2 (ja) 絶縁電線、キャブタイヤケーブル、及びこれらの製造方法
JP7028821B2 (ja) 難燃性樹脂組成物、及びそれを用いた配線材
JP7007978B2 (ja) キャブタイヤケーブル及びその製造方法
JP6523012B2 (ja) 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及び耐熱性シラン架橋性樹脂組成物とそれらの製造方法、シランマスターバッチ、並びに、耐熱性製品
JP6895920B2 (ja) 耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法、シラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物、耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体、耐熱性製品、電線及び光ファイバケーブル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211101

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220315

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220913

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221007

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7157541

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151