JP2017141386A - 耐熱性シラン架橋樹脂成形体及びその製造方法、並びに、シランマスターバッチ及び耐熱性製品 - Google Patents
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Abstract
Description
一般に塩素化ポリエチレンの架橋には、過酸化物架橋が用いられる。過酸化物架橋とは、一般に、有機過酸化物を配合した組成物の成形体を、加圧下で有機過酸化物の分解温度以上に保持し、有機過酸化物が分解することにより発生するラジカルによって目的のポリマーをラジカル化させ、架橋を形成させるという架橋方法である。
すなわち、塩素化ポリエチレンに不飽和有機シラン化合物をグラフト反応させるためには、塩素化ポリエチレンと遊離ラジカル発生剤と不飽和有機シラン化合物とを、遊離ラジカル発生剤の分解温度以上で、混練する必要がある。しかし、混練中においては、不飽和有機シラン化合物が塩素化ポリエチレンにグラフト反応せずに、塩素化ポリエチレン同士の架橋反応が進行しやすい。そのため、この塩素化ポリエチレン組成物を成形して得られる成形体は、ブツが生じやすく、外観不良が発生するという問題があった。
また、反応生成物を、不飽和有機シラン化合物のシラノール縮合反応による、最終的な架橋反応を進行させるために、高温の水蒸気に晒すと、架橋反応が十分に進行する前に、反応生成物同士の接触面が融着してしまうといった問題があった。例えば、導体を上記反応生成物で被覆したケーブルを、ボビンに巻き取った状態におくと、接しているケーブルの被覆(反応生成物)同士が融着してしまう。
また、本発明は、この耐熱性シラン架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチを提供することを課題とする。
さらに、本発明は、耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法で得られた耐熱性シラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品を提供することを、課題とする。
<1>塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとを含有するベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー1〜400質量部と、シランカップリング剤2〜15質量部とを、前記有機過酸化物の分解温度以上で溶融混練し、シランマスターバッチを調製する工程(a)と、
前記工程(a)で得られたシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを混合した後に成形する工程(b)と、
前記工程(b)で得られた成形体を水分と接触させて架橋させる工程(c)と、
を有し、
かつ、前記熱可塑性エラストマーが、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びイミド結合のいずれか1種以上の結合を主鎖に有する、
耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<2>前記工程(b)が、
(b−1)シラノール縮合触媒とキャリア樹脂とを混合し、触媒マスターバッチを得る工程と、
(b−2)得られた触媒マスターバッチと前記シランマスターバッチとを混合した後に、成形する工程と
を有する<1>に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<3>前記塩素化ポリエチレンと前記熱可塑性エラストマーの割合が、質量比(塩素化ポリエチレン/熱可塑性エラストマー)で、45/55〜95/5である<1>又は<2>に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<4>前記熱可塑性エラストマーの溶融温度が250℃以下である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<5>前記熱可塑性エラストマーが、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、及びポリアミドエラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<6>前記熱可塑性エラストマーが、ポリエステルエラストマーである<1>〜<5>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<7>前記無機フィラーが、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、シリカ及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する<1>〜<6>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<8>前記無機フィラーが、シリカを含有する<1>〜<7>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<9>前記有機過酸化物の含有量が、ベース樹脂100質量部に対して、0.005〜0.1質量部である<1>〜<8>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<10>前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランのいずれかを少なくとも含む<1>〜<9>のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
<11>上記<1>〜<10>のいずれか1項に記載の製造方法により成形された耐熱性シラン架橋樹脂成形体。
<12>上記<11>に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品。
<13>前記耐熱性シラン架橋樹脂成形体が、電線あるいは光ファイバーケーブルの被覆である<12>に記載の耐熱性製品。
<14>塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとを含有するベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー1〜400質量部と、シランカップリング剤2〜15質量部と、シラノール縮合触媒とを混合してなるマスターバッチ混合物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
前記ベース樹脂の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を、前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混練して得られるシランマスターバッチ。
したがって、本発明により、最終的な架橋反応が十分進行していない段階で成形体同士が接触しても互いに融着しにくく、しかも外観にも優れた耐熱性シラン架橋樹脂成形体を製造可能な耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法、及び、それにより製造される耐熱性シラン架橋樹脂成形体を提供できる。また、この耐熱性シラン架橋樹脂成形体を形成可能な、シランマスターバッチ及び上記耐熱性シラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品を提供できる。
<ベース樹脂>
本発明に用いられるベース樹脂は、塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとを含有する。
塩素化ポリエチレンの密度は塩素含有量が高くなるにつれて大きくなる傾向があるが、概ね1.1〜1.25g/cm3であり、密度が1.15〜1.25g/cm3のものを用いることが好ましい。また、塩素化ポリエチレンの分子量は、塩素化前のポリエチレン又はエチレン−αオレフィン共重合体の分子量及び塩素含有量によって一義的に決定されず、使用する用途に応じて適宜に選択される。
また、塩素化ポリエチレンは、メルトフローレイト(JIS K 7210に準拠して、180℃、21.6kgの荷重条件で測定)が、0.1〜150g/10minのものを好ましく使用できるが、特に1〜20g/10minのものを用いることが外観並びに加工性の面からより好ましい。
塩素化ポリエチレンは、結晶性を有するものと有さない非晶質のものがあり、本発明においてはどちらを用いることも可能である。柔軟性や外観の観点からは、非晶質のものが好ましい。なお、非晶質であるとは、示差走査熱量測定(DSC)により測定される結晶融解に伴う発熱が5J/g以下であるものをいう。このような非晶質な塩素化ポリエチレンは、例えば、低密度ポリエチレンの粉末を水懸濁液中で塩素化することによって得られる。
また、塩素化ポリエチレンは、1種を用いることもできるし、2種以上を用いることもできる。
塩素化ポリエチレンの含有量は、ベース樹脂100質量%中、15〜95質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましく、30〜90質量%がさらに好ましく、45〜90質量%が特に好ましい。
エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びイミド結合のいずれか1種以上の結合を主鎖に有する熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、それぞれ、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー及びポリイミドエラストマー等が挙げられる。
また、熱可塑性エラストマーとしては、主鎖に、上記結合を2種以上有していてもよく、上記結合と併せてエーテル結合及び/又はカーボネート結合を有していてもよい。このような熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエーテルを主鎖中のソフトセグメントに有するポリエステルエラストマー、ポリエステルを主鎖中のソフトセグメントに有するポリウレタンエラストマー、ポリエステルを主鎖中のソフトセグメントに有するポリアミドエラストマー、ポリイミドウレタンエラストマー、ポリイミドエステルエラストマー等が挙げられる。
塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーの含有量の割合は、質量比(塩素化ポリエチレン/熱可塑性エラストマー)で、45/55〜95/5が好ましく、55/45〜90/10がより好ましい。塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーの含有量の割合が45/55〜95/5の範囲内であると、塩素化ポリエチレンに対するシランカップリング剤のグラフト反応及びシランカップリング剤の架橋反応(縮合反応)が適度に起こり、成形体が優れた耐熱性を発揮するとともに、タック性の発現を抑えることができる。
上記の任意の樹脂の含有率は、特に限定されないが、ベース樹脂100質量%中、0〜60質量%であることが好ましく、0〜40質量%であることがより好ましい。任意の樹脂の含有率が0〜60質量%であると、塩素化ポリエチレンに対するシランカップリング剤のグラフト反応及びシランカップリング剤の架橋反応(縮合反応)により、耐熱性及び耐油性等の所望の特性を十分に得ることができる。
有機油として、大豆油、エポキシ化大豆油が挙げられ、鉱物油として、パラフィンオイル、ナフテンオイルが挙げられる。
オイルの含有率は、特に限定されないが、ベース樹脂がオイルを含有する場合、ベース樹脂100質量%中、0〜30質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましい。オイルの含有率が上記範囲にあると、オイルのブリードを防止でき、高い強度又は優れたタック性が得られる。
可塑剤の含有率は、特に限定されないが、樹脂が可塑剤を含有する場合、ベース樹脂100質量%中、0〜30質量%であることが好ましく、0〜20質量%であることがより好ましい。可塑剤の含有率が上記範囲にあると、可塑剤のブリードを防止でき、高い強度又は優れたタック性が得られる。
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、シランカップリング剤のベース樹脂へのラジカル反応によるグラフト反応を生起させる働きをする。特にシランカップリング剤の反応部位が例えばエチレン性不飽和基を含む場合、エチレン性不飽和基とベース樹脂成分とのラジカル反応(ベース樹脂成分からの水素ラジカルの引き抜き反応を含む)によるグラフト反応を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば、特に制限はなく、例えば、一般式:R1−OO−R2、R3−OO−C(=O)R4、R5C(=O)−OO(C=O)R6で表される化合物が好ましい。ここで、R1〜R6は各々独立にアルキル基、アリール基又はアシル基を表す。各化合物のR1〜R6のうち、いずれもアルキル基であるもの、又は、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
本発明において、無機フィラーは、その表面に、シランカップリング剤のシラノール基等の反応部位と水素結合若しくは共有結合等、又は分子間結合により、化学結合しうる部位を有するもの、であれば特に制限なく用いることができる。この無機フィラーにおける、シランカップリング剤の反応部位と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水若しくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明に用いられるシランカップリング剤は、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下でベース樹脂にグラフト反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)と、無機フィラーの化学結合しうる部位と反応し、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解して生成する部位を含む。例えばシリルエステル基等)とを、少なくとも有するものであればよい。このようなシランカップリング剤として、従来、シラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。
上記シランカップリング剤のなかでも、末端にビニル基とアルコキシ基を有するシランカップリング剤がさらに好ましく、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シラノール縮合触媒は、ベース樹脂にグラフトしたシランカップリング剤を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、ベース樹脂同士が架橋される。その結果、優れた耐熱性を有する耐熱性シラン架橋樹脂成形体が得られる。
シラノール縮合触媒は、所望により樹脂に混合されて、用いられる。このような樹脂(キャリア樹脂ともいう)としては、特に限定されないが、ベース樹脂で説明した各樹脂成分又はゴム成分を用いることができる。キャリア樹脂は、シランマスターバッチとの相溶性の兼ね合いで、シランマスターバッチに使用されている樹脂成分の1種類又は2種類以上の樹脂成分を含有していることが好ましい。
耐熱性シラン架橋樹脂成形体等は、電線、電気ケーブル、電気コード、シート、発泡体、チューブ、パイプにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。このような添加剤として、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、又は、充填剤(難燃(助)剤を含む。)等が挙げられる。
本発明の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法は、下記工程(a)〜工程(c)を行う。
また、本発明のシランマスターバッチは下記工程(a)により製造され、本発明のマスターバッチ混合物は下記工程(a)及び工程(b)により製造される。
工程(b):工程(a)で得られたシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを混合した後に成形する工程
工程(c):工程(b)で得られた成形体を水分と接触させて架橋させる工程
ここで、混合するとは、均一な混合物を得ることをいう。
上記観点により、このシランカップリング剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して、3〜12.0質量部が好ましく、4〜12.0質量部がより好ましい。
工程(a−1):少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a−2):工程(a−1)で得られた混合物と、ベース樹脂の全部又は一部とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合する工程
本発明において、「ベース樹脂の一部」とは、ベース樹脂のうち工程(a−2)で使用する樹脂であって、ベース樹脂そのものの一部(ベース樹脂と同一組成を有する)、ベース樹脂を構成する成分の一部、ベース樹脂を構成する一部の成分(例えば、複数の樹脂成分のうちの特定の樹脂成分全量)をいう。
また、「ベース樹脂の残部」とは、ベース樹脂のうち工程(a−2)で使用する一部を除いた残りの樹脂であって、具体的には、ベース樹脂そのものの残部、ベース樹脂を構成する成分の残部、ベース樹脂を構成する残りの成分をいう。
工程(a−2)でベース樹脂の一部を配合する場合、工程(a)及び工程(b)におけるベース樹脂の配合量100質量部は、工程(a−2)及び工程(b)で混合されるベース樹脂の合計量である。
ここで、工程(b)でベース樹脂の残部が配合される場合、ベース樹脂は、工程(a−2)において、好ましくは80〜99質量%、より好ましくは85〜95質量%が配合され、工程(b)において、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%が配合される。
無機フィラーとシランカップリング剤を混合する方法としては、特に限定されないが、湿式処理、乾式処理等の混合方法が挙げられる。具体的には、アルコールや水等の溶媒に無機フィラーを分散させた状態でシランカップリング剤を加える湿式処理、無処理の無機フィラー中に、又は予めステアリン酸やオレイン酸、リン酸エステル若しくは一部をシランカップリング剤で表面処理した無機フィラー中に、シランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加え混合する乾式処理、及び、その両方が挙げられる。本発明においては、無機フィラー、好ましくは乾燥させた無機フィラー中にシランカップリング剤を、加熱又は非加熱で加え混合する乾式処理が好ましい。
このようにして前混合されたシランカップリング剤は、無機フィラーの表面を取り囲むように存在し、その一部又は全部が無機フィラーに吸着又は結合する。これにより、後の溶融混合の際にシランカップリング剤の揮発を低減できる。また、無機フィラーに吸着又は結合しないシランカップリング剤が縮合して溶融混練が困難になることも防止できる。さらに、押出成形の際に所望の形状を得ることもできる。
この混合方法においては、上記分解温度未満の温度が保持されている限り、ベース樹脂が存在していてもよい。この場合、ベース樹脂とともに金属酸化物及びシランカップリング剤を上記温度で混合(工程(a−1))した後に溶融混合することが好ましい。
また、有機過酸化物は、他の成分と混合させたものでもよいし、単体でもよい。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混合装置は、例えば無機フィラーの配合量に応じて適宜に選択される。混練装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。ベース樹脂成分の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーが好ましい。
また、通常、このような無機フィラーがベース樹脂100質量部に対して100質量部を超える量で混合される場合、連続混練機、加圧式ニーダー、バンバリーミキサー等の密閉型ミキサーで混練りするのがよい。
ベース樹脂の混合方法は、特に限定されない。例えば、予め混合調製されたベース樹脂を用いてもよく、各成分、例えば塩素化ポリエチレン等の樹脂成分、オイル成分、可塑剤それぞれを別々に混合してもよい。
工程(a)において、上記添加剤、特に酸化防止剤や金属不活性剤は、いずれの工程で又は成分に混合されてもよいが、無機フィラーに混合されたシランカップリング剤のベース樹脂へのグラフト反応を阻害しない点で、キャリア樹脂に混合されるのがよい。
工程(a)、特に工程(a−2)において、架橋助剤は実質的に混合されないことが好ましい。架橋助剤が実質的に混合されないと、溶融混合中に有機過酸化物によりベース樹脂成分同士の架橋反応が生じにくく、外観が優れたものになる。また、シランカップリング剤のベース樹脂へのグラフト反応が生じにくく、耐熱性が優れたものになる。ここで、実質的に混合されないとは、不可避的に存在する架橋助剤をも排除するものではなく、上述の問題が生じない程度に存在していてもよいことを意味する。
本発明において、工程(b)は、下記工程(b−1)及び(b−2)を有することが好ましい。
工程(b−1):シラノール縮合触媒とキャリア樹脂とを混合し、触媒マスターバッチを得る工程
工程(b−2):工程(b−1)で得られた触媒マスターバッチと、シランマスターバッチとを混合した後に、成形する工程
特に、上記工程(a−2)でベース樹脂の一部を溶融混合した場合、キャリア樹脂としてベース樹脂の残部とシラノール縮合触媒とを溶融混合し、触媒マスターバッチ(触媒MBともいう)を調製して、この触媒MBを用いることが好ましい(工程(b−1))。なお、ベース樹脂の残部に加えて他の樹脂を用いることもできる。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、樹脂の溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(a−2)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、80〜250℃、より好ましくは100〜240℃で行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
このようにして調製される触媒MBは、シラノール縮合触媒及びキャリア樹脂、所望により添加されるフィラーの混合物である。
他の樹脂の配合量は、工程(a−2)においてグラフト反応を促進させることができるうえ、成形中にブツが生じにくい点で、ベース樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは2〜40質量部である。
混合方法は、上述のように均一な混合物を得ることができれば、どのような混合方法でもよい。例えば、混合は、工程(a−2)の溶融混合と基本的に同様である。DSC等で融点が測定できない樹脂成分、例えばエラストマーもあるが、少なくとも樹脂が溶融する温度で混練する。溶融温度は、樹脂又はキャリア樹脂の溶融温度に応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜240℃である。その他の条件、例えば混合(混練)時間は適宜設定することができる。
工程(b)においては、シラノール縮合反応を避けるため、シランMBとシラノール縮合触媒が混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。
この成形工程は、混合物を成形できればよく、本発明の耐熱性製品の形態に応じて、適宜に成形方法及び成形条件が選択される。成形方法は、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた押出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。押出成形は、本発明の耐熱性製品が電線又は光ファイバーケーブルである場合に、好ましい。
このようにして、シランマスターバッチとシラノール縮合触媒とをドライブレンドしてマスターバッチ混合物を調製し、マスターバッチ混合物を成型機に導入して成形した、耐熱性架橋性樹脂組成物の成形体が得られる。
上記のように、シラン架橋性樹脂は、シランカップリング剤がシラノール縮合していない未架橋体である。実際的には、工程(b)で溶融混合されると、一部架橋(部分架橋)は避けられないが、得られる耐熱性架橋性樹脂組成物について、少なくとも成形時の成形性が保持されたものとする。
工程(b)により得られる成形体は、上記混合物と同様に、一部架橋は避けられないが、工程(b)で成形可能な成形性を保持する部分架橋状態にある。したがって、この発明の耐熱性シラン架橋樹脂成形体は、工程(c)を実施することによって、架橋又は最終架橋された成形体とされる。
この工程(c)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合は、常温で保管するだけで進行する。
また、最終的なシラノール縮合反応による架橋反応が十分進行していない段階においても成形体(耐熱性架橋性樹脂組成物の成形体)が互いに融着しないため、この成形体の架橋(工程(c))を工程(b)の後、速やかに行わなくてもよく、また、この成形体を架橋させることなく密着した状態におくこともできる。
したがって、工程(c)において、成形体を水に積極的に接触させる必要はない。この架橋反応を促進させるために、成形体を水分と接触させることもできる。例えば、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水に接触させる方法を採用できる。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
下記工程(A)、工程(B)及び工程(C)を有する耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法であって、工程(A)が下記工程(A1)〜工程(A4)を有する耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
工程(A):塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとを含有するベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー1〜400質量部と、シランカップリング剤2〜15質量部以下と、シラノール縮合触媒とを混合して混合物を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた混合物を成形して成形体を得る工程
工程(C):工程(B)で得られた成形体を水と接触させて耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得る工程
工程(A1):少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合する工程
工程(A2):工程(A1)で得られた混合物とベース樹脂の全部又は一部を有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合する工程
工程(A3):シラノール縮合触媒と、キャリア樹脂として、塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂と異なる樹脂、又は、塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂の残部とを混合する工程
工程(A4):工程(A2)で得られた溶融混合物と、工程(A3)で得られた混合物とを混合する工程
上記方法において、工程(A)は、上記工程(a)及び工程(b)の混合までに対応し、工程(B)は上記工程(b)の成形工程に対応し、工程(C)は上記工程(c)に対応する。また、工程(A1)は上記工程(a−1)に、工程(A2)は上記工程(a−2)に、工程(A3)及び工程(A4)は上記工程(b)の混合までに、それぞれ、対応する。
一般に、樹脂(塩素化ポリエチレン)に対して有機過酸化物を加えると急激にラジカルが発生し、樹脂同士の架橋反応や分解反応が生じやすくなる。これにより、得られる耐熱性シラン架橋樹脂成形体には、ブツが発生し、物性が低下する。
しかし、本発明においては、工程(a)において、シランカップリング剤を多く配合し、さらにそのシランカップリング剤を無機フィラーとシラノール結合や水素結合、分子間結合によって予め結合させる。これにより、シランカップリング剤の反応部位と含ハロゲン系樹脂の反応機会が増やされているものと考えられる。この保持されたシランカップリング剤とベース樹脂に生じるラジカルの結合反応が、上記ベース樹脂同士の架橋反応や分解反応よりも、優勢になると考えられる。しかも、本発明の製造方法においては、塩素化ポリエチレンに対して熱可塑性エラストマーを併用(共存)させる。そうすると、さらにベース樹脂同士の架橋反応を抑制することができる。これは、熱可塑性エラストマーと混合されることにより塩素化ポリエチレン分子同士の分子鎖間の距離が離れ、接触確率が低下することによるものと推定される。その結果、シランカップリング剤の塩素化ポリエチレンへのグラフト反応がより高い確率で生じ、すなわち架橋度が高まり、耐熱性が向上すると推測される。
本発明においては、上記の各作用が互いに相まって、塩素化ポリエチレン等に対するシラン架橋(グラフト反応)が可能となり、しかも本反応中(工程(a))において、ベース樹脂の劣化やベース樹脂同士の架橋が生じないため、ブツの発生や物性の低下が生じにくいものと考えられる。
工程(a)において、これらが混練り(溶融混合)される際に、無機フィラーと弱い結合(水素結合による相互作用、イオン、部分電荷若しくは双極子間での相互作用、吸着による作用等)で結合又は吸着したシランカップリング剤は、無機フィラーから脱離し、結果的にベース樹脂にグラフト反応する。このようにしてグラフト反応したシランカップリング剤は、その後、シラノール縮合可能な反応部位が縮合反応(架橋反応)して、シラノール縮合を介して架橋した樹脂を形成する。この架橋反応により得られた耐熱性シラン架橋樹脂成形体の耐熱性は高くなり、高温でも溶融しない耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得ることが可能となる。
一方、無機フィラーと強い結合(無機フィラー表面の水酸基等との化学結合等)で結合したシランカップリング剤は、このシラノール縮合触媒による水存在下での縮合反応が生じにくく、無機フィラーとの結合が保持される。そのため、シランカップリング剤を介したベース樹脂と無機フィラーの結合(架橋)が生じる。これによりベース樹脂と無機フィラーの密着性が強固になり、機械強さ、耐摩耗性が良好で、傷つきにくい成形体が得られる。特に、1つの無機フィラー粒子表面に複数のシランカップリング剤を複数結合でき、高い機械強さを得ることができる。
これらのシラングラフト樹脂を、シラノール縮合触媒とともに成形し、次いで水分と接触させることで、高い耐熱性を有する耐熱性シラン架橋樹脂成形体を得ることが可能となると推定される。
本発明の耐熱性製品として、例えば、耐熱性難燃絶縁電線等の電線、耐熱難燃ケーブル又は光ファイバーケーブルの被覆材料、ゴム代替電線・ケーブルの材料、その他、耐熱難燃電線部品、難燃耐熱シート、難燃耐熱フィルム等が挙げられる。また、電源プラグ、コネクター、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、パッキン、クッション材、防震材、電気・電子機器の内部配線及び外部配線に使用される配線材、特に電線や光ファイバーケーブルが挙げられる。
本発明の耐熱性製品が電線又は光ファイバーケーブル等の押出成形品である場合、好ましくは、成形材料を押出機(押出被覆装置)内で溶融混練して耐熱性架橋性樹脂組成物を調製しながら、この耐熱性架橋性樹脂組成物を導体等の外周に押し出して、導体等を被覆する等により、製造できる。このような耐熱性製品は、無機フィラーを大量に加えても耐熱性架橋性樹脂組成物を電子線架橋機等の特殊な機械を使用することなく汎用の押出被覆装置を用いて、導体の周囲に、又は抗張力繊維を縦添え若しくは撚り合わせた導体の周囲に押出被覆することにより、成形することができる。例えば、導体としては軟銅の単線又は撚り線等を用いることができる。また、導体としては裸線の他に、錫メッキしたものやエナメル被覆絶縁層を有するものを用いることもできる。導体の周りに形成される絶縁層(本発明の耐熱性シラン架橋樹脂成形体からなる被覆層)の肉厚は特に限定しないが、通常、0.15〜5mm程度である。
表1〜3において、各例の配合量に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
<ベース樹脂>
「エラスレン301A」(商品名、昭和電工社製、塩素化ポリエチレン、塩素含有量30質量%)
「エラスレン401A」(商品名、昭和電工社製、塩素化ポリエチレン、塩素含有量40質量%)
「エラスレン402NA」(商品名、昭和電工社製、塩素化ポリエチレン、塩素含有量40質量%)
「エラスレン402B」(商品名、昭和電工社製、塩素化ポリエチレン、塩素含有量40質量%)
「ハイトレル2401」(商品名、東レ・デュポン社製、ポリエステルエラストマー、ハードセグメント:ポリエステル、ソフトセグメント:ポリエーテル、融点:163℃)
「ハイトレル2551」(商品名、東レ・デュポン社製、ポリエステルエラストマー、ハードセグメント:ポリエステル、ソフトセグメント:ポリエーテル、融点:164℃)
「ハイトレル4047」(商品名、東レ・デュポン社製、ポリエステルエラストマー、ハードセグメント:ポリエステル、ソフトセグメント:ポリエーテル、融点:182℃)
「ペルプレンP40H」(商品名、東洋紡社製、ポリエステルエラストマー、ハードセグメント:ポリエステル、ソフトセグメント:ポリエーテル、融点172℃)
「レザミンP−2288」(商品名、大日精化工業社製、ポリウレタンエラストマー、ハードセグメント:ポリウレタン、ソフトセグメント:ポリエーテル、流動開始温度:170℃)
「ペバックス4033」(商品名、アルケマ社製、ポリアミドエラストマー、ハードセグメント:ポリアミド、ソフトセグメント:ポリエーテル、融点:160℃)
(オイル)
「アデカスタブO130P」(商品名、ADEKA社製、エポキシ化大豆油)
「DHT−4A」(商品名、協和化学工業社製、ハイドロタルサイト)
「ソフトン1200」(商品名、備北粉化工業社製、炭酸カルシウム)
「マグシーズFK621」(商品名、神島化学社製、水酸化マグネシウム)
「ハイジライトH42S」(商品名、昭和電工社製、水酸化アルミニウム)
「アエロジル200V」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ)
「アエロジル90G」(商品名、日本アエロジル社製、親水性フュームドシリカ)
「クリスタライト5X」(商品名、龍森社製、結晶性シリカ)
「KBM−1003」(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)
「KBE−1003」(商品名、信越化学工業社製、ビニルトリエトキシシラン)
「パーヘキサ25B」(商品名、日油社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、分解温度149℃)
「パークミルD」(商品名、日油社製、ジクミルパーオキサイド、分解温度151℃)
「イルガノックス1076」(商品名、BASF社製、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル)
<シラノール縮合触媒>
「アデカスタブOT−1」(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウレート)
実施例1〜20及び比較例1〜7において、ベース樹脂の5質量%を触媒MBのキャリア樹脂として用いた。
外観試験は、製造した電線の外観を観察して評価した。
外観は、電線の外径変動の有無、及び、表面の状態を目視により確認した。
電線の外径が変動し不安定なもの、表面に肌荒れ(目視で確認できる凹凸が連続的に認められる)が発生したもの、又は、局所的な凸部(ブツ)が多数認められ、電線形状への成形ができなかったものを「C」とし、多少の肌荒れやブツが認められるものの電線への成形が可能だったものを「B」、外径変動、肌荒れ及びブツがいずれも認められず、外観が良好だったものを「A」とした。
上記で得られた被覆導体を300mmφのボビンに巻付け、温度60℃、相対湿度95%の恒温槽内に24時間保持した後、室温(23℃)の大気中に24時間保持して被覆導体全体を、室温に戻した。その後、被覆導体(耐熱性シラン架橋性樹脂組成物の成形体)同士の融着が全く見られなかったものを「A」、ところどころでわずかな融着が見られるものの、ボビンからの繰り出しが可能なものを「B」として合格とした。被覆導体同士が融着してしまい、ボビンからの繰り出しが不可能なものを不合格とし、「C」で示した。
JIS C 3660−2−1に準拠して、ホットセット試験を実施した。ただし、オーブンは200℃とした。具体的には、200℃のオーブン中で、製造した電線から導体を引き抜いた管状片の一端に、10N/cm2の荷重を15分間かけたときに、管状片が切断したものを不合格「C」とし、切断しなかったが、60%伸びたものを「B」、切断せず、伸びが60%未満のものを「A」とし、「B」及び「A」を合格とした。
Claims (14)
- (a)塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとを含有するベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー1〜400質量部と、シランカップリング剤2〜15質量部とを、前記有機過酸化物の分解温度以上で溶融混練し、シランマスターバッチを調製する工程と、
(b)前記工程(a)で得られたシランマスターバッチとシラノール縮合触媒とを混合した後に成形する工程と、
(c)前記工程(b)で得られた成形体を水分と接触させて架橋させる工程と、
を有し、
かつ、前記熱可塑性エラストマーが、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びイミド結合のいずれか1種以上の結合を主鎖に有する、
耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。 - 前記工程(b)が、
(b−1)シラノール縮合触媒とキャリア樹脂とを混合し、触媒マスターバッチを得る工程と、
(b−2)得られた触媒マスターバッチと前記シランマスターバッチとを混合した後に、成形する工程と
を有する請求項1に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。 - 前記塩素化ポリエチレンと前記熱可塑性エラストマーの割合が、質量比(塩素化ポリエチレン/熱可塑性エラストマー)で、45/55〜95/5である請求項1又は2に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性エラストマーの溶融温度が250℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性エラストマーが、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、及びポリアミドエラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性エラストマーが、ポリエステルエラストマーである請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラーが、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、シリカ及びタルクからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラーが、シリカを含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記有機過酸化物の含有量が、ベース樹脂100質量部に対して、0.005〜0.1質量部である請求項1〜8のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 前記シランカップリング剤が、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランのいずれかを少なくとも含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法により成形された耐熱性シラン架橋樹脂成形体。
- 請求項11に記載の耐熱性シラン架橋樹脂成形体を含む耐熱性製品。
- 前記耐熱性シラン架橋樹脂成形体が、電線あるいは光ファイバーケーブルの被覆である請求項12に記載の耐熱性製品。
- 塩素化ポリエチレンと熱可塑性エラストマーとを含有するベース樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.003〜0.3質量部と、無機フィラー1〜400質量部と、シランカップリング剤2〜15質量部と、シラノール縮合触媒とを混合してなるマスターバッチ混合物の製造に用いられるシランマスターバッチであって、
前記ベース樹脂の全部又は一部、前記有機過酸化物、前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を、前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混練して得られるシランマスターバッチ。
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