JP2019156007A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクセルオンのときにユーザへ違和感を与えることを抑制する。【解決手段】推定した入力電力が蓄電装置の充電に許容される最大許容電力を超える場合において、エンジンが運転中であるときにはエンジンの運転が継続され、エンジンが運転停止しているときには第1モータによりエンジンをモータリングしてエンジンが始動されるように、エンジンと第1,第2モータを制御し、更に、エンジンが運転中である場合において蓄電割合が第1割合を超えているときには第1割合以下であるときに比して最大許容電力を小さくし、エンジンが運転停止している場合において蓄電割合が第1割合より小さい第2割合を超えているときには第2割合以下であるときに比して最大許容電力を小さくする。【選択図】図4
Description
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関し、詳しくは、エンジンと、第1モータと、プラネタリギヤと、第2モータと、蓄電装置と、を備えるハイブリッド車両に搭載される制御装置に関する。
従来、この種のハイブリッド車両の制御装置としては、エンジンと、第1モータと、プラネタリギヤと、第2モータと、蓄電装置(バッテリ)と、を備えるハイブリッド車両に搭載されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。プラネタリギヤは、共線図において順番に並ぶ第1回転要素,第2回転要素および第3回転要素を有し、第1回転要素に第1モータの回転軸が接続され、第2回転要素にエンジンの出力軸が接続され、第3回転要素に駆動輪に連結された駆動軸が接続されている。第2モータは、駆動軸に接続されている。蓄電装置は、第1,第2モータと電力をやりとりする。この制御装置では、蓄電装置の充電に許容される最大許容電力の範囲内でエンジンが運転されると共に第1,第2モータが駆動するようにエンジンと第1,第2モータとを制御している。
上述のハイブリッド車両の制御装置では、現在の車速において第1モータによりエンジンをモータリングしてエンジンを始動する際に蓄電装置に入力される入力電力を推定し、推定した入力電力が最大許容電力を超えているときに、第1モータによりエンジンをモータリングしてエンジンを始動することにより、車速が更に増加したときに蓄電装置への入力電力が最大許容電力を大きく超えることを抑制することがある。また、蓄電装置の全容量に対する蓄電されている容量の割合である蓄電割合が第1割合を超えているときには第1割合以下であるときに比して最大許容電力を小さくして、蓄電装置の保護を図ることがある。エンジンを始動する際に蓄電割合が第1割合より高いと、第1モータによりエンジンをモータリングしたときの発電電力が最大許容電力を超えないように第1モータの駆動が制限されて、エンジンの始動性が低下する不都合を生じることがあるから、最大許容電力を一時的に大きくして、エンジンの始動性の向上を図ることがある。しかしながら、最大許容電力を大きくすると、蓄電装置の入力電力が最大許容電力を超えがたくなってエンジンの始動が抑制されてしまう。こうしてエンジンの始動が抑制されると、ユーザがアクセルオンしたときにエンジンが始動されずにエンジンの停止が継続して、ユーザへ違和感を与える場合がある。
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、アクセルオンのときに、ユーザへ違和感を与えることを抑制することを主目的とする。
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、
エンジンと、
第1モータと、
共線図において順番に並ぶ第1回転要素,第2回転要素および第3回転要素を有し、前記第1回転要素に前記第1モータの回転軸が接続され、前記第2回転要素に前記エンジンの出力軸が接続され、前記第3回転要素に駆動輪に連結された駆動軸が接続されたプラネタリギヤと、
前記駆動軸に接続された第2モータと、
前記第1,第2モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
と共にハイブリッド車両に搭載されるハイブリッド車両の制御装置であって、
車速に基づいて、前記第1モータにより前記エンジンをモータリングして前記エンジンを始動するときに前記蓄電装置に入力される入力電力を推定し、
前記推定した入力電力が前記蓄電装置の充電に許容される最大許容電力を超える場合において、前記エンジンが運転中であるときには前記エンジンの運転が継続され、前記エンジンが運転停止しているときには前記第1モータにより前記エンジンをモータリングして前記エンジンが始動されるように、前記エンジンと前記第1,第2モータとを制御し、
更に、前記エンジンが運転中である場合において前記蓄電割合が第1割合を超えているときには前記第1割合以下であるときに比して前記最大許容電力を小さくし、前記エンジンが運転停止している場合において前記蓄電割合が前記第1割合より小さい第2割合を超えているときには前記第2割合以下であるときに比して前記最大許容電力を小さくする、
ことを要旨とする。
エンジンと、
第1モータと、
共線図において順番に並ぶ第1回転要素,第2回転要素および第3回転要素を有し、前記第1回転要素に前記第1モータの回転軸が接続され、前記第2回転要素に前記エンジンの出力軸が接続され、前記第3回転要素に駆動輪に連結された駆動軸が接続されたプラネタリギヤと、
前記駆動軸に接続された第2モータと、
前記第1,第2モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
と共にハイブリッド車両に搭載されるハイブリッド車両の制御装置であって、
車速に基づいて、前記第1モータにより前記エンジンをモータリングして前記エンジンを始動するときに前記蓄電装置に入力される入力電力を推定し、
前記推定した入力電力が前記蓄電装置の充電に許容される最大許容電力を超える場合において、前記エンジンが運転中であるときには前記エンジンの運転が継続され、前記エンジンが運転停止しているときには前記第1モータにより前記エンジンをモータリングして前記エンジンが始動されるように、前記エンジンと前記第1,第2モータとを制御し、
更に、前記エンジンが運転中である場合において前記蓄電割合が第1割合を超えているときには前記第1割合以下であるときに比して前記最大許容電力を小さくし、前記エンジンが運転停止している場合において前記蓄電割合が前記第1割合より小さい第2割合を超えているときには前記第2割合以下であるときに比して前記最大許容電力を小さくする、
ことを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車両の制御装置では、車速に基づいて、第1モータによりエンジンをモータリングしてエンジンを始動するときに蓄電装置に入力される入力電力を推定する。そして、推定した入力電力が蓄電装置の充電に許容される最大許容電力を超える場合において、エンジンが運転中であるときにはエンジンの運転が継続され、エンジンが運転停止しているときには第1モータによりエンジンをモータリングしてエンジンが始動されるように、エンジンと第1,第2モータとを制御する。更に、エンジンが運転中である場合において蓄電割合が第1割合を超えているときには第1割合以下であるときに比して最大許容電力を小さくし、エンジンが運転停止している場合において蓄電割合が第1割合より小さい第2割合を超えているときには第2割合以下であるときに比して最大許容電力を小さくする。これにより、エンジンが運転を停止していない場合には、エンジンを運転している場合に比して蓄電割合が高いときの最大許容電力を小さくするから、蓄電割合が高いときにエンジンが始動しやすくなる。したがって、蓄電割合が高い場合には、アクセルオンされたときにエンジンが始動しやくなるから、アクセルオンのときにユーザへ違和感を与えることを抑制できる。
こうして本発明のハイブリッド車両の制御装置において、アクセルオンであり且つ前記エンジンが運転中である場合において前記蓄電割合が第1割合を超えているときには前記第1割合以下であるときに比して前記最大許容電力を小さくし、アクセルオンであり且つ前記エンジンが運転停止している場合において前記蓄電割合が前記第2割合を超えているときには前記第2割合以下であるときに比して前記最大許容電力を小さくしてもよい。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例としての制御装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、バッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されている。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24によって運転制御されている。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートから入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrやスロットルバルブのポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサからのスロットル開度THなどを挙げることができる。
エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための種々の制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される制御信号としては、スロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの制御信号や燃料噴射弁への制御信号,イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの制御信号など、その他にも種々のものを挙げることができる。
エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、HVECU70からの制御信号によってエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23からのクランク角θcrに基づいて、クランクシャフト26の回転数、即ち、エンジン22の回転数Neを演算している。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、エンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、電力ライン54を介してバッテリ50と接続されている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2を挙げることができる。また、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサからの相電流も挙げることができる。
モータECU40からは、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、HVECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の駆動状態に関するデータをHVECU70に出力する。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されている。このバッテリ50は、上述したように、電力ライン54を介してインバータ41,42と接続されている。バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの電池電圧Vbやバッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの電池電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどを挙げることができる。
バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータをHVECU70に出力する。バッテリECU52は、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50の入出力制限Win,Woutを演算したりしている。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合である。
バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の充放電が許容される最大充放電電力であり、実施例では、出力制限Woutを正の値、入力制限Winを負の値としている。バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、基本的には、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値Winb,Woutbを設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用の補正係数Kwoutと入力制限用の補正係数Kwinとを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値Winb,Woutbに補正係数Kwin,Kwoutを乗じることにより設定することができる。図2に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutの基本値Winb,Woutbとの関係の一例を示し、図3にバッテリ50の蓄電割合SOCと入出力制限Win,Woutの補正係数Kwin,Kwoutとの関係の一例を示す。図3において、補正係数Kwoutは、蓄電割合SOCが割合S0以上であるときには値1で一定となり、蓄電割合SOCが割合S0未満であるときには値1から値0に向けて減少するように設定される。したがって、電池温度Tbが一定である場合、出力制限Woutは、蓄電割合SOCが割合S0以上であるときには割合S0未満であるときに比して大きくなるよう設定される。補正係数Kwinは、蓄電割合SOCが割合S1以下であるときには値1で一定となり、蓄電割合SOCが割合S1を超えているときには値1から値0に向けて減少するように設定される。したがって、電池温度Tbが一定である場合、入力制限Winの絶対値|Win|(最大充電電力)は、蓄電割合SOCが割合S1を超えているときには割合S1以下であるときに比して小さくなるよう設定される。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号やシフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,車速センサ88からの車速Vを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBPも挙げることができる。
HVECU70は、上述したように、エンジンECU24,モータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24,モータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、ハイブリッド走行(HV走行)で走行したり、電動走行(EV走行)で走行したりする。HV走行では、エンジン22の運転を伴って走行する。EV走行では、エンジン22を運転停止して走行する。
HVECU70は、アクセルペダルポジションセンサ84によりアクセルオンが検出されているときには、以下のように制御する。即ち、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて、走行に要求される(駆動軸36に出力すべき)要求トルクTd*を設定する。続いて、設定した要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Nrを乗じて、走行に要求される要求走行用パワーPdrv*を計算する。ここで、駆動軸36の回転数Nrとしては、モータMG2の回転数Nm2や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数を用いることができる。そして、計算した要求走行用パワーPdrv*にバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50に充電するときが正の値)を加えて、車両に要求される要求パワーPe*を設定する。ここで、充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の蓄電割合SOCと目標割合SOC*との差分ΔSOCに基づいて、差分ΔSOCの絶対値が小さくなるように設定する。
次に、現在の走行モードがHV走行モードであるか或いはEV走行モードであるかを判定する。EV走行モードであると判定すると、エンジン22を始動するか否かを判定するエンジン始動判定を実行する。エンジン始動判定については後述する。エンジン始動判定において、エンジン22を始動しないと判定すると、EV走行モードを継続すると判断し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTd*(要求走行用パワーPdrv*)が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する。そして、トルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。モータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるように、インバータ41,42の各トランジスタのスイッチング制御を行なう。
エンジン始動判定においてエンジン22を始動すると判定すると、EV走行モードからHV走行モードへ移行するため、モータMG1によりエンジン22をモータリングして始動するエンジン始動処理を実行する。エンジン始動処理では、モータMG1から所定のモータリングトルクを出力して、エンジン22の回転数を上昇させ、エンジン22の回転数Neが始動回転数Nestatを超えたときに、エンジン22の運転を開始する。こうしてエンジン22が始動されてHV走行モードへ移行すると、要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるように、エンジン22の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)や、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。エンジン22の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)は、エンジン22の運転ポイント(回転数,トルク)のうち騒音や振動等を加味して燃費が最適となる最適動作ラインを予め定めておき、要求パワーPe*に対応する最適動作ライン上の運転ポイント(回転数,トルク)を求めて設定する。エンジン22の目標運転ポイント(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)については、エンジンECU24に送信する。モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*については、モータECU40に送信する。エンジンECU24は、目標運転ポイントに基づいてエンジン22が運転されるように、エンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。モータECU40は、上述したように、インバータ41,42を制御する。
HVECU70は、アクセルペダルポジションセンサ84によりアクセルオフが検出されているときには、以下のように制御する。即ち、まず、車速センサ88からの車速Vとに基づいて、要求トルクTd*(要求制動力)を設定する。続いて、設定した要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Nrを乗じて、走行に要求される要求走行用パワーPdrv*を計算する。次に、要求走行用パワーPdrv*の絶対値|Prdv*|が入力制限Winの絶対値|Win|より大きいか否かを判定する。絶対値|Prdv*|が絶対値|Win|以下であるときには、燃料カット指令をエンジンECU24に送信し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に、バッテリ50の入力制限Winの範囲内で要求トルクTd*(要求制動力)が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、トルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。燃料カット指令を受信したエンジンECU24は、エンジン22の燃料カットを実行する。トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、上述したように、インバータ41,42を制御する。
絶対値|Prdv*|が絶対値|Win|を超えているときには、エンジン22を燃料カットの状態でモータリングすることによりエンジン22のフリクショントルク(制動力)を駆動軸36に作用させるためのモータリングトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定する。そして、バッテリ50の入力制限Winの範囲内で要求トルクTd*(要求制動力)が駆動軸36に出力されるように、モータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、トルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。モータECU40は、上述したように、インバータ41,42を制御する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20におけるアクセルオン時のエンジン始動判定について説明する。図4は、HVECU70により実行されるエンジン始動判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、アクセルペダルポジションセンサ84によりアクセルオンが検出されているときに、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返して実行される。
本ルーチンが実行されると、HVECU70は、車速Vや蓄電割合SOC,入力制限Winの基本値Winbを入力する処理を実行する(ステップS100)。車速Vは、車速センサ88により検出されたものを入力されたものである。蓄電割合SOCは、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいてバッテリECU52で演算されたものを通信を介して入力されたものである。基本値Winbは、温度センサ51cにより検出された電池温度Tbと図2に例示した電池温度Tbと基本値Winbとの関係とに基づいてバッテリECU52で設定されたものを通信を介して入力されたものである。
続いて、現在の車速Vでエンジン22を始動するためにモータMG1によりエンジン22をモータリングしたときにバッテリ50に入力される入力電力Wchの最大値である最大充電電力Wchmax(正の値)を設定する(ステップS110)。エンジン22が停止されている状態で走行しているときに、モータMG1によりエンジン22をモータリングすると、モータMG1の発電電力がバッテリ50に入力される。また、例えばコーストダウン時のようにモータMG2から回生制動力を出力しているときにモータMG1によりエンジン22をモータリングすると、モータMG1の発電電力とモータMG2の発電電力とがバッテリ50に入力される。車速Vが高いとき、即ち、駆動軸36の回転数が高いときには、モータMG1の回転数Nm1(負の値)やモータMG2の回転数Nm2(正の値)は絶対値として大きくなる。したがって、車速Vが高いときには低いときに比して、モータMG1の発電電力やモータMG2の発電電力が大きくなり、バッテリ50の入力電力Wchが大きくなる。こうしたことを考慮して、実施例では、車速Vと最大入力電力Wchmaxとの関係を予め実験や解析などで最大入力電力設定用マップとして求めておき、車速Vと最大入力電力設定用マップとを用いて最大入力電力Wchmaxを設定している。最大入力電力設定用マップにおいて、最大入力電力Wchmaxは、車速Vが高いときには低いときに比して大きくなるように設定される。
こうして最大入力電力Wchmaxを設定すると、続いて、エンジン22が運転中であるか否かを判定する(ステップS120)。エンジン22が運転中であるときには、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて入力制限用の補正係数Kwin_eを設定し、基本値Winbに補正係数Kwin_eを乗じることにより入力制限Winを設定する(ステップS130)。図5にバッテリ50の蓄電割合SOCと補正係数Kwin_eとの関係の一例を示す。図中、実線は、バッテリ50の蓄電割合SOCと補正係数Kwin_eとの関係の一例を示している。破線は、図3に示したバッテリ50の蓄電割合SOCと補正係数Kwinとの関係の一例である。図示するように、補正係数Kwin_eは、蓄電割合SOCが割合S1より大きい割合S2以下であるときには値1で一定となり、蓄電割合SOCが割合S2を超えているときには値1から値0に向けて減少するように設定される。したがって、電池温度Tbが一定である場合、入力制限Winの絶対値|Win|(最大許容充電電力)は、蓄電割合SOCが割合S2を超えているときには割合S2以下であるときに比して小さくなるよう設定される。
続いて、最大入力電力Wchmaxが入力制限Winの絶対値|Win|を超えているか否かを判定する(ステップS150)。最大入力電力Wchmaxが絶対値|Win|以下であるときには、本ルーチンを終了する。今、エンジン22が運転中であることから、エンジン22の運転を継続することになる。
ステップS150で最大入力電力Wchmaxが絶対値|Win|を超えているときには、エンジン22を始動すると判定して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。今、エンジン22が運転中であるとき、即ち、既にエンジン22を始動済みであるときを考えているから、エンジン22の運転を継続することになる。このように、エンジン22が運転中であるときには、最大入力電力Wchmaxが入力制限Winの絶対値|Win|を超えているか否かに拘わらず、エンジン22の運転が継続されることになる。
ステップS120でエンジン22が運転中でないとき、即ち、エンジン22が停止中であるときには、基本値Winbに補正係数Kwinを乗じることにより入力制限Winを設定する(ステップS140)。したがって、電池温度Tbが一定である場合、ステップS140で設定するエンジン22が運転中でないときの入力制限Winは、蓄電割合SOCが割合S1より高いときには、ステップS130で設定するエンジン22が運転中であるときの入力制限Winに比して大きくなる(絶対値|Win|としては小さくなる)。
続いて、最大入力電力Wchmaxが入力制限Winの絶対値|Win|を超えているか否かを判定し(ステップS150)、最大入力電力Wchmaxが絶対値|Win|以下であるときには、本ルーチンを終了する。こうした処理により、エンジン22の運転停止を継続することになる。
ステップS150で最大入力電力Wchmaxが絶対値|Win|を超えているときには、エンジン22を始動すると判定して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。
ここでは、ステップS140で設定した入力制限Winの絶対値|Win|を用いてステップS150の判定を行なっている。ステップS140で設定した入力制限Winの絶対値|Win|は、ステップS130で設定するエンジン22が運転している場合の入力制限Winの絶対値|Win|に比して小さくなる。したがって、蓄電割合SOCが高いときに最大入力電力Wchmaxが絶対値|Win|を超えていると判定される機会が多くなり、エンジン22が始動されやすくなる。今、アクセルオンのときを考えており、アクセルオンのときにエンジン22が始動されやすくなることから、ユーザへ違和感(アクセルオンのときにエンジン22の停止が継続することにより違和感)を与えることを抑制できる。
ここでは、ステップS140で設定した入力制限Winの絶対値|Win|を用いてステップS150の判定を行なっている。ステップS140で設定した入力制限Winの絶対値|Win|は、ステップS130で設定するエンジン22が運転している場合の入力制限Winの絶対値|Win|に比して小さくなる。したがって、蓄電割合SOCが高いときに最大入力電力Wchmaxが絶対値|Win|を超えていると判定される機会が多くなり、エンジン22が始動されやすくなる。今、アクセルオンのときを考えており、アクセルオンのときにエンジン22が始動されやすくなることから、ユーザへ違和感(アクセルオンのときにエンジン22の停止が継続することにより違和感)を与えることを抑制できる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20の制御装置では、車速Vに基づいて最大入力電力Wchmaxを設定し、最大入力電力Wchmaxが入力制限Winの絶対値|Win|を超える場合において、エンジン22が運転中であるときにはエンジン22の運転を継続し、エンジン22が運転停止しているときにはモータMG2によりエンジン22をモータリングしてエンジン22が始動されるように、エンジン22とモータMG1,MG2を制御する。更に、エンジン22が運転中である場合において蓄電割合SOCが割合S2を超えているときには割合S2以下であるときに比して入力制限Winの絶対値|Win|を小さくし、エンジン22が運転停止している場合において蓄電割合SOCが割合S2より小さい割合S1を超えているときには割合S1以下であるときに比して入力制限Winの絶対値|Win|を小さくすることにより、蓄電割合が高い状態でのアクセルオンのときにエンジンが始動しやすくなることから、ユーザへ違和感(アクセルオンのときにエンジンの停止が継続することにより違和感)を与えることを抑制できる。
実施例のハイブリッド自動車20の制御装置では、ステップS110で車速Vに基づいてバッテリ50に入力される電力としてバッテリ50の最大入力電力Wchmaxを設定しているが、車速Vに基づいてバッテリ50の入力電力Wchを設定できる場合には、最大入力電力Wchmaxに代えてバッテリ50の入力電力Wchを設定してもよい。
実施例のハイブリッド自動車20の制御装置では、入力制限Winを電池温度Tbと蓄電割合SOCとエンジン22が運転中であるか否かに基づいて設定しているが、電池温度Tbを考慮せずに、蓄電割合SOCとエンジン22が運転中であるか否かに基づいて設定してもよい。この場合、入力制限Winを、エンジン22が運転中である場合においては蓄電割合SOCが割合S2を超えているときには割合S2以下であるときに比して絶対値|Win|が小さくなるように設定し、エンジン22が運転停止している場合においては蓄電割合SOCが割合S2より小さい割合S1を超えているときには割合S1以下であるときに比して入力制限Winの絶対値|Win|を小さくすればよい。
実施例のハイブリッド自動車20の制御装置では、ハイブリッド自動車20が蓄電装置としてバッテリ50を備えているが、バッテリ50に代えて、キャパシタを備えていてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「第1モータ」に相当し、プラネタリギヤ30が「プラネタリギヤ」に相当し、モータMG2が「第2モータ」に相当し、バッテリ50が「バッテリ」に相当し、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とが「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド自動車の制御装置の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、37 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU52)、54 電力ライン、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。
Claims (1)
- エンジンと、
第1モータと、
共線図において順番に並ぶ第1回転要素,第2回転要素および第3回転要素を有し、前記第1回転要素に前記第1モータの回転軸が接続され、前記第2回転要素に前記エンジンの出力軸が接続され、前記第3回転要素に駆動輪に連結された駆動軸が接続されたプラネタリギヤと、
前記駆動軸に接続された第2モータと、
前記第1,第2モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
と共にハイブリッド車両に搭載されるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記第1モータにより前記エンジンをモータリングして前記エンジンを始動するときに前記蓄電装置に入力される入力電力を車速に基づいて推定し、
前記推定した入力電力が前記蓄電装置の充電に許容される最大許容電力を超える場合において、前記エンジンが運転中であるときには前記エンジンの運転が継続され、前記エンジンが運転停止しているときには前記第1モータにより前記エンジンをモータリングして前記エンジンが始動されるように、前記エンジンと前記第1,第2モータを制御し、
更に、前記エンジンが運転中である場合において前記蓄電割合が第1割合を超えているときには前記第1割合以下であるときに比して前記最大許容電力を小さくし、前記エンジンが運転停止している場合において前記蓄電割合が前記第1割合より小さい第2割合を超えているときには前記第2割合以下であるときに比して前記最大許容電力を小さくする、
ハイブリッド車両の制御装置。
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