JP2019088765A - 貼付剤用支持体フィルム、積層体及び貼付剤 - Google Patents
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Abstract
Description
このような用途に対し、適正なプラスチック材料が選択され、さらに、それらを複数種類重ねて積層体とすることもなされている。また、複数のプラスチック材料を1つの層中に混ぜることで、単一材料の欠点を補うようにした用い方もある。多くの場合、耐熱性や機械強度、もしくは透明性などにより適正なフィルム材料を選択している。
なお、薬剤バリア性とは、薬剤を効率よく皮膚から吸収できるよう支持体が薬剤を吸収しにくい特性をいい、ここでは、粘着材に支持体を積層して、例えば40℃、75%の環境で6ヶ月保管した際に、支持体の薬剤吸収率が10%未満である場合に、支持体に薬剤バリア性があるものとする。一方、延性は、貼付剤を肌に貼った後のごわつき感の解消や、動作時に貼ったものが剥がれにくくなるようにするために重要な要素となっている。
例えば、特許文献1では、PETやエチレン−ビニルアルコール共重合体などの材料を使用して貼付剤の支持体として用いているが、これら材料では延性が低く、貼付剤として使用したときのごわつき感や、激しい動作時に剥がれやすいといった欠点があるため、薬剤バリア性と延性の両立が可能な支持体が求められている。
薬剤バリア性のある樹脂からなる貼付剤支持体用フィルムであって、
前記貼付剤支持体用フィルムの表面及び裏面が、少なくとも1つ以上の区画に区分されており、
前記区画は、前記区画を区分する縁を有し、
前記区画の少なくとも1つにおいて、
前記区画の表面において、前記縁と前記縁の間で延在する山状の表面稜線及び谷状の表面稜線を有し、
前記区画の裏面において、前記表面の山状の表面稜線と対応する位置に谷状の裏面稜線を有し、また前記表面の谷状の表面稜線と対応する位置に山状の裏面稜線を有し、
前記貼付剤支持体用フィルム厚さが5μm〜150μmであり、
前記山状の表面稜線と前記谷状の表面稜線の高低差は、前記貼付剤支持体用フィルム厚さよりも大きいことを特徴とする。
本明細書で用いる「区画」とは、貼付剤用支持体フィルムの表面または裏面に設けられた領域を示す用語であり、それぞれの区画の最外周を「縁」と称する。一連のフィルムに存在する、区画は1つでも良いし、複数であっても良い。複数の区画が存在する場合には、それぞれの区画の縁は相互に接していても良いし、離間していても良い。縁については、縁に固有の形状や領域が存在している必要は無いが、存在していても良い。
図1は、本実施形態の貼付剤用支持体フィルムにおける一例を示す断面図であり、図2は斜視図であって、貼付剤用支持体フィルムは図の左右方向に延在しているものとする。本実施形態にかかる貼付剤用支持体フィルムは、表裏面に周期的な凹凸構造を有する。かかる凹凸構造は、以下に述べるように山状稜線と谷状稜線とを有する。
図1、2に示されるように、貼付剤用支持体フィルム1は、単一区画としての表面2において、紙面垂直方向の一縁側から他縁側にわたって平行に延在するストレートな山状稜線2aと谷状稜線2bとを交互に等間隔で有しており、また単一区画としての裏面3において、山状稜線2aと谷状稜線2bとに対応する位置に、紙面垂直方向の一縁側から他縁側にわたって平行に延在するストレートな谷状稜線3aと山状稜線3bとを交互に等間隔で有している。なお、表面に設けた稜線2a、2bを表面稜線といい、裏面に設けた稜線3a、3bを裏面稜線として、互いを区別することもある。
図3は、本実施形態にかかる高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1を、図1の左右方向、すなわち周期的な凹凸構造の並び方向に引っ張っていった場合の、フィルム全体の伸びとフィルムにかかる応力の関係を概略図で示したものである。まず、弾性変形による形状変形が生じ、その後、形状変形の一部に塑性変形を生じる。さらに引っ張り続けると引っ張り応力により凹凸構造の高低差が小さくなりフラットに近づくことで形状変形できなくなり、最終的には引っ張り変形が主効果になり、ネッキング(引っ張られるフィルムの平行部全体が均一に伸びるのではなく,局部的にくびれを生ずること)が発生し破断する。
一方、通常のフラットな貼付剤用支持体フィルムでは、同じ引っ張り条件で引っ張り変形しか生じない。そのため、本実施形態の高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1は、上述のように複数の段階からなる形状変形を行うことで、通常の貼付剤用支持体フィルムに比較して容易に伸ばすことができるといえる。ただし最終的には、引っ張り変形が支配的になるため、破断強度は同じ厚さの貼付剤用支持体フィルムと同等である。
本実施形態に係る貼付剤用支持体フィルムにおいては、凹凸構造の並び方向に引っ張った場合は、引っ張り当初において、凹凸構造に局所的な歪み(伸びや縮み)が生じ、それにより形状が変化することで、大きな延性を得ることができる。そのため、凹凸構造の形状を適切に設定することで、フィルム全体の伸びを自在に調整することが出来る。
図5(a)は、例えば図3に示すような高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1における凹凸構造の1ピッチ分につき、図の左右方向に引っ張った場合の局所的な歪み量を計算して図示した図であり、図5(b)は、比較例としてフラットな従来の貼付剤用支持体フィルムを、図の左右方向に引っ張った場合の局所的な歪み量を計算して図示した図である。かかる計算には、汎用非線形有限要素解析ソリューションMarc(エムエスシーソフトウェア株式会社製)を用いた。
図5に示す貼付剤用支持体フィルム断面において、白からグレー、さらに黒になるにつれて歪が大きくなっていることを示す。上記計算結果を比較すると、図5(b)に示すようにフラットな貼付剤用支持体フィルムの場合、引っ張り応力は一様である。これに対し、図5(a)に示すように本実施形態の貼付剤用支持体フィルム1では、頂点を挟んだ両側において高い歪を発生する箇所が生じており、そのため、それ以外のフィルムの部位における引っ張り応力を低減させる効果があることがわかる。
図6は、貼付剤用支持体フィルムの凹凸構造の形状を変えた場合における、全体の伸びと局所的な歪みの最大値との関係を示したものであり、縦軸が局所的な歪みの最大値であり、横軸がフィルム全体の伸びであって、点線で示す凹凸構造を持たない(形状なし)貼付剤用支持体フィルムを比較例としている。
また、図6の演算で用いた高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1の断面形状を、図7に示す。図7(a)に示す形状Aは、凹凸構造の山谷の高低差Hが比較的大きく、図7(b)に示す形状Bは、凹凸構造の山谷の高低差Hが比較的小さく(ただしフィルム厚さより大きく)なっている。図5より、本実施形態の高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1は、その凹凸構造により全体の伸びと局所的な歪みの最大値の関係が大きく変化することが分かる。
また、貼付剤用支持体フィルム1の厚さは5μm〜150μmであると好ましく、より好ましくは10μm〜100μmである。なお、貼付剤用支持体フィルムの厚さは、必ずしも均一である必要は無い。凹凸形状加工後のフィルムにあっては、稜線付近の貼付剤用支持体フィルムの厚さは、他の部分のフィルムの厚さと異なっていても良い。
また、凹凸構造の山谷の高低差Hは、5μm〜300μmであると良い。山谷の高低差Hが5μmよりも小さい場合には、歪の調整効果を得ることは難しく、また、300μmを超える場合には、製造上凹凸構造をつけることが難しくなる。より好ましくは、10μm〜200μmの範囲内であるとより良い。
図1,2に示す貼付剤用支持体フィルム1では、山状稜線と谷状稜線が一方向に伸びた構造(「1次元的構造」ともいう。)を有するが、図8に示す貼付剤用支持体フィルムでは、山状稜線と谷状稜線が2次元的に配置された構造(「2次元的構造」ともいう。)を持つ貼付剤用支持体フィルム1であってもよい。また、山状稜線と谷状稜線が一直線ではなく、ジグザグな稜線であってもよい。また、図1,2のように1次元的構造の場合は、図中、左右方向であって凹凸構造の形状を変化させる方向に伸びやすいが、それと交差する方向(紙面垂直方向)には伸びにくいという異方性のある延性を有する。
一方、図8のような2次元的構造の場合は、2方向のいずれにも伸びるという双方性のある延性を有することが出来る。貼付剤の支持体として使用する際は、1次元的構造でも、2次元的構造でも適宜選択することができる。例えば、使用時のごわつき感を低減するためには2次元的構造を選択可能であり、剥がす際は貼付剤が伸びない方が剥がしやすい場合には、1次元的構造を選べばよい。
また、本実施形態の高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1は、応力をかけた際に伸びる効果があるため、衝撃耐性も高く、凹凸構造が潰れることによる衝撃吸収性も高いという特性も有している。
貼付剤用支持体フィルム1で使用する薬剤バリア性のある材料としては、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリロニトリル、エチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましい。または、これらの複数の層が重ね合わさった多層構成(積層体ともいう)を形成しても良い。貼付剤は体に貼ることで、その粘着材層に含まれている薬効成分を皮膚に浸透させ、血液を通じて全身に作用させるものである。かかる貼付剤用支持体においては、その薬効成分をバリアし、極力吸着しないことが重要である。上記材料においては、薬効成分への非吸着性が良好で、貼付剤の薬効成分を減らすことなく支持体としての機能を果たすものである。
本実施形態の高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1の製造方法については、例えば熱プレスによる方法や、押出成形による方法を用いることができる。
高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1は、図1のように1層であっても良いし、さらに図10に示すように、共押出の層構成を増やすことで複数のフィルム1を積層して積層体とすることもできる。かかる場合、上側の貼付剤用支持体フィルム1の裏面3と下側の貼付剤用支持体フィルム1の表面2とが接着される。フィルムの積層は3層以上であってよい。また、高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1に対して、後工程で印刷層や蒸着層、ハードコート層、反射防止層などの機能層を積層した積層体とすることもできる。
一般的な貼付剤用支持体フィルム9では、両面がフラットであるから延性が不足しており、貼付剤を肌に貼った後のごわつき感や、延性がないため、動作時に貼付剤の端部などが剥がれてくる場合がある。
一方、本実施形態の貼付剤用支持体フィルム1または積層体5を使用することで、延性を持たせることができるようになり、貼付剤12を肌に貼り付けた際に上述のごわつき感や剥がれが解消されるものである。一例として、図11B、図11Cに本実施形態の貼付剤用支持体フィルムおよび積層体を使用した場合の貼付剤12の断面図を示す。貼付剤12は、粘着材層10の一方の面に剥離ライナー11を積層し、粘着材層10の他方の面に貼付剤用支持体フィルム1を積層している。なお、貼付剤用支持体フィルム1に、更に別の熱可塑性樹脂(機能層)6を積層することもできる(図11C)。
いずれの場合においても、薬剤バリア性の高い材料を用いることで、薬剤が効率良く皮膚に吸収される効果があり、また貼付剤用支持体フィルムの材料自体は硬く伸びにくい材料であるにもかかわらず、高い延性を示すものである。
図12〜15は、一連の貼付剤用支持体フィルムにおいて、複数の区画を有する場合の実施形態を示す表面図であり、山状稜線を実線で示し、谷状稜線を点線で示している。図13は、図12の貼付剤用支持体フィルムより2つの区画を抜き出したものである。図12において、貼付剤用支持体フィルム1は16個の区画1Aを有しており、各区画1Aの一つの縁(「縁端」とも言う)から、これと対向する他の縁端へと山状稜線2aと谷状稜線2bとが異なる方向に延在している。図示していないが、裏面側の山状稜線と谷状稜線も同様である。延性のフィルムでは、加工時にフィルムが伸びて安定製膜が難しい一面を持つが、このような配置とすることで、成形加工時に安定して製膜ができ、最終製品では区画毎にカットしたり、打ち抜き加工を行うことで、所望の一方向へ伸びる貼付剤用支持体フィルム1を提供できる。隣接する区画1A同士の間には、明確な境界がなくても良い。また、一連の貼付剤用支持体フィルム上に存在する区画1Aの数は任意である。
高延性を持つ貼付剤用支持体フィルム1を、押出成形により、凹凸のついたロール1対でニップし、製膜し形成し、実施例1とした。貼付剤用支持体フィルム1の材料は、ポリプラスチックス株式会社製の環状オレフィン・コポリマー(COC、Cyclic Olefin Copolymer)であるTOPAS(登録商標)8007を選択し、単層構成とした。フィルム厚さは9μmで、凹凸構造は、表面形状及び裏面形状が共に波形(図1参照)であって、この波形断面形状を周期的に並べた形状とした。波形凹凸構造のピッチは50μm、高低差は25μmであった。なお、以下の実施例では、貼付剤用支持体フィルム1の材料として全てCOCを採用したが、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリロニトリル、エチレン-ビニルアルコール共重合体を材料として用いた場合も、同様に薬剤バリア性を発揮できる。
実施例2は、同じCOCを用いて形成し、フィルム厚さを23μmとした。また、波形凹凸構造は、表面形状及び裏面形状が共に波形(図1参照)であって、この波形断面形状を周期的に並べた形状とした。波形凹凸構造のピッチを100μm、高低差を50μmとし、実施例1と同様の方法でサンプルを作製した。
実施例3は、同じCOCを用いて形成し、フィルム厚さを42μmとした。また、波形凹凸構造は、表面形状及び裏面形状が共に波形(図1参照)であって、この波形断面形状を周期的に並べた形状とした。波形凹凸構造のピッチを200μm、高低差を100μmとし、実施例1と同様の方法でサンプルを作製した。
実施例4は、同じCOCを用いて形成し、フィルム厚さを125μmとした。また、波形凹凸構造は、表面形状及び裏面形状が共に波形(図1参照)であって、この波形断面形状を周期的に並べた形状とした。波形凹凸構造ピッチを500μm、高低差を250μmとし、実施例1と同様の方法でサンプルを作製した。
比較例1は、実施例と同じCOCを材料とし、押出成形時に凹凸のない鏡面のロールを用いて押圧し、表裏に凹凸形状のないサンプルを作製した。したがって、凹凸構造の高低差は0μmであり、フィルム厚さは9μmであった。比較例1については凹凸のないロール1対を用いてニップする(2本のロールに圧力をかけて接触する)以外、実施例1と同様の方法でサンプルを作製した。
比較例2も実施例と同じCOCを材料とし、フィルム厚さを2.9μmとした以外は、実施例1と同様の形状であり、同様の方法でサンプルを作製した。
比較例3において、押出成形時に片側のみ、凹凸のついたロールを用いて押圧し、片側(表面)のみに凹凸形状のあるサンプルを作製した。このとき、裏面は凹凸形状のないフラットな状態であった。また、凹凸構造の高低差は100μmであり、フィルム厚さは42μmであった。比較例3については、裏面に対応する片側のみ凹凸のないロールを用いてニップする以外、実施例1と同様の方法でサンプルを作製した。
実施例5は、他の実施例と同じCOCを用いて形成し、フィルム厚さは9μmで、凹凸構造として台形断面形状を周期的に並べた形状とした(図17参照)。台形形状は上辺61μm、下辺68μm、高低差31μmで、ピッチが140μmであった。実施例5についても実施例1と同様の方法でサンプルを作製した。
比較例4において、貼付剤用支持体フィルム1の材料にNatureWorks社製のポリ乳酸(PLA、PolyLactic Acid)であるIngeo(登録商標)3052Dを選択し、単層構成とした。それ以外は実施例1と同様の形状であり、同様の方法でサンプルを作製した。
実施例6において、貼付剤用支持体フィルム1の構成を2層構成とした。
第1層は、ポリプラスチックス株式会社製のCOCであるTOPAS(登録商標)8007とし、第2層は、株式会社プライムポリマー製の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であるエボリュー(登録商標)SP1540を選択して、積層体のサンプルを作製した(図9A参照)。押出成形時には片側のみの凹凸のついたロールを用いて、COC面(表面)のみに凹凸形状があり、LLDPE面(裏面)には凹凸形状のないフラットな積層体とした。凹凸構造の高低差は25μmであり、フィルム厚さは、COCが12μm、LLDPEが25μm、総厚は37μmであった。
各実施例及び比較例における貼付剤用支持体フィルム1の延性能を評価するため、引っ張り試験評価を実施した。延性評価は、JIS K 7127:1999(プラスチック‐引っ張り特性の試験方法‐第3部:フィルム及びシートの試験条件)に基づき、株式会社島津製作所製引張試験機(AGS−500NX)を用いて、ゼロの状態からフィルムが破断するまで引っ張り力を付与しつつ、破断した際の破断強度、破断伸度を求めることで実施した。測定条件については、サンプル幅は15mm、チャック間距離は50mm、引っ張り速度は100mm/minとした。評価については、破断強度が3N以上であるときは『○』とし、それ未満であるときは『×』とした。また、破断伸度の評価は、破断伸度が10%以上であるときは『○』とし、それ未満であるときは『×』とした。
各実施例及び比較例における貼付剤用支持体フィルム1の薬剤吸着性能を評価するため、吸着性試験評価を実施した。サンプルを100mm角にカットした後、サンプル中央に貼付剤(リバスタッチパッチ18mg、小野薬品工業株式会社製)を貼付した。薬剤が揮発・拡散しないようにアルミ箔で密閉し、40℃、75%の環境で6ヶ月保管した。その後、フィルムから貼付剤を剥がし、フィルムに吸着した薬剤をメタノールで55℃・3時間以上抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により薬剤の吸着量を測定した。薬剤吸着量の評価は、フィルムに吸着された薬剤が元々の貼付剤の薬剤量の10%未満であれば『○』、それ以上であれば『×』とした。
表1からわかるように、実施例1〜5では、フィルム両面が波形形状または台形形状であり、フィルム厚さが5〜150μmであるため、良好な破断強度を示し、破断伸度も比較例1のフラットなフィルムと比較して大きな値を示すことがわかる。
一方、比較例2では、フィルム厚さが薄すぎるため、破断強度が小さく、必要な特性を満たしていない。また比較例3では、片面のみが波形となったフィルムでは、両面フラットなフィルムと同様に破断伸度が小さく伸びないフィルムであった。比較例4ではフィルム両面が波形ではあるが、材料が薬剤の吸着性を示すため、貼付剤支持体用フィルムとして必要な特性を満たしていない。
更に、実施例6では、2層構成としたところ、より一層の破断伸度の上昇が見られ、延性のある支持体として十分な結果が得られた。
1A 区画
2 表面
2a、3b 山状稜線
3 裏面
2b、3a 谷状稜線
5 積層体
6 別の熱可塑性樹脂層
7 別の貼付剤用支持体フィルム
8 接着剤層(または粘着材層)
9 従来の貼付剤用支持体フィルム
10 粘着材層
11 剥離ライナー
12 貼付剤
Claims (15)
- 薬剤バリア性のある樹脂からなる貼付剤支持体用フィルムであって、
前記貼付剤支持体用フィルムの表面及び裏面が、少なくとも1つ以上の区画に区分されており、
前記区画は、前記区画を区分する縁を有し、
前記区画の少なくとも1つにおいて、
前記区画の表面において、前記縁と前記縁の間で延在する山状の表面稜線及び谷状の表面稜線を有し、
前記区画の裏面において、前記表面の山状の表面稜線と対応する位置に谷状の裏面稜線を有し、また前記表面の谷状の表面稜線と対応する位置に山状の裏面稜線を有し、
前記貼付剤支持体用フィルム厚さが5μm〜150μmであり、
前記山状の表面稜線と前記谷状の表面稜線の高低差は、前記貼付剤支持体用フィルム厚さよりも大きいことを特徴とする貼付剤支持体用フィルム。 - 前記薬剤バリア性のある樹脂とは、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリロニトリル、エチレン-ビニルアルコール共重合体のいずれかより選ばれる樹脂であること、
を特徴とする請求項1に記載の貼付剤支持体用フィルム。 - 前記山状の表面稜線と前記谷状の表面稜線とは、交互に並んで形成されていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の貼付剤支持体用フィルム。 - 複数の前記山状の表面稜線の一群と、複数の前記谷状の表面稜線の一群とは、交互に並んで形成されていること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルム。 - 前記山状の表面稜線と前記谷状の表面稜線は、それぞれ直線であること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルム。 - 前記山状の表面稜線と前記谷状の表面稜線は、それぞれ曲線であること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルム。 - 前記区画は複数個設けられて、互いに接していること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の貼付剤支持体用フィルム。 - 前記高低差は、5μm〜300μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルム。
- 前記山状の表面稜線と前記谷状の表面稜線は、等間隔で並んでいる、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルム。 - 前記山状の表面稜線と前記谷状の表面稜線の間隔がランダムである、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルム。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載された貼付剤支持体用フィルムの少なくとも一方の面に、別の熱可塑性樹脂が積層されている、
ことを特徴とする貼付剤支持体用フィルム。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載された貼付剤支持体用フィルムの少なくとも一方の面に、機能層を積層したこと、
を特徴とする積層体。 - 請求項1〜12のいずれか1項に記載された貼付剤支持体用フィルムを複数枚積層したこと、
を特徴とする積層体。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載された貼付剤支持体用フィルムと、貼付剤支持体用フィルムに積層した粘着材層と、前記粘着材層に積層した剥離ライナーとを有すること、
を特徴とする貼付剤。 - 請求項12または13に記載された積層体と、前記積層体に積層した粘着材層と、前記粘着材層に積層した剥離ライナーとを有すること、
を特徴とする貼付剤。
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