JP7271906B2 - 貼付剤支持体用フィルム、積層体、貼付剤、及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1では、PETやエチレン-ビニルアルコール共重合体などの材料を貼付剤の支持体として用いているが、これら材料では伸び性が低く、貼付剤として使用したときのごわつき感や、激しい動作時に剥がれやすいといった欠点がある。このように、従来から、貼付剤支持体用フィルムには、薬剤バリア性と伸び性の両立が求められている。
また、本発明の態様によれば、剥離可能な保護層を設けることで、支持層への傷や汚れの発生を防止する効果も有する。
なお、各図は模式的に示した図であり、各部の大きさや形状等は理解を容易にするために適宜誇張して示している。また、説明を簡単にするため、各図の対応する部位には同じ符号を付している。
本実施形態の貼付剤支持体用フィルムは、図1に示すように、貼付剤支持体用フィルム1の本体を構成する支持層2の一方の面2a側とは反対側の面2b側(図1中、下面側)に剥離可能な保護層3を有する。
支持層2は、一方の面2a側(図1中、上面側)に、薬剤入りの粘着剤層6が配置可能な層である。支持層2は、粘着剤層6に含有される薬剤に対し薬剤バリア性を有する材料から構成される。支持層2の材料は、貼付剤への使用が想定される薬剤に対し薬剤バリア性を有する公知のプラスチック材料から適宜、選択すればよい。
ただし、本発明は、図1に示すような、保護層3を積層する側とは反対側の面を、粘着剤層6を配置可能な面とする場合に限定されない。本発明は、図1において、保護層3を剥離後の支持層2の剥離面側(図1中、下面側)を、粘着剤層6を配置可能な面とする場合も含まれる。
ここで、支持層2が複数層から構成されていても良い。支持層2が複数層から構成される場合、各層が同一の材料から構成されていても良いし、互いに異なる材料から構成されていても良い。
保護層3の材料は、任意のものを使用可能であり、支持層2と保護層3の剥離強度や、製造工程内の寸法安定性を考慮し設計すればよい。保護層3の材料は、例えば、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの安価な材料を用いることがより好ましい。
本実施形態の保護層3は、支持層2とは反対側を向く面である裏面3a(図1中下面)が平坦である。平坦とは、印刷適性を有する平坦度を有することを指す。保護層3の平坦度は、例えば、レーザ顕微鏡の200倍観察時の算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以下であることが好ましい。裏面に平坦性があることで、巻取り時にシワが出にくくなるものである。
図1では、凹凸構造4を有する支持層2の下面2bに対し保護層3の上面3bが密着するように形成する場合を例示しているが、支持層2と保護層3との間に、空隙が形成されていても良い。例えば、保護層3を平板形状とし、保護層3の上面3bが、支持層2における凹凸構造4の凸部2B位置下面とだけ密着するように構成してもよい。
支持層2と保護層3との180°剥離試験による剥離強度が0.5N/15mm以下となっている。支持層2と保護層3との180°剥離試験による剥離強度の下限値は、0.01N/15mmである。
また本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1では、支持層2と保護層3との間に接着剤や粘着剤を介せずに直接に剥離可能に密着していることが好ましい。接着剤や粘着剤が介在しないことで、支持層2から保護層3を剥離した後に、支持層2の剥離面に他成分の付着残り(糊残り)などが発生しない。この結果、剥離後にも、支持層2の機能が損なわれることなく使用できるようになる。
凹凸構造4について、隣り合う凸部2B同士の間隔D1及び隣り合う凹部2A同士の間隔D2(図2、図3参照)は、各々、等間隔など周期性を持って配置してもよいし、異なっていても良い。間隔D1,D2は、貼付剤に要望される所望の延伸状態に応じて適宜設定することが可能である。
また、凹凸構造4の形状は、図1~図12に示すように、厚さ方向の断面図において、直線や曲線を種々組み合わせた形状であり、本実施形態の貼付剤支持体用フィルム全面で同一パターンでも良いし、異なるパターンを組み合わせても良い。なお、図1~図12の形状パターンは参考例であり、これらの形状に限定するものではない。
凹凸構造4は、複数の凸部2Bの少なくとも一つの凸部2Bの頂部2Ba及び複数の凹部2Aの少なくとも一つの凹部2Aの底部2Aaのうち少なくとも一方が、断面平坦形状となっていても良い。
図6、図10は、凸部2Bの頂部2Baが断面平坦形状であり、凹部2Aの底部2Aaが断面V字形状である場合を例示している。
図7、図11は、凸部2Bの頂部2Baが断面V字状に尖った形状であり、凹部2Aの底部2Aaが断面平坦形状断面である場合を例示している。
また、凹凸構造4は、図8、図12に示すように、凸部2Bの頂部2Ba及び凹部2Aの底部2Aaは、それぞれ層厚方向に断面V字形状に尖った形状となっており、例えば、凹凸構造4が断面鋸刃状に形成されていても良い。
また凹凸構造4は、凹部2A及び凸部2Bが、粘着剤層6を形成する側の面側(図1では上面2a側)からみて、図13及び図14に示すように、それぞれ直線状に延在するような凹凸パターンで構成しても良い。凹部2A及び凸部2Bは同幅で構成しても良いし、幅が異なるように構成しても良い。
図13は、凹凸構造4を形成する領域10を辺10a、10bを境界とした長方形形状とし、短辺10bに平行となるように、凹部2A及び凸部2Bの延在方向を設定した例である。すなわち、面方向に沿って、領域10の長辺10a方向に向けて凹部2A及び凸部2Bが並ぶように凹凸構造4を形成した例である。
また凹凸構造4は、凹部2A及び凸部2Bが、粘着剤層6を形成する側の面側(図1では上面側)からみて、図15~図17に示すように、凹部2A及び凸部2Bの延在方向の少なくとも一部が曲線で構成されるような凹凸パターンで構成しても良い。凹部2A及び凸部2Bは同幅で構成しても良いし、幅が異なるように構成しても良い。
図15は、凹凸構造4を形成する領域10を長方形形状とし、凹部2A及び凸部2Bの延在方向を、同心円状に設定した例である。
図17は、凹凸構造4を形成する領域10を長方形形状とし、凹部2A及び凸部2Bの延在方向を、短辺に平行となるように設定する共に、延在方向に沿って蛇行する蛇行状態に設定した例である。
なお、以上の凹凸パターンは一例であり、これらの形状に限定されるものではない。
例えば、一つの領域10内に、凹部2A及び凸部2Bの基本の延在方向を直線形状とし、一部に曲線に沿って延在する部分を設けたり、図13のパターンと図17のパターンを混合したパターン形状に設定したりしても良い。
また、支持層2の全面を、凹凸構造4を設ける領域10とする必要もない。例えば、図13における左右両側の縁部や凹凸の延在方向の中央部などに、凹凸構造4を形成しない箇所があっても良い。図13の場合、左右方向に伸び性が大きくなっているので、その伸びを拘束しない位置であれば、支持層2に、部分的に凹凸構造4がない部分が存在していても問題はない。
また、凸部2B位置での、貼付剤支持体用フィルム1の総厚Tは、例えば10μm以上450μm以下であると好ましく、より好ましくは10μm以上300μm以下である。
貼付剤支持体用フィルム1の支持層2の厚さは、必ずしも均一である必要はない。凹凸形状加工後のフィルムにあっては、稜線付近(向きの異なる二つの部の連結部付近)の支持層2の厚さは、他の部分の支持層2の厚さと異なっていても良い。
支持層2の厚さは、5μm以上150μmが好ましく、より好ましくは10μm以上100μmである。
凹凸構造4は凹部2Aと凸部2Bが規則的に並んでいる周期的構造であると良い。非周期的な構造としないことで、意図した伸び性を得やすいと同時に、凹凸構造4の設計や製作を簡便にすることができる。但し、非周期的な凹凸構造4や部分的に凹凸構造4の幅を変更することは任意である。
貼付剤支持体用フィルムの本体である支持層2は、凹凸構造4を有する特異構造により所要の伸び性が付与されている。すなわち、支持層2単体では伸び性があるために、製造工程で支持層2に張力を掛けた際に支持層2が必要以上に伸びてしまい、巻取りなどの操作時に、貼付剤支持体用フィルムにシワが生じたり、貼付剤支持体用フィルムの寸法が不安定になったりするという不具合が発生する場合がある。
これに対し、本実施形態の貼付剤支持体用フィルムでは、支持層2に対し保護層3が積層されている。このため、この保護層3が製造工程中でいわゆる支持体の役割をすることで、支持層2の伸びの抑制をし、巻取りシワ発生の抑制や寸法安定性に寄与する。
ここで、本実施形態のような凹凸構造4を設けない平板形状の支持層2から貼付剤支持体用フィルム(比較フィルムとも呼ぶ)を構成した場合、比較フィルムの伸び挙動は、図18の符号21に示したように、フィルムが伸び始めてから短い距離でのみ弾性変形が生じ、すぐに降伏点(以降、ネッキングが始まる起点を降伏点と呼ぶ)を迎える。降伏点以降は、ネッキングを伴う塑性変形が生じ、破断点に到達すると、フィルムが破断する。
このように、一般的に伸び性が低いとされる材料で作られた支持層2であっても、形状に工夫を与えることより、支持層2に対し、高い伸び性を付与することができる。つまり、保護層3を剥離した後の貼付剤支持体用フィルム(支持層2)は、強度と伸び性を両立することができる。
本実施形態にかかる保護層3を剥離した後の貼付剤支持体用フィルムは、引張時の初期においては、貼付剤支持体用フィルム全体は、支持層2の形状が変化することにより伸び性を向上させることができる。つまり、通常のフラットな面を持つ貼付剤支持体用フィルムのように、引っ張り当初の段階から材料自身が塑性変形して伸びることでフィルムが伸びている。本実施形態に係る保護層3を剥離した後の貼付剤支持体用フィルムにおいては、凹凸構造4の並び方向に引っ張った場合は、引っ張り当初において、支持層2の凹凸構造4に局所的な歪み(伸びや縮み)が生じ、それにより形状が変化し、潰れていくことで、弱い応力で大きな伸び性を得ることができる。そのため、凹凸構造4の形状を適切に設定することで、フィルム全体の伸びを自在に調整することが出来る。
図19は、保護層3を剥離した後の貼付剤支持体用フィルム1である、支持層2の凹凸構造4の形状を変えた場合における、全体の伸びと局所的な歪みの最大値との関係を示したものである。縦軸が局所的な歪みの最大値であり、横軸がフィルム全体の伸びである。点線で示す凹凸構造4を持たない平板状の支持層2を比較例としている。
また、図19で示す評価に用いた高い伸び性を持つ支持層2の断面形状を、図20に示す。図20(a)に示す形状Aは、凹凸構造4の凹部2Aと凸部2Bの高低差Hが比較的大きく、図20(b)に示す形状Bは、凹凸構造4の凹部2Aと凸部2Bの高低差Hが比較的小さく(但し支持層2の厚さより大きくして層厚を等しくしている)なっている。そして、本実施形態の高い伸び性を持つ支持層2は、その凹凸構造4の違いにより、全体の伸びと局所的な歪みの最大値の関係が大きく変化することが分かる。
更に、伸び性を高めるためには、凹凸構造4の高低差Hは、支持層2の厚さ(凸部2Bの頂部2Baの厚さt1と凹部2Aの底部2Aaの厚さt2の平均値、図4,図5参照)よりも大きいと良い。こうすることにより、支持層2の断面がフラットになりにくく、歪の調整効果を効果的に得ることが出来る。
また、本実施形態の高い伸び性を持つ保護層3を剥離した後の貼付剤支持体用フィルム(支持層2)は、応力を掛けた際に伸びる効果があるため、衝撃耐性も高く、凹凸構造4が潰れることによる衝撃吸収性も高いという特性も有している。
更に、凹凸構造4が図1のような1次元的構造の場合、凹凸の延在方向(図1では紙面方向)には曲げ剛性が強いという性質もある。曲げ剛性は、断面二次モーメントとヤング率の掛け算の積分によって決まる。本実施形態の高い伸び性を持つ貼付剤支持体用フィルム1は、同樹脂量の通常の貼付剤支持体用フィルム1に比べ、この断面二次モーメントが大きくなるため、曲げ剛性は高まる。
一方、凹凸構造4が図1のような1次元的構造の場合、凹凸の並び方向では、凹凸構造4を設けても支持層2の曲げ剛性は向上しないが、保護層3を設けることで、その分、曲げ剛性が向上している。すなわち、保護層を剥離する前の製造工程においては、剛性や強度が向上しているため、製造工程内での伸び防止やハンドリング性向上に寄与している。
本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1の製造方法については、例えば熱プレスによる方法や、押出成形による方法を用いることができる。
熱プレスによる方法では、製膜した多層フィルムを、片側表面に凹凸形状を設けた加熱ロール間、もしくは加熱した平板状のプレス機に通すことで作製が可能である。この際、プレス深さやプレス圧を調整することによって、支持層2と空気の界面、及び支持層2と保護層3の界面には凹凸形状が付与され、保護層3空気との界面は略平坦面が保持される。
又は、製膜した単層フィルムを、プレス表裏に凹凸形状を設け精密位置合わせされたプレス機に通すことにより支持層2のフィルムが作製でき、更に後工程で保護層3を加熱し、圧着することも可能である。
その他、射出成形など、凹凸構造4を付加するいずれかの方法が選択可能であり、特に方法が限定されるものではない。
支持層2が高い伸び性を持つ貼付剤支持体用フィルムは、後工程で支持層2の最表面、又は、支持層2から保護層3を剥離した後の支持層2の剥離面に印刷層や蒸着層、ハードコート層、反射防止層などの機能層を積層した積層体とすることもできる。又は、支持層2から保護層3を剥離した後の支持層2の剥離面に、別の熱可塑性樹脂31などを積層した積層体とすることもできる(図21参照)。別の熱可塑性樹脂31は、例えば上述のような機能層を構成する。図21では、積層した別の熱可塑性樹脂31の上に粘着剤層6を形成した場合を例示している。別の熱可塑性樹脂31の代わりに、直接、粘着剤層6を設けても良い。
このような一般的な貼付剤支持体用フィルム8では、伸び性が不足しており、貼付剤を肌に貼った後のごわつき感や、伸び性不足のために、動作時に貼付剤の端部などが剥がれてくる場合があるという問題を抱えている。
一例として、図23に本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1を使用した場合の貼付剤9の断面図を示す。本実施形態では、薬剤バリア性の高い材料を用いることで、薬剤が効率良く皮膚に吸収される効果があり、また貼付剤支持体用フィルム1の材料自体は硬く伸びにくい材料であっても、高い伸び性を示す。
ここで、本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1は、保護層3を剥離した後の支持層2が貼付剤の構成要素として使用される。これを考慮して、図21,図23(a)では、支持層2に別の熱可塑性樹脂31を配置する場合を例示している。
貼付剤支持体用フィルム1を構成する支持層2は、図24,図25のように、複数の領域10を有し、各領域10毎に個別の凹凸パターンで凹凸構造4が形成されるようにしても良い。
図24,図25は、一連の貼付剤支持体用フィルム1において、複数の区画で区分することで、複数の領域10(図24,図25は4つの領域10に区分した例)を設定した場合であり、凹凸構造4の延在方向を実線で示している。符号10cは、隣り合う境界線10の境界を示す。
図25に示す貼付剤支持体用フィルム1は、各領域10の一辺から、これと交差する他辺へと角度付けされた凹凸構造4がストレートに延在している。それ以外の構成は、図24に示す貼付剤支持体用フィルム1と同様である。凹凸構造4の、領域12を区画する境界線10cに対する角度は任意であり、領域10毎に角度が異なっていても良い。
(1)本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1は、粘着剤層を一方の面側に配置可能な支持層2を有する貼付剤支持体用フィルムであって、支持層2は、膜厚が5μm以上150μm以下で、且つ層全体が厚さ方向にうねった形状に構成されることで面に沿って凹部と凸部を繰り返す凹凸構造4を有し、凹凸構造4は、凹部と凸部との高低差Hが支持層2の厚さよりも大きく、支持層2の一方の面とは反対側の面である他方の面に、剥離可能に保護層3が積層し、支持層2と保護層3との剥離強度が、180°剥離試験で0.5N/15mm以下である。
この構成によれば、製造時の伸びや巻取りシワ等を抑制可能な成形安定性を有すると共に、薬剤バリア性と伸び性が共に良好な、保護層剥離後の貼付剤支持体用フィルム1を提供できる。
また、剥離可能な保護層3を設けることで、支持層2への傷や汚れの発生を防止する効果も有する。
この構成によれば、保護層3と支持層2との間の剥離強度を抑えつつ、保護層3による強度付与効果をより確実に行うことができる。
(3)本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1は、保護層3における支持層2とは反対側を向く面である裏面3aが平坦である。
この構成によれば、裏面に平坦性があることで、両面凹凸のものよりも巻取り時にシワが出にくくなるものである。
この構成によれば、支持層2における保護層3剥離後の剥離面に、他成分の付着残り(糊残り)などが発生しない。この結果、剥離後にも、支持層2の機能が損なわれることなく使用できるようになる。
(5)本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1は、支持層2の材料が、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリロニトリル、エチレン‐ビニルアルコール共重合体、及びそれらの変性重合体、のいずれかから選ばれる樹脂からなる。
この構成によれば、支持層2に薬剤バリア性を付与することが出来る。
この構成によれば、空隙を設けることで、支持層2と保護層3と間の剥離強度を小さく設定しやすくなる。
(7)本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1では、凹凸構造4は、複数の凸部2Bの少なくとも一つの凸部2Bの頂部2Ba及び複数の凹部2Aのうち少なくとも一つの凹部2Aの底部2Aaの少なくとも一方が、断面平坦形状となっている。
この構成によれば、本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1は、降伏点までの伸び量を稼ぎやすく、より大きな伸びが所望される貼付剤の支持体に適している。また平坦面が存在することで、薬剤入り粘着剤層または機能層を積層する際に、接触面積が増えるため密着強度が良好となる。
この構成によれば、断面V字形状の位置で引裂き直進性が向上するため、所望のサイズに切って使用する場合に、任意の断面V字形状の位置で簡単に切ることができる利点がある。
(9)本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1では、平面視で、凹部及び凸部がそれぞれ直線状に延在している。
この構成によれば、凹凸の並び方向への伸び性を確実に大きく出来るともに、凹凸の延在方向への曲げ剛性を高く設定可能となる。
この構成によれば、凹凸の並び方向への伸び性を確実に大きく出来るともに、凹凸の延在方向への曲げ剛性を高く設定可能となる。
また、少なくとも一部で延在方向に曲線が設けられていることで、例えば、体が曲がる方向を想定して曲線を形成することで、貼り付けた位置の体の変化に対し、より追従性が増すといった利点がある。
この構成によれば、確実に伸び性を向上させることができる。
(12)本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1では、凹凸が、等間隔など周期的に並んでいる。
この構成によれば、伸び性の設定がしやすくなる。
(13)本実施形態の貼付剤支持体用フィルム1では、凹凸の間隔が非周期的である。
この構成によれば、例えば、体のより曲がる部分のピッチを狭くし、曲がりの少ない部分のピッチを広くすることで、体の動きに合わせて貼付剤の伸びを制御来ることが可能となる。例えば、関節部や肩甲骨付近といった体の凹凸感が大きく変わる部分での追従性が良くなる利点がある。
この構成では、最終製品の原反として使用する場合、各領域10の伸びがある程度相殺しあうこことで、過剰な伸びが抑制されて、ロール形状などにしてフィルムを管理する際に、貼付剤支持体用フィルム1の扱いが容易となる。
また、最終製品の貼付剤支持体用フィルム1として使用する場合、伸び易い方向を2方向以上に設定しやすくなる。
この構成によれば、伸び性が良い積層体を提供可能となる。
(16)本実施形態の貼付剤は、貼付剤支持体用フィルム1又は積層体における支持層2の一方の面側に、粘着剤層6が積層すると共に、その粘着剤層6の上に剥離ライナーが形成されている。
この構成によれば、製造時の手間やコストを抑えつつ、簡易な構造で、支持体としての強度を確保しつつ、薬剤バリア性と伸び性が共に良好な貼付剤を提供可能となる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではないことはいうまでもない。また、以上の実施の形態を組み合わせて用いることは、任意である。
(実施例1)
貼付剤支持体用フィルム1の材料は、支持層2として、ポリプラスチックス株式会社製の環状オレフィン・コポリマー(COC)TOPAS 8007(商品名)を用いた。また、保護層3として、PSジャパン株式会社製のポリスチレン(PS)HF77(商品名)を用いた。そして、貼付剤支持体用フィルム1は、押出成形により、支持層2側を凹凸の付いたロールで、保護層3側を略平坦面を有する鏡面ロールでニップし、2層構造に製膜して実施例1のサンプルとした。
支持層2の厚さは12μm、保護層3の厚さは30μmとし、凹凸構造4は、台形断面形状を周期的に並べる形状とした。台形凹凸構造4の高低差Hは31μm、ピッチは140μm、上辺長さは61μm、下辺長さは68μmとした。
高低差H25μm、ピッチ50μmの波状断面形状に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2のサンプルを作製した。
(実施例3)
支持層2として、日本合成化学工業株式会社製のエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)ソアノール D2908(商品名)を用いた。保護層3として、日本ポリエチレン株式会社製の低密度ポリエチレン(LDPE)ノバテックLD LC701(商品名)を用いた。支持層2の厚さは30μm、保護層3の厚さは45μmとし、凹凸構造4は、台形断面形状を周期的に並べる形状とした。台形凹凸構造4の高低差Hは60μm、ピッチは255μm、上辺長さは205μm、下辺長さは224μmとした。
それ以外は実施例1と同様の方法で実施例3のサンプルを作製した。
支持層2の厚さは50μm、保護層3の厚さは50μmとし、凹凸構造4を、高低差H100μm、ピッチ200μmの波状断面形状に変更した以外は、実施例3と同様の方法で実施例4のサンプルを作製した。
(実施例5)
支持層2の厚さは125μm、保護層3の厚さは50μmとし、凹凸構造4を、高低差H250μm、ピッチ500μmの波状断面形状に変更した以外は、実施例3と同様の方法で実施例5のサンプルを作製した。
支持層2の厚さは6μm、保護層3の厚さは12μmとし、凹凸構造4を、高低差H31μm、ピッチは140μm、上辺長さは61μm、下辺長さは68μmの台形断面形状に変更した以外は、実施例3と同様の方法で実施例6のサンプルを作製した。
(実施例7)
実施例3において、支持層2の厚さは6μm、保護層3の厚さは12μmとし、凹凸構造4を、高さ25μm、ピッチ50μmの波状断面形状に変更した以外は、実施例3と同様の方法で実施例7のサンプルを作製した。
押出成形時に支持層2側にも凹凸のない鏡面のロールを用いて、表裏に凹凸形状のないサンプルを作製した。それ以外は実施例1と同様の方法で比較例1のサンプルを作製した。
(比較例2)
実施例1において、保護層3として、株式会社プライムポリマー製の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)エボリューSP2040(商品名)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で比較例2のサンプルを作製した。
押出成形時に支持層2側にも凹凸のない鏡面のロールを用いて、表裏に凹凸形状のないサンプルを作製した。それ以外は実施例3と同様の方法で比較例3のサンプルを作製した。
(比較例4)
支持層2の厚さは3μm、保護層3の厚さは30μmとし、凹凸構造4を、高低差Hは31μm、ピッチは140μm、上辺長さは61μm、下辺長さは68μmの台形断面形状に変更した以外は、実施例3と同様の方法で比較例4のサンプルを作製した。
保護層3の樹脂を使用せず、支持層2のみで単層押出とし、凹凸のついた一対のロールでニップすることで、サンプルを作製した。支持層2の厚さは12μmとし、凹凸構造4を、高低差Hは31μm、ピッチは140μm、上辺長さは61μm、下辺長さは68μmの台形断面形状に変更した以外は、実施例3と同様の方法で比較例5のサンプルを作製した。
(比較例6)
支持層2の厚さは30μmとし、凹凸構造4を、高低差Hは60μm、ピッチは255μm、上辺長さは205μm、下辺長さは224μmの台形断面形状に変更した以外は、比較例5と同様の方法で比較例6のサンプルを作製した。
支持層2の厚さは50μmとし、保護層3の厚さは30μmとし、凹凸構造4を、高さは31μm、ピッチは140μm、上辺長さは61μm、下辺長さは68μmの台形断面形状に変更した以外は、実施例3と同様の方法で比較例7のサンプルを作製した。
なお、できあがったサンプルは、支持層2と保護層3界面で台形形状ができていないものであった。
(比較例8)
支持層2として、NatureWorks社製のポリ乳酸(PLA)Ingeo 3052D(商品名)を用いた。保護層3として、日本ポリエチレン株式会社製の低密度ポリエチレン(LDPE)ノバテックLD LC600A(商品名)を用いた。支持層2の厚さは6μm、保護層3の厚さは12μmとし、凹凸構造4は、台形断面形状を周期的に並べる形状とした。台形凹凸構造4の高低差Hは31μm、ピッチは140μm、上辺長さは61μm、下辺長さは68μmとした。
それ以外は実施例1と同様の方法で比較例8のサンプルを作製した。
各実施例及び比較例における貼付剤支持体用フィルム1の剥離強度を評価するため、引張試験評価を実施した。
剥離強度評価は、JISK7127:1999に基づき、株式会社エー・アンド・デイ製テンシロン万能材料試験機(RTC-1250A)を用いて、支持層2と保護層3間をあらかじめ端部のみ剥離してあるサンプルを上下のチャックに別々にセットし、ゼロの状態から支持層2と保護層3間を180°剥離を行い、剥離強度が安定している区間の平均値を求めることで実施した。
測定条件については、サンプル幅は15mm、チャック間距離は50mm、引張速度は100mm/minとした。支持層2と保護層3間の剥離強度が0.3N/15mm未満を「○」とし、0.3N/15mm以上0.5N/15mm以下を「△」、0.5N/15mmを超えたら「×」とした。
各実施例及び比較例における貼付剤支持体用フィルム1の成形加工性の評価を実施した。
成形加工性評価は、主にフィルム製膜~巻取りまでの段階で、フィルムとして不具合なく成形加工できているかという点と、巻取り後のフィルムサンプルにおいて、外観に不具合が見られないかという点に注目し、目視判断評価を実施した。
成形加工性に不具合がない場合を「○」とし、不具合がある場合を「×」とした。
各実施例及び比較例における、保護層剥離後の貼付剤支持体用フィルム1の伸び性能を評価するため、引張試験評価を実施した。
伸び性評価は、JISK7127:1999に基づき、株式会社エー・アンド・デイ製テンシロン万能材料試験機(RTC‐1250A)を用いて、ゼロの状態からフィルムが破断するまで引っ張り力を付与しつつ、ゼロ状態から降伏点を迎えるまでの伸び量(以降、降伏点伸び性と呼ぶ)を求めることで実施した。
測定条件については、サンプル幅は15mm、チャック間距離は50mm、引張速度は100mm/minとした。
降伏点伸び性は20%以上を「○」とし、それ未満を「×」とした。
各実施例及び比較例における貼付剤支持体用フィルム1の薬剤吸着性能を評価するため、吸着性試験評価を実施した。
サンプルを100mm角にカットした後、サンプル中央に貼付剤(リバスタッチパッチ18mg、小野薬品工業(株)製)を貼付した。薬剤が揮発・拡散しないようにアルミ箔で密閉し、40℃75%の環境で6ヶ月保管した。その後、フィルムから貼付剤を剥がし、フィルムに吸着した薬剤をメタノールで55℃・3時間以上抽出し、Agilent Technologies社製の超高速液体クロマトグラフィー 1260 HPLCシステムにより薬剤の吸着量を測定した。薬剤吸着量は、元々の貼付剤の薬剤量の10%未満であれば「○」、それ以上であれば「×」とした。
なお、表中、第1層は支持層2を意味し、第2層は保護層3を意味する。
表1からわかるように、実施例1~7では、二層構成のフィルムにおいて、支持層2と空気、及び保護層3との界面に凹凸構造4同士が平行に延在して設けられており、保護層3と空気との界面が略平坦である構成で、支持層2の厚さが5~150μmであるため、成形加工時の不具合もなく、使用時には適切な剥離強度で剥離できる。剥離後の支持層2は、降伏点伸び性も良好で、薬剤吸着性も良い結果を示すことが分かる。
比較例7では、凹凸構造4の高低差Hよりも支持層2の厚さが大きいために、支持層2と保護層3との界面がフラットになっており、その結果フラットなフィルムと同様に使用時には降伏点伸び性が小さく伸びないフィルムとなった。
また比較例2では、支持層2としてCOC樹脂、保護層3としてLLDPE樹脂を用いたために、支持層2と保護層3間の密着が良く、剥離強度が大きくなりすぎてしまい、剥離不良が生じた。
比較例5、6では、支持層2のみを用いてフィルムの表裏両方に凹凸構造4が付与されており、成形加工時に巻取りがうまくできずにシワが入ってしまうとともに、巻取りの圧力により構造の一部が潰れてしまい、均一なフィルムが作れない結果となった。また比較例8では、支持層2の材料としてPLAを用いたため、薬剤バリア性が悪く、貼付剤としての要件を満たしていない結果となった。
2 支持層
2A 凹部
2Aa 底部
2B 凸部
2Ba 頂部
3 保護層
4 凹凸構造
6 粘着剤層
7 剥離ライナー
10 領域
H 高低差
Claims (17)
- 粘着剤層を一方の面側に配置可能な支持層を有する貼付剤支持体用フィルムであって、
上記支持層は、膜厚が5μm以上150μm以下で、且つ層全体が厚さ方向にうねった形状に構成されることで面に沿って凹部と凸部を繰り返す凹凸構造を有し、
上記凹凸構造は、上記凹部と上記凸部との高低差が上記支持層の厚さよりも大きく、
上記支持層の上記一方の面とは反対側の面である他方の面に、剥離可能に保護層が積層し、
上記支持層と上記保護層との剥離強度が、180°剥離試験で0.5N/15mm以下であり、
上記支持層と上記保護層との間に接着剤及び粘着剤が介在せず、上記支持層と上記保護層とが直接に剥離可能に接着していることを特徴とする貼付剤支持体用フィルム。 - 上記保護層の上記支持層側の面は、上記凹凸構造の上記保護層側の面形状に沿った形状となっていることを特徴とする請求項1に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 上記保護層における上記支持層とは反対側を向く面である裏面が平坦であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 上記支持層の材料が、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリロニトリル、エチレン-ビニルアルコール共重合体、及びそれらの変性重合体、のいずれかから選ばれる樹脂からなることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルム。
- 上記支持層と上記保護層との間に1又は2以上空隙が形成されていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルム。
- 上記凹凸構造は、複数の上記凸部の少なくとも一つの凸部の頂部、及び複数の上記凹部の少なくとも一つの凹部の底部のうち少なくとも一方が、断面平坦形状となっていることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 上記凹凸構造は、上記凸部の頂部及び上記凹部の底部が、それぞれ断面V字形状となっていることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 上記一方の面側において、平面視で、上記凹部及び上記凸部がそれぞれ直線状に延在していることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 上記一方の面側において、平面視で、上記凹部及び上記凸部の延在方向の少なくとも一部が曲線で構成されていることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 上記高低差は、10μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか1項に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 上記凹部と上記凸部の配置が、周期性を有することを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか1項に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 上記凹部と上記凸部の配置が非周期的であることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか1項に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 上記支持層は、複数の領域を有し、各領域毎に個別の凹凸パターンで上記凹凸構造が形成されていることを特徴とする請求項1~請求項11のいずれか1項に記載した貼付剤支持体用フィルム。
- 請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルムの上記支持層に機能層が積層された積層体。
- 上記請求項1~請求項13のいずれか1項の貼付剤支持体用フィルム,又は請求項14の積層体における上記支持層の一方の面側に、粘着剤層と剥離ライナーとがこの順に形成された貼付剤。
- 請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の貼付剤支持体用フィルムにおいて、上記保護層を剥離した後、上記支持層の上記保護層が積層していた剥離面に機能層を積層することを特徴とする積層体の製造方法。
- 上記支持層の一方の面側に、粘着剤層と剥離ライナーとをこの順に形成する請求項16に記載した積層体の製造方法。
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