JP2022169908A - フィルム、および積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】バリア性や導通性を備え、優れた強度を持ち伸度が良好であるフィルム、及びこれを用いた積層体を提供する。【解決手段】フィルム層と、前記フィルム層上に形成された被膜層とからなり、所定の方向に沿って繰り返される凹凸形状を有するフィルムであって、前記被膜層は、第1凸状稜線と、第1凹状稜線を有し、前記フィルム層は、前記第1凹状稜線に対応する第2凸状稜線と、前記第1凸状稜線に対応する第2凹状稜線を有し、前記フィルムの厚みが500μm以下であり、前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線との間隔Hは、前記第1凹状稜線と前記第2凸状稜線との間隔Tよりも大きく、前記フィルム層単体で求めた弾性率をリファレンスデータとして、動的粘弾性測定により、前記凹凸形状を有する前記被膜層の弾性率と、前記凹凸形状を有しない前記被膜層の弾性率を求めたとき、前記所定の方向に沿った前記被膜層の弾性率は、前記凹凸形状を有しない前記被膜層の素材の弾性率よりも、小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、フィルム、および積層体に関する。
一般にプラスチックフィルムは、軽量である、化学的に安定である、加工がしやすい、柔軟で強度がある、大量生産が可能、などの性質があり、様々なものに利用されている。その用途としては、例えば、食料品や医薬品等を包装する包装材や、点滴パック、買い物袋、ポスター、テープ、液晶テレビ等に利用される光学フィルム、保護フィルム、可飾フィルム、窓に貼合するウィンドウフィルム、ビニールハウス、建装材等々、多岐にわたる。その具体的な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリルポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミドなどの熱硬化性樹脂などが挙げられる。
このような用途に対し、適正なプラスチック材料が選択され、さらに、それらに形状を付与し機械的特性担保もなされている。例えば、特許文献1においては、粘着剤と薬剤バリア性のある樹脂からなるプラスチックフィルムを積層させ、さらにプラスチックフィルムに山状の表面稜線及び谷状の表面稜線を付与することで、延性を施すことが提案されている。
特開2019-88765号公報
ところで、プラスチックフィルムの機械特性は、一般的には材料や層構成により決まってしまう。このため、強度重視の材料では伸度が小さくなる傾向があり、高い強度を有しつつ十分な伸度を確保できるフィルム材料が切望されている。また、基材に蒸着層およびコーティング層を積層したバリア性包装材は、延伸すると、すぐに蒸着層に亀裂が生じてバリア性が消失してしまうという課題がある。さらに、ウェアラブルデバイス等に使用されるフレキシブル基材においては、伸縮性が乏しく、延伸したときに回路導体の金属箔の導体抵抗値が担保できないという課題もある。
このような蒸着層等の破壊を抑制しつつ伸度を確保したフィルム材料も切望されており、プラスチック材料の特性だけではカバーしきれない特性を求められる場合もあり、適正な材料の選択が困難の場合もある。このように、プラスチックフィルムの材料を問わず、バリア性や導通性のような特徴的な特性と強度および伸度とを両立できるフィルム材料の要請に対し、複数材料の混合等による対応策が検討されているが、手間やコストがかかる一方で、十分な効果を得ることは難しいというのが現状である。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みて、バリア性や導通性を備え、優れた強度を持ち伸度が良好であるフィルム、及びこれを用いた積層体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、代表的な本発明のフィルムの一つは、フィルム層と、前記フィルム層上に形成された被膜層とからなり、所定の方向に沿って繰り返される凹凸形状を有するフィルムであって、
前記被膜層は、第1凸状稜線と、第1凹状稜線を有し、
前記フィルム層は、前記第1凹状稜線に対応する第2凸状稜線と、前記第1凸状稜線に対応する第2凹状稜線を有し、
前記フィルムの厚みが500μm以下であり、
前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線との間隔Hは、前記第1凹状稜線と前記第2凸状稜線との間隔Tよりも大きく、
前記凹凸形状を有する前記被膜層の弾性率は、前記凹凸形状を有しない前記被膜層の素材の弾性率よりも小さいことにより達成される。
さらに、代表的な本発明のフィルムの一つは、
フィルム層と、前記フィルム層上に形成された被膜層とからなり、所定の方向に沿って繰り返される凹凸形状を有するフィルムであって、
前記被膜層は、第1凸状稜線と、第1凹状稜線を有し、
前記フィルム層は、前記第1凹状稜線に対応する第2凸状稜線と、前記第1凸状稜線に対応する第2凹状稜線を有し、
前記フィルムの厚みが500μm以下であり、
前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線との間隔Hは、前記第1凹状稜線と前記第2凸状稜線との間隔Tよりも大きく、
折り曲げた前記フィルム層に対して、前記被膜層が蒸着またはコーティングされていることにより達成される。
本発明のフィルムは、折り曲げたフィルム層に対して、被膜層が蒸着またはコーティングされているものであり、このためフラットなフィルム層に蒸着またはコーティングにて被膜層を形成した後、折り曲げた際に生じうる被膜層のクラックなどを抑制できる。しかしながら、製品としてのフィルムの組成を調べても、折り曲げたフィルム層に対して、被膜層が蒸着またはコーティングされたか否か特定することは困難である。したがって、本発明のフィルムには、本出願の出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情、すなわち「不可能・非実際的事情」が存在する。
本発明によれば、バリア性や導通性を備え、優れた強度を持ち伸度が良好であるフィルム、及びこれを用いた積層体を提供することが出来る。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本実施形態のフィルムにおける断面図(a)と、従来のフラットなフィルムの一例における断面図(b)である。 図2は、本実施形態のフィルムの一例における斜視図である。 図3は、本実施形態のフィルムの変形例を示す断面図である。 図4は、本実施の形態にかかるフィルム(a)と、従来のフラットな面を持つフィルム(b)とを、図の左右方向に引っ張った場合の局所的な歪み量を計算して図示した図である。 図5は、フィルムの形状を変えた場合において、フィルム全体伸びと局所的な歪みの最大値との関係を示したグラフである。 図6は、フィルムの断面形状を変えて示す断面図である。 図7は、別な実施の形態にかかるフィルムの断面図である。 図8は、別な実施の形態にかかるフィルムの断面図である。 図9は、複数区画を持つフィルムの別な実施形態を示す表面図である。 図10は、複数区画を持つフィルムの別な実施形態を示す表面図である。 図11は、複数区画を持つフィルムの別な実施形態を示す表面図である。 図12は、単一区画を持つフィルムの別な実施形態を示す表面図である。 図13は、フィルムの実施例と比較例を示す断面図である。 図14は、実施例と比較例の断面を示す図である。
以下に、図面を参照して本発明にかかるフィルムの実施形態について説明する。なお、各図は模式的に示した図であり、各部の大きさや形状等は理解を容易にするために適宜誇張して示している。また、説明を簡単にするため、各図の対応する部位には同じ符号を付している。本明細書で用いる表面と裏面は便宜上の記載であり、フィルムにおける一対の面のいずれを表面または裏面としてもよい。
本明細書で用いる「区画」とは、フィルムの表面または裏面に設けられた領域を示す用語であり、それぞれの区画の最外周を「縁」と称する。一連のフィルムに存在する、区画は1つでも良いし、複数であっても良い。複数の区画が存在する場合には、それぞれの区画の縁は相互に接していても良いし、離間していても良い。縁については、縁に固有の形状や領域が存在している必要は無いが、存在していても良い。
(フィルムの構成)
図1(a)は、本実施形態のフィルムにおける断面図の一例を示す断面図であり、図2は、本実施形態のフィルムの斜視図であって、フィルムは図の左右方向に延在しているものとする。本実施形態にかかるフィルムは、表裏面に周期的な凹凸構造(凹凸形状ともいう)を有する。かかる凹凸構造は、以下に述べるように山状稜線と谷状稜線とを有する。「稜線」とは面と面との境界線をいい、より具体的には凹凸構造の表面断面又は裏面断面における線の交点又は変曲点を複数の断面ごとに求め、各々を繋いで得られる線をいう。
図1(a)、図2に示されるように、フィルム1は、フィルム層3と、フィルム層3上に被覆された被膜層2とを有する。まず、単一区画としての表面の被膜層2は、紙面垂直方向の一縁側から他縁側にわたって平行に延在するストレートな凸状稜線2aと凹状稜線2bとを交互に等間隔で有している。また単一区画としての裏面のフィルム層3は、凸状稜線2aと凹状稜線2bとに対応する位置(厚さ方向に略一致する位置)に、紙面垂直方向の一縁側から他縁側にわたって平行に延在するストレートな凹状稜線3aと凸状稜線3bとを交互に等間隔で有している。なお、表面に設けた稜線2a、2bを表面稜線といい、裏面に設けた稜線3a、3bを裏面稜線として、互いを区別することもある。
図1(a)、図2に示すように、フィルム1はいわゆる蛇腹状に形成されている。この形状を付加することにより、フィルム1の伸度を高める効果がある。かかるフィルムの特徴を高延展性という。凸状稜線(山状稜線ともいう)2aと凹状稜線(谷状稜線ともいう)2bのピッチPは等しくてもよいし、異なっていてもよく、凹状稜線3aと凸状稜線3bのピッチも同様である。また、凸状稜線2aと凹状稜線2b及び凹状稜線3aと凸状稜線3bは、図1(a),図2で上方から見て、被膜層2及びフィルム層3の側縁に対して直交しているが、角度付けされていてもよい。凸状稜線2aと凹状稜線2bまたは凹状稜線3aと凸状稜線3bとの高さ方向の距離を、フィルムの高低差という。このフィルム1は、その高低差Hがフィルム厚みT(図1参照)よりも大きいという特徴を持つ。
(フィルムの作用)
本実施形態にかかる高延展性を持つフィルム1によれば、図1の左右方向、すなわち周期的な凹凸構造の並び方向に引っ張っていくと、まず、弾性変形による形状変形が生じ、その後、形状変形の一部に塑性変形を生じる。さらに引っ張り続けると、引っ張り応力により凹凸構造の高低差が小さくなりフラットに近づくことで形状変形できなくなり、最終的には引張変形が主効果になり、ネッキングが発生し破断する。
一方、図1(b)に示すような通常のフラットなフィルムでは、同じ引っ張り条件で引張変形しか生じない。そのため、本実施形態の高延展性を持つフィルム1は、上述のように複数の段階からなる形状変形を行うことで、通常のフィルムに比較して容易に伸ばすことができるといえる。この形状変形領域では、同じ伸度を得るのに必要な力は小さくできる。ただし最終的には、引張変形が支配的になるため、破断強度は同じ厚みのフィルムとほぼ同等である。
このとき、フィルムの高低差Hがフィルム厚みTよりも大きいと、上記のような形状変形を有効に生じさせることができ、伸びの効果を十分に得ることが出来る。フィルムの高低差Hがフィルム厚みT以下である場合は、引っ張った際に十分な形状変形が生じない。
このようにして、一般的に伸度が低いとされる材料で作られたフィルムであっても、形状に工夫を与えることより高延展性にすることができ、つまりフィルムの強度と伸度を両立することができる。
このときフィルム断面の形状、つまりフィルム1の被膜層2やフィルム層3の凹凸構造の形状を適切に制御することにより、任意の延展性を得ることができる。例えば、フィルムを破断させずに大きく伸ばしたい場合には、凹凸構造の山谷の高低差Hを大きくし、稜線頂部または稜線谷部は、丸みをあまり帯びないようにするなどの調整を行うとよい。
本実施形態にかかる高延展性を持つフィルム1は、引張時の初期においては、フィルム全体は、形状が変化することにより延展性を向上させることができる。つまり、通常のフラットな面を持つフィルムのように、引っ張り当初の段階から材料自身が延展することでフィルムが伸びているわけではない。本実施形態に係るフィルムにおいては、凹凸構造の並び方向に引っ張った場合は、引っ張り当初において、凹凸構造に局所的な歪み(伸びや縮み)が生じ、それにより形状が変化することで、大きな延展性を得ることができる。そのため、凹凸構造の形状を適切に設定することで、フィルム全体の伸びを自在に調整することが出来る。
また、本実施形態にかかる高延展性を備えるフィルム1は、上記のように形状を変化させることで伸びるため、伸ばした方向とは垂直となる方向に対して縮むことはない。つまり、ポアソン比は、ほぼ0(ゼロ)になるという特徴を持つ。
凹凸構造は、図1(a)で示した周期的な三角形状である必要はなく、波形でも良いし、矩形形状でも良く、適時変更できる。この形状により、上述のフィルム全体の伸び及び局所的な歪みが決定される。さらに、凸状稜線と凹状稜線は、必ずしも明瞭に視認できるものでなくてもよい。たとえば図3に示すように、波状の周期断面形状を持つフィルム1を想定する。かかるフィルム1において、凸状稜線は凸断面における頂点(変曲点)P1を通り、紙面垂直方向に延在する直線とし、凹状稜線は、凸状稜線に対向する位置で凹断面における頂点(変曲点)P2を通り、紙面垂直方向に延在する直線とすることができる。ただし、凸状稜線及び凹状稜線を曲線としてもよい。
(フィルムの応力と歪み)
図4(a)は、例えば図3に示すような高延展性を持つフィルム1における凹凸構造の1ピッチ分につき、図の左右方向に引っ張った場合の局所的な歪み量を計算して図示した図であり、図4(b)は、比較例として例えば図1(b)に示すようなフラットな従来のフィルムを、図の左右方向に引っ張った場合の局所的な歪み量を計算して図示した図である。
かかる計算には、汎用非線形有限要素解析ソリューションMarc(登録商標)を用いた。図4に示すフィルム断面において、白からグレー、さらに黒になるにつれて歪が大きくなっていることを示す。上記計算結果を比較すると、図4(b)に示すようにフラットなフィルムの場合、引っ張り応力は一様である。これに対し、図4(a)に示すように本実施形態のフィルム1では、頂点を挟んだ両側において高い歪を発生する箇所が生じており、そのため、それ以外のフィルムの部位における引っ張り応力を低減させる効果があることがわかる。
(フィルムの全体の伸びと局所的な歪みの最大値との関係)
図5は、フィルムの凹凸構造の形状を変えた場合における、全体の伸びと局所的な歪みの最大値との関係を示したものであり、縦軸が局所的な歪みの最大値であり、横軸がフィルム全体の伸びであって、点線で示す凹凸構造を持たない(形状なしと称する)フィルムを比較例としている。
また、図5に示す結果を得るための演算で用いた高延展性を持つフィルム1の断面形状を、図6に示す。図6(a)に示す形状Aは、凹凸構造の山谷の高低差Hが比較的大きく、図6(c)に示す形状Cは、凹凸構造の山谷の高低差Hが比較的小さく(ただしフィルム厚さより大きく)なっており、図6(b)に示す形状Bは、凹凸構造の山谷の高低差Hがその中間程度である。図5より、本実施形態の高延展性を持つフィルム1は、その凹凸構造により全体の伸びと局所的な歪みの最大値の関係が大きく変化することが分かる。
(フィルムの厚さ及び凹凸の高さ等)
また、フィルム1の厚さは500μm以下であると好ましく、より好ましくは100μm以下である。なお、フィルムの厚さは、必ずしも均一である必要は無い。凹凸形状加工後のフィルムにあっては、稜線付近のフィルムの厚さは、他の部分のフィルムの厚さと異なっていても良い。
また、凹凸構造の山谷の高低差Hは、5μm~500μmであると良い。山谷の高低差Hが5μmよりも小さい場合には、歪の調整効果を得ることは難しく、また、500μmを超える場合には、製造上凹凸構造をつけることが難しくなる。より好ましくは、10μm~200μmの範囲内であるとより良い。さらに、フィルム1の厚さTは、凹凸構造の山谷の高低差Hの半分以下であると好ましい。こうすることで、より良好な伸度を得ることができる。
また、凹凸構造は規則的に並んでいる周期的構造であると良い。ランダムな構造としないことで、意図した延展性を得やすいと同時に、凹凸構造の設計や製作を簡便にすることができる。ただし、ランダムな凹凸構造を設けることは任意である。
さらに、凹凸構造のピッチ(隣り合う凹凸構造の間隔)は、30μm以上、1000μm以下であることが望ましく、さらには、50μm以上、500μm以下であることが望ましい。凹凸構造の傾斜角は、凹凸構造がない場合を0°とし、フィルム法線方向に垂直な場合を90°とした場合、最大値で、40°以上、90°以下であることが望ましく、さらには、45°以上、85°以下であることが望ましい。こうすることで、より良好な伸度を得ることができるためである。
(フィルムの特性)
また、本実施形態の高延展性を持つフィルム1は、応力をかけた際に伸びる効果があるため、衝撃耐性も高く、凹凸構造が潰れることによる衝撃吸収性も高い。さらに、本実施形態の高延展性を持つフィルム1はラミネートした場合、フィルム1の凹凸形状により、フィルムの上下に空隙、つまり空気層を有していることから、断熱性が高いという特性も有している。
さらに、凹凸構造が図1(a),図2のような1次元的構造の場合、稜線が伸びた方向に平行となる方向(図1では紙面方向)には曲げ剛性が強いという性質もある。曲げ剛性は、断面二次モーメントとヤング率の掛け算の積分によって決まる。本実施形態の高延展性を持つフィルム1は、同樹脂量の通常のフィルムに比べ、この断面二次モーメントが大きくなるため、曲げ剛性は高まる。
(フィルム材料)
フィルム1を構成する被膜層2は、無機材料からなる蒸着膜、ドライコーティングやウェットコーティングなどに用いられる硬化樹脂(熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等)、さらに熱可塑性樹脂であると好ましい。被膜層2の膜厚は、100nm~500nmであると好ましい。無機材料からなる蒸着膜としては、例えば、Al、Si、Zn、Sn、Fe、Mn等の金属、またこれらの金属の1種以上を含む無機化合物、該無機化合物としては、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物等が挙げられる。
ドライコーティングやウェットコーティングなどに用いられる硬化樹脂としては、例えば、溶剤溶解性または水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂およびアルキルチタネート等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、エチレン酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及び、これらの誘導体などが挙げられる。このとき、これらの材料は特に限定されるものではなく、さらにこれらの材料は単独で用いられてもよいし、これらのうちの複数の材料が組み合わされて用いられてもよい。
フィルム1を構成するフィルム層3の材料としては、熱可塑性樹脂、硬化樹脂(熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等)であると好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、エチレン酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及び、これらの誘導体などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
また、硬化樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、及び、これらの誘導体などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの材料は単独で用いられてもよいし、これらのうちの複数の材料が組み合わされて用いられてもよい。また、複数の層が重ね合わさった多層構成(積層体ともいう)を形成しても良い。
(フィルムの製造方法)
製造方法については、例えば、フィルム層3については熱プレスによる方法や押出成形による方法を用いることができ、被膜層2については蒸着加工による方法やドライコーティングやウェットコーティング、さらには熱プレスによる方法や押出成形による方法を用いることができる。このとき、フィルム層3を折り曲げ加工したものの表面に被膜層2を更に成膜加工する方法が好ましいが、フィルム層3と被膜層2を同時に製造する方法を選択することもでき、特に製造方法が限定されるものではない。
また、被膜層2をフィルム層3に順に積層させる場合、フィルム層3表面に表面処理を施してもよい。表面処理を行うことにより、被膜層2(蒸着層、コーティング層、など)を積層するにあたり、両層との密着性を高めることができる。ここで、表面処理として、例えば、(1)コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの物理的処理、(2)酸やアルカリによる薬液処理などの化学的処理などを用いてもよい。
フィルム1を構成するフィルム層3の製造方法として、熱プレスによる方法では、製膜したフィルムを、表面に凹凸形状を設けた一対の加熱ロール間、もしくは一対の加熱した平板状のプレス機に通すことで作製することができる。この際、上下の凹形状と凸形状とを精密に位置合わせを行い、プレス後のフィルム表裏が連続的に山谷を繰り返す構造となっていることが重要である。
また、押出成形による方法では、Tダイより押出された溶融樹脂をフィルム化するための冷却工程において、凹凸構造に対応する一対の凹凸が表面についた冷却ロールおよびニップロールを用いて、ニップ圧力を付加しながら冷却することで、凹凸構造をつけることができる。この方法においても、冷却ロールとニップロールの凹凸形状の精密な位置合わせが、フィルム性能にかかわってくることは言うまでもない。
さらに押出成形による別の方法では、複数の押出機を使用し、複数種類の別の樹脂をフィードブロック法、またはマルチマニホールド法により共押出することで、2層以上の多層構成のフィルムを得ることができる。このときフィルム化するための冷却工程において、凹凸構造に対応する凹凸が表面についた冷却ロールおよび凹凸のないニップロールを用いて、ニップ圧力を付加しながら冷却することで、冷却ロールと接するフィルム表面に凹凸構造をつけることが出来る。
さらにこのとき、冷却ロールと接する第一樹脂層のフィルム厚さTに対し、凹凸構造の山谷の高低差Hが大きいときには、第一樹脂層とそれに隣接する第二樹脂層との界面にも同様に凹凸構造が付加される。そのため、冷却後の多層フィルムから第二樹脂層を剥離すれば、両面に凹凸構造を持ったフィルム層3を得ることができる。
その他、射出成形など、凹凸構造を付加するいずれかの方法が選択可能であり、特に方法が限定されるものではない。
フィルム1を構成する被膜層2の製造方法として、蒸着膜層である被膜層2を略等しい膜厚でフィルム層3に積層する場合、公知の蒸着方法から適宜選択し用いてよい。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法等の化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、ALD:Atomic Layer Deposition法などを用いてよく、いずれかの方法が選択可能であり、特に方法が限定されるものではない。
例えば、真空蒸着法の場合、加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると、電子線加熱方式または抵抗加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着膜層とフィルム層3の密着性及び蒸着膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、透明性が担保可能な蒸着膜の場合、その透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
一方、コーティング層である被膜層2をフィルム層3に積層する方法としては、塗布液を調整し、折り曲げられたフィルム層3上に塗布液を塗布し、塗布液を加熱乾燥することにより、略等しい膜厚の被膜層2を形成する。塗布液の塗布方法としては、通常のコーティング方法を用いることができ、例えばディッピング法、ローコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など、熱を付与する方法を、1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
予め折り曲げられたフィルム層3に対して、被膜層2を蒸着やコーティングにて形成した場合、稜線に素材のダレや流動などが生じる。このため、凹凸形状が繰り返される方向に沿った断面において、山状稜線2aおよび谷状稜線2bを挟む2線(2面)を接続する円弧の半径は、それらに対応する山状稜線3aと谷状稜線3bを挟む2線(2面)を接続する円弧の半径よりも大きくなる。なお、ここで「円弧」とは、断面上の2線を接続する接続部を円弧で近似した場合を含む。
被膜層2を熱可塑性樹脂とする場合、熱プレスによる方法では、製膜したフィルムを、表面に凹凸形状を設けた一対の加熱ロール間、もしくは一対の加熱した平板状のプレス機に通すことで作製することができる。この際、上下の凹形状と凸形状とを精密に位置合わせを行い、プレス後のフィルム表裏が連続的に山谷を繰り返す構造となっていることが重要である。
また、押出成形による方法では、複数の押出機を使用し、フィルム層3と被膜層2を同時に積層させることもできる。複数種類の別の樹脂をフィードブロック法、またはマルチマニホールド法により共押出することで、2層以上の多層構成のフィルムを得ることができる。このときフィルム化するための冷却工程において、凹凸構造に対応する凹凸が表面についた冷却ロールおよび凹凸のないニップロールを用いて、ニップ圧力を付加しながら冷却することで、冷却ロールと接するフィルム表面に凹凸構造をつけることが出来る。さらにこのとき、冷却ロールと接する第一樹脂層の被膜層2と第二樹脂層のフィルム層3と第三樹脂層のフィルム厚さTに対し、凹凸構造の山谷の高低差Hが大きいときには、第一樹脂層の被膜層2および第二樹脂層のフィルム層3と、それに隣接する第三樹脂層との界面にも同様に凹凸構造が付加される。そのため、冷却後の多層フィルムから第三樹脂層を剥離すれば、両面に凹凸構造を持った被膜層2とフィルム層3が積層されたフィルム1を得ることができる。
(フィルムの弾性率)
本実施形態にかかる高延展性を持つフィルム1によれば、図1(a)に示すような連続した凹凸構造をもつ前記被膜層2単体と、図1(b)に示すような凹凸構造を持たない(フラットな)被膜層2’単体の弾性率を比較したときに、所定の方向(すなわち凹凸構造が繰り返される方向)において、連続した凹凸構造をもつ被膜層2のほうが小さい弾性率を持つ。
凹凸構造をもつ被膜層2の弾性率は、1.0×10GPa未満であると好ましい。
凹凸構造を持たない場合のフィルム1’を構成する被膜層2’の弾性率と同程度の弾性率もしくはより大きい方向(凹凸構造が繰り返される方向と直交する方向)に、フィルム1を引っ張った場合、凹凸構造を持たない場合のフィルム1’と同様に、はじめに弾性変形による形状変形が生じた際、被膜層2が通常の延展性を発現する前にクラックが入り、破断してしまう。したがって、フィルム1は、凹凸構造が繰り返される方向に引っ張り力が付与される使用形態で使用されることが好ましい。
フィルム1を構成する各層の弾性率は、公知の弾性率評価方法から適宜選択し用いてよい。例えば、引張試験機などいずれかの方法が選択可能であり、特に方法が限定されるものではないが、層ごとに異なる評価手法用いることはなるべく避け、統一した評価手法を用いることが好ましい。さらに、被膜層2が蒸着薄膜層やコーティング層などであって、単体での弾性率評価を実施したいが独立膜を得ることが困難な場合は、動的粘弾性測定装置(DMA)も用いることもできる。
DMAを用いた弾性率評価方法として、例えば、被膜層2が無機物蒸着膜層で、フィルム層3がオレフィン系プラスチックフィルム層だった場合、フィルム層3上の無機物蒸着膜層単体の弾性率を算出する方法としては、まずフィルム層3単体の弾性率をリファレンスデータとして測定し、次に被膜層2とフィルム層3が一体となったフィルム1の弾性率を測定する。このとき、フィルム層3のガラス転移温度(Tg)付近での弾性率は、Tg以下での弾性率よりも約10分の1程度になる。一方、無機物蒸着膜などの被膜層2は、フィルム層3のTg以下およびTg付近の温度では変化しない。フィルム層3がTg以下の時、フィルム層3と被膜層2が一体となった試料では、DMAで測定された弾性率E’はフィルム層3が支配的になるが、Tg付近ではフィルム層3の弾性率が約10分の1程度になるため、被膜層2の弾性率が支配的になる。そこで式(1)に示す複合則を用いて、被膜層2単体の弾性率を算出することができる。
式(1) Ef=((h+d)/h)・Ec-(d/h)・Es
前記複合則における、Efは被膜層2膜の弾性率、Ecはフィルム層3と被膜層2膜の一体フィルムの150℃時の弾性率、Esはフィルム層3単体の150℃時の弾性率、hは被膜層2の厚み[mm]、dはフィルム層3の厚み[mm]である。
同様にして、被膜層2’とフィルム層3’が一体となったフラットなフィルム1’の弾性率に基づいて、凹凸構造を有しない被膜層2’の弾性率を求めることができる。凹凸構造を有しない被膜層2’の弾性率は、方向によらず一定である。
(積層体)
高延展性を持つフィルム1は、図1(a)のように1層であっても良いし、さらに、図7(a)、(b)、図8(a)、(b)のように、高延展性を持つフィルム1に別のフィルム6をラミネートした積層体5とすることもできる。ここで、図7(a)、(b)の実施の形態によれば、フィルム1に別のフィルム6を直接貼り付けて積層体5としている。図7(a)の例では、凹凸構造を有するフィルム1と、フラット(平行平板状の)なフィルム6との間に、断面三角状の空隙CLが形成される。一方、図7(b)の例では、凹凸構造を有するフィルム1と、片面三角形状のフィルム6とを密着させている。フィルム6は、比較的ヤング率が低い素材から形成されるため、フィルム1の伸びに応じて変形し、フィルム1の伸びを阻害しない。
一方、図8(a)、(b)の実施の形態によれば、フィルム1に接着剤もしくは粘着剤層7を介して別のフィルム6を貼り付けて積層体5としている。別のフィルム6は特定の機能を持つ機能層とすることが好ましい。図8(a)の例では、凹凸構造を有するフィルム1とフラットなフィルム6とを、接着剤もしくは粘着剤層7を介して接着しており、フィルム1と接着剤もしくは粘着剤層7との間に、断面三角状の空隙CLが形成される。一方、図8(b)の例では、凹凸構造を有するフィルム1とフラットなフィルム6との間の断面三角状の空隙CLに粘着剤層7を充填することで、フィルム1とフラットなフィルム6とを接着している。フィルム6及び接着剤もしくは粘着剤層7は、比較的ヤング率が低い素材から形成されるため、フィルム1の伸びに応じて変形し、フィルム1の伸びを阻害しない。
(フィルムの利用用途)
たとえば高延展性を持つフィルム1やそれを用いた積層体を、バリアフィルム、回路導体をもったフレキシブル基材、包装材、湿布などの貼付剤の支持体として利用することが考えられる。その他、本フィルムを加飾した伸びる加飾フィルムや、本フィルムの構造を利用することで見る方向により見え方を変えることができるフィルム、更に伸ばすことで形状を変化させることにより見え方を変化させるフィルムなどへの応用が考えられるが、用途はこれらに限られるものではない。
適用例であるバリアフィルムでは、例えば食品や精密電子部品及び医薬品の包材として用いられ、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を通過する水蒸気や、その他内容物を変質させる気体や光線による影響を防止する必要があり、さらに内容物の形態を問わず伸縮性があると望ましいとされる。水蒸気バリア性および光線遮断性の高い材料に対して、凹凸構造を付加し、高延展性を持つフィルム1とすることで、これらすべての要求を満たすことができる。水蒸気バリア性および光線遮断性の高い材料としては、例えば、アルミニウムなどの金属蒸着膜を被膜層2とし、プラスチック層をフィルム層3としたフィルム1が有効であると言える。
(フィルムの別な実施形態)
図9~12は、一連のフィルムにおいて、複数の区画を有する場合の実施形態を示す表面図であり、山状稜線を一点鎖線または実線で示し、谷状稜線を点線で示している。図9において、フィルム1は、それぞれ縁Frにより囲まれた16つの区画1Aを有しており、各区画1Aの一つの縁Fr(「縁端」とも言う)から、これと対向する他の縁端へと山状稜線2aと谷状稜線2bがストレートに延在している。ただし、隣接する区画1A同士においては、山状稜線2aと谷状稜線2bとが異なる方向に延在している。図示していないが、裏面側の山状稜線と谷状稜線も同様である。
1つの区画内は1次元的構造を有していることから一方向には伸びるが、それと直交する方向には伸びない。図9に示す例のように伸びる方向と伸びない方向が隣接した場合、全体としての伸びは弱まる。一般に伸縮性を有するフィルムでは、加工時にフィルムが伸びて安定した製膜が難しい一面を持つが、図9に示すような配置とすることで、成形加工時に安定して製膜ができる。最終製品では区画毎にカットしたり、打ち抜き加工を行うことで、所望の一方向へ伸びるフィルム1を提供できる。
隣接する区画1A同士の間には、明確な境界がなくてもよい。また、一連のフィルム上に存在する区画1Aの数は任意である。
また、図10に示すフィルム1では、それぞれ縁Frにより囲まれた2つの区画1Aの一方(図中右半分)において、山状稜線2aと谷状稜線2bが縦方向に延在し、他方(図中左半分)において山状稜線2aと谷状稜線2bが横方向に延在している。この例では、例えばフィルムの半分(左右方向に引っ張る場合は左半分)を固定し、残りの半分(左右方向に引っ張る場合は右半分)のみを伸縮させたい場合などに効果がある。
図11に示すフィルム1において、それぞれ縁Frにより囲まれた各区画1Aの一縁端から、これと交差する他縁端へと、角度付け(45度)された山状稜線2aと谷状稜線2bがストレートに延在している。それ以外の構成及び効果は、図10に示すフィルム1と同様である。山状稜線2aと谷状稜線2bの角度は任意であり、区画ごとに異なっていてもよい。
図12に示すフィルム1は、単一の区画を持つ帯状のフィルムであって、その一方の側縁Frから他方の側縁Frにわたって、山状稜線2aと谷状稜線2bが円弧状に延在している。それ以外の構成は上述した実施の形態と同様である。
図13は、フィルムの実施例と比較例を示す断面図である。図13に示すフィルムでは、表面2において山状稜線群2a1、2a2,2a3と、谷状稜線群2b1,2b2,2b3とが並んで設けられ、これらに対向して裏面3において、谷状稜線群3a1、3a2,3a3と、山状稜線群3b1,3b2,3b3とが並んで設けられている。これら稜線群は周期的に繰り返される。
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではないことはいうまでもない。また、以上の実施の形態を組み合わせて用いることは、任意である。
以下、本発明者らが作成した実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。本発明者らは、従来技術の問題点に鑑み、被膜層2の有する特性の延伸による効果維持を確認するため、アルミニウムを蒸着したAL蒸着膜について、アルミニウムの特徴的な特性である「水蒸気透過率」と「導通性」について、合計3つの実施例と5つの比較例を作成して比較した。被膜層2はもちろんAL蒸着膜である必要はないし、そのとき選択した被膜層2の材料の特性に合った延伸による効果維持の評価方法を、適宜選択することができる。
(基本となるフィルム層3の作製方法)
高延展性を持つフィルム1をなすフィルム層3は、押出成形により、凹凸のついたロールでニップし、製膜した。フィルム層3の材料は、株式会社ベルポリエステルプロダクツ製のポリエチレンテレフタレート(PET)であるEFG70(商品名)とした。凹凸構造は、図14に示すように、(a)比較例3として凹凸形状なし、(b)実施例3として波形断面形状の凹凸形状、(c)実施例1,2および比較例1,2,4として台形断面形状の凹凸形状、(d)比較例5として片面台形断面形状の凹凸形状を周期的に並べた層構成とした。
(基本となる被膜層2の作製方法)
上記で作製したフィルム層3に積層させる被膜層2は、真空蒸着機により、金属蒸着膜を製膜した。被膜層2の材料はアルミニウムを使用し、厚みは200nmとした。実施例1,2,3、比較例3,4,5については、アルミニウムを、フィルム層としてのPETフィルム上に蒸着して被膜層を形成した。このとき、比較例2については、この積層させた被膜層2をフィルム層3から剥離し、被膜層2単体の取得を試みた。また、比較例1には被膜層2を積層させていない。
(形状評価方法)
フィルム1は、断面カット後、株式会社キーエンス製レーザーマイクロスコープ(VHX-1000)を用いてフィルム断面を観察した。このとき、フィルム1の表面および裏面に、少なくとも1つ以上の高さが連続した凹凸形状を有している場合を○とし、そうでない場合×とした。
(延展性評価方法)
各実施例及び比較例におけるフィルム1の延展性能を評価するため、引張試験評価を実施した。延展性評価は、JISK7127:1999に基づき、株式会社島津製作所製引張試験機(AGS-500NX)を用いて、ゼロの状態からフィルムが破断するまで引っ張り力を付与しつつ、適時フィルムの伸びを求めることで実施した。測定条件については、サンプル幅は15mm、チャック間距離は50mm、引張速度は100mm/minとした。このとき、MD(machine direction)方向またはTD(transverse direction)方向において、サンプルを5%引っ張った時、サンプルが破断しない場合○とし、破断した場合×とした。
(弾性率評価方法)
各実施例及び比較例におけるフィルム1をなす被膜層2の弾性率を評価するため、株式会社日立ハイテクサイエンス製熱機械分析装置DMA7100を用いて、その測定値をもとに被膜層2の弾性率は、式(1)にしたがって算出した。測定条件については、サンプル幅は10mm、サンプル長さは20mm、測定温度は20~90℃、レートは2℃/min、最小張力/圧縮力は50mN、張力/圧縮ゲインは1.2、力振幅初期値は50mN、DMA周波数1.0Hzとした。このとき、凹凸形状をもたない比較例3の被膜層2’の弾性率は7.0×10GPaであったので、それと比較して、延展性評価と同じ引張方向にサンプルをセットしたときのフィルム1の被膜層2の弾性率が1.0×10GPa未満である場合を○とし、1.0×10GPa以上である場合×とした。
(水蒸気透過率評価方法)
各実施例及び比較例におけるフィルム1の延展後のAL蒸着膜の効果維持を評価するため、水蒸気透過率の評価をJISZ0208に基づき実施した。保管環境はエスペック製ビルドインチャンバーTBE-3HW2P3Aを使用し、保管時の温度を40℃、湿度を90%とした。透湿カップは井元製作所製透湿カップ15BF、吸湿剤は関東化学製水分測定用塩化カルシウム、封緘用グリースは東レ・ダウコーニング製高真空用グリースFE-50を使用した。サンプルをセットした透湿カップを保管環境に24時間保管し、保管前後の重量変化を測定し、規定の算出方法から水蒸気透過率を求めた。このとき、実施例および比較例のサンプルを延伸する前のサンプルの測定値と、5%延伸した後の測定値を比較して、水蒸気透過率の変化量が5g/m・day以下だった場合を〇とし、5g/m・day以上だった場合を×とした。
(導電性評価方法)
各実施例及び比較例におけるフィルム1の延展後のAL蒸着膜の効果維持を評価するため、導電性の評価をJISK7194に基づき実施した。測定装置として日東精工アナリテック株式会社製ロレスター(MCP-T610)を使用し、4本の探針が延展性評価にて引っ張った方向と平行になるようにサンプルを置いて表面抵抗値の測定を実施した。このとき、実施例および比較例のサンプルを延伸する前のサンプルの測定値と5%延伸した後の測定値を比較して、表面抵抗値に1.0×10Ω/未満の変化量の場合を○とし、1.0×10Ω/以上の変化量の場合を×とした。
(総合判定)
形状性、延展性、導通性、バリア性のすべてにおいて良好(評価○)であった場合○、1つでも不良(評価×)があった場合×とした。
(評価結果)
実施例と比較例の仕様及び評価結果を、表1に示す。
Figure 2022169908000002
(評価結果)
表1からわかるように、実施例1~3では、フィルムが被膜層とフィルム層を有する2層構成であり、フィルムの表面および裏面に1つ以上の高さが連続した凹凸形状を有しており、この連続した凹凸形状の高低差が、被膜層とフィルム層を合わせたフィルム厚みよりも大きいため、良好な延展性を示し、さらに延展後にもAL蒸着膜の特性の「水蒸気透過率」と「導通性」を担保できることが分かる。
一方、比較例1では、フィルム層のプラスチックフィルム単体では延展性を発現するものの、特性として「水蒸気透過率」と「導通性」は発現しなかった。比較例2では、被膜層のAL蒸着膜単体において加工の時点で単体に剥離することができず、フィルム形状にもならなかった。また比較例3では、凹凸構造をもたないフラットフィルムであったために、延展性がまったくなく、引っ張った時点でフィルムが破断してしまい、AL蒸着膜の特性が発現されることはなかった。比較例4においては、被膜層の弾性率がフラットフィルムの第1比較例と比較して同等だったために、延展性がまったくなく、比較例3と同様に引っ張った時点でフィルムが破断してしまった。さらに比較例5においても、フィルムの表面には凹凸形状を有していたが、裏面には凹凸形状を有していなかったため、被膜層の弾性率は条件を満たしていたもののフィルム層に延展性がなく、比較例3,4と同様にフィルムが破断してしまった。
したがって、表1の総合判定からも分かるように、実施例1~3は、形状性、延展性、導通性、バリア性のすべてにおいて良好(評価○)であるのに対し、比較例1~5はいずれかの評価が不良(評価×)であることから、実施例のフィルムの優位性を確認できた。
1 フィルム
1A 区画
2 被膜層
2a、3b 凸状稜線
3 フィルム層
2b、3a 凹状稜線
5 積層体
6 別のフィルム
7 粘着剤層(または接着剤層)
Fr 縁

Claims (12)

  1. フィルム層と、前記フィルム層上に形成された被膜層とからなり、所定の方向に沿って繰り返される凹凸形状を有するフィルムであって、
    前記被膜層は、第1凸状稜線と、第1凹状稜線を有し、
    前記フィルム層は、前記第1凹状稜線に対応する第2凸状稜線と、前記第1凸状稜線に対応する第2凹状稜線を有し、
    前記フィルムの厚みが500μm以下であり、
    前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線との間隔Hは、前記第1凹状稜線と前記第2凸状稜線との間隔Tよりも大きく、
    前記フィルム層単体で求めた弾性率をリファレンスデータとして、動的粘弾性測定により、前記凹凸形状を有する前記被膜層の弾性率と、前記凹凸形状を有しない前記被膜層の弾性率を求めたとき、前記所定の方向に沿った前記被膜層の弾性率は、前記凹凸形状を有しない前記被膜層の素材の弾性率よりも、小さいことを特徴とするフィルム。
  2. フィルム層と、前記フィルム層上に形成された被膜層とからなり、所定の方向に沿って繰り返される凹凸形状を有するフィルムであって、
    前記被膜層は、第1凸状稜線と、第1凹状稜線を有し、
    前記フィルム層は、前記第1凹状稜線に対応する第2凸状稜線と、前記第1凸状稜線に対応する第2凹状稜線を有し、
    前記フィルムの厚みが500μm以下であり、
    前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線との間隔Hは、前記第1凹状稜線と前記第2凸状稜線との間隔Tよりも大きく、
    折り曲げた前記フィルム層に対して、前記被膜層が蒸着またはコーティングされていることを特徴とするフィルム。
  3. 前記被膜層の前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線、および前記フィルム層の前記第2凸状稜線と前記第2凹状稜線は、それぞれ交互に並んで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 前記被膜層は、一群の前記第1凸状稜線と、一群の前記第1凹状稜線とを有し、
    前記フィルム層は、前記第1凹状稜線にそれぞれ対応付けた一群の前記第1凸状稜線と、前記第1凸状稜線にそれぞれ対応付けた一群の前記第2凹状稜線とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
  5. 前記被膜層の前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線、および前記フィルム層の前記第2凸状稜線と前記第2凹状稜線は、それぞれ直線であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム。
  6. 前記被膜層の前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線、および前記フィルム層の前記第2凸状稜線と前記第2凹状稜線は、それぞれ曲線であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム。
  7. 所定の区画内において、前記被膜層が、前記第1凸状稜線と、前記第1凹状稜線を有し、前記フィルム層が、前記第1凹状稜線に対応する第2凸状稜線と、前記第1凸状稜線に対応する第2凹状稜線を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルム。
  8. 前記区画は複数個形成されており、たがいに接していることを特徴とする請求項7に記載のフィルム。、
  9. 前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線との間隔Hは、5μm~500μmであることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルム。
  10. 前記被膜層の前記第1凸状稜線と前記第1凹状稜線、および前記フィルム層の前記第2凸状稜線と前記第2凹状稜線は、それぞれ等間隔で並んでいることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルム。
  11. 凹凸形状が繰り返される方向に沿った断面において、前記第1凸状稜線または前記第1凹状稜線を挟む2線を接続する円弧の半径は、前記第1凹状稜線に対応する前記第2凸状稜線、または前記第1凸状稜線に対応する前記第2凹状稜線を挟む2線を接続する円弧の半径よりも大きい、
    ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルム。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載されたフィルムに、別のフィルムを積層したことを特徴とする積層体。
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