以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態に係る加工システム10について説明する。なお、以下の説明においては、図中の直交座標系を方向の基準とし、便宜上、x軸プラス方向を右方、y軸プラス方向を前方、z軸プラス方向を上方とする。
加工システム10は、ロボットシステム12およびワーククランプシステム14を備える。ロボットシステム12は、ロボット16およびロボット制御部18を有する。ロボット16は、マニピュレータ20およびロボットハンド22を有する。
マニピュレータ20は、サーボモータ(図示せず)を内蔵し、ロボットハンド22を移動させる。ロボットハンド22は、ハンドベース24と、該ハンドベース24に開閉可能に設けられた複数の指部26および28と、該指部26および28を開閉させる動力を発生させる指部駆動部(図示せず)とを有する。指部駆動部は、例えば、サーボモータ、または、空圧式もしくは油圧式のシリンダ(図示せず)を含む。
指部26は、基端部30と、該基端部30から2叉状に分岐して延びる2つの指先部32とを有する。指先部32の各々の先端には、右方へ突出する爪部(図示せず)が形成されている。
指部28は、指部26の右側に配置されている。指部28は、基端部34と、該基端部34から2叉状に分岐して延びる2つの指先部36とを有する。指先部36の各々の先端には、左方へ突出する爪部(図示せず)が形成されている。
ロボット制御部18は、マニピュレータ20に内蔵された各サーボモータへ指令を送り、マニピュレータ20を動作させる。また、ロボット制御部18は、ロボットハンド22に設けられた指部駆動部へ指令を送り、指部26および28を開閉する。
ワーククランプシステム14は、ワーククランプ装置40およびクランプ装置制御部42を有する。図1〜図3に示すように、ワーククランプ装置40は、第1支持台44、ブラケット46、第2支持台48、駆動部50、および可動部52を有する。
第1支持台44および第2支持台48は、互いに左右方向へ離隔してワークセルの床に固定されている。第1支持台44および第2支持台48には、土台プレート54が固定されている。
土台プレート54は、第1支持台44と第2支持台48との間で延在する。土台プレート54の上には、互いに前後方向に離隔して配置された一対のレール部56が固設されている。これらレール部56の各々は、左右方向に真直ぐに延在している。なお、図1〜図3においては、一対のレール部56のうち、後方側のレール部56のみが図示されている。
ブラケット46は、第1支持台44の右端面44aに固定されている。ブラケット46は、その右端面46aから右方へ突出する計3個の円柱状のボス58を有する。これらボス58の各々の右端面58aには、計3個の連結シャフト60が、固設されている。
図3および図4に示すように、連結シャフト60は、略円柱状の棒部材であって、ボス58の右端面58aから右方へ突出している。連結シャフト60の各々には、複数の爪部62が可動に設けられている。
爪部62は、連結シャフト60の外周面60aから内方へ凹むように該連結シャフト60に形成された穴(図示せず)に、それぞれ収容されている。爪部62の各々は、連結シャフト60の外周面60aから外方に突出する突出位置と、連結シャフト60の外周面60aよりも内方へ後退する後退位置との間で、該連結シャフト60の径方向へ移動可能である。
爪部62は、連結シャフト60に設けられた付勢部(図示せず)によって、連結シャフト60の径方向外側へ向かって付勢される。この付勢部は、例えば、連結シャフト60に形成された穴内に配置されたバネ、または、クランプ装置制御部42からの指令に応じて爪部62を進退させる、空圧式もしくは油圧式のシリンダを有する。
駆動部50は、油圧式または空圧式のシリンダである。具体的には、駆動部50は、第3支持台64と、該第3支持台64に支持されたシリンダ本体部66と、該シリンダ本体部66に進退可能に受容されたシリンダシャフト68とを有する。
第3支持台64は、土台プレート54の上に固定されている。シリンダ本体部66は、中空部材であって、ピストン(図示せず)を内蔵している。このピストンは、シリンダシャフト68に連結されており、外部機器(図示せず)からシリンダ本体部66内に供給された流体(例えば、オイルまたは圧縮ガス)の圧力に応じて、左右方向へ駆動される。これにより、シリンダシャフト68は、左右方向に進退する。シリンダシャフト68の先端は、サイドプレート72に連結されている。
可動部52は、左右方向に移動可能となるように、土台プレート54の上に設置されている。具体的には、可動部52は、互いに前後方向に離隔して設けられた一対の係合部70と、係合部70の上に固設されたサイドプレート72とを有する。
一対の係合部70の各々は、上述した一対のレール部56の各々と摺動可能に係合している。なお、図1〜図3においては、一対の係合部70のうち、後方側の係合部70のみが図示されている。可動部52は、係合部70とレール部56との係合によって、該レール部56に沿って左右方向へ移動するように、案内される。
サイドプレート72は、その左端面72aから左方へ突出するように設けられた計3個の円柱状のボス74を有する。これらボス74の各々の左端面74aには、計3個の連結シャフト76が、固設されている。
本実施形態においては、これら連結シャフト76は、該連結シャフト76のy−z平面における位置が、上述の連結シャフト60のy−z平面における位置とそれぞれ同じとなるように、配置されている。
図1および図5に示すように、連結シャフト76は、略円柱状の棒部材であって、ボス74の左端面74aから左方へ突出している。連結シャフト76の各々には、複数の爪部78が可動に設けられている。
爪部78は、連結シャフト76の外周面76aから内方へ凹むように該連結シャフト76に形成された穴(図示せず)に、それぞれ収容されている。爪部78の各々は、連結シャフト76の外周面76aから外方に突出する突出位置と、連結シャフト76の外周面76aよりも内方へ後退する後退位置との間で、該連結シャフト76の径方向へ移動可能である。
爪部78は、連結シャフト76に設けられた付勢部(図示せず)によって、連結シャフト76の径方向外側へ向かって付勢される。この付勢部は、例えば、連結シャフト76に形成された穴内に配置されたバネ、または、クランプ装置制御部42からの指令に応じて爪部78を進退させる、空圧式もしくは油圧式のシリンダを有する。
図1および図2に示すように、ワーククランプ装置40は、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82をさらに有する。第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82は、その間にワークを挟み込んで該ワークをクランプするための部材である。
本実施形態においては、第1のクランプ部材80は、ブラケット46に着脱される。図6に示すように、第1のクランプ部材80は、その左端面84から左方へ突出するように設けられた計3個の円柱状のボス86を有する。
ここで、第1のクランプ部材80には、ボス86の左端面86aから右方へ凹む計3個の穴88が、形成されている。これら穴88は、円形状の外形を有し、それぞれ、上述の連結シャフト60を摺動可能に受容することができる。
具体的には、穴88の各々は、第1穴部88a、第2穴部88b、および第3穴部88cを有する。第1穴部88aは、左方へ向かうにつれて拡径するテーパ面によって画定されている。
第2穴部88bは、第1穴部88aを画定するテーパ面の右端と略同じ直径を有する。第3穴部88cは、第2穴部88bよりも大きな直径を有し、第2穴部88bと第3穴部88cとの接続部には、段差88dが形成されている。
また、第1のクランプ部材80には、その左端面84から右方へ凹む計2個の爪受容穴89が、形成されている。これら爪受容穴89は、ロボットハンド22の指先部32の先端に設けられた2つの爪部をそれぞれ受容することができる。本実施形態においては、爪受容穴89は、それぞれ、上側のボス86の前方および後方に離隔して、配置されている。
また、第1のクランプ部材80には、その右端面90から左方へ凹むピン受容穴92が、形成されている。
一方、第2のクランプ部材82は、可動部52のサイドプレート72に着脱される。第2のクランプ部材82は、その右端面94から右方へ突出するように設けられた計3個の円柱状のボス96を有する。
ここで、第2のクランプ部材82には、ボス96の右端面96aから左方へ凹む計3個の穴98が、形成されている。これら穴98は、円形状の外形を有し、それぞれ、上述の連結シャフト76を摺動可能に受容することができる。
具体的には、穴98の各々は、第1穴部98a、第2穴部98b、および第3穴部98cを有する。第1穴部98aは、右方へ向かうにつれて拡径するテーパ面によって画定されている。
第2穴部98bは、第1穴部98aを画定するテーパ面の左端と略同じ直径を有する。第3穴部98cは、第2穴部98bよりも大きな直径を有し、第2穴部98bと第3穴部98cとの接続部には、段差98dが形成されている。
また、第2のクランプ部材82には、その右端面94から左方へ凹む計2個の爪受容穴104が、形成されている。これら爪受容穴104は、ロボットハンド22の指先部36の先端に設けられた2つの爪部をそれぞれ受容することができる。本実施形態においては、爪受容穴104は、それぞれ、上側のボス96の前方および後方に離隔して、配置されている。
また、第2のクランプ部材82には、その左端面102から左方へ突出するピン100が、形成されている。このピン100は、第1のクランプ部材80に形成されたピン受容穴92に受容され得る。
クランプ装置制御部42は、駆動部50を制御する。具体的には、クランプ装置制御部42は、駆動部50へ指令を送り、シリンダシャフト68を左右方向へ進退させ、これにより、可動部52を左右方向へ移動させる。
本実施形態においては、ロボット制御部18とクランプ装置制御部42とは、互いに通信可能に接続されている。ロボット制御部18およびクランプ装置制御部42は、互いに通信しつつ、クランプ部材80、82を交換するプロセスを実行する。このプロセスについては、後述する。
次に、図7を参照して、加工システム10の動作について説明する。加工システム10は、複数の種類のワークを加工するために、加工すべきワークの種類に対応して、ワーククランプ装置40のクランプ部材を、ロボット16によって交換する。
図7に示すフローは、ロボット制御部18またはクランプ装置制御部42が、使用者、上位コントローラ、または加工プログラムから、クランプ部材を交換する指令を受け付けたときに、開始する。
ステップS1において、ロボット制御部18またはクランプ装置制御部42は、ブラケット46およびサイドプレート72に、クランプ部材が装着されているか否かを判定する。
例えば、ロボット制御部18またはクランプ装置制御部42は、使用者からの入力信号、または加工プログラムから、ブラケット46およびサイドプレート72にクランプ部材が装着されているか否かを判定する。
ロボット制御部18またはクランプ装置制御部42は、ブラケット46およびサイドプレート72にクランプ部材が装着されている(すなわち、YES)と判定した場合、ステップS9へ進む。
一方、ロボット制御部18またはクランプ装置制御部42は、ブラケット46およびサイドプレート72にクランプ部材が装着されていない(すなわち、NO)と判定した場合、ステップS2へ進む。
ステップS2において、ロボット制御部18またはクランプ装置制御部42は、次に加工すべきワークの情報を取得し、該加工すべきワークをクランプするためのクランプ部材の種類を特定する。
以下、ロボット制御部18またはクランプ装置制御部42が、このステップS2において、図1〜図2に示す第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を特定した場合について、説明する。
ステップS3において、ロボット制御部18は、予め定められた場所に保管されている第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82をロボットハンド22によって把持する。
本実施形態においては、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82は、図1に示すように、第1のクランプ部材80の右端面90と第2のクランプ部材82の左端面102とが互いに面接触するように、一対となって保管されている。この状態においては、第2のクランプ部材82に設けられたピン100は、第1のクランプ部材80に設けられたピン受容穴92に受容されている。
ロボット制御部18は、このステップS3において、ロボットプログラムに従って、マニピュレータ20に内蔵された各サーボモータへ指令を送り、ロボットハンド22を、予め定められた場所に保管されている第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82の位置まで移動させる。
このとき、ロボットハンド22の指先部32の先端に設けられた爪部は、それぞれ、第1のクランプ部材80に形成された爪受容穴89に面するように位置決めされる。一方、ロボットハンド22の指先部36の先端に設けられた爪部は、それぞれ、第2のクランプ部材82に形成された爪受容穴104に面するように、位置決めされる。
なお、マニピュレータ20によってロボットハンド22を移動させるためのロボットプログラムは、この動作を実行するときのマニピュレータ20の移動経路をロボット16に教示することによって、構築することができる。
次いで、ロボット制御部18は、ロボットハンド22に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド22の指部26および28を閉じる。その結果、ロボットハンド22の指先部32の先端に設けられた爪部は、それぞれ、第1のクランプ部材80の爪受容穴89に受容されて、これら爪受容穴89と係合する。
また、ロボットハンド22の指先部36の先端に設けられた爪部は、それぞれ、第2のクランプ部材82の爪受容穴104に受容されて、これら爪受容穴104と係合する。こうして、予め定められた場所に保管されている第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82は、ロボットハンド22によって把持される。
ステップS4において、ロボット制御部18は、ロボットハンド22によって把持した第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を、ブラケット46とサイドプレート72との間の位置に配置する。
具体的には、ロボット制御部18は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ20を動作させて、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を把持したロボットハンド22を移動させる。そして、ロボット制御部18は、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を、図1および図2に示す位置に配置させる。
上述したように、本実施形態においては、第2のクランプ部材82に形成されたピン100は、第1のクランプ部材80に形成されたピン受容穴92に受容されている。
このピン100とピン受容穴92とが係合することによって、このステップS4において第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82をロボットハンド22で把持して持ち上げた場合に、第1のクランプ部材80と第2のクランプ部材82とが開いてしまうのを防止できる。
図1および図2に示す状態においては、第1のクランプ部材80に設けられた穴88は、それぞれ、ブラケット46に設けられた連結シャフト60の右方に位置決めされる。一方、第2のクランプ部材82に設けられた穴98は、それぞれ、サイドプレート72に設けられた連結シャフト76の左方に位置決めされる。
ステップS5において、ロボット制御部18は、ロボットハンド22によって把持した第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を、ブラケット46へ向かって移動させる。
具体的には、ロボット制御部18は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ20を動作させて、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を把持したロボットハンド22を、図1および図2に示す位置から左方へ移動させる。その結果、ブラケット46に設けられた連結シャフト60は、図9に示すように、第1のクランプ部材80に設けられた穴88にそれぞれ挿入される。
一例として、爪部62を付勢する付勢部がバネによって構成されている場合、このステップS5にて連結シャフト60が穴88に挿入されるとき、連結シャフト60に設けられた爪部62は、第2穴部88bを通過している間は後退位置へ変位され、第3穴部88cに達したときに突出位置に復帰して、段差88dと係合する。
他の例として、爪部62を付勢する付勢部がシリンダによって構成されている場合、クランプ装置制御部42は、このステップS5にて第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82が移動される前に、該付勢部に指令を送り、爪部62を後退位置に退避させる。
そして、このステップS5にて第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82が左方へ移動されて、爪部62が第2穴部88bを通過して第3穴部88cに達したとき、クランプ装置制御部42は、付勢部に指令を送り、爪部62を突出位置に押し出す。これにより、爪部62は、段差88dと係合する。
このステップS5によって、ブラケット46に設けられたボス58の右端面58aが、第1のクランプ部材80に設けられたボス86の左端面86aとそれぞれ当接し、第1のクランプ部材80がブラケット46に装着される。
ステップS6において、クランプ装置制御部42は、駆動部50を動作させて、可動部52をブラケット46へ向かって移動させる。具体的には、クランプ装置制御部42は、駆動部50を動作させて、シリンダシャフト68を左方へ押し出し、これにより、可動部52を左方へ移動させる。
そうすると、サイドプレート72に設けられた連結シャフト76は、図8に示すように、第2のクランプ部材82に設けられた穴98にそれぞれ挿入される。
連結シャフト76が穴98に挿入されるとき、連結シャフト76に設けられた爪部78は、上述の爪部62と同様に、付勢部の動作によって、第2穴部98bを通過している間に後退位置に配置され、第3穴部98cに達したときに突出位置に押し出されて、段差98dと係合する。
そして、サイドプレート72に設けられたボス74の左端面74aが、第2のクランプ部材82に設けられたボス96の右端面96aと、それぞれ当接し、第2のクランプ部材82がサイドプレート72に装着される。
この状態を、図10に示す。この状態においては、ロボットハンド22の指先部32は、ブラケット46の右端面46aから右方へ離隔するように、該右端面46aと第1のクランプ部材80の左端面84との間の隙間に配置される。また、指先部32は、ブラケット46のボス58、および第1のクランプ部材80のボス86から離間して配置される。
一方、ロボットハンド22の指先部36は、サイドプレート72の左端面72aから左方へ離隔するように、該左端面72aと第2のクランプ部材82の右端面94との間の隙間に配置される。また、指先部36は、サイドプレート72のボス74、および第2のクランプ部材82のボス96から離間して配置される。
ステップS7において、ロボット制御部18は、ロボットハンド22から第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を解放し、ロボットハンド22を第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82から退避させる。
具体的には、ロボット制御部18は、ロボットハンド22に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド22の指部26および28を開く。
上述したように、図10に示す状態においては、ロボットハンド22の指先部32および36は、それぞれ、ブラケット46のボス58、およびサイドプレート72のボス74から離間して配置されている。したがって、指部26および28は、ボス58および74と干渉することなく、開くことができる。
このように指部26および28を開くことによって、指先部32および36に設けられた爪部が、それぞれ、爪受容穴89および104から引き抜かれて、ロボットハンド22は、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を解放する。
その結果、第1のクランプ部材80は、ブラケット46に設けられた連結シャフト60に係止される一方、第2のクランプ部材82は、サイドプレート72に設けられた連結シャフト76に係止される。
次いで、ロボット制御部18は、マニピュレータ20に内蔵された各サーボモータへ指令を送り、ロボットハンド22を、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82から離反させる。
ステップS8において、クランプ装置制御部42は、駆動部50を動作させて、可動部52をブラケット46から離反する方向へ移動させる。具体的には、クランプ装置制御部42は、駆動部50を動作させて、シリンダシャフト68を右方へ退避させ、これにより、可動部52を右方へ移動させる。
このとき、第1のクランプ部材80は、連結シャフト60に係止され、且つ、連結シャフト60の爪部62は、段差88dと係合している。また、第2のクランプ部材82は、連結シャフト76に係止され、且つ、連結シャフト76の爪部78は、段差98dと係合している。
したがって、このステップS8において可動部52を右方へ移動させると、第2のクランプ部材82が可動部52とともに右方へ移動され、その結果、第1のクランプ部材80と第2のクランプ部材82とは、互いから分離されることになる。そして、ロボット制御部18またはクランプ装置制御部42は、図7に示すフローを終了する。
一方、ステップS1にてYESと判定した場合、ステップS9において、クランプ装置制御部42は、上述のステップS6と同様に、駆動部50を動作させて、可動部52をブラケット46へ向かって移動させる。
以下、ステップS1にてYESと判定したときに、図1および図2に示す第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82が、ブラケット46およびサイドプレート72にそれぞれ装着されていた場合について、説明する。
この場合、このステップS9にてクランプ装置制御部42が可動部52をブラケット46へ向かって移動させると、図10に示すように、第1のクランプ部材80の右端面90と第2のクランプ部材82の左端面102とは、互いに面接触する。そして、第2のクランプ部材82に設けられたピン100は、第1のクランプ部材80に設けられたピン受容穴92に受容される。
ステップS10において、ロボット制御部18は、図10に示す状態の第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を、ロボットハンド22によって把持する。
具体的には、ロボット制御部18は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ20を動作させて、ロボットハンド22を、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82の位置まで移動させる。
このとき、ロボットハンド22の指先部32の先端に設けられた爪部は、それぞれ、第1のクランプ部材80に形成された爪受容穴89に位置決めされる一方、ロボットハンド22の指先部36の先端に設けられた爪部は、それぞれ、第2のクランプ部材82に形成された爪受容穴104に位置決めされる。
次いで、ロボット制御部18は、ロボットハンド22に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド22の指部26および28を閉じる。その結果、ロボットハンド22の指先部32の先端に設けられた爪部は、それぞれ、第1のクランプ部材80の爪受容穴89に受容されて、これら爪受容穴89と係合する。
また、ロボットハンド22の指先部36の先端に設けられた爪部は、それぞれ、第2のクランプ部材82の爪受容穴104に受容されて、これら爪受容穴104と係合する。こうして、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82は、図10に示すように、ロボットハンド22によって把持される。
ステップS11において、クランプ装置制御部42は、上述のステップS8と同様に、駆動部50を動作させて、可動部52をブラケット46から離反する方向へ移動させる。このとき、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82は、ロボットハンド22によって把持されている。
したがって、可動部52は、第2のクランプ部材82から離反し、これとともに、サイドプレート72に設けられた連結シャフト76は、第2のクランプ部材82に設けられた穴98から引き抜かれる。
一例として、爪部78を付勢する付勢部がバネによって構成されている場合、このステップS11にて連結シャフト76が穴98から引き抜かれるとき、連結シャフト76に設けられた爪部78は、第2穴部98bを通過している間に後退位置へ変位される。こうして、第2のクランプ部材82は、サイドプレート72から取り外される。
他の例として、爪部78を付勢する付勢部がシリンダによって構成されている場合、クランプ装置制御部42は、このステップS11にて可動部52が移動される前に、該付勢部に指令を送り、爪部78を後退位置に退避させる。これにより、このステップS11にて可動部52が右方へ移動されたとき、爪部78は、第2穴部98bを通過できる。
ステップS12において、ロボット制御部18は、第1のクランプ部材80をブラケット46から取り外す。
具体的には、ロボット制御部18は、マニピュレータを動作させて、ロボットハンド22によって把持している第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を右方へ移動させる。これにより、第2のクランプ部材80は、ブラケット46から離反し、これとともに、ブラケット46に設けられた連結シャフト60は、第1のクランプ部材80に設けられた穴88から引き抜かれる。
連結シャフト60が穴88から引き抜かれるとき、連結シャフト60に設けられた爪部62は、上述の爪部78と同様に、付勢部の動作によって、第2穴部88bを通過している間に後退位置へ配置される。こうして、第1のクランプ部材80は、ブラケット46から取り外される。
ステップS13において、ロボット制御部18は、ロボットハンド22によって把持している第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を、予め定められた場所に運搬し、該場所に設置する。
次いで、ロボット制御部18およびクランプ装置制御部42は、ステップS2〜S8を実行し、次に加工されるべきワークの種類に対応した一対のクランプ部材を、ブラケット46およびサイドプレート72にそれぞれ装着する。
このように、第1のクランプ部材80とブラケット46とは、連結シャフト60、および該連結シャフト60を摺動可能に受容する穴88によって、左右方向へ着脱することができる。したがって、連結シャフト60および穴88は、ブラケット46と第1のクランプ部材80とを着脱可能に連結する着脱装置106(図1)を構成する。
また、第2のクランプ部材82と可動部52のサイドプレート72とは、連結シャフト76、および該連結シャフト76を摺動可能に受容する穴98によって、左右方向に着脱することができる。したがって、連結シャフト76および穴98は、可動部52と第2のクランプ部材82とを着脱可能に連結する着脱装置108(図1)を構成する。
上述したように、本実施形態においては、着脱装置106および108によって、ブラケット46と第1のクランプ部材80、および、可動部52と第2のクランプ部材82とを、着脱させることができる。
したがって、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を交換するだけで、ワーククランプ装置40の段替えを行うことができるので、加工すべきワークの種類に対応して、クランプ部材の段替えを簡単に行うことができる。
また、本実施形態においては、着脱装置106、108が、連結シャフト60、76と、該連結シャフト60、76を摺動可能に受容する穴88、98によって構成されている。
この構成によれば、ブラケット46と第1のクランプ部材80、および、可動部52と第2のクランプ部材82とを、それぞれ左右方向へ着脱できることから、第1のクランプ部材80および第2のクランプ部材82を、ロボット16によって、ブラケット46およびサイドプレート72にそれぞれ着脱することが可能となる。
このため、加工すべきワークの種類に応じて、クランプ部材80、82をロボット16によって自動で交換することができるので、より低コスト且つ簡単にクランプ部材80、82の段替えを行うことができる。
次に、図11〜図16を参照して、他の実施形態に係る加工システム110について説明する。図11および図12に示すように、加工システム110は、ロボットシステム112およびワーククランプシステム114を備える。ロボットシステム112は、ロボット116およびロボット制御部118を有する。
ロボット116は、マニピュレータ120およびロボットハンド122を有する。マニピュレータ120は、サーボモータ、または空圧式もしくは油圧式のシリンダ(図示せず)を内蔵し、ロボットハンド122を移動させる。
ロボットハンド122は、ハンドベース124と、該ハンドベース124に開閉可能に設けられた複数の指部126および128と、該指部126および128を開閉させる動力を発生させる指部駆動部(図示せず)とを有する。指部駆動部は、例えば、サーボモータ、または、空圧式もしくは油圧式のシリンダ(図示せず)を含む。
指部126は、基端部130と、該基端部130から2叉状に分岐して延びる2つの指先部132とを有する。指先部132の各々の先端には、前方へ突出する爪部(図示せず)が形成されている。
指部128は、指部126の前側に配置されている。指部128は、基端部134と、該基端部134から2叉状に分岐して延びる2つの指先部136とを有する。指先部136の各々の先端には、後方へ突出する爪部(図示せず)が形成されている。
ロボット制御部118は、マニピュレータ120に内蔵された各サーボモータへ指令を送り、マニピュレータ120を動作させる。また、ロボット制御部118は、ロボットハンド122に設けられた指部駆動部へ指令を送り、指部126および128を開閉する。
ワーククランプシステム114は、ワーククランプ装置140およびクランプ装置制御部142を有する。ワーククランプ装置140は、ブラケット144、第1駆動部146、第2駆動部148、第1可動部150、および第2可動部152を有する。
ブラケット144は、x−y平面に略平行に配置された平板部材であって、ワークセルの床に対して固定される。図11および図13に示すように、ブラケット144は、その上端面144aから上方へ突出する計4個の円柱状のボス145を有している。図13に示すように、これらボス145の各々の上端面145aには、計4個の連結シャフト147が、固設されている。
連結シャフト147は、略円柱状の棒部材であって、ボス145の上端面145aから上方へ突出している。連結シャフト147の各々には、複数の爪部149が可動に設けられている。
爪部149は、連結シャフト147の外周面147aから内方へ凹む穴(図示せず)に、それぞれ収容されている。爪部149の各々は、連結シャフト147の外周面147aから外方に突出する突出位置と、外周面147aよりも内方へ後退する後退位置との間で、該連結シャフト147の径方向へ移動可能である。
爪部149は、連結シャフト147に設けられた付勢部(図示せず)によって、連結シャフト147の径方向外側へ向かって付勢される。この付勢部は、例えば、連結シャフト147に形成された穴内に配置されたバネ、または、クランプ装置制御部142からの指令に応じて爪部149を進退させる、空圧式もしくは油圧式のシリンダを有する。
第1駆動部146は、油圧式または空圧式のシリンダである。具体的には、駆動部146は、ワークセルの床に固定されたシリンダ本体部154と、該シリンダ本体部154に進退可能に受容されたシリンダシャフト156とを有する。
シリンダ本体部154は、中空部材であって、ピストン(図示せず)を内蔵している。このピストンは、シリンダシャフト156に連結されており、外部機器(図示せず)からシリンダ本体部154内に供給された流体(例えば、オイルまたは圧縮ガス)の圧力に応じて、上下方向へ駆動される。これにより、シリンダシャフト156は、上下方向に進退する。
第2駆動部148は、第1駆動部146と同様の構成を有する。具体的には、第2駆動部148は、シリンダ本体部158と、該シリンダ本体部158に進退可能に受容されたシリンダシャフト160とを有する。
ブラケット144には、その上端面144aから上方へ突出する計2個のボス166および168が固設されており、これらボス166および168は、シリンダ本体部154および158に、ボルト等の固定具によって、それぞれ固定されている。
図11および図12に示すように、第1可動部150は、主アーム162と、該主アーム162の前後に配置された一対の補助アーム164とを有する。主アーム162は、その基端部が回転軸170を介してシリンダシャフト156に枢支されている。
図15および図16に示すように、主アーム162の先端面162aには、連結シャフト163が、固設されている。連結シャフト163は、略円柱状の棒部材であって、主アーム162の先端面162aから、該主アーム162の軸線Oに沿って突出している。連結シャフト163には、複数の爪部165が可動に設けられている。
爪部165は、連結シャフト163の外周面163aから内方へ凹むように該連結シャフト163に形成された穴(図示せず)に、それぞれ収容されている。爪部165の各々は、外周面163aから外方に突出する突出位置と、外周面163aよりも内方へ後退する後退位置との間で、該連結シャフト163の径方向へ移動可能である。
爪部165は、連結シャフト163に設けられた付勢部(図示せず)によって、連結シャフト163の径方向外側へ向かって付勢される。この付勢部は、例えば、連結シャフト163に形成された穴内に配置されたバネ、または、クランプ装置制御部142からの指令に応じて爪部165を進退させる、空圧式もしくは油圧式のシリンダを有する。
また、連結シャフト163は、凸条167(図16)を有する。この凸条167は、連結シャフト163の外周面163aから径方向外側へ突出し、軸線Oの方向へ延在している。
図11および図12に示すように、補助アーム164の各々は、その一端が回転軸172を介して主アーム162の先端部に枢支され、その他端が回転軸174を介して、ボス166から上方へ突出する突起部176に枢支されている。
第2可動部152は、主アーム178と、該主アーム178の前後に配置された一対の補助アーム180とを有する。主アーム178は、その基端部が回転軸182を介してシリンダシャフト160に枢支されている。
図15および図16に示すように、主アーム178の先端面178aには、連結シャフト179が、固設されている。連結シャフト179は、略円柱状の棒部材であって、主アーム178の先端面178aから、該主アーム178の軸線Oに沿って突出している。連結シャフト179には、複数の爪部181が可動に設けられている。
爪部181は、連結シャフト179の外周面179aから内方へ凹むように該連結シャフト179に形成された穴(図示せず)に、それぞれ収容されている。爪部181の各々は、外周面179aから外方に突出する突出位置と、外周面179aよりも内方へ後退する後退位置との間で、該連結シャフト179の径方向へ移動可能である。
爪部181は、連結シャフト179に設けられた付勢部(図示せず)によって、連結シャフト179の径方向外側へ向かって付勢される。この付勢部は、例えば、連結シャフト179に形成された穴内に配置されたバネ、または、クランプ装置制御部142からの指令に応じて爪部181を進退させる、空圧式もしくは油圧式のシリンダを有する。
また、連結シャフト179は、凸条183を有する。この凸条183は、連結シャフト179の外周面179aから径方向外側へ突出し、軸線Oの方向へ延在している。
図11および図12に示すように、補助アーム180の各々は、その一端が回転軸184を介して主アーム178の先端部に枢支され、その他端が回転軸186を介して、ボス168から上方へ突出する突起部188に枢支されている。
ワーククランプ装置140は、クランプ部材190、クランプ部材192、およびクランプ部材194をさらに有する。
図13に示すように、クランプ部材190には、その下端面190aから上方へ凹む計4個の穴196が、形成されている。これら穴196は、円形状の外形を有し、それぞれ、上述の連結シャフト147を摺動可能に受容する。
より具体的には、穴196の各々は、第1穴部196a、第2穴部196b、および第3穴部196cを有する。第1穴部196aは、上方へ向かうにつれて拡径するテーパ面によって画定されている。
第2穴部196bは、第1穴部196aを画定するテーパ面の上端と略同じ直径を有する。第3穴部196cは、第2穴部196bよりも大きな直径を有し、第2穴部196bと第3穴部196cとの接続部には、段差196dが形成されている。
図14に示すように、クランプ部材190には、その後端面190bから前方へ凹む計2個の爪受容穴198が、形成されている。これら爪受容穴198は、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた2つの爪部をそれぞれ受容し得る。
また、クランプ部材190には、その前端面190cから後方へ凹む計2個の爪受容穴200が、形成されている。これら爪受容穴200は、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた2つの爪部をそれぞれ受容し得る。
図15および図16に示すように、クランプ部材192は、その先端面192aから外方へ突出する一対のクランプ爪202を有する。
また、クランプ部材192には、その基端面192bから内方へ凹む穴204が、形成されている。この穴204は、円形状の外形を有し、主アーム162に設けられた連結シャフト163を摺動可能に受容する。
より具体的には、穴204は、第1穴部204a、第2穴部204b、および第3穴部204cを有する。第1穴部204aは、基端面192bへ接近するにつれて拡径するテーパ面によって画定されている。
第2穴部204bは、第1穴部204aを画定するテーパ面の先端と略同じ直径を有する。第3穴部204cは、第2穴部204bよりも大きな直径を有し、第2穴部204bと第3穴部204cとの接続部には、段差204dが形成されている。
また、クランプ部材192には、第1穴部204aおよび第2穴部204bを画定する壁面から内方へ凹む切り欠き211が形成されている。この切り欠き211は、穴204の周方向の所定位置に配置され、軸線Oの方向へ延在している。
切り欠き211は、連結シャフト163に形成された凸条167を摺動可能に受容し、該凸条167と係合する。これにより、クランプ部材192が、連結シャフト163に対して周方向へ回動するのを規制することができる。
また、クランプ部材192には、その上端面192cから内方へ凹む計2個の爪受容穴206が、形成されている。これら爪受容穴206は、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた2つの爪部をそれぞれ受容し得る。
同様に、クランプ部材192には、その下端面192dから内方へ凹む計2個の爪受容穴209が、形成されている。これら爪受容穴209は、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた2つの爪部をそれぞれ受容し得る。
クランプ部材194は、クランプ部材192と同様の構成を有する。具体的には、クランプ部材194は、その先端面194aから外方へ突出する一対のクランプ爪208を有する。
クランプ部材194には、その基端面194bから内方へ凹む穴210が、形成されている。この穴210は、円形状の外形を有し、主アーム178に設けられた連結シャフト179を摺動可能に受容する。
より具体的には、穴210は、第1穴部210a、第2穴部210b、および第3穴部210cを有する。第1穴部210aは、基端面194bへ接近するにつれて拡径するテーパ面によって画定されている。
第2穴部210bは、第1穴部210aを画定するテーパ面の先端と略同じ直径を有する。第3穴部210cは、第2穴部210bよりも大きな直径を有し、第2穴部210bと第3穴部210cとの接続部には、段差210dが形成されている。
クランプ部材194には、第1穴部210aおよび第2穴部210bを画定する壁面から内方へ凹む切り欠き213が形成されている。この切り欠き213は、穴210の周方向の所定位置に配置され、軸線Oの方向へ延在している。
切り欠き213は、連結シャフト179に形成された凸条183を受容し、該凸条183と係合する。これにより、クランプ部材194が、連結シャフト179に対して周方向へ回動するのを規制することができる。
また、クランプ部材194には、その上端面194cから内方へ凹む計2個の爪受容穴212が、形成されている。これら爪受容穴212は、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた2つの爪部をそれぞれ受容し得る。
同様に、クランプ部材194には、その下端面194dから内方へ凹む計2個の爪受容穴214が、形成されている。これら爪受容穴214は、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた2つの爪部をそれぞれ受容し得る。
クランプ装置制御部142は、駆動部146および148を制御する。具体的には、クランプ装置制御部142は、駆動部146および148へ指令を送り、シリンダシャフト156および160を上下方向へそれぞれ進退させる。
本実施形態においては、ロボット制御部118とクランプ装置制御部142とは、互いに通信可能に接続されている。ロボット制御部118およびクランプ装置制御部142は、互いに通信しつつ、クランプ部材190、192、および194を交換するプロセスを実行する。なお、このプロセスについては、後述する。
次に、図17および図18を参照して、本実施形態に係るワーククランプ装置140によってワークWをクランプする動作について説明する。まず、ワークWが、クランプ部材190の上に設置される。
次いで、クランプ装置制御部142は、第1駆動部146および第2駆動部148を動作させて、シリンダシャフト156および160をそれぞれ上方へ押し出す。これにより、主アーム162および178の基端部が、上方へそれぞれ移動される。
その一方で、主アーム162および178の先端部は、補助アーム164および180によって枢支されているので、主アーム162および178の先端部は、回転軸174の周りを回動するように、補助アーム164および180によって案内されることになる。こうして、シリンダシャフト156および160の上方運動が、主アーム162および178の回転軸174の周りの回動運動へ変換される。
その結果、クランプ部材192および194は、図17に示す位置から図18に示す位置へ移動され、クランプ部材192および194に設けられたクランプ爪202および208(図15)が、ワークWに形成された爪受け部AおよびBとそれぞれ係合する。こうして、ワークWは、クランプ部材190と、クランプ部材192および194との間でクランプされる。
次に、図19〜図23を参照して、加工システム110の動作について説明する。加工システム110は、複数の種類のワークを加工するために、加工すべきワークの種類に対応して、クランプ部材190、192、および194をロボット116によって交換する。
図19に示すフローは、ロボット制御部118またはクランプ装置制御部142が、使用者、上位コントローラ、または加工プログラムから、クランプ部材190、192、および194を交換する指令を受け付けたときに、開始する。
ステップS21において、ロボット制御部118またはクランプ装置制御部142は、ブラケット144、可動部150、および可動部152に、クランプ部材190、192、および194が装着されているか否かを判定する。
例えば、ロボット制御部118またはクランプ装置制御部142は、使用者からの入力信号、または加工プログラムから、クランプ部材190、192、および194が装着されているか否かを判定する。
ロボット制御部118またはクランプ装置制御部142は、クランプ部材190、192、および194が装着されている(すなわち、YES)と判定した場合、ステップS25へ進む。
一方、ロボット制御部118またはクランプ装置制御部142は、クランプ部材190、192、および194が装着されていない(すなわち、NO)と判定した場合、ステップS22へ進む。
ステップS22において、ロボット制御部118またはクランプ装置制御部142は、次に加工すべきワークの情報を取得し、該加工すべきワークをクランプするためのクランプ部材の種類を特定する。
以下、ロボット制御部118またはクランプ装置制御部142が、このステップS22において、図11および図12に示すクランプ部材190、192、および194を特定した場合について、説明する。
ステップS23において、ロボット制御部118は、クランプ部材190を装着するプロセスを実行する。このステップS23について、図20を参照して説明する。
ステップS31において、ロボット制御部118は、予め定められた場所に保管されているクランプ部材190をロボットハンド122によって把持する。
具体的には、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従って、マニピュレータ120に内蔵された各サーボモータへ指令を送り、ロボットハンド122を、予め定められた場所に保管されているクランプ部材190の位置まで移動させる。
このとき、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材190の後端面190bに形成された爪受容穴198に位置決めされる一方、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材190の前端面190cに形成された爪受容穴200に位置決めされる。
次いで、ロボット制御部118は、ロボットハンド122に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド122の指部126および128を閉じる。その結果、ロボットハンド122の指部126の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴198に受容されて、これら爪受容穴198と係合する。
また、ロボットハンド122の指部128の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴200に受容されて、これら爪受容穴200と係合する。こうして、予め定められた場所に保管されているクランプ部材190は、ロボットハンド122によって把持される。
ステップS32において、ロボット制御部118は、クランプ部材190をブラケット144に設置する。具体的には、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ120を動作させて、ステップS31にてロボットハンド122によって把持したクランプ部材190を、ブラケット144の上方へ位置決めする。
このとき、クランプ部材190の下端面190aに形成された穴196が、それぞれ、ブラケット144に設けられた連結シャフト147の上方に位置するように、クランプ部材190は、ブラケット144の上方に位置決めされる。
次いで、ロボット制御部118は、マニピュレータ120を動作させて、クランプ部材190を下方へ移動させる。その結果、ブラケット144に設けられた連結シャフト147は、クランプ部材190の下端面190aに設けられた穴196に、それぞれ挿入される。
一例として、爪部149を付勢する付勢部がバネによって構成されている場合、連結シャフト147が穴196に挿入されるとき、連結シャフト147に設けられた爪部149は、第2穴部196bを通過している間は後退位置へ変位され、第3穴部196cに達したときに突出位置に復帰して、段差196dと係合する。
他の例として、爪部149を付勢する付勢部がシリンダによって構成されている場合、クランプ装置制御部142は、このステップS32にてクランプ部材190が下方へ移動される前に、該付勢部に指令を送り、爪部149を後退位置に退避させる。
そして、クランプ部材190が下方へ移動されて、爪部149が第2穴部196bを通過して第3穴部196cに達したとき、クランプ装置制御部142は、付勢部に指令を送り、爪部149を突出位置に押し出す。これにより、爪部149は、段差196dと係合する。
こうして、クランプ部材190は、図11および図12に示すように、ブラケット144の上に設置される。
ステップS33において、ロボット制御部118は、ロボットハンド122からクランプ部材190を解放し、ロボットハンド122をクランプ部材190から退避させる。
具体的には、ロボット制御部118は、ロボットハンド122に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド122の指部126および128を開く。そして、ロボット制御部118は、マニピュレータ120を動作させて、ロボットハンド122をクランプ部材190から離反させる。
再度、図19を参照して、ステップS24において、ロボット制御部118は、クランプ部材192および194を装着するプロセスを実行する。このステップS24について、図21を参照して説明する。
ステップS41において、ロボット制御部118は、予め定められた場所に保管されているクランプ部材192をロボットハンド122によって把持する。具体的には、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ120を動作させて、ロボットハンド122を、予め定められた場所に保管されているクランプ部材192の位置まで移動させる。
このとき、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材192の上端面192cに形成された爪受容穴206に面するように位置決めされる。
一方、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材192の下端面192dに形成された爪受容穴209に面するように、位置決めされる。
次いで、ロボット制御部118は、ロボットハンド122に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド122の指部126および128を閉じる。その結果、ロボットハンド122の指部126の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴206に受容されて、これら爪受容穴206と係合する。
また、ロボットハンド122の指部128の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴209に受容されて、これら爪受容穴209と係合する。こうして、予め定められた場所に保管されているクランプ部材192は、ロボットハンド122によって把持される。
ステップS42において、ロボット制御部118は、クランプ部材192を第1可動部150に取り付ける。具体的には、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ120を動作させて、ステップS41にてロボットハンド122によって把持したクランプ部材192を、図16に示すように、第1可動部150に対して位置決めする。
このとき、クランプ部材192の基端面192bは、主アーム162の先端面162aに面する。また、連結シャフト163と、穴204とが同心に配置され、且つ、凸条167の周方向位置と、切り欠き211の周方向位置とが一致する。
次いで、ロボット制御部118は、マニピュレータ120を動作させて、クランプ部材192を、主アーム162へ向かって軸線Oに沿って移動させる。その結果、主アーム162に設けられた連結シャフト163は、クランプ部材192に設けられた穴204に挿入される。
一例として、爪部165を付勢する付勢部がバネによって構成されている場合、連結シャフト163が穴204に挿入されるとき、連結シャフト163に設けられた爪部165は、第2穴部204bを通過している間は後退位置へ変位され、第3穴部204cに達したときに突出位置に復帰して、段差204dと係合する。
他の例として、爪部165を付勢する付勢部がシリンダによって構成されている場合、クランプ装置制御部142は、このステップS42にてクランプ部材192が主アーム162へ向かって移動される前に、該付勢部に指令を送り、爪部165を後退位置に退避させる。
そして、クランプ部材192が主アーム162へ向かって移動されて、爪部165が第2穴部204bを通過して第3穴部204cに達したとき、クランプ装置制御部142は、付勢部に指令を送り、爪部165を突出位置に押し出す。これにより、爪部165は、段差204dと係合する。
また、連結シャフト163に設けられた凸条167は、切り欠き211に受容され、該切り欠き211と係合する。こうして、クランプ部材192は、図11、図12、および図15に示すように、第1可動部150に装着される。
ステップS43において、ロボット制御部118は、予め定められた場所に保管されているクランプ部材194をロボットハンド122によって把持する。具体的には、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ120を動作させて、ロボットハンド122を、予め定められた場所に保管されているクランプ部材194の位置まで移動させる。
このとき、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材194の上端面194cに形成された爪受容穴212に面するように位置決めされる。
一方、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材194の下端面194dに形成された爪受容穴214に面するように、位置決めされる。
次いで、ロボット制御部118は、ロボットハンド122に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド122の指部126および128を閉じる。その結果、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴212に受容されて、これら爪受容穴212と係合する。
また、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴214に受容されて、これら爪受容穴214と係合する。こうして、予め定められた場所に保管されているクランプ部材194は、ロボットハンド122によって把持される。
ステップS44において、ロボット制御部118は、クランプ部材194を第2可動部152に取り付ける。具体的には、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ120を動作させて、ステップS43にてロボットハンド122によって把持したクランプ部材194を、図16に示すように、第2可動部152に対して位置決めする。
このとき、クランプ部材194の基端面194bは、主アーム178の先端面178aに面する。また、連結シャフト179と、穴210とが同心に配置され、且つ、凸条183の周方向位置と、切り欠き213の周方向位置とが一致する。
次いで、ロボット制御部118は、マニピュレータ120を動作させて、クランプ部材194を、主アーム178へ向かって軸線Oに沿って移動させる。その結果、主アーム178に設けられた連結シャフト179は、クランプ部材194に設けられた穴210に挿入される。
連結シャフト179が穴210に挿入されるとき、連結シャフト179に設けられた爪部181は、上述の爪部165と同様に、付勢部の動作によって、第2穴部210bを通過している間は後退位置へ配置され、第3穴部210cに達したときに突出位置に押し出されて、段差210dと係合する。
また、連結シャフト179に設けられた凸条183は、切り欠き213に受容され、該切り欠き213と係合する。こうして、クランプ部材194は、図11、図12、および図15に示すように、第2可動部152に装着される。
ステップS24の後、ロボット制御部118またはクランプ装置制御部142は、図19に示すフローを終了する。
一方、ステップS21にてYESと判定した場合、ステップS25において、ロボット制御部118は、ブラケット144に装着されているクランプ部材を取り外すプロセスを実行する。
以下、ステップS21にてYESと判定したときに、図11および図12に示すクランプ部材190、192、および194が、ブラケット144、第1可動部150、および第2可動部152にそれぞれ装着されていた場合について、説明する。
ステップS25について、図22を参照して説明する。ステップS51において、ロボット制御部118は、ブラケット144に設置されているクランプ部材190を、ロボットハンド122によって把持する。
具体的には、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ120を動作させて、ロボットハンド122を、ブラケット144に設置されたクランプ部材190の位置まで移動させる。
このとき、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材190の後端面190bに形成された爪受容穴198に位置決めされる。一方、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材190の前端面190cに形成された爪受容穴200に位置決めされる。
次いで、ロボット制御部118は、ロボットハンド122に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド122の指部126および128を閉じる。その結果、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴198に受容されて、これら爪受容穴198と係合する。
また、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴200に受容されて、これら爪受容穴200と係合する。こうして、クランプ部材190は、図11および図12に示すように、ロボットハンド122によって把持される。
ステップS52において、ロボット制御部118は、クランプ部材190をブラケット144から取り外す。具体的には、ロボット制御部118は、マニピュレータ120を動作させて、ステップS51にてロボットハンド122によって把持したクランプ部材190を、上方へ移動させる。
これにより、ブラケット144に設けられた連結シャフト147は、クランプ部材190に設けられた穴196から引き抜かれる。
一例として、爪部149を付勢する付勢部がバネによって構成されている場合、連結シャフト147が穴196から引き抜かれるとき、連結シャフト147に設けられた爪部149は、第2穴部196bを通過している間に後退位置へ変位される。
他の例として、爪部149を付勢する付勢部がシリンダによって構成されている場合、クランプ装置制御部142は、このステップS52にてクランプ部材190が上方へ移動される前に、該付勢部に指令を送り、爪部149を後退位置に退避させる。
これにより、このステップS52にてクランプ部材190が上方へ移動されたとき、爪部149は、第2穴部196bを通過できる。こうして、クランプ部材190は、ブラケット144から取り外される。
ステップS53において、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従ってマニピュレータ120を動作させて、ロボットハンド122によって把持しているクランプ部材190を、予め定められた場所に運搬し、該場所に設置する。
再度、図19を参照して、ステップS26において、ロボット制御部118は、第1可動部150および第2可動部152に装着されているクランプ部材192および194を取り外すプロセスを実行する。このステップS26について、図23を参照して説明する。
ステップS61において、ロボット制御部118は、第1可動部150に装着されているクランプ部材192を、ロボットハンド122によって把持する。
具体的には、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従って、マニピュレータ120に内蔵された各サーボモータへ指令を送り、ロボットハンド122を、第1可動部150に装着されているクランプ部材192の位置まで移動させる。
このとき、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材192の上端面192cに形成された爪受容穴206に面するように位置決めされる。
一方、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材192の下端面192dに形成された爪受容穴209に面するように、位置決めされる。
次いで、ロボット制御部118は、ロボットハンド122に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド122の指部126および128を閉じる。その結果、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴206に受容されて、これら爪受容穴206と係合する。
また、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴209に受容されて、これら爪受容穴209と係合する。こうして、クランプ部材192は、ロボットハンド122によって把持される。
ステップS62において、ロボット制御部118は、クランプ部材192を第1可動部150から取り外す。具体的には、ロボット制御部118は、マニピュレータ120を動作させて、ステップS61にてロボットハンド122によって把持したクランプ部材192を、主アーム162から離反するように軸線Oに沿って移動させる。
これにより、主アーム162に設けられた連結シャフト163は、クランプ部材192に設けられた穴204から引き抜かれる。
一例として、爪部165を付勢する付勢部がバネによって構成されている場合、このステップS62にて連結シャフト163が穴204から引き抜かれるとき、連結シャフト163に設けられた爪部165は、第2穴部204bを通過している間に後退位置へ変位される。
他の例として、爪部165を付勢する付勢部がシリンダによって構成されている場合、クランプ装置制御部142は、このステップS62にてクランプ部材192がが主アーム162から離反するように移動される前に、該付勢部に指令を送り、爪部165を後退位置に退避させる。
これにより、このステップS62にてクランプ部材192が主アーム162から離反するように移動されたとき、爪部165は、第2穴部204bを通過できる。こうして、クランプ部材192は、図16に示すように、第1可動部150から取り外される。
ステップS63において、ロボット制御部118は、ロボットハンド122によって把持しているクランプ部材192を、予め定められた場所に運搬し、該場所に設置する。
ステップS64において、ロボット制御部118は、第2可動部152に装着されているクランプ部材194を、ロボットハンド122によって把持する。
具体的には、ロボット制御部118は、ロボットプログラムに従って、マニピュレータ120に内蔵された各サーボモータへ指令を送り、ロボットハンド122を、第2可動部152に装着されているクランプ部材194の位置まで移動させる。
このとき、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材194の上端面194cに形成された爪受容穴212に面するように位置決めされる。
一方、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、クランプ部材194の下端面194dに形成された爪受容穴214に面するように、位置決めされる。
次いで、ロボット制御部118は、ロボットハンド122に設けられた指部駆動部へ指令を送り、ロボットハンド122の指部126および128を閉じる。その結果、ロボットハンド122の指先部132の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴212に受容されて、これら爪受容穴212と係合する。
また、ロボットハンド122の指先部136の先端に設けられた爪部は、それぞれ、爪受容穴214に受容されて、これら爪受容穴214と係合する。こうして、クランプ部材194は、ロボットハンド122によって把持される。
ステップS65において、ロボット制御部118は、クランプ部材194を第2可動部152から取り外す。具体的には、ロボット制御部118は、マニピュレータ120を動作させて、ステップS64にてロボットハンド122によって把持したクランプ部材194を、主アーム178から離反するように軸線Oに沿って移動させる。
これにより、主アーム178に設けられた連結シャフト179は、クランプ部材194に設けられた穴210から引き抜かれる。連結シャフト179が穴210から引き抜かれるとき、連結シャフト179に設けられた爪部181は、上述の爪部165と同様に、付勢部の動作により、第2穴部210bを通過している間に後退位置へ配置される。こうして、クランプ部材194は、図16に示すように、第2可動部152から取り外される。
ステップS66において、ロボット制御部118は、ロボットハンド122によって把持しているクランプ部材194を、予め定められた場所に運搬し、該場所に設置する。
ステップS26を実行した後、ロボット制御部118またはクランプ装置制御部142は、図19に示すステップS22〜S24を実行し、次に加工されるべきワークの種類に対応したクランプ部材を、ブラケット144、第1可動部150、および第2可動部152にそれぞれ装着する。
本実施形態においては、クランプ部材190とブラケット144とは、連結シャフト147、および該連結シャフト147を摺動可能に受容する穴196によって、上下方向へ着脱することができる。したがって、連結シャフト147および穴196は、ブラケット144とクランプ部材190とを着脱可能に連結する着脱装置216(図13)を構成する。
また、クランプ部材192と第1可動部150とは、連結シャフト163、および該連結シャフト163を摺動可能に受容する穴204によって、軸線Oの方向へ着脱することができる。したがって、連結シャフト163および穴204は、第1可動部150とクランプ部材192とを着脱可能に連結する着脱装置218(図16)を構成する。
同様に、クランプ部材194と第2可動部152とは、連結シャフト179、および該連結シャフト179を摺動可能に受容する穴210によって、軸線Oの方向へ着脱することができる。したがって、連結シャフト179および穴210は、第2可動部152とクランプ部材194とを着脱可能に連結する着脱装置220(図16)を構成する。
上述したように、本実施形態においては、着脱装置216、218、220によって、ブラケット144とクランプ部材190、第1可動部150とクランプ部材192、および、第2可動部152とクランプ部材194とを、それぞれ着脱させることができる。
したがって、クランプ部材190、192、194を交換するだけで、ワーククランプ装置140の段替えを行うことができるので、加工すべきワークの種類に対応して、クランプ部材の段替えを簡単に行うことができる。
また、本実施形態においては、着脱装置216、218、220が、連結シャフト147、163,179と、該連結シャフト147、163,179を摺動可能に受容する穴196、204、210によって構成されている。
この構成によれば、ブラケット144とクランプ部材190、および、可動部150、152とクランプ部材192、194とを、それぞれ所定の方向へ着脱できることから、クランプ部材190、192、194を、ロボット116によって、ブラケット144および可動部150、152に着脱することができる。
このため、加工すべきワークの種類に応じて、クランプ部材190、192、194をロボット116によって自動で交換することができるので、より低コスト且つ簡単にクランプ部材190、192、194の段替えを行うことができる。
次に、図24〜図26を参照して、他の実施形態に係るワーククランプ装置40’について説明する。なお、以下の説明する実施形態において、既述の実施形態と同様の要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
ワーククランプ装置40’は、上述のワーククランプ装置40と、スペーサ232を備える点で相違する。スペーサ232は、シリンダ本体部66と、可動部52のサイドプレート72との間に配置されている。
図26に示すように、スペーサ232は、開口232aを有する断面U字状の部材であって、シリンダシャフト68の外周に嵌装されている。このスペーサ232は、シリンダシャフト68を、開口232aを通してスペーサ232の内部に滑り込ませることによって、シリンダシャフト68の外周に嵌装可能である。
スペーサ232を用いることによって、サイドプレート72の左右方向の移動ストロークの右端を、シリンダ本体部66からスペーサ232の左右方向の幅だけ左方へ離隔した位置に、設定できる。
これにより、左右方向の幅が小さなワークをクランプする場合等において、シリンダシャフト68の移動ストロークを低減させることができるので、ワークをクランプする作業を迅速化できる。
なお、このようなスペーサ232は、図11に示すワーククランプ装置140にも適用できる。このようなワーククランプ装置140’を、図27に示す。
ワーククランプ装置140’は、第1可動部150の主アーム162とシリンダ本体部154との間でシリンダシャフト156の外周に嵌装された第1のスペーサ232と、第2可動部152の主アーム178とシリンダ本体部158との間でシリンダシャフト160の外周に嵌装された第2のスペーサ232とを備える。
これらスペーサ232は、シリンダシャフト156および160の移動ストロークを低減させることができるので、比較的小さなワークをクランプする場合等において、クランプ作業を迅速化できる。
上述のスペーサ232は、ロボット16、116によって嵌着され得る。一例として、図7中のステップS2、または図19中のS22にて特定したクランプ部材の種類の情報に応じて、ロボット制御部18または118は、スペーサ232を嵌装するか否かを判定する。
そして、スペーサ232を嵌装すると判定した場合に、ロボットハンド22または122によってスペーサ232を把持して、該スペーサ232をシリンダシャフト68、156、または160の外周に嵌装する。
なお、図1および図2に示す実施形態において、第1のクランプ部材80に連結シャフト60を形成し、ブラケット46に穴88を形成してもよい。同様に、第2のクランプ部材82に連結シャフト76を形成し、再度プレート72に穴98を形成してもよい。
また、図11および図12に示す実施形態において、クランプ部材190に連結シャフト147を形成し、ブラケット144に穴196を形成してもよい。同様に、クランプ部材192に連結シャフト163を形成し、主アーム162に穴204を形成してもよい。同様に、クランプ部材194に連結シャフト179を形成し、主アーム178に穴210を形成してもよい。
また、着脱装置は、ブラケットまたは可動部と、クランプ部材とを互いに着脱可能に連結可能であれば、如何なる構造のものを適用してもよい。例えば、着脱装置は、鉤爪状の係止部と、該係止部が係止される被係止部とから構成されてもよい。
また、駆動部50、146、148は、モータと、該モータの回転運動を往復動へ変換する運動変換機構(例えばボール螺子機構)とから構成されてもよい。
以上、発明の実施形態を通じて本発明を説明したが、上述の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、本発明の実施形態の中で説明されている特徴を組み合わせた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得るが、これら特徴の組み合わせの全てが、発明の解決手段に必須であるとは限らない。さらに、上述の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることも当業者に明らかである。
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、工程、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」、「次いで」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。