JP2018131701A - 繊維構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、ポリフェニレンサルファイド繊維のバグフィルター用フェルトにおいて、ダスト捕集効率が良好で、且つ機械強度、およびフィルター寿命に優れ、更に濾布作成時の生産性を落とすことなく生産可能である六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維を有する繊維構造体を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、下記式(1)で定義される異形度を満たす六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維を有する繊維構造体である。異形度(A/B)=1.05〜1.30 ・・・(1)【選択図】図1
Description
本発明は、繊維構造体に関するものである。
ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略すことがある。)樹脂は、優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性および耐湿熱性などのエンジニアリングプラスチクスとして好適な性質を有しており、射出成型や押出成型用を中心として各種の電気や電子部品、機械部品および自動車部品、フィルム、および繊維などに使用されている。例えば、廃ガス集塵用のバグフィルター等の各種産業用フィルターに用いられる濾布には、PPS樹脂素材が広く用いられている。このような濾布は、PPS短繊維の紡績糸から作製された基布に、PPS短繊維からなる繊維ウェブを積層しニードルパンチングしたものであり、廃ガス中のダストを捕集し、ダストを含まない廃ガスを外へと排気するために使用されるが、目詰まりのない状態を長期間保持し続けることが重要であり、このような濾布性能の長寿命化が常に望まれている。
濾布の目詰まりを抑制し濾布性能の長寿命化を図るためには、付着したダストを効率的に濾布から離脱させることが有効である。例えば、バグフィルターにおいて濾布が目詰まりすると、焼却設備からの廃ガスの排気が出来なくなるので、焼却設備を停止させて、濾布を交換しなければならない。すなわち、濾布が目詰まりする前にダストを効率的に払い落とせば、濾布の長寿命化を図ることができ、焼却設備の長期連続運転が可能となる。
バグフィルターにおいて、濾布に付着したダストを効率的に離脱させる方法として、パルスジェット方式が採用されることが多い(特許文献1および2参照。)。パルスジェット方式とは、濾布の表面に付着したダストが蓄積しないうちに、濾布に高速の気流を定期的に吹きつけて濾布を振動させ、濾布の表面に付着したダストを払い落とす方式である。
一方で、環境規制は厳しくなる時流にあり、特に米国において制定される動きにある、大気中に浮遊する粒子状物質のうちでも特に粒径の小さいものに関する規制(PM2.5規制)が、日本でも適用される可能性がある。このような流れを受けて、より高いダスト捕集効率であり、かつ、目詰まりの少ない優れたフィルターが要望されている。
この対応として、単繊維繊度が0.3〜1.5d(1.7dtex)以下のPPS繊維を、エアー流入側の繊維ウェブに配置し、単繊維繊度が1.8d(2.0dtex)を越える繊維で裏面側が構成されている濾布が提案されている(特許文献3参照。)また、扁平断面のポリフェニレンサルファイド短繊維を含む濾布が提案されている(特許文献4および5参照)。これらの提案では、長期安定して排ガス中のダストを効率よく濾過を行うことが出来、且つ濾布作成時の生産性を維持出来る高効率集塵バグフィルターを提供している。
しかしながら特許文献1および2に記載されるようなパルスジェット方式でダストの払い落としは可能となるが、この方式では、当然ながら、外力として加えられる高速の気流は濾布の機械強度を経時的に低下させやすい。定期的に外力が加えられた際に、濾布の機械強度や濾布の寸法安定性が不十分な場合、濾布が破断しバグフィルターとしての機能を果たせなくなるからである。
また特許文献3記載の方法は確かに、ダストの剥離性能およびダストの捕集効率は良化傾向にあり濾布の目詰まりによる圧力損失も少なくなる傾向にあるものの、より高い捕集効率を実現するためは、流入面側単繊維繊度をより細くする必要があるが、1dtex以下のPPS繊維を使用する場合は、濾布作成時の生産性が低くなる問題が懸念される。
さらに特許文献4および5に記載されるような扁平断面の場合は、捕集効率向上は期待出来るものの、原綿強度が高くなりにくく、フィルター寿命延長に適していないのが実状であった。
本発明は、ポリフェニレンサルファイド繊維のバグフィルター用フェルトとしたときに、ダスト捕集効率が良好で、且つ機械強度、およびフィルター寿命に優れ、更に濾布作成時の生産性を落とすことなく生産可能である繊維構造体を提供することを課題とする。
濾布作成時の生産性が良好であり、高捕集性能を有し、且つフィルター寿命の優れた性能を有するための断面形状として、丸断面に近い異形断面であることが重要であると考え、六角断面およびその異形度について鋭意検討を重ねたものである。
即ち、本発明は以下の通りである。
1.下記式(1)で定義される異形度を満たす六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維を有する繊維構造体。
異形度(A/B)=1.05〜1.30 ・・・(1)
A:外接円の直径
B:内接円の直径
異形度(A/B)=1.05〜1.30 ・・・(1)
A:外接円の直径
B:内接円の直径
2.前記六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維の繊度が、1.0〜3.0dtexであることを特徴とする上記1に記載の繊維構造体。
3.前記六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維が10質量%以上含まれていることを特徴とする、上記1または2に記載の繊維構造体。
本発明によれば、濾布作成時の生産性を維持したまま、ダスト捕集効率が良好であり、且つフェルト寿命に優れたポリフェニレンサルファイド繊維を有する繊維構造体が提供される。
本発明の六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維について詳細を説明する。
本発明で用いられるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂は、繰り返し単位として、次の構造式(I)で示されるp−フェニレンサルファイド単位や、m−フェニレンサルファイド単位などのフェニレンサルファイド単位を含有するポリマーを意味する。
PPS樹脂は、ホモポリマーまたはp−フェニレンサルファイド単位とm−フェニレンサルファイド単位の両者を有する共重合体であってもよく、また本発明の効果を損なわない限り、他の芳香族サルファイドとの共重合体あるいは混合物であっても構わない。
また、PPS樹脂は、重量平均分子量が30000〜90000であることが好ましい。重量平均分子量が30000未満のPPS樹脂を用いて溶融紡糸を行った場合、紡糸張力が低く紡糸時に糸切れが多発することがあり、また、重量平均分子量が90000を超えるPPS樹脂を用いると、溶融時の粘度が高すぎて紡糸設備を特殊な高耐圧仕様にしなければならず、設備費用が高額になって不利である。より好ましい重量平均分子量は、40000〜70000である。
本発明で用いられるPPS樹脂の市販品としては、東レ(株)製“トレリナ”(登録商標)や、(株)クレハ製“フォートロン”(登録商標)などが挙げられる。
図1に、本発明で用いられる六角断面ポリフェニレンサルファイド繊維の単繊維断面形状の一例を示す。
図1は、本発明で使用する六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維の断面図である。
本発明で用いられる六角断面ポリフェニレンサルファイド繊維は、その単繊維横断面における六角断面形状が、下記式(1)で定義される異形度を満足することが必要である。
異形度(A/B)=1.05〜1.30 ・・・(1)
異形度(A/B)=1.05〜1.30 ・・・(1)
ここで、Aは六角断面の外接円の直径である。ここでいう外接円とは、単繊維横断面の2点以上の頂点を通り、その単繊維横断面を包含する最小の真円の直径を示す。またBは、六角断面の内接円の直径である。ここでいう内接円とは、その単繊維横断面内に出来る真円であって、どの辺とも2点以上の交点を持たない最大の真円の直径を示す。
本発明において、異形度は1.05〜1.30である。異形度(A/B)が1.05未満では、繊維表面の表面積が少なく、ダスト捕集表面積が減少し、ダスト捕集効率が低下する傾向にある。また、異形度(A/B)が1.30を超える場合、形状のゆがみにより局所的に応力に対する耐性の小さい部分を有しやすくなるため、丸断面にくらべ原綿強度が低下し、フェルト寿命が短くなる傾向にある。異形度(A/B)は、より好ましくは1.10〜1.25であり、更に好ましくは、1.15〜1.20である。
本発明で用いられる六角断面ポリフェニレンサルファイド繊維の単繊維繊度は3.0dtex以下が好ましい。より好ましくは1.7dtex以下であり、更に好ましくは1.3dtex以下である。また1.0dtex以上が好ましい。単繊維繊度が1.0dtex未満になると、カードのシリンダーに巻き付き易くなる傾向があり、工程通過性が著しく低下することがある。また、単繊維繊度が3.0dtexを超えると、ダスト捕集効率が劣り、充分な排ガス中のダスト濾過効果が得られない傾向にある。また上記繊度の範囲内であれば、単一繊度の繊維を用いても、異繊度繊維の混合であっても良い。
本発明の繊維構造体は、上記六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維を有するものである。
上記繊維構造体においては、六角断面ポリフェニレンサルファイド繊維を繊維構造体に対して10質量%以上含んでいることが好ましい。より好ましくは15質量%以上である。
また、目的を損なわない範囲であれば、その他繊維を混合することも出来るが、耐熱性という観点からは、メタ系アラミド繊維、ポリイミド繊維などが好ましく、その断面形状は丸断面でも問題ない。また、丸断面ポリフェニレンサルファイド繊維も用いることができる。
本発明の繊維構造体は、バグフィルターおよび抄紙等の不織布とすることができる。またそれ以外にも、一旦紡績糸となし、その紡績糸を用いて織物や編物などの布帛となすこともできる。
なかでも本発明の繊維構造体は特にフィルター材(濾布)に特に好適に用いることができる。
図2は、本発明の繊維構造物を用いたフィルター材(濾布)の好適な一例を示す分解断面の概略図である。
図2において、エアー流入面の濾過層を形成する繊維ウェブ1は、表面濾過用フィルター材において、ダストが含まれたエアーが最初にフィルター材と接触する面のことを示す。すなわち、ダストをフィルター材表面で捕集しダスト層を形成させる面のことを示す。このエアー流入面の濾過層を形成する繊維ウェブ1は、前記六角断面ポリフェニレンサルファイド繊維を含む繊維構造物で構成される。また反対側の面は、エアー排出面の濾過層を形成する繊維ウェブ3で形成されており、ダストが除去されたエアーが排出される面のことを示す。また、繊維ウェブ1とウェブ3の間に、耐熱性繊維からなる織物(骨材)2をはさみ、ニードルパンチ工程でフェルトにすることにより、寸法安定性、引っ張り強力および耐摩耗性等の機械的強度に優れ、かつダスト捕集効率に優れたフィルター材を得ることが可能となる。
次に、本発明の六角断面ポリフェニレンサルファイド繊維、および丸断面ポリフェニレンサルファイド繊維を製造する方法について説明する。前記した樹脂を用い溶融紡糸法により得ることが出来る。紡糸口金より押出し、500〜2000m/分の速度で紡糸し未延伸糸を得る。この時口金の孔形状は得たい断面に相当する形状のものを用いる必要がある。また、異形の断面形状は、口金孔形状、紡糸温度、紡糸冷却風速等を調整することにより高度に制御する事が出来る。得られた未延伸糸は常法のより、1.1〜4.0倍に延伸後、クリンパーにてけん縮を付与し、所定の長さにカットすることで、六角断面ポリフェニレンサルファイド繊維を得ることが出来る。
次に、実施例によって本発明の六角断面ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法について具体的に説明する。本発明は、次の実施例によって制限されるものではない。本発明で定義する各特性値は、次の方法で求めたものである。
(1)フェルト生産性
フェルト作成時のカードドッファーからの風綿発生状況および、ウエッブのす抜け状態を目視で確認した。風綿発生量、およびウエッブのす抜け状態がなく非常に良好な場合を◎、相対的に少ない場合を○、多い場合を×、中間として△とした。
フェルト作成時のカードドッファーからの風綿発生状況および、ウエッブのす抜け状態を目視で確認した。風綿発生量、およびウエッブのす抜け状態がなく非常に良好な場合を◎、相対的に少ない場合を○、多い場合を×、中間として△とした。
(2)フェルト強度
JIS−L1085(1998年)の方法により、20cm×20cmの試料を3枚作成。重量を測定しその平均値をm2あたりの質量として求める。フェルト厚みはシックネスダイヤルゲージ(押し圧力250g/cm2=0.000245Pa)にて無作為に10点測定しその平均値を算出。フェルト強度は、定速伸張型引張試験機にて、フェルトの試験片5サンプルの平均値としてタテ方向、ヨコ方向にそれぞれ算出した。フェルト強度の判断基準は、ヨコ方向のフェルト強度の数値が、1900N/5cm以上を◎、1700以上1900未満を○(良い)、1500以上1700未満を△(やや良い)、1500未満を×(悪い)とした。
JIS−L1085(1998年)の方法により、20cm×20cmの試料を3枚作成。重量を測定しその平均値をm2あたりの質量として求める。フェルト厚みはシックネスダイヤルゲージ(押し圧力250g/cm2=0.000245Pa)にて無作為に10点測定しその平均値を算出。フェルト強度は、定速伸張型引張試験機にて、フェルトの試験片5サンプルの平均値としてタテ方向、ヨコ方向にそれぞれ算出した。フェルト強度の判断基準は、ヨコ方向のフェルト強度の数値が、1900N/5cm以上を◎、1700以上1900未満を○(良い)、1500以上1700未満を△(やや良い)、1500未満を×(悪い)とした。
(3)大気塵捕集効率:
フィルター材のダスト捕集効率を、図3の大気塵捕集効率測定装置を用いて、大気塵計算法により測定した。図3は、上記大気塵捕集効率の測定に用いた大気塵捕集効率測定装置の概略断面図である。
フィルター材のダスト捕集効率を、図3の大気塵捕集効率測定装置を用いて、大気塵計算法により測定した。図3は、上記大気塵捕集効率の測定に用いた大気塵捕集効率測定装置の概略断面図である。
すなわち、図3においてフィルター材5(φ170mm)の下流側に設置された送風機7で発生した風を系外に排出することにより、フィルター材5に対し、濾過風速1m/minの気流を5分間通気させた後、フィルター材5の上流側の大気塵(粒径:0.3〜5μm)個数Xをリオン社製パーティクルカウンター(上流)4によって測定し、同時にフィルター5の下流側の大気塵(粒径:0.3〜5μm)個数Yを同社製パーティクルカウンター(下流)6によって測定した。
測定試料は、n=3で行った。それぞれ得られた測定結果から、次式によって捕集効率(%)を求め、n=3の平均値より算出した。
・(1−(Y−X))×100
・(1−(Y−X))×100
上記式中、Xは上流側大気塵個数で、Yは下流側大気塵個数である。
大気塵捕集効率の判定基準は、粒径1μm以下のダスト捕集効率が55%以上を◎、50%以上55%未満を○(良い)、45%以上50%未満を△(やや良い)、45%未満を×(悪い)とした。○(良い)以上を合格とした。
(4)ダスト払い落とし後の圧力損失:
図4の圧力損失測定装置より、ダスト払い落とし後の圧力損失を測定した。図4は、実施例でダスト払い落とし後の圧力損失の測定に用いた圧力損失測定装置の概略断面図である。すなわち、図4において、フィルター材5(φ170mm)の下流側に設置された真空ポンプ10と流量計9により、フィルター材5に対し、濾過風速2.0m/minの気流を与えた。JIS試験用粉体1の10種(フライアッシュ)ダスト((社)日本粉体工業技術協会製)をダスト供給機12とダスト分散機13で、ダスト濃度20g/m3に調整したダストをフィルター材5(濾過面積100cm2)のエアー流入面側に付加した。デジタルマノメーター11で測定した圧力損失が10mmH2O(980pa)まで上昇する毎に、フィルター5の下流にあるパルスジェット負荷機8により、パルスジェット圧力3kf/cm2(294kpa)、0.1secの条件でパルスジェットを155回打ち、パルスジェット負荷直後の圧力損失をデジタルマノメーター11で連続モニターリングした。
図4の圧力損失測定装置より、ダスト払い落とし後の圧力損失を測定した。図4は、実施例でダスト払い落とし後の圧力損失の測定に用いた圧力損失測定装置の概略断面図である。すなわち、図4において、フィルター材5(φ170mm)の下流側に設置された真空ポンプ10と流量計9により、フィルター材5に対し、濾過風速2.0m/minの気流を与えた。JIS試験用粉体1の10種(フライアッシュ)ダスト((社)日本粉体工業技術協会製)をダスト供給機12とダスト分散機13で、ダスト濃度20g/m3に調整したダストをフィルター材5(濾過面積100cm2)のエアー流入面側に付加した。デジタルマノメーター11で測定した圧力損失が10mmH2O(980pa)まで上昇する毎に、フィルター5の下流にあるパルスジェット負荷機8により、パルスジェット圧力3kf/cm2(294kpa)、0.1secの条件でパルスジェットを155回打ち、パルスジェット負荷直後の圧力損失をデジタルマノメーター11で連続モニターリングした。
ダスト払い落とし後の圧力損失の判定基準は、経過時間30hr時点の圧力損失が6mmH2O(60pa)未満を◎、6mmH2O(60pa)以上7mH2O(69pa)未満を○(良い)、7mmH2O(69pa)以上8mmH2O(78mH2O)以下を△(やや良い)、8mmH2O(78pa)よりも高い場合を×(悪い)とした。○(良い)以上を、合格とした。
(5)総合判定:
上記のカード通過性、大気塵捕集効率およびダスト払い落とし後の圧力損失の判断基準において、3項目中で×(悪い)の判定が1つでもある場合は、総合判定は×(悪い)とし、3項目中で△(やや良い)が1項目以上の場合は総合判定を△(やや良い)、3項目中△(やや良い)および×(悪い)がない場合は、総合判定を○とした。○(良い)以上を、合格とした。
上記のカード通過性、大気塵捕集効率およびダスト払い落とし後の圧力損失の判断基準において、3項目中で×(悪い)の判定が1つでもある場合は、総合判定は×(悪い)とし、3項目中で△(やや良い)が1項目以上の場合は総合判定を△(やや良い)、3項目中△(やや良い)および×(悪い)がない場合は、総合判定を○とした。○(良い)以上を、合格とした。
(6)異形度
単繊維を取り出し、単繊維の長手方向に対して垂直に切断した任意の断面20箇所について、ニコン社製顕微鏡AFX−DXにて撮影し、撮影した断面写真より、それぞれ外接円、および内接円の直径の長さを測定。上記式(1)より異形度を求め、n=20の平均値より算出した。
単繊維を取り出し、単繊維の長手方向に対して垂直に切断した任意の断面20箇所について、ニコン社製顕微鏡AFX−DXにて撮影し、撮影した断面写真より、それぞれ外接円、および内接円の直径の長さを測定。上記式(1)より異形度を求め、n=20の平均値より算出した。
(7)繊度
繊度はJIS L1015(2010年)に準じて測定した。
繊度はJIS L1015(2010年)に準じて測定した。
[実施例1]
単繊維繊度(丸断面)3.0dtex、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン”(登録商標)S101−3.0T76mm)を用い、単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸(総繊度600dtex)を得た。この紡績糸を用いて平織り組織の織物を製織し、経糸密度26本/2.54cm、綿糸密度18本/2.54cmのPPS紡績糸からなる平織物を得た。この平織物を骨材として、その片面に、混繊によって質量比50:50で得られた、六角断面繊維繊度2.2dtex(異形度:1.15)と、六角断面繊維繊度1.0dtexのPPS短繊維(異形度:1.15)を、オープナーとカーディング処理した後、刺針密度50本/cm2で仮ニードルパンチして得られた繊維ウェブを、194g/m2の目付で積層した。この繊維ウェブが、エアー流入面の濾過層を形成する。織物のもう一方の面に、単繊維繊度(丸断面)7.8dtex、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン”(登録商標)S101−7.8T51mm)100%を、オープナーとカーディング処理した後、刺針密度50本/cm2で、仮ニードルパンチして得られた繊維ウェブを、220g/m2の目付で積層した。この繊維ウェブが、エアー排出面の濾過層を形成する。さらに、ニードルパンチ加工により織物(骨材)と上述の繊維ウェブとを交絡させ、目付が544g/m2で、総刺針密度が300本/cm2のフィルターを得た。得られたフィルター材の性能を、表1に示す。ここで得られたフィルター材は、ニードルパンチ処理により収縮して、理論上より目付が高くなる傾向が見られた。
単繊維繊度(丸断面)3.0dtex、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン”(登録商標)S101−3.0T76mm)を用い、単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸(総繊度600dtex)を得た。この紡績糸を用いて平織り組織の織物を製織し、経糸密度26本/2.54cm、綿糸密度18本/2.54cmのPPS紡績糸からなる平織物を得た。この平織物を骨材として、その片面に、混繊によって質量比50:50で得られた、六角断面繊維繊度2.2dtex(異形度:1.15)と、六角断面繊維繊度1.0dtexのPPS短繊維(異形度:1.15)を、オープナーとカーディング処理した後、刺針密度50本/cm2で仮ニードルパンチして得られた繊維ウェブを、194g/m2の目付で積層した。この繊維ウェブが、エアー流入面の濾過層を形成する。織物のもう一方の面に、単繊維繊度(丸断面)7.8dtex、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン”(登録商標)S101−7.8T51mm)100%を、オープナーとカーディング処理した後、刺針密度50本/cm2で、仮ニードルパンチして得られた繊維ウェブを、220g/m2の目付で積層した。この繊維ウェブが、エアー排出面の濾過層を形成する。さらに、ニードルパンチ加工により織物(骨材)と上述の繊維ウェブとを交絡させ、目付が544g/m2で、総刺針密度が300本/cm2のフィルターを得た。得られたフィルター材の性能を、表1に示す。ここで得られたフィルター材は、ニードルパンチ処理により収縮して、理論上より目付が高くなる傾向が見られた。
[実施例2]
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、混繊によって、丸断面繊維繊度1.5dtexと、六角断面繊度1.0dtexのPPS短繊維(異形度1.15)を、質量比80:20で混繊したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、混繊によって、丸断面繊維繊度1.5dtexと、六角断面繊度1.0dtexのPPS短繊維(異形度1.15)を、質量比80:20で混繊したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
[実施例3]
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、混繊によって、丸断面繊維繊度1.5dtexと、六角断面繊維繊度2.2dtexのPPS短繊維(異形度:1.15)を、質量比80:20で混繊したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、混繊によって、丸断面繊維繊度1.5dtexと、六角断面繊維繊度2.2dtexのPPS短繊維(異形度:1.15)を、質量比80:20で混繊したこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
[比較例1]
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、混繊によって、丸断面繊維繊度0.8dtexのPPS短繊維と、丸断面繊維繊度1.5dtexのPPS短繊維を、質量比20:80で混繊を実施後、オープナーとカーディング処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を、表1に示す。
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、混繊によって、丸断面繊維繊度0.8dtexのPPS短繊維と、丸断面繊維繊度1.5dtexのPPS短繊維を、質量比20:80で混繊を実施後、オープナーとカーディング処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を、表1に示す。
[比較例2]
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、混繊によって、丸断面繊維繊度1.5dtexのPPS短繊維と、扁平断面繊維繊度1.5dtexのPPS短繊維(異形度2.90)を、質量比80:20で混繊を実施後、オープナーとカーディング処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を、表1に示す。
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、混繊によって、丸断面繊維繊度1.5dtexのPPS短繊維と、扁平断面繊維繊度1.5dtexのPPS短繊維(異形度2.90)を、質量比80:20で混繊を実施後、オープナーとカーディング処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を、表1に示す。
[比較例3]
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、丸断面繊維繊度1.5dtexのPPS短繊維を、質量比100%でオープナーとカーディング処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を、表1に示す。
エアー流入面側の繊維ウェブを構成する繊維として、丸断面繊維繊度1.5dtexのPPS短繊維を、質量比100%でオープナーとカーディング処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を、表1に示す。
1:エアー流入面の濾過層を形成する繊維ウェブ
2:耐熱性繊維からなる織物(骨材)
3:エアー排出面の濾過層を形成する繊維ウェブ
4:パーティクルカウンター(上流)
5:フィルター材
6:パーティクルカウンター(下流)
7:送風機
8:パルスジェット負荷機
9:流量計
10:真空ポンプ
11:デジタルマノメーター
12:ダスト供給機
13:ダスト分散機
2:耐熱性繊維からなる織物(骨材)
3:エアー排出面の濾過層を形成する繊維ウェブ
4:パーティクルカウンター(上流)
5:フィルター材
6:パーティクルカウンター(下流)
7:送風機
8:パルスジェット負荷機
9:流量計
10:真空ポンプ
11:デジタルマノメーター
12:ダスト供給機
13:ダスト分散機
Claims (3)
- 下記式(1)で定義される異形度を満たす六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維を有する繊維構造体。
異形度(A/B)=1.05〜1.30 ・・・(1) - 前記六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維の繊度が、1.0〜3.0dtexであることを特徴とする請求項1記載の繊維構造体。
- 前記六角断面のポリフェニレンサルファイド繊維が10%質量以上含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017024989A JP2018131701A (ja) | 2017-02-14 | 2017-02-14 | 繊維構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017024989A JP2018131701A (ja) | 2017-02-14 | 2017-02-14 | 繊維構造体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2018131701A true JP2018131701A (ja) | 2018-08-23 |
Family
ID=63247470
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017024989A Pending JP2018131701A (ja) | 2017-02-14 | 2017-02-14 | 繊維構造体 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2018131701A (ja) |
-
2017
- 2017-02-14 JP JP2017024989A patent/JP2018131701A/ja active Pending
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