JP2019099959A - ポリフェニレンサルファイド繊維および繊維構造体 - Google Patents

ポリフェニレンサルファイド繊維および繊維構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】
バグフィルター用フェルトにおいて、濾布作製時の生産性を落とすことなく、より効率的な捕集性能を保つことのできるポリフェニレンサルファイド繊維、および該繊維を有する繊維構造体を提供する。
【解決手段】ポリフェニレンサルファイド繊維の捲縮数が、10〜15山/25mmであり、且つ下記式(1)で定義される捲縮度数比を有するポリフェニレンサルファイド繊維。
式(1) : -0.07N+2.1≦Y≦-0.07N+2.3
N=捲縮数 Y=捲縮度数比
ここでNは捲縮数である。Yは捲縮度数比である。捲縮度数比は式(2)で示す。
式(2) : Y(捲縮度数比)=捲縮度(%)/捲縮数(山/25mm)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンサルファイド繊維および繊維構造体に関するものである。
ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略すことがある。)樹脂は、優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性および耐湿熱性などのエンジニアリングプラスチクスとして好適な性質を有しており、射出成型や押出成型用を中心として各種の電気や電子部品、機械部品および自動車部品の他に、フィルム、繊維などに使用されている。PPSは高結晶性で耐熱性に優れた熱可塑性ポリマーであることから、優れた耐熱、耐薬品性を有する繊維として使用されているが、例えば廃ガス集塵機のバグフィルター等の各種産業用フィルターに用いられる濾布には、PPS繊維素材が広く用いられている。このような濾布は、PPS短繊維の紡績糸から作製された基布に、PPS短繊維からなる繊維ウェブを積層しニードルパンチングしたものであり、廃ガス中のダストを捕集し、ダストを含まない廃ガスを外へと排気するために使用されるが、目詰まりのない状態を長期間保持し続けることが重要であり、このような濾布性能の長寿命化が常に望まれている。
濾布の目詰まりを抑制し濾布性能の長寿命化を図るためには、付着したダストを効率的に濾布から離脱させることが有効である。すなわち、バグフィルターにおいて濾布が目詰まりすると、焼却設備からの廃ガスの排気が出来なくなるので、焼却設備を停止させて、濾布を交換しなければならないが、濾布が目詰まりする前にダストを効率的に払い落とせば、濾布の長寿命化を図ることができ、焼却設備の長期連続運転が可能となる。
バグフィルターにおいて、濾布に付着したダストを効率的に離脱させる方法として、パルスジェット方式が採用されることが多い。パルスジェット方式とは、濾布の表面に付着したダストが過度に蓄積しないうちに、濾布に高速の気流(パルスジェット)を定期的に吹きつけて濾布を振動させ、濾布の表面に付着したダストを払い落とす方式である。このパルスジェットは高圧であるからバグフィルターの濾布には、それに絶え得るフィルター強度が要求される。一方で、環境規制は厳しくなる時流にあり、より高いダスト捕集効率であり、かつ、目詰まりの少ない優れたフィルターが要望されている。
以上の様なフィルター強度、捕集性に優れた高性能フィルターを得るために、カード通過性、紡績性は極めて重要である。しかし、PPSはポリエステルやナイロン等に比べて、対金属および対繊維間摩擦抵抗が高い上、バグフィルター寿命延長を目的に高強度化が要望される時流にあり、高強度化のための高結晶化によって捲縮が掛けにくくなっているのが現状であった。繊維の捲縮はカード通過性を大きく左右し、そのため特に捲縮については良好なカード通過性を得るため種々検討がなされてきた。
カード通過性を向上させる手段として、特許文献1ではアルキルフォスフェートアルカリ金属塩を有効成分として50重量%以上含有する処理剤を付与し、ある一定の捲縮数及び捲縮率以上の繊維を使用することが提案されている。また特許文献2には、カード工程で捲縮のへたりにより、繊維間の交絡が十分に行われず加工性が悪化する対策として、引張強度と捲縮弾性率を規定することが提案されている。また、特許文献3においては、繊維間の交絡を十分に行いバグフィルター用濾布として十分な機械強度を得るため、捲縮度を規定することが提案されている。
特開平03−14618号公報 特開2008−266869号公報 特開2004−261760号公報
しかし、特許文献1については、捲縮度数には上限がなくネップ等、カード通過性が劣位になるケースが想定される。また特許文献2では、引張強度と捲縮弾性率を規定しただけでは、フライやネップ等、捲縮数に起因したトラブルが発生する可能性が高く十分ではない。更に特許文献3においては、捲縮度を規定するだけでは良好なカード通過性は得ることは困難であるのが実情であった。
そこで、本発明の目的は、ポリフェニレンサルファイド繊維のバグフィルター用フェルトにおいて、濾布作製時の生産性を落とすことなく、強度に優れ、より効率的な捕集性能を保つための繊維、および該繊維を有する繊維構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、濾布作製時の生産性を落とすことなく、強度に優れ、より効率的な捕集性能を有する濾布とするには、その構成繊維の捲縮数、および捲縮数と捲縮度数比との相関関係が重要であり、下記計算式を満足する繊維を使用することが重要であることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
1.捲縮数が10〜15山/25mmであり、且つ下記式(1)を満足する捲縮度数比を有するポリフェニレンサルファイド繊維。
式(1) : −0.07N+2.1≦Y≦−0.07N+2.3
N=捲縮数 Y=捲縮度数比
ここでNは捲縮数、Yは捲縮度数比であり、捲縮度数比は式(2)で示す。
式(2) : Y(捲縮度数比)=捲縮度(%)/捲縮数(山/25mm)
2.強度が、4.0〜5.5cN/dtexであることを特徴とする請求項1記載の繊維。
3.単繊維繊度が、0.9〜3.0dtexであることを特徴とする上記1に記載の繊維。
4.請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンサルファイド繊維を40質量%以上含むことを特徴とする繊維構造体。
本発明によれば、ポリフェニレンサルファイド繊維のバグフィルター用フェルトにおいて、濾布作製時の生産性を落とすことなく、強度に優れ、より効率的な捕集性能を有するポリフェニレンサルファイド繊維からなる繊維構造体、特にポリフェニレンサルファイド繊維のバグフィルター用フェルトを得ることができる。
本発明で得られるポリフェニレンサルファイド繊維からなる不織布を用いたフィルター材(濾布)の分解断面図である。 実施例で用いた、フィルター材(濾布)を用いた大気塵捕集効率測定装置の概略側面図である。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維について詳細を説明する。
本発明で用いられるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂は、繰り返し単位として、次の構造式(I)で示されるp−フェニレンサルファイド単位や、m−フェニレンサルファイド単位などのフェニレンサルファイド単位を含有するポリマーを意味する。
PPS樹脂は、ホモポリマー、p−フェニレンサルファイド単位とm−フェニレンサルファイド単位の両者を有する共重合体またはそれらの混合物であってもよく、また本発明の効果を損なわない限り、他の芳香族サルファイドとの共重合体あるいは混合物であっても構わない。
また、PPS樹脂は、重量平均分子量が30000〜60000であることが好ましい。重量平均分子量が30000未満のPPS樹脂を用いて溶融紡糸を行った場合、紡糸張力が低く紡糸時に糸切れが多発することがあり、また、重量平均分子量が60000を超えるPPS樹脂を用いると、溶融時の粘度が高すぎて紡糸設備を特殊な高耐圧仕様にしなければならず、設備費用が高額になって不利である。より好ましい重量平均分子量は、35000〜55000である。
本発明で用いられるPPS樹脂の市販品としては、東レ(株)製“トレリナ”(登録商標)や、ポリプラスチックス(株)製“ジュラファイド”(登録商標)などが挙げられる。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、捲縮数が10〜15山/25mmであり、且つ下記式(1)を満足する捲縮度数比を有することが必要である。
式(1) : −0.07N+2.1≦Y≦−0.07N+2.3
N=捲縮数 Y=捲縮度数比
ここでNは捲縮数であり、Yは捲縮度数比である。
捲縮度数比は式(2)で定義される。
式(2) :Y(捲縮度数比)=捲縮度(%)/捲縮数(山/25mm)。
本発明において、捲縮数は10〜15山/25mmである。より好ましくは11〜14山/25mmであり、更に好ましくは12〜14山/25mmである。捲縮数が10山/25mm未満になると、繊維間の交絡性が悪くカード工程でフライやウェブ切れが発生し工程通過性が著しく低下することがある。また捲縮数が16山/25mm以上であると、ネップが発生し表面品位の優れたウェブが得られなくなる。なお、本発明における捲縮数は、後述する方法で測定した値をいう。
更に本発明においては、式(2)に示す捲縮度数比が、式(1)の規定範囲内であることが重要である。捲縮度数比が低めに外れる場合は、ウェブ絡合性が低下しウェブ切れが発生しやすくなるとともに、生産性が劣ることに加え表面品位の優れたウェブを得る事が困難となる。また捲縮度数比が高めに外れる場合は、繊維間の絡みが強く製造時にネップが発生し生産性が劣ることに加え、表面品位の悪化を招くため好ましくない。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維の強度は、好ましくは4.0〜5.5cN/dtexであり、より好ましくは4.5〜5.5cN/dtex、いっそう好ましくは4.5〜5.0cN/dtexである。強度を4.5cN/dtex以上とすることにより、濾布に付着したダストを振るい落とすパルスジェットにより濾布が破断される可能性を低下させることができ、長期高温下の使用に耐えることが出来るPPS繊維を得る事が出来る。また、強度を5.5cN/dtex以下とすることにより、結晶化度が高く単繊維の剛性が上がすぎて、捲縮数が低くなりやすくなることもない。
また、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維の単繊維繊度は、好ましくは0.9〜3.0dtexであり、より好ましくは0.9〜2.0dtexである。単繊維繊度が0.9dtex以上以下であれば、カードのシリンダーに巻き付き易くなる傾向が抑制でき、工程通過性(カード通過性)が著しく低下することがない。また、単繊維繊度が3.0dtex以下であれば、ダスト捕集効率が劣り、充分な排ガス中のダスト濾過効果が得られないということがない。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維を得る方法においては、延伸後のトウをいかに単繊維に分散し単繊維が座屈し易い状態にするかが重要であり、油剤付与、分繊ガイド使用による分繊化、ポリマに滑材を練り込む等の手法が挙げられるが、生産性等を考慮した場合、油剤付与にて得る方法が最も好ましい。油剤としては繊維生産に用いられる工程油剤であれば特に特定されるものではなく、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等いずれも好ましく使用できる。
次に、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維を製造する方法の一例について具体的に説明する。本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、前記したPPS樹脂を用い溶融紡糸法により得ることが出来る。PPS樹脂を紡糸口金より押出し、500〜2000m/分の速度で紡糸し、未延伸糸を得る。この時、口金の孔形状は得たい断面に相当する形状のものを用いる必要がある。得られた未延伸糸は常法により、1.1〜4.0倍に延伸後、定長熱処理により弛緩された糸条に油剤を付与し、温度180℃以上、好ましくは200℃以上240℃以下のスチームを満たしたスタッフィングボックス型のクリンパー内で捲縮を付与し熱固定する。捲縮を付与するに際して、このような条件を採用することにより、最終的に得られる短繊維において本発明で規定する範囲を満たすことが出来る。既に定長熱処理により結晶化しているポリフェニレンサルファイド繊維の糸条に捲縮状態を固定するには、捲縮付与時の温度として定長熱処理以上の温度を採用することが重要であるが、スチーム温度が高すぎると繊維同士の融着が発生することがある。捲縮付与に引き続き、必要に応じて油剤を付与後、所定の長さに切断し、ポリフェニレンサルファイド繊維を得ることが出来る。
次に、本発明の繊維構造体について説明する。
図1は、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維からなる不織布を用いた繊維構造体(濾布)の分解断面図である。
本発明の繊維構造体は、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維を繊維構造体全質量に対して40質量%以上含んでいることが好ましい。より好ましくは50質量%以上である。
図1において、エアー流入面の濾過層を形成する繊維ウェブ1とは、表面濾過用フィルター材において、ダストが含まれたエアーが最初にフィルター材と接触する面のことを示す。すなわち、ダストをフィルター材表面で捕集しダスト層を形成させる面のことを示す。本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、この繊維ウェブ1に用いられる。また反対側の面は、エアー排出面の濾過層を形成する耐熱性繊維からなる繊維ウェブ3で形成されており、ダストが除去されたエアーが排出される面のことを示す。また、繊維ウェブ1と繊維ウェブ3の間に、耐熱性繊維からなる織物(骨材)2をはさみ、ニードルパンチ工程でフェルトにすることにより、寸法安定性、引っ張り強力および耐摩耗性等の機械的強度に優れ、かつダスト捕集効率に優れたフィルター材を得ることが可能となる。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維を含む繊維構造体には、バグフィルターおよび抄紙等、不織布以外にも、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維を一旦紡績糸となし、その紡績糸を用いた織物や編物などの布帛も含まれる。
次に、実施例によって本発明のポリフェニレンサルファイド繊維について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって制限されるものではない。本発明で定義する各特性値は、次の方法で求めたものである。
(1)捲縮数および捲縮度
試料を10個の未開繊部分から未開繊部分1個につき1本の単繊維をランダムに抜き取り、計10本の単繊維をサンプリングした。これら10本の単繊維の片側の山数を拡大鏡を用いて読み取り、その平均値(n=10)を短繊維1本あたりの片側の山数とする。次にこの短繊維の一端を固定し、他端に2.2mg/dtex(2mg/d)、および333mg/dtex(300mg/d)の荷重をかけ、その時の繊維長をそれぞれ測定し、次式により捲縮数および捲縮度を算出する。
捲縮数(山/25mm)=25a/A
捲縮度(%)=100(B−A)/B
ただし、a、A、Bについては、以下に示すものとする。
a:短繊維1本あたりの片側山数
A:2mg/dの荷重をかけたときの繊維長(mm)
B:300mg/dの荷重をかけたときの繊維長(mm)。
(2)シリンダー巻き付き
25℃、65%RHの条件下でローラーカードにて、20g/m、幅50cmのウェブを速度30m/分で1時間カーディングした。フェルト作成時のシリンダーへの巻き付きおよびカードドッファーからのフライ綿発生状況を目視で確認した。シリンダーローラーへの巻き付きについては、ローラー巻き付きが無く非常に良好な状態を◎、1回以下の場合を○、2回以上3回以上の場合を×、とした。
(3)カードネップ
25℃、65%RHの条件下でローラーカードにて、20g/m、幅50cmのウェブを速度30m/分で1時間カーディングした。フェルト作成時のカード出ウェブでのネップ発生状態について、長手方向に1mのサンプルを10分おきに採取したネップ個数をカード出ウェブを目視で確認した。ネップが無く非常に良好な状態を◎、10個以下の場合を○、11個を越える場合を×、とした。
(4)カードフライ
25℃、65%RHの条件下でローラーカードにて、20g/m、幅50cmのウェブを速度30m/分で1時間カーディングした。フェルト作成時のカードでのフライ(風綿)発生量が10g以下の場合を◎、10gを越え30g未満の場合を○、30g以上の場合を×とした。
(5)フェルト強度
各実施例・比較例で得られたポリフェニレンサルファイド繊維を用いてJIS−L1085(1998年)の方法により、20cm×20cmの試料を3枚作製した。その試料の重量を測定し、その平均値をm2あたりの質量として求めた。フェルト厚みはシックネスダイヤルゲージ(押し圧力250g/cm=0.000245Pa)にて無作為に10点測定しその平均値を算出した。フェルト強度は、定速伸張型引張試験機にて、フェルトの試験片5サンプルの平均値としてタテ方向、ヨコ方向にそれぞれ算出した。フェルト強度の判断基準は、ヨコ方向のフェルト強度の数値が、1900N/5cm以上を◎、1700N/5cm以上1900N/5cm未満を○(良い)、1700N/5cm未満を×(悪い)とした。
(6)大気塵捕集効率
各実施例・比較例で得られたフィルター材のダスト捕集効率を、図2の大気塵捕集効率測定装置を用いて、大気塵計算法により測定した。すなわち、図2においてフィルター材5(φ170mm)の下流側に設置された送風機8により、フィルター材5に対し、濾過風速1m/minの気流を5分間通気させた後、フィルター材5の上流側の大気塵(粒径:0.3〜5μm)個数Aをリオン社製パーティクルカウンター(上流)4によって測定し、同時にフィルター5の下流側の大気塵(粒径:0.3〜5μm)個数Bを同社製パーティクルカウンター(下流)6によって測定した。測定試料は、n=3で行った。得られた測定結果から、次式によって捕集効率(%)を求めた。
捕集効率(%)=(1−(B−A))×100
上記式中、Aは上流側大気塵個数で、Bは下流側大気塵個数である。
大気塵捕集効率の判定基準は、粒径1μm以下のダスト捕集効率が55%以上を◎、50%以上55%未満を○(良い)、50%未満を×(悪い)とした。○(良い)以上を合格とした。
(7)総合判定:
上記のカード通過性(シリンダー巻き付き、カードネップ、カードフライ)、大気塵捕集効率およびフェルト強度の判断基準において、5項目中で×(悪い)の判定が1つでもある場合は、総合判定は×(悪い)とし、5項目すべて○(良い)以上の場合に合格とした。更に全5項目すべて○(良い)以上であり、且つ◎が3項目以上ある場合は総合判定を◎とした。
(8)単繊維繊度
単繊維繊度はJIS L1015(2010年)に準じて測定した。
[実施例1]
まず、本発明の高捲縮ポリフェニレンサルファイド繊維を次に記す方法で作製した。
東レ(株)製PPSペレットE2280(メルトフローレート値:165g/10min)を、160℃の温度で5時間真空乾燥を行った後、プレッシャー・メルター型溶融紡糸機に供給して、単孔吐出量0.55g/分で溶融紡糸し、収束剤として通常のPPS用紡糸油剤を付与し、引取速度900m/分で引き取り、PPS未延伸糸を得た。なお、スピンブロックおよびパックハウジング上部は320℃、パックハウジング下部の温度を310℃として、溶融紡出温度を制御した。また、冷却チムニー温度は25℃、風速は55m/分で冷却した。得られた未延伸糸を95℃の温水中で延伸倍率を3.4倍として延伸を行い、定長熱処理後、トウに対して0.10重量パーセントのノニオン系界面活性剤を付与し、スチームコンディショナーにてトウ温度が90℃になったトウを、ニップ圧力4.0kg/cmG、スタッフィング圧力1.0kg/cmGのクリンパー条件で捲縮を付与すると同時に、温度200℃のスチームを満たしたスタッフィングボックス型のクリンパーで捲縮を付与した。その後乾燥を行い、油剤を付与後、51mm長にカットし、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維(繊度2.2dtex)を得た。
一方、単繊維繊度2.2dtex、カット長51mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン”(登録商標)S371−2.2T51mm)を用い、単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸(総繊度600dtex)を得た。この紡績糸を用いて平織り組織の織物を製織し、経糸密度26本/2.54cm、綿糸密度18本/2.54cmのPPS紡績糸からなる平織物を得た。
この平織物を骨材として、その片面に、混繊によって質量比50:50で得られた、通常捲縮原綿の繊度2.2dtex、強度4.5cN/detxと、本実施例で得られた高捲縮原綿の繊度2.2dtex、強度4.5cN/dtex、捲縮数10山/25mm、捲縮度数比1.4のPPS短繊維を、オープナーとカーディング処理した後、刺針密度50本/cmで仮ニードルパンチして得られた繊維ウェブを、194g/mの目付で積層した。この繊維ウェブが、エアー流入面の濾過層を形成する。織物(骨材)のもう一方の面に、単繊維繊度7.8dtex、カット長76mmのPPS短繊維(東レ(株)製“トルコン”(登録商標)S101−7.8T51mm)100%を、オープナーとカーディング処理した後、刺針密度50本/cmで、仮ニードルパンチして得られた繊維ウェブを、220g/mの目付で積層した。この繊維ウェブが、エアー排出面の濾過層を形成する。さらに、ニードルパンチ加工により織物(骨材)と上述の繊維ウェブとを交絡させ、目付が544g/mで、総刺針密度が300本/cmのフィルターを得た。
得られたフィルター材の性能(大気塵捕集効率)を、表1に示す。ここで得られたフィルター材は、ニードルパンチ処理により収縮して、理論上より目付が高くなる傾向が見られた。
[実施例2]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、クリンパーのスタッフィング圧力を1.0kg/cmGから2.0kg/cmGに変更することにより、捲縮数15山/25mm、捲縮度数比1.2のPPS短繊維を得、このPPS短繊維を用いて実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
[実施例3]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、クリンパーのスタッフィング圧力を1.0kg/cmGから1.5kg/cmGに変更することにより、捲縮数13山/25mm、捲縮度数比1.3のPPS短繊維を得、このPPS短繊維を用いて実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
[実施例4]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、延伸倍率を3.4倍から3.5倍に変更することにより、強度が4.8cN/dtex、クリンパーのスタッフィング圧力を2.0kg/cmGに変更することにより、捲縮数15山/25mm、捲縮度数比1.2のPPS短繊維を得、このPPS短繊維を用いて実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
[実施例5]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、単孔吐出量を0.30g/分に変更することにより、繊度が1.2dtex、延伸倍率を3.5倍に変更することにより、強度が4.8cN/dtex、クリンパーのスタッフィング圧力を2.0kg/cmGに変更することにより、捲縮数15山/25mm、捲縮度数比1.2のPPS短繊維を得、このPPS短繊維を用いて実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
[実施例6]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、単孔吐出量を0.30g/分に変更することにより、繊度が1.2dtex、延伸倍率を3.5倍に編苦することにより、強度が4.8cN/dtex、クリンパーのスタッフィング圧力を2.0kg/cmGに変更することにより、捲縮数15山/25mm、捲縮度数比1.2のPPS短繊維を得た。このPPS短繊維を用いて高捲縮原綿の混綿比率を80%に上げたこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
[実施例7]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、単孔吐出量を0.70g/分に変更することにより、繊度が2.8dtex、延伸倍率を3.3倍に変更することにより、強度が4.2cN/dtex、クリンパーのスタッフィング圧力を1.5kg/cmGに変更することにより、捲縮数13山/25mm、捲縮度数比1.3のPPS短繊維を得、このPPS短繊維を用いて実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表1に示す。
[比較例1]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、クリンパーのスタッフィング圧力を2.0kg/cmGに、スタッフィングボックス内に充満したスチーム温度を250℃に変更し、捲縮数15山/25mm、捲縮度数比1.6のPPS短繊維を得、このPPS短繊維を用いて実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表2に示す。
[比較例2]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、トウに対して、0.10重量パーセントのノニオン系界面活性剤を付与しないこと以外は同じにしてPPS短繊維を得、このPPS短繊維を用いて実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表2に示す。
[比較例3]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、クリンパーのスタッフィング内に充満したスチーム温度を150℃に変更することにより、捲縮度数比1.1のPPS短繊維とし、延伸倍率を3.2倍に変更することにより、強度3.8cN/dtexのPPS短繊維を得、このPPS短繊維を用いて実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表2に示す。
[比較例4]
実施例1のPPS短繊維製造方法において、単孔吐出量を1.00g/分に変更することにより、繊度が4.0dtex、延伸倍率を3.2倍に変更することにより、強度が3.8cN/dtex、クリンパーのスタッフィング内に充満したスチーム温度を150℃に変更することにより、捲縮度数比1.1のPPS短繊維を得た。このPPS短繊維を用いて高捲縮原綿の混綿比率を20%に下げたこと以外は、実施例1と同様の方法でフィルター材を得た。得られたフィルター材の性能を表2に示す。
1:エアー流入面の濾過層を形成する繊維ウェブ
2:耐熱性繊維からなる織物(骨材)
3:エアー排出面の濾過層を形成する繊維ウェブ
4:パーティクルカウンター(上流)
5:フィルター材
6:パーティクルカウンター(下流)
7:マノメーター

Claims (4)

  1. 捲縮数が、10〜15山/25mmであり、且つ下記式(1)を満足する捲縮度数比を有することを特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維。
    式(1) : −0.07N+2.1≦Y≦−0.07N+2.3
    N=捲縮数 Y=捲縮度数比
    ここで、Nは捲縮数、Yは捲縮度数比であり、捲縮度数比は式(2)で示す。
    式(2) : Y(捲縮度数比)=捲縮度(%)/捲縮数(山/25mm)
  2. 強度が、4.0〜5.5cN/dtexであることを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
  3. 単繊維繊度が、0.9〜3.0dtexであることを特徴とする上記1に記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンサルファイド繊維を40質量%以上含むことを特徴とする繊維構造体。
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