JP2018106005A - カメラモジュール用液晶性樹脂組成物及びそれを用いたカメラモジュール - Google Patents
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Abstract
Description
(B)ポリカーボネート系樹脂、
(C)エポキシ基含有共重合体、並びに
(D)(D1)繊維状充填剤及び(D2)板状充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤
を含有し、
前記(D1)繊維状充填剤の重量平均繊維長は、150μm以下であり、
前記(D2)板状充填剤の平均粒子径は、50μm以下であり、
(A)成分の含有量が47〜78質量%、(B)成分の含有量が2〜8質量%、(C)成分の含有量が0〜5質量%、(D)成分の含有量が20〜40質量%であるカメラモジュール用液晶性樹脂組成物。
本発明のカメラモジュール用液晶性樹脂組成物は、(A)液晶性樹脂、(B)ポリカーボネート系樹脂、(C)エポキシ基含有共重合体、並びに(D)(D1)繊維状充填剤及び(D2)板状充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有する。
本発明で使用する(A)液晶性樹脂とは、光学異方性溶融相を形成し得る性質を有する溶融加工性ポリマーを指す。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することが出来る。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。本発明に適用できる液晶性ポリマーは直交偏光子の間で検査したときに、たとえ溶融静止状態であっても偏光は通常透過し、光学的に異方性を示す。
(1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位からなるポリエステル;
(2)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(c)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の少なくとも1種又は2種以上に由来する繰り返し単位、とからなるポリエステル;
(3)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位、とからなるポリエステルアミド;
(4)主として(a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及びそれらの誘導体の1種又は2種以上に由来する繰り返し単位と、(d)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、及びそれらの誘導体の少なくとも1種又は2種以上に由来する繰り返し単位、とからなるポリエステルアミド等が挙げられる。更に上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用してもよい。
(B)ポリカーボネート系樹脂は、カメラモジュール用液晶性樹脂組成物から得られる成形体のエポキシ接着性を向上させることに寄与する。(B)ポリカーボネート系樹脂は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。(B)ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、例えば、カーボネート結合を有し、芳香族2価フェノール系化合物とホスゲン、炭酸ジエステル等とを反応させることにより得られる芳香族ホモ又はコポリカーボネート樹脂等が挙げられる。該芳香族ホモ又はコポリカーボネート樹脂は、メチレンクロライド中1.0g/dlの濃度において20℃で測定した対数粘度が0.2〜3.0dl/gであることが好ましく、0.3〜1.5dl/gであることがより好ましい。
本発明のカメラモジュール用液晶性組成物は、(C)エポキシ基含有共重合体を配合してもよい。(C)エポキシ基含有共重合体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。(C)エポキシ基含有共重合体としては、特に限定されず、例えば、(C1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体及び(C2)エポキシ基含有スチレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。(C)成分をカメラモジュール用液晶性樹脂組成物に配合させることが、当該組成物を成形してなる成形体を超音波洗浄したときの、成形体表面の起毛をより効果的に抑えることに寄与する。
起毛を更に抑える理由については明確になっているわけではないが、ある一定量配合させることにより、成形体表面状態を変化させ、その変化が起毛を抑えることに寄与していると考えられる。
(D)成分は、(D1)繊維状充填剤及び(D2)板状充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤であり、(D1)繊維状充填剤の重量平均繊維長は、150μm以下であり、(D2)板状充填剤の平均粒子径は、50μm以下である。
本発明に任意成分として用いる(E)カーボンブラックは、樹脂着色に用いられる一般的に入手可能なものであれば、特に限定されるものではない。通常、(E)カーボンブラックには一次粒子が凝集して出来上がる塊状物が含まれているが、50μm以上の大きさの塊状物が著しく多く含まれていない限り、本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体の表面に多くのブツ(カーボンブラックが凝集した細かいブツブツ状突起物(細かい凹凸))は発生しにくい。上記塊状物粒子径が50μm以上の粒子の含有率が20ppm以下であると、成形体表面の起毛抑制効果が高くなりやすい。好ましい含有率は5ppm以下である。
本発明のカメラモジュール用液晶性樹脂組成物には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の重合体、その他の充填剤、一般に合成樹脂に添加される公知の物質、即ち、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、離型剤、結晶化促進剤、結晶核剤等も要求性能に応じ適宜添加することができる。
本発明のカメラモジュール用樹脂組成物の調製は特に限定されない。例えば、上記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分を配合して、これらを1軸又は2軸押出機を用いて溶融混練処理することで、カメラモジュール用液晶性樹脂組成物の調製が行われる。
本発明のカメラモジュール用液晶性樹脂組成物中の(D1)成分の形状と、配合される前の(D1)成分の形状とは異なる。上述の(D1)成分の形状は配合される前の形状である。配合される前の形状が上述の通りであれば、表面が起毛しにくいカメラモジュール用部品を得やすい。
上記カメラモジュール用液晶性樹脂組成物を用いて、カメラモジュール用部品を製造する。本発明の樹脂組成物を原料として用いれば、カメラモジュール用部品の表面が起毛しにくくなる。カメラモジュール用部品は、超音波洗浄されるため、超音波洗浄されても表面が起毛しにくいことが求められる。本発明の樹脂組成物を用いれば、カメラモジュール用部品の超音波洗浄をより強い条件で行っても、ゴミ等の原因となる脱落物が生じないか、ほとんど生じない。したがって、カメラモジュール用部品が完成品に組み込まれた後に、このカメラモジュール用部品の表面が起毛することにより生じるゴミで、完成品の品質に影響を与えることはほとんど無い。
・液晶性ポリエステルアミド樹脂
重合容器に下記の原料を仕込んだ後、反応系の温度を140℃に上げ、140℃で1時間反応させた。その後、更に340℃まで4.5時間かけて昇温し、そこから15分かけて10Torr(即ち1330Pa)まで減圧にして、酢酸、過剰の無水酢酸、及びその他の低沸分を留出させながら溶融重合を行った。撹拌トルクが所定の値に達した後、窒素を導入して減圧状態から常圧を経て加圧状態にして、重合容器の下部からポリマーを排出し、ストランドをペレタイズしてペレットを得た。得られたペレットについて、窒素気流下、300℃で2時間の熱処理を行って、目的のポリマーを得た。得られたポリマーの融点は336℃、溶融粘度は19Pa・sであった。なお、上記ポリマーの溶融粘度は、後述する溶融粘度の測定方法と同様にして測定した。
(I)4−ヒドロキシ安息香酸;1380g(60モル%)
(II)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸;157g(5モル%)
(III)テレフタル酸;484g(17.5モル%)
(IV)4,4’−ジヒドロキシビフェニル;388g(12.5モル%)
(V)4−アセトキシアミノフェノール;126g(5モル%)
金属触媒(酢酸カリウム触媒);110mg
アシル化剤(無水酢酸);1659g
・ポリカーボネート系樹脂:パンライトL−1225L(帝人化成(株)製、ポリカーボネート樹脂)
・繊維状充填剤:NYGLOS 8(NYCO Materials社製、繊維状ウォラストナイト、アスペクト比17、平均繊維長136μm、平均繊維径8μm)
・エポキシ基含有オレフィン系共重合体:ボンドファースト2C(住友化学(株)製、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、グリシジルメタクリレートの含有量6質量%)
・板状充填剤1:AB−25S((株)山口雲母工業製、マイカ、平均粒子径24μm)
・板状充填剤2:クラウンタルクPP(松村産業(株)製、タルク、平均粒子径12.8μm、平均アスペクト比6)
・カーボンブラック:VULCAN XC305(キャボットジャパン(株)製、平均粒子径20nm、粒子径50μm以上の粒子の割合が20ppm以下)
上記成分を、表1に示す割合で二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α型)を用いて、シリンダー温度350℃にて溶融混練し、カメラモジュール用液晶性樹脂組成物ペレットを得た。
実施例及び比較例のカメラモジュール用液晶性樹脂組成物の溶融粘度を、上記ペレットを用いて測定した。具体的には、キャピラリー式レオメーター(東洋精機製キャピログラフ1D:ピストン径10mm)により、シリンダー温度350℃、せん断速度1000sec−1の条件での見かけの溶融粘度をISO 11443に準拠して測定した。測定には、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いた。結果を表1に示す。
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製 「SE100DU」)を用いて、以下の成形条件で成形し、130mm×13mm×0.8mmの曲げ試験片を作製した。この試験片を用いて、ASTM D790に準拠し、曲げ強度、曲げ弾性率、及び破断歪を測定した。結果を表1に示す。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 90℃
射出速度: 33mm/sec
保圧: 50MPa
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業社製 「SE30DUZ」)を用いて、以下の成形条件で成形し、12.5mm×120mm×0.8mmの成形体を得た。この成形体を試験片として使用した。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 90℃
射出速度: 80mm/sec
〔評価〕
上記試験片を3分間、室温の水中で超音波洗浄機(出力300W、周波数45kHz)にかけた。その後、パーティクルカウンター(RION(株)製 液中微粒子計数器KL−11A(PARTICLECOUNTER))にて、上記水中に存在する2μm以上の粒子数を測定し、ダスト発生数として評価した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製 「SE30DUZ」)を用いて、以下の成形条件で成形し、図2(a)に示すような、10.0mm×10.0mm×1.0mmのカメラモジュール型成形品を得た。得られたカメラモジュール型成形品を水平な机の上に静置し、カメラモジュール型成形品の高さをミツトヨ製クイックビジョン404PROCNC画像測定機により測定した。その際、図2(b)において黒丸で示す複数の位置で高さを測定し、最小二乗平面からの最大高さと最小高さとの差をそり変形とした。結果を表1に示す。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 80℃
射出速度: 100mm/sec
保圧: 50MPa
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製 「SE100DU」)を用いて、以下の成形条件で成形し、試験片(ISO試験片Type1A、厚み4mm)を得た。この試験片を2分割して、図3(a)に示すように、エポキシ系接着剤(ヘンケル社製ロックタイト3128NH)で貼り合わせた(硬化条件:80℃×30分)。その後、図3(b)に示すように、貼り合わされた試験片を設置して、引張試験機を用いて、矢印方向に荷重を加えて、剥がれたときの荷重から、接着強度を評価した。結果を表1に示す。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 80℃
射出速度: 33mm/sec
〔引張試験条件〕
試験機:オリエンテック、テンシロンRTC−1325A
試験速度:10mm/min
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製 「SE100DU」)を用いて、以下の成形条件で成形し、試験片(ISO試験片Type1A、厚み4mm)を得た。この成形品の端部分について、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(キーエンス社製)を用いて表面粗さRaを測定した。結果を表1に示す。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 80℃
射出速度: 33mm/sec
実施例及び比較例のペレットを、成形機(住友重機械工業(株)製 「SE100DU」)を用いて、以下の成形条件で成形し、ウェルド部を有する12.5mm×120mm×0.8mmの成形品を得た。この成形品を上記ウェルド部で二分割して得た断片を1検体とし、所定温度のホットプレスに5分間挟んだ。その後、目視にて上記検体の表面にブリスターが発生しているかどうかを調べた。ブリスター温度は、ブリスターの発生個数がゼロとなる最高温度とした。なお、上記所定温度は250〜300℃の範囲において10℃刻みで設定した。
〔成形条件〕
シリンダー温度: 350℃
金型温度: 80℃
射出速度: 33mm/sec
10 基板
11 撮像素子
12 リード配線
13 レンズホルダー
14 バレル
15 レンズ
16 IRフィルター
17 ガイド
18 ベース
19 コイル
20 永久磁石
21 ヨーク
22 カバー
Claims (4)
- (A)液晶性樹脂、
(B)ポリカーボネート系樹脂、
(C)エポキシ基含有共重合体、並びに
(D)(D1)繊維状充填剤及び(D2)板状充填剤からなる群より選択される少なくとも1種の充填剤
を含有し、
前記(D1)繊維状充填剤の重量平均繊維長は、150μm以下であり、
前記(D2)板状充填剤の平均粒子径は、50μm以下であり、
(A)成分の含有量が47〜78質量%、(B)成分の含有量が2〜8質量%、(C)成分の含有量が0〜5質量%、(D)成分の含有量が20〜40質量%であるカメラモジュール用液晶性樹脂組成物。 - 前記(C)エポキシ基含有共重合体は、(C1)エポキシ基含有オレフィン系共重合体及び(C2)エポキシ基含有スチレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の組成物。
- 請求項1又は2に記載の組成物からなるカメラモジュール用部品。
- 請求項3に記載の部品を備えるカメラモジュール。
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