JP2018070951A - 導電ペースト用粉末、および導電層の製造方法 - Google Patents

導電ペースト用粉末、および導電層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱処理後の導電性、および熱収縮特性を改善できる、導電ペースト用粉末の提供。【解決手段】金属ニッケル粉末と、前記金属ニッケル粉末と混在する酸化ニッケル粉末とを含み、前記酸化ニッケル粉末の平均粒径が前記金属ニッケル粉末の平均粒径の0.0166倍以上0.085倍以下であり、前記金属ニッケル粉末および前記酸化ニッケル粉末の総酸素量が1.3質量%以上1.9質量%以下である、導電ペースト用粉末。【選択図】なし

Description

本発明は、導電ペースト用粉末、および導電層の製造方法に関する。
金属ニッケル粉末は、導電ペースト用粉末として使用されている。導電ペーストは、金属ニッケル粉末の他に、バインダーや有機溶剤を含む。導電ペーストは、分散剤をさらに含んでもよい。導電ペーストは、バインダーや有機溶剤、分散剤を分解、揮発させる脱バインダー処理の後、還元雰囲気下で熱処理され、内部電極層や外部電極層、電気回路層などの導電層を形成する。導電ペーストは、多層セラミック回路基板や積層セラミックコンデンサなどの製造に用いられる。
例えば、積層セラミックコンデンサは、誘電体グリーンシート上に導電ペーストをスクリーン印刷したものを複数枚重ねて熱圧着し、脱バインダー処理の後、還元雰囲気下で熱処理して製造される。積層セラミックコンデンサは、誘電体グリーンシートを焼成してなる誘電体層と、導電ペーストの塗布層を焼成してなる内部電極層とを交互に重ねた構造を有する。
内部電極層などの導電層の導電率を高めるため、導電ペーストに含まれる金属ニッケル粉末が熱処理によって連続的につながることが求められる。
しかしながら、金属ニッケル粉末が熱処理によって連続的につながるとき、熱収縮が生じる。熱収縮が大き過ぎると、クラックや変形などが生じ、導電層の性能が劣化する。
そこで、特許文献1の実施例では、導電性や熱収縮特性を改善するため、金属ニッケル微粒子表面に酸化ジルコニウムまたはチタン酸ストロンチウムが固着しており、さらにその表面に不飽和脂肪酸が担持されている複合ニッケル微粉末が提案されている。
特許3203238号公報
従来から、熱処理後の導電性や熱収縮特性を改善するための技術が提案されているが、より熱処理後の導電性や熱収縮特性を改善できる技術が望まれていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、熱処理後の導電性、および熱収縮特性を改善できる、導電ペースト用粉末の提供を主な目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
金属ニッケル粉末と、
前記金属ニッケル粉末と混在する酸化ニッケル粉末とを含み、
前記酸化ニッケル粉末の平均粒径が前記金属ニッケル粉末の平均粒径の0.0166倍以上0.085倍以下であり、
前記金属ニッケル粉末および前記酸化ニッケル粉末の総酸素量が1.3質量%以上1.9質量%以下である、導電ペースト用粉末が提供される。
本発明の一態様によれば、熱処理後の導電性、および熱収縮特性を改善できる、導電ペースト用粉末が提供される。
例1、例2および例5のペレットの収縮曲線を示す図である。 例3、例4、例6および例7のペレットの収縮曲線を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
(導電ペースト)
導電ペーストは、金属ニッケル粉末と、エチルセルロース等のバインダーと、ターピネオール等の有機溶剤とを含む。導電ペーストは、分散剤をさらに含んでもよい。導電ペーストは、バインダーや有機溶剤、分散剤を分解、揮発させる脱バインダー処理の後、還元雰囲気下で熱処理され、内部電極層や外部電極層、電気回路層などの導電層を形成する。導電ペーストは、多層セラミック回路基板や積層セラミックコンデンサなどの製造に用いられる。
例えば、積層セラミックコンデンサは、誘電体グリーンシート上に導電ペーストをスクリーン印刷したものを複数枚重ねて熱圧着し、脱バインダー処理の後、還元雰囲気下で熱処理して製造される。積層セラミックコンデンサは、誘電体グリーンシートを焼成してなる誘電体層と、導電ペーストの塗布層を焼成してなる内部電極層とを交互に重ねた構造を有する。
導電ペーストは、誘電体グリーンシート上に塗布され誘電体グリーンシートと共に焼成される場合、チタン酸バリウム粉末等の誘電体粉末をさらに含んでもよい。これにより、導電ペーストの塗布層と誘電体グリーンシートとの熱収縮差を小さくでき、クラックの発生を抑制できる。また、焼成後の誘電体層と導電層との密着性を高めることができる。
本実施形態の導電ペーストは、金属ニッケル粉末が熱処理によって連続的につながるときに生じる熱収縮を低減するため、金属ニッケル粉末の他に、金属ニッケル粉末と混在する酸化ニッケル粉末をさらに含む。酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末の隙間を埋め、金属ニッケル粉末の熱収縮を低減する。
金属ニッケル粉末の隙間を埋める材料として、金属粉末ではなく酸化物粉末を用いる理由は、酸化物粉末は微粉であっても凝集しにくく、金属ニッケル粉末の隙間に入り込みやすいからである。また、酸化物粉末として、酸化ニッケル粉末を用いる理由は、還元雰囲気下での熱処理によって酸化ニッケルの少なくとも一部が金属ニッケルに還元され、導電層の導電率が高くなるからである。
金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末とは、別々に製造され、混合して用いられてよい。金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末とで導電ペースト用粉末が構成される。導電ペースト用粉末は、以下の説明では、金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末のみを含み、誘電体粉末などを含まないが、誘電体粉末などを含んでもよい。以下、導電ペースト用粉末について説明する。
(金属ニッケル粉末)
金属ニッケル粉末は、平均粒径が0.3μm以上であることが望ましい。金属ニッケル粉末の平均粒径は、詳しくは後述するが、SEM像上での各粒子の面積円相当径を平均化して求める。金属ニッケル粉末の平均粒径が0.3μm以上であると、焼成時にクラックの発生を抑制できる。導電層の薄型化の観点から、金属ニッケル粉末の平均粒径は0.6μm以下であることが望ましい。金属ニッケル粉末の平均粒径が0.6μm以下であると、積層セラミックコンデンサの内部電極層を薄型化でき、積層セラミックコンデンサの小型化や高容量化を達成できる。
金属ニッケル粉末は、充填性を高めるため、凝結粒子の少ないものが望ましく、さらに、粒度分布を有しているものが望ましい。金属ニッケル粉末の粒度分布は、好ましくは、D10/D50が0.2以上0.7以下であって、且つD90/D50が1.4以上5.0以下である。ここで、D10とは、各粒径における粒子数を粒径の小さい側から累積し、その累積体積が全粒子の合計体積の10%となる粒径を意味する。D50とは、同様に粒子数を累積し、その累積体積が全粒子の合計体積の50%となる粒径を意味する。D90とは、同様に粒子数を累積し、その累積体積が全粒子の合計体積の90%となる粒径を意味する。各粒子の粒径は、SEM像上での面積円相当径として求める。
金属ニッケル粉末は、大気中で放置すると、大気中に含まれる酸素などによって形成される酸化膜で覆われる。金属ニッケル粉末の酸素量は、後述の金属ニッケル粉末および酸化ニッケル粉末の総酸素量との関係から、好ましくは1.2質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。また、金属ニッケル粉末の酸素量は、取扱い性の観点から、好ましくは0.5質量%以上である。
金属ニッケル粉末の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ニッケル塩ガスを還元ガスで還元する化学気相法、ニッケル塩水溶液を還元水溶液で還元する湿式還元法、固体のニッケル化合物を還元ガスで還元する固相法などが用いられる。これらの中でも、コストの観点から、固相法が特に好ましい。
湿式還元法では、ニッケル塩水溶液中でヒドラジン等の還元剤を用いて金属ニッケル粉末を晶析させる。ニッケル塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化ニッケル、硝酸ニッケルおよび硫酸ニッケル等から選ばれる少なくとも1種類が用いられる。例えば60g/lの塩化ニッケル水溶液300mlを80℃に保持した状態で攪拌しつつ60%ヒドラジン水和物(ニッケル1モルに対して1.8モル)を添加し、次いで得られるスラリーに水酸化ナトリウム溶液を添加してpH12以上とする。これを攪拌しながら液温度を80℃で1時間保持し、金属ニッケル粉末を晶析させ、ろ過乾燥させる。
固相法では、例えば、塩化ニッケル溶液を水酸化ナトリウム溶液で中和して水酸化ニッケル粉末を析出し、析出した水酸化ニッケル粉末をろ過等で固液分離し、洗浄後に乾燥したうえで、還元ガスで還元することにより金属ニッケル粉末を得る。還元ガスは水素ガスと窒素ガスの混合ガス、混合ガスに占める水素ガスの割合は80体積%以上90体積%以下、還元温度は450℃以上650℃以下、還元時間は1.5時間以上4時間以下である。
(酸化ニッケル粉末)
酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末と混在する。酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末の隙間に充填されるように、金属ニッケル粉末よりも小さい平均粒径を有する。酸化ニッケル粉末の平均粒径は、例えば金属ニッケル粉末の平均粒径の0.0166倍以上0.085倍以下である。酸化ニッケル粉末の平均粒径は、多検体比表面積測定装置を用いてBET法で比表面積を測定し、その比表面積から換算し求める。
酸化ニッケル粉末の平均粒径は、製造コストの観点から、好ましくは0.01μm以上0.05μm以下である。平均粒径が0.01μm以上0.05μm以下である酸化ニッケル粉末は、水酸化ニッケルや硫酸ニッケルなどの固体のニッケル化合物の粉末を焙焼することで容易に得られる。
酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末の隙間に充填されやすいように、流動性を高めるため、凝結粒子の少ないものが望ましい。
また、酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末の隙間に充填されやすいように、流動性を高めるため、金属ニッケル粉末に固着していないことが望ましい。従って、酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末とは別に製造され、混合されることが望ましい。
尚、本実施形態の酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末とは別に製造され、混合されるが、本発明はこれに限定されない。つまり、酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末と同時に製造されてもよい。例えば金属ニッケル粉末の製造方法として固相法が用いられる場合、還元時間が1.5時間未満であると、金属ニッケル粉末中に酸化ニッケル粉末を残留させることができる。
酸化ニッケル粉末の残留量が多い場合、洗浄工程で酸化ニッケル粉末の量を調整することもできる。酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末よりも小さいので、洗浄液中で金属ニッケル粉末よりも沈降しにくい。沈降速度の差を利用して、洗浄工程で酸化ニッケル粉末の量を調整可能である。
(金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末の総特性)
金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末の総酸素量が大きいほど、金属ニッケル粉末に対する酸化ニッケル粉末の割合が多くなる。金属ニッケル粉末に対する酸化ニッケル粉末の割合が多過ぎても少な過ぎても、導電ペーストの塗布層における金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末の充填性が悪くなり、導電層の導電性が悪くなる。
金属ニッケル粉末に対する酸化ニッケル粉末の割合は、酸化ニッケル粉末が金属ニッケル粉末の隙間を埋める程度であることが望ましい。そのため、金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末の総酸素量は、1.3質量%以上1.9質量%以下であることが望ましい。
金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末の総比表面積が小さいほど、金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末の平均粒径が大きくなり、導電層の空隙率が少なくなる反面、導電層の厚さが厚くなる。そこで、導電層の空隙率の低下と導電層の薄型化とを両立するため、金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末の総比表面積は2.5m/g以上4.6m/g以下であることが望ましい。
金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末の熱収縮挙動は、金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末を金型に充填し、200kgf/cmで加圧成形したペレットを用いて調べる。ペレットは、直径が5mmの円柱状に成形される。ペレットには、バインダーや有機溶剤などは含まれない。尚、上述の如く、室温(例えば25℃)下の導電ペーストには、バインダーや有機溶剤などが含まれる。しかし、導電ペーストを焼成して電極層を形成する場合、特に、本発明では重要とする900℃から1300℃の間の温度域では、該導電ペースト中のバインダーや有機溶剤は、分解等により除去されているので、本発明に係る金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末のペレットの熱収縮挙動が、本発明に係る金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末を用いた導電ペーストの900℃から1300の間の温度域の熱収縮挙動を表せるのである。
ペレットの熱収縮挙動は、還元雰囲気下で、ペレットを室温から1300℃まで5℃/minの昇温速度で加熱して調べる。還元雰囲気は水素と窒素の混合ガスで形成され、水素の含有量は2体積%である。
還元雰囲気下でペレットを焼成すると、金属ニッケル粉末同士が連続的につながるため、また、酸化ニッケル粉末の少なくとも一部が還元されるため、ペレットが収縮する。
900℃から1300℃までの間のペレットの熱収縮挙動が重要である。900℃未満の温度では、ペレットには含まれないが導電ペーストには含まれる、バインダーや有機溶剤などの分解、揮発による収縮が支配的になるためである。バインダーなどは導電ペーストの塗布層および誘電体シートの両方に含まれるため、900℃未満の温度では、導電ペーストの塗布層の熱収縮挙動と、誘電体シートの熱収縮挙動とが一致する。
各温度でのペレットの体積(V)は、室温(例えば25℃)でのペレットの体積(V0)に対する比率[単位:%]で表す。室温でのペレットの体積(V0)が100%である。V0からVを引いた値(V0−V)は、収縮率を表す。
900℃でのペレットの体積(V1)と1300℃でのペレットの体積(V2)との差(V2−V1)が−0.4%以上0%以下であることが望ましい。差(V2−V1)が−0.4%以上0%以下であると、900℃以上での、導電ペーストの塗布層の熱収縮挙動と、誘電体シートの熱収縮挙動とが一致するため、歪の発生を抑制でき、クラックの発生を抑制できる。
(導電層の製造方法)
導電層の製造方法は、上記導電ペースト用粉末を含む導電ペーストの塗布層を焼成して、導電層を形成する焼成工程を有する。本実施形態の導電ペーストは、金属ニッケル粉末の他に、酸化ニッケル粉末をさらに含む。酸化ニッケル粉末は、金属ニッケル粉末の隙間を埋め、金属ニッケル粉末の熱収縮を低減する。
焼成工程は、還元雰囲気下で上記導電ペーストを焼成して、導電ペーストに含まれる酸化ニッケルの少なくとも一部を金属ニッケルに還元する還元工程を含む。還元雰囲気下での熱処理によって酸化ニッケルの少なくとも一部が金属ニッケルに還元され、導電層の導電率を向上できる。
還元工程での還元雰囲気は例えば水素と窒素の混合ガスで形成され、水素の含有量は特に限定されないが例えば2体積%である。還元工程での焼成温度は、特に限定されないが、例えば900℃以上1300℃以下である。
上記製造方法で得られる導電層は、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極層として用いられる。尚、導電層は、外部電極層や電気回路層として用いられてもよい。
以下、具体的な実施例や比較例などについて説明する。以下で説明する例1〜例7のうち、例1〜例4が実施例、例5〜例7が比較例である。例1〜例7では、金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末とを混合した導電ペースト用粉末、または金属ニッケル粉末を加圧成形して円柱状のペレットを作成し、そのペレットの熱収縮挙動などを調べた。例1〜例6において、導電ペースト用粉末は、金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末のみを含み、誘電体粉末などを含まない。
[評価方法]
先ず、評価方法について説明する。
(1)導電ペースト用粉末の総酸素量、および金属ニッケル粉末の酸素量は、酸素・窒素・アルゴン分析装置(LECO社製、TC-436AR)を用いて、不活性ガスインパルス加熱融解赤外吸収法により測定した。
(2)導電ペースト用粉末の総比表面積、および金属ニッケル粉末の比表面積は、多検体比表面積測定装置(ユアサアイオミクス株式会社製、マルチソーブ)を用いて、BET法で求めた。
(3)金属ニッケル粉末の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope、日本電子社製、JSM−5510)を用いて撮像したSEM像上での各粒子の面積円相当径を平均化して求めた。SEM像の倍率は2000倍、SEM像の撮像範囲は縦19.2μm、横25.6μmであった。
(4)酸化ニッケル粉末の平均粒径は、多検体比表面積測定装置(ユアサアイオミクス株式会社マルチソーブ)を用いてBET法で比表面積を測定し、その比表面積から換算して求めた。
(5)ペレットの熱収縮挙動は、熱機械的分析装置(TMA:Thermo Mechanical Analyzer、マックサイエンス社製、TMA4000S)を用いて測定した。この測定では、ペレットを還元雰囲気中で室温から1300℃まで5℃/minの昇温速度で加熱した。還元雰囲気は水素と窒素の混合ガスで形成し、水素の含有量は2体積%であった。測定したペレットの収縮曲線から、900℃でのペレットの体積(V1)と1300℃でのペレットの体積(V2)との差(V2−V1)を求めた。
[例1]
例1のペレット材料としては、金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末とを混合した導電ペースト用粉末を用いた。金属ニッケル粉末と酸化ニッケル粉末とは、別々に製造したうえで、混合した。
金属ニッケル粉末は、空気中で水酸化ニッケル粉末を480℃で2時間焙焼して得た酸化ニッケルを、還元雰囲気中で480℃で2時間焼成して得た。還元雰囲気は水素ガスと窒素ガスの混合ガスで構成し、混合ガスに占める水素ガスの割合は80体積%とした。金属ニッケル粉末は、平均粒径が0.5μm、酸素量が1.1質量%であった。
一方、酸化ニッケル粉末は、空気中で水酸化ニッケル粉末を480℃で2時間焙焼して得た。酸化ニッケル粉末の平均粒径は0.01μmであった。
例1で作製した導電ペースト用粉末は、総酸素量が1.8質量%、総比表面積が2.9m/gであった。
[例2]
例2のペレット材料としては、例1と同一条件で作製した金属ニッケル粉末と、例1と同一条件で作製した酸化ニッケル粉末とを、例1とは異なる割合で混合した導電ペースト用粉末を用いた。
例2で作製した導電ペースト用粉末は、総酸素量が1.3質量%、総比表面積が2.5m/gであった。
[例3]
例3のペレット材料としては、例1とは水酸化ニッケル粉末の平均粒径が異なる以外、例1と同一条件で作製した金属ニッケル粉末と、例1と同一条件で作製した酸化ニッケル粉末とを混合した導電ペースト用粉末を用いた。
例3で作製した金属ニッケル粉末は、平均粒径が0.3μm、酸素量が1.5質量%であった。
また、例3で作製した導電ペースト用粉末は、総酸素量が1.9質量%、総比表面積が4.6m/gであった。
[例4]
例4のペレット材料としては、例3と同一条件で作製した金属ニッケル粉末と、例3と同一条件で作製した酸化ニッケル粉末とを、例3とは異なる割合で混合した導電ペースト用粉末を用いた。
例4で作製した導電ペースト用粉末は、総酸素量が1.4質量%、総比表面積が3.7m/gであった。
[例5]
例5のペレット材料としては、例1と同一条件で作製した金属ニッケル粉末と、例1と同一条件で作製した酸化ニッケル粉末とを、例1とは異なる割合で混合した導電ペースト用粉末を用いた。
例5で作製した導電ペースト用粉末は、総酸素量が2.0質量%、総比表面積が3.0m/gであった。
[例6]
例6のペレット材料としては、例3と同一条件で作製した金属ニッケル粉末と、例3と同一条件で作製した酸化ニッケル粉末とを、例3とは異なる割合で混合した導電ペースト用粉末を用いた。
例6で作製した導電ペースト用粉末は、総酸素量が2.1質量%、総比表面積が4.8m/gであった。
[例7]
例7のペレット材料としては、例3と同一条件で作製した金属ニッケル粉末を用いた。この金属ニッケル粉末は、酸化ニッケル粉末と混合せずに用いた。
[評価結果]
図1に、例1、例2および例5のペレットの収縮曲線を示す。また、図2に、例3、例4、例6および例7のペレットの収縮曲線を示す。図1および図2において、横軸は温度、縦軸はV−V0である。さらに、表1に、金属ニッケル粉末の平均粒径D1、酸化ニッケル粉末の平均粒径D2、ペレット材料の総酸素量、ペレット材料の総比表面積、D2/D1、V2−V1を示す。
Figure 2018070951
表1および図1から明らかなように、例1〜例4では、導電ペースト用粉末の総酸素量が1.3質量%以上1.9質量%以下であるので、V2−V1が−0.4%以上0%以下であって、900℃から1300℃までの収縮を抑制できることがわかる。一方、例5〜例7では、金属ニッケル粉末に酸化ニッケルが混合されていないか、酸化ニッケルの割合が多過ぎて総酸素量が1.9質量%を超えるため、V2−V1が−0.4%を下回り、900℃から1300℃までの収縮を十分に抑制できないことがわかる。
以上、導電ペースト用粉末の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。

Claims (5)

  1. 金属ニッケル粉末と、
    前記金属ニッケル粉末と混在する酸化ニッケル粉末とを含み、
    前記酸化ニッケル粉末の平均粒径が前記金属ニッケル粉末の平均粒径の0.0166倍以上0.085倍以下であり、
    前記金属ニッケル粉末および前記酸化ニッケル粉末の総酸素量が1.3質量%以上1.9質量%以下である、導電ペースト用粉末。
  2. 前記金属ニッケル粉末および前記酸化ニッケル粉末の総比表面積が2.5m/g以上4.6m/g以下である、請求項1に記載の導電ペースト用粉末。
  3. 前記金属ニッケル粉末および前記酸化ニッケル粉末で作製したペレットを室温から1300℃まで5℃/minの昇温速度で加熱する場合、各温度での前記ペレットの体積を室温での前記ペレットの体積に対する比率([単位:%])で表すと、900℃での前記ペレットの体積(V1)と、1300℃での前記ペレットの体積(V2)との差(V2−V1)が−0.4%以上0%以下である、請求項1または2に記載の導電ペースト用粉末。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電ペースト用粉末を含む導電ペーストの塗布層を焼成して、導電層を形成する焼成工程を有し、
    前記焼成工程は、還元雰囲気下で前記導電ペーストの前記塗布層を焼成して、前記導電ペーストに含まれる酸化ニッケルの少なくとも一部を金属ニッケルに還元する還元工程を含む、導電層の製造方法。
  5. 前記導電層は、積層セラミックコンデンサの内部電極層として用いられる、請求項4に記載の導電層の製造方法。
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