JP4453214B2 - 銅粉末の製造方法、銅粉末、導電性ペーストおよびセラミック電子部品 - Google Patents
銅粉末の製造方法、銅粉末、導電性ペーストおよびセラミック電子部品 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、銅粉末の製造方法、この製造方法によって得られる銅粉末、この銅粉末を含有する導電性ペースト、およびこの導電性ペーストを用いて端子電極を形成したセラミック電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セラミック電子部品は、例えばセラミック素体と、端子電極と、を備える構造からなる。端子電極は、例えば銅粉末を含有する導電成分と、有機バインダと、溶剤と、ガラスフリットと、を含有してなる導電性ペーストを、セラミック素体の端面に塗布し、焼付けることによって得られる。また、端子電極の半田耐熱性、半田付き性の向上を図る目的で、端子電極の表面に例えば電解めっき法を用いてめっき皮膜を形成する場合もある。
【0003】
焼付け後の端子電極中における導電成分の焼結状態は、導電成分の粒径により大きく変化することが一般に知られており、この焼結状態が悪化するとセラミック電子部品の電気的特性の劣化や構造欠陥の原因となる。例えば、導電成分を構成する銅粉末の平均粒径が大きい場合、端子電極の焼結状態が不十分となり、電解めっき処理時にめっき液が端子電極内部のポアを伝い、セラミック素体と端子電極の界面、さらにはセラミック素体の内部まで侵入し、セラミック素体と端子電極との接着強度の低下や電極浮き等の問題を生じることが知られている。他方、導電成分を構成する銅粉末の平均粒径が小さい場合、端子電極の焼結が進み過ぎることにより、端子電極中のガラスフリットが端子電極の表面に浮き出し、電解めっき処理時にめっき皮膜が端子電極上に形成されなくなる等の問題が生じることが知られている。
【0004】
これらの問題は、特にセラミック電子部品が小型になるほど顕在化する。端子電極が十分に燒結している、より小型のセラミック電子部品を作製するためには、導電成分として1〜3μm程度の銅粉末を含有する導電性ペーストが好ましいことが、経験的に分かっている。
【0005】
このような導電性ペーストの導電成分として用いられる銅粉末の製造方法としては、例えば溶湯の粉化法,機械的粉砕法,電解法,還元析出法等があり、還元析出法としては、例えば特開昭57-155302号公報に記載の通り、炭酸銅を含む銅含有溶液とヒドラジンあるいはヒドラジン化合物とを混合し、これを加熱することにより銅粉末を製造する方法が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術によれば、炭酸銅は水に不溶であるため、銅の還元反応は固液反応となり、炭酸銅の表面から銅が析出する。このため、析出する銅粉末の粒径は炭酸銅の形状に大きな影響を受けるという問題点がある。また、上述のように析出する銅粉末の粒径はバラツキが大きいため、微粒化の要求を満足できない問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上述の問題点を解消すべくなされたもので、セラミック電子部品の小型化に寄与し得る導電性ペーストを構成するのに好適な銅粉末の製造方法、銅粉末、このような銅粉末を含有してなる導電性ペースト、およびこのような導電性ペーストを用いて端子電極を形成したセラミック電子部品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の銅粉末の製造方法は、針状結晶を含む炭酸銅または/およびレーザー回折法による測定で中心粒径が30μm以下の粒状でかつ粒子内部にボイドを10%以上持つ炭酸銅と、ヒドラジンまたはヒドラジン化合物からなる還元剤とを混合し、これを加熱することにより、銅粉末を還元析出せしめることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の銅粉末の製造方法は、上述した本発明の銅粉末の製造方法であって、還元剤の必要量が、炭酸銅1重量部に対して0.5〜2重量部であることが好ましい。
【0010】
本発明の銅粉末は、上述した本発明の銅粉末の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の導電性ペーストは、上述した本発明の銅粉末を含有する導電成分と、有機バインダと、溶剤と、ガラスフリットと、を含有してなることを特徴とする。
【0012】
本発明のセラミック電子部品の一つの形態は、セラミック素体と、セラミック素体に形成された端子電極と、を備え、端子電極は、上述した本発明の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のセラミック電子部品の他の形態は、複数のセラミック層が積層状態にあるセラミック素体と、それぞれの端縁がセラミック層の何れかの端面に露出するようにセラミック層間に形成された複数の内部電極と、内部電極の端縁と電気的に接続されるように設けられた端子電極と、を備え、端子電極は、上述した本発明の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
炭酸銅を還元せしめて銅粉末を製造する方法によれば、銅粉末は炭酸銅の表面から析出する。したがって、炭酸銅の比表面積が大きい方が銅粉末を析出させる面積が多くなる。その結果、単位炭酸銅あたりの析出する銅粉末の数は多くなり、他方、銅粉末1粒子のサイズは小さくなる。針状結晶からなる銅粉末を用いた場合、その比表面積は非常に大きいことから、上述の理由により析出する銅粉末の粒径は小さくなり、目的とする1〜3μm程度の粒径の銅粉末が得られる。
【0015】
炭酸銅が粒状の場合、針状結晶からなる銅粉末に比べて比表面積が小さいため、析出する銅粉末の数が少なくなり、他方、銅粉末1粒子のサイズは大きくなる傾向がある。しかし、粒状の炭酸銅であっても、内部に所定量(10%以上)のボイドを持ち、所定の中心粒径(30μm以下)からなる場合、炭酸銅が溶液と接触する面積が大きくなり、針状結晶からなる銅粉末と同等の効果が得られる。
【0016】
また、炭酸銅の還元には、炭酸銅1重量部に対して0.5〜2重量部のヒドラジンまたはヒドラジン化合物からなる還元剤が好ましい。還元剤の量が炭酸銅1重量部に対して0.5重量部以上であれば、炭酸銅が十分に還元され、得られる銅粉末内部に酸化銅が残留することがない。他方、炭酸銅1重量部に対して2重量部以下であれば、得られる銅粉末の粒径が目的通り1〜3μm程度となり、過大にならず小さく適当となる。
【0017】
本発明の導電性ペーストは、上述した本発明の銅粉末の製造方法によって得られた銅粉末と、有機バインダと、溶剤と、ガラスフリットと、を含有する。
【0018】
有機バインダは、特に限定されないが、例えばアクリル樹脂,エチルセルロース樹脂,アルキド樹脂等、従来より導電性ペーストに含有する有機バインダとして一般的に用いられているものを適宜用いることができる。
【0019】
ガラスフリットは、特に限定されないが、例えばホウケイ酸ガラス,ホウケイ酸バリウムガラス,ホウケイ酸亜鉛ガラス,ホウケイ酸鉛ガラス,ホウケイ酸アルミニウムガラス,またはそれらの複合系ガラス等、従来より導電性ペーストに含有するガラスフリットとして一般的に用いられているものを適宜用いることができる。
【0020】
溶剤は、特に限定されないが、例えばテルピネオール,メチルエチルケトン,エチルカルビトール,オクタノール,ケロシン系溶剤等、従来より導電性ペーストに含有する溶剤として一般的に用いられているものを適宜用いることができる。
【0021】
また、本発明の導電性ペーストにおける各成分の含有割合は、特に限定されないが、例えば本発明の銅粉末70重量%と、有機バインダであるアクリル樹脂70重量部と溶剤であるテルピネオール30重量部を混練してなる有機バインダ25重量%と、ホウケイ酸ガラス5重量%と、を混合し混練してなる。なお、さらに、分散剤,可塑剤,増粘防止剤,増粘剤等の添加剤を適宜調整して含有させても構わない。
【0022】
本発明のセラミック電子部品は、例えばセラミック素体と、セラミック素体上に形成された端子電極と、を備える。本発明のセラミック電子部品の一つの実施形態について、積層セラミックコンデンサを例に挙げ、図1に基づいて詳細に説明する。すなわち、セラミック電子部品1は、セラミック素体2と、内部電極3,3と、端子電極4,4と、めっき膜5,5とから構成される。
【0023】
セラミック素体2は、BaTiO3を主成分とする誘電体材料からなるセラミック層2aが複数積層された生のセラミック素体が焼成されてなる。
【0024】
内部電極3,3は、セラミック素体2内のセラミック層2a間にあって、複数の生のセラミック層2a上に導電性ペーストが印刷され、生のセラミック素体と同時焼成されてなり、内部電極3,3のそれぞれの端縁は、セラミック素体2の何れかの端面に露出するように形成されている。
【0025】
端子電極4,4は、セラミック素体2の端面に露出した内部電極3,3の一端と電気的かつ機械的に接合されるように、上述した本発明の導電性ペーストがセラミック素体2の端面に塗布され焼付けられてなる。
【0026】
めっき膜5,5は、例えば、SnやNi等の無電解めっきや、はんだめっき等からなり、端子電極4,4上に少なくとも1層形成されてなる。
【0027】
なお、本発明のセラミック電子部品のセラミック素体2の材料は、上述の実施形態に限定されることなく、例えばPbZrO3等,その他の誘電体材料,絶縁体,磁性体,圧電体ならびに半導体材料からなっても構わない。また、本発明の積層セラミック電子部品の内部電極3の枚数は、上述の実施形態に限定されることなく、必ずしも備えている必要はなく、また何層形成されていても構わない。また、めっき膜5,5は、必ずしも備えている必要はなく、また何層形成されていても構わない。
【0028】
【実施例】
(実施例1)
まず、表1の試料1に示す針状結晶からなる炭酸銅200gを、30℃の純水2300mL中に分散させて試料1の金属溶液を得る。次いで、還元剤としてのヒドラジン200gと純水300mLを混合して作製したヒドラジン水溶液を、13mL/minの一定速度にて試料1の金属溶液中に投入して試料1の懸濁液を作製し、この懸濁液を90分で90℃になるように徐々に加熱し、さらに90℃の状態で60分間保持して還元反応させることにより、試料1の還元生成物を得た。次いで、この還元生成物を洗浄、沈降分離を数回繰り返して、アセトンにて洗浄後、真空乾燥機にて乾燥させ、その後、媒体粉砕機にて粉砕処理を行ない、試料1の銅粉末を得た。
【0029】
次いで、表1の試料2〜7に示す粒状の炭酸銅16kgを、30℃の純水200L中に分散させて試料2〜7の金属溶液を得る。次いで、還元剤としてのヒドラジン16kgと純水300mLを混合して作製したヒドラジン水溶液を、1.1L/minの一定速度にて試料2〜7の金属溶液中に投入して試料2〜7の懸濁液を作製し、この懸濁液を90分で100℃になるように徐々に加熱し、さらに100℃の状態で60分保存して還元反応させることにより、試料2〜7の還元生成物を得た。次いで、還元生成物を試料1と同様の処理を施して、試料2〜7の銅粉末を得た。なお、炭酸銅のボイド(%)は、炭酸銅の中心断面積100%におけるボイドの面積%の平均値とした。
【0030】
そこで、試料1〜7の銅粉末の中心粒径をレーザー回折法により測定し、これを表1にまとめ、本発明の範囲内の試料については評価を○とし、本発明の範囲外の試料については評価を×とした。
【0031】
また、試料4の炭酸銅の外観の顕微鏡写真を図2に、同じく断面の顕微鏡写真を図3に、試料4の銅粉末の外観の顕微鏡写真を図4に、それぞれ示した。同様に、試料7の炭酸銅の外観の顕微鏡写真を図5に、同じく断面の顕微鏡写真を図6に、試料7の銅粉末の外観の顕微鏡写真を図7に、それぞれ示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかであるように、針状結晶からなる炭酸銅を還元した試料1の銅粉末は、中心粒径が1.2μmで3.0μm以下であったため、本発明の範囲内となった。
【0034】
また、粒状の銅粉末のうち、中心粒径が30μm以下の粒状でかつ粒子内部にボイドを10%以上持つ炭酸銅を還元した試料2,4の銅粉末は、中心粒径がそれぞれ2.2μm,2.6μmで3.0μm以下であったため、本発明の範囲内となった。
【0035】
これに対して、中心粒径が30μm以下の粒状であるが、粒子内部にボイドを7%しか持たない炭酸銅、ボイドを5%しか持たない炭酸銅、ボイドを持たない炭酸銅を還元した試料3,5,7の銅粉末は、中心粒径がそれぞれ3.2μm,3.3μm,3.7μmで3.0μを超えたため、本発明の範囲外となった。
【0036】
また、粒子内部にボイドを10%以上持つが、中心粒径が30μmを超える炭酸銅を還元した試料7の銅粉末は、中心粒径が7.4μmで3.0μmを大きく超えたため、本発明の範囲外となった。
【0037】
また、図2ならびに図5の炭酸銅の外観の顕微鏡写真に示したように、粒径の異なる炭酸銅を用いた場合、図3ならびに図6の炭酸銅の断面の顕微鏡写真に示したような粒子内部のボイドの割合によって、還元して得られる銅粉末は、図4ならびに図7の外観の顕微鏡写真に示したように、粒径ならびに形状が大きく異なることが分かる。
(実施例2)
実施例1の試料2に示した粒状の炭酸銅200gを、30℃の純水2300mL中に分散させ、これに還元剤としてのヒドラジンをそれぞれ50,100,200,400,500gと純水30Lを混合して作製したヒドラジン水溶液を、13mL/minの一定速度にて投入して試料2a〜2eの懸濁液を作製し、この懸濁液を90分で90℃になるように徐々に加熱し、さらに90℃の状態で60分保存して還元反応させることにより、試料2a〜2eの還元生成物を得た。次いで、還元生成物を実施例1の試料1と同様の処理を施して、試料2a〜2eの銅粉末を得た。
【0038】
そこで、試料2a〜2eの銅粉末の中心粒径をレーザー回折法により測定し、さらに生成相をX線回折法により測定し、これらを表2にまとめ、本発明の範囲内の試料については評価を○とし、本発明の範囲外の試料については評価を×とした。
【0039】
【表2】
【0040】
表2から明らかであるように、炭酸銅1重量部に対する還元剤量が0.5〜2.0重量部の範囲内である試料2b〜2dの銅粉末は、中心粒径が2.1〜2.8μmで、生成相中に酸化銅が見られず優れたため、本発明の範囲内となった。
【0041】
これに対して、炭酸銅1重量部に対する還元剤量が0.5重量部を下回る試料2aの銅粉末は、中心粒径2.5μmであったが、還元材料が不十分であったために炭酸銅が100%還元されず生成相中に酸化銅が存在したため、本発明の範囲外となった。
【0042】
また、炭酸銅1重量部に対する還元剤量が2.0重量部を上回る試料2eの銅粉末は、炭酸銅は十分に還元されて生成相中に酸化銅が見られなかったが、中心粒径が4.5μmで大きく劣ったため、本発明の範囲外となった。
(実施例3)
実施例3では、セラミック電子部品の一つの実施形態として、積層セラミックコンデンサを作成する。まず、実施例1の試料1〜7と、実施例2の試料2b,2d,2eで得た銅粉末と、比較例として中心粒径が0.8μmの試料8の銅粉末を準備し、それぞれ銅粉末70重量%と、有機バインダであるアクリル樹脂70重量部と溶剤であるテルピネオール30重量部を混練してなる有機バインダ25重量%と、ホウケイ酸ガラス5重量%と、を配合し混練して、試料1〜7,2b,2d,2e,8の導電性ペーストを作製した。
【0043】
次いで、BaTiO3を主成分とする生のセラミック層を準備し、所定枚数の生のセラミック層の表面上に一方の端縁が生のセラミック層の何れかの端面側に露出するように、内部電極となるべき電極膜を印刷し、これら複数の生のセラミック層を所定枚数積層し圧着して、複数の生のセラミック素体を準備した。次いで、これを1300℃で還元雰囲気で焼成して、複数のセラミック素体を得た。
【0044】
次いで、生のセラミック素体の両端面に試料1〜7,2b,2d,2e,8の導電性ペーストを、内部電極に電気的に接合するように浸漬塗布し、150℃で10分間乾燥させた後、大気中で850℃×2分ピークの条件で焼付けして、一対の端子電極を形成した。次いで、この一対の端子電極上にNiめっき膜を電解めっき処理により形成し、さらにNiめっき膜上にSnめっき膜を電解めっき処理により形成して、試料1〜7,2b,2d,2e,8の積層セラミックコンデンサを得た。
【0045】
そこで、試料1〜7,2b,2d,2e,8の積層セラミックコンデンサについて、めっき付き性ならびに、内部電極との接合性について評価を行い、これらを表3にまとめた。
【0046】
なお、めっき付き性については、めっきの付いた積層セラミックコンデンサの端子電極近傍を顕微鏡で観察し、めっき皮膜が端子電極全体に形成されている試料については○を、めっき皮膜が端子電極の一部あるいは全体に渡って形成されていない試料については×を付した。
【0047】
また、内部電極との接合性については、積層状態にある内部電極の断面が露出するよう、長さ方向に積層セラミックコンデンサを切断し、端子電極の断面を顕微鏡で観察し、内部電極と端子電極が連続している試料については○を、不連続である試料については×を付した。
【0048】
【表3】
【0049】
表3から明らかであるように、めっき付き性は銅粉末の中心粒径が1μm以上であれば優れることが分かる。すなわち、中心粒径が0.8μmの比較例の銅粉末を用いた試料8の積層セラミックコンデンサは、端子電極の焼結が進み過ぎることにより、端子電極中のガラスフリットが端子電極の表面に浮き出したため、めっき皮膜が端子電極上に形成されなかったと考えられる。
【0050】
また、内部電極との接合性は銅粉末の中心粒径が0.8〜3μmの範囲であれば優れることが分かる。すなわち、中心粒径がそれぞれ1.2μm,2.2μm,2.6μm,2.4μm,2.8μmである銅粉末を用いた試料1,2,4,2b,2d,8の積層セラミックコンデンサは、何れも内部電極との接合性が優れたが、中心粒径がそれぞれ3,2μm,3.3μm,3.7μm,7.4μm,4.5μmである銅粉末を用いた試料3,5,6,7,2eの積層セラミックコンデンサは、内部電極との接合性が劣る結果となった。
【0051】
以上の結果から、銅粉末の中心粒径が1〜3μmであれば、めっき付き性ならびに内部電極との接合性の両方の特性を満足する端子電極を備えるセラミック電子部品が得られることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明の銅粉末の製造方法は、針状結晶を含む炭酸銅または/およびレーザー回折法による測定で中心粒径が30μm以下の粒状でかつ粒子内部にボイドを10%以上持つ炭酸銅と、ヒドラジンまたはヒドラジン化合物からなる還元剤とを混合し、これを加熱することにより、銅粉末を還元析出せしめることを特徴とすることで、セラミック電子部品の小型化に寄与し得る導電性ペーストを構成するのに好適な銅粉末、このような銅粉末を含有してなる導電性ペースト、およびこのような導電性ペーストを用いて端子電極を形成したセラミック電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一つの実施形態である、セラミック電子部品の断面図である。
【図2】本発明に係る一つの実施形態である、実施例1における試料4の炭酸銅の外観の顕微鏡写真である。
【図3】本発明に係る一つの実施形態である、実施例1における試料4の炭酸銅の断面の顕微鏡写真である。
【図4】本発明に係る一つの実施形態である、実施例1における試料4の銅粉末の外観の顕微鏡写真である。
【図5】比較例である、実施例1における試料7の炭酸銅の外観の顕微鏡写真である。
【図6】比較例である、実施例1における試料7の炭酸銅の断面の顕微鏡写真である。
【図7】比較例である、実施例1における試料7の銅粉末の外観の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 セラミック電子部品
2 セラミック素体
2 セラミック層
3 内部電極
4 端子電極
Claims (6)
- 針状結晶を含む炭酸銅または/およびレーザー回折法による測定で中心粒径が30μm以下の粒状でかつ粒子内部にボイドを10%以上持つ炭酸銅と、ヒドラジンまたはヒドラジン化合物からなる還元剤とを混合し、これを加熱することにより、銅粉末を還元析出せしめることを特徴とする、銅粉末の製造方法。
- 前記還元剤の必要量は、前記炭酸銅1重量部に対して0.5〜2重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の銅粉末の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする、銅粉末。
- 請求項3に記載の銅粉末を含有する導電成分と、有機バインダと、溶剤と、ガラスフリットと、を含有してなることを特徴とする、導電性ペースト。
- セラミック素体と、セラミック素体に形成された端子電極と、を備えるセラミック電子部品であって、
前記端子電極は、請求項4に記載の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴とする、セラミック電子部品。 - 複数のセラミック層が積層状態にあるセラミック素体と、それぞれの端縁が前記セラミック層の何れかの端面に露出するように前記セラミック層間に形成された複数の内部電極と、前記内部電極の端縁と電気的に接続されるように設けられた端子電極と、を備えるセラミック電子部品であって、
前記端子電極は、請求項4に記載の導電性ペーストを用いて形成されていることを特徴とする、セラミック電子部品。
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