JP2018016907A - ワイピングシート材およびその製造方法 - Google Patents

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康弘 石倉
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Kuninori Yoshimizu
邦典 吉水
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Abstract

【課題】本発明の目的は、拭き取り性能をより向上させたワイピングシートおよびその製造方法を提供することにある。【解決手段】本発明のワイピングシート材は、平均単繊維直径が0.3μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる不織布で構成され、基材層と立毛層とを含み、前記立毛層に前記極細繊維が曲率半径5μm〜300μmで湾曲した部分を50個/mm2以上有し、前記極細繊維が、固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維、または固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している複合繊維である。【選択図】 図1

Description

本発明は、ワイピングシート材およびその製造方法に関するものである。
主として極細繊維からなるワイピングシートは、拭き取り性能に優れ、且つ対象物を傷つけにくい特徴を有するとされており、広く用いられている。
しかしながら、一般的な極細繊維からなるワイピングシートは、極細繊維が直毛に近く、汚れ成分を捉えにくい側面もある。また、直毛であるが故にシート表層部の極細繊維密度が低くなり、空隙が存在することによって拭き残しが発生しやすくなる。
このような課題を解決する提案として、特許文献1では、潜在捲縮型繊維を用いたワイピングシートが提案されている。
また、特許文献2では、不織布シート表面に極細繊維がループ状に存在することで、拭き取り性能に優れ、肌触りが良く、対象物を傷つけにくいとされる不織布シートが提案されている。
さらに、特許文献3では、固有粘度に差のある2種類のポリエチレンテレフタレートから形成されたサイドバイサイド型の極細繊維からなる不織布と、その内部に水分散型ポリウレタンを含有する皮革様シート状物が提案されており、極細繊維がコイル状に捲縮することが謳われている。
特開2009−78065号公報 特開2013−163871号公報 特開2012−136800号公報
しかしながら、特許文献1のワイピングシートでは、繊維径が太く、ワイピングシート表面の繊維本数および繊維密度が少ないため、細かな汚れを取りきれない。
また、特許文献2に記載されたワイピングシートでは、極細繊維がループ状に存在することで、拭き取り対象物の溝に極細繊維が奥深く入り込みにくく、拭き残しが発生すると言える。
さらに、特許文献3に記載された皮革様シート状物を、仮にワイピングシートとして用いたとしても、ポリウレタンを不織布に含浸しているため、皮革様シート状物の剛性が高く変形しにくい。そのため、拭き取り対象物に凹凸がある場合、隙間に入りにくく拭き残しが発生しやすい。また、ポリウレタンによって対象物に傷が入るリスクもある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の背景に鑑み、拭き取り性能をより向上させたワイピングシートおよびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の発明者らは鋭意検討を重ね、ワイピングシートが、極細繊維を特定範囲の曲率半径で湾曲させた部分を一定数以上含む、緻密な立毛層を有することにより、汚れ成分のピックアップ率が向上し、優れた拭き取り性能を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明のワイピングシート材は、平均単繊維直径が0.3μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる不織布で構成され、基材層と立毛層とを含み、前記立毛層に前記極細繊維が曲率半径5μm〜300μmで湾曲した部分を50個/mm以上有し、前記極細繊維が、固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維、または固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している複合繊維である。
また、本発明のワイピングシート材の好ましい態様によれば、前記ポリエステル系重合体が、ポリエチレンテレフタレート系重合体、またはポリブチレンテレフタレート系重合体である。
また、本発明のワイピングシート材の製造方法は、前記ワイピングシート材を製造する方法であって、下記(1)〜(3)の工程をこの順番で行う、ワイピングシート材の製造方法である。
(1)極細繊維発現型繊維からなる不織布から極細繊維を発現させ、極細繊維からなる不織布を得る極細繊維発現工程
(2)前記極細繊維からなる不織布に起毛処理を施すことにより立毛層を形成し、起毛処理後の不織布を得る起毛工程
(3)前記起毛処理後の不織布に110℃以上150℃以下の温度で熱処理を施すことにより、前記立毛層の極細繊維に湾曲を発現させ、ワイピングシート材を得る湾曲発現工程。
本発明のワイピングシート材は、より優れた拭き取り性能を有する。また、本発明のワイピングシート材の製造方法により、かかる性能を有するワイピングシート材を製造することができる。
実施例1で得られたワイピングシート材表面の繊維の形状を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(50倍)である。
本発明のワイピングシート材は、平均単繊維直径が0.3μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる不織布で構成され、基材層と立毛層とを含み、前記立毛層に前記極細繊維が曲率半径5μm〜300μmで湾曲した部分を50個/mm以上有し、前記極細繊維が、固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維、または固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している複合繊維である。
本発明のワイピングシート材は、平均単繊維直径が0.3μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる不織布で構成される。
前記平均単繊維直径は、ワイピングシート材の柔軟性や立毛品位の観点から0.3μm以上7.0μm以下であることが重要である。前記平均単繊維直径は、大きすぎると、表面平滑性が低いワイピングシート材となること、微細な凹凸に極細繊維が入り込みにくく、拭き残しが発生しやすくなること、また、極細繊維の剛性が増すために対象物に過度な刺激がかかり、傷つけやすくなることから、好ましくは5.0μm以下である。一方、サンドペーパーなどによる研削など起毛処理時の極細繊維の分散性および極細繊維の強度の観点からは、前記平均単繊維直径は、好ましくは0.5μm以上である。
なお、極細繊維の平均単繊維直径は、ワイピングシート材断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、断面形状が円形または楕円形の極細繊維をランダムに100本選び、極細繊維の単繊維直径、楕円形の場合は長径を測定し、平均値を計算することで算出される。
本発明のワイピングシート材は、基材層と立毛層とを含む。前記基材層は、極細繊維からなる繊維束が互いに絡まった構造、すなわち繊維絡合体を有することが好ましい。また、前記立毛層は、極細繊維がコイル状に湾曲した構造を有することが好ましい。本発明における立毛層とは、ワイピングシート材の立毛している極細繊維がなす層であり、表面から厚さ方向に深さ200μmまでの範囲を表す。また、本発明における基材層とは、ワイピングシート材の立毛層以外の層を指す。
前記基材層が繊維絡合体を有する場合において、繊維絡合体を構成する極細繊維は、極細繊維からなる繊維束、すなわち極細繊維束の形態をとることが好ましい。極細繊維が束となることにより、ワイピングシート材の引張強力や引裂強力といった物理的な強度を向上し、形態安定性も良く、さらには耐摩耗性も発現しやすくなる。極細繊維束の形態としては、極細繊維同士が多少離れていてもよく、場合によっては部分的に結合していてもよく、凝集していてもよい。
本発明のワイピングシート材は、ワイピングシート材の片面または両面に立毛層を有することが好ましい。ワイピングシート材の片面または両面に立毛層を有することで極細繊維が拭き取り対象物の表面にフィットして汚れ成分の拭き取り性能が向上する。
本発明のワイピングシート材は、前記立毛層に前記極細繊維が曲率半径5μm〜300μmで湾曲した部分を50個/mm以上有する。前記曲率半径の上限は、300μmであり、好ましくは200μm、より好ましくは150μmである。前記曲率半径の上限が300μmより大きくなると、立毛密度が低下し、汚れ成分のピックアップ性が低くなるため、拭き取り性能が低下する。一方、表面の極細繊維の状態を良好なものとする観点から、前記曲率半径の下限は、5μmであり、好ましくは10μm、より好ましくは15μmである。前記曲率半径の下限が5μmより小さくなると、極細繊維同士の絡まりが増加し、繊維の硬化や表面平滑性悪化により拭き取り性能が低下する。
本発明のワイピングシート材は、前記範囲の曲率半径で湾曲した部分を50個/mm以上有する。前記部分が50個/mm未満であると、汚れ成分を引っ掛ける極細繊維が不足して十分な拭き取り性能が得られなくなる。
前記立毛層を構成する極細繊維が湾曲を有することが好ましい。極細繊維が湾曲することで、ワイピングシート材表面の極細繊維のカバー率は湾曲がない場合よりも高くなり、汚れ成分のピックアップ性が良く、優れた拭き取り性能を有するワイピングシートが得られやすくなる。
本発明のワイピングシート材に用いられる極細繊維は、固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維、または固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している複合繊維である。前記複合繊維のいずれかを形成するように紡糸、延伸して得られる極細繊維は、延伸時の高粘度側への応力集中により、2種類の成分間で異なった内部歪みが生じ、それによってシート化した後に熱処理することにより、高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて湾曲が発現する。この湾曲により、ワイピングシート材表面の立毛層密度が高くなり、汚れ成分のピックアップ性が向上する。
前記固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体の固有粘度差は、0.002〜1.5であることが好ましい。固有粘度差を0.002以上とすることにより、繊維の湾曲が大きく、曲率半径が小さい繊維が得られる。一方、固有粘度差が1.5を超えると、得られた繊維の湾曲性はより向上するものの、紡糸された繊維が高粘度成分側に過度に曲がるため、長時間の安定した紡糸をすることができない。また、前記ポリマーの組み合わせとしては少なくとも一方がポリブチレンテレフタレート系重合体であることが好ましい。ポリブチレンテレフタレート系重合体は、結晶性が高いポリマーであるため、例えばもう一方にポリエチレンテレフタレートとした際、両ポリマー間で結晶性に差が生まれ、湾曲は発現しやすい。
本発明におけるポリエステル系重合体の固有粘度は、高粘度成分においては0.5〜2.0であることが好ましい。固有粘度を0.5以上とすることにより、十分な強度と伸度を兼ね備えた繊維を製造することが可能となる。また、固有粘度の上限は溶融押し出しなどの成形の容易さ、製造コスト、工程途中の熱やせん断力によって起きる分子鎖切断による分子量低下の点から、2.0以下が好ましい。一方、低粘度成分は、固有粘度を0.3〜1.0にすることにより安定紡糸が可能となる。
また、両成分の複合比率は、質量比で、高粘度成分:低粘度成分=75:25〜35:65(質量%)の範囲が好ましく、より好ましくは65:35〜45:55(質量%)の範囲である。この範囲内であれば、得られるワイピングシート材の風合や強度特性に合わせて複合比を適宜設定可能であり、例えば、ソフト感に優れたワイピングシート材を得るには、高粘度成分の複合比を低く、タフネスを得るには高粘度成分の複合比を高くすればよい。
ポリエステル系重合体の固有粘度差は、重合の時間、温度、触媒量や共重合成分を適宜調節することにより、所望の粘度とすることができる。
本発明でいう固有粘度は、オルソクロロフェノール中に試料を溶かして25℃の温度で測定した値である。
本発明のワイピングシート材に用いられる極細繊維には、強度、寸法安定性、耐光性および染色性の観点から、ポリエステル共重合体が用いられる。本発明において、ポリエステル系重合体とは、ジカルボン酸類とジオール類とが共重合してなる構造を主成分としたものをいう。ここで、主成分とはポリエステル系重合体全体の重量に対して50重量%より多いことをいう。ポリエステル系重合体は、エステル結合が可能な共重合成分が共重合した構造を有する。前記エステル結合が可能な共重合成分の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸および5−イソフタル酸などのジカルボン酸類や、エチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどのジオール類を挙げることができる。
前記ポリエステル系共重合体は、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてのヒンダードフェノール誘導体、および着色顔料などを含有してもよい。
本発明のワイピングシート材は、前記ポリエステル系重合体が、ポリエチレンテレフタレート系重合体、またはポリブチレンテレフタレート系重合体であることが好ましい。本発明でいうポリエチレンテレフタレート系重合体とは、テレフタル酸と、エチレングリコールとが共重合してなる構造を主成分としたものである。また、本発明でいうポリブチレンテレフタレート系重合体とは、テレフタル酸と、1,4−ブタンジオールとが共重合してなる構造を主成分としたものである。前記ポリエステル系重合体として、ポリエチレンテレフタレート系重合体、またはポリブチレンテレフタレート系重合体を用いることにより、高い収縮率が得られ、湾曲をより顕著に発現させることができる。
本発明のワイピングシート材に用いられる極細繊維には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル系重合体以外のポリマーを含有してもよい。前記ポリエステル系重合体以外のポリマーとして、ポリ乳酸などのポリエステル系重合体以外のポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、および熱可塑性セルロースなどの溶融紡糸可能な熱可塑性樹脂などが挙げられる。なお、これらのポリマーから選ばれる2種以上が組み合わされていてもよい。また、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる極細繊維であってもよい。また、極細繊維は、異なる素材の繊維が混合されて構成されることができる。
本発明のワイピングシート材を構成する不織布は、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いや品位の点では短繊維不織布が好ましく用いられる。
本発明のワイピングシート材に用いられる短繊維不織布としては、短繊維をカードおよびクロスラッパーを用いて積層ウェブを形成させた後に、ニードルパンチやウォータージェットパンチを施して得られるものや抄紙法で得られるもの、長繊維不織布としては、スパンボンド法やメルトブロー法などから得られるものを適宜採用することができる。
短繊維不織布における短繊維の繊維長は、25〜90mmであることが好ましい。繊維長を25mm以上とすることにより、絡合により耐摩耗性に優れたワイピングシート材を得ることができる。また、繊維長を90mm以下とすることにより、圧縮特性や表面品位に優れたワイピングシート材を得ることができる。前記短繊維の繊維長は、より好ましくは30〜80mmである。
本発明のワイピングシート材は、その内層部あるいは裏面に強度を向上させるなどの目的で補強層を含ませることができる。補強層としては、織物、編物(以下、織物と編物を合わせて織編物という場合がある)、不織布(紙を含む)、およびプラスチックフィルムや金属薄膜シートなどのフィルム状物等を採用することができる。補強層が繊維で構成された織物や編物の場合、繊維の平均単繊維直径は、0.1〜20μm程度であることがワイピングシート材の風合いの観点から好ましい。
前記補強層として用いられる織編物を構成する繊維糸条の種類としては、フィラメントヤーン、紡績糸、革新紡績糸およびフィラメントヤーンと紡績糸の混合複合糸などが挙げられる。紡績糸は、その構造上表面に多数毛羽が存在するため、不織布と織物を絡合する際、その毛羽が脱落し表面に露出すると欠点となる場合があるため、フィラメントヤーンを用いることが好ましい。フィラメントヤーンには、大別すると単繊維1本で構成されたモノフィラメントと複数本で構成されたマルチフィラメントとがあるが、前記補強層として用いられる織編物では、マルチフィラメントを用いることが好ましい。モノフィラメントでは、繊維の剛性が高くなりすぎる場合があり、ワイピングシート材の風合いを損ねることがある。
織編物を構成する繊維糸条の総繊度は、剛性および目付などの理由から、好ましくは50〜150dtexである。
前記織編物の目付は20〜200g/mが好ましく、さらに好ましくは30〜150g/mである。織編物の目付が20g/m未満では、織編物としての形態が乏しくなり、織編物を不織布と不織布の間に挿入したとき、あるいは織編物を不織布の表面に重ねる際にシワが発生し、均一に積層させることが困難となる。また、織編物の目付が200g/mを超えると、織編物の構造が密となり、不織布と織編物の絡合が困難となる傾向になる。
前記補強層として用いられる織物の基本組織は、ツイルやサテンを用いても良いが、目ずれなどが発生しにくい平組織が好ましく用いられる。
本発明のワイピングシート材の厚さは、0.1〜7mmであることが好ましい。この厚さを0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上とすることにより、ワイピングシート材の形態安定性と寸法安定性に優れる。一方、厚さを7mm以下、より好ましくは5mm以下とすることにより、ワイピングシート材の成形性に優れる。
次に、本発明のワイピングシート材を製造する方法について説明する。
本発明のワイピングシート材の製造方法は、本発明のワイピングシート材を製造する方法であって、下記(1)〜(3)の工程をこの順番で行う、ワイピングシート材の製造方法である。
(1)極細繊維発現型繊維からなる不織布から極細繊維を発現させ、極細繊維からなる不織布を得る極細繊維発現工程
(2)前記極細繊維からなる不織布に起毛処理を施すことにより立毛層を形成し、起毛処理後の不織布を得る起毛工程
(3)前記起毛処理後の不織布に110℃以上150℃以下の温度で熱処理を施すことにより、前記立毛層の極細繊維に湾曲を発現させ、ワイピングシート材を得る湾曲発現工程。
本発明のワイピングシート材の製造方法は、極細繊維発現型繊維からなる不織布から極細繊維を発現させ、極細繊維からなる不織布を得る極細繊維発現工程を含む。本発明のワイピングシート材の製造方法において、不織布を構成する極細繊維を得る手段として、極細繊維発現型繊維を用いることが重要である。極細繊維発現型繊維をあらかじめ絡合し不織布とした後で、繊維の極細化、すなわち、極細繊維を発現させることによって、極細繊維の束が絡合してなる不織布を得ることができる。
極細繊維発現型繊維の例としては、海島型複合繊維、剥離分割型繊維が挙げられる。海島型複合繊維を用いる場合、溶剤などへの溶解性の異なる熱可塑性高分子成分を海成分および島成分とし、後工程で海成分を溶剤などにより溶解除去することによって島成分を極細繊維とすることができる。また、剥離分割型繊維を用いる場合、ウォータージェット等の物理的な力や溶剤の膨潤により剥離分割することによって極細繊維とすることができる。これらのうち、極細繊維径を均一に制御でき、ワイピングシート材の表面外観を優美にできる点で好ましいのは、海島型複合繊維である。また、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができ、かつ1本あたりの複合繊維から特に繊維径の小さな極細繊維を効率良く発現させることができ、ワイピングシート材に柔らかな風合いや嵩高性などを付与することができる点からも好ましく用いられる。
海島型複合繊維の作製には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式や、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができる。これらのうち、均一な繊度の極細繊維が得られる点で好ましいのは、高分子配列体方式による海島型複合繊維である。
本発明のワイピングシート材の製造方法において、前記極細繊維発現型繊維が海島型複合繊維であり、島成分が固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維、または固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している複合繊維であることが好ましい。島成分において、固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維、または固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している複合繊維であることで、潜在捲縮型の島成分繊維を得ることができる。
本発明のワイピングシート材の製造方法において、海島型複合繊維を用いる場合における海成分と島成分の質量割合は、海成分:島成分=5:95〜80:20の範囲であることが好ましい。海成分の質量割合が5質量%を下回る場合、島成分の極細化が不十分となる場合がある。また、海成分の質量割合が80質量%を超える場合、溶出成分の割合が多いため生産性が低くなる場合がある。海成分と島成分の質量割合は、より好ましくは、海成分:島成分=10:90〜60:40の範囲である。
本発明のワイピングシート材の製造方法において、海島型複合繊維で代表される極細繊維発現型繊維を延伸する場合は、未延伸糸を一旦巻取り後、別途延伸を行う、もしくは未延伸糸を引取りそのまま連続して延伸を行うなどの方法を採用することができる。延伸は、湿熱または乾熱あるいはその両者によって、1段〜3段延伸する方法で適宜行うことができる。次に、延伸された海島型複合繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカットして不織布の原綿を得る。捲縮加工やカット加工は通常の方法を用いることができる。
海島型複合繊維の海成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スルホイソフタル酸ナトリウムやポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸、およびポリビニルアルコール(以下、PVAと記載する場合がある)などが挙げられる。
本発明のワイピングシート材の製造方法において、1本の海島型複合繊維から極細繊維を発現させることにより生じる極細繊維束内の極細繊維数は、10〜9000本/束であることが好ましく、より好ましくは10〜4000本/束である。前記極細繊維数が10本/束未満の場合には、極細繊維の緻密性が乏しく、例えば、摩耗等の機械物性が低下する傾向がある。また、前記極細繊維数が9000本/束より多い場合には、立毛時の開繊性が低下し、立毛面の繊維分布が不均一となる傾向がある。
極細繊維の密集性の観点からは、極細繊維束内の繊維密集度合いは30〜1000であることが好ましく、より好ましくは50〜700である。繊維密集度合いは、(極細繊維束内の繊維数)×(単繊維直径)で算出し、極細繊維の束の大きさの指標となる。このように、極細繊維束内の繊維密集度合いを30〜1000とすることにより、繊維絡合体とする際の加工操業性が良く、極細繊維束の緻密性が良くなる。
本発明のワイピングシート材の製造方法において、極細繊維発現型繊維からなる不織布を得る方法としては、極細繊維発現型繊維をカード処理して薄いシート状の綿を得た後、クロスラッパーで積層することによって得られる積層繊維ウェブをニードルパンチやウォータージェットパンチにより絡合させる方法、スパンボンド法、メルトブロー法および抄紙法などを採用することができる。中でも、前述のような極細繊維束の態様とする上で、極細繊維発現型繊維からなる積層繊維ウェブをニードルパンチやウォータージェットパンチにより絡合させる方法が好ましく用いられる。
ニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理後の極細繊維発現型繊維からなる不織布の見かけ密度は、0.15〜0.45g/cmであることが好ましい。見かけ密度を0.15g/cm以上とすることにより、形態安定性と寸法安定性が優れた極細繊維発現型繊維からなる不織布にできる。一方、見かけ密度を0.45g/cm以下、好ましくは0.40g/cm以下とすることにより、拭き取り性能に寄与する適度な吸水性を維持することができる。
このようにして得られた極細繊維発現型繊維で構成された繊維絡合体は、緻密化の観点から、乾熱もしくは湿熱、またはその両者によって熱収縮処理させ、さらに高密度化させることが好ましい態様である。また、繊維絡合体はカレンダー処理等により、厚さ方向に圧縮させることもできる。
海島型複合繊維から極細繊維を発現させる処理(脱海処理)は、溶剤中に海島型複合繊維を浸漬し、搾液することによって行うことができる。海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いることができる。また、海成分が共重合ポリエステルまたはポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液や熱水を用いることができる。
極細繊維を発現させる処理には、連続染色機、バイブロウォッシャー型脱海機、液流染色機、ウィンス染色機およびジッガー染色機等の装置を用いることができる。
本発明のワイピングシート材の製造方法は、前記極細繊維からなる不織布に起毛処理を施すことにより立毛層を形成し、起毛処理後の不織布を得る起毛工程を含む。
本発明のワイピングシート材は、ワイピングシート材の少なくとも一面に、立毛を有することが重要である。
本発明のワイピングシート材の表面に極細繊維の立毛を形成するための起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。起毛処理の前に、ワイピングシート材にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与してもよい。
また、上記の起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってワイピングシート材から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなる傾向にあり好ましい態様である。
ワイピングシート材は、起毛処理を行う前に、ワイピングシート材厚さ方向に半裁ないしは数枚に分割されて得られるものでもよい。
本発明のワイピングシート材の製造方法は、前記起毛処理後の不織布に110℃以上150℃以下の温度で熱処理を施すことにより、前記立毛層の極細繊維に湾曲を発現させ、ワイピングシート材を得る湾曲発現工程を含む。
本発明のワイピングシート材の製造方法においては、前記湾曲発現工程は、前記極細繊維発現工程および起毛工程の後に行うことが重要である。例えば、極細繊維発現工程の前に、不織布に100℃以上の温度の熱処理を施すと、海成分を溶解後に湾曲が発現し、後工程で起毛処理加工した際に湾曲した繊維が伸ばされる形となってしまい、本発明のワイピングシート材の製造方法において目的とする湾曲した極細繊維が存在する立毛表面が得られにくくなる。
前記湾曲発現工程において、熱処理の温度は、110℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上130℃以下である。熱処理および揉みにより極細繊維の捲縮が発現されやすくなる。
本発明のワイピングシート材は、拭き取り性能に優れ、対象物を傷つけにくい特性を有しているため、ワイピングクロス等の工業用資材として好適に用いることができる。さらに、本発明のワイピングシート材では、単繊維同士もしくは繊維の絡合部に多数の数nm〜500nm程度の隙間が生まれるため、多孔性材料のような特異的な性質を示す場合もあり、フィルターなどの用途としての使用も可能である。
以下、実施例を用いて本発明のワイピングシート材およびその製造方法についてさらに具体的に説明する。まず、実施例で用いた評価法とその測定条件について説明する。
(1)固有粘度IV
オルソクロロフェノール(以下、OCPと略記する。)10mL中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度でオストワルド粘度計を用いて相対粘度(ηr)を下式により求め、固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度IV=0.0242ηr+0.2634
ここで、η:ポリマー溶液の粘度
η0:OCPの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm
t0:OCPの落下時間(秒)
d0:OCPの密度(g/cm)。
(2)平均単繊維直径
ワイピングシート材を厚さ方向にカットした断面を観察面として、走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)により観察し、任意の100カ所の極細繊維の単繊維直径を測定し、平均値を算出した。
(3)極細繊維の曲率半径および個数
走査型電子顕微鏡(SEM。キーエンス社製VE−7800型)を用いて、ワイピングシート材の表面を撮影(倍率50倍)し、1mm×1mmのエリアを選定する。次に、エリア内の湾曲した全ての極細繊維について、最も曲率が高い部分に沿って円を描き、その半径を求め、これを曲率半径として、曲率半径5μm〜300μmで湾曲した部分を有する極細繊維の個数をカウントした。
(4)ワイピングシート材の目付
JIS L 1096(1999)8.4.2に記載された方法で測定した。
20cm×20cmの試験片を5枚採取し、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(5)ワイピングシート材の厚さ
0.01mm目盛りの厚さ計(ディスク直径9mm以上)を用い、10kPa荷重下で、シート幅方向等間隔に5点測定し、その平均値を求めた。
(6)吸水性
JIS L 1907(2010) 7.1.2 バイレック法においてワイピングシート材の吸水性を測定した。200mm×25mmの試験片を5枚採取し、水を入れた水槽の水面上に支えた水平棒上に試験片を固定した後、水平棒を降下させて試験片の下端の20mmが水に浸せきするように調整し、そのまま10分間放置する。放置後、毛細管現象によって水が上昇した高さをスケールで1mmまで測定し、試験片5点の平均値を求めた。
(7)拭き取り性
拭き取り性能試験は大栄科学精器製作所製の平面摩耗試験機(PA−2A)を用いて実施した。エチルアルコールを溶媒として人工皮脂(高松油脂社製)を溶かし、50%溶液を作成し、さらにカーボンブラック成分15%の黒色顔料を1重量%加えて汚れ成分とした。この溶液を長さ250mm×幅40mm×厚さ3mmのガラス板に1g垂らして試験機台座にセットした。摩擦布取り付け箇所にワイピングシートを長さ5cm×幅2cmにカットしてセットした。荷重は500gとして、試験機をスタートし、3往復させた後に停止してガラス板に残っている汚れ成分を目視評価した。拭き取り性の判定は3段階で、〇:良好、△:若干残存、×:不良とした。
[実施例1]
(原綿)
島成分として固有粘度(IV)が1.750の東レ(株)製ポリブチレンテレフタレート(PBTと記載する場合がある)1400Sと、ジメチルテレフタレート(DMT)とエチレングリコール(EG)を粗原料として常法によって重合して得た固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレート(PETと記載する場合がある)を、それぞれ別に溶融して用い、また、海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が90℃で、メルトフローレート(MFRと記載する場合がある)が18g/10minのPSジャパン(株)製PSJ−ポリスチレン679を用い、島数が24島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径26μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウェブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が312g/mで、厚さが1.60mmの極細繊維発現型繊維からなる不織布を得た。
(ワイピングシート材)
上記の極細繊維発現型繊維からなる不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに5%の濃度のPVA水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、極細繊維発現型繊維からなる不織布の質量に対するPVA質量が20質量%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。その後、極細繊維からなる不織布を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度5.0m/分、バフロールと極細繊維からなる不織布が接触する接触角を50°としてバフィングを行い、立毛層を形成した。
このようにして得られた起毛処理後の不織布を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理とPVA除去を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、ワイピングシート材を得た。
得られたワイピングシート材は、シート厚さが0.50mm、平均単繊維直径が4.4μmで、シート表面をSEM観察(50倍)観察した結果は図1のとおりであり、立毛層を構成する極細繊維に湾曲が発現していることを確認し、曲率半径5〜300μmの繊維数は195個/mmであった。吸水性は121mmで、拭き取り性能は〇であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
島成分としてジメチルテレフタレート(DMT)とエチレングリコール(EG)を粗原料として常法によって重合して得た固有粘度(IV)が0.780のポリエチレンテレフタレートと固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを、それぞれ別に溶融して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ワイピングシート材を得た。
得られたワイピングシート材は、シート厚さが0.50mm、平均単繊維直径が4.4μmで、シート表面をSEM観察(50倍)観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に湾曲が発現していることを確認し、曲率半径5〜300μmの繊維数は180個/mmであった。吸水性は110mmで、拭き取り性能は〇であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
(原綿)
島成分と海成分は実施例1と同様のポリマーを用い、島数が36島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率60/40で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径20μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
(極細繊維発現型繊維からなる不織布)
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層繊維ウェブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチした後に、3000本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して、目付が410g/mで、厚さが2.05mmの極細繊維発現型繊維からなる不織布を得た。
(極細繊維からなる不織布)
上記の不織布を98℃の温度の熱水で収縮させた後、これに5%の濃度のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、120℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、不織布の質量に対するPVA質量が25%の不織布を得た。このようにして得られた不織布を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分を溶解除去し、極細繊維からなる不織布(脱海シート)を得た。
その後、極細繊維からなる不織布を厚さ方向に半裁し、半裁面の反対側の面を240メッシュのサンドペーパーを用い、バフロール速度500m/分、シート搬送速度5.0m/分、バフロールと極細繊維からなる不織布が接触する接触角を50°としてバフィングを行い、立毛層を形成して起毛処理後の不織布を得た。
このようにして得られた起毛処理後の不織布を、液流染色機を用いて、130℃の温度条件下で、捲縮処理とPVA除去を同時に行った後に、乾燥機を用いて乾燥を行い、ワイピングシート材を得た。
得られたワイピングシート材は、シート厚さが0.45mm、平均単繊維直径が2.1μmで、シート表面をSEM観察(50倍)観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に湾曲が発現していることを確認し、曲率半径5〜300μmの繊維数は315個/mmであった。吸水性は125mmで、拭き取り性能は〇であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
島成分をジメチルテレフタレート(DMT)とエチレングリコール(EG)を粗原料として常法によって重合して得た固有粘度(IV)が0.718のポリエチレンテレフタレートの単成分にしたこと以外は、実施例1と同様にして、ワイピングシート材を得た。
得られたワイピングシート材は、シート厚さが0.50mm、平均単繊維直径が4.4μmで、シート表面をSEM観察(50倍)観察した結果、立毛層を構成する極細繊維は全て曲率半径1000μm以上で直毛に近いものであり、曲率半径5〜300μmの繊維数は0個/mmであった。吸水性は105mmで、拭き取り性能は△であった。結果を表1に示す。
[比較例2]
島成分と海成分は実施例1と同様のポリマーを用い、島数が6島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率90/10で溶融紡糸した繊維を、ローラープレート方式で通常の条件により延伸し捲縮加工後、繊維を51mmの長さにカットし、平均単繊維直径24μmの海島型複合繊維の原綿を得たこと以外は実施例1と同様にして、ワイピングシート材を得た。
得られたワイピングシート材は、シート厚さが0.55mm、平均単繊維直径が9.1μmで、シート表面をSEM観察(50倍)観察した結果、立毛層を構成する極細繊維に湾曲が発現していることを確認し、曲率半径5〜300μmの繊維数は39個/mm、吸水性は72mmと少なく、拭き取り性能は×であった。結果を表1に示す。
[比較例3]
起毛処理後の熱処理温度を98℃としたこと以外は実施例2と同様にして、ワイピングシート材を得た。
得られたワイピングシート材は、シート厚さが0.45mm、平均単繊維直径が4.4μmで、シート表面をSEM観察(50倍)観察した結果、繊維は若干湾曲しているものの、曲率半径5〜300μmの繊維数は11個/mm、吸水性は90mmであり、拭き取り性能は△であった。結果を表1に示す。

Claims (3)

  1. 平均単繊維直径が0.3μm以上7.0μm以下の極細繊維からなる不織布で構成され、基材層と立毛層とを含み、前記立毛層に前記極細繊維が曲率半径5μm〜300μmで湾曲した部分を50個/mm以上有し、前記極細繊維が、固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた複合繊維、または固有粘度差のある2種類のポリエステル系重合体が偏心した芯鞘構造を形成している複合繊維である、ワイピングシート材。
  2. 前記ポリエステル系重合体が、ポリエチレンテレフタレート系重合体、またはポリブチレンテレフタレート系重合体である、請求項1に記載のワイピングシート材。
  3. 請求項1に記載のワイピングシート材を製造する方法であって、下記(1)〜(3)の工程をこの順番で行う、ワイピングシート材の製造方法。
    (1)極細繊維発現型繊維からなる不織布から極細繊維を発現させ、極細繊維からなる不織布を得る極細繊維発現工程
    (2)前記極細繊維からなる不織布に起毛処理を施すことにより立毛層を形成し、起毛処理後の不織布を得る起毛工程
    (3)前記起毛処理後の不織布に110℃以上150℃以下の温度で熱処理を施すことにより、前記立毛層の極細繊維に湾曲を発現させ、ワイピングシート材を得る湾曲発現工程
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