JP2018044445A - エンジンの排気消音装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】消音器本体の壁部と排気管とを隣接して配置せねばならない制限が有る場合でも、可及的に排気管の外周に吸音材を配置する。【解決手段】消音器本体20内の消音空間Sには、排気管として、平行に配置された第1直線管41及び第2直線管42とが収容されている。第1直線管41は前壁21に隣接して配置されている。第1直線管41の管壁には第1小孔群H1が穿孔され、その外周には第1吸音材71が配置されている。第2直線管42の管壁には第2小孔群H2が穿孔され、その外周には第2吸音材72が配置されている。第2小孔群H2は第2直線管42の管壁の全周に穿孔され、第2吸音材72も第2直線管42の全周を覆っている。一方、第1小孔群H1は、第1直線管41の第2直線管42と対向する管壁部分だけに穿孔され、第1吸音材71も当該管壁部分だけを覆うように配置されている。【選択図】図4
Description
本発明は、エンジンを備えた車両に搭載される排気消音装置に関する。
自動車等の車両には、エンジンの排気騒音を低減するために排気消音装置(マフラー)が備えられている。一般に排気消音装置は、消音空間(膨張室)を形成する消音器本体と、前記消音空間内において前記排気が通過する排気経路を構成する排気管とを含む。前記排気管は、消音空間へエンジンの排気を導入する排気導入管と、前記消音空間から前記排気を外部へ放出する排気導出管とを含む。
排気騒音(気流音)の低減策の一つとして、消音器本体内に配置された排気管の管壁に多数の小孔を穿孔すると共に、その小孔群の穿孔部分の外周をグラスウール等の吸音材で覆う構造が知られている(例えば特許文献1)。これにより、気流音は小孔を通して管外に逃がされ、前記吸音材で吸音される。
吸音材を排気管の周囲に対置するには、相応のスペースを当該排気管の周囲に確保する必要がある。通常、消音器本体のサイズは可及的に小さくすることが求められるため、消音器本体の壁部に接近して排気管を配設せねばならない場合も生じ得る。この場合、狭いスペースに吸音材を割り入れることとなり、生産技術的に困難性が増すと共に、吸音材を覆う吸音材カバーが消音器本体の壁部に接触するという不具合が生じる。とりわけ、消音器本体内における排気管の管長を長くするため、U字状に湾曲された湾曲管を用いて前記排気管を蛇行させるような場合、上記の問題は顕著となる。
本発明の目的は、消音器本体の壁部と排気管とを隣接して配置せねばならない制限が有る場合でも、可及的に排気管の外周に吸音材を配置することができるエンジンの排気消音装置を提供することにある。
本発明の一局面に係るエンジンの排気消音装置は、車両のエンジンの排気が導入される消音空間を形成する消音器本体と、前記消音空間内において前記排気が通過する排気経路を構成し、互いに略平行に延びる第1直線管及び第2直線管を含む排気管と、前記第1直線管の外周に配置される第1吸音材、及び、前記第2直線管の外周に配置される第2吸音材と、を備え、前記消音器本体は、前記消音空間を区画する、直線的に延びる壁部を備え、前記第1、第2直線管は、それぞれ管壁に穿孔された第1、第2小孔群を備え、前記第1直線管は前記壁部に隣接するように配置される一方、前記第2直線管は前記壁部から離間して配置され、前記第2小孔群は、前記第2直線管の管軸方向の所定領域において管壁の全周に亘って穿孔されていると共に、前記第2吸音材は前記管壁の全周を覆うように前記第2直線管の外周に配置され、前記第1小孔群は、前記第1直線管の管軸方向の所定領域において、全周のうち、前記第2直線管と実質的に対向する管壁部分だけに穿孔されていると共に、前記第1吸音材は前記管壁部分を覆うように前記第1直線管の外周に配置されている。
この排気消音装置によれば、排気管が第1、第2直線管を含むので、消音空間内における排気管の管長を長くすることができる。これにより、排気管自身での排気騒音の低減度合いを高めることができる。これに加え、第1、第2直線管への第1、第2吸音材の施与によっても、消音効果が高められている。すなわち、消音器本体の壁部から離間して配置されている第2直線管については、管壁の全周に亘って第2小孔群及び第2吸音材が配置されている。これに加え、消音器本体の壁部に隣接して配置されている第1直線管についても、第2直線管と対向する管壁部分に第1小孔群及び第1吸音材が配置されている。つまり、前記壁部に隣接する側には第1吸音材を配置できるスペースを確保できないが、第2直線管と対向する管壁部分には前記スペースを確保可能であるので、該スペースを有効活用して第1小孔群及び第1吸音材が配置されている。このように、前記壁部に隣接するゆえ第1直線管には吸音材の配置を回避するのではなく、第1直線管にも可能な限り吸音材を付設するようにすることで、排気管における消音効果を一層高めることができる。
上記の排気消音装置において、前記排気管は、前記第1直線管と前記第2直線管とを連結する湾曲管をさらに含むことが望ましい。
この排気消音装置によれば、第1、第2直線管及び湾曲管によって連続した長い管長の排気管を形成することができる。ここで、前記湾曲管において排気流をスムースにするためには、当該湾曲管の湾曲径を相応に大きくする必要がある。これにより、自ずと第1、第2直線管の間には相応の空間が形成されるようになる。従って、前記相応の空間を利用して、前記第1吸音材を配置することができる。
上記の排気消音装置において、前記第1吸音材を覆う第1吸音材カバー、及び、前記第2吸音材を覆う第2吸音材カバーと、前記第1吸音材カバーと前記第2吸音材カバーとを連結する連結部材と、をさらに備えることが望ましい。
この排気消音装置によれば、第1、第2吸音材カバーの設置により、第1、第2吸音材の保形性を高めることができる。また、連結部材にて第1、第2吸音材カバー同士を連結することにより、第1、第2直線管の支持剛性を高めることができる。
上記の排気消音装置において、前記第1吸音材を覆う第1吸音材カバー、及び、前記第2吸音材を覆う第2吸音材カバーと、前記第1吸音材カバー及び前記第2吸音材カバーが配置された位置において、前記第1直線管及び前記第2直線管を前記消音器本体で支持させるためのセットプレートと、をさらに備えることが望ましい。
この排気消音装置によれば、セットプレートによって第1、第2吸音材カバー同士が連結されると共に、これらが消音器本体にも取り付けられることになる。従って、第1、第2直線管の支持剛性を一層高めることができる。また、セットプレートの追加によって、消音器本体自体の剛性も高めることができる。
上記の排気消音装置において、前記消音器本体は、前記消音空間を区画する壁として、前記車両の前後方向に並ぶ前壁及び後壁と、前記車両の車幅方向に並ぶ一対の側壁とを含み、前記車幅方向に長手の形状を有し、前記直線的に延びる壁部が前記前壁であり、前記排気管は、前記消音空間へエンジンの排気を導入する排気導入管と、前記消音空間から前記排気を外部へ放出する排気導出管とを含み、前記湾曲管、第1直線管及び第2直線管が、前記消音空間内において前記排気導出管の少なくとも一部を構成しており、前記排気導入管は、その排気出口が前記後壁の近傍位置に配置され、前記排気導出管は、その排気入口が前記前壁の近傍位置に配置されていることが望ましい。
この排気消音装置によれば、排気導入管の排気出口が消音器本体の後壁の近傍位置に配置される一方、排気導出管の排気入口が前壁の近傍位置に配置される。これにより、消音空間内において、前記排気出口と前記排気入口とを遠ざけることができ、排気導入管の排気騒音を排気導出管へ伝達し難くすることができる。
この場合、前記第1直線管の前記湾曲管への接続端部とは反対側の端部が前記排気入口であり、前記排気入口が、前記一対の側壁の一方にも近接する位置に配置される構造とすることがより望ましい。これにより、前記排気出口と前記排気入口とをより遠ざけることが可能となる。
上記の排気消音装置において、前記排気導入管は、前記消音器本体の前記車幅方向における中央位置に配置され、前記排気導出管は、前記排気導入管を挟んで、前記一対の側壁のうちの一方側に配置された第1排気導出管と、他方側に配置された第2排気導出管とを含むことが望ましい。
この排気消音装置によれば、排気導入管において排気抵抗が生じ難い構造を構築し易くなる。また、排気導出管については、消音空間を有効利用して、所要の管長を確保し易くなるという利点がある。
本発明によれば、消音器本体の壁部と排気管とを隣接して配置せねばならない制限が有る場合でも、可及的に排気管の外周に吸音材を配置することができる。従って、消音性能を向上させたエンジンの排気消音装置を提供することができる。
[車両の排気系統]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るエンジンの排気消音装置を詳細に説明する。先ずは、前記排気消音装置が搭載される車両の排気系統について、図1を参照して概略的に説明する。なお、図1及び他の図面において、前後、左右、上下の方向表示を付している。これらの方向は、車両を基準としている。つまり、以下の説明中において用いている前後、左右、上下の方向は、図1に示している前後方向(車両前後方向)、左右方向(車幅方向)、及び、図1の紙面に垂直な方向である上下方向と一致させている。また、上流、下流というときは、排気のフロー方向を基準としている。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るエンジンの排気消音装置を詳細に説明する。先ずは、前記排気消音装置が搭載される車両の排気系統について、図1を参照して概略的に説明する。なお、図1及び他の図面において、前後、左右、上下の方向表示を付している。これらの方向は、車両を基準としている。つまり、以下の説明中において用いている前後、左右、上下の方向は、図1に示している前後方向(車両前後方向)、左右方向(車幅方向)、及び、図1の紙面に垂直な方向である上下方向と一致させている。また、上流、下流というときは、排気のフロー方向を基準としている。
車両は、例えば四輪自動車であり、エンジン1と、当該エンジン1の排気系統を構成する排気装置10とを含む。エンジン1は、例えば直列4気筒のターボ過給機付きガソリンエンジンであり、車室前方のエンジン室に横置き、つまり、車幅方向に気筒が並ぶように設置されている。排気装置10は、このエンジン1に繋がっており、車両下面に沿って後方に向けて延びている。
排気装置10は、排気マニホールド11、ターボ過給機12、排気管路13、第1触媒装置14、第2触媒装置15、プリ消音装置16及びメイン消音装置2(排気消音装置)を備えている。排気マニホールド11は、エンジン1の各シリンダヘッドの排気ポートに接続される分岐端を上流側に、これら排気ポートから排出される排気を一つの流路に集合させる集合端を下流側に有する排気通路を内部に備える。ターボ過給機12は、排気マニホールド11の前記集合端に接続され、エンジン1から排出される排気のエネルギーを利用して、エンジン1の吸気を過給する。
排気管路13は、排気の通路となる管路であり、ターボ過給機12の下流端に接続され、後方に延びている。排気管路13には、上流側から順に、第1触媒装置14、第2触媒装置15及びプリ消音装置16が組み込まれており、末端にはメイン消音装置2が接続されている。第1、第2触媒装置14、15は、エンジン1から排出される排気中の有害成分を浄化するもので、例えば排気中のNOxを一時的に吸蔵し後に還元するNOx吸蔵還元触媒を含む触媒本体と、この触媒本体を収容するケーシングとから構成されている。
プリ消音装置16及びメイン消音装置2は、エンジン1の排気系統において排気騒音を低減させるために組み込まれている。これら消音装置16、2のうち、上流側に配置されるプリ消音装置16は、排気騒音のうち、主に高周波成分を低減する機能を有している。プリ消音装置16は、例えば吸音型の消音装置を採用することができ、排気が通る多孔質の内筒管と、これを覆う外筒管と、内筒管と外筒管との間に充填されたガラスウール等の吸音材とを備える。一方、メイン消音装置2は、排気騒音のうち、主に低中周波成分を低減する機能を有している。以下、このメイン消音装置2の構造について詳細に説明する。
[第1実施形態に係るメイン消音装置の全体構造]
図2は、第1実施形態に係るメイン消音装置2の上面図(後記のアッパープレート20Aを取り外した状態)、図3は、図2のIII−III線断面図、図4は、図2のIV−IV線断面図である。図5は、メイン消音装置2の斜視図であって、図4に示す断面よりも右方部分を示す斜視図である。メイン消音装置2は、車両後端のリアフロア下に配置され、消音器本体20、排気導入管3、第1排気導出管4A及び第2排気導出管4B(排気管)を含む。
図2は、第1実施形態に係るメイン消音装置2の上面図(後記のアッパープレート20Aを取り外した状態)、図3は、図2のIII−III線断面図、図4は、図2のIV−IV線断面図である。図5は、メイン消音装置2の斜視図であって、図4に示す断面よりも右方部分を示す斜視図である。メイン消音装置2は、車両後端のリアフロア下に配置され、消音器本体20、排気導入管3、第1排気導出管4A及び第2排気導出管4B(排気管)を含む。
消音器本体20は、エンジン1の排気が導入される消音空間S(膨張室)を形成するハウジングである。消音器本体20は、前後方向に比較的短く、左右方向に比較的長い形状、すなわち車幅方向に長手で、上下方向に偏平な、全体として丸味を帯びた直方体状の形状を有している。これにより、消音器本体20内の消音空間Sも、車幅方向に長手で偏平な空間となっている。
消音器本体20は、消音空間Sを区画する壁として、車両の前後方向に並ぶ前壁21及び後壁22と、左右方向(車幅方向)に並ぶ右壁23及び左壁24(一対の側壁)と、上下方向(車高方向)に並ぶ上壁25及び下壁26とを備えている。前壁21は、左右方向に直線的に延びる壁である。後壁22は、上面視で後方に向けて緩やかな凸形状となるように湾曲して、左右方向に延びる壁である。右壁23及び左壁24は、前後方向へ直線的に延びる短尺の壁であり、前壁21と後壁22とを、それぞれ右端側、左端側で繋いでいる。図3に示すように、左右方向の断面視において、左壁24は略半円形に湾曲した形状を備えている(右壁23も同様)。上壁25は、前壁21、後壁22、右壁23及び左壁24からなる側壁で囲まれる空間の上面を封止する壁、下壁26は、前記側壁の下面を封止する壁である。
消音器本体20は、上下方向に分割された半割れハウジングである、アッパープレート20Aとボトムプレート20Bとの接合体からなる。アッパープレート20Aは、上側に膨出したキャビティを有する半割れハウジングであり、その下縁の外周に上フランジ部201を有する。ボトムプレート20Bは、下側に膨出したキャビティを有する半割れハウジングであり、その上縁の外周に下フランジ部202を有する。
アッパープレート20Aは、上壁25と前記側壁の概ね上半分とを形成し、ボトムプレート20Bは、下壁26と前記側壁の概ね下半分とを形成する。上フランジ部201と下フランジ部202とが上下に重ね合わされ、接合されることで、アッパープレート20Aとボトムプレート20Bとが一体化され、消音空間Sを有する消音器本体20が形成されている。アッパープレート20Aの上壁25及びボトムプレート20Bの下壁26は、前後方向に延びる複数のビード203を備えている。ビード203は、消音空間Sに向けて凸となる溝形状部であり、消音器本体20の剛性を高める等の目的で設けられている。
排気導入管3、第1排気導出管4A及び第2排気導出管4Bは、消音空間S内において排気が通過する排気経路を構成する排気管である。つまり、消音空間Sという閉じた空間内において、排気を所望の経路に沿って流すために配置される管である。排気導入管3と、第1排気導出管4A及び第2排気導出管4Bとは、互いに分離された管である。排気導入管3は、排気を消音空間Sへ吹き出す排気出口Aを有する。一方、第1、第2排気導出管4A、4Bは各々、消音空間S内の排気を取り入れる第1排気入口B1、第2排気入口B2を有する。排気出口Aから吐出された排気は、消音空間Sに入って膨張し、その後、第1、第2排気入口B1、B2に取り入れられ、それぞれ第1、第2出口開口C1、C2から外部へ放出される。
排気導入管3は、消音空間Sへエンジン1の排気を導入する直線的な中空円管である。排気導入管3の上流側には、中継管31が差し込まれている。中継管31の上流端は、排気管路13の下流端に接続されている。排気導入管3の下流端は、上述の排気出口Aである。排気出口Aは、後壁22と対向している。
排気導入管3は、左右方向の中央付近(車幅方向の中央位置)において前壁21を貫通し、排気出口Aが後壁22に近づくように消音空間S内に配置されている。すなわち、図2に示されているように排気導入管3は、排気出口Aが消音器本体20の前後方向中央よりもさらに後壁22に近い位置に配置されるよう、前壁21側から消音空間Sに向けて差し込まれている。本実施形態では、排気出口Aと後壁22との間に後述の整流板6が配置されている。整流板6を使用しない他の実施形態では、排気出口Aをより後壁22に近づけるようにしても良い。
排気導入管3は、ボトムプレート20Bの前壁21の左右方向中央に設けられた凹部である管受け部204(図6、図8参照)にて支持されている。また、排気導入管3の排気出口A付近が、支持板32にて支持されている。支持板32は、排気導入管3を貫通させて支持する支持孔を備える板金部材である。支持板32の上端側は上壁25に、下端側は下壁26に、それぞれ固着されている。なお、排気導入管3は、排気出口Aがやや上を向くように、後ろ上がりに消音器本体20へ取り付けられている。これは、消音空間S内で凝縮した排気中の水分(凝縮水)などが下壁26上に滞留することがあり、その滞留水が排気出口Aを通して排気導入管3へ逆流しないようにするためである。
第1排気導出管4A及び第2排気導出管4Bは、消音空間から前記排気を外部へ放出するための管である。第1、第2排気導出管4A、4Bは同じ構成要素を備え、排気導入管3の左右に対称に、消音空間S内に配置されている。すなわち、排気導入管3を挟んで、第1排気導出管4Aは右壁23側に配置され、第2排気導出管4Bは左壁24側に配置されている。第1、第2排気導出管4A、4Bは各々、第1直線管41、第2直線管42及び湾曲管43を備えている。湾曲管43は、U字状に湾曲した管である。第1直線管41と第2直線管42とは、互いに近接した状態で、湾曲管43の両端部から左右方向へ平行に各々延び出している。図6には、第1直線管41及び第2直線管42の斜視図が、図7には、湾曲管43の単体の斜視図がそれぞれ示されている。なお、第1、第2直線管41、42は、完全に平行に配置されなくとも、略平行に配置されていれば良い。
第1、第2排気導出管4A、4Bの排気フローFにおいて、第1直線管41は、第2直線管42よりも上流側に配置される排気管である。第1直線管41は、直線的に延びる前壁21に隣接するように配置されている。すなわち、第1直線管41の前側の側部と前壁21との前後方向の間隔は、狭小である。一方、第2直線管42は、前壁21から離間し、且つ後壁22からも離間した、消音空間Sの前後方向の略中央位置に配置されている。第1直線管41と第2直線管42との上下方向の高さ位置は、略同一である。湾曲管43は、このような第1、第2直線管41、42同士を接続している。
図3には、第2排気導出管4Bの第1直線管41の左右方向の断面及び排気フローFが示されている。第1直線管41は、左右方向に直線状に延びる断面円形の管であり、上流端411(反対側の端部)と下流端412(湾曲管への接続端部)とを備えている。上流端411は、上述の第2排気入口B2(第1排気導出管4Aの第1直線管41の場合は第1排気入口B1)となる開口を備える管端部である。上流端411には、第2排気入口B2に排気をスムースに取り入れるために、ベルマウス状に内径を拡径させる加工が施されている。下流端412は、湾曲管43の上流端431に差し込まれる管端部である。
上述の通り、排気出口Aは後壁22の近傍位置(本実施形態では、後壁22に実質的に相当する整流板6の近傍位置)に配置されているのに対し、第1、第2排気入口B1、B2は、第1直線管41が前壁21に隣接することから、前壁21の近傍位置に配置されている。さらに、排気出口Aは左右方向の中央位置に配置されているのに対し、第1、第2排気入口B1、B2は、前壁21の右端側、左端側に各々配置されている。詳しくは、第1排気入口B1が前壁21付近の右壁23と対向し、第2排気入口B2が前壁21付近の左壁24と対向し、それぞれ右壁23、左壁24と近接する位置に配置されている。このように、排気出口Aと第1、第2排気入口B1、B2とを遠ざけることで、排気導入管3の排気騒音が第1、第2排気導出管4A、4Bに伝わり難い構造とされている。
第2直線管42は、左右方向に直線状に延びる断面円形の管であって、第1直線管41よりも左右幅が長い管である。第2直線管42の上流端は、湾曲管43の下流端432(図7)に差し込まれている。第1排気導出管4Aの第2直線管42の下流端は、右壁23を貫通している。この貫通した下流端には、第1テール管44Aが接続されている。また、第2排気導出管4Bの第2直線管42の下流端は、左壁24を貫通している。この貫通した下流端には、第2テール管44Bが接続されている。第1テール管44Aの下流端は第1出口開口C1であり、第2テール管44Bの下流端は第2出口開口C2である。排気は、これら第1、第2出口開口C1、C2から外部へ放出される。
図3、図7を参照して、湾曲管43は、断面略円形であってU字型に湾曲した排気経路を作る管である。既述の通り、湾曲管43は、第1直線管41が接続される上流端431と、第2直線管42が接続される下流端432とを備える。湾曲管43は、上下方向に分割された半割れ管である第1半割れ管43Aと第2半割れ管43Bとの接合体からなる。第1半割れ管43Aと第2半割れ管43Bとは、外周フランジ部433と内周フランジ部434とによって互いに接合されている。外周フランジ部433は、U字型に湾曲した湾曲管43の外側湾曲部L1から外方へ延び出している。一方、内周フランジ部434は、湾曲管43の内側湾曲部L2で区画されるU字空間を埋めるように、内側湾曲部L2から内方へ延び出している。
第1半割れ管43Aは、上側に膨出した断面半円形であって下面視でU字型のキャビティを有し、外周フランジ部433の上側を形成する上フランジ部433Aを外周側に、内周フランジ部434の上側を形成する上フランジ部434Aを内周側に、それぞれ有している。第2半割れ管43Bは、下側に膨出した断面半円形であって上面視でU字型のキャビティを有し、外周フランジ部433の下側を形成する下フランジ部433Bを外周側に、内周フランジ部434の下側を形成する下フランジ部434Bを内周側に、それぞれ有している。上フランジ部433Aと下フランジ部433B、及び、上フランジ部434Aと下フランジ部434Bが各々上下に重ね合わされ、接合されることで、湾曲管43が形成される。
湾曲管43は、上流端431及び下流端432に、それぞれ非フランジ部435を備えている。非フランジ部435は、湾曲管43において外周フランジ部433及び内周フランジ部434が存在しない円筒形状の部分である。非フランジ部435には、外周フランジ部433及び内周フランジ部434の肉厚分及びこれらの曲げ代に相当する開口幅のスリットSLが存在している。図3に示されているように、この非フランジ部435に第1直線管41の下流端412が差し込まれている。図示は省いているが、第2直線管42の上流端も、下流端432側の非フランジ部435に差し込まれている。第1直線管41の下流端412は、湾曲管43に対して、非フランジ部435を越え、外周フランジ部433に到達する位置まで差し込まれている。第2直線管42の上流端も同様である。これにより、スリットSLからの漏気通路は塞がれ、気流音の発生を防止している。
図3及び図5に示すように、湾曲管43はセットプレート27により消音器本体20で支持されている。セットプレート27は、上下方向に延びる平板部材であり、上端側に上フランジ部271、下端側に下フランジ部272、中央に2つのバーリング部273を有している。各バーリング部273には、湾曲管43の上流端431及び下流端432の非フランジ部435が各々密に挿通されている。つまり、バーリング部273は、第1、第2直線管41、42の一端が差し込まれた非フランジ部435を支持している。
上フランジ部271は上壁25に接合され、下フランジ部272は下壁26に接合されている。上壁25には図略の溶接孔が設けられ、栓溶接によって上フランジ部271が上壁25に固着されている。下フランジ部272はスポット溶接により下壁26に固着されている。このように、非フランジ部435を形成することによって、湾曲管43の簡易な支持構造、すなわち、単純な丸孔のバーリング部273を備えたセットプレート27にて湾曲管43を支持させる構造を実現できると共に、第1、第2直線管41、42もまたセットプレート27にて支持させることができる。
メイン消音装置2は、第1直線管41に適用される第1消音部51と、第2直線管42に適用される第2消音部52と、湾曲管43に適用される湾曲消音部53とを備える。これら消音部51〜53は、各々の管壁に穿孔された多数の小孔と、これらの小孔を有する管壁部分の外周を覆う吸音材と、当該吸音材の周囲を覆う吸音材カバーとからなる。第1、第2排気導出管4A、4Bを通過する排気に気流音(排気騒音)が発生した場合、当該気流音は小孔を通して管外に逃がされ、前記吸音材で吸音される。前記吸音材は、例えばガラスウールである。これら消音部51〜53については、後記で詳述する。
メイン消音装置2は、さらに整流板6を備える。整流板6は、排気出口Aと対向する位置に配置され、排気出口Aから後壁22へ向かう排気を左右方向(車幅方向の両側)に向かうよう案内するガイド面を備えている。整流板6は、排気出口Aの左右方向中央部に対向する先端部を備え、前記ガイド面は前記先端部から左右後方に延びている。排気出口Aから吹き出された排気は、前記先端部で分流され、左右のガイド面及び後壁22に沿って左右に向かう。左右に分流された排気は、右壁23、左壁24に各々吹き当たり、後壁22と右壁23及び左壁24との角部がラウンド形状とされていることも相俟って、右壁23、左壁24に沿って前方に向かう。その後、排気は、第1、第2排気入口B1、B2に進入し、第1、第2排気導出管4A、4Bを通過するものである。
整流板6は、消音器本体20の上壁25と下壁26とで支持されている。すなわち、整流板6の上端側にはフランジ部61が備えられ、フランジ部61が上壁25と栓溶接によって固着されている。一方、整流板6の下端側は、取り付け板28を介して下壁26に取り付けられている。取り付け板28は、ビード203を跨いで左右方向に延び、整流板6の座面を提供している。整流板6の下端側のフランジ部が取り付け板28にスポット溶接により固着され、さらに取り付け板28が下壁26にスポット溶接により固着されている。
[消音部の詳細]
続いて、第1直線管41に適用される第1消音部51、第2直線管42に適用される第2消音部52、及び、湾曲管43に適用される湾曲消音部53について詳述する。説明に際し、上掲の図2〜図7に加え、図8を参照する。図8は、図6に示す第1、第2直線管41、42に、それぞれ第1、第2吸音材カバー511、512が取り付けられた状態の斜視図である。
続いて、第1直線管41に適用される第1消音部51、第2直線管42に適用される第2消音部52、及び、湾曲管43に適用される湾曲消音部53について詳述する。説明に際し、上掲の図2〜図7に加え、図8を参照する。図8は、図6に示す第1、第2直線管41、42に、それぞれ第1、第2吸音材カバー511、512が取り付けられた状態の斜視図である。
第1消音部51は、第1直線管41の管軸方向の所定領域において、その周方向の一部に設けられている。図4〜図6を主に参照して、第1消音部51は、第1直線管41の管壁に穿孔された多数の小孔41Hからなる第1小孔群H1と、第1直線管41の外周に配置された第1吸音材71と、第1吸音材71を覆うように第1直線管41に取り付けられた第1吸音材カバー511とを含む。
小孔41Hは、第1直線管41の管内と管外とを連通させる孔である。多数の小孔41Hが管壁にマトリクス状に穿孔されることで、第1小孔群H1が形成されている。第1小孔群H1は、第1直線管41の管軸方向においては、上流端411及び下流端412の近傍領域を除くほぼ全領域(所定領域)に配置(穿孔)されている。一方、第1直線管41の周方向については、第1直線管41の全周のうち、第2直線管42と実質的に対向する後側の管壁部分にだけ穿孔されている。
本実施形態では、第1直線管41の管軸P1と第2直線管42の管軸P2とが概ね同じ高さ位置となるように、両管が消音器本体20内に配置されている。そして、図4に示されているように、管軸P1方向の断面視において、前記対向する管壁部分となる第1直線管41の後半分の側部のうち、上下方向の中央付近の円弧管壁部分(P1とP2とを結ぶ線を中心とする上下の円弧領域)が、小孔41Hの穿孔範囲とされている。図4では、その中心角θ=45°程度の円弧管壁部分が穿孔範囲とされた例を示しているが、これは一例である。例えば小孔41Hの穿孔範囲は、中心角θ=30°〜150°程度の範囲から選ぶことができる。
第1吸音材71は、第1小孔群H1が穿孔された管壁部分を覆うように、第1直線管41の外周に部分的に配置されている。すなわち第1吸音材71は、第1直線管41の径方向に所定の肉厚を有しており、第1直線管41における小孔41Hの穿孔範囲の管壁部分の外周面に接するように配置されている。
第1吸音材カバー511は、このような第1吸音材71を覆うように、第1直線管41の外周面に取り付けられている。第1吸音材カバー511は、第1吸音材71を収容するキャビティとなる膨出部512と、膨出部512の上下に付設されたフランジ状の接合部513とを備える。膨出部512は、第1管軸P1方向及び周方向の双方において、第1小孔群H1を完全に覆い隠すサイズを有している。上下一対の接合部513は、それぞれ第1直線管41の外周面に線溶接等により接合される。
第1消音部51が、第1直線管41に対して上記のように部分配置とされるのは、第1吸音材71及び第1吸音材カバー511を配置するスペースを第1直線管41の前面側に確保できないからである。図4に示すように、第1直線管41は前壁21に隣接して配置されていることから、第1直線管41の前側の側部と前壁21との前後方向の間隔dは狭小である。このため、前側の側部には吸音材71及び第1吸音材カバー511をスペース的な余裕をもって配置することができない。無理にこれらを配置すると、第1吸音材カバー511が車両の走行振動で前壁21に接触して異音を発生しかねない。一方、第1直線管41の後側の側部については、湾曲管43の前後幅に応じた空きスペースを確保することができる。つまり、湾曲管43を介して平行に配置された第1直線管41と第2直線管42との間にはスペース的な余裕があり、且つ、干渉する部材も存在しない。このような理由から、第1消音部51は第1直線管41の後側の側部にのみ設けられている。
第2消音部52は、第2直線管42の管軸方向の所定領域において、その管壁の全周をカバーするように設けられている。第2消音部52は、第2直線管42の管壁に穿孔された多数の小孔42Hからなる第2小孔群H2と、第2直線管42の外周に配置された第2吸音材72と、第2吸音材72を覆うように第2直線管42に取り付けられた第2吸音材カバー521とを含む。
小孔42Hは、第2直線管42の管内と管外とを連通させる孔である。多数の小孔42Hが管壁にマトリクス状に穿孔されることで、第2小孔群H2が形成されている。図6に示す通り、第2小孔群H2は、第2直線管42の第2管軸方向P2の中央領域(所定領域)に穿孔されている。また、第2直線管42の周方向については、第1直線管41の管壁の全周に亘って穿孔されている。
第2吸音材72は、第2小孔群H2が穿孔された管壁領域の全周を覆うように、第2直線管42の外周に配置されている。すなわち第2吸音材72は、第2直線管42の径方向に所定の肉厚を有しており、第2直線管42の第2管軸P2方向における小孔42Hの全穿孔範囲、及びその周方向の全範囲の管壁部分の外周面に接するように、筒状に配置されている。
第2吸音材カバー521は、筒状の第2吸音材72の外周を覆うように、第2直線管42の外周面に取り付けられている。第2吸音材カバー521は、一対の半割れ部材の接合体からなる。前記半割れ部材は各々、半割れカバー本体522、端部接合部523及びフランジ部524を備える。半割れカバー本体522は、第2吸音材72を収容するキャビティとなる膨出部分であり、図4に示すように第2直線管42の外径よりも大きい内径を有している。また、半割れカバー本体522は、第2管軸P2方向において、第2小孔群H2を完全に覆い隠すサイズを有している。
端部接合部523は、半割れカバー本体522の左右両端部に各々付設された周方向の接合部分であり、第2直線管42の外周面に沿う湾曲形状を有する。端部接合部523は、それぞれ第2直線管42の外周面にスポット溶接等により接合される。フランジ部524は、一対の半割れカバー本体522同士を接合して筒体とするための接合面である。フランジ部524は、半割れカバー本体522の左右両端部から、それぞれ第2管軸P2方向に延び出している。
第2直線管42は、消音器本体20の前後方向の略中心位置に配置されている。このため、第2直線管42は前壁21及び後壁22の双方に対して離間しており、また、第1直線管41に対しても湾曲管43の前後幅に応じた間隔を置いている。従って、スペース的な余裕は有ることから、第2直線管42の全周を覆うように、第2吸音材72及び第2吸音材カバー521を取り付けることができるものである。
上述の第1吸音材カバー511と第2吸音材カバー521とは、連結部材54によって連結されている。連結部材54は、前後方向に延びる板金部材であり、前接合部541と後接合部542とを備えている(図4、図8)。前接合部541は、第1吸音材カバー511の膨出部512の上側面に線溶接により接合されている。一方、後接合部542は、第2吸音材カバー521の半割れカバー本体522の前上側部付近に線溶接により接合されている。
湾曲消音部53は、図3及び図7に示すように、第1半割れ管43A及び第2半割れ管43Bの膨出頂部付近に穿孔された多数の小孔43Hと、この小孔43Hを有する第1、第2半割れ管43A、43Bの外周面を各々覆う第3吸音材73と、これら第3吸音材73を各々覆う上カバー53A、下カバー53B(吸音材カバー)とを備えている。第3吸音材73は、湾曲管43の非フランジ部435を除いた部分において、第1、第2半割れ管43A、43Bの膨出部の外周面の概ね全域に沿うように配置されている。前記膨出部の頂部付近に穿孔された小孔43Hは、完全に第3吸音材73にて覆われている。
上カバー53Aは、第1半割れ管43Aの外周の第3吸音材73を覆い、下カバー53Bは、第2半割れ管43Bの外周の第3吸音材73を覆っている。上カバー53A及び下カバー53Bは各々、湾曲管43の外側湾曲部L1側に部分フランジ531を、内側湾曲部L2側に添設部532を有している。部分フランジ531は、それぞれ上、下フランジ部433A、433Bと一部だけ重複する形状を備えたフランジ部である。
第1半割れ管43Aの上フランジ部433Aと上カバー53Aの部分フランジ531、及び第2半割れ管43Bの下フランジ部433Bと下カバー53Bの部分フランジ531とが、各々の重ね合わせ部分においてスポット溶接で接合されている。なお、上、下フランジ部433A、433Bは、部分フランジ531の非重複部分においてスポット溶接で接合されている。つまり、外周フランジ部433においては、上、下フランジ部433A、433B及び上下2枚の部分フランジ531が4枚重なり合うものの、2枚重ねのスポット溶接で各々の接合がなされている。添設部532は、湾曲管43の上流端431(下流端432)付近において、それぞれ第1、第2半割れ管43A、43Bの膨出部の外周面に接する湾曲部分である。内側湾曲部L2側については、例えば線溶接により上、下カバー53A、53Bを湾曲管43の外周面に接合することができる。
[作用効果等]
以上説明した第1実施形態に係るメイン消音装置2によれば、次のような作用効果を奏する。先ず、消音空間S内に配置される排気管である第1排気導出管4A及び第2排気導出管4Bが、各々第1、第2直線管41、42及び湾曲管43を含むので、消音空間S内における排気管の管長を長くすることができる。これにより、第1、第2排気導出管4A、4B自身での排気騒音の低減度合いを高めることができる。
以上説明した第1実施形態に係るメイン消音装置2によれば、次のような作用効果を奏する。先ず、消音空間S内に配置される排気管である第1排気導出管4A及び第2排気導出管4Bが、各々第1、第2直線管41、42及び湾曲管43を含むので、消音空間S内における排気管の管長を長くすることができる。これにより、第1、第2排気導出管4A、4B自身での排気騒音の低減度合いを高めることができる。
さらに、第1、第2直線管41、42への第1、第2吸音材71、72の施与、並びに湾曲管43への第3吸音材73の施与によっても、消音効果が高められている。すなわち、消音器本体20の前壁21及び後壁22から離間して配置されている第2直線管42については、その管壁の全周に亘って第2小孔群H2及び第2吸音材72が配置されている。湾曲管43についても、第1、第2半割れ管43A、43Bの双方に外周面に第3吸音材73が添設されている。
これに加え、消音器本体20の前壁21に隣接して配置されている第1直線管41についても、第2直線管42と対向する管壁部分に第1小孔群H1及び第1吸音材73が配置されている。つまり、前壁21に隣接する第1直線管41の前側には第1吸音材73を配置できるスペースを確保できないが、第2直線管42と対向する管壁部分には前記スペースを確保可能であるので、該スペースを有効活用して第1小孔群H1及び第1吸音材71が配置されている。このように、前壁21に隣接するゆえ第1直線管41には吸音材の配置を回避するのではなく、第1直線管41にも可能な限り吸音材を付設するようにすることで、第1、第2排気導出管4A、4Bにおける消音効果が一層高められている。
なお、第1、第2直線管41、42及び湾曲管43によって連続した長い管長の排気管を形成する場合、湾曲管43において排気流をスムースにするためには、湾曲管43の湾曲径を相応に大きくする必要がある。これにより、自ずと第1、第2直線管41、42の間には相応の空間が形成されるようになる。本実施形態に係る、湾曲管43で第1、第2直線管41、42を連結する構造は、前記相応の空間を、第1吸音材71の配置スペースとして活用できるので有利となる。
メイン消音装置2は、第1吸音材71を覆う第1吸音材カバー511、及び、第2吸音材72を覆う第2吸音材カバー521と、第1吸音材カバー511と第2吸音材カバー521とを連結する連結部材54とを備える。第1、第2吸音材カバー511、521の設置により、第1、第2吸音材71、72の保形性を高めることができる。また、連結部材54にて第1、第2吸音材カバー511、521同士を連結することにより、大きくU字型に湾曲した第1、第2排気導出管4A、4Bの第1、第2直線管41、42同士が結合された状態となり、支持剛性が高められる。
また、排気導入管3の排気出口Aが消音器本体20の後壁22の近傍位置に配置される一方、第1、第2排気導出管4A、4Bの第1、第2排気入口B1、B2が、前壁21の近傍位置に配置されている。これにより、消音空間S内において、排気出口Aと第1、第2排気入口B1、B2とを遠ざけることができ、排気導入管3の排気騒音を第1、第2排気入口B1、B2へ伝達し難くすることができる。とりわけ、第1排気入口B1が右壁23にも、第2排気入口B2が左壁24にも、それぞれ近接する位置に配置される構造であるので、排気出口Aと第1、第2排気入口B1、B2とがより遠ざけられ、消音効果が高められている。
さらに、排気導入管3は、消音器本体20の車幅方向における中央位置に配置され、第1、第2排気導出管4A、4Bは、排気導入管3を挟んで、右壁23側と左壁24側とに各々配置されている。このため、排気導入管3においては排気抵抗が生じ難い。また、第1、第2排気導出管4A、4Bについては、消音空間Sを有効利用して、所要の管長を確保し易いという利点がある。
[第2実施形態に係るメイン消音装置]
図9は、第2実施形態に係るメイン消音装置2Aの、アッパープレート20Aを取り外した状態の斜視図、図10は、図9の要部の斜視図、図11は、図10のXI−XI線断面図である。メイン消音装置2Aが第1実施形態と相違する点は、連結部材54に代えて、消音部セットプレート29(セットプレート)が用いられている点である。なお、メイン消音装置2Aのその他の点については第1実施形態と同様であるので、説明を省く。
図9は、第2実施形態に係るメイン消音装置2Aの、アッパープレート20Aを取り外した状態の斜視図、図10は、図9の要部の斜視図、図11は、図10のXI−XI線断面図である。メイン消音装置2Aが第1実施形態と相違する点は、連結部材54に代えて、消音部セットプレート29(セットプレート)が用いられている点である。なお、メイン消音装置2Aのその他の点については第1実施形態と同様であるので、説明を省く。
消音部セットプレート29は、第1吸音材カバー511及び第2吸音材カバー521が配置された位置において、第1、第2排気導出管4A、4Bの各第1、第2直線管41、42を消音器本体20で支持するために配置されている。上述の一対のセットプレート27は、第1、第2直線管41、42の一端が差し込まれた湾曲管43の非フランジ部435を各々支持している。一対の消音部セットプレート29は、各々セットプレート27と平行に配置され、当該セットプレート27よりも右壁23寄り、左壁24寄りの位置(第1実施形態における連結部材54の配置位置と略同じ位置)において、第1、第2直線管41、42を支持している。
消音部セットプレート29は、上下方向に延びる平板部材であり、第1支持孔291、第2支持孔292、上フランジ部293及び下フランジ部294を備えている。第1支持孔291は、第1吸音材カバー511が装着された第1直線管41が挿通される孔である。第1支持孔291の前方側の略半分の内周縁には、バーリング部291Aが形成されている。バーリング部291Aは、第1直線管41の第1吸音材カバー511が装着されていない部分を支持している(図11参照)。第1吸音材カバー511と第1支持孔291の内周縁との間にはギャップが存在している。第2支持孔292は、円筒状の第2吸音材カバー521が装着された第2直線管42が挿通される孔である。第2支持孔292の内周縁の全周に亘ってバーリング加工部が備えられ、第2吸音材カバー521を介して第2直線管42が支持されている。
上フランジ部293は消音部セットプレート29の上端側に、下フランジ部294は下端側に、それぞれ設けられたフランジ部である。上フランジ部293は消音器本体20の上壁25に接合され、下フランジ部294は下壁26に接合されている。このような消音部セットプレート29の追加により、第1、第2直線管41、42の支持剛性を一層高めることができる。また、上、下フランジ部293、294が上壁25、下壁26にそれぞれ接合されるので、消音器本体20自体の剛性も高めることができる。
[その他変形実施形態の説明]
以上、本発明の二つの実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変形実施形態を取ることができる。
以上、本発明の二つの実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変形実施形態を取ることができる。
(1)上記実施形態では、排気管の一例として、排気導入管3と、その左右両側に第1、第2排気導出管4A、4Bがシンメトリーに配置され、第1、第2排気導出管4A、4Bが第1、第2直線管41、42及び湾曲管43を備える例を示した。これは一例であり、排気導出管が1本の形態としても良い。また、第1、第2直線管41、42及び湾曲管43が排気導入管3に備えられている態様としても良い。さらに、本実施形態では、排気経路を180°転換させる湾曲管43を例示したが、U字状に湾曲していればよく180°より若干緩い湾曲、或いは180°を若干超過する湾曲であっても良い。また、湾曲管43が存在せず、第1、第2直線管41、42だけが近接して平行に延びる形態の排気導入管又は排気導出管であってもよい。
(2)上記実施形態では、前壁21が直線的に延びる壁部であり、第1直線管41が消音器本体20の前壁21に隣接して配置される例を示した。これに代えて、第1直線管41が後壁22、右壁23又は左壁24に隣接して配置され、第2直線管42がこれらの壁から離間して配置される構成とすることもできる。
1 エンジン
10 排気装置
2、2A メイン消音装置(排気消音装置)
20 消音器本体
21 前壁(直線的に延びる壁部)
22 後壁
23 右壁(側壁)
24 左壁(側壁)
29 消音部セットプレート(セットプレート)
3 排気導入管(排気管)
4A 第1排気導出管(排気管)
4B 第2排気導出管(排気管)
41 第1直線管
42 第2直線管
43 湾曲管
511 第1吸音材カバー
521 第2吸音材カバー
54 連結部材
71 第1吸音材
72 第2吸音材
A 排気出口
B1 第1排気入口
B2 第2排気入口
S 消音空間
H1 第1小孔群
H2 第2小孔群
P1 第1管軸(第1直線管の管軸)
P2 第2管軸(第2直線管の管軸)
10 排気装置
2、2A メイン消音装置(排気消音装置)
20 消音器本体
21 前壁(直線的に延びる壁部)
22 後壁
23 右壁(側壁)
24 左壁(側壁)
29 消音部セットプレート(セットプレート)
3 排気導入管(排気管)
4A 第1排気導出管(排気管)
4B 第2排気導出管(排気管)
41 第1直線管
42 第2直線管
43 湾曲管
511 第1吸音材カバー
521 第2吸音材カバー
54 連結部材
71 第1吸音材
72 第2吸音材
A 排気出口
B1 第1排気入口
B2 第2排気入口
S 消音空間
H1 第1小孔群
H2 第2小孔群
P1 第1管軸(第1直線管の管軸)
P2 第2管軸(第2直線管の管軸)
Claims (7)
- 車両のエンジンの排気が導入される消音空間を形成する消音器本体と、
前記消音空間内において前記排気が通過する排気経路を構成し、互いに略平行に延びる第1直線管及び第2直線管を含む排気管と、
前記第1直線管の外周に配置される第1吸音材、及び、前記第2直線管の外周に配置される第2吸音材と、を備え、
前記消音器本体は、前記消音空間を区画する、直線的に延びる壁部を備え、
前記第1、第2直線管は、それぞれ管壁に穿孔された第1、第2小孔群を備え、
前記第1直線管は前記壁部に隣接するように配置される一方、前記第2直線管は前記壁部から離間して配置され、
前記第2小孔群は、前記第2直線管の管軸方向の所定領域において管壁の全周に亘って穿孔されていると共に、前記第2吸音材は前記管壁の全周を覆うように前記第2直線管の外周に配置され、
前記第1小孔群は、前記第1直線管の管軸方向の所定領域において、全周のうち、前記第2直線管と実質的に対向する管壁部分だけに穿孔されていると共に、前記第1吸音材は前記管壁部分を覆うように前記第1直線管の外周に配置されている、エンジンの排気消音装置。 - 請求項1に記載のエンジンの排気消音装置において、
前記排気管は、前記第1直線管と前記第2直線管とを連結する湾曲管をさらに含む、エンジンの排気消音装置。 - 請求項1又は2に記載のエンジンの排気消音装置において、
前記第1吸音材を覆う第1吸音材カバー、及び、前記第2吸音材を覆う第2吸音材カバーと、
前記第1吸音材カバーと前記第2吸音材カバーとを連結する連結部材と、をさらに備える、エンジンの排気消音装置。 - 請求項1又は2に記載のエンジンの排気消音装置において、
前記第1吸音材を覆う第1吸音材カバー、及び、前記第2吸音材を覆う第2吸音材カバーと、
前記第1吸音材カバー及び前記第2吸音材カバーが配置された位置において、前記第1直線管及び前記第2直線管を前記消音器本体で支持させるためのセットプレートと、をさらに備える、エンジンの排気消音装置。 - 請求項2〜4のいずれか1項に記載のエンジンの排気消音装置において、
前記消音器本体は、前記消音空間を区画する壁として、前記車両の前後方向に並ぶ前壁及び後壁と、前記車両の車幅方向に並ぶ一対の側壁とを含み、前記車幅方向に長手の形状を有し、前記直線的に延びる壁部が前記前壁であり、
前記排気管は、前記消音空間へエンジンの排気を導入する排気導入管と、前記消音空間から前記排気を外部へ放出する排気導出管とを含み、前記湾曲管、第1直線管及び第2直線管が、前記消音空間内において前記排気導出管の少なくとも一部を構成しており、
前記排気導入管は、その排気出口が前記後壁の近傍位置に配置され、
前記排気導出管は、その排気入口が前記前壁の近傍位置に配置されている、エンジンの排気消音装置。 - 請求項5に記載のエンジンの排気消音装置において、
前記第1直線管の前記湾曲管への接続端部とは反対側の端部が前記排気入口であり、
前記排気入口が、前記一対の側壁の一方にも近接する位置に配置されている、エンジンの排気消音装置。 - 請求項5又は6に記載のエンジンの排気消音装置において、
前記排気導入管は、前記消音器本体の前記車幅方向における中央位置に配置され、
前記排気導出管は、前記排気導入管を挟んで、前記一対の側壁のうちの一方側に配置された第1排気導出管と、他方側に配置された第2排気導出管とを含む、エンジンの排気消音装置。
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