以下、図1乃至図14を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
袋
図1は、本実施の形態による袋10を表面側から見た場合を示す斜視図である。また、図2は、袋10を構成するフィルムを示す分解図である。また、図3は、袋10を表面側から見た場合を示す正面図である。図1においては、内容物が充填された状態の袋10が示されている。一方、図3においては、内容物が充填される前の状態の袋10が示されている。図3に示す袋10の上部11から袋10の内部に内容物を充填し、上部11を封止することにより、図1に示す袋10を得ることができる。
袋10は、上部11、下部12及び側部13を含む。なお、「上部」、「下部」及び「側部」などの名称、並びに、「上方」、「下方」、「上下方向」、「水平方向」などの用語は、後述する下部フィルム20が下方に位置するように袋10が自立している状態を基準として袋10やその構成要素の位置や方向を表している。
本実施の形態においては、袋10が、液体や紛体などの内容物をボトル等の容器に移し替えるための詰め替え袋である例について説明する。液体の例としては、液体洗剤やシャンプー等の生活用品を挙げることができる。また、内容物は、醤油、ドレッシングなどの食品であってもよい。袋10に収容される内容物の、20℃における粘度は、好ましくは1mPa・s以上且つ1000mPa・s以下であり、より好ましくは1mPa・s以上且つ100mPa・s以下であり、更に好ましくは1mPa・s以上且つ10mPa・s以下である。
本実施の形態による袋10は、本体部16、注出口部18及びスカート部19を備える。本体部16は、袋10のうち表面と裏面との間の空間に内容物を収容することができる部分を含む。注出口部18及びスカート部19は、袋10の下部12を構成している。注出口部18は、内容物を袋10から注出するための部分であり、本体部16に連通している。スカート部19は、図1に示すように、本体部16に接続され、且つ注出口部18を一周にわたって囲っている。このようなスカート部19を設けることにより、後述するように、注出口部18が閉塞されてしまうことを抑制することができる。また、袋10を所定の載置面に自立させることが可能になる。
(フィルム)
以下、上述の本体部16、注出口部18及びスカート部19を備える袋10を構成するフィルムについて説明する。図2に示すように、袋10は、表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20を備える。表面フィルム14は、袋10の表面を構成する。裏面フィルム15は、袋10の裏面を構成する。上述の本体部16は、表面フィルム14及び裏面フィルム15のうち下部フィルム20よりも上方に位置する部分によって構成されている。下部フィルム20は、表面フィルム14と裏面フィルム15との間であって、袋10の下部12に位置する。
なお、「表面フィルム」、「裏面フィルム」、及び「下部フィルム」という用語は、袋10の外面の位置関係に応じて、袋10を構成するフィルムを区画したものに過ぎず、袋10を製造する際のフィルムの提供方法が、上述の用語によって限定されることはない。例えば、袋10は、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する1枚のフィルムと、下部フィルム20を構成する1枚のフィルムとを用いて製造されてもよく、表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20を構成する1枚のフィルムを用いて製造されてもよい。
表面フィルム14及び裏面フィルム15は、略矩形状の輪郭を有する。図2に示すように、好ましくは、表面フィルム14の下端14dには切欠部14aが設けられている。これによって、図1に示すように、注出口部18を部分的に露出させることができ、このことにより、使用者が注出口部18の位置を認識し易くなる。なお、図示はしないが、裏面フィルム15の下端15dに、注出口部18を構成する第2注出口フィルム27を部分的に露出させる切欠部を設けてもよい。
図2に示すように、下部フィルム20は、M字状に構成されている。具体的には、下部フィルム20は、順に連設された第1連結フィルム23、第1注出口フィルム22、第2注出口フィルム27及び第2連結フィルム28を含む。第1連結フィルム23及び第1注出口フィルム22は、外面同士が対向している。第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27は、内面同士が対向している。また、第2注出口フィルム27及び第2連結フィルム28は、外面同士が対向している。このようなM字状の形態は、一枚の下部フィルム20をM字状に折り曲げることによって構成されていてもよい。又は、任意の複数のフィルムを接合することによって構成されていてもよい。例えば、図示はしないが、まず、第1注出口フィルム22及び第1連結フィルム23を含む第1下部フィルムと、第2注出口フィルム27及び第2連結フィルム28を含む第2下部フィルムを準備する。次に、第1下部フィルムの第1注出口フィルム22の内面と第2下部フィルムの第2注出口フィルム27の内面とを接合することによって、M字状の下部フィルム20を得ることができる。
図2に示す第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27は、下方に向かうにつれて幅が小さくなる先細部分を含む。例えば、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27は、上端が第1辺となり下端が第1辺に対向する頂点となるよう配置された三角形の形状を有する。図1に示す注出口部18は、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27によって構成されている。
第1注出口フィルム22の内面と第2注出口フィルム27の内面とは、注出口部18を画成するよう、部分的に接合されている。例えば、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27が、上端が第1辺となる三角形の形状を有する場合、第1注出口フィルム22の内面と第2注出口フィルム27の内面とは、三角形の第2辺及び第3辺に沿って接合されている。
下部フィルム20は、第1注出口フィルム22の上端22cが表面フィルム14の下端14dよりも上方に位置し、且つ、第2注出口フィルム27の上端27cが裏面フィルム15の下端15dよりも上方に位置するよう、表面フィルム14の内面及び裏面フィルム15の内面に接合されている。例えば、第1連結フィルム23は、第1注出口フィルム22の上端22cに接続されており、そして、第1連結フィルム23の内面が表面フィルム14の内面に接合されている。また、第2連結フィルム28は、第2注出口フィルム27の上端27cに接続されており、そして、第2連結フィルム28の内面が裏面フィルム15の内面に接合されている。この場合、表面側から袋10を見ると、少なくとも部分的に表面フィルム14と第1注出口フィルム22とが重なることになる。また、裏面側から袋10を見ると、少なくとも部分的に裏面フィルム15と第2注出口フィルム27とが重なることになる。
図1に示すスカート部19は、表面フィルム14及び裏面フィルム15のうち下部フィルム20と重なる部分、表面フィルム14の内面に接合された第1連結フィルム23、及び裏面フィルム15の内面に接合された第2連結フィルム28によって構成されている。
図2に示すように、第1連結フィルム23の下端23dには、表面フィルム14の切欠部14aに対応する切欠部23aが設けられていてもよい。これによって、袋10の表面側において注出口部18を構成する第1注出口フィルム22を部分的に露出させることができる。なお、裏面フィルム15の下端15dに切欠部が設けられる場合、第2連結フィルム28の下端28dに、裏面フィルム15の切欠部に対応する切欠部を設けてもよい。
各フィルムは、袋10の本体部16、注出口部18及びスカート部19を実現するように互いに接合されている。以下、各フィルムの接合部分をシール部と称する。本願において、図3などの正面図においては、シール部にハッチングを施している。なお、フィルム同士を接合して袋10を封止することができる限りにおいて、シール部を形成するための方法が特に限られることはない。例えば、加熱などによってフィルム同士を溶融させて、フィルムを溶着させることによって、シール部を形成してもよい。若しくは、接着剤などを用いてフィルム同士を接着することによって、シール部を形成してもよい。
(シール部)
以下、図1、図3、図4及び図5を参照して、シール部について説明する。図4は、図3に示す袋10をIV−IV線に沿って見た場合を示す断面図である。図5は、図3に示す袋10をV−V線に沿って見た場合を示す断面図である。シール部は、図3に示すように、上部シール部11a、下部シール部12a、側部シール部13a、及び注出口シール部18a、18bを含む。注出口シール部18a、18bは、第1注出口シール部18a及び第2注出口シール部18bを含む。
図1に示すように、上部シール部11aは、袋10の上縁に沿って延びる。なお、内容物が充填される前の状態の袋10においては、図3に示すように、袋10の上縁は開口部11bになっている。袋10に内容物を充填した後、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを袋10の上縁に沿って接合することにより、上部シール部11aが形成されて袋10が封止される。
側部シール部13aは、袋10の側縁に沿って延びる。側部シール部13a及び上述の上部シール部11aは、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを接合することによって形成されるシール部である。
図3に示すように、下部シール部12aは、袋10の下部12において広がり、袋10を封止している。図4及び図5に示すように、下部シール部12aは、表面フィルム14の内面14xと第1連結フィルム23の内面23xとを接合することによって形成されるシール部、及び、裏面フィルム15の内面15xと第2連結フィルム28の内面28xとを接合することによって形成されるシール部を含む。
好ましくは、下部シール部12aは、第1連結フィルム23の全域を表面フィルム14に密着させ、且つ第2連結フィルム28の全域を裏面フィルム15に密着させるよう、形成される。これによって、スカート部19の剛性を高めることができる。
注出口シール部18a、18bは、注出口部18において袋10を封止するよう、形成される。図4に示すように、注出口シール部18a、18bは、第1注出口フィルム22の内面22xと第2注出口フィルム27の内面27xとを接合することによって形成されるシール部である。
注出口部18とスカート部19との間には、少なくとも部分的に隙間19aが存在している。例えば、図4に示すように、第1注出口フィルム22の外面22yと第1連結フィルム23の外面23yとは接合されておらず、このため、第1注出口フィルム22と表面フィルム14との間に隙間19aが存在するようになる。また、第2注出口フィルム27の外面27yと第2連結フィルム28の外面28yとは接合されておらず、このため、第1連結フィルム23と裏面フィルム15との間にも隙間19aが存在するようになる。この場合、袋10の内容物をボトルに詰め替えるために袋10の注出口部18をボトルの口部に挿入する際、ボトルの口部が注出口部18とスカート部19との間の隙間19aに位置することができる。このため、水平方向においてボトルの口部の端部と重なる位置において、表面フィルム14の内面14xと裏面フィルム15の内面15xとの間の間隔を、少なくともボトルの口部の外径以上に維持することができる。このことにより、後述するように、内容物を注出する際に注出口部18が閉塞されてしまうことを抑制することができる。
以下、図4及び図6を参照して、注出口部18について更に説明する。図6は、図3に示す袋10の注出口部18を示す正面図である。
注出口部18は、上述の注出口シール部18a、18b並びに第1注出口未シール部18c及び第2注出口未シール部18dを含む。「未シール部」とは、対向するフィルムの内面同士が接合されていない領域のことである。
図4及び図6に示すように、第1注出口未シール部18cは、表面フィルム14の内面14xと裏面フィルム15の内面15xとの間の本体部16の空間に連通している。この第1注出口未シール部18cの、下方部分の境界は、図6に示すように、第1注出口シール部18a及び第2注出口シール部18bによって定められている。
図6に示すように、第1注出口シール部18aは、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27の外縁に沿って第1注出口フィルム22の内面22xと第2注出口フィルム27の内面27xとを接合する。第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27が、上端が第1辺となる三角形の形状を有する場合、図6に示すように、第1注出口シール部18aは、三角形の第2辺及び第3辺に沿って延びている。
図6に示すように、第2注出口シール部18bは、第1注出口シール部18aに接続された両端を含む。この第2注出口シール部18bは、第1注出口シール部18aに比べて小さな強度で第1注出口フィルム22の内面22xと第2注出口フィルム27の内面27xとを接合している。このため、袋10を使用するとき、第2注出口シール部18bに力を加えて第2注出口シール部18bを剥離させ、第2注出口シール部18bの剥離部分から内容物を袋10の外部へ注出することができる。
以下、第1注出口シール部18a及び第2注出口シール部18bの接合強度を測定する方法について、図28A及び図28Bを参照して説明する。図28Aは、注出口シール部の測定強度を測定するためのサンプル100を示す図である。図28Bは、サンプル100を用いて注出口シール部の接合強度を測定する方法を示す図である。
図28Aに示すように、サンプル100は、長手方向に延びる矩形状の形状を有する。サンプル100は、第1フィルム101と第2フィルム102とが接合されていない未シール部103と、第1フィルム101と第2フィルム102とが接合されているシール部104と、を含む。第1フィルム101及び第2フィルム102は、例えば、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27に相当する。図28Aにおいて、符号101aは、長手方向における第1フィルム101の両端部のうち、本体部16側に位置する端部(第1端部)を表す。また、符号101bは、第1端部の反対側に位置する第2端部を表す。
接合強度の測定方法においては、図28Bに示すように、サンプル100がT字状になるよう、未シール部103において第1フィルム101及び第2フィルム102の端部をそれぞれ逆方向に300mm/minで引っ張り、これによって、シール部104を一定の速度で剥離させる。この場合、サンプル100のシール部104の接合強度を、シール部104を剥離させることに要した張力の最大値として算出することができる。
図29は、図6に示す本実施の形態による袋10から、第1注出口シール部18a及び第2注出口シール部18bの接合強度を測定するためのサンプルを採取する例を示す図である。図29において、符号100Aは、第1注出口シール部18aの接合強度を測定するための第1サンプルを示し、符号100Bは、第2注出口シール部18bの接合強度を測定するための第2サンプルを示す。
図29に示すように、サンプル100A、100Bはいずれも、その長手方向が袋10の側部13が延びる方向と平行になるよう、採取される。また、第2サンプル100Bは、側部13が延びる方向に直交する方向における第2注出口シール部18bの寸法が、第2サンプル100Bの幅W2に一致し、且つ、第2サンプル100Bが第2注出口シール部18b全体を含むよう、採取される。また、第1サンプル100Aは、第1サンプル100Aの幅W1が、第2サンプル100Bの幅W2に一致し、且つ、第1注出口シール部18aが第1サンプル100Aの幅方向の一端から他端へ至るよう、採取される。第1サンプル100Aの幅W1及び第2サンプル100Bの幅W2は、例えば15mmである。
第1サンプル100Aにおいて、第1注出口シール部18aは、第1サンプル100Aの幅方向に傾斜した方向へ延びている。第2サンプル100Bにおいて、第2注出口シール部18bは、第2サンプル100Bの幅方向に平行に延びている。
第1サンプル100Aの第1注出口シール部18aの接合強度は、好ましくは、第2サンプル100Bの第2注出口シール部18bの接合強度の2倍以上であり、より好ましくは5倍以上である。なお、第1サンプル100Aの幅W1が第2サンプル100Bの幅W2に一致するように第1サンプル100Aの幅W1を採取することができない場合、第1サンプル100Aの幅W1と第2サンプル100Bの幅W2の相違を考慮して、第1注出口シール部18aの接合強度を算出してもよい。例えば、採取し得る第1サンプル100Aの最大の幅W1が、第2サンプル100Bの幅W2の1/aである場合、そのような第1サンプル100Aを用いることによって算出された接合強度にaを掛けることにより、第1注出口シール部18aの接合強度を算出してもよい。
第2注出口未シール部18dは、第2注出口シール部18bに対して第1注出口未シール部18cとは反対側に位置する未シール部である。言い換えると、第2注出口未シール部18dは、第2注出口シール部18bを介して第1注出口未シール部18cと対向している。本実施の形態において、第2注出口未シール部18dは、第1注出口シール部18a及び第2注出口シール部18bによって囲われている。また、第1注出口シール部18aのうち第2注出口未シール部18dに接する部分は、第2注出口シール部18bとの接続部分から外側に向かって凸になる形状を有している。なお「外側」とは、正面図において袋10の中心から遠ざかる側のことである。また、後述する「内側」とは、正面図において袋10の中心寄りの側のことである。
(その他の構成)
以下、袋10のその他の詳細な構成について説明する。
好ましくは、第1注出口フィルム22の上端22c及び第2注出口フィルム27の上端27cよりも下方の位置において、表面フィルム14の内面14xと裏面フィルム15の内面15xとが部分的に接合されている。例えば、図2に示すように、第1連結フィルム23の側縁に切欠部23bを形成し、また、第2連結フィルム28の側縁に切欠部28bを形成する。切欠部23bは、第1連結フィルム23の上端よりも第1連結フィルム23の下端23dに近い位置に形成される。また、切欠部28bは、第2連結フィルム28の上端よりも第2連結フィルム28の下端28dに近い位置に形成される。そして、図3に示すように、切欠部23b及び切欠部28bを介して表面フィルム14の内面14xと裏面フィルム15の内面15xとを接合させて側部シール部13aを形成する。このように表面フィルム14の内面14xと裏面フィルム15の内面15xとを下部12において部分的に接合することにより、スカート部19の内側にボトルが挿入された場合にスカート部19が開いたり捲れあがったりすることを抑制することができる。
また、好ましくは、図3及び図5に示すように、第1連結フィルム23の下端23dは、少なくとも部分的に、表面フィルム14の下端14dに一致している。また、第2連結フィルム28の下端28dは、少なくとも部分的に、裏面フィルム15の下端15dに一致している。これによって、スカート部19の下端の剛性を高めることができ、袋10の自立性を高めることができる。なお、図示はしないが、第1連結フィルム23の下端23dは、上下方向においてスカート部19の下端よりも上方に位置していてもよく、若しくは、上下方向においてスカート部19の下端よりも下方に位置していてもよい。
また、好ましくは、図3に示すように、注出口部18の下端18fが、袋10の幅方向における中央領域に位置している。図3において、符号T1は、袋10の第1の側縁から注出口部18の下端18fまでの、袋10の幅方向における距離を表す。また、符号T2は、袋10の第2の側縁から注出口部18の下端18fまでの、袋10の幅方向における距離を表す。下端18fが中央領域に位置するとは、T1とT2の和に対する、T1とT2の差の絶対値の比率が、5%以下であることを意味する。このようにすることにより、内容物が充填された袋10の重心を、ほぼ注出口部18の下端18fの上方に位置させることができる。これによって、注出口部18をボトルの口部に挿入して内容物の詰め替えを実施する際の袋10の姿勢を安定させることができる。
袋10は、注出口部18を構成する第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27の少なくとも一方を破断して袋10を開封するための経路となる開封予定部を更に備えていてもよい。開封予定部は、例えば、図1及び図3に示すように、注出口部18が下方に向かって先細になる部分において第1注出口シール部18aに形成された切り込み18eを含む。切り込み18eを起点として注出口部18を破断して注出口部18に注出口を形成することにより、注出口から内容物を注出することが可能になる。切り込み18eは、第1注出口シール部18aのうち第2注出口未シール部18dに接する部分に形成される。
開封予定部として、切り込み18eに代えて、切り欠きや傷痕群を第1注出口シール部18aに形成してもよい。傷痕群は、例えば、注出口部18の第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27を貫通するように形成された複数の貫通孔を含んでいてもよい。若しくは、傷痕群は、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27を貫通しないように形成された複数の孔を含んでいてもよい。
また、開封予定部は、レーザー加工やカッターなどで第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27に形成されたハーフカット線を含んでいてもよい。また、開封予定部は、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27に延伸フィルムを包含させることによって構成されていてもよい。
(フィルムの層構成)
図7は、表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20の層構成の一例を示す断面図である。なお、下部フィルム20の内面20xとは、第1注出口フィルム22の内面22x、第2注出口フィルム27の内面27x、第1連結フィルム23の内面23x、及び第2連結フィルム28の内面28xを含む概念である。また、下部フィルム20の外面20yとは、第1注出口フィルム22の外面22y、第2注出口フィルム27の外面27y、第1連結フィルム23の外面23y、及び第2連結フィルム28の外面28yを含む概念である。
図7に示すように、表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20は、少なくともシーラント層31及び基材層32を含む。図7に示す例においては、シーラント層31が、表面フィルム14の内面14x、裏面フィルム15の内面15x、及び下部フィルム20の内面20xを構成している。また、基材層32が、表面フィルム14の外面14y、裏面フィルム15の外面15y、及び下部フィルム20の外面20yを構成している。
シーラント層31を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンを用いることができる。シーラント層31の厚みは、例えば40μm以上且つ160μm以下である。
基材層32を構成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンやナイロンなどのプラスチックや紙などを用いることができる。基材層32は、熱溶着によってシール部を形成する際に求められる高い耐熱性を有している。基材層32がプラスチックの場合、一軸または二軸に延伸されていてもよい。また、基材層32には、製品情報を示したり美感を付与したりするための印刷表示が施されていてもよい。印刷表示としては、文字、数字、記号、図形、絵柄などを挙げることができる。基材層32がプラスチックの場合、基材層32の厚みは、例えば4μm以上且つ30μm以下である。基材層32が紙の場合、基材層32の厚み(坪量)は、例えば20g/m2以上且つ100g/m2以下である。
基材層32にシーラント層31を積層する方法としては、溶融押出法、ドライラミネート法などを挙げることができる。溶融押出法においては、基材層32の上にシーラント層31を構成する材料を押し出す。ドライラミネート法においては、フィルム状のシーラント層31とフィルム状の基材層32とを、接着剤を用いて貼り合わせる。
表面フィルム14及び裏面フィルム15の厚みは、例えば45μm以上且つ220μm以下である。下部フィルム20の厚みは、例えば45μm以上且つ220μm以下である。
表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20は、シーラント層31及び基材層32以外の層を含んでいてもよい。例えば、表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20は、シーラント層31と基材層32との間に位置する機能層を更に含んでいてもよい。
機能層としては、水蒸気その他のガスバリア性、遮光性、各種の機械的強度など、必要とされる性能に応じて、適切なものが選択され得る。例えば、機能層がガスバリア層の場合、アルミニウムなどの無機物や酸化アルミニウムや酸化珪素などの無機酸化物の蒸着層などが設けられ得る。その他にも、ガスバリア層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)や、ナイロンMXD6などの芳香族ポリアミドなどの、ガスバリア性を有する樹脂層を設けてもよい。このようなガスバリア層を設けることにより、酸素や水蒸気が袋10の内部に浸入することを抑制することができる。また、機械的強度を付与するために、機能層として、支持体を設けてもよい。支持体としては、基材層と同じものを用いることができる。例えば、支持体として、延伸ナイロンフィルムを設けてもよい。この場合、袋10の耐突き刺し性を高めることができる。
機能層は、シーラント層31と基材層32との間ではなく、基材層32のシーラント層31とは反対側の面に設けられていてもよい。
なお、表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20の層構成は、上述したものに限定されないことは言うまでもない。また、表面フィルム14の層構成、裏面フィルム15の層構成、及び下部フィルム20の層構成は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、第1注出口フィルム22、第1連結フィルム23、第2注出口フィルム27及び第2連結フィルム28の層構成は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、図8又は図9に示すように、下部フィルム20の内面20x及び外面20yの両方は、シーラント層31によって構成されていてもよい。図8は、下部フィルム20が単一のシーラント層31によって構成される例を示す。図9は、下部フィルム20の内面20x及び外面20yがそれぞれ別個のシーラント層31によって構成され、内面20x側のシーラント層31と外面20y側のシーラント層31との間に基材層32が設けられる例を示す。内面20x及び外面20yの両方がシーラント層31である下部フィルム20は、例えば、後述する第1変形例におけるV字状の下部フィルム20を構成する際に用いられる。
袋の製造方法
次に、上述の袋10を製造する方法の一例について説明する。まず、1枚の下部フィルム20を加工して第1注出口フィルム22、第2注出口フィルム27、第1連結フィルム23及び第2連結フィルム28を形成する例について、図10A乃至図10Eを参照して説明する。
(第1折り返し工程)
まず、長尺状の下部フィルム20を準備する。次に、図10Aに示すように、下部フィルム20の内面同士が向かい合うように、下部フィルム20を折り返し部20fで折り返す。以下の説明において、折り返された下部フィルム20において互いに対向する2つのフィルムの一方を第1下部フィルム21と称し、他方を第2下部フィルム26と称する。
(注出口シール部形成工程)
続いて、図10Bに示すように、第1下部フィルム21の内面と第2下部フィルム26の内面とを部分的に接合して、第1注出口シール部18aを形成する。また、第1下部フィルム21の内面と第2下部フィルム26の内面とを部分的に接合して、図10Cに示すように、両端が第1注出口シール部18aに接続された第2注出口シール部18bを形成する。これによって、第1注出口シール部18a、第2注出口シール部18b、第1注出口未シール部18c及び第2注出口未シール部18dを含む注出口部18を画定することができる。また、第1下部フィルム21及び第2下部フィルム26を部分的に打ち抜いて、後に切欠部23b及び切欠部28bとなる孔を形成する。なお、第1注出口シール部18aを形成する工程、第2注出口シール部18bを形成する工程、及び孔を形成する工程の順序は任意である。
上述のように、第2注出口シール部18bは、第1注出口シール部18aよりも小さな強度を有する。以下、このような強度差を有する第1注出口シール部18a及び第2注出口シール部18bを形成する方法の一例について、図11を参照して説明する。図11において、横軸は、第1下部フィルム21の内面のシーラント層31及び第2下部フィルム26の内面のシーラント層31を加熱して接合させる際の温度を表す。また、縦軸は、第1下部フィルム21の内面のシーラント層31と、第2下部フィルム26の内面のシーラント層31との間の接合強度を表す。
シーラント層31の材料として「エチレン―メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂」等を用いる場合、シーラント層31の接合温度と接合強度との関係は、図11に示すように、接合温度が低い側から高い側へ順に、第1段階St1、第2段階St2、第3段階St3及び第4段階St4に区画される。接合強度は、接合温度が高くなるほど大きくなる。また、第2段階St2における接合強度の傾きは、第1段階St1における接合強度の傾きよりも小さい。また、第3段階St3における接合強度の傾きは、第2段階St2における接合強度の傾きよりも大きい。また、第4段階St4における接合強度の傾きは、第3段階St3における接合強度の傾きよりも小さい。なお、「接合強度の傾き」とは、接合温度が1℃高くなることによる、接合強度の増加量を意味する。
第1注出口シール部18aの形成工程においては、第4段階St4に属する温度の範囲内で第1下部フィルム21及び第2下部フィルム26を加熱して第1注出口シール部18aを形成する。一方、第2注出口シール部18bの形成工程においては、第2段階St2に属する温度の範囲内で第1下部フィルム21及び第2下部フィルム26を加熱して第2注出口シール部18bを形成する。これによって、第2注出口シール部18bの接合強度を第1注出口シール部18aの接合強度よりも小さくすることができる。シーラント層31を構成する材料が「エチレン―メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂」である場合、第4段階St4の温度範囲は例えば160℃以上、好ましくは180℃以上であり、第2段階St2の温度範囲は例えば100℃以上且つ150℃以下、好ましくは100℃以上且つ140℃以下である。また、第4段階St4の温度範囲で形成されるシール部の接合強度は、好ましくは30N以上であり、第2段階St2の温度範囲で形成されるシール部の接合強度は、好ましくは0.65N以上且つ5N以下であり、より好ましくは1.5N以上且つ5N以下である。また、第4段階St4の温度範囲で形成されるシール部の接合強度は、好ましくは、第2段階St2の温度範囲で形成されるシール部の接合強度の5倍以上である。
その他にも、図示はしないが、第2注出口シール部18bを形成する第1下部フィルム21の内面と第2下部フィルム26の内面との間にイージーピール層を設けることにより、上述の強度差を実現してもよい。イージーピール層としては、例えば、ポリプロピレン/プロピレン−エチレン共重合体、ブロックポリプロピレン系コポリマー/ブロックポリプロピレン系コポリマーとポリエチレン系コポリマー又はポリブテン系コポリマーのブレンド物、ランダムポリプロピレン系コポリマー/ポリプロピレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンと非晶性ポリスチレンのブレンド物、ポリオレフィン系樹脂とポリブテン−1ポリマーのブレンド物、ポリオレフィン/低密度ポリエチレン系接着層/エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリブテン−1のブレンド物、ポリオレフィン/低密度ポリエチレン系接着層/エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリプロピレンのブレンド物等が挙げられる。
その他にも、第2注出口シール部18bを形成する第1下部フィルム21の内面と第2下部フィルム26の内面との間に易剥離コート剤を設けることにより、上述の強度差を実現してもよい。易剥離コート剤としては、例えば、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とを主成分とし、酢酸エチルを溶剤として含むインキ(例えば、DIC株式会社、ポリコートP−91、固形分10%)等が挙げられる。
その他にも、第1注出口シール部18aの幅に対して第2注出口シール部18bの幅を狭くすることにより、上述の強度差を実現してもよい。
(トリミング工程)
続いて、図10Dに示すように、第1注出口シール部18aの外縁に沿って第1下部フィルム21及び第2下部フィルム26を切断する。
(第1折り返し工程)
続いて、図10Eに示すように、第1下部フィルム21を外側に折り返し、これによって、第1注出口フィルム22及び第1連結フィルム23を得る。また、第2下部フィルム26を外側に折り返し、これによって、第2注出口フィルム27及び第2連結フィルム28を得る。このようにして、第1注出口フィルム22、第2注出口フィルム27、第1連結フィルム23及び第2連結フィルム28が形成された下部フィルム20を得ることができる。
次に、表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20を用いて袋10を製造する方法について、図12A乃至図12Dを参照して説明する。
まず、長尺状の表面フィルム14及び裏面フィルム15を準備する。また、図12Aに示すように、表面フィルム14の内面14xと裏面フィルム15の内面15xとの間に下部フィルム20を配置する。好ましくは、表面フィルム14の下端14d、裏面フィルム15の下端15d、下部フィルム20の第1連結フィルム23の下端23d及び第2連結フィルム28の下端28dが一致するよう、表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20を配置する。
続いて、図12Bに示すように、少なくとも注出口部18の下端18fが露出するように、表面フィルム14に切欠部14aを設け、第1連結フィルム23に切欠部23aを設ける。好ましくは、表面フィルム14及び第1連結フィルム23を同時に打ち抜いて、切欠部14a及び切欠部23aを形成する。これによって、切欠部14aの位置と第1連結フィルム23の位置とを精度良く一致させることができる。
なお、図示はしないが、第1連結フィルム23の切欠部23aを、下部フィルム20を表面フィルム14と裏面フィルム15との間に配置する工程よりも前に形成してもよい。
続いて、図12Cに示すように、表面フィルム14の内面14xと裏面フィルム15の内面15xとを部分的に接合して、上述の側部シール部13aを形成する。これによって、表面フィルム14、裏面フィルム15及び側部シール部13aによって囲まれた空間を含む本体部16を画定することができる。
また、表面フィルム14の内面14xと第1連結フィルム23の内面とを第1連結フィルム23の全域にわたって接合し、裏面フィルム15の内面15xと第2連結フィルム28の内面とを第2連結フィルム28の全域にわたって接合して、上述の下部シール部12aを形成する。これによって、下部シール部12aを介して接合された表面フィルム14及び第1連結フィルム23と、下部シール部12aを介して接合された裏面フィルム15及び第2連結フィルム28とを含むスカート部19を得ることができる。なお、下部シール部12aを形成する際に第1注出口フィルム22の内面と第2注出口フィルム27の内面とが互いに接合されてしまうことを防ぐため、第1注出口フィルム22と第2注出口フィルム27との間にプレートを挿入してもよい。
続いて、図12Dに示すように、長尺状の表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20を、側部シール部13aに沿って切断する。このようにして、本体部16、注出口部18及びスカート部19を備える袋10を得ることができる。
次に、袋10の上部11の開口部を介して袋10に内容物を充填する。このとき、注出口部18に第2注出口シール部18bが形成されているので、内容物は、第1注出口未シール部18cには充填されるが第2注出口未シール部18dには充填されない。その後、上部11において表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを接合して、上部シール部11aを形成する。このようにして、内容物が充填されて封止された袋10を得ることができる。
(詰め替え方法)
次に、袋10の内容物をボトルに詰め替える方法について、図13及び図14を参照して説明する。図13及び図14は、袋10の内容物をボトル40に詰め替える様子を示す図である。ボトル40は、肩部43と、肩部43から上方へ突出した口部41と、を備える。
まず、注出口部18を開封する。例えば、注出口部18の先端が上方を向いている状態で、切り込み18eなどの開封予定部に沿って袋10の注出口部18を開封して、注出口部18の第2注出口未シール部18dに注出口18gを形成する。続いて、袋10の姿勢を、内容物をボトル40の口部41へ注出することに適した姿勢に調整する。例えば、図13に示すように、袋10の上部11が上方に位置し、袋10の注出口部18の注出口18gが下方に位置するようにした状態にする。また、注出口部18の注出口18gをボトル40の口部41に挿入する。
続いて、本体部16を押圧して、内容物が注出口部18の第2注出口シール部18bに加える圧力を増加させて、第2注出口シール部18bを少なくとも部分的に剥離させる。これによって、図14に示すように、内容物が、第2注出口シール部18bの剥離部分を通って注出口18gからボトル40へ注出される。
ここで本実施の形態においては、注出口部18の先細部分に注出口18gが形成されているので、注出口部18をより長い距離にわたってボトル40の口部41に挿入することができる。このため、ボトル40に対する袋10の姿勢をより安定に維持することができる。
また、本実施の形態においては、注出口部18に第2注出口シール部18bが形成されているので、注出口部18を開封した後に袋10を所定の姿勢に調整するときに内容物が注出口部18から漏れ出てしまうことを抑制することができる。また、第2注出口シール部18bの接合強度が第1注出口シール部18aの接合強度よりも小さいので、袋10を所定の姿勢に調整した後、本体部16を押圧することによって、第2注出口シール部18bを剥離させることができる。これらのことにより、内容物の漏れ出しを防ぎながら、内容物を所定の対象に向けて注出することができる。
また、本実施の形態においては、第2注出口未シール部18dが第1注出口シール部18a及び第2注出口シール部18bによって囲われている。このため、袋10の輸送時の振動などに起因して、注出口部18を開封するよりも前に第2注出口シール部18bが剥離してしまった場合であっても、内容物が袋10から漏れ出てしまうことを抑制することができる。
また、本実施の形態において、袋10は、注出口部18を囲うように設けられたスカート部19を備える。このため、袋10の注出口部18をボトル40の口部41に挿入すると、ボトル40の口部41の端部42が、注出口部18とスカート部19との間の上述の隙間19aに位置するようになる。この結果、水平方向においてボトル40の口部41の端部42と重なる位置において、表面フィルム14と裏面フィルム15との間の間隔を、少なくともボトル40の口部41の外径以上に維持することができる。また、注出口部18を構成する第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27は、表面フィルム14及び裏面フィルム15に部分的に連結されている。例えば、第1注出口フィルム22は、その上端において、第1連結フィルム23を介して表面フィルム14の内面に連結されている。また、第2注出口フィルム27は、その上端において、第2連結フィルム28を介して裏面フィルム15の内面に連結されている。このため、表面フィルム14と裏面フィルム15との間の間隔が維持されると、表面フィルム14に連結されている第1注出口フィルム22の上端と、裏面フィルム15に連結されている第2注出口フィルム27の上端との間においても、第1注出口フィルム22と第2注出口フィルム27との間の間隔が維持されるようになる。このことにより、内容物を注出する際に注出口部18が閉塞されてしまうことを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、注出口部18とスカート部19との間の上述の隙間19aにボトル40の口部41が挿入されるので、スカート部19の内面(ここでは、スカート部19を構成する第1連結フィルム23の外面及び第2連結フィルム28の外面)が、少なくとも部分的に口部41に接触することができる。この点でも、ボトル40に対する袋10の姿勢をより安定に維持することが可能になる。
好ましくは、図14に示すように、袋10の注出口部18がボトル40の口部41に挿入された状態において、スカート部19の下端(表面フィルム14の下端14d、裏面フィルム15の下端15d、第1連結フィルム23の下端、第2連結フィルム28の下端など)がボトル40の肩部43に少なくとも部分的に接触することができるよう、注出口部18及びスカート部19が構成される。これによって、ボトル40に対する袋10の姿勢をより安定に維持することができる。
また、本実施の形態においては、袋10の下部12に注出口部18を設けているので、注出口部18及び開口部11bをそれぞれ、袋10の幅のほぼ全域にわたって広がるように設けることができる。注出口部18の幅を広く確保することにより、注出口部18において内容物の閉塞が生じることを抑制することができる。また、開口部11bを介して内容物を袋10に充填する作業に要する時間を短くすることができる。
また、本実施の形態においては、袋10の下部12に注出口部18を設けているので、内容物の充填のための開口部を袋10の上部11に設けながら、注出口部18を袋10の幅方向における中央領域に位置付けることができる。このため、ボトルの口部に注出口部18を挿入して内容物をボトルに詰め替える際、袋10の重心が注出口部18の上方に位置するように袋10の姿勢を調整し易い。このため、袋10からボトルへの内容物の詰め替えをより容易に実施することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1変形例)
上述の本実施の形態においては、下部フィルム20が、第1注出口フィルム22、第2注出口フィルム27、第1連結フィルム23及び第2連結フィルム28を含み、M字状に構成される例を示した。この場合、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27が注出口部18を構成し、第1連結フィルム23及び第2連結フィルム28がスカート部19の一部を構成する。しかしながら、これに限られることはなく、下部フィルム20は、注出口部18を構成するよう、少なくとも第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27を含んでいればよい。本変形例においては、下部フィルム20が、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27を含み、V字状に構成される例について説明する。
図15は、本変形例における袋10を構成する表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム20を示す分解図である。図16は、本変形例における袋10を示す正面図である。図17は、図16に示す袋10をXVII−XVII線に沿って見た場合を示す断面図である。図18は、図16に示す袋10をXVIII−XVIII線に沿って見た場合を示す断面図である。
図15に示すように、下部フィルム20は、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27を含む。上述の本実施の形態の場合と同様に、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27は、下方に向かうにつれて幅が小さくなる先細部分を含む。また、第1注出口フィルム22の内面と第2注出口フィルム27の内面とは、図16及び図17に示すように、注出口部18を画成するよう、第1注出口シール部18aによって部分的に接合されている。
図17に示すように、第1注出口フィルム22の外面22yは、その上端22cに沿って下部シール部12aを介して表面フィルム14の内面14xに接合されている。下部シール部12aは、例えば接着剤である。また、上述の図8及び図9に示すように、第1注出口フィルム22の外面22yがシーラント層31によって構成されている場合、下部シール部12aは、表面フィルム14の内面14xと第1注出口フィルム22の外面22yとを熱溶着することによって形成されるシール部であってもよい。
また、第1注出口フィルム22の場合と同様に、第2注出口フィルム27の外面27yも、その上端27cに沿って下部シール部12aを介して裏面フィルム15の内面15xに接合されている。
本変形例においては、下部フィルム20が第1連結フィルム23及び第2連結フィルム28を含まない。この場合、表面フィルム14のうち第1注出口フィルム22の上端22cよりも下方に位置する部分、及び裏面フィルム15のうち第2注出口フィルム27の上端27cよりも下方に位置する部分が、スカート部19を構成する。また、第1連結フィルム23及び第2連結フィルム28が存在しないので、図18に示すように、スカート部19の部分において、表面フィルム14の内面14xと裏面フィルム15の内面15xとを、袋10の側縁に沿って側部シール部13aを介して接合することができる。
本変形例においても、上述の実施の形態の場合と同様に、袋10の注出口部18をボトル40の口部41に挿入すると、ボトル40の口部41の端部42が、注出口部18とスカート部19との間の隙間19aに位置するようになる。この結果、水平方向においてボトル40の口部41の端部42と重なる位置において、表面フィルム14と裏面フィルム15との間の間隔を、少なくともボトル40の口部41の外径以上に維持することができる。また、注出口部18を構成する第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27は、表面フィルム14及び裏面フィルム15に部分的に連結されている。このため、表面フィルム14と裏面フィルム15との間の間隔が維持されると、表面フィルム14に連結されている第1注出口フィルム22の上端と、裏面フィルム15に連結されている第2注出口フィルム27の上端との間においても、第1注出口フィルム22と第2注出口フィルム27との間の間隔が維持されるようになる。このことにより、内容物を注出する際に注出口部18が閉塞されてしまうことを抑制することができる。
(第2変形例)
上述の本実施の形態においては、袋10が、下部フィルム20を含む下部12が下方に位置し上部11が上方に位置する状態で所定の載置面に自立可能である例を示した。本変形例においては、袋10の上部11が、上部11が下方に位置し下部12が上方に位置する状態で、袋10が所定の載置面に自立可能であるよう、構成されている例について説明する。
例えば、図19に示すように、上部11は、上部11にマチを設けたガセット式の構造を有する。具体的には、袋10の上部11では、内側に折り返し部が位置するように折り返された上部フィルム30が表面フィルム14と裏面フィルム15との間に挿入されている。上部フィルム30の内面は、上部シール部11aによって、表面フィルム14の内面14x及び裏面フィルム15の内面15xに接合されている。
図20は、図19に示す袋10を上下反転させた状態を示す図である。上部11がガセット式の構造を有することにより、図20に示すように、本変形例による袋10は、上部11が下方に位置する状態で自立することができる。このため、例えば、注出口部18を開封して注出口を設けた後、注出口部18が上方に位置する状態で袋10を自立させることができる。このように袋10を構成することにより、ボトルへの詰め替え用途以外の用途で袋10を利用しやすくなる。なお、本変形例において、上部11が所定の載置面に自立可能である限りにおいて、上部11の構成は限られない。
(第3変形例)
上述の本実施の形態においては、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27が、上端が第1辺となり下端が第1辺に対向する頂点となるよう配置された三角形の形状を有する例を示した。言い換えると、第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27の幅が、下方に向かうにつれて一定の比率で小さくなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、下方に向かうにつれて第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27の幅が小さくなる比率が、位置によって異なっていてもよい。
例えば、図21に示すように、第2注出口未シール部18dは、第1注出口未シール部18cに比べて下方へ突出する形状を有していてもよい。言い換えると、下方に向かうにつれて第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27の幅が小さくなる比率が、第1注出口未シール部18cよりも第2注出口未シール部18dにおいて小さくなっていてもよい。第2注出口未シール部18d及び第2注出口未シール部18dに接する第1注出口シール部18aは、ボトル40の口部41に挿入され得るように構成されている。注出口部18の形状をこのように二段構成にすることにより、注出口部18のうちボトル40の口部41に挿入され得る部分の長さを拡大することができる。
(第4変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、第2注出口シール部18bが直線状に延びる例を示した。本変形例においては、第2注出口シール部18bが少なくとも部分的に、第1注出口シール部18aから内側に向かって凸となる形状を有する例について説明する。図22は、本変形例における袋を示す斜視図である。図23は、図22に示す袋10の注出口部18を示す正面図である。
本変形例においては、図23に示すように、第2注出口未シール部18dの下端が、第1注出口フィルム22と第2注出口フィルム27とが接合されていない開口部18daになるよう、第1注出口シール部18aが構成されている。例えば、図23に示すように、第1注出口シール部18aは、第2注出口シール部18bとの接続部分に位置する端部を有する。また、第2注出口シール部18bは、第1注出口シール部18aの端部から内側に向かって凸となる形状を有する。これによって、本体部16側から注出口部18側へ袋10の側部13が延びる方向に沿って第2注出口シール部18bの剥離が進行する場合に、第2注出口シール部18bがより剥離し易くなる。
図24は、図23に示す注出口部から内容物を注出する様子を示す図である。ここでは、ボトルなどの容器のノズル45を袋10に突き刺してノズル45の内部へ内容物を注出する例について説明する。この場合、まず、ノズル45の先端を、第2注出口未シール部18dの開口部18daから第1注出口フィルム22と第2注出口フィルム27との間に挿入する。続いて、ノズル45の先端で注出口部18の第2注出口シール部18bを押圧して、第2注出口シール部18bを少なくとも部分的に剥離させる。これによって、図24に示すように、ノズル45が、第2注出口シール部18bの剥離部分を通って第1注出口未シール部18cに侵入し、内容物がノズル45の内部に流入する。
本変形例によれば、注出口部18に第2注出口シール部18bが形成されているので、容器のノズル45に対する袋10の姿勢を調整するときに内容物が注出口部18から漏れ出てしまうことを抑制することができる。また、第2注出口シール部18bの接合強度が第1注出口シール部18aの接合強度よりも小さいので、ノズル45に対する袋10の姿勢を調整した後、ノズル45で第2注出口シール部18bを押圧することによって、第2注出口シール部18bを剥離させることができる。これらのことにより、内容物の漏れ出しを防ぎながら、内容物を所定の対象に向けて注出することができる。
なお、図示はしないが、本変形例における、内側に向かって凸となる形状を有する第2注出口シール部18bは、上述の実施の形態や第1変形例〜第3変形例における袋10に適用されてもよい。また、図示はしないが、外側に向かって凸となる形状を有する第2注出口シール部18bが、上述の実施の形態や第1変形例〜第3変形例における袋10に適用されてもよい。
(第5変形例)
上述の第4変形例においては、第2注出口未シール部18dの下端が開口部18daになるよう、第1注出口シール部18aが構成される例を示した。しかしながら、図25に示すように、第2注出口未シール部18dが第1注出口シール部18a及び第2注出口シール部18bによって囲われるよう、第1注出口シール部18aを構成してもよい。これによって、袋10の輸送時の振動などに起因して第2注出口シール部18bが剥離してしまった場合であっても、内容物が袋10から漏れ出てしまうことを抑制することができる。この場合、図25に示すように、第1注出口シール部18aのうち第2注出口未シール部18dに接する部分に切り込み18eなどの開封予定部を設けてもよい。
(第6変形例)
上述の第4変形例においては、第2注出口シール部18bが、内側に向かって凸となるように湾曲した形状を有する例を示したが、これに限られることはない。図26Aに示すように、第2注出口シール部18bは、直線状のシール部を組み合わせることによって、内側に向かって凸となるよう構成されていてもよい。
また、図26Aに示す、内側に向かって凸となるよう組み合わされた複数の直線状のシール部を含む第2注出口シール部18bと、図21に示す上述の第3変形例における、第1注出口シール部18aとを組み合わせてもよい。例えば、図26Bに示すように、注出口部18は、注出口部18の幅が下方に向かうにつれて第1の比率で小さくなる第1部分18Aと、第1部分18Aよりも下方に位置し、注出口部18の幅が下方に向かうにつれて第2の比率で小さくなる第2部分18Bと、を有し、第2の比率は第1の比率よりも小さい。言い換えると、第1注出口シール部18aは、注出口部18がこのような第1部分18A及び第2部分18Bを有するよう、構成されている。第1注出口シール部18a及び第2注出口シール部18bによって囲われた第2注出口未シール部18dは、図26Bに示すように、第1注出口未シール部18cに比べて下方へ突出する形状を有している。
また、図26Cに示すように、第2注出口シール部18bは、内側に向かって凸となる部分を複数含んでいてもよい。言い換えると、第2注出口シール部18bは、ジグザグ状や波状の形状を有していてもよい。
図29は、図26Aに示す本変形例による袋10から、第1注出口シール部18aの接合強度を測定するための第1サンプル100A、及び第2注出口シール部18bの接合強度を測定するための第2サンプル100Bを採取する例を示す図である。第1サンプル100Aにおいて、第1注出口シール部18aは、第1サンプル100Aの幅方向に傾斜した方向へ延びている。第2サンプル100Bにおいて、第2注出口シール部18bは、第1端部101a側へ突出した形状を有している。
図31Aは、図30に示す第1サンプル100Aの第1注出口シール部18aの接合強度を測定した結果を示す図である。図31Aに示すように、第1注出口シール部18aを形成する際の温度を180℃、200℃、220℃に設定した場合についてそれぞれ、接合強度を測定した。また、各温度において、3つの第1サンプル100Aについて測定を実施し、平均値を算出した。結果、第1注出口シール部18aを形成する際の温度が高くなるほど、接合強度が大きくなる傾向が見られた。
図31Bは、図30に示す第2サンプル100Bの第2注出口シール部18bの接合強度を測定した結果を示す図である。図31Bに示すように、第2注出口シール部18bを形成する際の温度を100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃に設定した場合についてそれぞれ、接合強度を測定した。また、各温度において、3つの第2サンプル100Bについて測定を実施し、平均値を算出した。結果、第1注出口シール部18aの場合と同様に、第2注出口シール部18bを形成する際の温度が高くなるほど、接合強度が大きくなる傾向が見られた。
図31A及び図31Bに示すように、180℃以上で形成された第1注出口シール部18aの接合強度は、160℃以下で形成された第2注出口シール部18bの接合強度よりも大きくなっていた。また、180℃以上で形成された第1注出口シール部18aの接合強度は、150℃以下で形成された第2注出口シール部18bの接合強度の2倍以上になっていた。また、180℃以上で形成された第1注出口シール部18aの接合強度は、140℃以下で形成された第2注出口シール部18bの接合強度の5倍以上になっていた。
(第7変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、注出口部18を構成する第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27が、本体部16を構成する表面フィルム14及び裏面フィルム15と別個のフィルムである例を示した。しかしながら、注出口部18が上述の第1注出口シール部18a、第2注出口シール部18b、第1注出口未シール部18c及び第2注出口未シール部18dを有する限りにおいて、注出口部18を構成するフィルムが特に限られることはない。
本変形例においては、第1注出口フィルム22が表面フィルム14と一体であり、且つ第2注出口フィルム27が裏面フィルム15と一体である例について説明する。言い換えると、本変形例において、注出口部18の第1注出口フィルム22及び第2注出口フィルム27は、本体部16を構成する表面フィルム14及び裏面フィルム15と同一平面上に位置する、表面フィルム14及び裏面フィルム15の一部によって構成されている。例えば、図27に示すように、注出口部18は、表面フィルム14及び裏面フィルム15の下側の角部を用いて構成されている。この場合、注出口部18の第1注出口シール部18aは、下部シール部12a及び側部シール部13aと一連のシール部である。
本変形例においても、注出口部18は、図27に示すように、第1注出口シール部18aに接続された両端を有する第2注出口シール部18bを含む。第2注出口シール部18bは、第1注出口シール部18aに比べて小さな強度で表面フィルム14の内面14xと裏面フィルム15の内面15xとを接合している。
本変形例においても、注出口部18に第2注出口シール部18bを形成することにより、注出口部18を開封した後に袋10を所定の姿勢に調整するときに内容物が注出口部18から漏れ出てしまうことを抑制することができる。また、第2注出口シール部18bの接合強度が第1注出口シール部18aの接合強度よりも小さいので、袋10を所定の姿勢に調整した後、本体部16を押圧することによって、第2注出口シール部18bを剥離させることができる。これらのことにより、内容物の漏れ出しを防ぎながら、内容物を所定の対象に向けて注出することができる。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。