JP4220073B2 - 詰め替え用パウチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体など流動性を有する内容物を密封包装し、使用時に内容物を他の容器に移し替えて使用する詰め替え用パウチに関し、更に詳しくは、内容物をボトルなど口径の小さな容器にも最後まで安全且つ容易に移し替えられるよう、パウチ上部の一部に狭い幅の注出口部を設けると共に、その注出口部が容易に開口し、また、注出の途中で閉塞しないよう、注出口部の開口性およびその保形性を改善した詰め替え用パウチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液状などの流動性を有する内容物を密封包装する詰め替え用パウチとしては、自立性があり立体容器としての特徴も一部備えているスタンディングパウチが主に採用され、且つ、開封時に内容物を外にこぼすことなく他の容器に安全に移し替えられるよう、開口部をパウチ上部全体ではなく、コーナー部など一部分を切り取って形成するとか、或いは、パウチ上部の一部に幅を狭くした注出口部を設ける方法、更には、プラスチック成形物などによる別体の注出口をパウチ上部の一部に熱接着して取り付ける方法などが採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パウチの開口部をパウチ上部の全体ではなく、コーナー部など一部分を切り取って形成する方法は、簡便ではあるが、開口部に保形性がないため、注出の途中で開口部が閉塞しやすく、パウチを圧迫して無理に押し出すと、瞬間的に内容物が勢いよく飛び出して外にこぼすことがあり、移し替えの容易性、安全性の点で問題があった。
【0004】
また、プラスチックの成形物による別体の注出口をパウチ上部の一部に取り付ける方法は、製造工程が増え、注出口自体にも費用がかかり、コストアップと工程及び作業の煩雑さが増す問題があった。
【0005】
そして、パウチ上部の一部に幅を狭くした注出口部を設ける方法でも、内容物を他の容器に移し替える際の操作性、安全性は、ある程度改善されるが、内容物の注出に際して、注出口部の口が開きにくく、また、開口部の保形性も劣るため、注出の途中で開口部が閉塞しやすい問題があった。
このため、上記幅を狭くした注出口部のフィルムに、更にエンボス法などで膨らみ部を設ける方法が採られている。これにより、注出口部の開口性とその保形性は、かなり改善されるが、パウチのフィルム自体が、積層フィルムであっても柔軟性を有しており、パウチの取り扱いによっては、前記注出口部に設けた膨らみ部が、潰されることがあり、更に、膨らみ部の硬さ、乃至保形性を向上させる必要があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、成形物などによる別体の注出口を必要とせず、通常のパウチと同様な工程で生産性よく製造でき、内容物の充填も容易で、しかも使用時には、パウチ上部の一部を切り取ることにより、容易に注出口部の口が開き、その保形性も向上され、注出の途中で注出口部が閉塞するようなこともなく、口径の小さなボトルなどに対しても、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができるという安価で使用適性に優れた詰め替え用パウチを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、積層フィルムからなり、周囲の端縁部が袋状にヒートシールされ、流動性を有する内容物が密封包装されるパウチであって、該パウチが上部の一部に注出口部を備え、少なくとも該注出口部の積層フィルムが、該積層フィルムの最内面に、該積層フィルムのシーラント層と同じ材質のフィルムを、押し出しラミネーション法でシーラント層の樹脂を押し出しながら、注出口部が形成されるパウチ上部の位置に帯状に連続的に積層する方法、または該積層フィルムのシーラント層と同じ材質のフィルムを、該積層フィルムの最内面の注出口部が形成される部分に供給し、ヒートシールして積層する方法で、他の部分よりも厚く形成されると共に、少なくとも該注出口部の積層フィルムに、注出口の開口性をよくするための膨らみ部が設けられ、且つ、該注出口部の開封位置に切り取り線が設けられていることを特徴とする詰め替え用パウチからなる。
【0008】
上記切り取り線は、例えば、線、破線などを印刷して表示すればよく、パウチに絵柄などの印刷を行う際、同時に容易に設けることができる。また、実際に線ではなくても、その部分で切り取ることを消費者に察知させる記号や説明書きなどであってもよい。
そして、前記注出口部が形成される部分の積層フィルムを他の部分よりも厚く形成する方法は、特に限定はされず、下記のような種々の方法を採ることができる。
【0009】
例えば、積層フィルムの最内面に、押し出しラミネーション法でシーラント層の樹脂を押し出しながら、その上にシーラント層と同じ材質のフィルムを、注出口部が形成されるパウチ上部の位置に、帯状に連続的に積層して厚くすることができる。
また、積層フィルムの最内面に、シーラント層と同じ材質のフィルムを、注出口部が形成される部分に供給し、ヒートシールして積層し、厚くすることもできる。
更に別の方法として、積層フィルムの中間層などに、比較的成形性のよいポリエステルフィルムなどを、注出口部が形成されるパウチ上部の位置に、帯状に連続的に、ドライラミネーション法、または押し出しラミネーション法で積層して厚くすることもできる。
【0010】
また、前記膨らみ部は、熱エンボス法、その他の熱プレス成形法などにより、容易に設けることができる。
そして、このような膨らみ部は、パウチ両側の壁面の積層フィルムのうち、一方のみに設けてもよいが、両方に設けることにより、その効果を一層向上させることができる。
【0011】
このような構成を採ることにより、注出口部が、パウチ上部の全体ではなく、一部に設けられており、その切り取り線により開口部を、内容物の粘度や移し替えを行う容器の口部の寸法に合わせて、適するように狭い幅に形成することができ、且つ、少なくとも該注出口部の積層フィルムに、注出口の開口性をよくするための膨らみ部が設けられ、しかも、少なくともその部分の積層フィルムが、他の部分よりも厚く形成されているので、該膨らみ部の硬さが増し、保形性が向上される。
従って、内容物を他の容器に移し替える際、パウチ上部の一部を、切り取り線に従って切り取ることにより、容易に狭い幅の注出口部が開口し、しかも開口された注出口部は保形性に優れているので、注出の途中で注出口部が閉塞することもなく、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。
【0012】
また、パウチ壁面の積層フィルムの厚さを、全体に厚くするのではなく、少なくとも注出口部が設けられる部分に限定して厚くしているので、コストアップを少なくすることができる。
また、上記積層フィルムの厚さを厚くする部分を、注出口部を含むパウチ上部の領域とした場合には、その部分の積層フィルムの剛性が高くなるため、内容物充填の際、パウチ開口部(充填口)の形態が安定し、充填の作業性を向上させることができ、また、充填後のパウチ上部の形態を安定化させることができる。
【0013】
請求項2に記載した発明は、前記注出口部が、パウチ上部の一部に、外周のヒートシール部により狭い幅に形成され、且つ、該注出口部の両側に切り欠き部が設けられ、突出する形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の詰め替え用パウチからなる。
【0014】
このような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用、効果に加えて、パウチ上部の一部に設けられた狭い幅の注出口部が、両側の切り欠き部により、外側に突出する形状となっているため、内容物を他の容器に移し替える際、注出口部を容器の口部に差し込むようにして注出することができるので、その固定性もよく、一層安全に内容物を移し替えることができる。
【0015】
請求項3に記載した発明は、前記注出口部に易開封性手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え用パウチである。
【0016】
上記易開封性手段は、通常のパウチでも多用されるノッチのほか、レーザー光照射などによるハーフカット線、或いは、カットテープの貼着、パウチの積層フィルム中に一軸延伸フィルムを積層する方法(この場合、一軸延伸フィルムは、その延伸方向が注出口部の開封方向と一致するように用いる)などがあり、これらは単独で用いてもよく、また、例えば、ノッチとハーフカット線、またはノッチとカットテープの貼着、またはノッチと一軸延伸フィルムの積層などのように適宜組み合わせて用いることもできる。
【0017】
ハーフカット線を設ける場合、直線状のハーフカット線に限らず、ミシン目状など断続的なハーフカット線で設けることもできる。
また、このようなハーフカット線は、1本でもよいが、引き裂き方向がずれた場合を想定して、中心のハーフカット線の両側に各1本、または各2本など複数のハーフカット線を平行、或いは中心のハーフカット線に収斂するように設けることもできる。
尚、前記ノッチは、通常、一字形やV字形のノッチが利用されているが、形状は特に限定されず、切り取り方向に尖った部分を有する形状であれば何でも使用することができる。
【0018】
このような構成を採ることにより、前記請求項1または2に記載した発明の作用、効果に加えて、注出口部を開封する際、鋏などの道具を必要とせず、手だけで、所望の位置で容易に切り取って開封することができる。
【0019】
請求項4に記載した発明は、前記パウチがスタンディングパウチ形式のパウチであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の詰め替え用パウチからなる。
【0020】
このような構成を採ることにより、前記請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の作用、効果に加えて、パウチに自立性が備わり、特に、内容物が充填された後のパウチの取り扱いが容易になるほか、外観も優れたものとなり、また、内容物の移し替えの際、途中で止めて立てて置くこともできるので、移し替えの操作を一層容易に行えるようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の詰め替え用パウチに用いる積層フィルム、およびパウチの製造方法など発明の実施の形態について説明する。
本発明の詰め替え用パウチに用いる積層フィルムは、主にプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられるが、特に限定はされず、例えば、各種液体用パウチに用いられている公知の積層フィルムは、いずれも使用することができ、これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の取り扱いなど使用条件に応じて、適するものを自由に選択して使用することができる。
【0022】
好ましく使用できる積層フィルムの構成の代表的な例として、以下のような構成が挙げられる。
(1) ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(2) ONフィルム/接着剤/一軸延伸または二軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(3) ONフィルム/接着剤/一軸延伸または二軸延伸PPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(4) ONフィルム/接着剤/一軸延伸または二軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(5) ONフィルム(シリカまたはアルミナ蒸着層)/接着剤/一軸延伸または二軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(6) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/L・LDPE層)(シーラント層はL・LDPE層)
(7) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/LDPE層)/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(8) PETフィルム/接着剤/(アルミニウム蒸着層)ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(9) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(10)PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(11)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(12)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(13)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく様々な組み合わせの積層フィルムを使用することができる。
尚、上記の各積層フィルムの構成では、少なくとも注出口部が形成される部分、即ち、注出口部で膨らみ部が形成される部分の積層フィルムを、他の部分よりも厚く形成する構成を省略して記載したが、部分的に厚さを増す方法自体は前述した通りであり、シーラント層のフィルムで厚さを増す場合は、例えば、上記の各積層フィルムのシーラント層の上に、更に、押し出しラミネーション法でシーラント層の樹脂を膜状に押し出しながら、その上にシーラント層のフィルムを帯状など部分的に重ねて圧着し、冷却することにより、目的とする積層フィルムを連続的に製造することができる。
【0023】
上記において、ONフィルムは二軸延伸ナイロンフィルム、L・LDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、HDPEは高密度ポリエチレン、LDPEは低密度ポリエチレン、PPフィルムはポリプロピレンフィルム、PETフィルムは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、CPPフィルムは無延伸ポリプロピレンフィルムを指すものである。
また、アンカーコートは、押し出しコーティングで樹脂を積層する際、接着性を向上させるために基材フィルム側に予めコーティングするものでプライマーコートの一種である。
【0024】
前記の積層フィルムの構成において、最外層のONフィルム、PETフィルムは、基材フィルムとしてパウチに機械的強度や印刷適性を付与し、中間層の一軸延伸HDPEフィルム、一軸延伸PPフィルムは、その延伸方向をパウチの注出口部を開封する際の引き裂き方向と一致するように用いることにより、易開封性手段の一つとして、引き裂きの方向性を安定化させることができる。また、切り取り線が斜め方向などの場合は、強度および透湿度向上層として二軸延伸HDPEフィルムまたは二軸延伸PPフィルムを用いることが好ましい。中間層に用いるONフィルムは、強度を向上させるためのものである。
【0025】
そして、シリカまたはアルミナ蒸着層、アルミニウム蒸着層、アルミニウム箔、EVOHフィルムなどは、ガスバリヤー性を付与するために積層するものである。
また、シーラント層としては、L・LDPEフィルムとCPPフィルムの2種類の例を挙げたが、L・LDPEフィルムは、ヒートシールの安定性や耐内容物性、例えば界面活性剤に対する耐ストレスクラッキング性などに優れ、CPPフィルムは、耐熱性、低臭性に優れており、これらの性能を必要とする内容物の包装用に適している。
【0026】
シーラント層には上記のほか、充填される内容物に応じて、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂なども適宜選択して使用することができる。
【0027】
特に、エチレン・αオレフィン共重合体でメタロセン系触媒などシングルサイト触媒を用いて重合したものは、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、低温ヒートシール性や、熱間シール性に優れており、スタンディングパウチのようなヒートシール部にフィルムの重なりの差による段差のあるパウチのシーラント層には、シール抜けによるピンホールの発生を防止できる点で適している。
更に、前記共重合体にオレフィン系エラストマーをブレンドしたものを用いることにより、シーラント層の熱流動性が改善され、前記段差によるピンホールの発生も一層効果的に防止することができる。
【0028】
次に、以上のような積層フィルムを用いて製造する本発明の詰め替え用パウチの製造方法について説明する。
本発明の詰め替え用パウチは、その本体部分の形状は特に限定されず、例えば、三方シール形式、四方シール形式のパウチや、スタンディングパウチのほか、ガセットパウチなども使用することができ、採用するパウチ形式に応じて、それぞれに対応する製袋機を利用して、これに注出口部やその側部の切り欠き部、ノッチ、ハーフカット線などの易開封性手段、そして、パウチ壁面の積層フィルムに設ける膨らみ部など追加構成部分を加工するための加工装置、即ち、トリミング装置、打ち抜き装置、ヒートシール装置、レーザー光照射装置のほか、エンボス装置、或いは熱プレス成形装置などをインラインに組み込むか、或いは、オフラインとして別に用意することにより、容易にパウチを製造することができる。
【0029】
また、前記壁面の積層フィルムに設けられる膨らみ部の形状は、特に限定はされず、その平面形状や高さ方向の断面形状など任意の形状に設けることができる。
即ち、注出口部における膨らみ部については、注出口部の開口を容易にし、且つその保形性をよくする形状であればよく、その主旨に合うかぎり任意の形状に設けることができる。
例えば、平面形状については、注出口部の形状に添う形状、或いは、注出口部の中心線に対して対称な形状、非対称な形状など任意に設けることができる。また、高さ方向の断面形状についても、台形、大小の台形を2段に重ねた形状、半円形、半楕円形、三角形など任意の形状に設けることができる。
【0030】
このような膨らみ部は、注出口部のみに設けてもよいが、更に延長して、例えば注出口部からパウチの中心部、またはパウチの下部に至るように長く設けることもできる。只、長く設ける場合、注出口部以外の下部は、開口性にはあまり関係がなく、むしろ折り曲げ効果により、パウチを外側に広げ、内容物の注出口部への流動を容易にする効果が得られる。
【0031】
【実施例】
以下に、図面を用いて本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。
図1〜図7は、それぞれ本発明の詰め替え用パウチの一実施例の構成を示す平面図である。
そして、図8は、図1に示した詰め替え用パウチのA−A線断面図であり、パウチの注出口部の積層フィルムに設けられた膨らみ部の断面形状の一例を示す図である。但し、膨らみ部を両側の積層フィルムの重なる位置に対称形に設けた場合の図である。
また、図9は、図6に示した詰め替え用パウチのA−A線断面図であり、パウチの積層フィルムに設けられた膨らみ部の注出口部のやや下寄りの位置における断面形状の一例を示す図である。この場合も、膨らみ部を両側の積層フィルムの重なる位置に対称形に設けた場合の図である。
【0032】
図1は、本発明の詰め替え用パウチの第1の実施例の構成を示す平面図である。また、図8は、図1に示した詰め替え用パウチ100のA−A線断面図であり、パウチの注出口部の積層フィルムに設けられた膨らみ部の断面形状の一例を示す図である。但し、膨らみ部を両側の積層フィルムの重なる位置に対称形に設けた場合の図である。
【0033】
図1に示した詰め替え用パウチ100は、その本体部分がスタンディングパウチ形式に製袋されている。即ち、底部が、両側の壁面の積層フィルム1の間に、底面フィルムを内側に折り込んでなるガセット形式に形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍に、この場合半円形の底面フィルム切り欠き部5、5が設けられると共に、該ガセット部が、船底形の底部シール部2でヒートシールして形成され、また、胴部が、両側の壁面の積層フィルム1の両側端縁部を側部シール部3、3でヒートシールして形成されている。
【0034】
また、上記両側の壁面の積層フィルム1のうち、上部の積層フィルムの厚さを厚くした部分6で示される部分には、例えば、シーラント層と同じ材質のフィルムが最内層に追加して積層され、他の部分、即ち、その下側の部分よりも厚く形成されている。
この場合、上記積層フィルムの厚さを厚くした部分6の領域は、更に、その上部の上部シール部4の部分を除いた形状に小さくすることができ、それにより、上部シール部4をヒートシールする際のシール条件を緩和することができる。
そして、パウチ100の上部の一方のコーナー部には、注出口部10を形成するための切り取り線7が印刷により設けられ、その両側の端部にノッチ8、8が設けられると共に、注出口の開口性をよくするための膨らみ部Sが、前記切り取り線7とその一部が交差するように注出口部に設けられて構成されている。
【0035】
上記膨らみ部Sは、その高さ方向の断面が、図8のA−A線断面図に示されるように、その上面および両側の側面の断面が直線状で、台形をなす形状に形成されている。このような形状を採ることにより、膨らみ部Sの圧縮に対する抵抗力を強くすることができ、また、膨らみ部Sが設けられた部分、即ち、注出口部が形成されるパウチ上部の積層フィルムが、他の部分よりも厚く形成されているので、この部分に形成された膨らみ部Sは、剛性が高くなり、圧縮に対する抵抗力、即ち、保形性を更に優れたものにすることができる。
このような膨らみ部Sは、片側の積層フィルムのみに設けることもできる。
【0036】
また、切り取り線7は、印刷による表示のみでもよいが、ノッチ8、8と組み合わせて、この部分にレーザー光照射などによるハーフカット線などの易開封性手段を設けることができる。
尚、パウチ100の上部を封止する上部シール部4は、内容物の充填前は未シールの開口部とし、この部分から内容物を充填した後、脱気シールなどによりヒートシールして密封するものである。この点は、以下の図2〜図7に示す詰め替え用パウチにおいても同様である。
【0037】
このような構成を採ることにより、詰め替え用パウチ100は、製袋、および内容物の充填が容易であり、また、内容物を充填したパウチ100は、自立性を備えており、取り扱いが容易であるほか、外観にも優れている。
また、充填された内容物をボトルなど他の容器に移し替える際には、ノッチ8を利用して切り取り線7に沿って、パウチ上部のコーナー部を引き裂くことにより、自動的に注出口部10が膨らみ部Sにより開口される。
そして、開口された注出口部10は、その保形性に優れているため、注出の途中で注出口が閉塞することもなく、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。
【0038】
図2は、本発明の詰め替え用パウチの第2の実施例の構成を示す平面図である。
図2に示した詰め替え用パウチ200は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100の構成において、パウチ壁面の積層フィルム1の構成のみを、積層フィルムの厚さを厚くした部分6が、パウチ上部の全体ではなく、注出口部、即ち、膨らみ部Sが設けられるパウチ上部のコーナー部のみに形成された構成に変更したほかは、総て図1に示した詰め替え用パウチ100と同様に加工して構成したものである。
【0039】
この場合も、上記積層フィルムの厚さを厚くした部分6の領域は、更に、その上部と左側部に含まれる上部シール部4と側部シール部3の部分を取り除いて小さくすることができ、それにより、側部シール部3と上部シール部4のヒートシールの際、シール部における積層フィルムの厚み差を無くすことができるので、シール条件の緩和とヒートシールの安定化が可能となる。
このような構成の積層フィルム1は、例えば、通常の積層フィルムの最内層のシーラント層の上に、更にそのシーラント層と同じ材質のフィルムを、所定の寸法にカットしながら所定の位置に熱接着させることにより容易に製造することができる。
【0040】
このような構成を採った場合も、積層フィルム1の製造方法が変わるだけで、詰め替え用パウチ200としては、前記図1に示した詰め替え用パウチ100で説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
【0041】
図3は、本発明の詰め替え用パウチの第3の実施例の構成を示す平面図である。
図3に示した詰め替え用パウチ300は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100の構成において、注出口部10の形状を、その外周のヒートシール部により、狭い幅で斜め上方に向く形状とすると共に、その両側に切り欠き部9a 、9b を設けて、斜め上方に突出する形状に変更し、また、該注出口部10の先端部近傍に切り取り線7を設け、その両端にノッチ8、8を設け、更に、注出口部の積層フィルムに設けた膨らみ部Sの形状を、図示したように注出口部からパウチ中心部を通り、パウチの下部近傍に至る形状に変更して構成したものである。
【0042】
このような構成を採ることにより、注出口部10が、狭い幅で斜め上方に突出する形状であるため、充填された内容物をボトルなど他の容器に移し替える際、注出口部10を容器の口部に差し込むようにして注出することができ、また、切り欠き部9a 、9b により、注出口部10の容器の口部に対する固定性もよくなるので、一層安全に注出することができ、また、膨らみ部Sが、注出口部だけでなく、注出口部からパウチ中心部を通り、パウチの下部近傍に至るまで延長して設けられているので、単に注出口部の開口性と保形性だけでなく、注出口部の下に続く膨らみ部Sが外折れしてパウチが広がるため、内容物充填後のパウチの形態安定性、および内容物注出時の内容物の注出口部への流動性を向上させることができる。
そして、上記変更点以外の構成は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100と同じであるため、詰め替え用パウチ100で説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
【0043】
図4は、本発明の詰め替え用パウチの第4の実施例の構成を示す平面図である。
図4に示した詰め替え用パウチ400は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100の構成において、注出口部10の形状を、その外周のヒートシール部により、狭い幅で斜め上方に向く形状とし、その両側に切り欠き部9a 、9b を設けて、斜め上方に突出する形状に変更すると共に、該注出口部10の外周のヒートシール部のうち、注出口部10の先端右上部のヒートシール部の幅を広げて摘み部11を設け、また、その内側に切り取り線7と、その上側端部にノッチ8を設けた形状に変更して構成したものである。
【0044】
このような構成を採ることにより、注出口部10が、狭い幅で斜め上方に突出する形状に形成されており、また、注出口部10の先端右上部のヒートシール部に摘み部11が設けられているので、先ず、注出口部10を開封する際、注出口部の先端部を摘みやすくなり、ノッチ8を利用して切り取り線7に沿って容易に切り取ることができるようになる。そして、充填された内容物をボトルなど他の容器に移し替える際には、注出口部10を容器の口部に差し込むようにして注出することができ、また、切り欠き部9a 、9b により、注出口部10の容器の口部に対する固定性もよくなるので、一層安全に注出することができる。
そして、上記変更点以外の構成は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100と同じであるため、詰め替え用パウチ100で説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
【0045】
図5は、本発明の詰め替え用パウチの第5の実施例の構成を示す平面図である。
図5に示した詰め替え用パウチ500は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100の構成において、注出口部10の形状を、その外周のヒートシール部により、狭い幅で横方向に向く形状に変え、その両側に切り欠き部9a 、9b を設けて、横方向に突出する形状に変更すると共に、該注出口部10の外周のヒートシール部のうち、注出口部10の先端上部のヒートシール部の幅を広げて摘み部11を設け、また、その内側に切り取り線7を略垂直方向に設け、その上側端部にノッチ8を設けた形状に変更し、これに伴って、注出口部に設けた膨らみ部Sも横向きに角度を変えて形成して構成したものである。
【0046】
このような構成を採ることにより、注出口部10が、狭い幅で横方向に突出する形状に形成され、これに対応して、注出口部の膨らみ部Sも横向きに形成され、また、注出口部10の先端上部のヒートシール部に摘み部11が設けられているので、先ず、注出口部10を開封する際、注出口部の先端部を摘みやすくなり、ノッチ8を利用して切り取り線7に沿って容易に切り取ることができるようになる。そして、充填された内容物をボトルなど他の容器に移し替える際には、パウチ500をその注出口部10を容器の口部に向けて傾けることにより、内容物の流れが一旦パウチの上辺に当たった後、注出口部の開口部の方向に向きを変えて流出が開始される。
従って、内容物が注出される際、圧力損失を生じ、流出の勢いが弱められと同時に、流出の方向が略垂直方向に制御され、注出の速度と方向性を安定化させることができる。その上、注出口部10を容器の口部に差し込むようにして注出することができ、また、切り欠き部9a 、9b により、注出口部10の容器の口部への固定性もよくなるので、一層安全に注出することができる。
また、上記変更点以外の構成は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100と同じであるため、詰め替え用パウチ100で説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
【0047】
図6は、本発明の詰め替え用パウチの第6の実施例の構成を示す平面図である。また、図9は、図6に示した詰め替え用パウチ600のA−A線断面図であり、パウチの積層フィルムに設けられた膨らみ部の断面形状の一例を示す図である。但し、膨らみ部を両側の積層フィルムの重なる位置に対称形に設けた場合の図である。
図6に示した詰め替え用パウチ600は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100の構成において、注出口部10の形状を、その外周のヒートシール部により、狭い幅で横方向に向く形状に変え、その両側に切り欠き部9a 、9b を設けて、横方向に突出する形状に変更すると共に、該注出口部10の先端のヒートシール部の内側に、切り取り線7を略垂直方向に設け、その上側端部にノッチ8を設けた形状に変更し、更に、注出口部に設けた膨らみ部Sを、図示したように、注出口部近辺では、注出口部に対応する横向きの形状で幅と高さが大きく、そこからパウチ中央部に向けて同角度で幅と高さを小さくしてつながり、更にパウチ中央部から斜め下方に角度を変えてパウチ中段部に至る形状に変更して構成したものである。
また、上記膨らみ部Sの高さ方向の断面形状は、図9のA−A線断面図に示したように、台形を2段に積み重ねたような形状に形成されている。
【0048】
このような構成を採ることにより、先ず、注出口部10を狭い幅で横方向に突出する形状に設けた点については、前記図5に示した詰め替え用パウチ500の注出口部と、摘み部を設けていない点以外は同様であり、図5で説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
そして、膨らみ部Sを、上記のように注出口部10からパウチ中央部を経由して、斜め下方にパウチの中段部に至る形状とし、且つ、その断面形状を台形を2段に積み重ねたような形状に設けることにより、膨らみ部Sが、段部の折れ曲がり線により、リブ効果に優れたものとなり、また、圧縮に対する抵抗力が増し、一旦潰されても復元しやすく、保形性に優れたものとなる。
従って、注出口部の膨らみ部Sは、注出口の開口性とその保形性を一層向上させ、注出口部に続く下部の膨らみ部Sは、そのリブ効果と折り曲げ効果により、内容物充填後のパウチの形態安定性を向上させ、また、内容物注出の際、内容物を注出口部へ容易に流動させる効果を奏する。
また、上記変更点以外の構成は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100と同じであるため、詰め替え用パウチ100で説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
【0049】
図7は、本発明の詰め替え用パウチの第7の実施例の構成を示す平面図である。
図7に示した詰め替え用パウチ700は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100の構成において、パウチ本体の形式のみを、スタンディングパウチ形式から四方シール形式のパウチに変更して構成したものであり、その他の構成は、総て図1に示した詰め替え用パウチ100と同様に構成したものである。
【0050】
パウチ本体の形式を四方シール形式とすることにより、パウチに自立性が無くなり、内容物充填後のパウチの取り扱いやすさや外観などの点ではやや劣るようになるが、製袋が容易で生産性がよく、安価に製造できる利点が得られる。
そして、その他の構成は、図1に示した詰め替え用パウチ100と同じであるため、図1に示した詰め替え用パウチ100で説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
【0051】
以下、図2〜図6に示した詰め替え用パウチについても同様に、パウチ本体の形式のみを四方シール形式に変更して構成することができる。そして、それらの場合も、パウチ形式をスタンディングパウチ形式から四方シール形式に変更したことによる上記のような得失は生じるものの、その他の点では、それぞれ図2〜図6に示した詰め替え用パウチと同じ構成であり、それぞれで説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、成形物などによる別体の注出口を必要とせず、通常のパウチと略同様な工程で生産性よく製造でき、内容物の充填も容易で、且つ、パウチ本体の形態をスタンディングパウチ形式とした場合は、パウチに自立性が加わり、取り扱い易く、形態安定性、外観にも優れ、更に、使用時には、パウチ上部の一部に設けられた注出口部の先端部を容易に切り取って開封することができ、それにより自動的に保形性に優れた注出口が開口され、注出の途中で注出口が閉塞することもなく、口径の小さなボトルなどの容器に対しても、内容物を外にこぼすことなく安全且つ容易に最後まで移し替えることができるという、安価で使用適性に優れた詰め替え用パウチを生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の詰め替え用パウチの第1の実施例の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の詰め替え用パウチの第2の実施例の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の詰め替え用パウチの第3の実施例の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の詰め替え用パウチの第4の実施例の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の詰め替え用パウチの第5の実施例の構成を示す平面図である。
【図6】本発明の詰め替え用パウチの第6の実施例の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の詰め替え用パウチの第7の実施例の構成を示す平面図である。
【図8】図1に示した詰め替え用パウチのA−A線断面図であり、パウチの積層フィルムに設けられた膨らみ部の断面形状の一例を示す図である。但し、膨らみ部を両側の積層フィルムの重なる位置に対称形に設けた場合の図である。
【図9】図6に示した詰め替え用パウチのA−A線断面図であり、パウチの積層フィルムに設けられた膨らみ部の断面形状の一例を示す図である。但し、膨らみ部を両側の積層フィルムの重なる位置に対称形に設けた場合の図である。
【符号の説明】
1 積層フィルム
2 底部シール部
3 側部シール部
4 上部シール部
5 底面フィルム切り欠き部
6 積層フィルムの厚さを厚くした部分
7 切り取り線
8 ノッチ
9a 、9b 切り欠き部
10 注出口部
11 摘み部
S 膨らみ部
100、200、300、400、500、600、700 詰め替え用パウチ
Claims (4)
- 積層フィルムからなり、周囲の端縁部が袋状にヒートシールされ、流動性を有する内容物が密封包装されるパウチであって、該パウチが上部の一部に注出口部を備え、少なくとも該注出口部の積層フィルムが、該積層フィルムの最内面に、該積層フィルムのシーラント層と同じ材質のフィルムを、押し出しラミネーション法でシーラント層の樹脂を押し出しながら、注出口部が形成されるパウチ上部の位置に帯状に連続的に積層する方法、または該積層フィルムのシーラント層と同じ材質のフィルムを、該積層フィルムの最内面の注出口部が形成される部分に供給し、ヒートシールして積層する方法で、他の部分よりも厚く形成されると共に、少なくとも該注出口部の積層フィルムに、注出口の開口性をよくするための膨らみ部が設けられ、且つ、該注出口部の開封位置に切り取り線が設けられていることを特徴とする詰め替え用パウチ。
- 前記注出口部が、パウチ上部の一部に、外周のヒートシール部により狭い幅に形成され、且つ、該注出口部の両側に切り欠き部が設けられ、突出する形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の詰め替え用パウチ。
- 前記注出口部に易開封性手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え用パウチ。
- 前記パウチがスタンディングパウチ形式のパウチであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の詰め替え用パウチ。
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