JP2017226830A - 樹脂組成物、フィルム、及び繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、フィルム破れや糸切れ、フィルムや繊維の外観不良の原因となる目やにの付着を抑制することができる樹脂組成物、及び異物の少ないフィルム、繊維に関するものである。【解決手段】 熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂、アクリル系成分、及び充填剤を含み、アクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が10質量部以上200質量部以下であることを特徴とする、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム破れや糸切れ、フィルムや繊維の外観不良の原因となる目やにの付着を抑制することができる樹脂組成物、及び異物の少ないフィルム、繊維に関するものである。
近年、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備えた上で、さらに別の機能を有する単体のフィルムが要求されている。例えば、医療、衣料、及び衛生材の分野では、フィルムとして用いるために必要な機械特性に加え、布のような柔らかさや触感が望まれている。
このような分野では、柔らかさの観点で熱可塑性ウレタン系樹脂や透湿性を有する熱可塑性エラストマーを用いたフィルムが検討されてきたが、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのような透湿性を有する熱可塑性エラストマーよりなるフィルムは粘着性を有するため、単体ではハンドリング性が悪く、良好な触感が得られない。これに対して例えば特許文献1や2では充填剤による表面への滑り性付与等の工夫がなされている。
特開平8−59981号公報 特開2000−17166号公報
しかしながら、これらの特許文献に記載の技術のように、多量の充填剤と、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのような透湿性を有する熱可塑性エラストマーを混合すると、樹脂組成物中に分散して存在する充填剤の近傍において局所的な伸度低下が起こる。そのため、フィルムの溶融製膜時の口金リップ部分に、熱可塑性ウレタン系樹脂あるいは熱可塑性エラストマーと充填剤を含む成分が目やにとなって堆積し、目やにの堆積量が臨界点を超えると異物としてフィルムに付着混入するという現象が起こりやすくなる。同様の現象は溶融紡糸においても見られ、口金ノズル部分に目やにとなって堆積した熱可塑性ウレタン樹脂と充填剤が異物として繊維に付着混入しやすくなる。これらの結果、目やにを起点としたフィルム破れや糸切れ、さらには得られるフィルムや繊維の異物による外観不良を引き起こすという問題があった。
本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、フィルム破れや糸切れ、フィルムや繊維の外観不良の原因となる目やにの付着を抑制することができるフィルムや繊維を得るための樹脂組成物、及び異物の少ないフィルム、繊維を提供することを、その課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) 熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂、アクリル系成分、及び充填剤を含み、アクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が10質量部以上200質量部以下であることを特徴とする、樹脂組成物。
(2) 熱可塑性ウレタン樹脂を含み、かつポリエステル系エラストマー及び/またはポリアミド系エラストマーを含むことを特徴とする、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) (1)または(2)に記載の樹脂組成物からなる層(A層)を、少なくとも一方の最表面に有することを特徴とする、フィルム。
(4) 前記A層の摩擦係数が0.05以上0.80以下であることを特徴とする、(3)に記載のフィルム。
(5) せん断かたさが、0.1〜6.0gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、(3)または(4)に記載のフィルム。
(6) 伸度保持率が、75%以上であることを特徴とする、(3)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7) 以下の特徴1及び2を備える層(B層)を有することを特徴とする、(3)〜(6)のいずれかに記載のフィルム。
特徴1:熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂を含む。
特徴2:前記A層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、A層における充填剤の含有量をXa質量部、B層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、B層における充填剤の含有量をXb質量部としたときに、Xa>Xbである。
(8) 前記A層と前記B層が接することを特徴とする、(7)に記載のフィルム。
(9) 前記A層/前記B層/前記A層の2種3層構成であることを特徴とする、(7)または(8)に記載のフィルム。
(10)空孔率が10%以上50%以下であることを特徴とする、(3)〜(9)のいずれかに記載のフィルム。
(11) 透湿度が1,000g/(m・day)以上であることを特徴とする、(3)〜(10)のいずれかに記載のフィルム。
(12) (1)または(2)に記載の樹脂組成物からなる繊維。
本発明は、フィルム破れや糸切れ、フィルムや繊維の外観不良の原因となる目やにの付着を抑制することができる樹脂組成物、及び異物の少ないフィルム、繊維に関するものである。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂、アクリル系成分、及び充填剤を含み、アクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が10質量部以上200質量部以下であることを特徴とする。
以下に、本発明を実施するための望ましい形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(熱可塑性樹脂)
本発明の樹脂組成物は、フィルムや繊維とした際に柔らかさを付与する観点から、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂を含むことが重要である。熱可塑性ウレタン樹脂とは、短鎖グリコールとジイソシアネートによりなるハードセグメント相と、長鎖ポリオールとジイソシアネートよりなるソフトセグメント相とを有するブロックポリマーを指す。熱可塑性ウレタン樹脂は、ソフトセグメントの種類によりポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカプロラクトン系、及びポリカーボネート系等に分類される。
また、エラストマーとは、25℃でゴム弾性を有する高分子量体をいう。ポリエステル系エラストマーとは、ポリエステル構造を主体とするハードセグメント相と柔軟な成分よりなるソフトセグメント相を有するブロックポリマーであって、25℃でゴム弾性を有するものを指す。また、ポリアミド系エラストマーとは、ポリアミド構造を主体とするハードセグメント相と柔軟な成分よりなるソフトセグメント相を有するブロックポリマーであって、25℃でゴム弾性を有するものを指す。
本発明の樹脂組成物においては、本発明の効果を損なわない限りいずれの熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを用いてもよいが、樹脂組成物より衣料、医療、及び衛生材等の分野で使用するフィルムを得る場合、フィルムには柔らかさとともに透湿性を要求されることが多い。そのため、このような場合においては、フィルムに透湿性を付与する観点から、熱可塑性ウレタン樹脂の場合であれば、ポリエーテル系の熱可塑性ウレタン樹脂を用いることが好ましく、ポリエステル系エラストマーやポリアミド系エラストマーの場合であれば、ソフトセグメント相がポリエーテル系であるエラストマーを用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いることができるポリエステル系エラストマーの具体例としては、例えば、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等が挙げられるが、透湿性の付与、及び熱可塑性ウレタン樹脂と併せて用いる場合における両者の相溶性の観点から、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いることができるポリアミド系エラストマーとしては、例えば、透湿性の付与、及び熱可塑性ウレタン樹脂と併せて用いる場合における両者の相溶性の観点から、6−ナイロンと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体、12−ナイロンと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等を好ましく用いることができる。
フィルムとしたときに高い透湿性を発現する熱可塑性ウレタン樹脂として、例えば、BASFジャパン社製“エラストラン”(登録商標)のOP85A10グレードやET885FGグレード等が挙げられる。フィルムに加工した際に高い透湿性を発現することができるポリエステル系エラストマーとしては、例えば、東レ・デュポン社製の“ハイトレル”(登録商標)のG3548、G3548LN、及び8206グレード等が挙げられる。フィルムに加工した際に高い透湿性を発現することができるポリアミド系エラストマーとしては、例えば、アルケマ社製の“PEBAX”(登録商標)のMV1074、MV1041、及びMV3000グレード等が挙げられる。
樹脂組成物中の熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、フィルムとしたときの柔らかさおよび透湿性のさらなる改良の観点から、後述するアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量%としたときに、30質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。なお、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち2種類以上を含む場合や、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち1種類のみを含むが、成分が複数である場合(例えば、ポリエステル系エラストマーのみを含むがポリエステル系エラストマーが2成分以上である場合等)においては、該当する全ての成分を合算して含有量を算出するものとする。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわなければ、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂を含む限り、樹脂の種類が1種類でも複数種類でもよく、また、その他にどのような樹脂を含んでもよい。但し、熱可塑性ウレタン樹脂を含む場合、溶融加工時における樹脂組成物の安定性向上、フィルムや繊維としたときの柔らかさの維持、熱可塑性ウレタン樹脂との相溶性、衣料、医療、及び衛生材等の透湿性を要求される用途への適用性、及び後述するフィルムとしたときのエンボス加工性向上の観点から、熱可塑性ウレタン樹脂を含み、かつポリエステル系エラストマー及び/またはポリアミド系エラストマーを含むことが好ましい。
本発明の樹脂組成物中において熱可塑性ウレタン樹脂とともにポリエステル系エラストマー、及び/またはポリアミド系エラストマーを用いる場合の、ポリエステル系エラストマーやポリアミド系エラストマーの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、フィルムに加工する際の製膜安定性や、エンボス加工性のさらなる改良の観点から、後述するアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量%としたときに、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましい。
ポリエステル系エラストマーやポリアミド系エラストマーは、本発明の効果を損なわない限り、1種類のみを用いても、複数種類を混合して用いてもよい。複数種類を混合して用いる場合、その含有量は個々の成分ごとではなく全ての成分を合算して算出するものとする。なお、ここで複数種類を混合するとは、ポリエステル系エラストマーとポリアミド系エラストマーを混合する態様だけでなく、ポリエステル系エラストマーのみ又はポリアミド系エラストマーのみを複数種類混合する態様も含む。
(充填剤)
本発明の樹脂組成物は、フィルムや繊維とした際の機械特性の維持、粘着(ブロッキング)防止性やハンドリング性の向上、及びフィルムとしたときの触感向上の観点から、充填剤を含むこと、及び後述するアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が10質量部以上200質量部以下であることが重要である。充填剤とは、樹脂組成物中に含有させたときに、その諸性質の改善効果、及び/または樹脂組成物の体積を増加させる効果が認められる不活性物質をいう。充填剤を含有させることにより、樹脂組成物の諸性質の改善だけでなく、製品の製造コストを低減させることもできる。
後述するアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が10質量部以上であることにより、ブロッキング防止性、ハンドリング性、及びフィルムや繊維としたときの触感が向上する。また、後述するアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が200質量部以下であることにより、フィルムや繊維として使用する際の実用的な機械特性を維持することができる。機械特性と後述する透湿度の観点から、充填剤の含有量のより好ましい範囲は、後述するアクリル系成分を除く樹脂全体100質量部に対して20質量部以上150質量部以下であり、さらに好ましくは、30質量部以上100質量部以下である。
充填剤の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、無機の充填剤及び/または有機の充填剤を使用することができる。
また、充填剤は1種類であっても複数種類を混合したものであってもよい。但し、フィルムや繊維とした際に心地良い触感を付与する観点から、充填剤は無機充填剤であることが好ましく、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、マイカ、タルク、カオリン、クレー、及びモンモリロナイトのうち少なくとも1種類を用いることがより好ましく、安全性、汎用性、及びコスト等の観点から炭酸カルシウムを用いることがさらに好ましい。このような態様とすることにより、フィルムや繊維としたときの触感が向上し、特にフィルムとしたときには心地よい触感を付与することができる。
樹脂組成物が充填剤を含む場合、樹脂組成物中における樹脂と充填剤の組み合わせによって、樹脂組成物をシート状あるいは糸状に成型した際に伸度が低下することがある。このような問題は、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち、ポリエステル系エラストマー又はポリアミド系エラストマーを最も多く含む樹脂組成物をシート状に成型し、これを延伸する場合において生じやすい。
上記問題点を軽減する観点から、このような場合においては、充填剤として金属の硫酸塩を用いることがより好ましく、その中でも安全性、汎用性、及びコスト等の観点から硫酸バリウムを用いることがさらに好ましい。このような態様とすることにより、樹脂組成物をシート状に成型したときの伸度低下が軽減され、その後の工程において2倍以上に延伸することが容易となる。その結果、このようにして得られるフィルムは、空孔率が高く透湿度に優れたものとなる。
(アクリル系成分)
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類と充填剤を含むため、樹脂組成物中に分散する充填剤近傍での伸度低下により、溶融製膜時や溶融紡糸時の口金リップ部やノズル部への熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーと充填剤を含む樹脂組成物の堆積が起こり、この堆積物の一部が製膜中のフィルム表面や紡糸中の繊維表面に異物として混入しやすくなる(以下、この堆積物を目やにということがある。)危険性をはらんでおり、充填剤として炭酸カルシウムを用いる場合には、特にこの現象が顕著となる。本発明の樹脂組成物は、フィルム破れや糸切れの起点となり、かつ外観不良の原因ともなる目やにの発生を軽減する観点から、アクリル系成分を含むことが重要である。
本発明においてアクリル系成分とは、アクリル系モノマーの重合により得られる高分子量体のうち、高分子量体鎖全体を100モル%としたときに、アクリル系モノマー由来成分を70モル%以上100モル%以下含むものをいう。アクリル系成分は、熱可塑性ウレタン系樹脂との相溶性に優れ、かつ樹脂組成物と口金リップ部やノズル部との摩擦を低減させるため、樹脂組成物がアクリル系成分を含むことにより、目やに防止効果を得ることができる。その結果、本発明の樹脂組成物をフィルムや繊維に溶融加工する際の加工性や、溶融加工後のフィルムや繊維の機械特性を実用的な範囲に維持することが可能となる。
本発明におけるアクリル系成分は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、クロロエチルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体や、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、ベンジルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、フェニルメタアクリレート、クロロエチルメタアクリレート等のメタクリル酸エステル単量体の単独重合体、あるいはこれらの単量体二種以上を共重合させた共重合体等を用いることができる。中でも、熱可塑性ウレタンとの親和性や摩擦軽減に伴う目やに低減効果の観点から、メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、及びブチルアクリレートの3成分の共重合体を用いることが好ましく、このようなアクリル系成分としては、例えば、三菱レイヨン(株)社製“メタブレン”(商標登録)のL1000グレードが挙げられる。
アクリル系成分の含有量は、目やに抑制効果、加工性、及びフィルムや繊維の機械特性維持の観点から、アクリル系成分を除く樹脂全体100質量部に対して、0.1質量部以上35質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましい。
(A層を有するフィルム)
本発明のフィルムは、本発明の樹脂組成物からなる層(A層)を、少なくとも一方の最表面に有することを特徴とする。このようなフィルムは、医療分野では細菌やウイルス等に対して、衣料分野では風雨や汚染物質等に対しての遮断材料として用いることができ、衛生材の分野では、例えば生理用品であれば下着への経血、おむつであれば下着への尿の浸透防止材料として用いることができる。
また、A層を少なくとも一方の最表面とすることで、本発明のA層を有するフィルムを前記用途に用いる場合に、ブロッキング防止性、ハンドリング性に加え、良好な触感を付与することができる。またA層はアクリル系成分を含有するため、口金壁面と直接接触する位置にA層を得るための組成物を配置することにより、外観不良や製膜時の破れの原因となる目やにの発生を軽減することがきる。
(A層を有するフィルムの厚み)
本発明のフィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、ハンドリング性及び生産性の観点から、3μm以上200μm以下であることが好ましい。ここでいうフィルムの厚みとは、フィルムがA層のみの単層構成であるか、A層以外の層を有する積層構成であるかにかかわらず、フィルム全体の厚みをいう。フィルムの厚みは、走査型電子顕微鏡でフィルム断面の写真を観察することにより測定することができる。
フィルムの厚みを3μm以上とすることで、フィルムのコシが強くなるため取り扱い性が向上し、ロール巻姿や巻出し性も良好となる。フィルムの厚みを200μm以下とすることで、特にインフレーション製膜法において、自重によりバブルが安定化する。本発明のフィルムに好ましい柔軟性、せん断変形性、及び透湿度を付与する観点を考慮すると、フィルムの厚みは、5μm以上50μm以下であることがより好ましく、7μm以上20μm以下であることがさらに好ましく、5μm以上10μm以下であることが特に好ましい。
(B層を有する積層フィルム)
本発明のフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよいが、積層構成である場合は、製膜性や機械特性の観点から、以下の特徴1及び2を備える層(B層)を有することが好ましい。
特徴1:熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類を含む。
特徴2:前記A層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、A層における充填剤の含有量をXa質量部、B層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、B層における充填剤の含有量をXb質量部としたときに、Xa>Xbである。
B層が熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類を含むことにより、A層と類似した組成となるため、製膜時にA層とB層の溶融粘度の違いによるフローマークの発生を抑制しやすくなる。さらにXa>Xbとすることにより、A層単独では充填剤による溶融張力の低下により製膜性や機械特性の低下が起こる場合に、製膜性を向上させることや、高い機械特性を維持しやすくなることがある。また、B層は本発明の効果を損なわない限り、熱可塑性ウレタン樹脂以外の樹脂やアクリル系成分を含んでもよい。
B層における熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、B層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量%としたときに、10質量%以上100質量%以下であることが好ましい。なお、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち2種類以上を含む場合や、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち1種類のみを含むが、成分が複数である場合(例えば、ポリエステル系エラストマーのみを含むがポリエステル系エラストマーが2成分以上である場合等)においては、該当する全ての成分を合算して含有量を算出するものとする。
B層は、本発明の効果を損なわない限り、充填剤を含んでも含まなくてもよい。B層が充填剤を含む場合、B層における充填剤の種類としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、A層と同じものであることが好ましい。
(積層フィルムの層構成)
前記A層およびB層を有する積層フィルムは、A層が少なくとも一方の表面に配置されている限り特に制限されないが、後述するせん断かたさや透湿度の観点からA層とB層が接することが好ましく、A層/B層/A層の2種3層構成であることがより好ましい。A層とB層が接する積層構成とすることにより、層間密着力の不足による層間剥離を抑制しやすくなる。
本発明のフィルムがA層/B層/A層の2種3層構成等のA層を複数有する場合において、A層の組成は、本発明の効果を損なわない限り同一であっても異なっていてもよい。但し、フィルムの生産性の観点から、A層の組成は同一であることが好ましい。
(摩擦係数)
本発明フィルムは、フィルムの少なくとも一つの面に触れた際の触感を向上させる観点から、A層の摩擦係数が、0.05以上0.80以下であることが好ましい。ここで摩擦係数とは、Kawabata Evaluation System法(KES法)に従い測定される摩擦係数をいい、具体的には、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、滑り子として標準摩擦子(指紋タイプ)を取り付け、荷重12gf、1mm/secの速度で滑り子をサンプルの表面で移動させて、KES法により測定される摩擦係数をいう。
フィルムの触感の心地良さ、ブロッキング防止性、ハンドリング性の向上と、フィルムとしての機械特性の両立の観点から、A層の摩擦係数は、0.05以上0.50以下であることがより好ましい。
なお、両最外層にA層が位置する場合においては、少なくとも一方のA層表面において、摩擦係数が0.05以上0.80以下であれば、「A層の摩擦係数が0.05以上0.80以下である」ものとして扱うこととする。
A層の摩擦係数を0.05以上0.80以下又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、フィルムを得るための樹脂組成物の組成を調整する方法、フィルムの厚みを調整する方法、せん断かたさを調整する方法、及び層構成を調整する方法等が挙げられる。具体的には、前記の熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーと充填剤を好ましいものとして挙げたものにすること、充填剤の含有量を増加させること、及び剛性の高いポリエステル系エラストマーを用いてせん断かたさを上げること等により、摩擦係数を小さくすることができる。
(せん断かたさ(G))
本発明のフィルムは、布のような柔らかさを付与する観点から、せん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であること好ましい。
せん断変形とは、経糸と緯糸とが交差することにより構成されている布がもっとも容易に受ける変形様式をいう。2次元の布が3次元の曲面を容易にカバーすることができるのはこのせん断変形に大きく依存し、せん断変形が大きい、つまり、せん断かたさ(G)が小さい方が人体のような曲面によりフィットし易く、着用感がよいものとなる。つまり、せん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であるフィルムは、例えば衛生材等の人体に着用する可能性のある用途に使用される際に好ましいものとなる。
せん断かたさ(G)とは、KES法に従い測定される長手方向及び幅方向のせん断応力より算出するせん断かたさ(G)をいう。より具体的には、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点における、長手方向及び幅方向のせん断応力をKES法により測定し(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある)、長手方向及び幅方向について、式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))を算出し、長手方向及び幅方向のG(+)及びG(−)を平均して得られるせん断かたさ(G)をいう。なお、せん断応力の測定時の条件は、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/sec、及び試料のせん断変形範囲−8°〜8°である。なお、長手方向とは、フィルムを製造する際にフィルムが進行する方向(ロール状になっている場合は巻き方向)をいい、幅方向とは、フィルムの搬送面に平行であり、長手方向と直交する方向をいう。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
フィルムのせん断変形性をより向上させる観点から、せん断かたさ(G)は、0.1gf/(cm・deg)以上3.0gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上1.0gf/(cm・deg)以下であることがより好ましい。
前記のフィルムのせん断かたさ(G)を0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、フィルムを得るための樹脂組成物の組成を調整する方法、厚みを調整する方法、層構成を調整する方法、及びエンボス加工による3次元形状を付与する方法等が挙げられる。具体的には、熱可塑性ウレタン樹脂の含有量を増加させることや、エンボス加工により凹凸形状を付与して空間自由度を作り出すこと等で、せん断かたさ(G)を小さくすることができる。
(フィルムの伸度保持率)
本発明のフィルムは、せん断かたさを小さくして布のような柔らかさを持たせることや、布のような心地よい触感を持たせることを目的として、製膜後にエンボス加工を施して表面凹凸形状を付与することがある。エンボス加工性を向上させる観点から、本発明のフィルムは、伸度保持率が、75%以上であることが好ましい。伸度保持率とは、120℃の雰囲気下にて1分間、フィルムを長手方向に1.5倍の長さに伸長させた後のフィルム長手方向の伸度保持率を意味する。ここで、長手方向とはフィルム製造時にフィルムが進行する方向をいう。
伸度保持率が75%以上であることにより、エンボス加工性に優れたフィルムとなり、エンボス加工により所望の形状を有する凹部及び/または凸部の形成が容易となる。一方、伸度保持率が75%を下回ると、エンボス加工による凹部及び/または凸部の形成が困難なことがある。
伸度保持率は、以下の方法により測定することができる。
先ず、温度を120℃に調整した恒温槽の中で、150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状のフィルムサンプルを、チャック間のフィルムサンプルの長手方向の長さが50mmとなるように、チャック間距離が50mmである2つのチャックに固定する。次いで、2つのチャックで固定されたフィルムサンプルの中心点(2つのチャックからの距離が共に25mmであり、長手方向と平行な2つの辺からの距離が共に5mmである点)が中点となるように、フィルムサンプルに長手方向と平行な30mmの直線を引き、引張速度200mm/分でフィルムを長手方向に1.5倍の長さ(チャック間距離75mm)に伸長させて1分間保持する。その後、伸長を開放してフィルムサンプル上の直線の長さ(mm)を測定し、以下の式よりフィルム長手方向の伸度保持率を算出する。なお、幅方向とはフィルム面に平行かつ長手方向と垂直な方向をいう。
フィルム長手方向の伸度保持率(%)=100×(伸長開放後の直線の長さ−30)/(45−30)
フィルム長手方向の伸度保持率は、エンボス加工性のさらなる改良の観点から、高いほど好ましい。そのため、フィルム長手方向の伸度保持率は、80%以上100%以下であることがより好ましく、90%以上100%以下であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムの伸度保持率を75%以上、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、フィルムを得るための樹脂組成物の組成を調整する方法、厚みを調整する方法、及び層構成を調整する方法が挙げられる。具体的には、フィルムを得るための樹脂組成物として熱可塑性ウレタン樹脂を用いる場合は、ポリエステル系エラストマーやポリアミド系エラストマーを含むものとし、かつ、ポリエステル系エラストマーやポリアミド系エラストマーの含有量を増加させることや、後述する充填剤の含有量を増加させることにより、フィルム長手方向の伸度保持率を高くすることができる。
なお、フィルムがロールに巻き取られたものである場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができるが、ロールに巻かれていないシート状のフィルムの場合は、長手方向や幅方向を容易に特定することができない。このような場合においては、後述の方法により任意に選択した一方向についてフィルムのヤング率を測定した後に、フィルムを右に5°回転させて同様の測定を行い、これを175°に達するまで繰り返して最もヤング率の値が大きい方向を長手方向として扱うものとする。以下、本発明において同様とする。
ヤング率は150mm(測定方向)×10mmの短冊状をしたフィルムサンプルについて、短冊の長手方向に23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分として、JIS K−7127(1999)に規定された方法に従い測定することができる。
(フィルムの空孔率)
本発明のフィルムは、機械特性を維持しつつ後述する透湿度を向上させる観点から、空孔率が10%以上50%以下であることが好ましい。空孔率が10%以上50%以下であれば、フィルムは衛生材等の用途に用いることができるレベルの透湿性及び機械特性を容易に実現できる。空孔率は、より好ましくは20%以上50%以下、さらに好ましくは30%以上40%以下である。
空孔率は、以下の方法により測定することができる。先ず、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて、電子比重計によりフィルムの比重(ρ)を測定する。次いで、該フィルムを温度210℃、圧力5MPaで熱プレスして25℃の水で急冷することにより無孔シート状物を作成し、この無孔シート状物の比重(d)を同様に測定する。こうして得られたフィルムの比重(ρ)と無孔シート状物の比重(d)から、以下の式により空孔率を算出する。
空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
フィルムの空孔率を10%以上50%以下又は上記の好ましい範囲とするための手段は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、フィルムを得るための樹脂組成物の組成を調整するとともに、後述する延伸方法においてフィルムを得る方法が挙げられる。具体的には、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリル系成分、充填剤を含む樹脂組成物より得られた無配向フィルムを、後述する延伸方法において延伸倍率を小さくすれば空孔率を小さくすることができ、延伸倍率を大きくすれば空孔率を大きくすることができる。
(フィルムの透湿度)
本発明のフィルムは、衛生材や衣服などの透湿性が要求される用途に使用する場合、透湿度が1,000g/(m・day)以上であることが好ましい。ここで透湿度とは、水蒸気の透過性の指標であり、より具体的には、25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法により測定する透湿度をいう。透湿度が1,000g/(m・day)以上であれば、衛生材や衣服として用いる際に皮膚とフィルムの間に滞留する水蒸気をスムーズにフィルム外に排出することができ、快適な着用感が得られる。
上記観点から、透湿度が、1,500g/(m・day)以上であることがより好ましく、2,000g/(m・day)以上であることがさらに好ましく、2,500g/(m・day)以上であることが特に好ましい。また、透湿度は大きいほど好ましく上限は特にないが、衛生材に適用するとの観点からすると、上限は8,000g/(m・day)程度あれば十分である。
透湿度を1,000g/(m・day)以上又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、フィルムを得るための樹脂組成物の組成を調整する方法、フィルムの厚みを調整する方法、及び層構成を調整する方法、延伸によりフィルムに空孔を形成する方法が挙げられる。具体的には、フィルムを得るための樹脂組成物をポリエステル系エラストマー、又は熱可塑性ウレタン樹脂とポリエステル系エラストマーを含むものとし、かつ、充填剤の含有量を増加させることや、高い倍率で延伸を行いフィルムの空孔率を大きくすることにより、フィルムの透湿度を大きくすることができる。
(フィルムの破断伸度)
本発明のフィルムは、引張りやねじり、突き刺し等の外力による破れを軽減する観点から、本発明の樹脂組成物よりなるフィルムは、長手方向の破断伸度と幅方向の破断伸度が共に100%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましく、300%以上であることがさらに好ましい。このような態様とすることにより、衛生材や衣服などに使用してもフィルムが破断しにくくなる。長手方向及び幅方向の破断伸度はどちらも高ければ高いほど好ましいが、衛生材や衣服などに使用する観点から1,000%程度あれば十分である。
ここで、破断伸度とは、測定方向の長さが100mmであり、測定方向と垂直な方向の長さが10mmである短冊状のサンプルを、室温23℃、相対湿度65%、初期引張チャック間距離40mm、引張速度200mm/分の条件にて、JIS K−7127(1999)に規定された方法により測定した破断伸度をいう。
長手方向の破断伸度と幅方向の破断伸度を共に100%以上又は上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、フィルムを得るための樹脂組成物の組成調整する方法、厚みを調整する方法、積層構成を調整する方法及び、延伸倍率を調整する方法等が挙げられる。具体的には、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーとともに用いる充填剤やアクリル系成分の量を上記の好ましい範囲に留めることにより、長手方向の破断伸度と幅方向の破断伸度を大きくすることができる。また、延伸倍率を後述する好ましい範囲内に留めることにより、延伸方向の破断伸度を大きくすることができる。
(本発明の樹脂組成物よりなる繊維)
本発明の樹脂組成物は、溶融紡糸法により繊維としてもよい。かかる方法により得られる繊維は、目やにに起因する異物が少ないものであるため、紡糸工程における糸切れが軽減される他、高強度・高伸度となり好ましい。
(添加剤)
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で前述した成分以外の成分を含有してもよい。例えば、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、耐候剤、抗酸化剤、イオン交換剤、着色顔料、染料などを含有してもよい。
(フィルムの製造方法)
次に、本発明の樹脂組成物および、該樹脂組成物を用いたフィルムを製造する方法について具体的に説明するが、本発明の樹脂組成物やフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物、すなわち、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂、充填剤、アクリル系成分を含有する樹脂組成物を得るにあたっては、各成分を溶融混練することにより樹脂組成物を製造する溶融混練法が好ましい。溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機などの公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。
次に、上記した方法により得られた樹脂組成物を用いて、インフレーション法、チューブラー法、Tダイキャスト法などの公知のフィルムの製造方法により、無配向フィルムを得ることができる。
さらに、軽量化、透湿性向上を目的として、得られた無配向フィルムを一軸又は二軸延伸してもよい。一軸延伸を行う場合は、延伸倍率に対する装置限界が高いという観点から、長手方向に延伸(以下、縦延伸ということがある。)を行うことが好ましい。縦延伸を行う場合の好ましいロール温度は10℃以上90℃以下である。また、好ましい延伸倍率は2倍以上10倍以下であり、この温度および倍率の範囲で延伸を行うことにより、フィルムの空孔率を10%以上50%以下として実用的な透湿度を有するフィルムとし易くなる。フィルムとしたときの機械特性も考慮すると、延伸倍率は3倍以上8倍以下がより好ましく、4倍以上6倍以下がさらに好ましい。また、延伸したフィルムは、延伸後の収縮による空孔の消滅を抑える意味で熱処理を施すことが好ましい。熱処理温度は延伸温度+10℃以上であることが好ましい。
フィルムを製膜した後に、印刷性、ラミネート適性、コーティング適性などを向上させる目的で各種の表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などが挙げられる。いずれの方法をも用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さから、コロナ放電処理がより好ましい。
(その他用途など)
このようにして得られた本発明の樹脂組成物からなる層(A層)を、少なくとも一方の最表面に有するフィルムは、目やにに起因するフィルム破れ、機械特性低下、加工性低下、及び外観不良が少なく、エンボス加工のような大きな変形を伴う加工や意匠性を要する用途において好適に用いることができる。また、本発明のフィルムは、布のような柔らかさや触感を有するため、衛生材料や衣料等にて布や不織布の代替として用いることができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。なお、厚み方向とは、長手方向及び幅方向に垂直な方向をいうものとする。
(1)フィルムの厚みおよび積層フィルムの各層の厚み、積層比
フィルムからサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて該サンプル片の長手方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製 S−3400N)を用いて倍率500倍〜1,500倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの厚みおよび積層フィルムの各層の厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値をフィルムの厚み(μm)および積層フィルムの各層の厚み(μm)とするとともに、得られた各層の厚み比より積層比を算出した。なお、フィルムの厚みは、小数第1位を四捨五入して得られた値とした。なお、厚み方向とは、長手方向及び幅方向に垂直な方向をいう。
(2)伸度保持率
先ず、120℃に調整した恒温槽の中で、150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状のフィルムサンプルを、チャック間のフィルムサンプルの長手方向の長さが50mmとなるように、チャック間距離が50mmである2つのチャックに固定した。次いで、2つのチャックで固定されたフィルムサンプルの中心点(2つのチャックからの距離が共に25mmであり、長手方向と平行な2つの辺からの距離が共に5mmである点)が中点となるように、フィルムサンプルに長手方向と平行な30mmの直線を引き、引張速度200mm/分でフィルムを長手方向に1.5倍の長さ(チャック間距離75mm)に伸長させて1分間保持した。その後、伸長を開放してフィルムサンプル上の直線の長さを測定し、以下の式より伸度保持率(%)を算出した。なお、測定は10回行い、その平均値をフィルムの伸度保持率(%)とした。
伸度保持率(%)=100×(伸長開放後の直線の長さ−30)/(45−30)
(3)フィルムのせん断かたさ(G)
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製のせん断試験機KES−FB1−Aを用いて、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/secの条件で、試料に−8°〜8°のせん断変形を与え、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点におけるせん断応力を測定した(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある。)。HG0.5及びHG2.5より下記式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、HG−2.5及びHG−0.5より下記式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))をそれぞれ算出した。せん断応力の測定およびG(+)、G(−)の算出は、長手方向、幅方向ともに3回(合計6回)行い、そのすべてのG(+)、G(−)の値の平均値の小数第2位を四捨五入した値をそのフィルムのせん断かたさ(G)(gf/(cm・deg))とした。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
なお、長手方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの長手方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付け、幅方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの幅方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付けた。
(4)フィルムの摩擦係数
カトーテック社製の表面特性試験機KES−SEを用いて、フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けて、滑り子として標準摩擦子(指紋タイプ)を取り付け、荷重12gf、1mm/secの速度で滑り子をフィルムのA層表面で移動させ、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件にてフィルムの巻外面の摩擦係数を測定した。長手方向、幅方向ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、そのすべてのデータの平均値をそのフィルムの摩擦係数とした。
(5)フィルムの透湿度
25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って測定した。測定は3回行い、得られた値の平均値をフィルムの透湿度(g/(m・day))とした。なお、フィルムの透湿度はフィルムの巻外面から測定した。
(6)フィルムの製膜安定性
インフレーション法によりブロー比2.0、フィルム厚み20μmの条件で製膜を行い、5時間のうちに目やにが原因で起こった製膜破れの回数をカウントし、回数に応じて、下記の6段階で評価した。製膜安定性は5が最も優れている。なお、製膜破れの原因が目やにであるか否かは、破れが起こった部分における目やにに起因する異物の有無により判断した。
5:目やにが原因で起こった製膜破れなし
4:目やにが原因で起こった製膜破れの回数が1回
3:目やにが原因で起こった製膜破れの回数が2回
2:目やにが原因で起こった製膜破れの回数が3回
1:目やにが原因で起こった製膜破れの回数が4回以上又は製膜不可
また、製膜破れが起こった時点から、フィルムのつなぎ合わせを行って製膜を再開するまでの時間は、5時間の評価時間から除外した。
(7)フィルムの空孔率
フィルムを30mm×40mmの大きさ(方向は任意)に切取り試料とした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて前記試料の比重を測定した。測定を3回行い、その平均値をそのフィルムの比重(ρ)とした。次に、測定したフィルムを温度210℃、圧力5MPaで熱プレスを行い、その後、25℃の水で急冷して無孔シート状物を作成した。この無孔シート状物の比重を同様に3回測定し、その平均値を樹脂の比重(d)とした。フィルムの比重(ρ)と無孔シート状物の比重(d)から、以下の式により空孔率を算出した。
空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
(8)フィルムの目やに数
製膜により得られたロール状フィルムサンプルから、ロールの全幅を維持しつつ10m分を巻き出し、巻き出した領域について0.5mm角以上の目やにの数をカウントした。目やにの数は20個/m以下であれば、外観上実用性に耐えうるものとみなした。
(9)フィルムのブロッキング性
製膜により紙管に巻き取られたロール状フィルムサンプルを室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件にて空中吊り状態で24時間放置し、その後巻き外面から5m長のフィルムを巻き出し、以下の基準にてブロッキング性を評価した。ブロッキング性は○を合格とした。
○:フィルム巻き出し時に自己粘着からの引き剥がしによる伸びや破れがなかった。
×:フィルム巻き出し時に自己粘着からの引き剥がしによる伸びや破れがあった。
(10)破断伸度(%)
オリエンテック社製“TENSILON”(登録商標) UCT−100を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて、引張伸度を測定した。具体的には、150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状のフィルムサンプルを、チャック間のフィルムサンプルの長手方向の長さが50mmとなるように、チャック間距離が50mmである2つのチャックに固定した。次いで引張速度200mm/分で、JIS K−7127(1999)に規定された方法にて5回の測定を行い、その平均値の小数第一位を四捨五入した値を長手方向の破断伸度とした。幅方向の破断伸度についても、フィルムサンプルを150mm(幅方向)×10mm(長手方向)の短冊状のものとした以外は同様に測定した。
[熱可塑性ウレタン樹脂(A)]
(A1)
熱可塑性ウレタン樹脂(商品名:OP85A10 、BASFジャパン(株)製)使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(A2)
熱可塑性ウレタン樹脂(商品名:ET885FG、BASFジャパン(株)製)使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
[熱可塑性ウレタン樹脂以外の樹脂]
(B1)
ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標) G3548LN 、東レ・デュポン(株)製)使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(B2)
ポリアミド系エラストマー(商品名:“PEBAX”(登録商標)MV1073,アルケマ(株)製)使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(B3)
エチレン−メチルメタクリレート共重合体(商品名:“アクリフト”(登録商標)WH303、住友化学工業(株)製)
(B4)
熱可塑性エチレン樹脂(商品名:NUC8506、日本ユニカー(株)製)
[充填剤(C)]
(C1)
炭酸カルシウム(商品名:カルテックスR、丸尾カルシウム(株)製)
(C2)
硫酸バリウム(商品名:B−54、堺化学工業(株)製)
[アクリル系成分又はその他の滑剤(D)]
(D1)
アクリル系成分(商品名:“メタブレン”(登録商標)L1000、三菱レイヨン(株)製)
(D2)
ポリエチレンワックス(商品名:“ハイワックス”(登録商標)110P、三井化学(株)製)
(D3)フッ素系滑剤(商品名:“ソレフ”(登録商標)110010、ソルベイ(株)製)
[フィルムの作製]
(実施例1)
A層組成が、表1に記載の配合比となるようにシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度90℃で5時間真空乾燥した。真空乾燥した樹脂組成物のペレットをシリンダー温度200℃、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度190℃の環状ダイスより、インフレーション法によりブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取ってロール状に巻き取った。引き取り速度の調整により、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示した。
(実施例2〜19、31〜36、41〜42、比較例1〜3、5〜9、16、18)
表1〜3、表5に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は実施例1と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1〜3、表5に示した。
(比較例4、17)
表3、表5に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は実施例1と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルム製膜を試みたがフィルム破れによりバブルを形成することができず、フィルムを得ることができなかった。
(実施例20〜22、38〜40)
表2、表5に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は実施例1と同様にしてインフレーション法により、無配向フィルムを得た。続いて、得られた無配向フィルムを15m/minのライン速度でロール式延伸機に導入し長手方向に、フィルム温度40℃で表2または表5に記載の倍率に延伸し空孔を有するフィルムとした。続いて定長下、加熱ロール上で、フィルム温度90℃で1秒間熱処理後、冷却ロール上で冷却し、表2、表5に記載の厚さのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表2、表5に示した。
(実施例23〜29、実施例37、比較例10〜13)
表2、表3、表5に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更し、実施例1と同様にして、A層およびB層に用いる樹脂組成物のペレットを得た。そして、表2に記載の積層厚み比となるように、この2種類の樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度200℃で、スクリュー径60mmのそれぞれ独立した単軸押出機に供給し、2種3層積層タイプ、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を190℃に設定した環状ダイスに導き、実施例1と同様にして、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表2、表3、表5に示した。
(比較例14)
表3に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は比較例13と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルム製膜を試みたがフィルム破れによりバブルを形成することができず、フィルムを得ることができなかった。
(実施例30)
表4に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更し、実施例1と同様に均質化した後にペレット化して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度90℃で5時間真空乾燥した。真空乾燥した樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度200℃で、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径3mmの溶融紡糸口金より、直径100μmの繊維状に吐出した。得られた繊維10mにわたり、0.5mm角以上の目やにの付着を目視にて確認した。表4に記載の通り、目やには観測されず、良好な外観を有していた。
(比較例15)
表4に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は、実施例30と同様にして、繊維状物を得た。得られた繊維について実施例30と同様に、目やにの付着を目視にて確認したところ、表4に記載の通り27個の目やにが観測され、外観上劣るものであった。
Figure 2017226830
Figure 2017226830
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表1〜5における熱可塑性ウレタン樹脂及び熱可塑性ウレタン以外の樹脂の含有量(質量%)は、各層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量%として算出した。
表1〜5における充填剤及びアクリル系成分、その他滑剤の含有量(質量部)は、アクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部として算出した。
表1〜3及び表5における長手方向の伸度保持率(%)は、1.5倍の長さに到達する前に破断が起こった場合は、測定不可とした。
本発明は、フィルム破れや糸切れ、フィルムや繊維の外観不良の原因となる目やにの付着を抑制することができる樹脂組成物、及び異物の少ないフィルム、繊維に関するものである。そして、本発明の樹脂組成物から得られるフィルムや繊維は、高効率に生産可能であり、心地よい柔らかさを有し、かつ目やにに起因する外観不良の少ないものである。このような特徴を活かし、本発明のフィルムは、ベッド用シーツ、枕カバー、衛生ナプキンや紙おむつなどの吸収性物品のバックシートといった医療・衛生材、雨天用衣類、手袋などの衣料材料、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物などの食品用袋、各種工業製品の袋などの包装材料、ビル、住宅、化粧板といった建材、鉄道車両、船舶、航空機といった輸送機内での内装材料、建築用材料などに好ましく用いることができる。

Claims (12)

  1. 熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂、アクリル系成分、及び充填剤を含み、アクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が10質量部以上200質量部以下であることを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 熱可塑性ウレタン樹脂を含み、かつポリエステル系エラストマー及び/またはポリアミド系エラストマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる層(A層)を、少なくとも一方の最表面に有することを特徴とする、フィルム。
  4. 前記A層の摩擦係数が0.05以上0.80以下であることを特徴とする、請求項3に記載のフィルム。
  5. せん断かたさが、0.1〜6.0gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフィルム。
  6. 伸度保持率が、75%以上であることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. 以下の特徴1及び2を備える層(B層)を有することを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載のフィルム。
    特徴1:熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂を含む。
    特徴2:前記A層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、A層における充填剤の含有量をXa質量部、B層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、B層における充填剤の含有量をXb質量部としたときに、Xa>Xbである。
  8. 前記A層と前記B層が接することを特徴とする、請求項7に記載のフィルム。
  9. 前記A層/前記B層/前記A層の2種3層構成であることを特徴とする、請求項7または8に記載のフィルム。
  10. 空孔率が10%以上50%以下であることを特徴とする、請求項3〜9のいずれかに記載のフィルム。
  11. 透湿度が1,000g/(m・day)以上であることを特徴とする、請求項3〜10のいずれかに記載のフィルム。
  12. 請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる繊維。
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