JP4686256B2 - 積層型多孔性フィルム - Google Patents
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Description
このようなニーズの増大に対応するため、透湿性フィルムには大量生産に適した加工性の向上と同時にコストダウンが求められており、フィルム自体の機械特性および熱特性などを極力維持しつつ、どこまで薄膜化できるかが課題となっている。
特に使い捨ておむつや生理用品に使用される透湿性フィルムの場合、コストダウンと軽量化などの目的から薄膜化への要求が市場において非常に強い。
一方で、最も重要な機能である透湿性はさらに高いレベルを要求されている。
前記多孔性フィルムでは、薄膜化すると成形時の樹脂組成物の配向状態が機械方向に偏るため、ボイド(空孔)が厚み方向につながりにくく、十分な透湿度が得られない。無理に延伸倍率を高倍率として透湿度を得ようとすると引裂強度が極端に低下し、膜厚が薄いほどより引裂強度の低下が顕著となる。
薄膜化しても機械方向の引裂強度や耐熱性を十分に確保するために、従来、主原料として用いられている線状低密度ポリエチレンを密度および融点のより高い樹脂に変更することが考えられる。しかし、この方法では、フィルムの触感が硬くなり、出来上がりの製品を扱う時ガサガサとした感じになり好ましくない。
例えば、特開平2−296840号公報(特許文献1)では、充填剤の容積比率が大きい層を表面に位置させた積層構造の多孔性フィルムが提供されている。当該発明は、単層の多孔性フィルムでは表面がスキン層を形成して表面開口率が小さくなるという問題点を解決し、表面開口率を増大させることに成功している。
さらに、特許文献1の積層多孔性フィルムでは特にB層の充填剤の配合量が少ないため、満足な透湿性を得ようとすると勢い延伸倍率が高くなり、その結果引裂強度が低くなる。一方、引裂強度を高く保とうとすると延伸倍率を低く抑えなければならず、満足な透湿性が得られないという問題があった。
特許文献2の積層多孔性フィルムでは充填剤の配合量が多いため、樹脂中の充填剤の分散性が悪く、フィルムの機械強度が損なわれるという問題があった。
特許文献3の積層型多孔性フィルムでは、内外層を構成する樹脂と中層を構成する樹脂とが異なるために、内層と中層および中層と外層の間にさらに接着樹脂層を介在させたり、内層および外層に接着性樹脂をブレンドしたりする必要がある。その結果、製造工程が煩雑になり、大量生産に適さず、コスト低下を図ることができないという問題がある。
前記A層はメルトインデックス(MI)が0.1〜10g/10分、密度が0.94〜0.96g/cm3であるポリエチレンに、平均粒径が0.5〜3.0μmの充填剤が樹脂組成物全体に対する容積率で20〜60%含まれている層であり、
前記B層はメルトインデックス(MI)が0.1〜10g/10分、密度が0.90〜0.939g/cm3であるポリエチレンに、平均粒径が0.5〜3.0μmの充填剤が樹脂組成物全体に対する容積率で20〜60%含まれている層であり、
引裂強度が1.5gf以上100gf以下、透湿度が2,000〜10,000g/m 2 /24hrであり、
全体厚みが5〜25μmであることを特徴とする積層型多孔性フィルムを提供している。
また、本発明の積層型多孔性フィルムは、各層が同じ種類の樹脂で構成されているので、前記特許文献3に記載の発明のように層間の接着性を確保するために特別な処理を行う必要がなく、生産工程を簡素化して大量生産に適したものとすることができる。
詳細には、前記A層に使用されるポリエチレンは、メルトインデックス(MI)が0.1〜10g/10分、密度が0.94〜0.96g/cm3であれば、公知のポリエチレンを用いてよい。A層に使用されるポリエチレンは、前記物性を満たせば2種以上のポリエチレンの混合物であってもよい。
線状低密度ポリエチレンは炭素数が3〜8の分子骨格であるα−オレフィンとエチレンとの共重合体である。
分岐状低密度ポリエチレンはエチレンを公知の高圧法で重合させることによって得られるものである。
線状低密度ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンの混合比率としては、線状低密度ポリエチレンが通常75〜98質量%、好ましくは80〜95質量%、分岐状低密度ポリエチレンが通常25〜2質量%、好ましくは20〜5質量%である。分岐状低密度ポリエチレンが25質量%を超えると溶融状態でのフィルムの伸びが低下し、フィルムに加工することが難しくなる。一方、2質量%未満では均一厚みのフィルムを得ることが難しくなる。
充填剤の平均粒径は浸み出し防止性に極めて大きな影響があり、平均粒径が0.5μm未満であると、圧延処理で空孔を形成する際に空孔が形成され難く透気性および透湿性が不十分となる。一方、平均粒径が3.0μmより大きいと、空孔が大きくなりすぎ、防水性が低下し、紙おむつや生理用品とした場合に人尿や経血の浸み出し量が多くなるからである。充填剤の平均粒径は0.5〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることがより好ましい。
充填剤の平均粒径は、恒圧式透過法により、島津式粉体比表面積測定器SS−100を用いて測定した比表面積から算出している。測定条件としては、試料重量を3.0g、試料厚を1.35cm、試料層の断面積を2cm2、空気圧力を50cmH2Oとし、空気の粘性係数を181×10−6g/(cm・sec)として計算している。
前記表面処理剤としては無機充填剤の表面を被覆することにより、その表面を疎水化できるものが好ましい。例えばステアリン酸もしくはラウリン酸等の高級脂肪酸またはそれらの金属塩、ヒドロキシカルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸の重合物、これらの水素添加物、これらの金属塩等を挙げることができる。
充填剤の容積率は32〜60%であることが好ましく、32〜50%であることがより好ましい。
鉱油としては、流動パラフィンまたはパラフィンワックス等が挙げられる。
A層/B層の2層構造、
A層/B層/A層またはB層/A層/B層の3層構造、
A層/B層/A層/B層の4層構造、
A層/B層/A層/B層/A層またはB層/A層/B層/A層/B層の5層構造等が挙げられる。
なかでも本発明においては3層構造を有することが好ましい。なお、A層が2層以上存在する場合、各A層は必ずしも同じ組成でなくてもよい。B層が2層以上存在する場合も同様である。
α層を積層させる場合の層構成も特に限定されない。例えば、A層/α層/B層/α層/A層、またはB層/α層/A層/α層/B層のように5層構造を成していてもよい。さらに、α層/A層/B層/A層、またはα層/B層/A層/B層のように4層構造を成していてもよい。
即ち、まず、各層を構成する樹脂組成物を作製する。具体的には、ポリエチレン、充填剤、所望により第三成分およびその他の添加剤をヘンシェルミキサー、スーパーミキサーまたはタンブラー型ミキサー等を用いて混合した後、一軸もしくは2軸押出機またはニーダー等で加熱混練し、ペレット化する。樹脂組成物を混練したのちペレット化せずにフィルムの製膜工程に供しても良い。
これは、特に全体厚みが25μm以下のような薄膜の場合は、A層およびB層を別々に製膜してから熱ロールなどで融着させる方法は均一な接着強度で接着させにくく、皺などの欠陥も発生しやすいからである。さらに、共押出法で積層する場合は、A層およびB層の結晶化温度の違いにより、結晶化温度が低い樹脂を含む層が製膜時、機械方向の配向が緩和し、延伸により多孔化しやすくなるので、各層を単層で製膜した場合より通気性および透湿性が高くなる傾向があり好ましい。特に、Tダイ法よりインフレーション法の方がこの結晶化温度の違いによる配向緩和が起こりやすく、より適している。
延伸方向は一軸方向のみでも二軸方向でも良く、二軸方向を同時に延伸するチューブラー二軸延伸でもクリップレール式のテンターを使用する逐次二軸延伸でもよい。また、延伸は一段で行ってもよいし、多段階に分けて行ってもよい。
延伸倍率は特に限定されないが、倍率が高すぎても低すぎても好ましくない。フィルムの配向状態を制御して、得られるフィルムの水蒸気および空気の透過性を保持し、液の浸み出しを防止し、フィルムのソフト感等を得られる性状となる延伸倍率とする。かかる観点から、本発明における延伸倍率は、一軸方向の延伸倍率が1.2〜5倍、好ましくは1.5〜3.0倍の範囲内である。二軸方向に延伸する場合は、その面積延伸倍率は1.5〜10.0、好ましくは2.0〜5.0の範囲内である。
しかし、大量生産に見合った加工性を付与するため、本発明の積層型多孔性フィルムにおいては、機械(MD)方向のシングルタング法で測定した引裂強度が1.5gf以上、好ましくは2.0gf以上で、100gf以下である。これは引裂強度が1.5gf未満であると製造工程における加工性が悪くなる一方、引裂強度は大きい方が好ましいが通常は100gf以下であることによる。
にコシがなくなり、例えばフィルムをロールパスさせる場合などそのハンドリングが非常に困難となったり、フィルムにシワが発生しやすくなり生産歩留りが著しく低下したりする。
本発明の積層型多孔性フィルムにおける剛軟度は25〜65mmであることが好ましく、30〜60mmであることがより好ましい。
前記ホットメルト型接着剤としては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはエチレンエチルアクリレート等のポリオレフィン系、ポリアミド系、ブチラール系、ポリウレタン系のホットメルト型接着剤などが用いられる。上記接着剤の塗工・貼合せは、ビート塗工、スロット塗工、スパイラル塗工、カーテンスプレー塗工、Vスロット塗工等が適用できる。このように不織布等を張り合わせると、高い機械強度と良好な肌触りを両立させることができる。
前記吸収材しては、吸水紙を複数枚積層したもの、線状化したクラフトパルプを吸水紙などで包んだもの、または高級水性高分子など、従来の衛生用品に使用されていたものが挙げられる。また、不織布としては吸収した体液を吸収材から逆戻りさせないような工夫がなされたポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維を主成分とする疎水性の繊維から形成された不織布が好ましい。
さらに、本発明の積層型多孔性フィルムは柔軟性に富んで風合いが良い。特に紙おむつや生理用品などの衛生材料に応用する場合は、柔軟性や風合いが特に重要な製品評価の対象となるため、この点において優れていることは大きな利点である。
本発明の積層型多孔性フィルムは、引裂強度が十分なレベルにあり、かつ耐熱性にも優れているため、このフィルムを使用する製品のライン加工性に優れ、フィルムが製造工程途中で破れる頻度が少なく、大量生産に適している。さらに、適度な剛軟性を有するため、生産工程におけるハンドリング性にも優れている。
図1は第1実施形態の積層型多孔性フィルムを示し、A層/B層/A層の3層構造としている。当該積層型多孔性フィルムの全体厚みは10〜20μmとされ、各層の膜厚比は全体厚みを100としたときA層/B層/A層=30〜45/40〜10/30〜45とされている。
前記充填剤の平均粒径は0.5〜2.0μm、好ましくは0.5〜1.5μmとしている。充填剤の混合比率は樹脂組成物全体に対する容積率で32〜50%となるようにしている。
第三成分の配合量は、A層を構成する樹脂組成物100質量部に対し1〜5質量部としている。
前記線状低密度ポリエチレンは、密度が0.91〜0.93g/cm3であり、メルトインデックス(MI)が0.1〜5g/10分、好ましくは0.5〜2g/10分である。
前記分岐状低密度ポリエチレンは、密度が0.91〜0.93g/cm3であり、メルトインデックス(MI)が0.1〜5g/10分、好ましくは1〜3g/10分である。
そして、線状低密度ポリエチレンと分岐状低密度ポリエチレンとの混合物は、密度が0.91〜0.93g/cm3であり、メルトインデックス(MI)が0.1〜5g/10分、好ましくは0.5〜3g/10分である。前記範囲のメルトインデックス(MI)であれば、共押出法、とくにインフレーション成形法による製膜が行いやすくなる。
前記充填剤の平均粒径は0.5〜2.0μm、好ましくは0.5〜1.5μmとしている。充填剤の混合比率は樹脂組成物全体に対する容積率で32〜50%となるようにしている。
第三成分の配合量は、B層を構成する樹脂組成物100質量部に対し1〜5質量部としている。
まず、A層およびB層を構成する樹脂組成物をそれぞれ作製する。
具体的には、高密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレン、充填剤および第三成分をタンブラー型ミキサーまたはヘンシェルミキサー等を用いて混合した後、タンデム型押出機もしくは二軸スクリュー押出機等を用いて200〜250℃の温度下で加熱混練し、ペレット化する。
延伸方向は一軸方向のみとし一段で行う方が製造工程の簡素化につながり好ましい。
延伸倍率は1.2〜5倍、好ましくは1.2〜3倍の範囲内である。
さらに、前記積層型多孔性フィルムは、機械(MD)方向のシングルタング法で測定した引裂強度が2.0gf以上10gf以下と、引裂強度において優れている。
前記積層型多孔性フィルムは、剛軟度が30〜60mmである。よって、コシが強すぎないためフィルムの触感が良好であり、逆にコシが弱すぎないため製造時のハンドリングに優れ、シワ等の発生が少ない。
加えて下記に詳述する耐熱性試験による耐熱温度が130℃以上と耐熱性においても優れている。
当該積層型多孔性フィルムの全体厚みは10〜20μmとされ、各層の膜厚比は全体厚みを100としたときA層/B層=30〜50/70〜50とされている。
以下、本発明についてさらに具体的に説明するため実施例を示す。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)メルトインデックス(MI)(単位;g/10分)
JIS K6922−1:1997による条件D法(190℃、21.18N)に準拠して測定した。
(2)密度(単位:g/cm3)
JIS K7112:199によるD法に準拠して測定した(密度勾配管法)
(3)膜厚(単位;μm)
JIS K 6250Aに従って膜厚計((株)テックロック製)で測定し、試験数5個の平均値を膜厚とした。
インテスコ(株)製201X−3型引張試験機を用いて測定した。
(a) 機械(MD)方向が150mm、縦(TD)方向が40mmの長方形にサンプルフィルムを切り出す。
(b)上記の長方形の短辺の一方において、中心点(角から20mmの位置)で長辺と平行に端から真ん中に向かって75mmだけ切り込みを入れる。
(c)切り込みを入れた辺の両側が表裏になるように引張試験機のチャックに取り付ける。すなわち、切り込みを入れた方の短辺は切れ込みを境に上下2つの部分に分かれるが、上側の辺を引張試験機のチャックの一方に、下側の辺を引張試験機のチャックの他方に取り付ければ、上側の部分は表(裏)を、下側の部分は裏(表)を向くこととなる。
(d)200mm/分の速度でサンプルフィルムを機械(MD)方向に引き裂き、その時の最大荷重を求め、引裂強度とする。
(a)サンプルフィルムを250mm×310mmに切り出す。その際、測定する方向を250mmとする。
(b)幅25mm、長さ300mmの金尺に6回転巻き付けてから、金尺をフィルムの筒から抜いて、幅25mmの12枚重ねのフィルムを作る。
(c)JIS L 1018で規定された傾斜角45°のカンチレバー式剛軟度測定器に12枚重ねのフィルムを片側の端面が傾斜部の端になるようセットし、自動で傾斜部からせり出させ、フィルムが傾斜部で倒れた時点の移動距離を「剛軟度」とする。
(6)透湿度(単位;g/m2/24hr)
恒温恒湿装置を用いて温度40℃、湿度90%の条件下、JIS Z 0208に従って測定し、試験数3個の平均値を透湿度とした。測定条件としては、透湿度測定用カップの透湿面積を30cm2とし、塩化カルシウム量を10gとした。
(a)80mm×80mmの正方形で厚み1mmのアルミ板の中央に直径40mmの穴を開けた枠を2枚用意する。
(b)サンプルフィルムを80mm×80mmの正方形に切り出し、(a)で用意した穴の開いた80mm×80mmの枠2枚でサンプルフィルムを挟み、ダブルクリップで固定する。この際、サンプルフィルムの中心点と枠の穴の中心点ができるだけ同じになるよう固定する。
(c)オーブン(タバイ(株)製 ギヤオーブン GPH−200)を100℃に設定し安定させておく。
(d)枠で固定した状態のサンプルフィルムをオーブン内に投入し、同時にオーブンを設定温度に変更する。
(e)オーブンの指示温度が設定温度に達し、2分間経ってからフィルムに穴が開くかどうか確認する。
(f)設定温度を変えて(a)〜(e)の操作を繰り返し、フィルムが熱により破れ穴が開き始める温度を「耐熱温度」とする。
A層を構成する樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「HY430」、密度;0.955g/cm3、MI;0.8g/10分)36.4質量部に対し、炭酸カルシウム(平均粒径0.8μm、脂肪酸処理)60.6質量部、硬化ひまし油(豊国製油(株)製、商品名「カスターワックス HC−WX」)3質量部をタンブラーミキサーにて混合し、タンデム型混練押出機を用いて220℃で均一に混練し、ペレット状に加工した樹脂組成物A1を得た。樹脂組成物A1における充填剤の容積率は37.0%である。
B層を構成する樹脂組成物として、線状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「F30FG」、密度;0.921g/cm3、MI;1g/10分)33質量部と、分岐状低密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「LF441」、密度;0.919g/cm3、MI;2g/10分)4.4質量部との混合樹脂(密度;0.920g/cm3、MI;1.1g/10分)に、炭酸カルシウム(平均粒径0.8μm、脂肪酸処理)60.6質量部、末端OHポリブタジエン(三菱化学(株)製、商品名「ポリテールHA」)2質量部をタンブラーミキサーにて混合し、タンデム型混練押出機を用いて220℃で均一に混練し、ペレット状に加工した樹脂組成物B1を得た。樹脂組成物B1における充填剤の容積率は35.5%である。
60℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールを用い、2.0倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸し、厚さ15μmの積層型多孔性フィルムを得た。得られた積層型多孔性フィルムの諸特性を上記方法により測定した。
実施例1で用いた樹脂組成物A1と樹脂組成物B1を別々の押出機で押出し、多層成型用のインフレーションダイを用い延伸後の膜厚比率がA1/B1/A1=43/14/43となるように210℃の溶融状態で積層させた後、シート化させた。
60℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールを用い、2.5倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸し、厚さ15μmの積層型多孔性フィルムを得た。得られた積層型多孔性フィルムの諸特性を上記方法により測定した。
層構成および延伸後の膜厚比率をB1/A1/B1=35/30/35となるようにした以外は実施例1と全く同様にして、厚さ10μmの積層型多孔性フィルムを得た。得られた積層型多孔性フィルムの諸特性を上記方法により測定した。
実施例1の樹脂組成物A1の代わりに、下記樹脂組成物A2を用いた。
即ち、ポリプロピレン(ダウ・ケミカル社製、商品名「INSPIRE114」、密度;0.90g/cm3、MI;0.4g/10分)36.4質量部に対し、炭酸カルシウム(平均粒径0.8μm、脂肪酸処理)60.6質量部、硬化ひまし油(豊国製油(株)製、商品名「カスターワックス HC−WX」)3質量部をタンブラーミキサーにて混合し、タンデム型混練押出機を用いて220℃で均一に混練し、ペレット状に加工した樹脂組成物A2を得た。樹脂組成物A2における充填剤の容積率は35.6%である。
得られた樹脂組成物A2と実施例1で用いた樹脂組成物B1を別々の押出機で押出し、多層成型用のインフレーションダイを用い延伸後の膜厚比率がA2/B1/A2=35/30/35となるように210℃の溶融状態で積層させた後、シート化させた。
60℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールを用い、2.8倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸し、厚さ15μmの積層型多孔性フィルムを得た。得られた積層型多孔性フィルムの諸特性を上記方法により測定した。
高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「HY430」、密度;0.955g/cm3、MI;0.8g/10分)30質量部に対し、炭酸カルシウム(平均粒径1.2μm、脂肪酸処理)63質量部、ソルビタントリステアレート(理研ビタミン(株)製、商品名「ポエムS−65F」)2質量部をタンブラーミキサーにて混合し、タンデム型混練押出機を用いて220℃で均一に混練し、ペレット状に加工した樹脂組成物A3を得た。樹脂組成物A3における充填剤の容積率は42.5%である。
得られた樹脂組成物A3を押出機で押出し、多層成型用のインフレーションダイで200℃の溶融状態でチューブ状に成形し、シート化させた。
60℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールを用い、2.8倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸し、厚さ15μmの積層型多孔性フィルムを得た。得られた積層型多孔性フィルムの諸特性を上記方法により測定した。
線状低密度ポリエチレン(ダウ・ケミカル日本(株)製、商品名「ダウレックス2042A」、密度;0.930g/cm3、MI;1.0g/10分)50質量部に対し、炭酸カルシウム(平均粒径1.2μm、脂肪酸処理)33質量部、ポリブテン(日本曹達(株)製、商品名「NISSO−PB GI−3000」)2.5質量部をタンブラーミキサーにて混合し、タンデム型混練押出機を用いて220℃で均一に混練し、ペレット状に加工した樹脂組成物B2を得た。樹脂組成物B2における充填剤の容積率は18.5%である。
比較例2で用いた樹脂組成物A3は、タンデム型混練押出機を用いて220℃で均一に混練し、ペレット状にした。
得られた樹脂組成物A3と樹脂組成物B2を別々の押出機で押出し、多層成型用のインフレーションダイを用い延伸後の膜厚比率がB2/A3/B2=3/94/3となるように200℃の溶融状態で積層させた後、シート化させた。
60℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールを用い、2.8倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸し、厚さ17μmの積層型多孔性フィルムを得た。得られた積層型多孔性フィルムの諸特性を上記方法により測定した。
一軸延伸の際の延伸倍率を6倍にした以外は比較例3と全く同様にして、厚さ15μmの積層型多孔性フィルムを得た。得られた積層型多孔性フィルムの諸特性を上記方法により測定した。
線状低密度ポリエチレン(ダウ・ケミカル日本(株)製、商品名「ダウレックス2042A」、密度;0.930g/cm3、MI;1.0g/10分)33質量部に対し、炭酸カルシウム(平均粒径1.2μm、脂肪酸処理)63質量部、ポリブテン(日本曹達(株)製、商品名「NISSO−PB GI−3000」)2.5質量部をタンブラーミキサーにて混合し、タンデム型混練押出機を用いて220℃で均一に混練し、ペレット状に加工した樹脂組成物B3を得た。樹脂組成物B3における充填剤の容積率は39.6%である。
得られた樹脂組成物B3を押出機で押出し、多層成型用のインフレーションダイで200℃の溶融状態でチューブ状に成形し、シート化させた。
60℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールを用い、2.6倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸し、厚さ15μmの積層型多孔性フィルムを得た。得られた積層型多孔性フィルムの諸特性を上記方法により測定した。
実施例1〜3の積層型多孔性フィルムは、全体厚みが20μm以下と薄膜化されているにもかかわらず、透湿度が5,500g/m2/24hr以上と非常に優れており、薄膜化と透湿度の向上の両立を達成している。さらに、実施例1〜3の積層型多孔性フィルムは、引裂強度が大きく、耐熱性にも優れているため、製造工程においてフィルムの裂け等の不良品の発生を抑え、大量生産することができる。加えて、実施例1〜3の積層型多孔性フィルムは、剛軟度が30〜60mmであり、コシが強すぎず触感が良好であり、かつ、製造時のハンドリングに優れ、シワ等の発生が少ない。
一方、低密度ポリエチレンからなるB層のみを有する比較例5の多孔性フィルムは、耐熱性に劣り、ホットメルト接着剤の塗布など120℃以上の高温になる加工工程がある場合は穴があくなどの問題が生じるおそれがある。
Claims (5)
- A層とB層との少なくとも2層が積層され、該積層状態で少なくとも1軸方向に延伸して得られる積層型多孔性フィルムであって、
前記A層はメルトインデックス(MI)が0.1〜10g/10分、密度が0.94〜0.96g/cm3であるポリエチレンに、平均粒径が0.5〜3.0μmの充填剤が樹脂組成物全体に対する容積率で20〜60%含まれている層であり、
前記B層はメルトインデックス(MI)が0.1〜10g/10分、密度が0.90〜0.939g/cm3であるポリエチレンに、平均粒径が0.5〜3.0μmの充填剤が樹脂組成物全体に対する容積率で20〜60%含まれている層であり、
引裂強度が1.5gf以上100gf以下、透湿度が2,000〜10,000g/m 2 /24hrであり、
全体厚みが5〜25μmであることを特徴とする積層型多孔性フィルム。 - 全体厚みが10〜20μmである請求項1に記載の積層型多孔性フィルム。
- 全体厚みを100としたとき、1層または2層以上存在するA層の厚みの合計が7〜93%、1層または2層以上存在するB層の厚み合計が93〜7%である請求項1または請求項2に記載の積層型多孔性フィルム。
- 剛軟度が20〜70mm、耐熱温度が130℃以上である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の積層型多孔性フィルム。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の積層型多孔性フィルムに、さらに通気性を有する繊維材を貼り合わせてなる積層体。
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