JP2017218541A - インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このため、産業用インクジェット記録に用いられるインクには、高発色・高彩度な印刷品質と共に、乾燥/湿潤条件下での耐擦過性が切望されている。
1)
キナクリドン顔料、アゾ顔料、及び樹脂を含有するインクであって、前記の樹脂を構成するモノマーが、メタクリル酸誘導体、及びアクリル酸誘導体のそれぞれから、少なくとも1種類ずつ選択されるモノマーであるインク。
2)
前記キナクリドン顔料が、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、及びC.I.ピグメントレッド202から選択される顔料である、前記1)に記載のインク。
3)
前記アゾ顔料が、C.I.ピグメントレッド150である前記1)に記載のインク。
4)
前記の樹脂を構成するモノマーが、メタクリル酸誘導体から選択される3種類のモノマーと、アクリル酸誘導体から選択される1種類のモノマーである前記1)に記載のインク。
5)
前記の樹脂を構成するモノマーのうち、メタクリル酸誘導体から選択されるモノマーが、2種類のアルキルメタクリレート及びメタクリル酸の3種類である前記1)又は4)に記載のインク。
6)
前記の樹脂を構成するモノマーのうち、アクリル酸誘導体がアルキルアクリレートである前記1)又は4)に記載のインク。
7)
前記の樹脂のガラス転移点が、−10℃〜20℃である前記1)に記載のインク。
8)
前記1)〜7)のいずれか一項に記載のインクの液滴を、記録信号に応じて吐出させて、記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
9)
前記1)〜7)のいずれか一項に記載のインクが付着した記録メディア。
10)
前記1)〜7)のいずれか一項に記載のインクを含有する容器を備えるインクジェットプリンタ。
11)
前記マゼンタインク、シアンインク、イエローインク及びブラックインクを備えるインクジェット記録用インクセットであって、前記マゼンタインクが前記1)〜7)のいずれか一項に記載のインクであるインクセット。
本明細書において、「C.I.」とは、カラーインデックスの略語である。
また、本明細書中、「%」及び「部」については、特に断りのない限り、実施例等も含めていずれも質量基準で記載する。
また、本明細書中、「C.I.ピグメントレッド」は、特に断りのない限り、以下「PR」という。「C.I.ピグメントバイオレット」は、特に断りのない限り、以下「PV」という。
前記インクは、キナクリドン顔料、及びアゾ顔料を着色剤として含有する。キナクリドン顔料、及びアゾ顔料としては、例えば、当業者であれば周知のColour Index Internationalのデータベースで検索できる顔料が挙げられる。
キナクリドン顔料としては、ジ置換キナクリドン顔料が好ましい。ジ置換キナクリドン顔料とは、無置換キナクリドンのベンゼン環上の任意の2つの水素原子が、水素原子以外の置換基により置換された化学構造を有するキナクリドン顔料を意味する。水素原子以外の置換基としては、例えば、メチル基、メトキシ基、塩素原子等が挙げられる。そのような顔料としてはPV及び/又はPRから選択される顔料が好ましい。それらの中ではPV19、PR122及びPR202から選択される顔料がより好ましく、PV19及びPR122から選択される顔料がさらに好ましく、発色性や色相を考慮するとPV19及びPR122の併用が特に好ましい。
キナクリドン顔料は1種類を使用することも、2種類以上を併用することもできる。
前記の樹脂を構成するモノマーは、メタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体のそれぞれから、少なくとも1種類ずつ選択されるモノマーが好ましい。
また、メタクリル酸誘導体から選択される3種類のモノマーと、アクリル酸誘導体から選択される1種類のモノマーがより好ましい。
前記の樹脂を構成するモノマーのうち、メタクリル酸から選択されるモノマーが、2種類のアルキルメタクリレート及びメタクリル酸の3種類であり、アクリル酸誘導体がアルキルアクリレートであるのがさらに好ましい。
メタクリル酸誘導体としては、アルキルメタクリレート及びメタクリル酸が好ましい。
アルキルメタクリレートとしては、アルキル部分が通常C1−C18、好ましくはC1−C12、より好ましくはC1−C8であり、飽和又は不飽和のアルキルメタクリレートが挙げられる。
飽和アルキルメタクリレートの具体例としては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート等の直鎖アルキルメタクリレート;イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の分岐鎖アルキルメタクリレート;シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の環状アルキルメタクリレート;が挙げられる。
不飽和アルキルメタクリレートとしては、不飽和C1−C4アルキルメタクリレートがさらに好ましい。その具体例としては、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、プロペニルメタクリレート、ブテニルメタクリレート、ブタジエニルメタクリレート等が挙げられる。
アクリル酸誘導体としては、前記[メタクリル酸誘導体]における「メタクリル酸」を「アクリル酸」と読み替え、また「メタクリレート」を「アクリレート」に読み替えた化合物が挙げられる。
直鎖アルキルメタクリレートは、前記のうち直鎖C1−C3アルキルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートがさらに好ましい。
不飽和アルキルメタクリレートは、前記のうち不飽和C1−C4アルキルメタクリレートがより好ましく、アリルメタクリレートがさらに好ましい。
また、前記の樹脂を構成するアルキルアクリレートは、分岐鎖アルキルアクリレートが好ましく、分岐鎖C3−C8アルキルアクリレートがより好ましく、2−エチルヘキシルアクリレートがさらに好ましい。
前記の樹脂は、例えば国際公開2015/147192号ガゼットが開示する合成方法により得ることができる。また、前記の樹脂は、エマルジョンとして使用することもできる。
MA:メタクリル酸。
ScAM:直鎖アルキルメタクリレート。
BcAA:分岐鎖アルキルアクリレート。
UsAM:不飽和アルキルメタクリレート。
前記インクは、マゼンタインクとして使用するのが好ましい。前記インクは単独で使用してもよいし、フルカラーの記録画像を得る目的で、例えばシアンインク、イエローインク、及びブラックインクを備えるインクジェット記録用インクセットとして用いてもよい。このとき、シアン、イエロー及びブラックの各インクが含有する着色剤は、特に限定されるものではなく、公知の顔料を任意に使用できる。また、この4色のインクセット以外にも、より高精細な色相の記録画像を得る目的で、例えばバイオレット、オレンジ〜ブラウン、グリーン等の各インクを任意に加えた、4色以上のインクセットとしてもよい。
着色剤としては顔料が好ましく、顔料としては、主に無機顔料、有機顔料及び体質顔料等があり、いずれの顔料を用いてもよい。また、それらの顔料は、単独で使用してもよいし、併用してもよい。
顔料を併用する目的としては、色相の調整が挙げられる。色相の調整としては、記録画像の濃淡をつけること、及び色域を広げること、等が挙げられる。また、複数の顔料を併用すると、インク中での保存安定性が向上することもあり、これを目的とすることもある。
前記インクは、着色剤がインク中に分散されている分散インクである。このため、後記するように着色剤の微細化と、分散安定性を良好にする目的から、インクが分散剤を含有するのが好ましい。
前記分散剤の使用量は、分散液を調製するときの固形分換算での質量比率として、着色剤の総質量に対して通常1〜100%、好ましくは、5〜90%、より好ましくは、10〜80%である。この使用量のとき、顔料の微細化が容易で、画像滲み、耐水性、及び耐擦過性等が良好となる。
分散剤の重量平均分子量としては、おおよそ1000〜60000、好ましくは2000〜50000、より好ましくは2500〜50000程度である。また、酸価としては、おおよそ10〜300、好ましくは10〜275、より好ましくは20〜250程度である。これら分散剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散剤は市販品として入手することも可能であり、その具体例としては、いずれもBASF社製の、ジョンクリル61J、67、68、450、55、555、586、678、680、682、683、690;及び、B−36;等が挙げられる。
分散液の調製後に、ろ過及び/又は遠心分離等により、ビーズ等を除去するのと共に、目的とする平均粒径からの乖離が大きい粒子成分を除去することも好ましく行われる。
分散液の調製時に泡立ち等が生じるときは、これを抑える目的で、公知のシリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量添加しても良い。但し、消泡剤の中には着色剤の分散や微粒子化を阻害するものがある。このため、分散や分散後の安定性に影響を及ぼさないものを適宜使用するのが好ましい。
また、同様にD90は通常300nm以下、好ましくは280nm以下、より好ましくは270nm以下である。D90の下限は100nm以上が好ましい。D90がこの範囲のとき、製造が容易で、保存安定性が良好な分散液が得られる。
また、同様にD10は通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上である。D10の上限は100nm以下が好ましい。D10がこの範囲のとき、製造が容易で、印字濃度が良好な分散液が得られる。
これらのうち、インクの総質量に対して水溶性有機溶剤の総含有量は通常5%〜50%、好ましくは10%〜40%である。
また、インクの総質量に対して、水溶性有機溶剤以外のインク調製剤の総含有量は通常0.1%〜20%、好ましくは0.5%〜10%である。
水溶性有機溶剤は特に制限されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール又は第三ブタノール等のC1−C6アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン又はN−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン、エチレンカーボネート等のケトン、ケトアルコール又はカーボネート;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(好ましくは分子量400、800、1540又はそれ以上のもの)、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール又はジチオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、トリメチロールプロパン等のC3−C9ポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル(好ましくはC3−C10のモノ、ジ若しくはトリエチレングリコールエーテル、及びC4−C13のモノ、ジ若しくはトリプロピレングリコールエーテルよりなる群から選択されるグリコールエーテル);1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等の、C5−C9アルカンジオール;γ−ブチロラクトン又はジメチルスルホキシド等;等が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、水へ溶解する高分子であれば特に限定されない。分散安定性の観点からアニオン性高分子及びノニオン性高分子が好ましい。アニオン性高分子の具体例としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸等のアクリル酸誘導体及びポリスチレンスルホン酸塩等のポリスチレン誘導体が挙げられる。ノニオン性高分子の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等があげられる。
界面活性剤の例としては、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。これらの中では、アニオン界面活性剤、及びノニオン界面活性剤よりなる群から選択される、少なくとも1種類の界面活性剤が好ましい。
前記インクに含まれる界面活性剤の総含有量は、インクの総質量に対して通常0.1%〜3%、好ましくは0.2%〜2.5%である。
防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
防腐剤の例としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系又は無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルGXL(S)、プロクセルLV、プロクセルXL−2(S)等が挙げられる。
pH調整剤の具体例としては、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;及び、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム又はウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール又はジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えばスルホ化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物又はトリアジン系化合物が挙げられる。
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類又は複素環類等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系、シリカ鉱物油系、オレフィン系、アセチレン系等が挙げられる。市販の消泡剤としては、例えば、いずれも信越化学工業株式会社製のサーフィノールDF37、DF58、DF110D、DF220、MD−20、オレフィンSK−14等が挙げられる。
無機不純物は、市販品の着色剤が含有していることも多い。このため、必要に応じて着色剤を精製することができる。着色剤の精製方法としては、着色剤を含水の水溶性有機溶剤中で懸濁精製する方法が挙げられる。
また、分散液又はインクを調製した後の精製方法としては、例えば、逆浸透膜によりそれらを精製する方法;又は、それらにイオン交換樹脂を加えて無機不純物を交換吸着する方法;等の方法が挙げられる。
また、インクの表面張力としては、通常10〜50mN/m、20〜40mN/mが好ましい。さらに、インクの粘度としては、通常2mPa・s以上、30mPa・s以下、3mPa・s以上、20mPa・s以下が好ましい。
これらのインクの物性値は、前記インクの調製剤により適宜調整することができる。
インクジェットの吐出方式としては、公知の方式が使用できる。例えば、電荷制御方式、ドロップオンデマンド(圧力パルス)方式;音響インクジェット方式;サーマルインクジェット方式等が挙げられる。
なお、前記の方式には、インク中の着色剤の含有量が少ないインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び無色透明のインクを用いることにより、着色剤の定着性を向上させる方式;等も含まれる。
これらの記録メディアは、インク受容層を有するものと、有しないものとに大別することができる。
このような記録メディアは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙等と呼ばれる。その代表的な市販品の例としては、キヤノン株式会社製の商品名:プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、光沢ゴールド及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン株式会社製の商品名:写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード株式会社製の商品名:アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム株式会社製の商品名:画彩写真仕上げPro;等が挙げられる。
インク受容層を有しない記録メディアに記録を行うときは、インクの定着性等を向上させる目的で、記録メディアに対して表面改質処理をすることも好ましく行われる。
表面改質処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理及びフレーム処理から選択される、少なくとも1つの処理を施すことが好ましい。これらの処理は、公知の方法を用いて行うことができる。また、これらの処理の効果は、経時的に減弱することが一般的に知られている。このため、記録メディアに表面改質処理をしたときは、時間を置かずにインクジェット記録を行うことが好ましい。
前記表面改質処理は、所望の効果が得られるように処理の回数、時間、及び、印可する電圧等を適宜調整して行うことができる。
また、前記インクセットを用いてインクジェット記録を行うときは、各色のインクを含有する各容器をインクジェットプリンタの所定の位置にそれぞれ装填し、前記の記録方法で記録メディアに記録することができる。
本発明は、前記の記録方法等により前記インクが付着した記録メディアを含む。また、前記インクを含有する容器、及びこの容器を備えるインクジェットプリンタも、その範囲に含む。
各種の記録メディアに記録した時、インク受容層の有無に係らず、色相及び彩度が良好、且つモットリングを生じない高画質な記録画像を得ることが出来る。
また、得られた記録画像の耐光性、耐オゾン性等の耐久性も良好である。
また、本インクは保存安定性が優れ、良好な吐出性を有する。更に、インクジェットの目詰りを生じないことからメンテナンス性も良好である。
なお、分散液中の顔料固形分の含有量は、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS−70を用いて乾燥重量法により求めた。平均粒径の測定が必要なときは、マイクロトラック・ベル社製、Nanotrac Wave−EX150を用いた。
ジョンクリル678(MW:8500)20部、及びトリエタノールアミン11.4部をイオン交換水68.6部に溶解し、一時間撹拌して溶液とすることにより、分散剤の水溶液1を調製した。
下記表2中の「ジョンクリル678」は、このジョンクリル678を20%含有する水溶液を意味する。
下記表2に記載した各成分を混合し、サンドグラインダーで1500rpmの条件下、15時間分散処理を行った。得られた液にイオン交換水100部を滴下した後、その液を濾過して分散用ビーズを濾過分離することにより、目的とする分散液1〜4を得た。
得られた各分散液について、顔料固形分の含有量と平均粒径を測定し、下記表2中に記載した。
また、表2及び表3中の略号等は、以下の意味を表す。
PR122:C.I.Pigment Red 122、BASF社製のCinquasia Magenta D4550J。
PV19:C.I.Pigment Violet 19、BASF社製のCinquasia Magenta E05B。
PV19+PR122:クラリアント社製Inkjet Magenta E−02(C.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19の固溶体)。
PR150:C.I.Pigment Red 150、冨士色素社製FUJI FAST CARMINE 522−1D。
SK−14:オルフィンSK−14、日信化学工業株式会社製。
国際公開第2015/147192号ガゼットの調製例4を追試することにより、酸価が6KOHmg/g、Tgが0℃、固形分が25%の樹脂エマルションを調製した。これを「樹脂1」とする。
下記表3に記載の各成分を混合して液を得た。得られた液を3μmのメンブランフィルターで濾別することにより、評価試験用の、実施例1〜3のインクをそれぞれ得た。
下記表3に記載の各成分を用いる以外は実施例1〜3と同様にして、比較例1及び2の比較用インクを得た。
GLY:グリセリン。
DEG:ジエチレングリコール。
2−PY:2−ピロリドン。
SF465: サーフィノール465。
GXL(s):プロキセルGXL(s)。
各実施例、及び比較例のインク(各25μL)をガラスシャーレの上にのせ、60℃の恒温恒湿機で1時間乾燥させた。乾燥後の各インクに、室温で10mlのイオン交換水を滴下し、再分散するか否かを目視にて、下記評価基準で評価した。再分散するインクほど、乾燥後の目詰まりを洗浄により解消し易いため優れている。評価結果を下記表4に示す。
A:残渣がなく、全て再分散する。
B:残渣が少し残るが、ほとんどが再分散している。
C:残渣は多く残るが、一部は再分散している。
D:まったく再分散しない。
各実施例及び比較例で得た各インクを、セイコーエプソン社製インクジェットプリンタ、商品名PX204のマゼンタカートリッジにそれぞれ充填し、王子製紙製コート紙「OKトップコート」に、インクジェット記録を行った。
インクジェット記録は、100%Dutyのベタ画像となるように行い、各実施例又は比較例のインクにより記録された記録画像を得た。これを試験片として用い、下記評価試験を行った。
なお、前記のようにして得た各試験片は、ベタ画像部分の反射濃度Dm値(OD値)を、X−rite社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて測色した。測色条件は、濃度基準にANSI A、視野角2°、光源D50である。測色は小数点以下2桁目まで行い、これを四捨五入して小数点以下1桁とした数値を下記表4に記載した。
評価試験を行う前の各試験片の測色結果を「発色性1」として、下記表4に示した。
各試験片の耐擦過性は、安田精機製作所製No.428学振形染色摩擦堅ろう度試験機を用いて評価した。すなわち、試験片のベタ画像部分に対して500gの荷重を掛けた状態で、新品のOKトップコートを10回擦り合わせ、耐擦過性試験を実施した。試験後の試験片のベタ画像を測色し、結果を「発色性2」として下記表4に示した。
新品のOKトップコートを水で湿潤させたポリエステル布に代え、さらに10回の擦り合わせを2回に代える以外は前記[耐擦過性試験]と同様にして、耐湿潤擦過性試験を実施した。試験後の試験片のベタ画像を測色し、結果を「発色性3」として下記表4に示した。試験に使用したポリエステル布は、ポリエステル100%の(AS ONE社製、アズピュアワイパー)である。
Claims (11)
- キナクリドン顔料、アゾ顔料、及び樹脂を含有するインクであって、前記の樹脂を構成するモノマーが、メタクリル酸誘導体、及びアクリル酸誘導体のそれぞれから、少なくとも1種類ずつ選択されるモノマーであるインク。
- 前記キナクリドン顔料が、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、及びC.I.ピグメントレッド202から選択される顔料である、請求項1に記載のインク。
- 前記アゾ顔料が、C.I.ピグメントレッド150である請求項1に記載のインク。
- 前記の樹脂を構成するモノマーが、メタクリル酸誘導体から選択される3種類のモノマーと、アクリル酸誘導体から選択される1種類のモノマーである請求項1に記載のインク。
- 前記の樹脂を構成するモノマーのうち、メタクリル酸誘導体から選択されるモノマーが、2種類のアルキルメタクリレート及びメタクリル酸の3種類である請求項1又は4に記載のインク。
- 前記の樹脂を構成するモノマーのうち、アクリル酸誘導体がアルキルアクリレートである請求項1又は4に記載のインク。
- 前記の樹脂のガラス転移点が、−10℃〜20℃である請求項1に記載のインク。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクの液滴を、記録信号に応じて吐出させて、記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクが付着した記録メディア。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクを含有する容器を備えるインクジェットプリンタ。
- マゼンタインク、シアンインク、イエローインク及びブラックインクを備えるインクジェット記録用インクセットであって、前記マゼンタインクが請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクであるインクセット。
Priority Applications (1)
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