JP2017176173A - 人工土壌粒子、人工土壌培地、及び人工土壌粒子の製造方法 - Google Patents

人工土壌粒子、人工土壌培地、及び人工土壌粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保水性が高く、耐久性に優れ、且つ取り扱いが容易な人工土壌粒子を提供する。【解決手段】人工土壌粒子10であって、フィラー11と、吸水性ポリマー14と、弾性バインダー15とを含む。フィラー11は、弾性バインダー15を介して結合されている。吸水性ポリマー14の周囲に弾性バインダー15が配置されている。吸水性ポリマー14が湿潤状態にあるときに弾性バインダー15に引張負荷が発生し、吸水性ポリマー14が乾燥状態になると弾性バインダー15の引張負荷が低減するように構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、野菜や観葉植物等の育成培地として使用する人工土壌粒子、人工土壌培地、及び人工土壌粒子の製造方法に関する。
人工土壌は、これまで屋内緑化や植物工場での野菜の栽培等に利用されてきたが、近年、人工土壌の用途が多様化し、例えば、個人宅のベランダや室内等において、観葉植物、ハーブ、果樹等の様々な植物を栽培するために人工土壌が使用されるようになってきている。
人工土壌の開発にあたっては、天然土壌と同等の植物育成力を達成しながら、保水性を適切に維持、管理できる機能が求められる。特に、人工土壌培地に適切な量の水分を吸収、保持させることは、植物の育成に応じた最適な栽培スケジュールを実現するために必要なことである。
保水性を高めた従来の人工土壌として、例えば、古紙を原材料とした植物栽培用培地材が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の植物栽培用培地材は、原材料の古紙(パルプ)の親水性が乏しい場合、古紙の解繊繊維に粉粒状の高吸水性ポリマーを混合することにより、植物栽培用培地材の保水性及び通気性を高めようとするものである。
特開平7−39246号公報
特許文献1の植物栽培用培地材において、高吸水性ポリマーは、綿毛状に複雑に絡みあった解繊繊維の間に存在する。この状態で植物栽培用培地材を灌水すると、高吸水性ポリマーが水分を吸収して膨潤し、解繊繊維に負荷がかかって植物栽培用培地の強度が低下したり、変形する虞がある。また、植物栽培用培地材が乾燥と湿潤とを繰り返すと、高吸水性ポリマーを取り巻いている解繊繊維に繰り返し負荷がかかり、その影響で解繊繊維の絡みあった構造が崩壊し、高吸水性ポリマーが植物栽培用培地材から脱落し易くなる。このように、特許文献1の植物栽培用培地材では、長期に亘って高い保水性を維持することは難しいと考えられる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、保水性が高く、耐久性に優れ、且つ取り扱いが容易な人工土壌粒子、及び人工土壌粒子の製造方法を提供することを目的とする。また、当該人工土壌粒子を使用した人工土壌培地を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌粒子の特徴構成は、
フィラーと、吸水性ポリマーと、弾性バインダーとを含むことにある。
本構成の人工土壌粒子によれば、フィラーと、吸水性ポリマーと、弾性バインダーとを含むため、水分の供給により吸水性ポリマーが膨潤すると、それに追随して弾性バインダーが伸張する。その結果、吸水性ポリマーは人工土壌粒子から脱落することなく、人工土壌粒子中でその高い吸水性を維持し続けることが可能となる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記フィラーは、前記弾性バインダーを介して結合されていることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、フィラーは、弾性バインダーを介して結合されているため、フィラーは粒子内で相互の位置関係を維持することができる。従って、吸水性ポリマーが膨潤しても、フィラーの脱落を抑制することができる。その結果、フィラーの機能を維持することができる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記吸水性ポリマーの周囲に前記弾性バインダーが配置されていることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、吸水性ポリマーの周囲に弾性バインダーが配置されているため、吸水性ポリマーは弾性バインダーに取り囲まれた状態となっている。従って、吸水性ポリマーが膨潤しても、吸水性ポリマーの脱落を抑制することができる。その結果、保水性を維持することができる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記吸水性ポリマーが湿潤状態にあるときに前記弾性バインダーに引張負荷が発生し、前記吸水性ポリマーが乾燥状態になると前記弾性バインダーの引張負荷が低減するように構成されていることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、吸水性ポリマーが乾燥して収縮したときに、吸水性ポリマーを取り囲む弾性バインダーの引張負荷が低減するため、弾性バインダーが切断され難く、乾燥状態で長期間保存することができる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記吸水性ポリマーが乾燥状態にあるときに前記弾性バインダーに圧縮負荷が発生し、前記吸水性ポリマーが湿潤状態になると前記弾性バインダーの圧縮負荷が低減するように構成されていることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、吸水性ポリマーが膨潤したときに、吸水性ポリマーを取り囲む弾性バインダーの圧縮負荷が低減するため、弾性バインダーが切断され難く、湿潤状態で長期間連続的に使用することができる。
本発明に係る人工土壌粒子において、
前記弾性バインダーは、天然ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、及びラテックスからなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
本構成の人工土壌粒子によれば、弾性バインダーとして、上記の適切な材料を選択することで、弾性バインダーが適度な伸縮性を有し、人工土壌粒子の崩壊を抑制できる。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌培地の特徴構成は、
上記に記載の人工土壌粒子を使用することにある。
本構成の人工土壌培地によれば、上記に記載の人工土壌粒子が使用されるため、保水性が高く、耐久性に優れ、且つ取り扱いが容易な人工土壌培地とすることができる。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌粒子の製造方法の特徴構成は、
フィラーと、吸水性ポリマーとを混合する第一混合工程と、
前記第一混合工程で得られた混合物に弾性バインダーを混合する第二混合工程と、
前記第二混合工程で得られた混合物を粒状に成形する造粒工程と、
前記造粒工程で得られた粒状物を乾燥する乾燥工程と、
を包含することにある。
本構成の人工土壌粒子の製造方法によれば、第一混合工程において均一に混合されたフィラー及び吸水性ポリマーに対して、第二混合工程において弾性バインダーを均一に混合することができる。得られた混合物を造粒し、乾燥することにより、フィラーと吸水性ポリマーとが弾性バインダーで結合された人工土壌粒子を得ることができる。
本発明に係る人工土壌粒子の製造方法において、
前記第一混合工程及び/又は前記第二混合工程は、水分を添加した湿式混合により行われることが好ましい。
本構成の人工土壌粒子の製造方法によれば、吸水性ポリマーが膨潤した状態で人工土壌粒子が造粒される。このように、実際の使用時に近い状態で人工土壌粒子を製造することで、保水性が高く、耐久性に優れ、且つ取り扱いが容易なものとすることができる。
図1は、本発明に係る人工土壌培地の模式図である。 図2は、乾燥状態における人工土壌粒子の模式図である。 図3は、湿潤状態における人工土壌粒子の模式図である。
以下、本発明に係る人工土壌粒子、人工土壌粒子の製造方法、及び人工土壌培地に関する実施形態について図面を参照して説明する。なお、説明の便宜上、初めに本発明の人工土壌培地及び人工土壌粒子について説明し、引き続いて、人工土壌粒子の製造方法について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
<人工土壌培地及び人工土壌粒子>
図1は、本発明に係る人工土壌培地100の模式図である。人工土壌培地100は、複数の人工土壌粒子10から構成されており、隣接する人工土壌粒子10の間に一定の隙間Sを有している。この隙間Sを、主に、空気及び水が通過可能であるため、人工土壌培地100で栽培される栽培植物30は、隙間Sを利用して生育に必要な酸素や水分を摂取することができる。なお、人工土壌培地100は、図1に例示した人工土壌粒子10以外に、他の種類の人工土壌粒子や、抗菌剤、防カビ剤等の追加成分を含むものであってもよい。
図2及び図3は、本発明に係る人工土壌粒子10を概念的に示した模式図である。図2(a)は、乾燥状態における人工土壌粒子10の模式図である。図2(b)は、図2(a)の人工土壌粒子10において、破線円で囲ってある領域A1の拡大図である。図3(a)は、湿潤状態における人工土壌粒子10の模式図である。図3(b)は、図3(a)の人工土壌粒子10において、破線円で囲ってある領域A2の拡大図である。図2(a)及び図3(a)に示すように、人工土壌粒子10は、フィラー11及び吸水性ポリマー14を含む。フィラー11及び吸水性ポリマー14は、概ね均等に混ざりあった状態で人工土壌粒子10中に存在する。フィラー11及び吸水性ポリマー14の間には空隙12が存在する。空隙12には、水分及び養分等を保持することができる。空隙12は、隣接する空隙12どうしが連続して粒子の内部から外部へと通じる連通孔を形成している。このため、人工土壌粒子10の外部と吸水性ポリマー14との間で、空隙12を介して水分が流通される。
図2(a)及び図3(a)では、弾性バインダー15は図示を省略しているが、図2(b)及び図3(b)に示すように、人工土壌粒子10は弾性バインダー15を含む。人工土壌粒子10は、複数のフィラー11及び/又は吸水性ポリマー14が弾性バインダー15を介して互いに結合され、造粒されたものである。
フィラー11は、養分(陽イオン又は陰イオン)を取り込み可能な細孔13を有する。細孔13は、空隙12(連通孔)を介して外部へと通じている。従って、人工土壌粒子10は、外部に存在する水分や養分を粒子内に取り込むとともに、粒子内に取り込まれた水分や養分を外部に放出することができる。なお、フィラー11としては、図2(a)及び図3(a)に示すような細孔13を有するもの以外に、層状の構造のものであってもよい。この場合、層間の空間が細孔13と同様の役割を担う。
フィラー11は、人工土壌粒子10に十分な保肥性を与えるように、陽イオン又は陰イオン交換能を有する材料、あるいは陽イオン又は陰イオン交換能が付与された材料を用いることができる。陽イオン交換能を有する材料として、陽イオン交換能を有する鉱物、及び陽イオン交換樹脂を使用することができる。陽イオン交換能を有する鉱物として、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライト、ゼオライト等の無機材料が挙げられる。陽イオン交換樹脂は、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ゼオライトが好ましい。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陰イオン交換能を有する材料として、陰イオン交換能を有する鉱物、及び陰イオン交換樹脂を使用することができる。陰イオン交換能を有する鉱物として、例えば、ハイドロタルサイト、マナセアイト、パイロオーライト、シェーグレン石、緑青等の主骨格として複水酸化物を有する天然層状複水酸化物、合成ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様物質、アロフェン、イモゴライト、カオリン等の無機材料が挙げられる。陰イオン交換樹脂は、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、ハイドロタルサイトが好ましい。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
人工土壌粒子10は、陽イオン交換能又は陰イオン交換能を有する材料の他に、あるいはこれらに換えて、フィラー11として珪藻土を含有することも可能である。例えば、珪藻土とゼオライト又はハイドロタルサイトとを適切な配合比で混合したものを造粒すれば、比較的安価でありながら、保水性及び保肥性の両方を兼ね備えた人工土壌粒子10を設計することができる。また、イオン交換能を有さない多孔質材料(例えば、高分子発泡体、ガラス発泡体等)を別に用意し、当該多孔質材料の細孔に上記の陽イオン交換能又は陰イオン交換能を有する材料を圧入や含浸等によって導入し、これをフィラー11として使用することも可能である。
吸水性ポリマー14は、吸水性を有する高分子材料を主成分とした粉体又は顆粒物を用いることが好ましい。吸水性を有する高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシセルロース、メチルセルロース、アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなど)などが挙げられる。これらの高分子材料は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。人工土壌粒子10が吸水性ポリマー14を含むことにより、人工土壌粒子10の保水性が向上するため、水やりの回数を削減することができる。
弾性バインダー15としては、例えば、天然ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ラテックスなどが挙げられる。これらの弾性バインダー15は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。人工土壌粒子10が弾性バインダー15を含むことにより、後述するように、人工土壌粒子10中の吸水性ポリマー14が膨潤したり、人工土壌粒子10に外部応力が付加されることで人工土壌粒子10が変形しても、それに追随して弾性バインダー15が伸縮することができるため、人工土壌粒子の崩壊を抑制できる。
弾性バインダー15は、さらに、樹脂架橋剤を含むこともできる。樹脂架橋剤としては、例えば、イソシアネート、ビニルスルホン化合物、アジリジン、ジヒドラジド、メチル化アミン、ジグリシジルエーテル、カルボジイミド、ホルムアルデヒド、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
次に、人工土壌粒子10が乾燥状態から湿潤状態に変化したときのフィラー11、吸水性ポリマー14、及び弾性バインダー15の挙動について説明する。
乾燥状態にある人工土壌粒子10は、図2(a)に示すように、フィラー11どうしが近接した状態で人工土壌粒子10の内部に存在している。弾性バインダー15は、図2(b)に示すように、吸水性ポリマー14の周囲に配置され、フィラー11と吸水性ポリマー14との間、あるいはフィラー11どうしを結合している。この状態で人工土壌粒子10に水分を供給すると、図3(a)に示すように、吸水性ポリマー14が膨潤して人工土壌粒子10が膨張し、図2(a)に示した乾燥状態の人工土壌粒子10と比べてかさが増大する。この人工土壌粒子のかさの増大に伴って、フィラー11は互いに離間することになるが、図3(b)に示すように、吸水性ポリマー14の周囲に配置されている弾性バインダー15が伸張することで、フィラー11は粒子内で概ね相互の位置関係を維持することができる。従って、吸水性ポリマー14が膨潤しても、フィラー11の脱落を抑制することができる。その結果、フィラー11の機能を維持することができる。また、弾性バインダー15の伸張によって吸水性ポリマー14も人工土壌粒子10から脱落することがないため、吸水性ポリマー14は人工土壌粒子10中でその高い吸水性を維持することができる。
人工土壌粒子10は、吸水性ポリマー14が湿潤状態にあるときに弾性バインダー15に引張負荷が発生し、吸水性ポリマー14が乾燥状態になると弾性バインダー15の引張負荷が低減するように構成されていてもよい。本明細書において、引張負荷とは、弾性バインダー15が引っ張られたときに、その引っ張り方向に作用する負荷と定義する。この場合、吸水性ポリマー14が乾燥して収縮したときに、吸水性ポリマー14を取り囲む弾性バインダー15の引張負荷が低減するため、弾性バインダー15が切断され難くなる。その結果、人工土壌粒子10は、乾燥状態で長期間保存することができる。
人工土壌粒子10は、吸水性ポリマー14が乾燥状態にあるときに弾性バインダー15に圧縮負荷が発生し、吸水性ポリマー14が湿潤状態になると弾性バインダー15の圧縮負荷が低減するように構成されていてもよい。本明細書において、圧縮負荷とは、弾性バインダー15が圧縮されたときに、その圧縮方向に作用する負荷と定義する。この場合、吸水性ポリマー14が膨潤したときに、吸水性ポリマー14を取り囲む弾性バインダー15の圧縮負荷が低減するため、弾性バインダー15が切断され難くなる。その結果、人工土壌粒子10は、湿潤状態で長期間連続的に使用することができる。
人工土壌粒子10の粒径は、栽培対象の植物により適宜選択されるが、根菜、果樹、又は観葉植物を対象とする場合、1〜10mmが好ましく、2〜8mmがより好ましく、2〜5mmがさらに好ましい。粒径が1mm未満の場合、粒子間に形成される隙間Sのサイズが小さくなり、隙間の毛管力により水分が過剰に保持されることになる。その結果、排水性が低下することにより植物の根から酸素を吸収し難くなり、根腐れが発生する虞がある。一方、粒径が10mmを超えると、隙間Sのサイズが大きくなって排水性が過剰になり過ぎることにより植物が水分を吸収し難くなったり、人工土壌培地100が疎になって植物が横倒れする虞がある。人工土壌粒子10の粒径は、篩掛け等により調整することができる。
<人工土壌粒子の製造方法>
本発明に係る人工土壌粒子10は、人工土壌粒子10の原材料を混合する第一混合工程及び第二混合工程と、第二混合工程で得られた混合物を粒状に成形する造粒工程と、造粒工程で得られた粒状物を乾燥する乾燥工程とを実行することにより製造される。以下、夫々の工程について説明する。
〔第一混合工程〕
原材料を混合する第一混合工程では、フィラー11と、吸水性ポリマー14とを混合する。これにより、フィラー11と、吸水性ポリマー14とが均一に混合された混合物が得られる。第一混合工程は、水分を添加した湿式混合により行うことが好ましい。これにより、吸水性ポリマー14が膨潤した状態で人工土壌粒子10が造粒される。実際の使用時に近い状態で、人工土壌粒子10を製造することで、吸水性ポリマー14の膨潤による人工土壌粒子10の崩壊が抑止される。従って、保水性が高く、耐久性に優れ、且つ取り扱いが容易な人工土壌粒子10が得られる。
〔第二混合工程〕
第二混合工程では、第一混合工程で得られた混合物に弾性バインダー15を混合する。これにより、第一混合工程において均一に混合されたフィラー11及び吸水性ポリマー14に対して、弾性バインダー15を均一に混合することができる。そして、フィラー11及び吸水性ポリマー14が弾性バインダー15で取り囲まれた状態の混合物が得られる。なお、第二混合工程においても、必要に応じて、水や水以外の溶媒を添加することも可能である。例えば、弾性バインダー15を水に分散させてエマルジョン化したラテックスとして混合することも有効である。これにより、弾性バインダー15がフィラー11及び吸水性ポリマー14を巻き込みながら混合物内に分散し、より均一な混合状態が得られ易くなる。
〔造粒工程〕
造粒工程では、第二混合工程で得られた混合物を粒状に成形する。粒状物の形成は、例えば、混合物を造粒機に導入して、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等の公知の造粒法により行うことができる。あるいは、混合物を手に採り、手動で造粒(転動造粒)することも可能である。また、混合物に必要に応じて溶媒等を加えて混練し、これを乾燥してブロック状にしたものを、乳鉢及び乳棒、ハンマーミル、ロールクラッシャー等の粉砕手段で適宜粉砕して粒状物とすることも可能である。
〔乾燥工程〕
乾燥工程では、造粒工程で得られた粒状物を乾燥する。乾燥条件は、40〜150℃で、5〜30時間とすることが好ましい。乾燥温度が40℃より低い場合、あるいは乾燥時間が5時間より短い場合、造粒物中に水分が過剰に残留するため、弾性バインダー15が吸水性ポリマー14及びフィラー11を十分に結合することができなくなり、その結果、人工土壌粒子に必要な耐久性や強度等の性能が得られ難くなる。一方、乾燥温度が150℃より高い場合、あるいは乾燥時間が30時間より長い場合、弾性バインダー15に含まれる樹脂が分解して強度や耐久性が低下したり、樹脂が溶融して流れ出し、人工土壌粒子内の空隙を閉塞する虞がある。空隙が閉塞された人工土壌粒子は、内部に水が侵入し難いため、良好な保水性が得られなくなる。生成した粒状物は、必要に応じて分級が行われ、人工土壌粒子10とされる。これにより、フィラー11と吸水性ポリマー14とが弾性バインダー15で結合された人工土壌粒子10が得られる。
<別実施形態>
(1)上記実施形態では、人工土壌粒子内において弾性バインダーが吸水性ポリマーの周囲に配置され、弾性バインダーがフィラーと吸水性ポリマーとの間、あるいはフィラーどうしを結合するものについて説明したが、弾性バインダーは少なくとも人工土壌粒子の表面付近に存在していればよい。例えば、弾性バインダーによって人工土壌粒子の表面に被覆層を設けることも可能である。この場合、灌水等により吸水性ポリマーが水分を吸収して膨潤すると、人工土壌粒子内でフィラーどうしの位置関係は変化し得るが、人工土壌粒子の表面に存在する樹脂バインダーの被覆層によってフィラーや吸水性ポリマーが外部に流失することは阻止されるため、人工土壌粒子としての形状を維持することができる。
(2)上記実施形態では、弾性バインダーとして各種ゴム材料を例示したが、弾性バインダーの代用として弾性繊維を使用することも可能である。この場合、弾性繊維がフィラー及び吸水性ポリマーに絡みつくように人工土壌粒子を造粒することで、吸水性ポリマーが膨潤しても弾性繊維が伸張してフィラー間の相互の位置関係が維持されるため、フィラー及び吸水性ポリマーの脱落を防止することができる。
(3)上記実施形態では、人工土壌粒子を製造するに際し、公知の造粒機を用いて原材料を造粒することを説明したが、人工土壌粒子の原材料を、高分子ゲル化剤のゲル化反応(例えば、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応、カルボキシメチルセルロース(CMC)のゲル化反応、カラギーナン等の多糖類の二重らせん構造化反応によるゲル化反応等)を利用して粒状化させることも可能である。
(4)上記実施形態では、吸水性ポリマーが湿潤状態にあるときに弾性バインダーに引張負荷が発生し、吸水性ポリマーが乾燥状態になると弾性バインダーの引張負荷が低減するように構成されている人工土壌粒子、及び吸水性ポリマーが乾燥状態にあるときに弾性バインダーに圧縮負荷が発生し、吸水性ポリマーが湿潤状態になると弾性バインダーの圧縮負荷が低減するように構成されている人工土壌粒子の二種類の人工土壌粒子を夫々含む人工土壌培地について説明したが、人工土壌培地を調製するにあたっては、これら二種類の人工土壌粒子を混合することも可能である。この場合、水やりの回数や保存期間などの使用状況に応じて適切に機能する人工土壌培地を得ることができる。
<人工土壌粒子の作製>
本発明に係る人工土壌粒子(実施例1〜3:フィラー、吸水性ポリマー、及び弾性バインダーを含むもの)、並びに比較対照としての人工土壌粒子(比較例1及び2:フィラー、及び吸水性ポリマーを含むが、弾性バインダーを含まないもの)を作製した。本発明に係る人工土壌粒子の作製にあたっては、以下の材料を使用した。各材料の配合を表1に示す。
〔フィラー〕
・ゼオライト:琉球ライトCEC600、株式会社エコウエル製
・ベントナイト:関西ベントナイト、カネサン工業株式会社製
・珪藻土:ラジオライト(登録商標)♯3000、昭和化学工業株式会社製
〔吸水性ポリマー〕
・吸水性樹脂:アクアコーク(登録商標)TWB粉砕品、住友精化株式会社製
・寒天:和光純薬工業株式会社製
〔弾性バインダー〕
・ラテックス:SBRラテックス(スチレンブタジエンゴム)、日本ゼオン株式会社製
Figure 2017176173
(実施例1)
表1の配合に従って、フィラーとしてゼオライト100重量部と、吸水性ポリマーとして吸水性樹脂10重量部とを混合し、固形混合物を調製した。また、これとは別に、水100重量部に、弾性バインダーとしてラテックス10重量部を混合し、バインダー液を調製した。固形混合物にバインダー液を少量ずつ添加しながら混錬し、さらに混合物が粒状となるように手動による転動造粒を行った。生成した粒状物を70℃で24時間乾燥し、実施例1の人工土壌粒子を得た。
(実施例2)
表1の配合に従って、フィラーとしてゼオライト80重量部及びベントナイト20重量部と、吸水性ポリマーとして寒天10重量部とを混合し、固形混合物を調製した。また、これとは別に、水100重量部に、弾性バインダーとしてラテックス5重量部を混合し、バインダー液を調製した。固形混合物にバインダー液を少量ずつ添加しながら混錬し、さらに混合物が粒状となるように手動による転動造粒を行った。生成した粒状物を70℃で24時間乾燥し、実施例2の人工土壌粒子を得た。
(実施例3)
表1の配合に従って、フィラーとしてゼオライト20重量部及び珪藻土80重量部と、吸水性ポリマーとして吸水性樹脂2重量部及び寒天8重量部とを混合し、固形混合物を調製した。また、これとは別に、水100重量部に、弾性バインダーとしてラテックス10重量部を混合し、バインダー液を調製した。固形混合物にバインダー液を少量ずつ添加しながら混錬し、さらに混合物が粒状となるように手動による転動造粒を行った。生成した粒状物を70℃で24時間乾燥し、実施例3の人工土壌粒子を得た。
(比較例1)
表1の配合に従って、フィラーとしてゼオライト100重量部と、吸水性ポリマーとして吸水性樹脂10重量部とを混合し、固形混合物を調製した。固形混合物に水100重量部を少量ずつ添加しながら混錬し、さらに混合物が粒状となるように手動による転動造粒を行った。生成した粒状物を70℃で24時間乾燥し、比較例1の人工土壌粒子を得た。
(比較例2)
表1の配合に従って、フィラーとしてゼオライト100重量部と、吸水性ポリマーとして吸水性樹脂10重量部とを混合し、固形混合物を調製した。また、これとは別に、水100重量部に、弾性バインダーではない一般バインダー(酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(CH18)、コニシ株式会社製)10重量部を混合し、バインダー液を調製した。固形混合物にバインダー液を少量ずつ添加しながら混錬し、さらに混合物が粒状となるように手動による転動造粒を行った。生成した粒状物を70℃で24時間乾燥し、比較例2の人工土壌粒子を得た。
<人工土壌粒子の耐久性評価>
実施例1〜3の人工土壌粒子、並びに比較例1及び2の人工土壌粒子について、耐久性を評価するため、膨潤及び乾燥を繰り返し行う反復試験を実施した。試験では、夫々の人工土壌粒子に対して、水分を供給して湿潤させた後に乾燥して元に戻すというサイクルを5回繰り返し、目視又は顕微鏡下で人工土壌粒子の表面状態を確認した。
結果は、実施例1〜3の人工土壌粒子は、何れも表面状態に大きな変化は見られず、十分な耐久性を有するものであった。一方、比較例1及び2の人工土壌粒子は、表面に多数のひび割れが発生しており、耐久性に劣るものであった。本発明の人工土壌粒子は、フィラーと、吸水性ポリマーと、弾性バインダーとを含むため、湿潤状態となって人工土壌粒子に含まれる吸水性ポリマーが膨潤しても、それに追随して弾性バインダーが伸張することが可能であり、その結果、吸水性ポリマーは人工土壌粒子から脱落することなく、人工土壌粒子中でその高い吸水性を維持し続けることができると考えられる。
本発明の人工土壌粒子、人工土壌培地、及び人工土壌粒子の製造方法は、観賞用や園芸用で行われる植物の栽培に利用可能であるが、その他の用途として、植物工場用土壌培地、成形土壌培地、土壌改良等にも利用可能である。
10 人工土壌粒子
11 フィラー
14 吸水性ポリマー
15 弾性バインダー
100 人工土壌培地

Claims (9)

  1. フィラーと、吸水性ポリマーと、弾性バインダーとを含む人工土壌粒子。
  2. 前記フィラーは、前記弾性バインダーを介して結合されている請求項1に記載の人工土壌粒子。
  3. 前記吸水性ポリマーの周囲に前記弾性バインダーが配置されている請求項1又は2に記載の人工土壌粒子。
  4. 前記吸水性ポリマーが湿潤状態にあるときに前記弾性バインダーに引張負荷が発生し、前記吸水性ポリマーが乾燥状態になると前記弾性バインダーの引張負荷が低減するように構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌粒子。
  5. 前記吸水性ポリマーが乾燥状態にあるときに前記弾性バインダーに圧縮負荷が発生し、前記吸水性ポリマーが湿潤状態になると前記弾性バインダーの圧縮負荷が低減するように構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌粒子。
  6. 前記弾性バインダーは、天然ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、及びラテックスからなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項1〜5の何れか一項に記載の人工土壌粒子。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の人工土壌粒子を使用した人工土壌培地。
  8. フィラーと、吸水性ポリマーとを混合する第一混合工程と、
    前記第一混合工程で得られた混合物に弾性バインダーを混合する第二混合工程と、
    前記第二混合工程で得られた混合物を粒状に成形する造粒工程と、
    前記造粒工程で得られた粒状物を乾燥する乾燥工程と、
    を包含する人工土壌粒子の製造方法。
  9. 前記第一混合工程及び/又は前記第二混合工程は、水分を添加した湿式混合により行われる請求項8に記載の人工土壌粒子の製造方法。
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