JP6034634B2 - 人工土壌成型体、緑化用シート、壁面緑化パネル、及び園芸用ブロック - Google Patents

人工土壌成型体、緑化用シート、壁面緑化パネル、及び園芸用ブロック Download PDF

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Description

本発明は、人工土壌粒子を成型してなる人工土壌成型体、並びに当該人工土壌成型体を使用した緑化用シート、壁面緑化パネル、及び園芸用ブロックに関する。
ビルや住宅等の屋上やバルコニーにおいて、床面や壁面に土壌を敷き詰め、樹木を植樹したり、野菜等を栽培したり、芝生を植栽したりする緑化が盛んに行われている。このような緑化は、大気の浄化やヒートアイランド現象の緩和などへの寄与が大きく、また快適な住環境の形成にも役立っている。建物の屋上等を緑化するためには、培土として使用する土壌が軽量であり且つ保水性を有していること、及び建物の床面や壁面に施工する際の作業性が良好であることが重要となる。そこで、重量が大きく、作業性の悪い天然土壌に代えて、軽量で且つ保水性に優れ、作業性にも長けている植生マット等の開発が行われている。
これまで開発された植生マットとしては、例えば、繊維を不織布状に堆積して形成した基盤マットの繊維間隙に植栽土壌を摺込み充填して一体状とし、最下層は密に、最上層は粗となるように密度勾配を設け、最下層を保水層とした植生マットがあった(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の植生マットは、基盤マットの最上層の繊維間隙に粒度の細かい植栽土壌を充填し、最下層の繊維間隙に粒度の粗い植栽土壌を充填することで、植生マットの水の保持力を向上させるとともに、風雨による土壌の流出を防止している。
特開2000−144749号公報
特許文献1の植生マットは、最下層の繊維間隙を密に形成することにより保水性を向上させるとともに、当該最下層の繊維間隙に粒度の粗い植栽土壌を充填することにより植栽土壌の風雨による流出を防止している。しかし、特許文献1の植生マットは、外部環境が湿潤状態になると、植生マットの最下層に水が過剰に保持されることにより排水性が悪化する。このような場合、植物の成長が阻害されるとともに、建物に悪影響を及ぼす虞がある。さらに、特許文献1の植生マットは、密に形成した繊維間隙と粒度の粗い植栽土壌との間において保水性を維持している。このような場合、外部環境が乾燥状態になると、繊維間隙と粒度の粗い植栽土壌との間から水が外部に漏出するため、植物に必要な水を植生マットに十分保持することができなくなる。また、特許文献1の植生マットでは、保肥性を得るために植栽土壌としてバークとココピートとを含む人工土壌を使用しているが、この人工土壌は十分軽量であるとは言い難く、作業性に問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、軽量で取り扱いが容易な人工土壌粒子を成型してなる人工土壌成型体を提供することを目的とする。さらに、当該人工土壌成型体を使用した緑化用シート、壁面緑化パネル、及び園芸用ブロックを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌粒子を成型した人工土壌成型体の特徴構成は、
細孔を有する複数のフィラーを三次元ネットワーク状に結合することにより前記フィラーの間に連通孔を形成し、前記連通孔の全容積が前記細孔の全容積より大きくなるように構成された人工土壌粒子を成型してなり、前記連通孔が外部から水分及び養分を取り込むとともに、前記細孔が前記連通孔から前記養分を受け取り可能なように、前記細孔が前記連通孔に接続した状態で前記細孔が前記連通孔の周囲に分散配置されていることにある。
本構成の人工土壌成型体は、構成する人工土壌粒子に含まれる複数のフィラーが三次元ネットワーク状に結合されているので、人工土壌粒子の構造が安定化する。この人工土壌粒子の安定な構造により、人工土壌粒子を成型した人工土壌成型体は人工土壌粒子間に一定の隙間を形成するため、一定の排水性が確保される。また、連通孔の全容量が細孔の全容量より大きくなるように人工土壌粒子を構成しているため、人工土壌成型体を軽量化することができる。軽量な人工土壌成型体は取り扱いが容易であるため、建物の屋上やバルコニーにおいて、床面及び壁面の緑化に好適に利用することができる。
また、本構成の人工土壌成型体によれば、人工土壌成型体を構成する人工土壌粒子について、一つの粒子内において、細孔と連通孔との間に特定の関係を持たせており、細孔と連通孔とで異なる機能を分担させているため、土壌としての基本性能をバランスよく発揮し得る(すなわち、保水性と保肥性とのバランスに優れた)、高品質で機能的な人工土壌粒子を実現することができる。また、このような人工土壌粒子は、栽培対象の植物に対して水分や養分を適切に供給できるので、メンテナンスに手間が掛からず、取り扱いが容易なものとなる。
本発明に係る人工土壌成型体において、
前記細孔はサブnmオーダー乃至サブμmオーダーのサイズを有し、前記連通孔はサブμmオーダー乃至サブmmオーダーのサイズを有することが好ましい。
本構成の人工土壌成型体によれば、人工土壌成型体を構成する人工土壌粒子において、細孔がサブnmオーダー乃至サブμmオーダーのサイズを有し、連通孔はサブμmオーダー乃至サブmmオーダーのサイズを有することで、連通孔に水分が流通し、細孔に養分が入り易くなる。従って、栽培対象の植物に対して水分及び養分を同時に供給することが可能となる。
本発明に係る人工土壌成型体において、
前記連通孔の少なくとも一部に保水性材料が導入されるとともに、前記細孔にイオン交換能を付与してあることが好ましい。
本構成の人工土壌成型体によれば、人工土壌成型体を構成する人工土壌粒子において、連通孔の少なくとも一部に保水性材料を導入することで、連通孔の保水性がさらに高まる。その結果、人工土壌成型体として保水力がさらに高まり、乾燥に強いものとすることができる。また、細孔にイオン交換能を付与することで、細孔の保肥性がさらに高まる。その結果、人工土壌成型体からの肥料の流失を抑制しながら、植物は人工土壌成型体に含まれる肥料を効率的に吸収することが可能となる。
上記課題を解決するための本発明に係る緑化用シートの特徴構成は、
上記何れか一つの人工土壌成型体をシート状に敷設したことにある。
本構成の緑化用シートは、本発明の人工土壌成型体をシート状に敷設したものであるため、軽量で取り扱いが容易なものとなる。このような緑化用シートは、建物の屋上やバルコニーにおいて、床面及び壁面に容易に施工可能である。また、緑化用シートを構成する人工土壌成型体が保水性及び保肥性を備えることから、栽培対象の植物に対して水分や養分を適切に供給することができ、メンテナンスに手間が掛からない。
上記課題を解決するための本発明に係る壁面緑化パネルの特徴構成は、
上記何れか一つの人工土壌成型体を枠体で保持したことにある。
本構成の壁面緑化パネルは、本発明の人工土壌成型体を枠体で保持したものであるため、軽量で取り扱いが容易なものとなる。このような壁面緑化パネルは、建物の屋上やバルコニーにおいて、床面及び壁面に容易に施工可能である。また、壁面緑化パネルを構成する人工土壌成型体が保水性及び保肥性を備えることから、栽培対象の植物に対して水分や養分を適切に供給することができ、メンテナンスに手間が掛からない。
上記課題を解決するための本発明に係る園芸用ブロックの特徴構成は、
上記何れか一つの人工土壌成型体をブロック状に積層したことにある。
本構成の園芸用ブロックは、本発明の人工土壌成型体をブロック状に積層したものであるため、軽量で取り扱いが容易なものとなる。このような園芸用ブロックは、建物の屋上やバルコニーにおいて、床面及び壁面に容易に施工可能である。また、園芸用ブロックを構成する人工土壌成型体が保水性及び保肥性を備えることから、栽培対象の植物に対して水分や養分を適切に供給することができ、メンテナンスに手間が掛からない。
図1は、本発明に使用する人工土壌粒子を概念的に表した説明図である。 図2は、本発明に使用する人工土壌粒子の細孔と連通孔との位置関係を概念的に表したモデル図である。 図3は、本発明に使用する人工土壌粒子の保水性及び保肥性のメカニズムを示した説明図である。 図4は、本発明の人工土壌成型体の説明図である。 図5は、本発明の緑化用シートの説明図である。 図6は、本発明の緑化用シートに植物を植えた状態を示す一部断面図である。 図7は、本発明の壁面緑化パネルの説明図である。 図8は、本発明の園芸用ブロックの説明図である。
以下、本発明の人工土壌成型体、緑化用シート、壁面緑化パネル、及び園芸用ブロックに関する実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。なお、本明細書では、説明の便宜上、初めに本発明の人工土壌成型体を構成する人工土壌粒子について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
<人工土壌粒子>
図1は、本発明に使用する人工土壌粒子10を概念的に表した説明図である。図1(a)は、フィラー1として、多孔質天然鉱物であるゼオライト1aを使用した人工土壌粒子10を例示したものである。図1(b)は、フィラー1として、層状天然鉱物であるハイドロタルサイト1bを使用した人工土壌粒子10を例示したものである。なお、図1中に示す記号x、y及びzは、後述する細孔2、連通孔3及び人工土壌粒子10のサイズを夫々表しているが、図面上でのx、y及びzの大きさは実際のサイズを反映したものではない。
人工土壌粒子10は、複数のフィラー1が集合して粒状に構成されたものである。そして、人工土壌粒子10を構成する複数のフィラー1の間には連通孔3が形成される。人工土壌粒子10中の複数のフィラー1は、それらが互いに接触していることは必須ではなく、一粒子内でバインダー等を介して三次元ネットワーク状に結合し、フィラー1の間に連通孔3が形成されていればよい。この連通孔3は、人工土壌粒子10の外部と接続しており、人工土壌粒子10内と外部環境との間の通水性を確保している。
人工土壌粒子10を構成するフィラー1は、表面から内部にかけて多数の細孔2を有する。細孔2は、種々の形態を含む。例えば、フィラー1がゼオライトである場合、図1(a)に示すように、当該ゼオライト1aの結晶構造中に存在する空隙2aが細孔2である。フィラー1がハイドロタルサイトの場合、図1(b)に示すように、ハイドロタルサイト1bは層構造を形成しているため、層構造中に存在する層間2bが細孔2となる。つまり、本発明において「細孔」とは、フィラー1の構造中に存在する空隙部、層間部、空間部等を意図し、これらは「孔状」の形態に限定されるものではない。
フィラー1の細孔2のサイズ(図1に示す空隙2a又は層間2bのサイズxの平均値)は、サブnmオーダー乃至サブμmオーダーとなる。例えば、フィラー1が、図1(a)に示すゼオライト1aの場合、当該ゼオライト1aの結晶構造中に存在する空隙2aのサイズ(径)は、0.3〜1.3nm程度である。フィラー1が、図1(b)に示すハイドロタルサイト1bの場合、当該ハイドロタルサイト1bの層構造中に存在する層間2bのサイズ(距離)は、0.3〜3.0nm程度である。この他に、フィラー1として、後述する有機多孔質材料を使用することもでき、その場合の細孔2の径xは、0.1〜0.8μm程度となる。フィラー1の細孔2のサイズは、測定対象の状態に応じて、ガス吸着法、水銀圧入法、小角X線散乱法、画像処理法等を用いて、又はこれらの方法を組み合わせて、最適な方法により測定される。
連通孔3のサイズ(図1に示す隣接するフィラー1間の距離yの平均値)は、フィラー1やバインダーの種類、組成、造粒条件により変化し得るが、サブμmオーダー乃至サブmmオーダーとなる。例えば、フィラー1が、図1(a)に示すゼオライト1a、又は図1(b)に示すハイドロタルサイト1bであり、高分子ゲル化剤を使用した場合、連通孔3のサイズは、0.1〜20μmである。連通孔3のサイズは、測定対象の状態に応じて、ガス吸着法、水銀圧入法、小角X線散乱法、画像処理法等を用いて、又はこれらの方法を組み合わせて、最適な方法により測定される。本実施形態では、以下の測定法により、連通孔3のサイズを測定した。先ず、測定対象の人工土壌粒子をスケールとともに顕微鏡で観察し、その顕微鏡画像を画像処理ソフト(二次元画像解析処理ソフトウェア「WinROOF」、三谷商事株式会社製)を使用して取得する。画像から100個の人工土壌粒子を選択し、連通孔の輪郭をトレースする。トレースした図形の周長から、相当円の直径を算出する。夫々の連通孔から求めた相当円の直径(100個)の平均を平均サイズ(単位:ピクセル)とする。そして、平均サイズを顕微鏡画像中のスケールと比較し、単位長さ(μmオーダー乃至mmオーダー)に変換して、連通孔のサイズを算出する。
本発明に使用する人工土壌粒子10は、一つの粒子内において、フィラー1の細孔2とフィラー1の間に形成される連通孔3との間に特定の関係を持たせている。すなわち、人工土壌粒子10に存在する細孔2及び連通孔3は、連通孔3が外部から水分及び養分を取り込むとともに、細孔2が連通孔3から養分を受け取り可能なように、細孔2が連通孔3の周囲に分散配置されている。この細孔2と連通孔3との位置関係について、図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明に使用する人工土壌粒子10の細孔2と連通孔3との位置関係を概念的に表したモデル図である。なお、図2は、図1に示した人工土壌粒子10の内部構造をモデル化したものであるが、実際の人工土壌粒子10の内部構造をそのまま反映したものではない。人工土壌粒子10において、細孔2が連通孔3の周囲に分散配置されているとは、細孔2が連通孔3に接続しており、しかも連通孔3に接続する細孔2が実質的に連通孔3の周囲全体に存在していることを意味する。例えば、図2を見ると、サイズxの多数の細孔2がサイズyの連通孔3に接続しており、しかも、多数の細孔2が連通孔3の長さ全体に沿って存在している状態が表されている。このような細孔2と連通孔3との特定の位置関係は、本発明に使用する人工土壌粒子10の大きな特徴である。この特定の位置関係は、細孔2及び連通孔3の概ね半数以上にあればよい。なお、図2では、紙面の都合上、細孔2と連通孔3との特定の位置関係を二次元的に示してあるが、実際の人工土壌粒子10には三次元的な拡がりで上述の特定の位置関係が形成されている。細孔2と連通孔3との特定の位置関係を出現させるための条件は、現在のところまだ十分に明らかにはなっていないが、例えば、フィラー1として結晶性が高い材料を選択したり、フィラー1として特異な結晶構造を有する材料を選択したり、フィラー1として複数種を特定の組合せで使用したり、フィラー1が有する結晶構造や層構造を制御したり、フィラー1に配向性を与える処理をしたり、フィラー1を粒状化する際に特定の添加剤を添加したり、フィラー1の造粒法(粒状化条件)を最適化したりすることで、より強く出現させることができる可能性があると考えられる。
人工土壌粒子10の細孔2及び連通孔3は、連通孔3の全容積が細孔2の全容積より大きくなるように構成される。これにより、人工土壌粒子10が軽量となるため、嵩密度が小さくなる。軽量な人工土壌粒子10は、ビルや住宅等の建物の屋上やバルコニーの床面及び壁面に使用する人工土壌成型体に好適に利用することができる。また、連通孔3の全容積が細孔2の全容積より大きくなると、連通孔3の保水性が十分に確保され、且つ水に含まれる養分を連通孔3から細孔2へとスムーズに移動させることができる。人工土壌粒子10は、内部に存在する多数の空隙のため、軽量で、且つ保水性、保肥性、排水性、通気性等の土壌としての基本性能が優れており、高い付加価値を有している。
人工土壌粒子10の粒径(図1に示す人工土壌粒子10のサイズzの平均値)は、0.2〜10mmであり、好ましくは0.5〜5mmであり、より好ましくは1〜5mmである。人工土壌粒子10の粒径の調整は、例えば、篩による分級で行うことができる。人工土壌粒子10の粒径が0.2mm未満の場合、人工土壌粒子10間の間隙が小さくなって排水性が低下することにより、栽培する植物が根から酸素を吸収し難くなる虞がある。一方、人工土壌粒子10の粒径が10mmを超えると、人工土壌粒子10間の間隙が大きくなって排水性が過剰になり過ぎることにより、植物が水分を吸収し難くなったり、人工土壌粒子10が疎になって植物が横倒れする虞がある。人工土壌粒子10の粒径は、例えば、光学顕微鏡観察及び画像処理法を用いて測定される。本実施形態では、前述の画像処理を用いた測定法により、人工土壌粒子10の粒径を測定した。
人工土壌粒子10を設計するに際し、連通孔3の保水性をさらに高めることも可能である。連通孔3の保水性を向上させる一つの方法として、人工土壌粒子10の連通孔3に保水性材料を導入することが挙げられる。保水性材料は、例えば、連通孔3の全体に保水性材料を充填したり、連通孔3の表面を保水性材料の膜でコーティングしたりすることで導入可能である。このとき、連通孔3の少なくとも一部に保水性材料が存在していればよい。保水性材料の導入は、例えば、保水性のある高分子材料を溶媒に溶解して高分子溶液を調製し、当該高分子溶液を人工土壌粒子10に含浸させることによって行われる。この場合、人工土壌粒子10は連通孔3の保水力が大きく向上するため、例えば、人工土壌粒子10を薄いマット状に成型した場合、長期間水を与えなくとも植物の枯れや育成不良を防止することができる。
保水性材料として使用可能な高分子材料は、例えば、ポリアクリル酸塩系ポリマー、ポリスルホン酸塩系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアルキレンオキサイド系ポリマー等の合成高分子系保水性材料、ポリアスパラギン酸塩系ポリマー、ポリグルタミン酸塩系ポリマー、ポリアルギン酸塩系ポリマー、セルロース系ポリマー、デンプン等の天然高分子系保水性材料が挙げられる。これらの保水性材料は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
連通孔3の保水性を向上させる他の方法として、人工土壌粒子10を調製するに際し、原料であるフィラー1の一部又は全部に保水性フィラーを使用することが挙げられる。この場合、生成した人工土壌粒子10は、それ自体が保水性を有することになるので、保水性を向上させるための特別な後処理は不要となる。保水性フィラーには親水性フィラーや多孔質粒状物を使用することができ、親水性フィラーの例としては、ゼオライト、スメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、タルク、シリカ、複水酸化物等が挙げられ、多孔質粒状物の例としては、発泡ガラス、多孔質金属、多孔質セラミック、高分子多孔体、親水性繊維等が挙げられる。
フィラー1は、人工土壌粒子10が十分な保肥力を有するように、細孔2にイオン交換能が付与された材料を使用することも可能である。この場合、イオン交換能が付与された材料として、陽イオン交換能が付与された材料、陰イオン交換能が付与された材料、又は両者の混合物を使用することができる。また、イオン交換能を有さない多孔質材料(例えば、高分子発泡体、ガラス発泡体等)を別に用意し、当該多孔質材料の細孔2に上記のイオン交換能が付与された材料を圧入や含浸等によって導入し、これをフィラー1として使用することも可能である。陽イオン交換能が付与された材料として、陽イオン交換性鉱物、腐植、及び陽イオン交換樹脂が挙げられる。陰イオン交換能が付与された材料として、陰イオン交換性鉱物、及び陰イオン交換樹脂が挙げられる。
陽イオン交換性鉱物は、例えば、ゼオライト、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライトが挙げられる。陽イオン交換樹脂は、例えば、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、本実施形態において使用するゼオライト、又はベントナイトが好ましい。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陽イオン交換性鉱物及び陽イオン交換樹脂における陽イオン交換容量は、10〜700meq/100gに設定され、好ましくは20〜700meq/100gに設定され、より好ましくは30〜700meq/100gに設定される。陽イオン交換容量が10meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陽イオン交換容量が700meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
陰イオン交換性鉱物は、例えば、ハイドロタルサイト、マナセアイト、パイロオーライト、シェーグレン石、緑青等の主骨格として複水酸化物を有する天然層状複水酸化物、合成ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様物質、アロフェン、イモゴライト、カオリン等の粘土鉱物が挙げられる。陰イオン交換樹脂は、例えば、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのうち、本実施形態において使用するハイドロタルサイトが好ましい。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。陰イオン交換性鉱物及び陰イオン交換樹脂における陰イオン交換容量は、5〜500meq/100gに設定され、好ましくは20〜500meq/100gに設定され、より好ましくは30〜500meq/100gに設定される。陰イオン交換容量が5meq/100g未満の場合、十分に養分を取り込むことができず、取り込まれた養分も灌水等により早期に流失する虞がある。一方、陰イオン交換容量が500meq/100gを超えるように保肥力を過剰に大きくしても、効果は大きく向上せず、経済的ではない。
<フィラーの粒状化法>
フィラー1が本実施形態に示すゼオライト1aやハイドロタルサイト1bのような無機天然鉱物である場合、複数のフィラー1を集合して粒状物(人工土壌粒子10)を構成するために、バインダーを用いて粒状化を行うことができる。ここで人工土壌粒子10は、フィラー1を三次元ネットワーク状に結合して、連通孔3の全容積を細孔2の全容積より大きくする必要がある。これは、上記フィラー1を粒状化する際に、例えば、フィラー1とバインダーとの混合物に空気を含ませながらフィラー1を互いに結合させることによって行うことができる。この場合、複数のフィラー1は多数の空隙を形成しながら三次元的に結合し、三次元ネットワーク状の構造を有するフィラー集合体(人工土壌粒子10)が形成される。この人工土壌粒子10は、三次元ネットワーク状の構造を有するため、嵩密度が低く軽量でありながら構造的にも安定する。
バインダーを用いた人工土壌粒子10の形成は、フィラー1にバインダーや溶媒等を加えて混合し、混合物を造粒機に導入し、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等の公知の造粒法により行うことができる。得られた造粒体は、必要に応じて乾燥及び分級が行われ、人工土壌粒子10が完成する。また、フィラー1にバインダーを加え、さらに必要に応じて溶媒等を加えて混練し、これを乾燥してブロック状にしたものを、乳鉢及び乳棒、ハンマーミル、ロールクラッシャー等の粉砕手段で適宜粉砕して粒状物とすることも可能である。この粒状物は、そのまま人工土壌粒子10として用いることもできるが、篩にかけて所望の粒径に調整することが好ましい。
バインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ酢酸ビニル系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸などの多糖類、膠などの動物性たんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
フィラー1が有機多孔質材料である場合、人工土壌粒子10の形成は、バインダーを用いた上記フィラー1の粒状化法と同様の方法で行ってもよいが、フィラー1を、当該フィラー1を構成する有機多孔質材料(高分子材料等)の融点以上の温度に加熱し、複数のフィラー1の表面同士を熱融着させて粒状化することにより、人工土壌粒子10を形成することも可能である。この場合、バインダーを使用しなくても、複数のフィラー1が集合した粒状物を得ることができる。そのような有機多孔質材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、セルロー等の有機高分子材料を発泡させた有機高分子発泡体、前記有機高分子材料の粉体を加熱溶融して連続気泡構造を形成した有機高分子多孔質体が挙げられる。
人工土壌粒子10の形成に当たっては、高分子ゲル化剤のゲル化反応を利用することもできる。高分子ゲル化剤のゲル化反応として、例えば、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応、カルボキシメチルセルロース(CMC)のゲル化反応、カラギーナンなどの多糖類の二重らせん構造化反応によるゲル化反応が挙げられる。このうち、アルギン酸塩と多価金属イオンとのゲル化反応について説明する。アルギン酸塩の一つであるアルギン酸ナトリウムは、アルギン酸のカルボキシル基がNaイオンと結合した形態の中性塩である。アルギン酸は水に不溶であるが、アルギン酸ナトリウムは水溶性である。アルギン酸ナトリウム水溶液を多価金属イオン(例えば、Caイオン)の水溶液中に添加すると、アルギン酸ナトリウムの分子間でイオン架橋が起こりゲル化する。本実施形態の場合、ゲル化反応は、以下の工程により行うことができる。初めに、アルギン酸塩を水に溶解させてアルギン酸塩水溶液を調製し、アルギン酸塩水溶液にフィラー1を添加し、これを十分攪拌して、アルギン酸塩水溶液中にフィラー1が分散した混合液を形成する。次に、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下し、混合液に含まれるアルギン酸塩を粒状にゲル化させる。その後、ゲル化した粒子を回収して水洗し、十分に乾燥させる。これにより、アルギン酸塩及び多価金属イオンから形成されるアルギン酸ゲル中にフィラー1が分散した粒状物としての人工土壌粒子10が得られる。
ゲル化反応に使用可能なアルギン酸塩は、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムが挙げられる。これらのアルギン酸塩は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。アルギン酸塩水溶液の濃度は、0.1〜5重量%とし、好ましくは0.2〜5重量%とし、より好ましくは0.2〜3重量%とする。アルギン酸塩水溶液の濃度が0.1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、5重量%を超えると、アルギン酸塩水溶液の粘度が大きくなり過ぎるため、フィラー1を添加した混合液の攪拌や、混合液を多価金属イオン水溶液中に滴下することが困難になる。
アルギン酸塩水溶液を滴下する多価金属イオン水溶液は、アルギン酸塩と反応してゲル化が起きる2価以上の金属イオン水溶液であればよい。そのような多価金属イオン水溶液の例として、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化コバルト等の多価金属の塩化物水溶液、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸コバルト等の多価金属の硝酸塩水溶液、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛等の多価金属の乳酸塩水溶液、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルト等の多価金属の硫酸塩水溶液が挙げられる。これらの多価金属イオン水溶液は、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。多価金属イオン水溶液の濃度は、1〜20重量%とし、好ましくは2〜15重量%とし、より好ましくは3〜10重量%とする。多価金属イオン水溶液の濃度が1重量%未満の場合、ゲル化反応が起こり難くなり、20重量%を超えると、金属塩の溶解に時間が掛かるとともに、過剰の材料を使用することになるため、経済的でない。
<人工土壌粒子の保水性及び保肥性のメカニズム>
図3は、本発明に使用する人工土壌粒子10の保水性及び保肥性のメカニズムを示した説明図である。図3(a),(b)は、人工土壌粒子10に外部から水分W、及び養分K、N、Pが取り込まれる様子を段階的に示したものである。ここで、養分Kはカリウム分、養分Nは窒素分、養分Pはリン分を表している。
人工土壌粒子10が養分K、N、Pを含んだ水分Wに接触すると、図3(a)に示すように、先ず連通孔3に水分W、及び養分K、N、Pが取り込まれる。連通孔3が十分に湿潤状態になると、図3(b)に示すように、連通孔3に取り込まれた水分W、及び養分K、N、Pのうち、養分K、N、Pが連通孔3から細孔2に移動する。本発明の人工土壌粒子10では、主に細孔2に養分K、N、Pが取り込まれるとともに、連通孔3で水分Wが保持されることで、主に細孔2に保肥性を担わせ、連通孔3に保水性を担わせている。このように、細孔2と連通孔3とで異なる機能を分担させることで、保水性と保肥性とのバランスに優れた機能的な人工土壌粒子10とすることができる。また、このような人工土壌粒子10を用いた人工土壌成型体は、栽培対象の植物に対して水分Wや養分K、N、Pを適切に供給できるので、メンテナンスに手間が掛からず、取り扱いが容易なものとなる。
<人工土壌成型体>
図4は、本発明の人工土壌成型体100の説明図である。図4中に示す点線円は、人工土壌成型体100を構成する人工土壌粒子10の一部拡大図であり、人工土壌粒子10の断面を表している。人工土壌成型体100は、複数の人工土壌粒子10を所定の形状に成型したものである。人工土壌成型体100は、用途に応じて、シート状、ブロック状、板状、帯状、球状、棒状、不定形状等、種々の形状に加工することができる。人工土壌成型体100は、隣接する人工土壌粒子10の間に一定の隙間11を有している。この隙間11は、空気及び水が通過することができるため、植物に必要な水分を保持しながら余分な水分を排出することができる。人工土壌成型体100が湿潤状態となった場合、隙間11から余分な水分を排出し、人工土壌成型体100が乾燥状態となった場合には、隙間11の毛細管現象により、周囲に存在する水分を吸い上げることができる。このように、人工土壌成型体100は、隣接する人工土壌粒子10の間に形成される隙間11によって、優れた通気性及び排水性を実現している。また、隙間11は、植物の根が成長するための空間を提供するため、植物の根が張り易く、ひいては植物の成長を促すことができる。
人工土壌成型体100の成型方法としては、例えば、人工土壌粒子10に二次バインダーを添加して混練し、混合物を所定形状に整えて乾燥させる方法が挙げられる。二次バインダーは、人工土壌粒子10の形成で用いたバインダー(一次バインダー)と同じものを使用できるが、異なる種類のバインダーであっても構わない。二次バインダーの添加量は、例えば、1〜30重量%とすることができる。二次バインダーの添加量が1重量%より少ないと、人工土壌粒子10どうしの結合力が不足する虞があり、二次バインダーの添加量が30重量%を超えると、人工土壌粒子10間の隙間11が小さくなり、人工土壌成型体100の排水性が低下する虞がある。成型の際、二次バインダーに柔軟な粒状体(例えば、ポリウレタンフォームの破砕品等)を混合することも可能である。この場合、植物の根の伸長が妨げられず、根の伸長に合わせて人工土壌成型体100を構成する人工土壌粒子10の間隙を拡張させることができる。なお、二次バインダーを使用せずに、人工土壌成型体100を生成することも可能である。例えば、所望の形状の型枠に人工土壌粒子10を充填し、これを加圧すると、人工土壌粒子10が互いに固着し、人工土壌成型体100が得られる。加圧の際、適切な温度で加熱を行うと、人工土壌粒子10の表面が粘着性を呈するため、人工土壌粒子10どうしの結合力を高めることができる。
<緑化用シート>
図5は、本発明の緑化用シート200の説明図である。図6は、図5に示した緑化用シート200に植物24を植えた状態を示す一部断面図である。緑化用シート200は、上述の人工土壌成型体100をシート状に敷設したものであり、本実施形態では、図5に示すように、灌水時の水を適宜透過させつつ、人工土壌粒子10を支持する透水性シート20と、透水性シート20の上に形成される人工土壌粒子10を積層した植栽基盤層21とを備えた構成を有する。植栽基盤層21は、図5に示すように、2層に形成されている。植栽基盤層21には、下層に粒度の大きい人工土壌粒子10を積層した排水層22が形成され、上層に粒度の小さい人工土壌粒子10を積層した保水層23が形成されている。植栽基盤層21の成型方法としては、上記人工土壌成型体100の成型方法が用いられる。透水性シート20は、植栽基盤層21から排水される水分を透過できる材質で構成され、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維からなる不織布が挙げられる。
植物24は、上層の保水層23に溜められた水を利用することができる。保水層23は、人工土壌粒子10の連通孔3に水分を保持し、さらに人工土壌粒子10が密に形成された隙間11にも水分を保持しているため、植物24に対して十分な水を供給することが可能となる。下層の排水層22では、人工土壌粒子10内に植物24に必要な水を保持しながら、隙間11に含まれる余分な水を排出することができるため植物24の根に対して通気性が確保され、植物24の根腐れを防止することができる。また、排水層22は、人工土壌粒子10を粗に充填しているため、植物24の根が張り易く、植物24の横倒れ等を防止することができる。
緑化用シート200に用いられる人工土壌粒子10は、軽量であり、しかも安定な構造体であるため、緑化用シート200の厚みを調整し易く、取り扱いが容易である。このため、建物の床面や壁面に施工する際の作業性が良好なものとなる。緑化用シート200の厚みを適宜調整することにより、多くの種類の植物24を栽培することが可能となる。また、緑化用シート200は、保水性材料を添加した人工土壌粒子10を使用することにより、シートの厚みをさらに幅広く調整することが可能となる。緑化用シート200の厚みは、ビルや住宅等の屋上やバルコニーの床面に用いる場合、植物の種類、すなわち、根の深さによって最適値は異なるが、例えば、芝や低草では10〜200mmが好ましく、30〜100mmがより好ましい。
本実施形態では、植栽基盤層21を2層に分けた例を示したが、植栽基盤層21の構造は、緑化用シート200の使用場所、使用形態により適宜変更することが可能である。例えば、植栽基盤層21を3層以上に分けて人工土壌粒子10の密度を変えてもよく、さらには、植栽基盤層21が上層から下層へと厚さ方向で連続的な密度勾配を有するように形成してもよい。あるいは、植栽基盤層21が厚さ方向で同じ密度となるように形成してもよい。
<壁面緑化パネル>
図7は、本発明の壁面緑化パネル300の説明図である。壁面緑化パネル300は、上述の人工土壌成型体100を枠体30に保持したものである。本実施形態では、図7に示すように、枠体30に形成した凹部31に人工土壌成型体100が配置されている。人工土壌成型体100は、枠体30から落下しないように、例えば、凹部31に図示しない複数のフックが設けられており、このフックに人工土壌成型体100が引っ掛かることで保持されるようになっている。人工土壌成型体100には、全体に亘って植物24が植えられており、植物24が成長すると、壁面緑化パネル300の前面が植物24で略覆われて緑化される。壁面緑化パネル300に使用する枠体30は、屋外での使用に耐え得るように、耐水性及び耐腐食性を有し、且つ軽量な素材で構成することが好ましい。枠体30の素材としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、PET樹脂、ABS樹脂などの合成樹脂材料、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの軽量金属材料、スギ、ヒノキ、竹などの木材等が挙げられる。
本実施形態の壁面緑化パネル300に使用する枠体30は、図7に示すように、正面視で矩形となるように構成しているが、枠体30の形状や構造は、壁面緑化が行われる場所の状況に応じて適宜変更することができる。また、人工土壌成型体100は構造が安定しているため、人工土壌成型体100がある程度軽量である場合は、人工土壌成型体100の周囲に枠体30の代わりとなる補強テープを巻き付けるなどして、枠体30の構成を簡素化又は省略することも可能である。本発明によれば、様々な形態の壁面緑化パネル300を組み合わせることにより、壁面緑化パネル300を設置する場所の状況に適した壁面緑化を行うことができる。
ところで、壁面緑化パネル300を垂直な壁面に取り付けた場合、壁面緑化パネル300に散水を行うと、人工土壌成型体100に保持された水は重力で降下するため、人工土壌成型体100のうち、壁面緑化パネル300の垂直方向上方に位置する部分が乾燥し易く、垂直方向下方に位置する部分は上方から降下する水により水分過多となることがある。そこで、壁面緑化パネル300において、垂直方向上方に位置する人工土壌粒子10の密度が密に、垂直方向下方に位置する人工土壌粒子10の密度が粗となるように、密度勾配を設けて人工土壌成型体100を構成することも可能である。このような人工土壌成型体100を用いて壁面緑化パネル300を構成すれば、壁面緑化パネル300の垂直方向上方と下方とで保持される水分の偏りが少なくなり、壁面全体に植物を均等に生育させることが可能となる。
<園芸用ブロック>
図8は、本発明の園芸用ブロック400の説明図である。園芸用ブロック400は、上述の人工土壌成型体100をブロック状に積層したものであり、本実施形態では、図8に示すように、人工土壌成型体を植物栽培用の容器の形状に構成してある。園芸用ブロック400の成型方法としては、上記人工土壌成型体100の成型方法を用いることができる。園芸用ブロック400の上部中央付近には、植物を植えるための凹状の植栽部40が形成されている。これにより、園芸用ブロック400は、人工土壌と植物とを一体化させた植物ポットとして製品化することができる。園芸用ブロック400は、灌水した水が外部に漏れないように、人工土壌粒子10を成型する際に保水性材料として機能し得る合成高分子材料や天然高分子材料を添加することも可能である。この場合、保水性材料は人工土壌粒子10に用いた保水性材料と同じものを使用できるが、異なる種類の保水性材料であっても構わない。園芸用ブロック400の漏水性を向上させることにより、室内においても好適に利用することが可能となる。
園芸用ブロック400は、外側部と内側部とを備えた二層構造で構成することも可能である。例えば、外側部に保水性材料を添加した保水性の高い層を形成し、内側部にイオン交換能を有する材料を添加した保肥性の高い層を形成する。この場合、内側部の通水性及び通気性を確保しながら、灌水しても園芸用ブロック400の外部に水が漏れることはない。また、園芸用ブロック400の植栽部40に肥料を追加すると、内側部は保肥性を有しているため、植物は養分を確実に吸収することができる。
本発明に係る人工土壌粒子を成型してなる人工土壌成型体、並びに当該人工土壌成型体を使用した緑化用シート、壁面緑化パネル、及び園芸用ブロックは、ビルや住宅等の屋上やバルコニーにおける緑化及び植栽に利用することができる。
1 フィラー
2 細孔
3 連通孔
10 人工土壌粒子
100 人工土壌成型体
200 緑化用シート
300 壁面緑化パネル
400 園芸用ブロック

Claims (6)

  1. 細孔を有する複数のフィラーを三次元ネットワーク状に結合することにより前記フィラーの間に連通孔を形成し、前記連通孔の全容積が前記細孔の全容積より大きくなるように構成された人工土壌粒子を成型してなり、前記連通孔が外部から水分及び養分を取り込むとともに、前記細孔が前記連通孔から前記養分を受け取り可能なように、前記細孔が前記連通孔に接続した状態で前記細孔が前記連通孔の周囲に分散配置されている人工土壌成型体。
  2. 前記細孔はサブnmオーダー乃至サブμmオーダーのサイズを有し、前記連通孔はサブμmオーダー乃至サブmmオーダーのサイズを有する請求項1に記載の人工土壌成型体。
  3. 前記連通孔の少なくとも一部に保水性材料が導入されるとともに、前記細孔にイオン交換能を付与してある請求項1又は2に記載の人工土壌成型体。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌成型体をシート状に敷設した緑化用シート。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌成型体を枠体で保持した壁面緑化パネル。
  6. 請求項1〜3の何れか一項に記載の人工土壌成型体をブロック状に積層した園芸用ブロック。
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