JP2016101160A - 人工土壌培地の調整方法、及び観葉植物栽培方法 - Google Patents

人工土壌培地の調整方法、及び観葉植物栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】観葉植物の灌水の管理を容易にする人工土壌培地の調整方法を提供する。【解決手段】観葉植物の栽培に使用する人工土壌培地を、当該観葉植物の栽培に適した水分環境に調整する人工土壌培地の調整方法であって、人工土壌培地として、繊維を集合してなる繊維塊状体を備える人工土壌粒子を使用し、人工土壌培地の体積含水率を、pF値2.3において10〜40%の範囲、pF値2.7において1〜15%の範囲となるように調整する調整工程を実行する。【選択図】図3

Description

本発明は、観葉植物の栽培に使用する人工土壌培地を、当該観葉植物の栽培に適した水分環境に調整する人工土壌培地の調整方法、及び当該調整方法により調整した人工土壌培地を用いて観葉植物を栽培する観葉植物栽培方法に関する。
オフィス、店舗、一般住宅等の室内において、鉢植えの観葉植物を置く場合、見た目の美しさに加えて清潔であることが求められる。観葉植物の培地として天然土壌を使用すると、土壌に害虫が寄り付いたり、土壌から臭気が発生する等により、清潔感が損なわれることがある。そこで、害虫や臭気等の問題が発生し難いクリーンな土壌として、人工土壌を観葉植物の培地として利用することが検討されている。
人工土壌を用いて観葉植物を栽培するにあたっては、土壌としての基本性能に優れるだけでなく、天然土壌では実現が困難な独自の機能が求められる。例えば、観葉植物を乾燥し易い室内で栽培する場合、人工土壌には、天然土壌と同等の植物育成力を備えながら、水分環境の管理のし易さが求められる。特に、観葉植物を生育しながら、観葉植物が過剰に吸水することを抑制することは、観葉植物への水遣りの頻度を低減し、灌水の管理を容易にするために重要となる。人工土壌の水分環境の管理を容易なものとするためには、人工土壌を観葉植物に適した水分環境に維持できること、つまり、人工土壌培地に対する水分の吸着状態、及び人工土壌培地の体積含水率を適切に維持することが必要となる。
この点に関し、特許文献1には、植物栽培基体として連続気泡性ポリウレタンフォームチップを使用し、当該連続気泡性ポリウレタンフォームチップの粒径を0.2〜25.0mmに調整することで、植物栽培基体の保水量が0.4〜0.7g/cmに調整された植物の栽培方法が記載されている。
特開2004−229637号公報
ところが、特許文献1で使用される連続気泡性ポリウレタンフォームチップは水分の保持能力が低いため、上記保水量を維持するためには少なくとも2〜3日に一回の頻度で散水を行う必要がある。しかも、植物栽培基体の保水量を0.4〜0.7g/cmに正確に調整するには熟練した経験が必要であり、灌水の管理が容易であるとは言い難い。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、観葉植物の灌水の管理を容易にする人工土壌培地の調整方法、及び観葉植物栽培方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る人工土壌培地の調整方法の特徴構成は、
観葉植物の栽培に使用する人工土壌培地を、当該観葉植物の栽培に適した水分環境に調整する人工土壌培地の調整方法であって、
前記人工土壌培地として、繊維を集合してなる繊維塊状体を備える人工土壌粒子を使用し、
前記人工土壌培地の体積含水率を、pF値2.3において10〜40%の範囲、pF値2.7において1〜15%の範囲となるように調整する調整工程を実行することにある。
本構成の人工土壌培地の調整方法によれば、観葉植物の栽培に使用する人工土壌培地として、繊維を集合してなる繊維塊状体を備える人工土壌粒子を使用していることから、観葉植物の成長に伴って、観葉植物の根が人工土壌粒子を形成する繊維と効果的に絡み合い、人工土壌粒子内に保持された水分を効率的に吸収することができる。このため、人工土壌培地の水分環境を、易効水の中でも比較的高い値であるpF値2.3において体積含水率を10〜40%の範囲、pF値2.7において体積含水率を1〜15%の範囲となるように調整しても、観葉植物が萎れることなく、人工土壌培地からの観葉植物への水分供給を適度に抑制することができる。その結果、観葉植物の生育を維持しながら、水遣りの頻度を低減することができ、観葉植物の灌水の管理を容易に行うことができる。
本発明に係る人工土壌培地の調整方法において、
前記調整工程は、前記人工土壌粒子の粒度分布を1〜15mmの範囲に調整する粒度分布調整工程を含むことが好ましい。
人工土壌培地における水分の吸着状態は、人工土壌粒子間に形成される間隙に関係し、この間隙を適切なサイズに調整することで、特定のpF値における体積含水率を調整することが可能になる。本構成の人工土壌培地の調整方法によれば、人工土壌粒子の粒度分布を1〜15mmの範囲に調整することで、複数の人工土壌粒子の間に形成される間隙は、pF値が2.3〜2.7の範囲の水分を保持する適度なサイズに形成される。その結果、人工土壌培地の体積含水率を、pF値2.3において10〜40%の範囲、pF値2.7において1〜15%の範囲に容易に調整することができる。
本発明に係る人工土壌培地の調整方法において、
前記粒度分布調整工程において、前記人工土壌粒子の粒度分布の中央値が2〜10mmの範囲に存在するように調整することが好ましい。
本構成の人工土壌培地の調整方法によれば、人工土壌粒子の粒度分布の中央値が2〜10mmの範囲に存在するように調整することで、複数の人工土壌粒子の間に形成される間隙は、pF値が2.3〜2.7の範囲の水分を保持する最適なサイズに形成される。その結果、人工土壌培地の体積含水率を、pF値2.3において10〜40%の範囲、pF値2.7において1〜15%の範囲に確実に調整することができる。
本発明に係る人工土壌培地の調整方法において、
前記粒度分布調整工程において、前記人工土壌粒子の粒度分布に複数のピークが存在するように調整することが好ましい。
本構成の人工土壌培地の調整方法によれば、人工土壌粒子の粒度分布に複数のピークが存在するように調整することで、人工土壌粒子間に形成される間隙は、連続性を有する段階的なサイズを有するものとなる。この場合、人工土壌培地の間隙内に吸着状態が異なる水分を保持させることが可能となる。その結果、人工土壌培地に観葉植物の種類に応じた適切な吸着状態の水分を適切な体積含水率で保持させることができ、異なる吸着状態の水分を要求する複数の植物を同時に栽培することが可能になる。
上記課題を解決するための本発明に係る観葉植物栽培方法の特徴構成は、
上記何れか一つの人工土壌培地の調整方法により調整した人工土壌培地を用いて観葉植物に灌水を行う灌水工程を含むことにある。
本構成の観葉植物栽培方法によれば、本発明の人工土壌培地の調整方法を実施した上で観葉植物に灌水を行って栽培するため、上述したように、観葉植物の生育を維持しながら、水遣りの頻度を低減することができる。
本発明に係る観葉植物栽培方法において、
前記灌水工程において、前記観葉植物への灌水の間隔を、天然土壌を使用して前記観葉植物を栽培する場合における灌水の間隔の1.5倍以上とすることが好ましい。
本構成の観葉植物栽培方法によれば、灌水工程において、観葉植物への灌水の間隔を、天然土壌を使用して観葉植物を栽培する場合における灌水の間隔の1.5倍以上とするため、観葉植物への水遣りの頻度を確実に低減することができ、観葉植物の灌水の管理を容易にすることができる。
図1は、本発明に係る人工土壌培地の調整方法において対象となる人工土壌粒子の模式図である。 図2は、図1の人工土壌粒子により構成される人工土壌培地の模式図である。 図3は、本発明に係る観葉植物栽培方法の説明図である。 図4は、実施例7の人工土壌粒子を用いた培地における体積含水率と経過日数(灌水間隔)との関係を示したグラフである。
以下、本発明に係る人工土壌培地の調整方法、及び観葉植物の栽培方法に関する実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。なお、本発明の理解を容易にするため、初めに、人工土壌培地の水分吸着力について説明する。
<人工土壌培地の水分吸着力>
土壌(人工土壌及び天然土壌の両方を含む)は、様々な大きさの土壌粒子により構成され、複数の土壌粒子の間に形成される間隙に毛管現象等により水分が保持されている。土壌の水分を保持する力(水分吸着力)は、pF値として表される。pF値とは、水柱の高さで表した土壌水分の吸引圧の常用対数値のことであり、土壌中の水分が土壌の毛管力によって引き付けられている強さの程度を表す値である。pF値が2.0のとき、水柱100cmの圧力に相当する。pF値は土壌と水分との吸着の強さを表すものでもあり、土壌と水分との吸着力が弱いとpF値は低くなり、植物の根が水分を吸収し易い状態となる。一方、土壌と水分の吸着力が強いとpF値は高くなり、植物の根が水分を吸収するためには大きな力を要する。土壌中の間隙に空気が存在せず、全て水で充たされているときの状態がpF値0であり、100℃の熱乾状態の土壌であって、土壌と結合した水しか存在しない状態がpF値7となる。植物が根から吸収できる土壌中の水分は、降雨又は灌水後、通常24時間経過時に土壌中に残っている水分(pF値1.7)から、植物が萎れ始める初期萎れ点(pF値3.8)までの水分である。この中で植物が容易に利用することができる水分、いわゆる易効水のpF値の範囲は1.7〜2.7である。pF値は、pFメータ(テンシオメーター)を用いて測定することができる。本発明者らは、特に、観葉植物に適した人工土壌培地の条件について、鋭意研究を行ったところ、人工土壌培地として繊維塊状体を有する人工土壌粒子を使用した場合、易効水の中でも比較的高い値であるpF値2.3において体積含水率を10〜40%の範囲、pF値2.7において体積含水率を1〜15%の範囲となるように調整すると、観葉植物が萎れることなく人工土壌培地からの観葉植物への水分供給を適度に抑制できることを見出した。以下、本発明の人工土壌培地の調整方法で用いる人工土壌粒子について説明する。
<人工土壌粒子>
図1は、本発明に係る人工土壌培地の調整方法において対象となる人工土壌粒子50,51の模式図である。図1(a)の人工土壌粒子50は、繊維1を集合してなる繊維塊状体10を備えている。図1(b)の人工土壌粒子51は、繊維1を集合してなる繊維塊状体10と、当該繊維塊状体10を被覆する通水性膜20とを備えている。図1に示すように、繊維塊状体10は、繊維1が絡み合った粒状物に形成され、繊維1の間には空隙2が存在している。人工土壌粒子50,51は、繊維塊状体10の空隙2に水分を吸収し、保持することができる。人工土壌粒子50,51は、この空隙2によって保水性と通気性との良好なバランスを実現している。
空隙2の状態(例えば、空隙2の大きさ、数、形状等)は、人工土壌粒子50,51が保持できる水分量、すなわち保水性に関係する。空隙2の状態は、繊維塊状体10を造粒する際の繊維1の使用量(密度)、繊維1の種類、太さ、長さ等を変更することにより調整可能である。なお、繊維1のサイズは、太さが5〜100μm程度が好ましく、長さが0.5〜10mm程度が好ましい。また、繊維1として予め切断された短繊維を使用することも可能であり、この場合、短繊維の長さは0.2〜0.5mm程度が好ましい。
繊維の種類は、繊維塊状体10内での水分の保持力に関係する。従って、繊維の種類を変更することにより、人工土壌粒子50,51の水分の保持力を制御することができる。例えば、繊維として水に対する吸着力が大きい親水性繊維を使用すると、水分を繊維塊状体10内の空隙2に強く保持することができるため、人工土壌粒子50,51に吸収された水分を植物が容易に利用可能な水、いわゆる易効水の中でも高いpF値の水分環境に調整することができる。好ましい親水性繊維としては、例えば、天然繊維では、綿、羊毛、レーヨン、セルロース等が挙げられ、合成繊維では、ビニロン、ポリエステル、ナイロン、ウレタン等が挙げられる。これらの繊維のうち、セルロース及びビニロンがより好ましい。繊維塊状体10に使用する繊維1として、水分に対する吸着力の異なる繊維を混繊したものを使用することも可能である。
人工土壌粒子50,51の繊維塊状体10には、吸湿性を備える多孔質材を含ませることが好ましい。これにより、人工土壌粒子50,51の水分の保持力をより容易に調整することができる。多孔質材は、例えば、珪藻土、パーライト、バーミキュライト、ゼオライト、ベントナイト、クレー、多孔質ガラスビーズ等を挙げることができる。また、上掲の多孔質材は、二種以上を混合した状態で使用することも可能である。
人工土壌粒子51において、繊維塊状体10を被覆する通水性膜20は、水分子が通過可能な微細孔を有する膜である。あるいは、水分が一方側から浸透して他方側に移動可能な浸透性膜とすることもできる。人工土壌粒子51は、通水性膜20を備えることにより、繊維塊状体10内の通気性及び通水性をより容易に調整することができる。外部環境が湿潤状態となった場合、人工土壌粒子51は、通水性膜20を介して外部環境に存在する水分を繊維塊状体10内に吸収し、保持することができる。一方、外部環境が乾燥状態となった場合、人工土壌粒子51は、通水性膜20を介して繊維塊状体10の空隙2に保持された水分を外部環境に放出する。このように、人工土壌粒子51は、土壌として求められる保水性を維持しながら、通水性膜20によって外部環境との通気性及び通水性を、人工土壌粒子50よりも容易に調整することができる。その結果、植物の根腐れ等を防止することができる。なお、「外部環境」とは、人工土壌粒子50,51の外側の環境を意図する。通水性膜20を備えた人工土壌粒子51は、外部環境からの水分の取り込み、及び外部環境への水分の放出をより容易に調整することができるため、人工土壌等の水分の移動を伴う用途において、優れた適応性を示すことができる。
通水性膜20は、繊維塊状体10と外部環境との遮蔽性を確保する機能も有する。従って、通水性膜20の膜厚や材質を変更することにより、人工土壌粒子51の保水性及び吸水性を調整することが可能となる。また、繊維塊状体10の外表部を通水性膜20で被覆することにより、繊維塊状体10が形崩れし難くなり、人工土壌粒子51の保水性と強度とを両立させることができる。
通水性膜20は、繊維塊状体10を構成する繊維の絡み合い部分(繊維同士が接触する部分)を補強するように、繊維塊状体10の外表部から若干内側に浸透した状態にまで厚みを持たせて形成してもよい。これにより、人工土壌粒子51の強度及び耐久性をさらに向上させることができる。通水性膜20の膜厚は、1〜200μmに設定され、好ましくは10〜100μmに設定され、より好ましくは20〜60μmに設定される。
通水性膜20の材質は、水に不溶性で酸化され難いものが好ましく、例えば、樹脂材料が挙げられる。そのような樹脂材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチロール系樹脂が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンが好ましい。また、樹脂材料に代えて、ポリエチレングリコール等の合成高分子系のゲル化剤、又はアルギン酸ナトリウム等の天然ゲル化剤を使用することも可能である。
<人工土壌粒子の製造方法>
人工土壌粒子50の製造方法としては、例えば、セルロース又はビニロン等の繊維1をカーディング装置等で引揃え、3〜10mm程度の長さに切断し、切断した繊維1に樹脂や糊等のバインダーを混合して、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒等の方法によって粒状に造粒し、バインダーを含む繊維塊状体10を形成する。繊維塊状体10の繊維どうしを、加熱処理等によりバインダーで固定化して、人工土壌粒子50が完成する。得られた人工土壌粒子50は、必要に応じて、乾燥及び分級が行われ、粒径が調整される。繊維に混合するバインダーは、有機バインダー又は無機バインダーの何れも使用可能である。有機バインダーは、例えば、ポリオレフィン系バインダー、ポリビニルアルコール系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ酢酸ビニル系バインダー等の合成樹脂系バインダー、デンプン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸などの多糖類、膠などの動物性たんぱく質等の天然物系バインダーが挙げられる。無機バインダーは、例えば、水ガラス等のケイ酸系バインダー、リン酸アルミニウム等のリン酸塩系バインダー、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩系バインダー、セメント等の水硬性バインダーが挙げられる。有機バインダー及び無機バインダーは、二種以上を組み合わせて使用することも可能である。なお、繊維1として絡み易いもの(例えば、屈曲した繊維)を使用する場合、造粒工程を行うだけで繊維1が互いに容易に絡み合うため、この場合は特にバインダーを使用しなくても繊維塊状体10の形成が可能となる。
人工土壌粒子51を製造する場合は、造粒した繊維塊状体10を容器に移し、繊維塊状体10の体積(占有容積)の半分程度の水を加え、繊維塊状体10の空隙2に水を浸み込ませる。さらに、水を浸み込ませた繊維塊状体10に、通水性膜20の形成材料を繊維塊状体10の体積の1/3〜1/2添加する。ここでは、通水性膜20の形成材料の一例として、ポリエチレンを挙げる。ポリエチレンは、ポリエチレンエマルジョンの形態で添加される。ポリエチレンエマルジョンには、顔料、香料、殺菌剤、抗菌剤、消臭剤、殺虫剤等の添加物を混合しておくことも可能である。そして、繊維塊状体10の外表部にポリエチレンエマルジョンが均一に付着するように転動させながら、繊維塊状体10の外表部からポリエチレンエマルジョンを含浸させる。このとき、繊維塊状体10の中心部には水が浸み込んでいるため、ポリエチレンエマルジョンは繊維塊状体10の外表部付近で留まる。その後、ポリエチレンエマルジョンが付着した繊維塊状体10を60〜80℃で乾燥させ、次いで100℃でポリエチレンを溶融させ、繊維塊状体10の外表部付近の繊維1にポリエチレンを融着させて通水性膜20を形成する。これにより、繊維塊状体10は外表部がポリエチレンの通水性膜20で被覆され、強度及び耐久性を有する人工土壌粒子51が完成する。このとき、通水性膜20では、ポリエチレンが溶融する際にポリエチレンエマルジョンに含まれていた溶媒が蒸発し、多孔質構造が形成される。通水性膜20に形成された多孔質構造は、繊維塊状体10と外部環境とを連通する連通孔として機能する。得られた人工土壌粒子51は、必要に応じて、乾燥及び分級が行われ、粒径が調整される。なお、人工土壌粒子51は、繊維塊状体10の外表部を通水性膜20で被覆していることから、繊維塊状体10を造粒する際に、バインダーを混合しなくても十分な強度及び耐久性を維持することが可能である。
繊維塊状体10を造粒するにあたり、繊維1として短繊維を使用する場合は、短繊維を撹拌混合造粒装置で撹拌しながらポリエチレンエマルジョンを少量ずつ投入して造粒する。これにより、繊維塊状体10を形成する短繊維同士が一部で固定化され、強固な繊維塊状体10を形成することができる。なお、短繊維に先に水を加えて造粒し、その後ポリエチレンエマルジョンを添加して繊維塊状体10を仕上げることも可能である。
<人工土壌培地の調整方法>
図2は、本発明に使用する人工土壌培地100であり、図1(a)の人工土壌粒子50により構成される人工土壌培地100の模式図である。以下、人工土壌粒子50を例に挙げて説明するが、図1(b)の人工土壌粒子51においても同様の効果を奏する。人工土壌粒子50は、外部環境に存在する水分を繊維塊状体10内に吸収したり、吸収した水分を放出したりすることで、観葉植物への水分供給をコントロールすることができる。繊維塊状体10は、親水性の繊維1を使用しているため、観葉植物の根が引き寄せられ易い。このため、観葉植物の成長に伴って、観葉植物の根が人工土壌粒子50を形成する繊維と効果的に絡み合うようになる。これにより、人工土壌粒子50の表面が観葉植物の根で覆われ、観葉植物は人工土壌粒子50内に保持されている水分を効率的に吸収することができる。人工土壌粒子50を使用した人工土壌培地100では、易効水の中でも高いpF値の水分環境において、体積含水率を高くなるように調整しても、観葉植物の生育を維持しながら水遣りの頻度を低減することができる。その結果、観葉植物への灌水の間隔を延ばすことが可能となり、観葉植物の灌水の管理が容易になる。ちなみに、天然土壌や従来の人工土壌では、本発明と同様に水分環境の調整を行っても、観葉植物は土壌中に保持されている水分を効率的に吸収し利用することができないため、灌水の間隔を短くしなければ、観葉植物が萎れて枯れることになる。
人工土壌培地100は、易効水の中でも比較的高い値であるpF値2.3において体積含水率を10〜40%の範囲、pF値2.7において体積含水率を1〜15%の範囲となるように調整する(調整工程)。pF値2.3及びpF値2.7における好ましい体積含水率は、pF値2.3において15〜35%の範囲、pF値2.7において2〜12%の範囲である。これにより、観葉植物の生育を維持しながら、人工土壌培地100からの観葉植物への水分供給を適度に抑制することが可能になる。人工土壌培地100の体積含水率が、pF値2.3において10〜40%の範囲、pF値2.7において1〜15%の範囲から外れると、観葉植物にとって水分が過剰に吸収され易い環境、又は観葉植物にとって利用できる水分が非常に少ない環境となり、観葉植物への過剰な水分供給を効果的に抑制することができなくなったり、観葉植物の灌水の間隔を延ばすことができなくなる。なお、観葉植物が鉢植えタイプであり、鉢の下に受け皿等が備え付けられている場合は、灌水を実施すると受け皿等に鉢からの流出水が溜まることになる。流出水が溜まった状態では、土壌の体積含水率は略低下しない。そこで、本発明では、「灌水の間隔」を、鉢からの流出水が受け皿等に溜まらない状態における、灌水から灌水までの経過日数と規定する。これは、灌水により土壌を最大体積含水率に調整した時点から観葉植物が萎れ始める時点までの期間に相当する。
人工土壌培地100は、隣接する複数の人工土壌粒子50の間に形成される間隙52によって、植物にとって必要な水分を確保しながら余分な水分を排水し、人工土壌培地100としての保水性と通気性とを両立させている。従って、間隙52の状態は、保水性及び通気性に影響する。間隙52のサイズが大きくなり過ぎると、間隙52に水分を保持する力が弱まり、人工土壌培地100の保水性が低下する。その結果、十分な水分を植物に供給できなくなる虞がある。一方、間隙52のサイズが小さくなり過ぎると、水分を間隙52に保持する力が強まり、人工土壌培地100の通気性が低下する。その結果、植物の根に酸素を十分供給することができず、根腐れが生じる虞がある。
間隙52を適切なサイズにするためには、人工土壌粒子50の粒度分布の範囲を適切な範囲に調整することが有効である。これにより、人工土壌培地100を、pF値2.3において体積含水率を10〜40%の範囲、pF値2.7において体積含水率を1〜15%の範囲となるよう容易に調整することが可能となる。人工土壌粒子50の粒度分布は、好ましくは1〜15mmの範囲に調整され、より好ましくは1〜10mmの範囲に調整される(粒度分布調整工程)。人工土壌粒子50が粒径1mm未満のものを含むと、間隙52が小さくなって人工土壌粒子50と水分との吸着性が強まり、排水性が低下して、観葉植物に湿害が発生する虞がある。その結果、栽培する観葉植物は根から酸素を吸収し難くなり、根腐れを起こすことになる。一方、人工土壌粒子50の粒径が15mmを超えるものを含むと、間隙52が大きくなって人工土壌粒子50と水分との吸着性が弱まり、重力により水分が過剰に排出される。その結果、人工土壌培地100を、pF値2.3において体積含水率を10〜40%の範囲、pF値2.7において体積含水率を1〜15%の範囲となるように調整することが困難となり、観葉植物への灌水の間隔を十分に確保できなくなる。
人工土壌培地100の保水性及び通気性は、人工土壌粒子50の粒度分布の中央値にも関係している。人工土壌粒子50の粒度分布の中央値を適切な範囲に設定することで、人工土壌培地100の水分環境の調整が容易となる。例えば、人工土壌粒子50の粒度分布の中央値を大きい方向にシフトさせると、人工土壌粒子50の間に形成される間隙52のサイズも全体的に大きくなる。従って、人工土壌粒子50の粒度分布の中央値を変更することで、人工土壌培地100の保水性及び通気性を調整することができる。
人工土壌培地100の保水性及び通気性を適切に調整するためには、人工土壌粒子50の粒度分布の中央値を2〜10mmの範囲となるように調整することが好ましい。人工土壌粒子50の粒度分布における中央値が2mmより小さいと、間隙52のサイズが小さくなり過ぎて、間隙52の水分を保持する力が強まり、排水性が低下して、植物に湿害が発生する虞がある。その結果、栽培する植物は根から酸素を吸収し難くなり、根腐れを起こすことになる。一方、人工土壌粒子50の粒度分布における中央値が10mmより大きくなると、間隙52のサイズが大きくなり過ぎて、間隙52の水分を保持する力が弱まり、重力により水分が過剰に排出される。その結果、人工土壌培地100を、pF値2.3において体積含水率を10〜40%の範囲、pF値2.7において体積含水率を1〜15%の範囲となるように調整することが困難となり、観葉植物への灌水の間隔を十分に確保できなくなる。
人工土壌粒子50の粒度分布において、複数のピークが存在するように調整することが好ましい。人工土壌粒子50の粒度分布が複数のピークを有すると、人工土壌粒子50の間に形成される間隙52は、連続性を有する複数の段階的なサイズに形成される。これにより、人工土壌培地100は、人工土壌培地100の間隙52内に吸着状態の異なる易効水、すなわち異なるpF値の範囲の水分を保持させることが可能となる。その結果、人工土壌培地100に観葉植物の種類に応じた最適な吸着状態の水分を段階的に保持させることができ、異なる吸着状態の水分を要求する複数の観葉植物を同時に栽培することが可能になる。
<観葉植物栽培方法>
図3は、本発明に係る観葉植物栽培方法の説明図である。図3(a)は天然土壌培地を用いて栽培する観葉植物の灌水スケジュールの一例であり、図3(b)は人工土壌培地100を用いて栽培する観葉植物の灌水スケジュールの一例である。天然土壌培地を用いて観葉植物を鉢植え等で栽培する場合、図3(a)に示すように、天然土壌培地を灌水により最大体積含水率に調整してから、観葉植物の萎れ開始点となる体積含水率まで低下するのに要する経過日数(灌水の間隔)は、通常約1週間程度である。一方、人工土壌培地100を用いた本発明の観葉植物の栽培方法では、図3(b)に示すように、灌水の間隔を約1.5週間以上に延ばすことができる。このように、人工土壌培地100の水分環境を、pF値2.3において体積含水率を10〜40%の範囲、pF値2.7において体積含水率を1〜15%の範囲となるように調整すると、観葉植物への灌水の間隔を、天然土壌を使用して観葉植物を栽培する場合における灌水の間隔の1.5倍以上に延ばすことができる(灌水工程)。本発明の人工土壌培地100の調整方法を用いた場合、観葉植物への灌水の間隔を延ばすことができる理由を以下に説明する。
人工土壌培地100には、繊維1を集合してなる繊維塊状体10を備える人工土壌粒子50を使用しており、複数の人工土壌粒子50の間に形成される間隙52だけでなく、人工土壌粒子50の繊維塊状体10内の空隙2にも水分が保持される。人工土壌培地100の間隙52内に保持されている水分は、人工土壌粒子50内に保持されている水分と比べると比較的弱い吸着力で保持されているため、観葉植物は間隙52に保持された水分を先ず吸収する。ここで、人工土壌培地100の間隙52のサイズは、易効水の中でも比較的高い値であるpF値2.3において体積含水率を10〜40%の範囲、pF値2.7において体積含水率を1〜15%の範囲となるように調整されており、観葉植物への水分供給が適度に抑制され、間隙52内の水分量は緩やかに低下することになる。その結果、間隙52内の水分は、長期に亘って維持される。間隙52内の水分量が低下すると、繊維塊状体10内の空隙2に保持されている水分が人工土壌粒子50から間隙52に徐々に放出される。人工土壌培地の調整方法の項でも述べたように、観葉植物は、人工土壌粒子50の表面を根で覆っているため、人工土壌粒子50から放出された水分を効率よく吸収することができる。従って、人工土壌培地100への灌水の間隔を長く設定しても、観葉植物の生育を維持することが可能になる。
以上のとおり、本発明に係る観葉植物栽培方法について説明したが、本発明に適用可能な観葉植物としては、例えば、ポトス、パキラ、フィカス、ドラセナ、コルディリネ、ディジゴセカ、チャメドリア、ステノカーパス、カンノンチク、シルクジャスミン、オーガスタ、シナモン、ゲッケイジュ、ベンジャミン、ブラキシトン、ステルクリア、ピレア、ブラッサイア、シェフレラ、シペラス、アフェランドラ、カラテア、クテナンテ、アルトカルプス、ペペロミア、ピペル、アグラオネマ、アロカシア、エクメア、アナナス、ヘルナンディア、アガペ、チャセンシダ、アンスリウム、スパティフィラム、ディフェンバキア、オリヅルラン、クロトン、センネンボク、サンセベリア、アルテシマ、アレカヤシ、テーブルヤシ、カジュマル、シッサス、コーヒーの木、ソングオブインディア、ソングオブジャマイカ、ユッカ、マッサン、モンステラ等を挙げることができる。
以下、本発明の人工土壌培地の実施例について説明する。
〔人工土壌粒子の作製〕
(実施例1)
人工土壌粒子の材料となる繊維として、天然繊維であるセルロース繊維(レッテンマイヤー社製「アーボセル(登録商標)BWW40」、平均繊維長0.2mm)を使用した。セルロース繊維600gを、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)を用いて撹拌し、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(住友精化株式会社製「セポルジョン(登録商標)G315」、希釈濃度:30重量%)1000gを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状の繊維塊状体を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンの原液100gを加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を60℃、12時間で乾燥した後、100℃、6時間でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、繊維塊状体を形成する繊維どうしを固定化し、さらに繊維塊状体外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された人工土壌粒子を作製した。人工土壌粒子の粒度分布は、分級により1〜8mmの範囲に調整した。
(実施例2)
人工土壌粒子の材料となる繊維として、天然繊維であるセルロース繊維(「アーボセル(登録商標)BWW40」)及び合成繊維であるビニロン繊維(株式会社クラレ社製「VF−1203−2」、平均繊維長0.5mm)を使用した。セルロース繊維600g及びビニロン繊維300gを、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)を用いて撹拌し、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(「セポルジョン(登録商標)G315」、希釈濃度:50重量%)1500gを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状の繊維塊状体を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンの原液200gを加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を60℃、12時間で乾燥した後、100℃、6時間でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、繊維塊状体を形成する繊維どうしを固定化し、さらに繊維塊状体外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された人工土壌粒子を作製した。人工土壌粒子の粒度分布は、分級により1〜8mmの範囲に調整した。
(実施例3)
人工土壌粒子の材料となる繊維として、天然繊維であるセルロース繊維(「アーボセル(登録商標)BWW40」)を使用した。セルロース繊維400g及び珪藻土(昭和化学工業株式会社製「ラヂオライト(登録商標)300」、平均粒子径15μm)1000gを、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)を用いて十分撹拌した後、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(「セポルジョン(登録商標)G315」、希釈濃度:30重量%)2200gを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させ、珪藻土が均一に分散した粒子状の繊維塊状体を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンの原液100gを加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を60℃、12時間で乾燥した後、100℃、6時間でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、繊維塊状体を形成する繊維どうしを固定化し、さらに繊維塊状体外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された人工土壌粒子を作製した。人工土壌粒子の粒度分布は、分級により1〜6mmの範囲に調整した。
(実施例4)
人工土壌粒子の材料となる繊維として、天然繊維であるセルロース繊維(「アーボセル(登録商標)BWW40」)を使用した。セルロース繊維600g及び珪藻土(「ラヂオライト(登録商標)300」、平均粒子径15μm)750gを、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)を用いて十分撹拌した後、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(「セポルジョン(登録商標)G315」、希釈濃度:30重量%)2500gを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させ、珪藻土が均一に分散した粒子状の繊維塊状体を形成した。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を60℃、12時間で乾燥した後、100℃、6時間でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、繊維塊状体を形成する繊維どうしを固定化した人工土壌粒子を作製した。実施例4の人工土壌粒子は、通水性膜を備えていないものである。人工土壌粒子の粒度分布は、分級により1〜8mmの範囲に調整した。
(実施例5)
人工土壌粒子の材料となる繊維として、天然繊維であるセルロース繊維(「アーボセル(登録商標)BWW40」)を使用した。セルロース繊維500g及び珪藻土(「ラヂオライト(登録商標)DXW−50」、平均粒子径25μm)500gを、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)を用いて十分撹拌した後、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(「セポルジョン(登録商標)G315」、希釈濃度:30重量%)1500gを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させ、珪藻土が均一に分散した粒子状の繊維塊状体を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンの原液100gを加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を60℃、12時間で乾燥した後、100℃、6時間でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、繊維塊状体を形成する繊維どうしを固定化し、さらに繊維塊状体外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された人工土壌粒子を作製した。人工土壌粒子の粒度分布は、分級により4〜10mmの範囲に調整した。
(実施例6)
人工土壌粒子の材料となる繊維として、天然繊維であるセルロース繊維(「アーボセル(登録商標)BWW40」)及び合成繊維であるビニロン繊維(「VF−1203−2」)を使用した。セルロース繊維400g、ビニロン繊維600g、及び珪藻土(「ラヂオライト(登録商標)DXW−50」、平均粒子径25μm)1000gを、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)を用いて十分撹拌した後、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(「セポルジョン(登録商標)G315」、希釈濃度:10重量%)2800gを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させ、珪藻土が均一に分散した粒子状の繊維塊状体を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンの原液200gを加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を60℃、12時間で乾燥した後、100℃、6時間でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、繊維塊状体を形成する繊維どうしを固定化し、さらに繊維塊状体外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された人工土壌粒子を作製した。人工土壌粒子の粒度分布は、分級により4〜8mmの範囲に調整した。
(実施例7)
人工土壌粒子の材料となる繊維として、天然繊維であるセルロース繊維(日本製紙株式会社製「KCフロックW−100GK」)を使用した。セルロース繊維300g及び珪藻土(「ラヂオライト(登録商標)300」、平均粒子径15μm)300gを、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)を用いて十分撹拌した後、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(「セポルジョン(登録商標)G315」、希釈濃度:30重量%)920gを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させ、珪藻土が均一に分散した粒子状の繊維塊状体を形成した。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を80℃、12時間で乾燥した後、120℃、3時間でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、繊維塊状体を形成する繊維どうしを固定化した人工土壌粒子を作製した。実施例7の人工土壌粒子は、通水性膜を備えていないものである。人工土壌粒子の粒度分布は、分級により1〜6mmの範囲に調整した。
(比較例1)
市販の天然砂(コーナン商事株式会社製)を60℃、12時間で乾燥させたものをそのまま天然土壌粒子として使用した。天然砂の粒度分布は、分級により75μm以下に調整した。
(比較例2)
市販の天然礫(コーナン商事株式会社製)を60℃、12時間で乾燥させたものをそのまま天然土壌粒子として使用した。天然礫の粒度分布は、分級により2〜4mmの範囲に調整した。
(比較例3)
珪藻土(「ラヂオライト(登録商標)300」、平均粒子径15μm)750gを、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)を用いて撹拌し、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(「セポルジョン(登録商標)G315」、希釈濃度:50重量%)1000gを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた珪藻土の造粒物を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンの原液200gを加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した造粒物を60℃、12時間で乾燥した後、100℃、6時間でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて珪藻土どうしを融着させた人工土壌粒子を作製した。人工土壌粒子の粒度分布は、分級により2〜6mmの範囲に調整した。
(比較例4)
合成繊維であるビニロン繊維(「VF−1203−2」)600gを、撹拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製)を用いて撹拌し、転動させながら、ポリエチレンエマルジョン(「セポルジョン(登録商標)G315」、希釈濃度:10重量%)1000gを加えて造粒し、内部にポリエチレンエマルジョンを含浸させた粒子状の繊維塊状体を形成した。次いで、同じポリエチレンエマルジョンで希釈濃度を変更したもの(希釈濃度:30重量%)100gを加えて外表部にエマルジョンが均一に付着するように転がしながら含浸させた。エマルジョンが含浸した繊維塊状体を60℃、12時間で乾燥した後、100℃、6時間でエマルジョン中のポリエチレンを溶融させて繊維に融着させることにより、繊維塊状体を形成する繊維どうしを固定化し、さらに繊維塊状体外表部が多孔質ポリエチレンの通水性膜で被覆された人工土壌粒子を作製した。人工土壌粒子の粒度分布は、分級により2〜6mmの範囲に調整した。
〔人工土壌培地の水分保持特性の評価〕
上記のとおり作製した実施例1〜7の人工土壌粒子、比較例1及び2の天然土壌粒子、並びに比較例3及び4の人工土壌粒子を用いて夫々土壌培地を構成し、観葉植物であるポトスを栽培した。底面に排水口を設けたカップに各土壌培地300ccを充填し、根を綺麗に洗浄した3号鉢ポトスを当該カップに植えつけた。次いで、土壌培地全体に均一に水が行きわたるように、如雨露を用いて、ゆっくりとカップの上面から100ccの水を灌水した。当該灌水を20回繰り返し、土壌培地に十分な水を保持させた。その後、室温30℃、相対湿度50%の環境試験室でポトスの萎れ開始点までの経過日数を観察した。萎れ開始点までの経過日数は、上記試験を繰返し4回実施した結果の平均日数とした。表1に人工土壌培地の水分保持特性の評価結果を示す。
Figure 2016101160
実施例1〜7の繊維塊状体を備える人工土壌粒子は、易効水の中でも比較的高い値であるpF値2.3において体積含水率が15〜35%となり、pF値2.7において体積含水率が2〜12%となったが、このような範囲においてポトスの成長に悪影響を及ぼすことはなかった。また、実施例1〜7の人工土壌粒子を使用した場合の萎れ開始点は6〜10日となり、比較例2の天然土壌粒子及び比較例3の人工土壌粒子を使用した場合の萎れ開始点(4日)に対して、1.5〜2.5倍に延長できることが確認された。特に、多孔質材である珪藻土を添加した実施例3〜7の人工土壌粒子は、pF値2.3及びpF値2.7の体積含水率が高い値となるように調整し易いものであった。その結果、灌水間隔(萎れ開始点)を容易に延長することが可能であった。これに対し、市販の天然砂を使用した比較例1の天然土壌培地は、pF値2.3及びpF値2.7の体積含水率を高く設定しても、灌水を行うと通気性不足になり、すぐに根腐れが生じる結果となった。市販の天然礫を使用した比較例2の天然土壌培地についても、pF値2.3及びpF値2.7の体積含水率をある程度高くできたとしても、灌水の間隔を延長することはできなかった。また、繊維塊状体ではなく、珪藻土の造粒体である比較例3の人工土壌粒子は、pF値2.3及びpF値2.7の体積含水率を適切な範囲に調整することが困難であり、萎れ開始点を十分に延長することができなかった。繊維塊状体である比較例4の人工土壌粒子は、pF値2.3及びpF値2.7の体積含水率が低いため、灌水を行うとすぐに根腐れが生じた。これらの結果から、本発明に使用する人工土壌粒子を使用し、pF2.3及びpF値2.7の体積含水率の範囲を本発明の範囲に調整して初めて、灌水間隔を容易に延長することができることが示された。
次に、人工土壌培地の水分保持特性のさらなる評価として、人工土壌培地における体積含水率の減少量を求めた。本実施例では、代表的に実施例7の人工土壌粒子を用いて培地を構成し、観葉植物であるポトスを栽培した。図4は、実施例7の人工土壌粒子を用いた培地における体積含水率と経過日数(灌水間隔)との関係を示したグラフである。先ず、底面に排水口を設けたカップに人工土壌培地300ccを充填し、水を貯めた水槽に人工土壌培地全体を完全に浸漬した状態で24時間放置して、人工土壌培地を毛管飽和状態にした。その後、水槽からカップを取出し、重量水が排水されるまで3時間放置した。市販の3号鉢ポトスからポトスを取り出して、根を綺麗に洗浄した後、人工土壌培地にポトスを植え付けた。その後、室温30℃、相対湿度50%の環境試験室でポトスを生育した。灌水はポトスが萎れた時点で実施し、1回の灌水量を200ccとした。灌水は4回行い、灌水直後の人工土壌培地の体積含水率と、次の灌水を行う直前の人工土壌培地の体積含水率との差分をとり、人工土壌培地の体積含水率の減少量を算出した(灌水2回目以降の値を使用)。次いで、体積含水率の減少量を経過日数で割って1日当りの体積含水率の減少量を算出し、灌水4回目までの得られた値を平均して、人工土壌培地の水分保持特性を評価した。体積含水率の減少量の計算結果を以下に示す。
灌水2回目から3回目にかけての1日当たりの体積含水率の減少量:
(42%−12%)/12日 = 2.5%/日
灌水3回目から4回目にかけての1日当たりの体積含水率の減少量:
(41%− 7%)/13日 = 2.6%/日
1日当たりの体積含水率の減少量の平均値 = 2.55%
上記のとおり、1日当たりの体積含水率の減少量は2.55%/日となり、この程度の減少量であれば灌水間隔を十分に確保でき、水遣りの頻度を低減することが可能であった。
以上の結果から、人工土壌培地として、繊維塊状体を備える人工土壌粒子を使用し、人工土壌培地の体積含水率を、pF値2.3において10〜40%の範囲、pF値2.7において1〜15%の範囲となるように調整すると、観葉植物の灌水間隔を容易に延長することが可能となることが明らかとなった。
本発明に係る人工土壌培地の調整方法、及び観葉植物栽培方法は、家庭菜園、植物工場、屋内緑化等の農業及び園芸分野において利用することができる。
1 繊維
2 空隙
10 繊維塊状体
50,51 人工土壌粒子
52 間隙
100 人工土壌培地

Claims (6)

  1. 観葉植物の栽培に使用する人工土壌培地を、当該観葉植物の栽培に適した水分環境に調整する人工土壌培地の調整方法であって、
    前記人工土壌培地として、繊維を集合してなる繊維塊状体を備える人工土壌粒子を使用し、
    前記人工土壌培地の体積含水率を、pF値2.3において10〜40%の範囲、pF値2.7において1〜15%の範囲となるように調整する調整工程を実行する人工土壌培地の調整方法。
  2. 前記調整工程は、前記人工土壌粒子の粒度分布を1〜15mmの範囲に調整する粒度分布調整工程を含む請求項1に記載の人工土壌培地の調整方法。
  3. 前記粒度分布調整工程において、前記人工土壌粒子の粒度分布の中央値が2〜10mmの範囲に存在するように調整する請求項2に記載の人工土壌培地の調整方法。
  4. 前記粒度分布調整工程において、前記人工土壌粒子の粒度分布に複数のピークが存在するように調整する請求項2又は3に記載の人工土壌培地の調整方法。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の人工土壌培地の調整方法により調整した人工土壌培地を用いて観葉植物に灌水を行う灌水工程を含む観葉植物栽培方法。
  6. 前記灌水工程において、前記観葉植物への灌水の間隔を、天然土壌を使用して前記観葉植物を栽培する場合における灌水の間隔の1.5倍以上とする請求項5に記載の観葉植物栽培方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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