JP2018029490A - 成形体、及び成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い耐久性を有し、且つ取り扱いが容易な成形体を提供する。
【解決手段】無機フィラー10と、親水性繊維20と、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)由来のカルボキシメチルセルロース(CMC−H)31と、を含む成形体100であり、粒径が0.1〜10mmの造粒物として構成され、無機フィラー100重量部に対して、親水性繊維を5〜70重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC−H)を2〜20重量部含む。
【選択図】図2
【解決手段】無機フィラー10と、親水性繊維20と、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)由来のカルボキシメチルセルロース(CMC−H)31と、を含む成形体100であり、粒径が0.1〜10mmの造粒物として構成され、無機フィラー100重量部に対して、親水性繊維を5〜70重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC−H)を2〜20重量部含む。
【選択図】図2
Description
本発明は、繊維とフィラーとを含む成形体、及び成形体の製造方法に関する。
保水性を有する成形体は、これまで植物工場での野菜の栽培等に利用されてきたが、近年、このような成形体に対するニーズが多様化し、例えば、成形体を使用して観葉植物や花卉等の様々な植物が栽培されるようになってきている。このような成形体には、土壌としての基本性能(保水性、保肥性等)が優れていることは勿論のこと、耐久性があり、且つ取り扱いが容易であること等が求められる。例えば、成形体を用いて観葉植物や花卉を室内で栽培する鉢植え商品が市販されている。このような室内用の鉢植え商品は、一旦使用を開始すると基本的に土壌を交換することが想定されていない。このため、潅水による水分環境の変化や、温度環境の変化等によって成形体の構造が徐々に崩壊し、保水性、保肥性、及び耐久性等の性能を長期に亘って維持することが困難となることがある。
これまでに開発された成形体として、有機物、無機物、及び土壌のうち少なくとも一種の成分、並びに石こう等の固形物を水溶性ウレタンポリマーの硬化物によって結合した多孔性人工土壌体があった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の多孔性人工土壌体は、固形物を部分的に結合させて、水を保持可能な空孔を形成することにより、人工土壌体の保水性を向上させたものである。
また、粉状のゼオライトを水溶性高分子からなる結合材で結合した団粒構造ゼオライトがあった(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2の団粒構造ゼオライトは、ゼオライトを団粒構造化して水を保持可能な孔隙を形成することにより、団粒体の保水性を高めたものである。
上述のように、観葉植物や花卉等の栽培に利用される成形体は、保水性や保肥性等の基本性能を備えていることは当然のこと、高い耐久性を備え、且つ取り扱いが容易であることが望まれる。この点、特許文献1の人工土壌体は、水溶性ウレタンポリマーの硬化物による結合形態が部分的であることから、十分な強度を有しているとは言えない。このため、水分環境や温度環境の変化によって人工土壌体の構造が破壊され、その結果、土壌としての基本性能が低下したり、微粉等が発生して取り扱い難くなる可能性がある。
特許文献2の団粒構造ゼオライトは、水の存在下で粉末のゼオライトと結合材とを混合して乾燥させただけのものであるため、ゼオライトの粒子間の結合力が十分であるとは言えない。この団粒構造ゼオライトを用いて観葉植物等の植栽作業を行うと、外的な圧力等により団粒構造が破壊され、保水性や保肥性が低下したり、微粉等が発生して取り扱い難くなる虞がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高い耐久性を有し、且つ取り扱いが容易な成形体、及び成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明にかかる成形体の特徴構成は、
無機フィラーと、
親水性繊維と、
アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)由来のカルボキシメチルセルロース(CMC−H)と、
を含むことにある。
無機フィラーと、
親水性繊維と、
アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)由来のカルボキシメチルセルロース(CMC−H)と、
を含むことにある。
本構成の成形体によれば、無機フィラーと、親水性繊維と、アンモニウムカルボキシメチルセルロース由来のカルボキシメチルセルロースとを含有している。本発明者らによる鋭意研究の結果、このような成形体は、増粘剤を添加しなくても、保水性、耐水性、及び耐久性を兼ね備えることが判明した。カルボキシメチルセルロースは、アンモニウムカルボキシメチルセルロースのアンモニア基が脱離したものである。カルボキシメチルセルロースには、本来、増粘性や親水性があるため、無機フィラーが親水性繊維の表面に付着して繊維どうしを離間させ、適切な密度(すなわち空隙)を維持した状態で成形体が形成される。その結果、得られた成形体は、水に溶け難く、観用植物や花卉の栽培に適した空隙率及び細孔体積を備えたものとなる。また、無機フィラーと親水性繊維とが、カルボキシメチルセルロースを介して強固に結合しているため、長期に亘って保水性を維持しつつも、耐久性を発揮することができ、長期間の使用が可能となり、経済性にも優れたものとなる。
本発明にかかる成形体において、
粒径が0.1〜10mmの造粒物として構成されることが好ましい。
粒径が0.1〜10mmの造粒物として構成されることが好ましい。
本構成の成形体によれば、造粒物が上記の適切な範囲に調整されているため、成形体間の間隙に適量の水分を保持することが可能となり、保水性に優れた成形体を形成することができる。また、葉物類のみならず、根菜類の栽培にも適した成形体を得ることができる。
本発明にかかる成形体において、
前記無機フィラー100重量部に対して、前記親水性繊維を5〜70重量部、前記カルボキシメチルセルロース(CMC−H)を2〜20重量部含むことが好ましい。
前記無機フィラー100重量部に対して、前記親水性繊維を5〜70重量部、前記カルボキシメチルセルロース(CMC−H)を2〜20重量部含むことが好ましい。
本構成の成形体によれば、無機フィラーと親水性繊維とカルボキシメチルセルロースとの配合比率が上記の適切な範囲に設定されているため、カルボキシメチルセルロースが無機フィラーと親水性繊維とを結合させて固化することにより、無機フィラーが親水性繊維の表面に付着して繊維どうしを離間させ、適切な密度(すなわち空隙)を維持した状態で成形体が形成される。また、親水性繊維の含有量が適切であるため、保水性が向上する。その結果、保水性、耐水性、及び耐久性を兼ね備えた成形体を得ることが可能となる。
本発明にかかる成形体の製造方法において、
無機フィラーと、親水性繊維と、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)とを混合する混合工程と、
前記混合工程で得られた混合物に水を添加して成形する成形工程と、
前記成形工程で得られた成形体を熱処理する熱処理工程と、
を包含することにある。
無機フィラーと、親水性繊維と、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)とを混合する混合工程と、
前記混合工程で得られた混合物に水を添加して成形する成形工程と、
前記成形工程で得られた成形体を熱処理する熱処理工程と、
を包含することにある。
本構成の成形体の製造方法によれば、混合工程において混合されるアンモニウムカルボキシメチルセルロースの増粘性により、無機フィラーが親水性繊維の表面に均一に付着した混合物(混練物)が得られる。成形工程では、水を添加することにより適度な粘度に調整された混合物が、例えば、撹拌造粒や押出造粒により成形される。熱処理工程では、成形体が熱処理されることにより水分が除去される。また、アンモニウムカルボキシメチルセルロースは、100℃以上の熱処理により、アンモニウムが脱離し、無機フィラーと親水性繊維とを結合した状態で不水溶性の固体となるため、水に溶け難い成形体が得られる。この成形体は、繊維どうしが離間され、適切な密度(すなわち空隙)を維持した状態で、成形体の繊維間、フィラー間、及び繊維−フィラー間に空隙が存在し、親水性繊維が均一に存在する。その結果、保水性、耐水性、及び耐久性を兼ね備えた成形体を製造することが可能となる。
上記課題を解決するための本発明にかかる成形体の製造方法の特徴構成は、
前記混合工程において、前記無機フィラーと、前記アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)とを混合した後に、前記親水性繊維を少量ずつ混合することが好ましい。
前記混合工程において、前記無機フィラーと、前記アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)とを混合した後に、前記親水性繊維を少量ずつ混合することが好ましい。
本構成の成形体の製造方法によれば、混合工程において、無機フィラーと、アンモニウムカルボキシメチルセルロースとを混合した後に、親水性繊維を少量ずつ混合すると、まず無機フィラーどうしが鎖状に結合し、結合した無機フィラーに絡まるように親水性繊維がさらに結合するため、成形体の強度がより向上する。また、成形体の繊維間、フィラー間、及び繊維−フィラー間により均一に空隙が形成され、高い保水性を発揮することができる。その結果、保水性、耐水性、及び耐久性を兼ね備えた成形体を製造することが可能となる。
本発明にかかる成形体の製造方法において、
前記成形工程において、前記水の添加量は混合物の重量に対して0.5〜4.0倍であることが好ましい。
前記成形工程において、前記水の添加量は混合物の重量に対して0.5〜4.0倍であることが好ましい。
本構成の成形体の製造方法によれば、成形工程において、混合物に適切な量の水を添加することにより、無機フィラーと、親水性繊維と、アンモニウムカルボキシメチルセルロースとが適度な粘度を保ちながら均一に混合される。そのため、混合工程後の成形工程(例えば、撹拌造粒や押出造粒)を円滑に行うことができる。また、熱処理工程においても、成形体がひび割れたり、破壊されることなく、成形工程で形成された形状を維持したまま、固化させることができる。その結果、保水性、耐水性、及び耐久性を兼ね備えた成形体を製造することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図1〜3に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下の説明や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
<成形体>
図1は、本発明の成形体100の前駆体である熱処理前の成形体100´の模式図である。ここで、成形体100´は、後述の熱処理を行っていないため、厳密には本発明で言うところの「成形体」ではなく、その前駆体に相当するものであるが、説明の便宜上、成形体100´として取り扱うものとする。成形体100´は、無機フィラー10と、親水性繊維20と、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)30とを含む。無機フィラー10及び親水性繊維20は、アンモニウムカルボキシメチルセルロース30により結合されている。アンモニウムカルボキシメチルセルロース30は、カルボキシメチルセルロース31に置換可能なアンモニウム(アンモニウム基)40が結合したものである。
図1は、本発明の成形体100の前駆体である熱処理前の成形体100´の模式図である。ここで、成形体100´は、後述の熱処理を行っていないため、厳密には本発明で言うところの「成形体」ではなく、その前駆体に相当するものであるが、説明の便宜上、成形体100´として取り扱うものとする。成形体100´は、無機フィラー10と、親水性繊維20と、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)30とを含む。無機フィラー10及び親水性繊維20は、アンモニウムカルボキシメチルセルロース30により結合されている。アンモニウムカルボキシメチルセルロース30は、カルボキシメチルセルロース31に置換可能なアンモニウム(アンモニウム基)40が結合したものである。
無機フィラー10は、多孔質鉱物、無機発泡体、無機多孔質骨材等の無機多孔質体が好適に使用される。多孔質鉱物としては、珪藻土、パーライト、バーミキュライト、パミス等が挙げられる。無機発泡体としては、ガラス発泡体、頁岩発泡体、シラスバルーン等が挙げられる。無機多孔質骨材としては、発泡コンクリート、発泡レンガ等が挙げられる。これらの無機多孔質体のうち、多孔質鉱物である珪藻土及びパーライトは、保水性に優れており、外観が白色を呈しているため見栄えがよく、着色性も良好であり、さらには価格的にも安価であるため、大量に使用する人工土壌用材料として特に好ましく使用される。無機フィラー10として、イオン交換能を有する鉱物を使用することも可能である。イオン交換能を有する鉱物としては、陽イオン交換性鉱物(例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライト、ゼオライトなど)、陰イオン交換性鉱物(例えば、ハイドロタルサイト、マナセアイト、パイロオーライト、シェーグレン石、緑青等の主骨格として複水酸化物を有する天然層状複水酸化物、合成ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様物質、アロフェン、イモゴライト、カオリン等の粘土鉱物など)が挙げられる。無機フィラー10は、二種以上を混合したものでも構わない。例えば、無機フィラー10として珪藻土とゼオライトとを選択し、両者を適切な配合比で混合したものを使用すれば、比較的安価でありながら、保水性及び保肥性の両方を兼ね備えることができる。
親水性繊維20は、親水性の有機繊維が好適に使用され、天然由来繊維、再生繊維、半合成繊維、及び合成繊維の何れも使用可能である。好ましい親水性繊維は、天然由来繊維ではセルロース、綿、羊毛等が挙げられ、再生繊維ではレーヨン等が挙げられ、半合成繊維ではアセテート等が挙げられ、合成繊維ではビニロン、ウレタン、ナイロン等が挙げられる。これらの親水性繊維うち、セルロース、綿、ビニロンは、外観が白色を呈していて見栄えがよく、着色性も良好であり、さらには価格的にも安価であるため、大量に使用する人工土壌用材料として特に好ましく使用される。親水性繊維20は、複数種の繊維を混繊したものでも構わない。
図2は、図1の成形体100´を熱処理して得られる本発明の成形体100の模式図である。成形体100´を熱処理すると、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)30のアンモニウム基40が脱離し、水不溶性のカルボキシメチルセルロース(CMC−H)31が生成する。従って、カルボキシメチルセルロース31は、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)30由来のものである。無機フィラー10及び親水性繊維20は、カルボキシメチルセルロース31によって結合された状態が維持され、成形体100全体として固化する。以下、アンモニウムカルボキシメチルセルロース30におけるアンモニウム基40の脱離反応について、詳しく説明する。
アンモニウムカルボキシメチルセルロース30は、カルボキシメチルセルロース(CMC−Na)のカルボン酸ナトリウム塩がアンモニウム塩に置換された化合物(CMC−NH4)である。アンモニウムカルボキシメチルセルロース30は、カルボキシメチルセルロース(CMC−Na)と同様に増粘性や親水性を有する。アンモニウムカルボキシメチルセルロース30は、100℃以上の熱処理により、アンモニウム基40が脱離し、水不溶性のカルボキシメチルセルロース(CMC−H)31となる。このとき、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)30から脱離したアンモニウム基40は、大部分が大気中に放出されるが、成形体に残留したとしてもイオン化して植物に吸収されるため、植物の生長にとって好都合である。
成形体を人工土壌培地として用いる場合、成形体を造粒物として構成し、当該造粒物の粒度分布が適度に揃うと、造粒物の内部だけでなく、造粒物間に形成される間隙にも適度に水分を保持することができる。そこで、成形体を人工土壌培地として利用する場合は、造粒物の粒度分布が0.1〜10mm、好ましくは0.5〜6mmに調整される。造粒物の粒子径が0.1mmより小さいものを多く含むと、造粒物間に形成される間隙が小さくなり、当該間隙に栽培植物が利用可能な水分(易効水)が強く吸着されて通気性が低下する。その結果、栽培植物の根に酸素を十分に供給することができず、根腐れが生じる虞がある。一方、造粒物の粒子径が10mmより大きいものを多く含むと、造粒物間に形成される間隙が大きくなり、当該間隙に水分を保持する力が弱まって保水性が低下する。そのため、栽培植物への潅水の頻度を上げる必要があり、観葉植物や鉢植えの花卉等を栽培する場合には人の手間を要することになる。粒度調整は、篩がけ等により行うことができるが、無機フィラー、親水性繊維、及びアンモニウムカルボキシメチルセルロースを含む混合物を造粒する際に、粒度分布をおおよそ0.1〜10mmに調整すれば、改めて粒度調整を行わなくてもよい。粒度分布が適切に調整された造粒物は、観葉植物や鉢植えの花卉等の育成培地として好適に利用することができる。
成形体100の特性(特に、機械的特性)は、無機フィラー10と、親水性繊維20と、カルボキシメチルセルロース31との含有比率に影響される。各材料の含有比率が適切な範囲にあれば、成形体100は、剛性と弾性とのバランスが良好なものとなり、例えば、灌水時に成形体100が水分を吸収して膨潤したり、植栽時に成形体100が締め固められても、成形体100の構造が崩壊したり、破壊されることがなく、長期に亘って保水性や保肥性等の基本性能を維持し続けることができる。また、成形体100の構造が崩壊して微粉等が発生することがないため、取り扱いも容易なものとなる。ここで、成形体全体の無機フィラー10の含有量を100重量部とすると、親水性繊維20の含有量は、5〜70重量部、好ましくは25〜60重量部となるように調整される。また、カルボキシメチルセルロース31の含有量は2〜20重量部、好ましくは7〜10重量部となるように調整される。親水性繊維20の含有量が5重量部未満になると、成形体100の保水性が低下する虞がある。一方、親水性繊維20の含有量が70重量部を超えると、繊維の割合が過剰となり、成形体の繊維間、フィラー間、及び繊維フィラー間の空隙が均一に形成されなくなるため、かえって親水性が低下する虞がある。また、カルボキシメチルセルロース31の含有量が2重量部未満になると、無機フィラー10と親水性繊維20との結合が不十分となり、最終的に得られる成形体100が崩壊し易くなる虞がある。一方、カルボキシメチルセルロース31の含有量が20重量部を超えると、無機フィラー10及び親水性繊維20が、カルボキシメチルセルロース31の中に埋没し、最終的に得られる成形体100の保水性や保肥性が低下する虞がある。
無機フィラー10及び親水性繊維20がカルボキシメチルセルロース31により結合された状態の成形体100は、人工土壌粒子としてそのまま使用することができるが、成形体100の表面に膜を設けたり、成形体100の表面をコーティングしたりすることも可能である。例えば、粒状物の表面に水分が通過可能な多孔質膜(図示せず)を設けると、周囲の水分環境に応じて水分吸放出特性をコントロール可能な成形体を設計することができる。また、粒状物の表面を変色防止剤でコーティングすれば、水分、紫外線、摩擦等による劣化を防止することができ、成形体が着色剤で着色されたものである場合は、変色、色落ち、色褪せ等を防止することができる。
<成形体の製造方法>
これまでの成形体の製造方法においては、フィラー及び繊維を造粒する際に、増粘剤や結合剤として、寒天、アルギン酸カリウム、及びポリオレフィン系樹脂エマルジョン等が使用されていた。このうち、寒天は成形体に湿潤性を付与するために添加されるものであるが、強度や耐久性が十分な成形体を得られるものではなかった。これに対し、本発明では、このような増粘剤や結合剤が含まれておらず、代わりにアンモニウムカルボキシメチルセルロースを使用することで、成形体の保水性を保ちながら、耐水性、耐久性も兼ね備えた成形体を製造することができる。
これまでの成形体の製造方法においては、フィラー及び繊維を造粒する際に、増粘剤や結合剤として、寒天、アルギン酸カリウム、及びポリオレフィン系樹脂エマルジョン等が使用されていた。このうち、寒天は成形体に湿潤性を付与するために添加されるものであるが、強度や耐久性が十分な成形体を得られるものではなかった。これに対し、本発明では、このような増粘剤や結合剤が含まれておらず、代わりにアンモニウムカルボキシメチルセルロースを使用することで、成形体の保水性を保ちながら、耐水性、耐久性も兼ね備えた成形体を製造することができる。
本発明の成形体は、親水性繊維と無機フィラーとカルボキシメチルセルロースが互いに混ざり合った状態で粒状物内に存在し、繊維−繊維、フィラー−フィラー、及び繊維−フィラーが、カルボキシメチルセルロースにより結合されている。そのため、成形体の繊維間、フィラー間、及び繊維−フィラー間に空隙が形成され、成形体としての形状が維持される。また、成形体全体において親水性繊維が均一に存在する。かかる成形体を得るため、本発明の成形体の製造方法では、混合工程、成形工程、及び熱処理工程を実行する。これら一連の工程により、土壌としての基本性能を維持しながら、保水性と耐水性と耐久性とのバランスに優れ、取り扱いが容易な人工土壌粒子としての用途に好適な成形体を製造することができる。図3は、本発明の成形体100の製造方法の手順を示したフローチャートである。以下、図3のフローチャートに基づいて、本発明の成形体100の製造方法について説明する。なお、図3中に示す記号「S」はステップを意味する。
〔混合工程〕
初めに、無機フィラー、親水性繊維、及びアンモニウムカルボキシメチルセルロースを混合する(S1:混合工程)。混合工程は、無機フィラー、親水性繊維、及びアンモニウムカルボキシメチルセルロースを攪拌機に投入し、原材料が十分に混ざり合うように攪拌する。攪拌機への固体原材料の投入順序は、すべて同時でもよいし、別々であってもよいが、無機フィラーと、アンモニウムカルボキシメチルセルロースとを予め混合して十分馴染んだ後に、親水性繊維を少量ずつ投入することが好ましい。混合物には、その他、抗菌剤、防カビ剤、消臭剤、酸化防止剤、染料、顔料、香料等の添加剤や、粘度調整のためのアルコール等の溶媒を添加することもできる。
初めに、無機フィラー、親水性繊維、及びアンモニウムカルボキシメチルセルロースを混合する(S1:混合工程)。混合工程は、無機フィラー、親水性繊維、及びアンモニウムカルボキシメチルセルロースを攪拌機に投入し、原材料が十分に混ざり合うように攪拌する。攪拌機への固体原材料の投入順序は、すべて同時でもよいし、別々であってもよいが、無機フィラーと、アンモニウムカルボキシメチルセルロースとを予め混合して十分馴染んだ後に、親水性繊維を少量ずつ投入することが好ましい。混合物には、その他、抗菌剤、防カビ剤、消臭剤、酸化防止剤、染料、顔料、香料等の添加剤や、粘度調整のためのアルコール等の溶媒を添加することもできる。
各原材料の配合比率について、成形体全体における無機フィラー10の含有量を100重量部とすると、親水性繊維20は5〜70重量部、好ましくは25〜60重量部となるように添加すればよく、また、アンモニウムカルボキシメチルセルロース30は2〜20重量部、好ましくは7〜10重量部となるように添加すればよい。これにより、保水性と耐水性と耐久性とのバランスに優れた成形体を調製することができる。
〔成形工程〕
混合工程の後、得られた混合物を成形する(S2:成形工程)。成形工程は、以下の二つの成形法が代表的である。第一の成形工程は、原材料を撹拌しながら成形する撹拌造粒である。撹拌造粒は、混合工程で用いた攪拌機を使用し、そのまま混合物の攪拌を継続することにより行われる。S1で混合した混合物に徐々に水を加えていき、水平方向に回転するアジテーターの回転数と鉛直方向に回転するチョッパーの回転数とを調整しながら混合物を粒状化していく。アジテーターの回転数は100〜300rpmが好ましく、チョッパーの回転数は500〜3000rpmが好ましい。混合物がある程度粒状化したら、アジテーター及びチョッパーの回転を停止し、次いで粒状物を取り出し、所定の粒径になるようにメッシュふるい等を用いて分級する。水の添加量は混合物の重量に対して0.5〜4.0倍が好ましく、1.0〜3.5倍がより好ましい。水の添加量が混合物の重量に対して0.5倍よりも少ない場合、無機フィラーどうしを結合することができなくなって混合物がまとまらなくなる虞がある。一方、水の添加量が混合物の重量に対して4.0倍を超えると、混合物が撹拌機のスクリューやローラー等に多量に付着し、造粒が困難になる虞がある。また、たとえ造粒物が得られたとしても、造粒物どうしが付着し、取り扱いが困難となる虞がある。上記の適切な量の水を原材料に添加することにより、無機フィラーと、親水性繊維と、アンモニウムカルボキシメチルセルロースとが均一に混合され、且つ適度な粘度を有するため、成形工程を円滑に行うことができる。また、後述の熱処理工程においても、成形体がひび割れたり、破壊することなく、成形工程で形成された形状を維持したまま、乾燥することができる。この結果、保水性、耐水性、及び耐久性を兼ね備えた成形体を得ることが可能となる。
混合工程の後、得られた混合物を成形する(S2:成形工程)。成形工程は、以下の二つの成形法が代表的である。第一の成形工程は、原材料を撹拌しながら成形する撹拌造粒である。撹拌造粒は、混合工程で用いた攪拌機を使用し、そのまま混合物の攪拌を継続することにより行われる。S1で混合した混合物に徐々に水を加えていき、水平方向に回転するアジテーターの回転数と鉛直方向に回転するチョッパーの回転数とを調整しながら混合物を粒状化していく。アジテーターの回転数は100〜300rpmが好ましく、チョッパーの回転数は500〜3000rpmが好ましい。混合物がある程度粒状化したら、アジテーター及びチョッパーの回転を停止し、次いで粒状物を取り出し、所定の粒径になるようにメッシュふるい等を用いて分級する。水の添加量は混合物の重量に対して0.5〜4.0倍が好ましく、1.0〜3.5倍がより好ましい。水の添加量が混合物の重量に対して0.5倍よりも少ない場合、無機フィラーどうしを結合することができなくなって混合物がまとまらなくなる虞がある。一方、水の添加量が混合物の重量に対して4.0倍を超えると、混合物が撹拌機のスクリューやローラー等に多量に付着し、造粒が困難になる虞がある。また、たとえ造粒物が得られたとしても、造粒物どうしが付着し、取り扱いが困難となる虞がある。上記の適切な量の水を原材料に添加することにより、無機フィラーと、親水性繊維と、アンモニウムカルボキシメチルセルロースとが均一に混合され、且つ適度な粘度を有するため、成形工程を円滑に行うことができる。また、後述の熱処理工程においても、成形体がひび割れたり、破壊することなく、成形工程で形成された形状を維持したまま、乾燥することができる。この結果、保水性、耐水性、及び耐久性を兼ね備えた成形体を得ることが可能となる。
第二の成形工程は、原材料を押し出しながら成形する押出造粒である。押出造粒は、前述の成形工程を長時間継続していくことで得られる粘土状の混合物を押出造粒機に充填し、当該混合物を押出造粒機のノズルから押出し、さらに押出した混合物を適度なサイズに切断し、造粒等によって成形して成形体(粒状物)の原形とするものである。このように押出造粒では混合物の成形(造粒)を型によって行うため、サイズ及び形状が揃った成形体を製造することができる。
〔熱処理工程〕
次に、成形工程が完了した成形体に対して熱処理を行う(S3:熱処理工程)。熱処理工程は、乾燥工程(S3−1)及びアンモニウム脱離工程(S3−2)を含む。
次に、成形工程が完了した成形体に対して熱処理を行う(S3:熱処理工程)。熱処理工程は、乾燥工程(S3−1)及びアンモニウム脱離工程(S3−2)を含む。
初めに、乾燥工程(S3−1)では、成形工程(S2)で得られた成形体を低温で熱処理する。乾燥工程(S3−1)における成形体の乾燥温度は、アンモニウムカルボキシメチルセルロースのアンモニウムの脱離温度より低温であることが好ましい。例えば、乾燥時に発生した水分を外部に排出しながら乾燥を行う送風式の棚式乾燥器を用いて乾燥工程を実施する場合、乾燥温度は60〜90℃、好ましくは70〜90℃に設定され、乾燥時間は5〜30時間、好ましく12〜30時間に設定される。乾燥温度が60℃より低い場合、あるいは乾燥時間が5時間より短い場合、造粒物中に水分が過剰に残留するため、次に行うアンモニウム脱離工程(S3−2)においてアンモニウムの脱離が不十分となり、繊維間、フィラー間、及び繊維−フィラー間の結合や固化が不十分となる。その結果、成形体に必要な耐久性や強度等の性能が得られ難くなる。一方、乾燥温度が90℃より高い場合、あるいは乾燥時間が30時間より長い場合、水が抜ける前に、アンモニウム脱離工程(S3−2)が始まり、脱離反応が不十分となり、成形体の強固な構造が崩壊しやすいものとなる。その結果、耐久性に劣り、微粉等が発生する虞がある。
次に、アンモニウム脱離工程(S3−2)では、乾燥工程(S3−1)が完了して水分が十分に低減された成形体に対して高温で熱処理を行う。アンモニウム脱離工程(S3−2)における成形体の熱処理温度は、繊維間、フィラー間、及び繊維−フィラー間の結合を確実にするため、アンモニウムカルボキシメチルセルロースのアンモニウムが脱離する温度より高い温度、具体的には、120〜150℃に設定し、2〜5時間熱処理を行う。アンモニウム脱離工程(S3−2)により繊維間、フィラー間、及び繊維−フィラー間を結合しているアンモニウムカルボキシメチルセルロースのアンモニウムが脱離して、水不溶の固体となる。成形体を常温まで冷却すると、無機フィラーと、親水性繊維と、カルボキシメチルセルロースとを含む成形体が硬化される。脱離温度が120℃より低い場合、アンモニウムカルボキシメチルセルロースからのアンモニウム脱離反応が不十分となり、成形体の強固な構造が崩壊しやすくなる虞がある。また、脱離反応が、150℃より高い場合、成形体が変色し、外観が悪化する虞がある。
熱処理工程(S3)により得られた粒状体は、必要に応じて分級が行われ、本発明の成形体とされる。得られた成形体は、カルボキシメチルセルロースが均一に分散された状態で無機フィラー及び親水性繊維が結合している。従って、強度が高く、耐久性に優れたものとなる。また、繊維やフィラーなどの間の空隙も略均一に形成されるため、保水性の低下が抑制される。その結果、例えば、灌水時に成形体が水分を吸収して膨潤したり、植栽時に成形体が締め固められても、成形体の構造が崩壊したり、破壊されることがなく、長期に亘って保水性や保肥性等の基本性能を維持し続けることができる。そして、成形体の構造が維持されることにより微粉等が発生しないため、取り扱いも容易なものとなる。
本発明の成形体の製造方法に従って、珪藻土又はゼオライト、及びセルロース短繊維がカルボキシメチルセルロースにより結合されてなる成形体(実施例1〜4)を作製した。また、比較のため、珪藻土及びカルボキシメチルセルロースを含むがセルロース短繊維を含まない成形体(比較例1)、並びにセルロース短繊維及びカルボキシメチルセルロースを含むが無機フィラーを含まない成形体(比較例2)を作製した。そして、実施例及び比較例にかかる各成形体の特性を評価した。
なお、成形体の原材料として、以下を使用した。
・繊維:セルロース短繊維(KCフロック(登録商標)W−100GK、日本製紙株式会社製)
・無機フィラー:珪藻土(ラヂオライト(登録商標)♯300、昭和化学工業株式会社製)
:ゼオライト(琉球ライト♯CEC600、株式会社エコウエル製)
・アンモニウムカルボキシメチルセルロース:(キッコレート(登録商標)♯NA−H、ニチリン化学工業株式会社製)
・水:水道水
・繊維:セルロース短繊維(KCフロック(登録商標)W−100GK、日本製紙株式会社製)
・無機フィラー:珪藻土(ラヂオライト(登録商標)♯300、昭和化学工業株式会社製)
:ゼオライト(琉球ライト♯CEC600、株式会社エコウエル製)
・アンモニウムカルボキシメチルセルロース:(キッコレート(登録商標)♯NA−H、ニチリン化学工業株式会社製)
・水:水道水
〔実施例1〕
表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、成形体の原材料を攪拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製MGS12型)に投入し、約10分間攪拌及び転動して混合物を調製し、その混合物を押出造粒装置(アキラ機工株式会社製PT−6025型)に投入し、約5φの造粒体を得た。すなわち、実施例1では、押出造粒により造粒体を製造した。造粒体を80℃の温風で12時間乾燥し、更に130℃で3時間熱処理を行うことにより、アンモニウムカルボキシメチルセルロースのアンモニウムを脱離させてセルロース短繊維及び珪藻土をカルボキシメチルセルロースで結合させ、これを常温まで冷却して実施例1の成形体を得た。
表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、成形体の原材料を攪拌混合造粒装置(有限会社G−Labo製MGS12型)に投入し、約10分間攪拌及び転動して混合物を調製し、その混合物を押出造粒装置(アキラ機工株式会社製PT−6025型)に投入し、約5φの造粒体を得た。すなわち、実施例1では、押出造粒により造粒体を製造した。造粒体を80℃の温風で12時間乾燥し、更に130℃で3時間熱処理を行うことにより、アンモニウムカルボキシメチルセルロースのアンモニウムを脱離させてセルロース短繊維及び珪藻土をカルボキシメチルセルロースで結合させ、これを常温まで冷却して実施例1の成形体を得た。
〔実施例2〕
表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、原材料を含む混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた成形体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して実施例2の成形体を得た。
表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、原材料を含む混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた成形体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して実施例2の成形体を得た。
〔実施例3〕
表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、原材料を含む混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた造粒体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して実施例3の成形体を得た。
表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、原材料を含む混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた造粒体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して実施例3の成形体を得た。
〔実施例4〕
表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、原材料を含む混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた造粒体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して実施例4の成形体を得た。
表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、原材料を含む混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた造粒体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して実施例4の成形体を得た。
〔比較例1〕
比較例1の成形体は、原材料として珪藻土とアンモニウムカルボキシメチルセルロースとを使用するが親水性繊維は使用しないものである。表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、原材料を含む混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた造粒体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して比較例1の成形体を得た。
比較例1の成形体は、原材料として珪藻土とアンモニウムカルボキシメチルセルロースとを使用するが親水性繊維は使用しないものである。表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、原材料を含む混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた造粒体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して比較例1の成形体を得た。
〔比較例2〕
比較例2の成形体は、原材料としてセルロース短繊維とアンモニウムカルボキシメチルセルロースとを使用するが無機フィラーを使用しないものである。表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた造粒体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して比較例2の成形体を得た。
比較例2の成形体は、原材料としてセルロース短繊維とアンモニウムカルボキシメチルセルロースとを使用するが無機フィラーを使用しないものである。表1に示す原材料の配合(単位:重量部)に従って、混合物を調製し、実施例1と同様の押出造粒により、成形体を製造した。押出造粒によって得られた造粒体を実施例1と同様の乾燥条件及び熱処理条件で処理し、これを常温まで冷却して比較例2の成形体を得た。
<成形体の特性評価>
実施例1〜4、及び比較例1及び2の成形体について、強度(圧縮強度)、耐久後残留率(固形分重量比率)及び保水性を評価した。
実施例1〜4、及び比較例1及び2の成形体について、強度(圧縮強度)、耐久後残留率(固形分重量比率)及び保水性を評価した。
圧縮強度については、各成形体を水に浸漬して飽和状態とし、24時間経過後の各成形体の一粒を採取し、強度試験装置(株式会社島津製作所社製、小型卓上試験機 EZ−SX)を使用して測定した。測定条件は、圧縮速度を5mm/分とした。圧縮強度は、以下のJIS R1639−5(2007)に示される式に基づいて算出し、成形体10個の測定値のうち最大と最小とを除外した8個の平均値を採用した。
圧縮強度[N/mm2]=2.48×P/(π×D2)
P[N]:成形体が破壊に至ったときの降伏点荷重
D[mm]:成形体の平均直径
圧縮強度[N/mm2]=2.48×P/(π×D2)
P[N]:成形体が破壊に至ったときの降伏点荷重
D[mm]:成形体の平均直径
耐久後残留率については、水分量5%以下の成形体の重量を測定後、成形体を水に投入し、スターラーで24時間撹拌することにより耐久性を確認した。次に耐久後の成形体の含水分量が5%以下となるまで60〜80℃の温風で乾燥し、常温まで冷却後、固形分の重量を測定して固形分重量比率(耐久後残留率(%))を算出した。
保水性については、底部に多数の孔を有する孔付きカップに、各成形体100ccを充填し、これに水50ccを注入してカップの底から排出された水の量より保水量(単位:cc/100cc)を測定した。保水量が多いと保水性が良く、逆に、保水量が少ないと保水性に劣ると評価することができる。
各成形体の圧縮強度、耐久後残留率、及び保水量の測定結果を表2に示す。実施例1〜4の成形体は、保水性及び強度のバランスに優れており、土壌としての基本性能を維持しながら、高い耐久性を有していることが示された。以下、本発明の成形体の特性について、詳細に説明する。
珪藻土又はゼオライトと、セルロース短繊維と、アンモニウムカルボキシメチルセルロースとを原材料に含むもの(実施例1〜4)は、いずれも良好な圧縮強度、耐久後残留率、及び保水量が示された。無機フィラーとセルロース短繊維との混合比率を10:1としたもの(実施例1、2)や4:1としたもの(実施例3)よりも、2:1としたもの(実施例4)のほうが、耐久後残留率が高い結果となった。このことから、セルロース短繊維は、保水性のみならず、耐久性の向上にも寄与していることが示唆された。
これに対し、セルロース短繊維を含まない比較例1、及び無機フィラーを含まない比較例2の成形体は、十分な性能が得られなかった。比較例1は、耐久後残留率が特に劣っていたことから、セルロース短繊維の存在が耐久性向上のために重要な役割を果たしていることが示唆された。また、比較例2は、保水性が特に劣っていたことから、無機フィラーの存在が保水性向上のために重要な役割を果たしていることが示唆された。このように、比較例1及び2の成形体は、何れも長期に亘って使用される観葉植物や花卉の栽培用の人工土壌培地には不向きであった。
本発明の成形体、及び成形体の製造方法は、室内用の観葉植物や鉢植えの花卉等の育成培地において好適に利用されるが、植物工場等で栽培される野菜等の育成培地において利用することも可能である。
10 無機フィラー
20 親水性繊維
30 アンモニウムカルボキシメチルセルロース
31 カルボキシメチルセルロース
100 成形体
20 親水性繊維
30 アンモニウムカルボキシメチルセルロース
31 カルボキシメチルセルロース
100 成形体
Claims (6)
- 無機フィラーと、
親水性繊維と、
アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)由来のカルボキシメチルセルロース(CMC−H)と、
を含む成形体。 - 粒径が0.1〜10mmの造粒物として構成される請求項1に記載の成形体。
- 前記無機フィラー100重量部に対して、前記親水性繊維を5〜70重量部、前記カルボキシメチルセルロース(CMC−H)を2〜20重量部含む請求項1又は2に記載の成形体。
- 無機フィラーと、親水性繊維と、アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)とを混合する混合工程と、
前記混合工程で得られた混合物に水を添加して成形する成形工程と、
前記成形工程で得られた成形体を熱処理する熱処理工程と、
を包含する成形体の製造方法。 - 前記混合工程において、前記無機フィラーと、前記アンモニウムカルボキシメチルセルロース(CMC−NH4)とを混合した後に、前記親水性繊維を少量ずつ混合する請求項4に記載の成形体の製造方法。
- 前記成形工程において、前記水の添加量は混合物の重量に対して0.5〜4.0倍である請求項4又は5に記載の成形体の製造方法。
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