JP2017161824A - プロセスカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】低温環境下においても、低温低湿度環境下においても、高品位な画像を得ることが可能なプロセスカートリッジを提供する。【解決手段】導電性基体と、表面層として導電性弾性層とを有する帯電部材101であって、弾性層はバインダーを含み、かつ、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を表面に露出する状態で保持してなり、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部、を有し、表面のバインダーのマルテンス硬度をM1とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部の底部の直下におけるバインダーのマルテンス硬度をM2としたとき、M2/M1が1未満であり、トナーは、外添剤として、シリカ微粒子を含有し、シリカ原体100質量部に対して15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されており、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)が70%以上である。【選択図】図10

Description

本発明は、電子写真法などを利用した記録方法に用いられるプロセスカートリッジに関する。
従来、電子写真方式においては、光導電性物質よりなる静電潜像担持体(以下、感光体ともいう)を帯電装置により帯電し、更に露光することにより感光体の表面に静電荷像を形成する。次いで静電荷像をトナー担持体(以下、現像スリーブともいう)上のトナーで現像してトナー画像を形成し、紙などの転写材にトナー画像を転写した後、加熱加圧により転写材上にトナー画像を定着して複写物又はプリントを得るものである。この際、転写後に転写材に転写せずに感光体上に残余したトナー(以下、転写残トナーともいう)はクリーニングブレード等、種々の方法でクリーニングされ、上述の工程が繰り返される。
上記帯電装置としては、感光体の表面に接触又は近接配置された帯電部材に電圧(直流電圧のみの電圧又は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)を印加することによって感光体の表面を帯電する方式が採用されている。帯電を安定に行う、及び、オゾンの発生を低減するという観点から、接触式の帯電方式が好んで用いられている。接触式の帯電方式の場合、ローラ形状の帯電部材が好んで用いられている。
一方、小型化の点においては、現像スリーブの小径化が重要な技術となる。トナーへの電荷付与は、主としてトナー規制部材(以下、現像ブレードともいう)によってトナーが規制された領域において、トナーと現像スリーブ等の摩擦帯電付与部材との摺擦による摩擦帯電によって行われる。
特に、上記のような小径化された現像スリーブの場合には、現像ニップ部の現像領域が狭くなることにより、現像スリーブからトナーが飛翔しにくくなる。このため、一部のトナーのみが過剰に帯電する、いわゆるチャージアップという現象が起こり、トナーの帯電が不均一になりやすい。
現像スリーブを小径化した際にでも、トナー全体が適正に摩擦帯電されるには、現像スリーブと現像ブレードの摺擦が行われる領域(以下、ブレードニップともいう)内において、トナーがよく入れ替わるというトナーの高循環性が必要となる。しかし、劣化したトナーは循環性が悪く、トナー全体が適正に摩擦帯電されにくい傾向にある。
すなわち、小径化された現像スリーブ上で劣化したトナーは、特に帯電が不均一になる傾向にある。トナーの帯電が不均一になると、様々な問題が生じるが、そのひとつに、上述の転写工程において、十分な転写性が得られず、感光体上に転写残トナーが多くなる場合がある。
接触帯電による感光体の帯電を安定化させるため、特許文献1には、表面に樹脂粒子等に由来した凸部を有する表面層を備えた接触帯電用の帯電部材が開示されている。このような帯電部材を用いることで確かに感光体の帯電はより安定化する傾向にある。しかし、特許文献1に記載の帯電部材では、感光体と当接した際、帯電ローラ表面の樹脂粒子に由来した凸部に当接圧が集中し、長期の使用では感光体の表面に不均一な摩耗を生じ、このような不均一な摩耗に起因した縦スジ状の画像不良が発生する場合があった。
この課題に対して、特許文献2では導電性樹脂層中に開口を有したボウル形状の樹脂粒子を含有し、帯電部材の表面にボウル形状樹脂粒子の開口部及びエッジ部に由来した凹凸形状を有する帯電部材が提案されている。
特許文献2に記載されている帯電部材を用いることにより、帯電部材の表面のボウル形状樹脂粒子の開口部のエッジ部(以下、単にエッジ部ともいう)が弾性変形することで、感光体への当接圧力が緩和される。上記理由により、長期に亘る使用においても感光体の不均一な摩耗を抑制することができる傾向にあった。
特開2008−276026号公報 特開2011−237470号公報
しかしながら、近年の電子写真の高速・高耐久化に伴い、感光体の不均一な摩耗のみならず、更なる耐汚れ性の向上が求められている。特許文献2に記載の帯電部材では、感光体の不均一な摩耗は抑制可能であるものの、帯電部材へのトナーや遊離した外添剤の耐付着性、汚れについては必ずしも十分ではなかった。
特に、低温低湿度環境下においては、トナーの流動性が高くなりやすく、トナーのすり抜けが助長され、画像不良につながる帯電部材の汚れが顕在化しやすい傾向にあった。それにより、付着蓄積した汚れに起因した画像欠陥が発生してしまう場合がある。
また、上述のように小径化されたスリーブを用いて、トナーがチャージアップ傾向にある場合には、部材との付着性が増大し、帯電部材への付着が促進されやすい傾向にある。
本発明者らの更なる検討によれば、特許文献2で挙げられている帯電部材の汚れる理由としては、帯電部材と感光体のニップ部における、エッジ部の接触面積が増加することにより、接触部へ汚れが固着し易くなってしまうと考えている。
図1を用いて上記汚れ固着発生のメカニズムについて説明する。ニップ部におけるボウル粒子の弾性変形は、図1(1a)に示されるように、ボウル粒子のエッジ部11が矢印Aの方向へ撓む動きをするため、図1(1b)に示されるように感光体13とエッジ部11の接触面積が増大した状態となる。これにより、汚れの固着が発生してしまうと、本発明者らは考察している。尚、ニップとは帯電部材の長手方向に直交する方向における、帯電部材と感光体との接触点の両端の2箇所について、各々の接触点を通る帯電部材長手方向に平行な2本の直線で挟まれる領域であると本件では定義している。
感光体13とエッジ部11の接触面積の増大による汚れの固着に起因したドット状及び横スジ状の画像の抑制手段として、エッジ部11の周囲の導電性弾性層12の硬度を全域に亘って上昇させ、エッジ11の矢印Aの方向への撓みを抑制する方法が考えられる。
しかしながら、そのようにした場合、エッジ部11の撓みは抑制できるが、当接圧を緩和することができない為、感光体13とエッジ部11の接触点にて当接圧力の集中が生じ、長期に亘る使用において感光体の不均一な摩耗が生じてしまう。即ち、汚れ固着の抑制と感光体の不均一な磨耗の抑制を両立することは、電子写真の高速・高耐久化に対して、解決することが必要な課題となっている。
本発明は、前記のような、汚れ固着の抑制と感光体の不均一な磨耗の抑制を両立することにより、低温環境下においても、感光体融着による白ポチ状の画像欠陥が抑制された高品位な画像を得ることが可能なプロセスカートリッジを提供する。また、低温低湿度環境下においても、帯電部材の汚染による黒ポチ状の画像欠陥が抑制された高品位な画像を得ることが可能なプロセスカートリッジを提供する。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記のトナーを採用することで上記課題を解決することが可能であることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
該プロセスカートリッジは、
静電潜像担持体と、
該静電潜像担持体を帯電する帯電部材と、
該静電潜像担持体に形成された静電荷像をトナーを用いて現像する現像手段と、
を有し、
該帯電部材は、導電性基体と、該導電性基体の上の表面層としての導電性の弾性層とを有し、
該弾性層は、バインダーを含み、かつ、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該帯電部材の表面に露出する状態で保持してなり、
該帯電部材の表面は、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部と、を有し、
該帯電部材の表面のバインダーのマルテンス硬度をM1とし、該帯電部材の凹部の底部の直下におけるバインダーのマルテンス硬度をM2としたとき、M2/M1の値が1未満であり、
該トナーは、外添剤として、シリカ微粒子を含有し、
該シリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されており、該シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)が70%以上である、ことを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
本発明によれば、低温環境下においても、感光体融着による白ポチ状の画像欠陥が抑制された高品位な画像を得ることが可能なプロセスカートリッジを提供することができる。また、低温低湿度環境下においても、帯電部材の汚染による黒ポチ状の画像欠陥が抑制された高品位な画像を得ることが可能なプロセスカートリッジを提供することができる。
従来の帯電部材のニップ部における変形の説明図である。 本発明に係る帯電部材のニップ部における変形の説明図である。 本発明に係る帯電部材の一例を示す概略断面図である。 帯電部材の電流測定装置の概略図である。 本発明に係る帯電ローラの表面近傍の部分断面図である。 本発明に係る帯電ローラの表面近傍の部分断面図である。 本発明に用いられるボウル形状の樹脂粒子の形状の説明図である。 帯電部材の表面における硬度測定位置の説明図である。 ガラス板と帯電部材の表面を当接させる冶具の概略図である。ガラス板と帯電部材の間に形成される空間の説明図である。 本発明に係る電子写真装置の一例を表す概略断面図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの一例を表す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、これら説明に限定されるわけではない。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記のプロセスカートリッジを採用することで上記課題を解決することが可能であることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
該プロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体を帯電する帯電部材と、該静電潜像担持体に形成された静電荷像をトナーを用いて現像する現像手段とを有する。
該帯電部材は、導電性基体と、該導電性基体の上の表面層としての導電性の弾性層とを有する。
該弾性層は、バインダーを含み、かつ、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該帯電部材の表面に露出する状態で保持してなる。
該帯電部材の表面は、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部と、を有する。
該帯電部材の表面のバインダーのマルテンス硬度をM1とし、該帯電部材の凹部の底部の直下におけるバインダーのマルテンス硬度をM2としたとき、M2/M1の値が1未満である。
該トナーは、外添剤として、シリカ微粒子を含有する。
該シリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されており、該シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)が70%以上である。
まず、感光体融着による白ポチ状の画像欠陥が発生する推定理由について記載する。上記したように、帯電部材の汚れは、一般的に以下の現象によって発生する。
転写残トナー及び外添剤は、本来、クリーニング工程においてクリーニングブレード等によって除去されるべきものである。しかしながら、クリーニングブレードの振動や感光体の微小な傷をきっかけとして転写残トナー及び外添剤がクリーニングブレードをすり抜け、クリーニング工程を経た後にも感光体上に残留することがある。このようなトナー成分が、帯電部材との接触により、帯電部材の汚れを引き起こす。
本発明者らの検討においては、汚れの原因となっているのは、トナーだけでなく、トナーから遊離したシリカ微粒子等の外添剤成分であることも判明している。
このように、帯電部材に汚れが付着することで、感光体に対して、帯電部材から汚れが転移するとともに、帯電部材で押しつけられることで、感光体に対して、トナーが融着する現象(以下、感光体融着ともいう)が発生する。
感光体融着が発生すると、融着部分が感光体周期でハーフトーンもしくはベタ黒画像上に白ポチ状の画像欠陥が現れてしまう。
一方、帯電部材の汚れにおいて、クリーニングブレードをトナーよりもすり抜けやすいシリカ微粒子が主要因となると、シリカのチャージアップにより、帯電部材の帯電能が低下することで、非画像領域に、トナーが載り、黒ポチ状画像欠陥となりやすい。
すなわち、感光体融着に伴う白ポチ状画像欠陥よりも、シリカ微粒子の汚れに伴う黒ポチ状画像欠陥の抑制が厳しい傾向にあり、本発明のように、特定のトナー及び特定の帯電部材を使用し、より厳密に制御する必要がある。
本発明においては、特定の帯電部材と特定のトナーを用いることで、これらの白ポチ状画像欠陥、及び、黒ポチ状画像欠陥を抑制させることが目的である。
ここで、本発明における帯電部材について説明する。
本発明に係る帯電部材は、導電性基体と、該基体上の表面層としての導電性の弾性層とを有する帯電部材である。
該導電性の弾性層は、バインダー樹脂とボウル形状の樹脂粒子とを含有しており、ボウル形状の樹脂粒子は弾性層の表面に露出している。帯電部材の表面は、表面に露出したボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ部(以下、単にエッジ部ともいう)に由来する凸部とを有している。
また、表面のバインダーのマルテンス硬度をM1とし、該帯電部材の表面のボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部の底部の直下におけるバインダーのマルテンス硬度をM2としたとき、M2/M1の値が1未満であることを特徴としている。更には、M2/M1が0.7以下であることがより好ましい。
M1及びM2を上記範囲内にするために、ボウル形状の樹脂粒子のボウルの材料を酸素透過度の小さい材料を用い、帯電部材の表面を大気雰囲気下にて加熱処理により酸化硬化させる手段が好ましい。上記については後に詳述する。
(1)帯電部材
図3に帯電部材の断面の一例の概略図を示す。
図3(3a)の帯電部材は、導電性基体1と導電性弾性層2を有している。
図3(3b)に示すように、導電性弾性層は、導電性弾性層21及び導電性弾性層22からなる2層構成であってもよい。尚、導電性弾性層は、バインダー及びボウル形状の樹脂粒子を含有している。
導電性基体1及び導電性弾性層2、あるいは、導電性基体1上に順次積層する層(例えば、図3(3b)に示す導電性弾性層21及び導電性弾性層22)は、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性を有する接着剤としては公知のものを用いることができる。
接着剤のバインダーとしては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系のような公知のものを用いることができる。
接着剤に導電性を付与するための導電剤としては、後に詳述する導電性微粒子から適宜選択し、単独、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
(1−1)導電性基体
導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性層を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金を挙げることができる。
(1−2)導電性弾性層
図5はローラ部材の弾性層を構成する導電性弾性層の表面近傍の部分断面図である。導電性弾性層に含有されている一部のボウル形状の樹脂粒子41は、前記ローラ部材の表面に露出している。そして、ローラ部材の表面は、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口51に由来する凹部52と、表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ53に由来する凸部とを有している。
図6に示す、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部52の底部と凸部の頂点53との高低差54は、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上80μm以下であることがより好ましい。本範囲とすることにより、より確実にニップ部におけるエッジの点接触を維持することができる。
また、前記凸部の頂点53と前記凹部の底部52との高低差54と、前記ボウル形状樹脂粒子の最大径55との比、すなわち、樹脂粒子の[最大径]/[高低差]は、0.8以上3.0以下であることが好ましい。本範囲とすることにより、より確実にニップ部におけるエッジの点接触を維持することができる。
前記凹凸形状の形成により、導電性弾性層の表面状態は、下記のように制御されていることが好ましい。十点平均表面粗さ(Rzjis)は、5μm以上65μm以下が好ましく、10μm以上50μm以下がより好ましい。表面の凹凸平均間隔(Sm)は、30μm以上200μm以下が好ましく、40μm以上150μm以下がより好ましい。上記の範囲とすることにより、より確実にニップ部におけるエッジの点接触を維持することができる。尚、表面の十点平均粗さ(Rzjis)及び表面の凹凸平均間隔(Sm)の測定法については、後に詳述する。
図7の(7a)から(7e)に本発明に用いるボウル形状の樹脂粒子の一例を示す。本発明において、ボウル形状とは、開口部61を有し、開口部の下方に丸みのある凹部62を有する形状をいう。開口部は、図7の(7a)及び(7b)に示すように、エッジが平坦であってもよく、また、図7の(7c)から(7e)に示すようにエッジが凹凸であってもよい。
ボウル形状の樹脂粒子の最大径55の目安は、10μm以上150μm以下が好ましく、20μm以上100μm以下がより好ましい。また、ボウル形状の樹脂粒子の最大径55と、開口部の最小径63の比、即ち、{ボウル形状の樹脂粒子の[最大径]/[開口部の最小径]}が、1.1以上4.0以下であることがより好ましい。本範囲とすることにより、より確実に後述するニップ部にてボウル粒子がバインダー側へ沈む動きをすることができる
ボウル形状の樹脂粒子の開口部周辺のシェルの厚み(縁の外径と内径の差)は0.1μm以上3μm以下が好ましく、0.2μm以上2μm以下であることがより好ましい。本範囲とすることによって、より確実に後述するニップ部にてボウル粒子がバインダー側へ沈む動きをすることができる。また、上記シェルの厚みは、最大厚みが、最小厚みの3倍以下であることが好ましく、2倍以下であることがより好ましい。
[バインダー]
本発明に係る導電性弾性層に含有されるバインダーとしては、公知のゴムまたは樹脂を用いることができる。ゴムとしては、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプロピレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の如き樹脂が使用できる。中でも、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂がより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらバインダーの原料である単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。
[導電性微粒子]
導電性弾性層の体積抵抗の目安としては、温度23℃、相対湿度50%という環境下において、1×10Ωcm以上、1×1016Ωcm以下とすることが好ましく、本範囲とすることで、放電により電子写真感光体を適切に帯電することが、より容易になる。そのために、導電性弾性層中に、導電性を発現するために公知の導電性微粒子を含有してもよい。導電性微粒子としては金属酸化物、金属微粒子、カーボンブラックが挙げられる。また、これらの導電性微粒子を、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。導電性弾性層中における導電性微粒子の含有量の目安としては、バインダー100質量部に対して2〜200質量部が好ましく、5〜100質量部がより好ましい。
[導電性弾性層の形成方法]
導電性弾性層を形成する方法を下記に例示する。まず、導電性基体上に、バインダーに中空形状の樹脂粒子を分散させた被覆層(以下、予備被覆層ともいう)を作製する。その後、表面を研磨することにより、中空形状の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部を形成する。(以下、「ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹凸形状」ともいう)。この様にして導電性樹脂層を形成し、次に加熱処理を行うことで、熱硬化させる。
[予備被覆層中への樹脂粒子の分散]
予備被覆層に中空形状の樹脂粒子を分散させる方法について説明する。
一つの方法としては、粒子の内部に気体を含有している中空形状の粒子を、バインダーと共に分散させた導電性樹脂組成物を乾燥、硬化、または架橋等を行う方法を例示することができる。中空形状の樹脂粒子に使用する樹脂としては、気体透過性が低く、高反発弾性を有するという観点から、極性基を有する樹脂が好ましく、下記式(4)に示すユニットを有する樹脂が、より好ましい。特に研磨性を制御しやすいという観点から、式(4)に示すユニットと、式(8)に示すユニットを両方有することが、更に好ましい。
(式中、Aは下記式(5)、(6)及び(7)からなる群より選択される少なくとも1種である。Rは、水素原子、もしくは炭素数1から4のアルキル基である。)
(式中、Rは、水素原子、もしくは、炭素数1から4のアルキル基であり、Rは、水素原子、もしくは、炭素数1から10のアルキル基である。RとRは、同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
別の方法としては、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空形状の樹脂粒子となる、熱膨張性マイクロカプセルを使用する方法を例示することができる。熱膨張性マイクロカプセルを、バインダーと共に分散させた導電性樹脂組成物を作製し、この組成物を、導電性基体上に被覆し、乾燥、硬化、または架橋等を行う方法である。この方法の場合、予備被覆層に使用するバインダーの乾燥、硬化、または架橋時の熱で内包物質を膨張させ、中空形状の樹脂粒子を形成することができる。この際、温度条件を制御することにより、粒径を制御可能である。
熱膨張性マイクロカプセルを用いる場合、使用する樹脂は、熱可塑性樹脂を用いる必要がある。熱可塑性樹脂としては以下のものが挙げられる。アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル酸樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、メタクリロニトリル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂類、メタクリル酸エステル樹脂類。この中でも特に、ガス透過性が低く、高い反発弾性を示すアクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、及びメタクリロニトリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を用いることが、後述する硬度分布に制御する上で、より好ましい。これら熱可塑性樹脂は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、これら熱可塑性樹脂の単量体を共重合させ、共重合体としてもよい。
熱可塑性マイクロカプセルに内包させる物質としては、前記熱可塑性樹脂の軟化点以下の温度でガスになって膨張するものが好ましく、例えば以下のものが挙げられる。プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンの如き低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの如き高沸点液体。
上記の熱膨張性マイクロカプセルは、懸濁重合法、界面重合法、界面沈降法、液中乾燥法といった公知の製法によって製造することができる。例えば、懸濁重合法においては、重合性単量体、上記熱膨張性マイクロカプセルに内包させる物質及び重合開始剤を混合し、この混合物を、界面活性剤や分散安定剤を含有する水性媒体中に分散させた後、懸濁重合させる方法を例示することができる。尚、重合性単量体の官能基と反応する反応性基を有する化合物、有機フィラーを添加することもできる。
重合性単量体としては、下記のものを例示することができる。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル。アクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート)、メタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート)。スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、εカプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネート。これらの重合性単量体は単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、重合性単量体に可溶の開始剤が好ましく、公知のパーオキサイド開始剤及びアゾ開始剤を使用できる。これらのうち、アゾ開始剤が好ましい。アゾ開始剤の例を以下に挙げる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル。中でも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。重合開始剤を用いる場合、重合性単量体100重量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子型分散剤を使用できる。界面活性剤を使用する場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。分散安定剤としては以下のものが挙げられる。有機微粒子(ポリスチレン微粒子、ポリメタクリル酸メチル微粒子、ポリアクリル酸微粒子及びポリエポキシド微粒子)、シリカ(コロイダルシリカ)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、及び、水酸化マグネシウム等。分散安定剤を使用する場合、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
懸濁重合は、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。また、分散機等で懸濁してから、耐圧容器に移して懸濁重合してもよく、耐圧容器内で懸濁してもよい。重合温度は50℃〜120℃が好ましい。重合は、大気圧下で行ってもよいが、上記熱膨張マイクロカプセルに内包させる物質を気化させないようにするため、加圧下(大気圧に0.1〜1MPaを加えた圧力下)で行うことが好ましい。重合終了後は、遠心分離や濾過によって、固液分離及び洗浄を行ってもよい。固液分離や洗浄する場合、この後、熱膨張マイクロカプセルを構成する樹脂の軟化温度以下にて乾燥や粉砕を行ってもよい。乾燥及び粉砕は、既知の方法により行うことができ、気流乾燥機、順風乾燥機及びナウターミキサーを使用できる。また、乾燥及び粉砕は、粉砕乾燥機によって同時に行うこともできる。界面活性剤及び分散安定剤は、製造後に洗浄濾過を繰り返すことにより除去できる。
[予備被覆層の形成方法]
予備被覆層の形成方法について説明する。予備被覆層の形成方法としては、静電スプレー塗布、ディッピング塗布、ロール塗布、所定の膜厚に成膜されたシート形状又はチューブ形状の層を接着又は被覆する方法、型内で所定の形状に材料を硬化成形する方法が挙げられる。また、特に、バインダーがゴムの場合には、クロスヘッドを備えた押出機を用いて、導電性基体と未加硫ゴム組成物を一体的に押出して作製することもできる。クロスヘッドとは、電線や針金の被覆層を構成するために用いられる、押出機のシリンダ先端に設置して使用する押出金型である。この後、乾燥、硬化または架橋を経た後、予備被覆層の表面を研磨して、中空形状の樹脂粒子の一部を削除してボウル形状とする。研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用できる。円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機が例示できる。
(a)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍以下の場合
予備被覆層の厚みが中空粒子の平均粒径の5倍以下の場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が、形成されている場合が多い。この場合には、中空形状の樹脂粒子の凸部の一部を削除して、ボウル形状とし、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹凸形状を形成することができる。この場合、研磨時に帯電部材にかかる圧力が比較的小さい、テープ研磨を使用することがより好ましい。一例として、テープ研磨方式を使用する際の、予備被覆層の研磨条件として好ましい範囲を下記に示す。
研磨テープは、研磨砥粒を樹脂に分散させ、それを、シート状基材に塗布している。研磨砥粒としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、酸化セリウム、コランダム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化チタン及び酸化ケイ素が例示できる。研磨砥粒の平均粒径は、0.01μm以上、50μm以下が好ましく、1μm以上、30μm以下がより好ましい。尚、上記研磨砥粒の平均粒径は、遠心沈降法により測定された体積基準のメジアン径D50である。上記研磨砥粒を有する研磨テープの番手の範囲は、500以上、20,000以下であることが好ましく、1,000以上、10,000以下であることがより好ましい。研磨テープの具体例を以下に挙げる。MAXIMA LAP、MAXIMA Tタイプ(商品名、レフライト(株))、ラピカ(商品名、KOVAX社製)、マイクロフィニッシングフィルム、ラッピングフィルム(商品名、住友3M(株))、ミラーフィルム、ラッピングフィルム(商品名、三共理化学(株)製)、ミボックス(商品名、日本ミクロコーティング(株)製)。
研磨テープの送り速度は、10mm/分以上、500mm/分以下が好ましく、50mm/分以上、300mm/分以下がより好ましい。研磨テープの予備被覆層への押し当て圧は、0.01MPa以上、0.4MPa以下が好ましく、0.1MPa以上、0.3MPa以下がより好ましい。押し当て圧を制御するため、予備被覆層には、研磨テープを介してバックアップローラを当接させてもよい。また、所望の形状を得るために、複数回に亘り、研磨処理を行ってもよい。回転数を、10rpm以上、1,000rpm以下に設定することが好ましく、50rpm以上、800rpm以下に設定することがより好ましい。上記の条件とすることで、導電性樹脂層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹凸形状を、より容易に形成することができる。
(b)予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍超の場合
予備被覆層の厚みが中空形状の樹脂粒子の平均粒径の5倍を超える場合、予備被覆層の表面には、中空形状の樹脂粒子由来の凸部が、形成されていない場合が発生する。この様な場合は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層との研磨性の差を利用して、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹凸形状を形成可能である。中空形状の樹脂粒子は、内部に気体を内包しているため、高反発弾性を有する。これに対し、予備被覆層のバインダーとしては、比較的反発弾性が低く、かつ、伸びの小さなゴム又は樹脂を選択する。これにより予備被覆層は研磨されやすく、中空形状の樹脂粒子は研磨されにくい状態を達成できる。
上記状態の予備被覆層を研磨すると、中空形状の樹脂粒子は、予備被覆層と同じ状態で研磨されることなく、中空形状の樹脂粒子の一部のみ削除したボウル形状とすることができる。これにより、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹凸形状を形成することができる。この方法は、中空形状の樹脂粒子と予備被覆層との研磨性の差を利用して、凹凸形状を形成する方法であるため、予備被覆層に使用するバインダーとしては、ゴムを使用することが好ましい。この中でも、低反発弾性、かつ、伸びが小さいという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを使用することが特に好ましい。
[研磨方法]
研磨方法としては、円筒研磨方法やテープ研磨法を使用することができるが、材料の研磨性の差を顕著に引き出す必要があるため、より速く研磨する条件が好ましい。この観点から、円筒研磨方法を使用することがより好ましい。円筒研磨法の中でも、長手方向を同時に研磨でき、研磨時間が短縮できるという観点から、プランジカット方式を使用することが、更に好ましい。また、研磨面を均一にするという観点から従来行われていたスパークアウト工程(侵入速度0mm/分での研磨工程)を、できるだけ短時間とする、もしくは行わないことが好ましい。
一例として、プランジカット方式の円筒研磨砥石の回転数は、1,000〜4,000rpm、特には、2,000〜4,000rpmが好ましい。予備被覆層への侵入速度は、5〜30mm/分が好ましく、10〜30mm/分がより好ましい。侵入工程の最後には、研磨表面に慣らし工程を有してもよく、0.1以上0.2mm/分以下の侵入速度で2秒以内とすることが好ましい。スパークアウト工程(侵入速度0mm/分での研磨工程)は、3秒以下が好ましい。回転数を50rpm以上500rpm以下に設定することが好ましく、200rpm以上に設定することがより好ましい。上記条件とすることで、導電性弾性層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹凸形状を、より容易に形成することができる。
(1−3)硬度分布制御手法
本発明に係る帯電部材においては、下記式(1)に示すSは同式(1)に示す範囲を満たし、下記式(2)に示すdは同式(2)に示す範囲を満たすことが好ましい。そのために、前述した通り、帯電部材の表面のバインダー部(図8のF)のマルテンス硬度をM1とし、ボウル形状の樹脂粒子の直下部(図8のE)のマルテンス硬度をM2とした場合、M2をM1で除した値M(M2/M1)の値が1未満である。Mが0.7以下であることがより好ましい。
Mを上記の範囲内とするための手段として、前述したボウル形状の樹脂粒子のボウルの材料を酸素透過度の小さい材料を用い、帯電部材の表面を大気雰囲気下にて加熱処理により酸化硬化させる手段が好ましい。
大気雰囲気下での加熱処理では、酸化架橋によりマルテンス硬度が増大する。この酸化架橋の度合いは、加熱処理温度、架橋部の酸素濃度によって影響を受ける。酸素濃度については、架橋部の酸素濃度が高いほど、酸化架橋の進行が大きい。したがって、ボウル形状の樹脂粒子のシェル材の酸素ガス透過性を制御することで、ボウル粒子の直下部(図8のE)のマルテンス硬度を制御することが可能となる。
具体的には、ボウル粒子のシェル材の酸素ガス透過性が小さい場合には、帯電部材の表面のバインダー部(図8のF)のマルテンス硬度M1は酸化架橋の進行により大きくなる。一方、ボウル粒子の直下部(図8のE)のマルテンス硬度M2は、ボウル粒子のシェル材の酸素ガス透過性が小さいために、酸素の供給量が少なくなり、帯電部材の表面と比較し、酸化架橋が進行しにくい。そのため、M2はM1に比べて小さくなる。M1が大きいことにより、ニップ部でのエッジ部に由来した凸部の撓みが抑制され、点接触維持能力は高くなる。加えて、M2がM1に比べ小さいことにより、ニップ部では前述した図2(2a)の矢印Bで示すような、ボウル形状の樹脂粒子が弾性層バインダー側(垂直方向)に沈み込む動きが可能となる。
その結果、点接触性を維持した状態で、エッジ部に負荷のかかるボウル粒子自身が弾性層バインダー側へ沈み込むことにより当接圧力を緩和することができる。
対して、ボウル粒子のシェル材の酸素ガス透過性が大きい場合には、ボウル直下部にも十分な酸素が供給されるため、マルテンス硬度M1とM2が同程度となる。そのため、図2(2a)の矢印Bで示すような、ボウル形状の樹脂粒子が弾性層バインダー側(垂直方向)に沈み込むことが困難となり、当接圧の緩和が適切に行うことができず、感光体の不均一な摩耗が生じてしまう場合がある。
上記、加熱処理の手法については、熱風連続炉、オーブン、近赤外加熱法、遠赤外加熱法など公知の手段を使用することができるが、大気雰囲気下にて帯電部材の表面を加熱処理可能な手法であれば、特にこれらの手法に限定されない。
加熱による酸化架橋の効果は、高温である程促進されるが、高温すぎるとバインダーの低分子成分の揮発等による収縮が生じてしまうため、加熱温度は180〜240℃が好ましく、210℃〜240℃がより好ましい。
また、前述したバインダーについても、酸化架橋の効果が促進されるため、結合中に2重結合を有し、かつ、耐熱性の高いスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)が好ましい。
(2)電子写真装置
図10に電子写真装置の一例の概略構成を示す。
電子写真装置は、電子写真感光体、帯電装置、潜像形成装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置等から構成されている。
電子写真感光体102は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体は矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、電子写真感光体102に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ101を有する。帯電ローラ101は、電子写真感光体102の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源109から所定の直流電圧を印加することにより、電子写真感光体102を所定の電位に一様に帯電する。
潜像形成装置(不図示)は、電子写真感光体102に静電潜像を形成する。潜像形成装置としては、例えばレーザービームスキャナーなどの如き露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体102に画像情報に対応した露光光107を照射することにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、電子写真感光体102に近接又は接触して配設される現像スリーブ又は現像ローラ103を有する。電子写真感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを用いた反転現像により、静電潜像を現像してトナー像を形成する。
転写装置は、接触式の転写ローラ104を有する。電子写真感光体からトナー像を普通紙などの如き転写材に転写する。転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材106、回収容器108を有し、トナー像が転写された後、電子写真感光体102の上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。
ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。
定着ローラ105は、加熱されたロールで構成され、転写されたトナー像を転写材に定着し、トナー像が定着された転写材を機外に排出する。
(3)プロセスカートリッジ
図11にプロセスカートリッジの一例の概略構成を示す。プロセスカートリッジは、電子写真感光体102、帯電ローラ101、現像ローラ103、クリーニング部材106等を一体化し、電子写真装置に着脱可能に構成されている
また、本発明に係る帯電部材は、帯電部材をガラス板に押圧したとき、下記式(1)で示される関係を満たすことが好ましい。
S1は、負荷100(g)となるように押圧したときの、該帯電部材と該ガラス板とのニップ内において、該帯電部材と該ガラス板との接触部を少なくとも1箇所含む領域における、該帯電部材と該ガラス板との接触部1箇所当たりの平均接触面積を示す。
S5は、該ガラス板に対する負荷が500(g)となるように押圧したときの前記平均接触面積を示す。
尚、ニップとは帯電部材とガラス板との間の接触部であり、より詳しくは帯電部材の長手方向に直交する方向における、帯電部材とガラス板との接触点の両端の2箇所について、各々の接触点を通る帯電部材長手方向に平行な2本の直線で挟まれる領域を定義する。
更に、本発明に係る帯電部材は、下記式(2)で示される関係を満たすことが好ましい。
d1は、帯電部材をガラス板に負荷100(g)となるように押圧したときの、図9(9b)に示される帯電部材とガラス板との間の空間85の平均空間距離を示す。
d5は、ガラス板に対する負荷が500(g)となるように押圧したときの、平均空間距離を示す。平均空間距離の算出方法については後述する。
図2(2d)に示すように、帯電部材14と感光体13との接触状態は、ニップ部突入直後(Hの位置)からニップ部中央(Iの位置)を経て、当接開放直前(Jの位置)へと変化している。この際、上記Iの位置における部分的な負荷荷重と、H及びJの位置における部分的な負荷荷重は異なっている。ニップ突入するかしないかの位置(Gの位置)及び当接開放直後の位置(Kの位置)において、荷重はほとんどないと考察できる。しかし、一般的な電子写真装置において、HからJまでの範囲(ここでは、ニップ部の約9割を占める範囲と定義する)において、荷重の変化は、ほぼ5倍以内となることが予想できる。したがって、荷重を5倍に変化させた際の比率をとることで、帯電部材と感光体との接触状態に関し、HからJの範囲にわたる接触状態の変化を模擬的に評価することが可能になる。
そして、本発明者らは、上記接触状態の評価をできうる限り正確に行うため、かつ、一般的な電子写真装置における荷重の下限が100gであること等を考慮し、下限荷重としては、100gを使用することが好ましいと判断した。従って、当接荷重としては、100gとその5倍である500gとを用いて、上記接触状態の評価を行うこととした。
前記式(1)に示す上記2つの当接荷重における接触面積の比率Sは、当接荷重を100gから500gに変化させた際、エッジ部に由来する凸部がどれだけ感光体との点接触状態を維持できているかを示す値である。即ち、このSは、帯電部材ニップ部における本発明に係る帯電部材の感光体に対する点接触状態を維持する能力(以下、点接触状態維持能力ともいう)を評価する指標であるといえる。具体的には、Sの値が小さい場合、点接触状態維持能力が高く、大きい場合はその逆である。
図2(2d)における、ニップ部突入直後のHの位置からニップ部中央Iの位置にかけて、帯電部材の表面にかかる部分的な負荷荷重が増大するため、ボウル形状の樹脂粒子は、図1(1a)に示されるように、エッジ部11が矢印Aの方向へ撓む動きをする。そして、帯電部材の点接触状態維持能力が低い場合には、図1(1b)に示されるように、感光体13とエッジ部11の接触面積が増大した状態となる。このような場合には、前述した、帯電部材の表面に、汚れ固着が発生する可能性が高くなる。
本発明に係る帯電部材においては、Sは式(1)に示す範囲を満たすことが好ましい。Sが0.5以下(S≦0.5)であれば、前述した通り、感光体の表面と接触している間における帯電部材の点接触状態維持能力は高くなる。Sの下限を0.2とした理由については、弾性層バインダーにボウル形状の樹脂粒子を含有させる本構成において、実用に耐え得る材料及び製法にて、Sを0.2未満とする手段を見出すことができなかったことによる。
また、Sは、0.2〜0.3であることが、更に好ましい。本範囲とすることで、帯電部材は、より高い点接触状態維持能力を発現し、汚れの固着抑制効果を更に高めることができる。
前記式(2)に示す上記2つの当接荷重における平均空間距離の比率dは、(当接荷重を100gから500gに変化させた際、帯電部材の表面と感光体との間に、どれだけ空間が維持できているかを示す指標である。具体的には、dの値が小さい場合、空間維持能力が高く、大きい場合はその逆である。そして上記dにより、帯電部材と感光体とのニップ部におけるボウル形状の樹脂粒子の変形状態を評価することができる。
本発明に係る帯電部材は、前記式(1)で説明した通り、高い点接触状態維持能力を有する。即ち、前記式(1)を満たすことで、図1(1a)に示す形状から(1b)に示す形状へのボウル形状の樹脂粒子の動き(変形)を抑制できている。上記条件を満たした点接触状態維持能力の高い帯電部材の表面において、ボウル形状の樹脂粒子のニップ部における動きを、以下に考察する。
図2(2d)における、ニップ部突入直後のHの位置からニップ部中央Iの位置にかけて、帯電部材の表面にかかる部分的な負荷荷重が増大する。
帯電部材の表面の点接触状態維持能力が高い場合、ボウル形状の樹脂粒子は、図2(2a)に示されるように、エッジ部11が矢印Cの方向へ撓む動きをする。これにより、ボウル形状の樹脂粒子自身は、矢印Bの方向、即ち、弾性層バインダー12側に沈み込む動きをする。
そして、帯電部材の空間維持能力が高い場合、即ち、dが小さい場合には、ニップ部中央Iの位置近辺において、図2(2b)に示されるような形状を維持していると考察できる。上記、当接によりエッジ部に負荷荷重のかかるボウル粒子自身が弾性層バインダー側へ沈み込む動きをすることにより、当接圧力を緩和することができるため、感光体の不均一な摩耗を抑制することが可能となる。
一方、帯電部材の空間維持能力が低い場合、ニップ部中央Iの位置近辺においては、図2(2c)に示すような状態であると考察できる。上記、ボウル形状の樹脂粒子自身が弾性層バインダーに沈み込む動きは発生するものの、空間維持能力が低い場合には、エッジ部近辺の空間が減少してしまうために、帯電部材の表面に汚れ固着が発生する可能性が高くなる。
一方、帯電部材の表面の空間維持能力が非常に高い場合、即ち、dが0に近い場合、ボウル形状の樹脂粒子は、弾性変形をしていないことになる。上記の場合、ボウル形状の樹脂粒子による当接圧力の緩和が発現しなくなるため、前述した感光体の不均一な摩耗が発生することになる。
本発明に係る帯電部材においては、dは式(2)に示す範囲を満たすことが好ましい。dが0.5以下(d≦0.5)であれば、前述した通り、帯電部材は、感光体表面との空間維持能力は高くなる。dが0.15以上(0.15≦d)であれば、ボウル形状の樹脂粒子は弾性変形を行うことができるため、感光体に対する当接圧力の緩和が可能になる。
dは0.4〜0.5であることが、更に好ましい。本範囲とすることで、帯電部材は、空間維持能力及び感光体に対する当接圧力の緩和に対し、より高い効果を発現することが可能になる。
本発明に係るトナーは、シリカ微粒子を含有することが必要である。トナーは該シリカ微粒子をトナー粒子100質量部あたり、0.40質量部以上1.50質量部以下含有することが好ましく、0.50質量部以上1.30質量部以下含有することがより好ましい。
シリカ微粒子の含有量を上述範囲に制御することで、トナーの流動性を適正な状態に制御するとともに、トナーの劣化を防止し、長期間使用しても優れた画像を提供できる。
シリカ微粒子の含有量が、0.40質量部未満の場合、トナーの流動性が十分でなく、トナーの劣化が促進され、長期間使用すると優れた画像が得られなくなる。
特に、本発明におけるシリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されており、該シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)が70%以上であることが必要である。
ここで、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率は、シリカ原体の表面に化学的に結合しているシリコーンオイル分子の量に対応する。
本発明に係るトナーに用いられるシリカ微粒子において、シリコーンオイルによる処理部数及び固定化率を上記範囲に制御することで、シリカ微粒子間の凝集性および摩擦係数を本発明に必要な範囲に制御できる。
そして、このシリカ微粒子を外添したトナーにも、同様な性質を付与させることができる。
すなわち、本発明者らの検討の結果、このようなトナーにおいては、部材との離型性が向上しやすくなることを見出した。その結果、例えば、現像スリーブ又は現像ブレードに接触するトナーが動きやすくなり、それに連動して、接触していないトナーも動くことで、ブレードニップ内での、トナーの循環が良好になりやすい。
それにより、ブレードニップにおける摺擦が、トナー一粒一粒に行われ、トナーが均一に帯電しやすくなる。
上述のようなトナーであれば、通紙を繰り返す試験によって、トナーにシリカ微粒子が埋め込まれたような、いわゆる耐久による劣化したトナーにおいても、部材との離型性が維持されやすい。
これらの効果発現メカニズムの詳細は分かっていないが、発明者らは以下のように推測している。
一般的に、シリカ原体に添加されるシリコーンオイル部数が増加すると、シリコーンオイル分子の有する低表面エネルギー性により、現像スリーブや現像ブレードからの離型性が向上することが知られている。一方、シリコーンオイルの分子同士の親和性により、シリカ微粒子同士の離型性、又は凝集性は悪化するとともに、シリカ微粒子同士の摩擦係数が増加する。本発明では、シリコーンオイル処理部数が比較的多く、固定化率も高いシリカ微粒子が特徴である。このようなシリカ微粒子は、シリカ微粒子同士の凝集性を悪化させずに、摩擦係数を増加させることができる。シリコーンオイル分子の末端をシリカ原体の表面に固定化することで、凝集性の悪化が軽減できていると本発明者らは考えている。
次に、上記シリカ微粒子をトナー粒子に外添した時の、トナー表面への影響について述べる。トナー同士が接触する場合に、微視的には、トナー粒子の表面に存在するシリカ微粒子同士の接触が支配的であるため、トナーもシリカ微粒子の性質の影響を強く受ける。このため、本発明に係るトナーは、トナー同士の凝集性を悪化させずに、トナー同士の摩擦係数を増加させたトナーであり、現像スリーブや現像ブレードからの離型性が向上したトナーであると言える。
トナー同士の凝集性を悪化させずに摩擦係数を増加させることで、現像ブレードまたは現像スリーブに接するトナーが動く時、トナー間の十分な摩擦力によって、現像ブレードまたは現像スリーブに接していないトナーを動かすことができる。その結果、ブレードニップにおいて大きなトナーの循環を生み出すことが可能となる。
本発明においては、このような循環性や離型性を高めたトナーと、特定の帯電部材とを用いることによる相乗効果により、本発明の意図する効果を得ることができる。
そのメカニズムの詳細は明確ではないが、本発明者らは以下のように考えている。
上述のように部材に対して離型性が高く、さらに、トナー間の十分な摩擦力により、部材に接する、もしくは接していないトナーが大きく循環することが可能なトナーは、転写されなかったトナーについても、クリーニングブレードへの付着力も非常に低い。
クリーニングブレードからのトナーや外添剤のすり抜けは、クリーニングブレードの一部にトナー等が付着した場合に、クリーニングブレードが振動することで起こりやすくなることが知られている。すなわち、本発明に係るトナーにおいては、上記の理由で、クリーニングブレードからのトナーや外添剤のすり抜け量を低減できると考えられる。
さらに、すり抜けたトナーやシリカ微粒子は、帯電部材に到達することになるが、上述したように、本発明に係る帯電部材は、点接触状態維持能力は高く、トナーやシリカ微粒子が付着しにくい。
すなわち、すり抜けるトナーや外添剤が少ないことに加え、トナー及びシリカ微粒子自体の離型性が高く、付着しにくく、さらに本発明に係る帯電部材の特徴から、帯電部材へのトナー及びシリカ微粒子の付着が、大幅に低減させることが可能である。
その結果、本発明に係るトナーと帯電部材を組み合わせることによって、低温環境下においても、帯電部材にトナーが付着することに起因する、感光体融着による、白ポチ状の画像欠陥を抑制することができる。
さらに、トナーよりもクリーニングブレードをすり抜けやすいシリカ微粒子が帯電部材に付着することに起因する、黒ポチ状の画像欠陥も抑制可能となる。
上記シリコーンオイルによる処理部数が15.0質量部未満の場合、十分な摩擦係数を得ることができず、特に、トナーの感光体融着の低減が十分に行われず、結果として、白ポチ状の画像欠陥の抑制に不十分である。一方、40.0質量部より多い場合、十分な摩擦係数を得ることができるものの、固定化率を適正な範囲に制御することが難しく、特に、シリカ微粒子同士の凝集性が悪化するため、部材への離型性も低下しやすく、黒ポチ画像の抑制に対して不十分である。
また、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率が70%未満の場合、シリカ微粒子同士の凝集性が悪化するため、上述のような厳しい評価条件において、白ポチ状の画像欠陥並びに黒ポチ状の画像欠陥を改善できない。
なお、上記シリカ微粒子のシリコーンオイルによる処理部数は、シリカ原体100質量部に対して17.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、また、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)は90%以上であることが好ましい。
上述したように、本発明に用いられるシリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって疎水化処理して製造される。疎水化処理の程度は、高温多湿環境下における帯電性の低下の抑制という観点から、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
上記シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
本発明において、シリカ微粒子の処理に用いるシリコーンオイルの25℃における動粘度は、30cSt以上500cSt以下であることが好ましい。動粘度が上記範囲の場合、シリカ原体をシリコーンオイルで疎水化処理する際に、均一性を制御しやすい。さらに、シリコーンオイルの動粘度は、シリコーンオイルの分子鎖長に密接に関係しており、動粘度が上述の範囲にある場合、シリカ微粒子の凝集度を好適な範囲に制御しやすいため、好ましい。シリコーンオイルの25℃における動粘度のより好ましい範囲は、40cSt以上300cSt以下である。シリコーンオイルの動粘度を測定する装置としては、細管式動粘度計(蕪木科学器械工業(株)製)又は全自動微量動粘度計(ビスコテック(株)製)が挙げられる。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、シリカ原体をシリコーンオイルにより処理した後に、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方で処理されたものであることが好ましい。こうすることにより、シリコーンオイルで疎水化処理できなかったシリカ原体の表面を疎水化処理できるため、高疎水化度のシリカ微粒子を安定して得ることが可能である。さらに、トナーのほぐれ易さを大幅に改善できるため、好ましい。ほぐれ易さを改善できる理由の詳細は明らかになっていないが、本発明者らは以下のように考えている。シリカ微粒子表面のシリコーンオイル分子末端のうち、片末端のみが自由度を有しており、シリカ微粒子同士の凝集性に影響する。一方、上述のような2段処理を行うことで、シリカ微粒子の最表面にシリコーンオイル分子末端がほとんど存在しなくなるため、シリカ微粒子の凝集性をより低下させることができる。これにより、外添した際のトナー同士の凝集性を大幅に低下させることができ、トナーのほぐれ易さを向上することが可能である。
本発明において、シリカ原体は、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された、いわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造された、いわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、上記処理工程中に、又は、処理工程後に解砕処理を行ってもよい。さらに、2段処理を行う場合、処理の間に解砕処理を行うことも可能である。
上記シリカ原体のシリコーンオイルによる表面処理、並びに、アルコキシシラン及びシラザンによる表面処理は乾式処理または湿式処理の何れでも良い。
上記シリカ原体のシリコーンオイルによる表面処理の具体的な手順は、例えば、シリコーンオイルを溶かした溶剤(好ましくは有機酸等でpH4に調整)の中にシリカ微粒子を入れて反応させ、その後、溶剤を除去する。その後、解砕処理を施してもよい。
続いて、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方による表面処理を行う。この場合、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方を溶かした溶剤の中に、解砕したシリコーンオイル処理済シリカ微粒子を入れて反応させ、その後、溶剤を除去し、解砕処理を施す。また、以下のような方法でも良い。例えば、シリコーンオイルによる表面処理では、シリカ微粒子を反応槽に入れる。そして、窒素雰囲気下、撹拌しながらアルコール水を添加し、シリコーンオイルを反応槽に導入して表面処理を行い、さらに加熱撹拌して溶剤を除去し、解砕処理を行う。アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方による表面処理では、窒素雰囲気下、撹拌しながら、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方を導入して表面処理を行い、さらに加熱撹拌して溶剤を除去した後に冷却する。
上記アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが好適に例示できる。一方、シラザンとしては、ヘキサメチルジシラザンが好適に例示できる。
これらアルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方による処理量は、シリカ原体100質量部に対して、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方の総量として、0.1質量部以上20.0質量部以下である。
上記シリカ微粒子における、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を上げるためには、上述のシリカ微粒子を得る過程において、シリコーンオイルをシリカ原体の表面に化学的に固定化させる必要がある。そのためには、シリカ微粒子を得る過程において、シリコーンオイルの反応のために、加熱処理を行う方法が好適に例示できる。加熱処理温度は100℃以上が好ましく、加熱処理温度が高いほど、固定化率を上げることが可能である。この加熱処理工程は、シリコーンオイル処理を行った直後に行うことが好ましいが、解砕処理を行う場合は、解砕処理工程後に加熱処理工程を行ってもよい。
本発明に用いられるシリカ微粒子は、見掛け密度が15g/L以上50g/L以下であることが好ましい。シリカ微粒子の見掛け密度が上記範囲にあることは、シリカ微粒子が密に詰まり難く、微粒子間に空気を多く介在しながら存在しており、見掛け密度が非常に低いことを示している。このため、トナーにおいても、トナー同士が密に詰まりにくくなるため、劣化の速度を大幅に低下することが可能である。より好ましい範囲は、18g/L以上45g/L以下である。
シリカ微粒子の見掛け密度を上記範囲に制御する手段としては、シリカ微粒子に用いるシリカ原体の粒径、上述の解砕処理の有無とその強度、及びシリコーンオイルの処理量等を調整することが挙げられる。シリカ原体の粒径を低下させることで、得られるシリカ微粒子のBET比表面積が大きくなり、空気を多く介在できるようになるため、見掛け密度を低下させることができる。また、解砕処理を行うことで、シリカ微粒子に含有される、比較的大きな二次粒子を、比較的小さな二次粒子へほぐすことができ、見掛け密度を低下させることが可能である。
本発明に用いられるシリカ原体は、トナーに良好な流動性を付与する為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)が130m/g以上330m/g以下のものが好ましい。この範囲の場合、トナーに付与する流動性及び帯電性が長期間使用した後でも確保しやすくなる。シリカ原体のBET比表面積は、200m/g以上320m/g以下であることがより好ましい。
上記窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行う。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。
また、本発明に用いられるシリカ原体の一次粒子の個数平均粒径は、3nm以上50nm以下であることが好ましく、5nm以上40nm以下であることがより好ましい。
本発明に係るトナーには、上記シリカ微粒子に加えて、一次粒子の個数平均粒径(D1)が80nm以上、3μm以下の粒子を添加してもよい。例えば、フッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;シリカ等のスペーサー粒子を本発明の効果に影響を与えない程度に少量用いることもできる。
特に、本発明に係るトナーは、チタン酸ストロンチウム微粒子(以下、ST微粒子ともいう)のようなアルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子を含有し、その一次粒子の個数平均粒径が特定の範囲であることが好ましい。
その結果、トナーのチャージアップ抑制効果を十分に発揮させやすく、トナーの部材への付着性を更に低減させることが可能になる。
その結果、例えば、現像スリーブを小径化し、低温低湿度環境下において長期耐久使用後に静置された後の画像形成においても、トナー全体にチャージを適正に持たせることが可能となり、トナーの付着性低減だけでなく、転写残トナーも少なくなる傾向がある。
本発明において添加されるアルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子は、一次粒子の個数平均粒径(D1)が、60nm以上200nm以下であることが好ましく、80nm以上150nm以下であることがより好ましい。この範囲であることにより、アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子が一次粒子の形で、トナー粒子の表面に付着しやすいため、外添剤の埋め込み率を制御しやすくなる。また耐久使用試験においても脱離しにくいため、チャージアップ抑制効果が得られやすい。
60nm未満の場合、マイクロキャリアとしての帯電調整の効果が十分に得られない。一方、200nmより大きい場合には、トナー表面から脱離しやすく、十分なチャージアップ抑制効果が得られにくい。
アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子としては、チタン酸ベリリウム微粒子、チタン酸マグネシウム微粒子、チタン酸カルシウム微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子、又はチタン酸ラジウム微粒子が好ましく挙げられる。これらの中でも、トナーのチャージアップ抑制効果に優れている点で、チタン酸ストロンチウムが好ましい。
本発明に係る結着樹脂は負帯電性が高い傾向にある一方で、このようなアルカリ土類金属のチタン酸塩は、相対的に弱正帯電性であるため、トナーのチャージアップ抑制効果に優れている。
また、アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子としてチタン酸ストロンチウム微粒子を用いる場合は、より好ましくは、立方体状の粒子形状及び/又は直方体状の粒子形状を有し、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸ストロンチウム微粒子が用いられる。
立方体状の粒子形状及び/又は直方体状の粒子形状を有し、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸ストロンチウム微粒子は、焼結工程を経由せずに、主に水系媒体中にて製造する。このため、均一な粒径に制御しやすいことから、本発明において好ましく用いられる。すなわち、このように均一な粒径に制御しやすいアルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子は、より均一にトナーに付着し、脱離しにくい状態でトナー粒子の表面に留まることが可能である。
アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子の結晶構造がペロブスカイト型(3種類の異なる元素で構成された面心立方格子)であることを確認するには、X線回折測定を行うことで確認することができる。
本発明においては、現像特性を考慮し、また、摩擦帯電特性、環境による摩擦帯電量を制御できる点から、アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子の表面を処理したほうが好ましい。
表面処理剤としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩又はオルガノシラン化合物などの処理剤が挙げられる。
表面処理を行うことで、例えば、親水基と疎水基を有する化合物であるカップリング剤の場合、親水基側がアルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子表面を覆うことで疎水基側が外側になるので、アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子の疎水化処理がなされる。そうすることで環境による摩擦帯電量の変動を抑制させることができる。また、アミノ基、フッ素などの官能基を導入したカップリング剤により、摩擦帯電量の制御も容易にでき、本発明の効果をより発揮させやすい。
また、上述のような表面処理剤の場合には分子レベルでの表面処理のために、アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子の形状がほとんど変化せず、略立方体、直方体形状による掻き取り力が維持されるのでより好ましい。
表面処理剤としてはチタネート系、アルミニウム系、シラン系カップリング剤などが挙げられる。また、脂肪酸金属塩として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられ、脂肪酸であるステアリン酸などでも同様の効果が得られる。
処理の方法は、処理する表面処理剤などを溶媒中に溶解、分散させ、その中にアルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子を添加し、撹拌しながら溶媒を除去して処理する湿式方法が挙げられる。また、カップリング剤、脂肪酸金属塩とアルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子を直接混合して撹拌しながら処理を行う乾式方法などが挙げられる。
また、表面処理についてはアルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子を完全に処理、被覆する必要は無く、効果が得られる範囲でアルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子が露出していてもよい。つまり表面の処理が不連続に形成されていてもよい。
さらに、アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子の固着率が50%以上90%以下であることが好ましく、60%以上80%以下であることがより好ましい。固着率がこの範囲であると、適度なマイクロキャリアとしての作用とチャージアップ抑制効果を発揮することができる。
固着率が90%を超える場合、マイクロキャリアとしての効果が不十分になりやすく、トナー全体が均一に帯電しにくい傾向にある。
固着率が50%未満の場合には、チャージアップ抑制効果が不十分になりやすく、部材との付着力低減の効果が低減する傾向にある。
また、本発明においては、上述のマイクロキャリアとしての作用とチャージアップ抑制効果を十分に発揮するために、アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子をトナー粒子100質量部当り0.1質量部以上1.0質量部以下含有することが好ましい。より好ましくは、0.1質量部以上0.6質量部である。
アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子を多めに含有させても、固着率が低い場合には十分なチャージアップ抑制効果を発揮しにくい。
アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子の固着率を上記範囲に制御する手段としては、外添混合処理時の動力や処理時間の調整が挙げられる。外添混合処理時の動力を下げるか、処理時間を短くすることで、固着率を低くすることができる。また、外添混合処理時の動力を上げるか、処理時間を長くすることで固着率を高くすることができる。
本発明に係るトナーは、着色剤を含有する。
本発明に好ましく使用される着色剤として、以下のものが挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。
縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、及びシアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
着色剤を用いる場合、好ましくは重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下添加して用いられる。
本発明に係るトナーは、磁性体を含有させることも可能である。本発明において、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。
本発明に用いられる磁性体は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などを主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウムなどの元素を含んでもよい。磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。本発明における磁性体の含有量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、50質量部以上150質量部以下であることが好ましい。
本発明に係るトナーは、ワックスを含有することが好ましい。該ワックスとして、炭化水素系ワックスを含むことが好ましい。その他のワックスとして、以下のものが挙げられる。アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、ケトンワックス、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体。必要に応じて2種以上のワックスを併用しても良い。その中でも、フィッシャートロプシュ法による炭化水素系ワックスを使用した場合、現像性を長期にわたり良好に維持した上で、耐高温オフセット性を良好に保ち得る。なお、これらの炭化水素系ワックスには、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、4.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、16.0質量部以上28.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明に係るトナーにおいては、必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に含有させることも可能である。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化し、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
本発明に係るトナーは、これら荷電制御剤を単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。
荷電制御剤の配合量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、0.3質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上8.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明に係るトナーは、現像性や定着性のバランスの観点から、重量平均粒径(D4)が、5.0μm以上、10.0μm以下であることが好ましく、5.5μm以上、9.5μm以下であることがより好ましい。
本発明において、トナー粒子の平均円形度は、0.960以上であることが好ましく、0.970以上であることがより好ましい。トナー粒子の平均円形度が0.960以上の場合、トナーの形状が球形又はこれに近い形となり、流動性に優れ均一な摩擦帯電性を得られやすい。そのため、耐久後半においても高い現像性、転写性を維持し易くなるために好ましい。
以下に、本発明に係るトナーの製造方法について例示するが、これに限定されるわけではない。
トナーの製造方法は、シリカ微粒子のシリコーンオイルによる処理部数、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率、好ましくは平均円形度を調整する工程を有する製造方法であれば良い。それ以外の製造工程においては、特に限定されず、公知の方法によって製造することができる。
粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂及び着色剤、並びに、必要に応じて離型剤等のその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサ又はボールミル等の混合機により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解し、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
上記粉砕には、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。また、本発明の好ましい円形度を有するトナーを得るためには、更に熱をかけて粉砕したり、補助的に機械的衝撃力を加える処理を行ったりすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工(株)製のクリプトロンシステムやターボ工業(株)製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法が挙げられる。また、ホソカワミクロン(株)製のメカノフージョンシステムや(株)奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
本発明に用いられるトナー粒子は、分散重合法、会合凝集法、溶解懸濁法、及び懸濁重合法等の如き水系媒体中で製造されたものであることが好ましく、懸濁重合法で製造されたものであることがより好ましい。
懸濁重合法では、まず、重合性単量体及び着色剤、並びに、必要に応じて重合開始剤、架橋剤及び荷電制御剤などのその他の添加剤を、均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散後、重合性単量体組成物中の重合性単量体を重合し、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。この懸濁重合法で得られるトナー粒子(以後、「重合トナー粒子」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、所定の平均円形度を満たし、かつ、帯電量の分布も比較的均一となるために好ましい。
本発明に関わる重合トナー粒子の製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては公知のものが使用できる。その中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、或いは他の重合性単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明において、上記懸濁重合法に使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30.0時間以下であるものが好ましい。また、重合開始剤の添加量は重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
具体的な重合開始剤例としては、アゾ系又はジアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
上記懸濁重合法において、重合反応時に架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、芳香族ジビニル化合物、二重結合を2個有するカルボン酸エステル、ジビニル化合物、及び3個以上のビニル基を有する化合物、が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
以下、具体的に懸濁重合法によるトナー粒子の製造を説明するが、これに限定されるわけではない。まず、上述の重合性単量体及び着色剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径の分布がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持されかつ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
上記分散安定剤として公知の界面活性剤、有機分散剤又は無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いため、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、以下のものが挙げられる。リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等のリン酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.20質量部以上20.00質量部以下の量を用いることが好ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種を併用してもよい。更に、重合性単量体100質量部に対して、0.0001質量部以上0.1000質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
上記重合性単量体の重合反応における、重合温度は40℃以上、一般的には50℃以上90℃以下の温度に設定される。
上記重合性単量体の重合終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、無機微粒子であるシリカ微粒子を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、本発明に係るトナーを得る。
また、製造工程(無機微粒子の混合前)に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉を除去することも可能である。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。トナー粒子の場合も同様に算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャのフラッシュ」機能により、アパーチャチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定方法>
シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されるトナー表面のシリカ微粒子画像から算出される。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は二次電子像と比べてシリカ微粒子のチャージアップが少ないため、シリカ微粒子の粒径を精度良く測定することができる。
S−4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PCSTEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)シリカ微粒子の個数平均粒径(D1)の算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を100,000(100k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー表面上の少なくとも300個のシリカ微粒子について粒径を測定して、平均粒径を求める。ここで、シリカ微粒子は凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)を得る。
<トナー粒子の平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3,000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、測定においては、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像測定装置を使用する。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
<シリカ微粒子の見掛け密度の測定方法>
シリカ微粒子の見掛け密度の測定は、100mLのメスシリンダーに、紙の上にのせた測定試料をゆっくり加えて100mLになるようにし、試料を加える前と後のメスシリンダーの質量差を求め次式によって算出する。なお、試料をメスシリンダーに加える場合、紙を叩いたりしないよう注意する。
見掛け密度(g/L)=(100mL投入した時点の質量(g))/0.1
<トナー及びシリカ微粒子の真比重の測定方法>
トナー及びシリカ微粒子の真比重は、乾式自動密度計オートピクノメーター(ユアサアイオニクス(株)製)により測定した。条件は下記の通りである。
セル :SMセル(10mL)
サンプル量 :約2.0g(トナー)、0.05g(シリカ微粒子)
この測定方法は、気相置換法に基づいて、固体・液体の真比重を測定するものである。液相置換法と同様、アルキメデスの原理に基づいているが、置換媒体としてガス(アルゴンガス)を用いるため、微細孔の測定精度が高い。
<シリカ微粒子における、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率の測定方法>
(遊離シリコーンオイルの抽出)
(1)ビーカーにシリカ微粒子0.50g、クロロホルム40mLを入れ、2時間攪拌する。
(2)攪拌を止めて、12時間静置する。
(3)サンプルをろ過して、クロロホルム40mLで3回洗浄する。
(炭素量測定)
酸素気流下、1100℃で試料を燃焼させ、発生したCO、CO量をIRの吸光度により測定して、試料中の炭素量を測定する。シリコーンオイルの抽出前後での炭素量を比較して、シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率を下記の通り計算する。
(1)試料0.40gを円筒金型に入れプレスする。
(2)プレスした試料0.15gを精秤し、燃焼用ボードに乗せ、堀場製作所EMA−110で測定する。
(3)[シリコーンオイル抽出後の炭素量]/[シリコーンオイル抽出前の炭素量]×100、をシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率とする。
なお、シラン化合物等で疎水処理後にシリコーンオイルによる表面処理を行っている場合は、シラン化合物等で疎水処理後に試料中の炭素量を測定する。そして、シリコーンオイル処理後に、シリコーンオイルの抽出前後での炭素量を比較して、シリコーンオイル由来の炭素量基準の固定化率を下記の通り計算する。
(4)[シリコーンオイル抽出後の炭素量]/[(シリコーンオイル抽出前の炭素量−シラン化合物等で疎水処理後の炭素量)]×100、をシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率とする。
一方、シリコーンオイルによる表面処理後にシラン化合物等で疎水処理を行っている場合は、シリコーンオイル由来の炭素量基準の固定化率を下記の通り計算する。
(5)[(シリコーンオイル抽出後の炭素量−シラン化合物等で疎水処理後の炭素量)]/[シリコーンオイル抽出前の炭素量]×100、をシリコーンオイルの炭素量基準の固定化率とする。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。なお、実施例及び比較例の部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<磁性体の製造例>
(磁性体1)
硫酸第一鉄水溶液中に、下記の材料を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
鉄元素に対して1.00から1.10当量の苛性ソーダ溶液
鉄元素に対してリン元素換算で0.12質量%となる量のP
鉄元素に対してケイ素元素換算で0.60質量%となる量のSiO
水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.90から1.20当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた。その後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。
次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを約4.8に調整した。そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100質量部に対し1.7質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。
その後、撹拌を十分行い、分散液のpHを8.6にして表面処理を行った。生成した疎水性磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に温度100℃で15分間、温度90℃で30分間乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.23μmの磁性体1を得た。
(磁性体2)
リン元素を添加せずに、ケイ素元素換算で0.40質量%となる量のSiOを混合した以外は磁性体1の製造例と同様にして、スラリー液を調整し、酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。
濾過、洗浄、乾燥した後、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.21μmの磁性体2を得た。
<ポリエステル樹脂の製造例>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、下記成分を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド2モル付加物 75質量部
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド3モル付加物 25質量部
・テレフタル酸 110質量部
・チタン系触媒 0.25質量部
(チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート))
次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸8質量部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂1は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されたメインピーク分子量(Mp)が95,00であった。
<トナー粒子の製造例1>
イオン交換水720質量部に0.1M−NaPO水溶液450質量部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl水溶液67.7質量部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 78.0質量部
・n−ブチルアクリレート 22.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.6質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学工業(株)) 2.0質量部
・磁性体1 90.0質量部
・ポリエステル樹脂1 3.0質量部
上記処方をアトライタ(三井三池化工機(株)製)を用いて均一に分散混合して重合性単量体組成物を得た。得られた重合性単量体組成物を60℃に加温し、フィッシャートロプシュワックス(融点:74℃、数平均分子量Mn:500)15.0質量部を添加混合し、溶解した後に重合開始剤としてジラウロイルパーオキサイド7.0質量部を溶解し、トナー組成物を得た。
上記水系媒体中に上記トナー組成物を投入し、温度60℃、N雰囲気下においてT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)にて12,500rpmで12分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度74℃で6時間反応させた。
反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥してトナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の物性を表1に示す。
<トナー粒子の製造例2>
トナー粒子の製造例1において、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株)製)の回転数を12,500rpmから9,500rpmへ低下させること以外は同様にして、それぞれトナー粒子2を製造した。得られたトナー粒子2の物性を表1に示す。
<トナー粒子の製造例3>
・スチレンアクリル共重合体 100質量部
(スチレンとn−ブチルアクリレートの質量比が78.0:22.0、メインピーク分子量Mpが10,000)
・磁性体2 90質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学工業(株)) 2.0質量部
・フィッシャートロプシュワックス 4質量部
(融点:74℃、数平均分子量Mn:500)
上記混合物をヘンシェルミキサで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業(株)製;回転子及び固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて機械式粉砕(微粉砕)した。得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業(株)製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去して、トナー粒子Aを得た。
このトナー粒子Aに対し熱球形化処理を行った。熱球形化処理はサーフュージングシステム(日本ニューマチック(株)製)を使用して行った。熱球形化装置の運転条件は、下記のとおりとした。
フィード量=5kg/hr、
熱風温度C=260℃、熱風流量=6m/分、
冷風温度E=5℃、冷風流量=4m/分、冷風絶対水分量=3g/m
ブロワー風量=20m/分、インジェクションエア流量=1m/分、拡散エア=0.3m/分。
上記条件の表面処理によって、トナー粒子3を得た。得られたトナー粒子3の物性を表1に示す。
なお、トナー粒子1〜3について、真密度を測定した結果、いずれも1.6g/cm3であった。
<チタン酸ストロンチウム微粒子の製造例1〜3>
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で濾液の電気伝導度が2200μS/cmになるまで洗浄した。該含水酸化チタンスラリーにNaOHを添加して吸着している硫酸イオンをSOとして0.24%になるまで洗浄した。次に該含水酸化チタンスラリーに塩酸を添加してスラリーのpHを1.0としてチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを6.0として上澄み液の電気伝導度が120μS/cmになるまで純水を用いてデカンテーションによって洗浄した。
以上のようにして得られた含水率91%のメタチタン酸533g(0.6モル)をSUS製反応容器に入れ、窒素ガスを吹き込み20分間静置し反応容器内を窒素ガス置換した。Sr(OH)・8HO(純度95.5%)183.6g(0.66モル)を加え、さらに蒸留水を加えて0.3モル/リットル(SrTiO換算)、SrO/TiOモル比1.10のスラリーに調製した。
窒素雰囲気中で該スラリーを90℃まで昇温し、反応を行った。反応後40℃まで冷却し、窒素雰囲気下において上澄み液を除去し、2.5リットルの純水を加えてデカンテーションを行うという操作を2回繰り返して洗浄を行った後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを110℃の大気中で4時間乾燥し、チタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
脂肪酸金属塩であるステアリン酸ナトリウム水溶液(ステアリン酸ナトリウム7部と水100部)中にチタン酸ストロンチウム微粒子を100部添加した。ここに撹拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を滴下し、チタン酸ストロンチウム微粒子の表面にステアリン酸アルミニウムを析出、吸着させてステアリン酸で処理したチタン酸ストロンチウムを作製した。また、該スラリーを90℃まで昇温したのちの反応時間を長くしていくことで粒径を大きくし、目的の粒径を有するチタン酸ストロンチウム微粒子1〜3を調製した。チタン酸ストロンチウム微粒子1〜3の物性について、表2に示す。
<チタン酸ストロンチウム微粒子の製造例4>
炭酸ストロンチウム600gと酸化チタン320gをボールミルにて、8時間乾式混合した後濾過乾燥した。この混合物を5kg/cmの圧力で成型し、1100℃の温度で8時間仮焼した。その後機械粉砕し、個数平均粒径500μmのチタン酸ストロンチウム微粒子4を得た。チタン酸ストロンチウム微粒子4の物性について、表2に示す。
<トナー1の製造例>
トナー粒子1の製造例で得たトナー粒子1に対して、外添混合処理を行った。
外添装置として、三井ヘンシェルミキサFM10C(三井三池化工機(株)製)を用いた。
トナー粒子1の100質量部に対して、
表3に示すシリカ微粒子1(シリカ原体の一次粒子の個数平均粒径:7nm、処理後のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径:8nm)の0.40質量部と、
表2に示すチタン酸ストロンチウム微粒子1の0.30質量部と、をヘンシェルミキサに投入した。
投入後、4,000rpmで3分間、外添混合処理を行ったのち、さらにシリカ微粒子1を0.30質量部を添加し、4,000rpmで2分間、外添混合処理を行った。
外添混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒等を除去し、実施例用トナー1を得た。実施例用トナー1を走査型電子顕微鏡で拡大観察し、トナー表面のシリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径を測定したところ、8nmであった。トナー1の外添条件、物性を表4に示す。
<トナー2〜22の製造例>
トナー1の製造例において、表2又は表3に示す外添剤を、表4に示すトナー粒子、外添条件等へ変更した以外は同様にして、トナー2〜22を製造した。得られたトナー2〜22の物性を表4に示す。
<樹脂粒子1の製造例>
イオン交換水4,000質量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ9質量部およびポリビニルピロリドン0.15質量部と、からなる水性混合液を調整した。次いで、下記の材料からなる油性混合液を調整した。
重合性単量体:アクリロニトリル 50質量部
重合性単量体:メタクリロニトリル 45質量部
重合性単量体:メチルメタクリロレート 5質量部
内包物質:ノルマルヘキサン 12.5質量部
重合開始剤:ジクミルパーオキシド 0.75質量部
この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調整した。
得られた分散液を、ホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合し、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、400rpmの攪拌下、温度60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調整した。得られた反応生成物について、濾過と水洗を繰り返した後、温度80℃で5時間乾燥することで樹脂粒子を作製した。得られた樹脂粒子を音波式分級機により解砕して分級することによって、樹脂粒子1を得た。
得られた樹脂粒子1の物性を表1に示す。
<樹脂粒子2の製造例>
樹脂粒子1の製造例において、分級条件を変更した以外は同様の方法で樹脂粒子2を作製した。得られた樹脂粒子2の物性を表5に示す。
<樹脂粒子3の製造例>
重合性単量体をアクリロニトリル80質量部及びメタクリロニトリル20質量部に変更した以外は、樹脂粒子1の製造例と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級することにより、樹脂粒子3を得た。得られた樹脂粒子3の物性を表5に示す。
<樹脂粒子4の製造例>
コロイダルシリカの添加部数を4.5質量部に変更し、重合性単量体をアクリロニトリル100質量部に変更した以外は、樹脂粒子1の製造例と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級することによって、樹脂粒子4を得た。得られた樹脂粒子4の物性を表5に示す。
<樹脂粒子5の製造例>
重合性単量体をメチルメタクリルレート100質量部、重合時の攪拌を250rpmに変更した以外は、樹脂粒子1の製造例と同様の方法で樹脂粒子を作製し、分級することによって、樹脂粒子5を得た。得られた樹脂粒子5の物性を表5に示す。
<樹脂粒子6の製造例>
重合性単量体をポリブタジエン100質量部、重合時の攪拌を300rpmに変更した以外は、樹脂粒子4の製造例と同様の方法で樹脂粒子を作製し、樹脂粒子6を得た。得られた樹脂粒子6の物性を表5に示す。
[樹脂粒子の体積平均粒径の測定]
樹脂粒子の体積平均粒径測定を、レーザ回折型粒度分布計であるコールターLS−230型粒度分布計(商品名、コールター社製)により行った。測定には、水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用した。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10mg〜25mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。次に純水50mL中に界面活性剤3滴〜4滴を加え、更に測定試料を1mg〜25mg加えた。試料を懸濁した水溶液を超音波分散器で1分間〜3分間分散処理を行い、被験試料液を調製し、前記測定装置の測定系内に被験試料液を徐々に加えた。そして、装置の画面上のPIDS(Polarization Intensity Differential Scattering)が45%以上55%以下になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行った。得られた体積分布から体積平均粒子径を算出した。
<シート状組成物1の製造例>
得られた樹脂粒子1を、100℃で加熱減圧することにより、内包物質を除去することで、樹脂組成物を得た。その後、160℃に加熱した金型(直径70mm、深さ500μm)に前記樹脂組成物を充填し、10MPaの圧力で加圧することにより、シート状組成物1を得た。
得られたシート状組成物1の酸素透過度を表6に示す。
<シート状組成物2〜5の製造例>
樹脂粒子3〜6を用いて、シート状組成物1の製造例と同様の方法により、シート状組成物2〜5を得た。シート状組成物2〜5の酸素透過度を表6に示す。
[樹脂粒子シェル材の酸素ガス気体透過性の測定]
樹脂粒子のシェル材の酸素ガス透過性については、別途測定用シートを作製し、測定を行った。尚、測定用シートの作製方法については、上記樹脂粒子の製造例にて詳述した。
シートを用いた酸素ガス透過性は、JISK7126に差圧法に基づいて下記条件にて行った。
測定機:ガス透過率測定装置M−C3型(東洋精機製作所製)
使用ガス:JIS K1101相当の酸素ガス
測定温度:23±0.5℃
試験圧力:760mmHg
透過面積:38.46cm(直径70mm)
サンプル厚:500μm
まず、作製した測定用シートを透過セルに装着し、空気漏れが生じないよう均一な圧力で固定した。
初めに低圧側、高圧側を排気し、低圧側の排気を止め、真空に保つ。その後、酸素ガスを高圧側に1気圧導入し、この際の高圧側の圧力をPuとする。低圧側の圧力が上昇し始め、酸素ガスの透過が確認された後、透過曲線を描き、透過が定常状態を示す直線部分が確認されるまで、測定を行った。
測定終了後、透過曲線の傾きをd/dとし、式(9)を用いて、酸素ガス透過度GTRを算出した。
(Vc:低圧側容積、T:試験温度、Pu:供給気体の差圧、
A:透過面積、d/d:単位時間における低圧側の圧力変化、R:気体定数)
<導電性ゴム組成物1の製造例>
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:N230SV,JSR社製)100質量部に対し、下記4成分を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB、東海カーボン(株)製):48質量部
・酸化亜鉛(商品名:亜鉛華2種、堺化学工業(株)製):5質量部
・ステアリン酸亜鉛(商品名:SZ−2000、堺化学工業(株)製):1質量部
・炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30、丸尾カルシウム(株)製)20質量部
これに、樹脂粒子1を12質量部、加硫剤として硫黄1.2質量部、加硫促進剤としてテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)(商品名:パーカシットTBzTD、フレキンス社製)4.5質量部を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物1を得た。
得られた導電性ゴム組成物1の組成を表7に示す。
<導電性ゴム組成物2の製造例>
導電性ゴム組成物1の製造例において、樹脂粒子1を樹脂粒子2に変更した以外は、導電性ゴム組成物1の製造例と同様にして導電性ゴム組成物2を得た。
得られた導電性ゴム組成物2の組成を表7に示す。
<導電性ゴム組成物3の製造例>
導電性ゴム組成物1の製造例において、樹脂粒子1を樹脂粒子3に変更した以外は、導電性ゴム組成物1の製造例と同様にして導電性ゴム組成物3を得た。
得られた導電性ゴム組成物3の組成を表7に示す。
<導電性ゴム組成物4の製造例>
導電性ゴム組成物1の製造例において、樹脂粒子1を樹脂粒子4に変更した以外は、導電性ゴム組成物1の製造例と同様にして導電性ゴム組成物4を得た。
得られた導電性ゴム組成物4の組成を表7に示す。
<導電性ゴム組成物5の製造例>
導電性ゴム組成物1の製造例において、樹脂粒子1を樹脂粒子5に変更した以外は、導電性ゴム組成物1の製造例と同様にして導電性ゴム組成物5を得た。
得られた導電性ゴム組成物5の組成を表7に示す。
<導電性ゴム組成物6の製造例>
スチレンブタジエンゴム(SBR)(商品名:タフデン2003、旭化成(株)製)100質量部に対し、下記5成分を加えて、80℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練した。
・酸化亜鉛(製造例1と同様): 5質量部
・ステアリン酸亜鉛(製造例1と同様): 1質量部
・カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン社製):8質量部
・カーボンブラック(商品名:シースト5、東海カーボン社製): 40質量部
・炭酸カルシウム(製造例1と同様): 15質量部
これに、下記4成分を添加した。
・樹脂粒子1 12質量部
・加硫剤として硫黄 1質量部
・加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)(商品名:ノクセラーTS、大内新興化学工業(株)製) 1質量部
・テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)(商品名:ノクセラーTS、大内新興化学工業(株)製) 1質量部
次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性ゴム組成物6を得た。
得られた導電性ゴム組成物6の組成を表7に示す。
<導電性ゴム組成物7の製造例>
導電性ゴム組成物1の製造例において、樹脂粒子1を樹脂粒子6に変更した以外は、導電性ゴム組成物1の製造例と同様にして導電性ゴム組成物7を得た。
得られた導電性ゴム組成物7の組成を表7に示す。
<帯電部材T1〜T32の製造例>
[帯電部材T1]
〔導電性基体〕
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス鋼製基体に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性樹脂を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。
〔導電性弾性層の形成〕
クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、同軸上に円筒状に導電性ゴム組成物1を被覆した。被覆した導電性ゴム組成物1の厚みは、1.75mmに調整した。
押出後のローラを、熱風炉にて温度160℃で1時間加硫した後、導電性弾性層の端部を除去して、長さを224.2mmとし、予備被覆層を有するローラを作製した。
得られたローラの外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。研磨砥粒としてピトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化ケイ素(GC)で粒度は100メッシュとした。ローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。切り込み速度を20mm/分とし、スパークアウト時間(切り込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行い、導電性弾性層を有する導電性ローラを作製した。導電性弾性層の厚みは、1.5mmに調整した。尚、このローラのクラウン量(中央部と中央部から90mm離れた位置の外径差)は120μmであった。
研磨後、熱風炉にて温度210℃で1時間、後加熱処理を行うことにより、帯電部材T1を得た。
この帯電部材T1はその表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部とを有する導電性樹脂層を有していた。得られた帯電部材T1の評価結果を表8及び表9に示す。
<帯電部材の評価方法>
[1.帯電部材の表面粗さRzjis及び平均凹凸間隔Smの測定]
JIS B 0601−1994表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器(商品名:SE−3500、(株)小坂研究所製)を用いて測定する。Rzjis及びSmは、帯電部材T1の表面を無作為に6箇所測定し、その平均値とする。尚、カットオフ値0.8mmであり、評価長さは8mmである。
〔2.ボウル形状の樹脂粒子の形状測定〕
測定箇所は、ローラ長手方向の中央部、中央部から両端部方向へ各45mm離れた位置、及び中央部から両端部方向へ各90mm離れた位置の、長手方向の各5箇所について、ローラ周方向の各2箇所(位相0°及び180°)の合計10か所とする。これらの各測定箇所において導電性樹脂層を500μmに亘って、20nmずつ集束イオンビーム加工観察装置(商品名:FB−2000C、(株)日立製作所製)を用いて、切り出し、その断面画像を撮影する。そして得られた断面画像を組み合わせ、ボウル形状の樹脂粒子の立体像を算出する。立体像から、図6で示す最大径55と、図7で示す開口径の最小径63とを算出する。また、上記立体像から、ボウル形状の樹脂粒子の任意の5点において、ボウル形状の樹脂粒子のシェルの厚さを測定する。このような測定を視野内の樹脂粒子10個について行い、得られた計100個の測定値の平均値を算出し、これらをそれぞれ、「最大径」、「開口径の最小径」及び「シェル厚さ」とする。また、シェルの厚さの測定に際しては、各々のボウル形状の樹脂粒子について、シェルの最も肉厚な部分の厚みが、最も肉薄の部分の厚みの2倍以下、すなわち、シェルの厚さが、略均一であることを確認した。
[3.帯電部材の表面の凸部の頂点と凹部の底部との高低差の測定]
帯電部材T1の表面をレーザ顕微鏡(商品名:LXM5 PASCAL:カール・ツァイス(Carl Zeiss)社製)を用いて、縦0.5mm、横0.5mmの視野で観察する。レーザを視野内のX−Y平面でスキャンさせることにより2次元の画像データを得、更に焦点をZ方向に移動させ、上記のスキャンを繰り返すことにより3次元の画像データを得る。その結果、まず、ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有していることを確認する。更に、前記凸部の頂点53と、前記凹部の底部52との高低差54を算出する。このような作業を視野内のボウル形状の樹脂粒子2個について行う。そして、同様の測定を帯電部材T1の長手方向50箇所について行い、得られた計100個の樹脂粒子の平均値を算出し、この値を「高低差」とする。
[4.帯電部材の表面硬度の測定]
ISO14577に基づき、ピコデンターHM500(商品名、(株)フィッシャー・インストルメント社製)を用いて測定した。圧子としては、四角錘型ダイヤモンドを用いた。測定は、長手方向の中央部について行い、測定箇所はバインダー部(非ボウル粒子部)、ボウル粒子部の2箇所について行った。尚、測定条件は下記のとおりである。
・最大押し込み深さ=100μm
・押し込み時間=20秒
深さ=20μmの位置におけるマルテンス硬度を測定し、バインダー部(非ボウル粒子部)のマルテンス硬度をM1とし、ボウル粒子部のマルテンス硬度をM2とした。尚、ボウル粒子部の測定の際には、ボウル粒子の中心に圧子が押圧されるようにして行った。測定はそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を用いた。
10点平均から算出したM2及びM1から、M2をM1で除すことでM(=M2/M1)を算出した。
[5.帯電部材の電気抵抗]
図4は帯電部材の電気抵抗値の測定装置を示す。導電性基体33の両端に、軸受け32を用いて荷重をかけて、帯電部材T1を、電子写真感光体と同じ曲率の円柱形金属31に、平行になるように当接させる。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属31を回転させ、当接した帯電部材T1を従動回転させながら安定化電源35から直流電圧−200Vを印加する。この時に流れる電流を電流計36で測定し、帯電部材の電気抵抗値を計算する。荷重は各4.9Nとし、金属製円柱は直径30mm、金属製円柱の回転は周速45mm/秒とする。
なお、測定にあたり、帯電部材を温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間以上静置し、同環境下に置かれた測定装置を用いて測定を行う。
[6.帯電部材をガラス板に押圧した際の帯電部材とガラス板との接触部1箇所当たりの平均接触面積の測定]
図9に示す機構を有する冶具を用いて測定した。
ステージ81は、帯電部材T1をセット可能、かつ、上下に動かすことが可能である。ガラス板82は、20mm角(縦20mm、横20mm)、厚み2mmであって、ステージ81の上方に配置される。ステージ81を上方に移動させることにより、ステージ81の上にセットされた帯電部材T1をガラス板82に押圧することが可能である。また、ガラス板82に帯電部材T1を押圧した際にかかる荷重については、ガラス板を固定しているステージ83の上部にセットされた荷重計84により測定が可能である。
帯電部材T1を20mm角のガラス板に荷重100gとなるように押圧させ、帯電部材T1とガラス板との接触面(ガラスの下面)を、接触面とは反対側(ガラスの上面側)から下記のビデオマイクロスコープにより観察した。
ビデオマイクロスコープ(商品名:DIGITAL MICROSCOPE VHX−500、(株)キーエンス製)
尚、観察倍率は200倍にて行い、画像解析ソフトウェア(ImageProPlus(登録商標):AdobeSystem社製)を用いて帯電部材T1とガラス板の接触点のみを抽出し、2値化処理を行い、接触部1箇所当たりの平均接触面積S1を算出した。
その後、ガラス板にかかる荷重を500gに変更し、同様の手法により接触部1箇所当たりの平均接触面積S5を算出し、前記式(1)で示されるSを算出した。
[7.帯電部材をガラス板に押圧した際の帯電部材とガラス板との間に形成される空間の空間平均距離]
上記測定と同様に、図9に示す機構を有する冶具を用いて測定した。
帯電部材T1を20mm角のガラス板に荷重100gとなるように押圧させ、帯電部材T1とガラス板との接触面(ガラスの下面)の表面形状を、接触面とは反対側(ガラスの上面側)から、下記のワンショット3D測定マクロスコープにより測定した。
ワンショット3D測定マクロスコープ(商品名:VR−3000、(株)キーエンス製)
観察倍率は160倍とした。その形状測定から、ニップ幅Lμmを断面プロファイルから算出し、ニップ幅Lμm×前記観察倍率における長手最大長さAμmの領域における、帯電部材T1とガラス面との間に形成される空間の空間体積V1を体積計測から求めた。その後、下記式(10)により前記空間の平均空間距離d1を算出した。
その後、ガラス板にかかる荷重を500gに変更し、同様の手法により帯電部材T1とガラス面との間に形成される空間の平均空間距離d5を算出した。このようにして算出された平均空間距離d1およびd5を用いて、前記式(2)で示されるdを算出した。
[帯電部材T2]
加硫温度を180℃に変更した以外は、帯電部材T1と同様にして、帯電部材T2を作製した。得られた帯電部材T2の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T3]
加硫温度を200℃に変更した以外は、帯電部材T1と同様にして、帯電部材T2を作製した。得られた帯電部材T3の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T4]
導電性ゴム組成物1を導電性ゴム組成物2に変更した以外は、帯電部材T2と同様にして、帯電部材T4を作製した。得られた帯電部材T4の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T5]
導電性ゴム組成物1を導電性ゴム組成物3に変更し、研磨後加熱温度を190℃に変更した以外は、帯電部材T1と同様にして、帯電部材T5を作製した。得られた帯電部材T5の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T6]
導電性ゴム組成物1を導電性ゴム組成物4に変更した以外は、帯電部材T1と同様にして、帯電部材T6を作製した。得られた帯電部材T6の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T7]
導電性ゴム組成物1を導電性ゴム組成物5に変更し、研磨後加熱温度を190℃に変更した以外は、帯電部材T1と同様にして、帯電部材T7を作製した。得られた帯電部材T7の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T8]
導電性ゴム組成物1を導電性ゴム組成物6に変更した以外は、帯電部材T1と同様にして、帯電部材T8を作製した。得られた帯電部材T8の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T9]
導電性ゴム組成物1を導電性ゴム組成物7に変更し、研磨後加熱温度を170℃に変更した以外は、帯電部材T1と同様にして、帯電部材T9を作製した。得られた帯電部材T9の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T10]
研磨後加熱温度を210℃に変更した以外は、帯電部材T9と同様にして、帯電部材T10を作製した。得られた帯電部材T10の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T11]
研磨後加熱温度を230℃に変更した以外は、帯電部材T9と同様にして、帯電部材T11を作製した。得られた帯電部材T11の評価結果を表8及び表9に示す。
[帯電部材T12]
研磨後加熱温度を240℃に変更した以外は、帯電部材T9と同様にして、帯電部材T12を作製した。得られた帯電部材T12の評価結果を表8及び表9に示す。
<実施例1>
[評価1 白ポチ状画像欠陥について]
画像形成装置として、LBP−6300(キヤノン(株)製)を用い、プロセススピードを約1.5倍の300mm/秒に改造した。
カートリッジには、現像スリーブとして、直径14mm径から直径10mm径スリーブを搭載させ、さらに帯電部材として帯電部材T1を、また感光体を、直径24mm径のものから直径18mm径の小径感光体に替えて、カートリッジにそれぞれ搭載した。さらに、トナー充填部の容積を1.2倍とし、クリーニングブレードの当接圧を約半分の3kgf/mに変更した改造カートリッジを用いた。
小径の現像スリーブを搭載した画像形成装置において、プロセススピードを上げることによって、上述したように一部のトナーがチャージアップし、トナーの帯電が不均一になりやすい。その結果、転写残トナーが増加しやすくなるだけでなく、帯電部材への付着が促進されやすい傾向にあるため、白ポチ状画像欠陥について、厳しく評価することが可能である。
この改造機を用いて、トナー1を使用し、低温低湿度環境下(温度0℃、相対湿度10%)において画出し試験を行った。印字率が1%の横線を2枚間欠モードで8,000枚画出し試験を行った。
低温低湿度環境下(温度0℃、相対湿度10%)において画出し試験を行うことにより、トナーがよりチャージアップしやすく、厳しい評価が可能になる。
8,000枚画出ししたあとに、べた黒画像を出力し、白ポチ状の画像欠陥を目視で判定した。その結果、白ポチ状の画像欠陥は認められず、良好な画像が得られた。
以下、その判断基準について以下に述べる。
A: 白ポチ状の画像欠陥が認められない。
B: 白ポチ状の画像欠陥がわずかに認められる。
C: 白ポチ状の画像欠陥が感光体の回転ピッチに対応して、発生している。
D: 白ポチ状の画像欠陥が目立つ。
[評価2 黒ポチ状画像欠陥について]
評価1で用いた改造機を用いて、トナー1を使用し、低温低湿度環境下(温度15℃、相対湿度10%)において画出し試験を行った。印字率が1%の横線を2枚間欠モードで5,000枚画出し試験を行った。
低温低湿度環境下(温度15℃、相対湿度10%)において画出し試験を行うことにより、トナーがよりチャージアップしやすく、厳しい評価が可能になる。
5,000枚画出ししたあとに、べた白画像を出力し、黒ポチ状の画像欠陥を目視で判定した。その結果、黒ポチ状の画像欠陥は認められず、良好な画像が得られた。
以下、その判断基準について以下に述べる。
A: 黒ポチ状の画像欠陥が認められない。
B: 黒ポチ状の画像欠陥がわずかに認められる。
C: 黒ポチ状の画像欠陥が全体的に発生している。
D: 黒ポチ状の画像欠陥が目立つ。
<実施例2〜26、及び比較例1〜7>
表10に示すトナーと帯電部材の組み合わせについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を、表10に示す。
1 導電性基体
2 導電性弾性層
11 ボウル形状の樹脂粒子
12 導電性弾性層(バインダー)
13 電子写真感光体
14 帯電部材
31 円柱形金属
32 軸受け
33 導電性基体
34 帯電部材
35 安定化電源
36 電流計
41 ボウル形状の樹脂粒子
42 導電性弾性層(バインダー)
51 ボウル形状の樹脂粒子の開口部
52 ボウル形状の樹脂粒子に由来した凹部
53 ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジ
54 高低差
55 ボウル形状の樹脂粒子の最大径
61 開口部
62 開口部の凹部
63 開口部の最小径
71 ボウル形状の樹脂粒子
72 導電性弾性層(バインダー)
81 上下移動が可能な帯電ローラをセットするステージ
82 ガラス板
83 ガラス板を固定したステージ
84 荷重計
85 帯電部材の表面とガラス板との間に形成される空間
101 帯電ローラ
102 電子写真感光体
103 現像ローラ
104 転写ローラ
105 定着ローラ
106 クリーニング部材
107 露光光
108 回収容器
109 帯電用電源

Claims (9)

  1. 画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
    該プロセスカートリッジは、
    静電潜像担持体と、
    該静電潜像担持体を帯電するための帯電部材と、
    該静電潜像担持体に形成された静電荷像をトナーを用いて現像する現像手段と、
    を有し、
    該帯電部材は、導電性基体と、該導電性基体の上の表面層としての導電性の弾性層とを有し、
    該弾性層は、バインダーを含み、かつ、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該帯電部材の表面に露出する状態で保持してなり、
    該帯電部材の表面は、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該表面に露出しているボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部と、を有し、
    該帯電部材の表面のバインダーのマルテンス硬度をM1とし、該帯電部材の凹部の底部の直下におけるバインダーのマルテンス硬度をM2としたとき、M2/M1の値が1未満であり、
    該トナーは、トナー粒子と、外添剤としてシリカ微粒子を含有し、
    該シリカ微粒子は、シリカ原体100質量部に対して15.0質量部以上40.0質量部以下のシリコーンオイルによって処理されており、該シリコーンオイルの炭素量基準の固定化率(%)が70%以上である
    ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  2. 該シリカ原体は、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)が130m/g以上330m/g以下である請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
  3. 該シリカ微粒子は、該シリカ原体を該シリコーンオイルによって処理された後、アルコキシシラン及びシラザンの少なくとも一方で処理されたものである請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジ。
  4. 該トナーは、外添剤として、アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子をさらに含有し、
    該アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)が60nm以上、200nm以下であり、
    該アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子の固着率が50%以上90%以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  5. 該トナー粒子の平均円形度が0.960以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  6. 該トナー粒子が、重合性単量体、着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中に分散して造粒し、造粒された粒子中に含有される重合性単量体を重合して得られたトナー粒子である請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  7. 該ボウル形状の樹脂粒子が、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、及びメタクリロニトリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂である請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  8. 該弾性層の
    十点平均表面粗さ(Rzjis)が5μm以上65μm以下であり、
    凹凸平均間隔(Sm)が30μm以上200μm以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
  9. 該帯電部材をガラス板に対して、該ガラス板に対する負荷が、100(g)となるように押圧したときに、
    該帯電部材と該ガラス板とのニップ内の、該帯電部材と該ガラス板との接触部を少なくとも1箇所含む領域における、該帯電部材と該ガラス板との接触部1箇所当たりの平均接触面積をS1とし、
    該領域における、該帯電部材と該ガラス板との間の平均空間距離をd1とし、
    該ガラス板に対する負荷が、500(g)となるように押圧したときに、
    該領域における、該帯電部材と該ガラス板との接触部1箇所当たりの平均接触面積をS5とし、
    該領域における、該帯電部材と該ガラス板との間の平均空間距離をd5としたとき、
    S1及びS5が、下記式(1)で示される関係を満たし、
    d1及びd5が、下記式(2)で示される関係を満たす請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
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