JP6946149B2 - 電子写真用ローラ、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
該導電性樹脂層は、バインダーおよび複数個の中実樹脂粒子を含み、
開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該電子写真用ローラの表面に露出する状態で保持しており、
該電子写真用ローラの表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有し、
該ボウル形状の樹脂粒子の該凹部を形成しているシェルの外壁面に、該中実樹脂粒子の少なくとも2個が接しており、
該ボウル形状の樹脂粒子を該軸芯体の表面に正投影させたときに、該軸芯体の表面に形成される投影円を第1の投影円とし、
該ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成しているシェルの外壁面に接している該中実樹脂粒子を該軸芯体の表面に正投影させたときに該軸芯体の表面に形成される投影円をそれぞれ第2の投影円および第3の投影円としたとき、
該ボウル形状の樹脂粒子と、該ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成しているシェルの外壁面に接している該中実樹脂粒子とは、
該第2の投影円の少なくとも一部が該第1の投影円と重なり、該第3の投影円の少なくとも一部が該第1の投影円と重なり、かつ、
該第2の投影円の重心と該第3の投影円の重心とを通る線分が、該軸芯体の軸方向に平行に延びる、該第1の投影円の重心を通る直線と交点を有するように、位置しており、
該導電性樹脂層の圧縮弾性率をG、該中実樹脂粒子の圧縮弾性率をJとしたとき、下記数式(1)および数式(2)を満たすことを特徴とする電子写真用ローラが提供される。
数式(1)
G<J
数式(2)
0.1MPa≦G≦10MPa 。
(i)導電性の軸芯体と、該軸芯体上の表面層としての導電性樹脂層と、を有する;
(ii)該導電性樹脂層が、バインダーおよび複数個の中実樹脂粒子を含み、開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該電子写真用ローラの表面に露出する状態で保持している;
(iii)該電子写真用ローラの表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有する;
(iv)該ボウル形状の樹脂粒子の該凹部を形成しているシェルの外壁面に、該中実樹脂粒子の少なくとも2個が接している;
(v)該ボウル形状の樹脂粒子を該軸芯体の表面に正投影させたときに、該軸芯体の表面に形成される投影円を第1の投影円とし、
該ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成しているシェルの外壁面に接している該中実樹脂粒子を該軸芯体の表面に正投影させたときに、該軸芯体の表面に形成される投影円をそれぞれ第2の投影円および第3の投影円としたとき、
該ボウル形状の樹脂粒子と、該ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成しているシェルの外壁面に接している該中実樹脂粒子とが、
該第2の投影円の少なくとも一部が該第1の投影円と重なり、該第3の投影円の少なくとも一部が該第1の投影円と重なり、かつ、
該第2の投影円の重心と該第3の投影円の重心とを通る線分が、該軸芯体の軸方向に平行に延びる、該第1の投影円の重心を通る直線と交点を有するように、位置している;
(vi)該導電性樹脂層の圧縮弾性率をG、該中実樹脂粒子の圧縮弾性率をJとしたとき、下記数式(1)および数式(2)を満たす:
数式(1)
G<J
数式(2)
0.1MPa≦G≦10MPa。
本発明の一態様に係る電子写真用ローラは、導電性の軸芯体と、軸芯体上に配される表面層としての導電性樹脂層とを有する。
この際用いる接着剤は、導電性であることが好ましい。導電性の接着剤としては、電子写真装置の分野で公知のものを適宜用いることができる。上記接着剤は、例えば、バインダー及び導電剤を含むことができる。このバインダーとしては、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系などの公知のものを用いることができる。接着剤に導電性を付与するための導電剤としては、後述する、導電性樹脂層を導電化するために用いることができる導電性微粒子等から適宜選択することができる。これらの導電剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
クラウン量=D2−(D1+D3)/2
導電性の軸芯体12は、導電性を有し、その上に設けられる導電性樹脂層や他の層を支持する機能を有するものである。軸芯体を構成する材質は特に限定されないが、材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルの如き金属やその合金を挙げることができる。また、軸芯体の形状も特に限定されないが、円筒形状とすることが好ましい。
導電性樹脂層13は、電子写真用ローラの表面層として配され、バインダー、ボウル形状の樹脂粒子および(複数個の)中実樹脂粒子を少なくとも含む。導電性樹脂層は、更に他の成分(例えば、導電性微粒子等)を含むことができる。
導電性樹脂層に含有されるバインダー(図1の符号6)としては、例えば、公知のゴム及び樹脂等を用いることができる。
合成ゴムとしては以下のものが挙げられる。エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプロピレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム及びフッ素ゴム。
これらのバインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらバインダーの原料である単量体を複数用いて共重合させ、得られた共重合体をバインダーとして用いてもよい。
導電性樹脂層は、複数個のボウル形状の樹脂粒子(図1の符号3)を含むことができる。ボウル形状の樹脂粒子3は、シェル4によって画定される丸みのある内壁面を有する樹脂粒子であることができる。
なお、導電性樹脂層に含有されるボウル形状の樹脂粒子のうちの一部がこの状態で導電性樹脂層中に保持されていればよい。すなわち、例えば、導電性樹脂層中に、開口部が形成される前のボウル形状の樹脂粒子(後述する中空形状の樹脂粒子)が含有されていてもよい。つまり、本発明では、導電性樹脂層に含有されている(上記中空形状の樹脂粒子も含む)ボウル形状の樹脂粒子のうちの少なくとも一部が、電子写真用ローラの表面に上記状態で露出していればよい。
開口を有するボウル形状の樹脂粒子は、シェル4から構成され、内部に空洞を有することができる。すなわち、このボウル形状の樹脂粒子の開口1に由来する凹部1aは、この凹部を形成しているシェル4の内壁面から構成されることができる。
なお、ボウル形状の樹脂粒子が開口を表面に露出した状態で導電性樹脂層中に保持され、電子写真用ローラの表面にこの開口に由来する凹部と、この開口のエッジに由来する凸部を有していることは、以下の方法により確認することができる。
すなわち、ビデオマイクロや電子顕微鏡等の観察装置により、電子写真用ローラの表面を観察することで確認できる。
また、ボウル形状の樹脂粒子の最大径15と、図5に示す開口部の最小径17の比、即ち、ボウル形状の樹脂粒子の[最大径]/[開口部の最小径]は、1.1以上4.0以下であることが好ましい。この比を本範囲内とすることにより、より確実に上述した当接圧力を減少させることができる。
すなわち、導電性樹脂層の任意の点を500μmに亘って、20nmずつ集束イオンビーム(商品名:FB−2000C、日立製作所作製)にて切り出し、その断面画像を撮影する。そして、同じボウル形状の樹脂粒子を撮影した画像を組み合わせ、ボウル形状の樹脂粒子の立体像を算出する。立体像から、図4や図5に示すように、最大径15、距離(高低差)16及び開口部の最小径17を算出する。また、この立体像から、ボウル形状の樹脂粒子の任意の5点において、(シェルの)外径と内径との差を算出し、5点のシェルの厚みを算出する。このような作業を任意のボウル形状の樹脂粒子10個について行う。そして、同様の測定を電子写真用ローラの長手方向(図3では紙面に対して垂直方向)の10箇所について行い、得られた計100個の樹脂粒子の各データの平均値から、上記最大径15、距離16、開口部の最小径17及びシェルの厚みを特定する。
表面の凹凸平均間隔(Sm)は、30μm以上200μm以下が好ましく、40μm以上150μm以下がより好ましい。Rzjisを5〜65μm、Smを30〜200μmの範囲内とすることにより、より確実に当接圧力を減少させることができる。尚、表面の十点平均粗さ(Rzjis)及び表面の凹凸平均間隔(Sm)の測定法については、JIS B 0601−1994における表面粗さの規格に準ずる。
なお、ボウル形状の樹脂粒子の具体的な作製方法については、後述する。
導電性樹脂層中には複数個の中実樹脂粒子(図1の符号5)が含有される。中実樹脂粒子は、粒子の内部が、樹脂で満たされている粒子である。すなわち、粒子内部に気体を含まないか、もしくは、気体を含んだとしても、極少量、体積換算で0.1%以下である粒子である。
なお、中実樹脂粒子の球形近似による平均粒径は、ボウル形状の樹脂粒子と同様の方法で確認することができる。
本発明では、導電性樹脂層の圧縮弾性率をG、導電性樹脂層に含まれる中実樹脂粒子の(平均の)圧縮弾性率をJとしたとき、下記数式(1)および数式(2)を満たす。
G<J
数式(2)
0.1MPa≦G≦10MPa
具体的には、上記Gが0.1MPa未満では、電子写真用ローラにおける撓みの保持力が低減して、異常放電によるポチ状画像の抑制効果が減少する。また、上記Gが10MPaを超えると、異常放電によるポチ状画像の抑制効果の増大よりも、高硬度の中実樹脂粒子による感光体等の当接物への傷及び摩耗を促進する弊害が大きくなる。
また、G>Jとなると、導電性樹脂層中に含有されるバインダーの硬度が増大し、トナー汚染等の弊害が発生する。
導電性樹脂層に含有されるボウル形状の樹脂粒子と、中実樹脂粒子とは、以下の条件(iv)及び(v)を満たす。
(iv)導電性樹脂層に保持されている1個のボウル形状の樹脂粒子の、凹部を形成しているシェルの外壁面に対して、少なくとも2個、より好ましくは、2.0個以上の中実樹脂粒子が接する。
(v)該ボウル形状の樹脂粒子を該軸芯体の表面に正投影させたときに、該軸芯体の表面に形成される投影円を第1の投影円とし、
該ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成しているシェルの外壁面に接している該中実樹脂粒子のうちの2個を該軸芯体の表面に正投影させたときに該軸芯体の表面に形成される投影円をそれぞれ第2の投影円および第3の投影円としたとき、
該ボウル形状の樹脂粒子と、該ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成しているシェルの外壁面に接している該中実樹脂粒子とは、
該第2の投影円の少なくとも一部が該第1の投影円と重なり、該第3の投影円の少なくとも一部が該第1の投影円と重なり、かつ、
該第2の投影円の重心と該第3の投影円の重心とを通る線分が、該軸芯体の軸方向に平行に延びる、該第1の投影円の重心を通る直線と交点を有するように、位置している。
図1に示すように、ボウル形状の樹脂粒子3の凹部1aを形成しているシェル4の外壁面4aには、少なくとも2個の中実樹脂粒子5が接している。
なお、ボウル形状の樹脂粒子の外壁面に接している中実樹脂粒子の個数の特定方法については、後述する。
まず、ボウル形状の樹脂粒子及びこの樹脂粒子の外壁面に接する中実樹脂粒子のうちの2個に対応する投影円について説明する。図2に、ボウル形状の樹脂粒子及び中実樹脂粒子に対する投影円の二つの例を示す。
まず、この2個の中実樹脂粒子に対応する第2の投影円8及び第3の投影円9それぞれの少なくとも一部が、第1の投影円7と重なる(条件(v−1))。さらに、第2の投影円の重心8aと第3の投影円の重心9aを通る線分11が、軸芯体の軸方向(例えば、図3に示す紙面に対して垂直方向)に平行な、第1の投影円の重心7aを通る直線10と交点を有する(条件(v−2))。なお、上記条件(v−1)において、第2の投影円及び第3の投影円全体が、第1の投影円に重なってもよいし、それらの一部が第1の投影円に重なってもよい。
・導電性微粒子
導電性樹脂層は、導電性を発現するために公知の導電性微粒子を含有することができる。導電性微粒子としては、例えば、導電性金属酸化物、金属微粒子及びカーボンブラックが挙げられる。また、これらの導電性微粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、導電性微粒子の平均粒径は、導電性の制御の観点から、0.01μm以上0.9μm以下が好ましく、0.01μm以上0.5μm以下がより好ましい。
導電性樹脂層は、前述の材料以外に、イオン導電剤及び絶縁性粒子等を含有することができる。
導電性樹脂層におけるイオン導電剤及び絶縁性粒子の配合割合は適宜設定することができ、特に限定されない。
導電性樹脂層の体積抵抗率は、温度23℃、相対湿度50%の環境において、1×102Ω・cm以上、1×1016Ω・cm以下とすることが好ましい。この範囲内とすることで、放電による感光体上の帯電や、感光体上に現像したトナーの紙上転写を、より効率的に行うことができる。
そして、得られた短冊形の導電性樹脂層の両面に金属を蒸着して、電極とガード電極とを作製し、測定用サンプルを得る。なお、導電性樹脂層が薄膜で切り出せない場合には、アルミニウム製のシートの上に導電性樹脂層形成用の後述する導電性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜面に金属を蒸着して測定用サンプルを作製する。
なお、導電性樹脂層の体積抵抗率は、導電性樹脂層中に配合させる導電性微粒子及びイオン導電剤等により調整することができる。
本発明の電子写真用ローラは、導電性の軸芯体と、表面層である導電性樹脂層との間に、導電性弾性層を1層又は複数層、形成してもよい。導電性弾性層は、バインダー、導電剤及び他の成分(絶縁性粒子や可塑剤等の添加剤)を含有することができる。このバインダーとしては、導電性樹脂層において上述したような公知のゴム及び樹脂を適宜使用することができる。また、この導電剤としては、カーボンブラック及び導電性金属酸化物などの公知の導電剤を適宜使用することができる。
なお、導電性弾性層は、上述した導電性樹脂層と同一の組成とすることもでき、すなわち、導電性弾性層中に、後述する中空形状の樹脂粒子や中実樹脂粒子等を有していてもよい。軸芯体と導電性樹脂層との間に配する導電性弾性層の(合計の)厚みは、導電性と接着性の観点から、1.0μm以上10.0μm以下とすることが好ましい。
本発明の電子写真用ローラは、例えば、以下の工程を有する電子写真用ローラの製造方法により作製することができる。
・導電性の軸芯体上に、バインダー、中空形状の樹脂粒子(開口が形成される前のボウル形状の樹脂粒子)及び(複数個の)中実樹脂粒子を含む予備被覆層を形成する工程(予備被覆層形成工程)。
・前記予備被覆層の表面を研磨することにより、該予備被覆層に含有される中空形状の樹脂粒子の表面の一部を削除し、導電性樹脂層を形成する工程(研磨工程)。
・導電性の軸芯体を用意する工程(軸芯体用意工程)。
・導電性樹脂層を表面処理又は加熱処理する工程(処理工程)。
・(ボウル形状の樹脂粒子の前々駆体である)熱膨張性マイクロカプセル、(複数個の)中実樹脂粒子及びバインダーを含む導電性樹脂組成物を調製する工程(導電性樹脂組成物調製工程)。
・前記導電性の軸芯体上に、前記導電性樹脂組成物を被覆し、熱を加えることにより、予備被覆層を作製する工程(予備被覆層成形工程)。
・熱膨張性マイクロカプセル、(複数個の)中実樹脂粒子及び第一のバインダーを混練して、一次混練物を調製する工程(一次混練物調製工程)。
・前記一次混練物及び第二のバインダー、並びに、必要に応じて添加剤(例えば、導電剤)を混練して、導電性樹脂組成物(二次混練物)を調製する工程(二次混練物調製工程)。
以下に各工程について、詳しく説明する。
導電性の軸芯体としては、電子写真装置の分野で公知のものを適宜用いることができる。具体的には、円筒形状のステンレス鋼製の軸芯体等を用いることができ、必要に応じて、その表面に導電性接着剤を塗布することもできる。
導電性樹脂層を作製するに際し、まず、導電性軸芯体上に、バインダー、(ボウル形状の樹脂粒子の前駆体である)中空形状の樹脂粒子、中実樹脂粒子及び必要に応じてその他の成分を含む被覆層(予備被覆層)を作製する。
なお、予備被覆層の厚みとしては、研磨加工性の観点から、2.0mm以上とすることが好ましく、研磨加工性の観点から、6.0mm以下とすることが好ましい。
上記その他の成分としては、例えば、導電剤(導電性微粒子やイオン導電剤等)、可塑剤、増量材、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤及び発泡剤などを任意に用いることができる。
以下、熱膨張性マイクロカプセルについて説明する。
熱膨張性マイクロカプセルを用いる場合、このカプセルに配合させるバインダーとして熱可塑性樹脂を用いることが求められる。熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル酸樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、メタクリロニトリル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂類、メタクリル酸エステル樹脂類。
この中でも、ガス透過性が低く、高い反発弾性を示すアクリロニトリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂及びメタクリロニトリル樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、これらの熱可塑性樹脂の原料となる単量体を共重合させることにより得られる共重合体を上記カプセルに配合させるバインダーとして用いてもよい。
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、塩化ビニリデン、酢酸ビニル;アクリル酸エステル(メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート);メタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート);スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド、ブタジエン、εカプロラクタム、ポリエーテル、イソシアネート。
これらの重合性単量体は、1種を単独であるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの低沸点液体;ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの高沸点液体。
内包物質の使用量は、発泡性の観点から、重合性単量体100質量部に対して、1.0質量部以上、30質量部以下が好ましい。
重合開始剤を用いる場合、生産性の観点から、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下用いることが好ましい。
分散安定剤の使用量は、分散性の観点から、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましい。
以上より、熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
導電性樹脂組成物は、バインダー(樹脂(ゴム))、熱膨張性マイクロカプセル及び中実樹脂粒子、並びに、他の成分(例えば、導電剤、可塑剤、増量材、滑材等の各種添加剤)を混練機で混練することにより作製することができる。
そして、得られた導電性樹脂組成物(より具体的には、熱膨張性マイクロカプセル)を、このカプセルの膨張温度以上(例えば、150℃以上200℃以下)に加熱することにより、熱膨張性マイクロカプセルから中空形状の樹脂粒子を形成することができる。これにより、周囲(外周面)に複数個の中実樹脂粒子が保持(付着)された、ボウル形状の樹脂粒子の前駆体である中空形状の樹脂粒子を得ることができる。
このように、2段階の混練操作によって導電性樹脂組成物を調製することが好ましい。
また、添加剤として、加硫剤や加硫促進剤を用いる場合、これらの添加剤を導電性樹脂組成物に混練する際には、温度の上昇による樹脂(ゴム)の加硫の進行を防止するために、オープンロール等の開放型混練機を用いた混練を行うことが好ましい。
なお、一次混練と二次混錬とは、同一の混練条件(混練機、混練温度や混練時間等)で行ってもよいし、異なる混練条件で行ってもよい。
導電性樹脂組成物から予備被覆層を形成する具体的な方法としては、例えば、クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いる方法が挙げられる。この方法としては、例えば、接着剤を塗布した導電性の軸芯体を中心軸として、同軸上に円筒状に上記導電性樹脂組成物を被覆して、導電性の軸芯体と当該組成物を一体的に押出して作製する方法が挙げられる。クロスヘッドは、一般に電線や針金の被覆に用いられている装置であり、押出機のシリンダのゴム排出部に取り付けて使用されるものである。
その後、必要に応じて、乾燥、硬化または架橋等を行うことにより、予備被覆層を得ることができる。なお、熱膨張性マイクロカプセルを用いて予備被覆層を形成する際には、後述する研磨工程より前に、少なくとも一度、そのカプセルの膨張温度以上に導電性樹脂組成物を加熱することが求められる。この加熱操作は、例えば、加硫操作と同時に行われてもよいし、軸芯体上に塗布した導電性樹脂組成物の乾燥操作と同時におこなわれてもよい。
次に、得られた予備被覆層の表面を研磨することにより、導電性樹脂層を形成する。この研磨工程により、予備被覆層に含有される中空形状の樹脂粒子の表面の一部(開口となる部分)を研磨することにより削除して、中空形状の樹脂粒子の一部を開口させて、ボウル形状の樹脂粒子とする。そして、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹部と、ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジによる凸部を形成する。この研磨工程を経ることにより、表面に露出した開口を有するボウル形状の樹脂粒子と、このボウル形状の樹脂粒子の外壁面に付着した複数個の中実樹脂粒子とを特定の配置に有する導電性樹脂層を得ることができる。
そして、予備被覆層の外表面に円筒研磨砥石を侵入させ(切込み)、予備被覆層の表面を研削する(侵入工程)。その際、ブランジカット方式の円筒研磨砥石の回転数は、1000rpm以上4000rpm以下が好ましく、2000rpm以上4000rpm以下がより好ましい。また、円筒研磨砥石の予備被覆層への侵入速度は、5mm/min以上30mm/min以下が好ましく、10mm/min以上30mm/min以下がより好ましい。
さらに、必要に応じて、最終的な切込み終了点において、スパークアウト操作(工程)(侵入速度0mm/minでの研磨操作)を行ってもよく、この操作時間は、3秒間以下であることが好ましい。
これらの条件を満たす研磨工程を行うことで、予備被覆層の表面に、ボウル形状の樹脂粒子の開口による凹凸を、より容易に形成することができる。
次に、導電性樹脂層の表面における硬度、電気抵抗及び摩擦係数等の物性を制御する観点から、表面を研磨した導電性樹脂層に対し、その表面に、紫外線や電子線による表面処理や、熱風や赤外線発生装置による加熱処理を行ってもよい。しかしながら、これらの物性を効率よく変化させる観点から、熱風炉による加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理温度は、表面硬度の形成とバインダーの劣化の観点から、160℃以上200℃以下が好ましい。
電子写真画像形成装置は、本発明の一態様に係る電子写真用ローラを具備している。図7に、該電子写真画像形成装置の一態様の概略図を示す。この電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体の帯電装置、露光を行う潜像形成装置、現像装置、転写装置、電子写真感光体上の転写残トナーのクリーニング装置及び定着装置等から構成されている。
電子写真感光体39に静電潜像を形成する潜像形成装置(不図示)は、例えばレーザービームスキャナーなどの露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体39に画像情報に対応した露光光31を照射することにより、静電潜像が形成される。
転写装置は、接触式の転写ローラ34を有する。電子写真感光体39からトナー像を普通紙などの転写材35に転写する。転写材35は、搬送部材を有する給紙システム(不図示)により搬送される。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材36、回収容器37を有し、転写した後、電子写真感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。
定着部材38は、加熱されたローラ等で構成され、転写されたトナー像を転写材35に定着し、機外に排出する。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の電子写真用ローラを有し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とする。図8に、本発明のプロセスカートリッジの一例の概略構成図を示す。このプロセスカートリッジは、電子写真感光体39、帯電ローラ30、現像ローラ32及びクリーニング部材36等を一体化し、電子写真装置に着脱可能に構成されている。また、本発明の電子写真用ローラは、プロセスカートリッジにおいて、帯電ローラ及び現像ローラのうちの少なくとも一種として用いることができる。
〔カプセル粒子1の作製〕
イオン交換水4000質量部、分散安定剤としてコロイダルシリカ2質量部およびポリビニルピロリドン0.15質量部の水性混合液を調製した。次いで、アクリロニトリル50質量部、メタクリロニトリル45質量部及びメチルメタクリレート5質量部と、イソペンタン12.0質量部と、ジクミルパーオキサイド0.75質量部とからなる油性混合液を調製した。この油性混合液を、前記水性混合液に添加し、更に水酸化ナトリウム0.4質量部を添加することにより、分散液を調製した。
得られた分散液を、ホモジナイザーを用いて3分間攪拌混合し、窒素置換した重合反応容器内へ仕込み、100rpmの攪拌下、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物に対して、濾過と水洗を繰り返した後、80℃で5時間乾燥することでカプセル粒子を作製した。得られたカプセル粒子を音波式分級機により解砕して分級することによって、カプセル粒子(熱膨張性マイクロカプセル)1を得た。カプセル粒子1の以下に示す方法で測定した体積平均粒径は、20.0μmであった。
カプセル粒子の体積平均粒径の測定を、レーザー回折型粒度分布計(商品名:コールターLS−230型粒度分布計、コールター社製)を用いて行った。測定には、水系モジュールを用い、測定溶媒として純水を使用した。純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10mg加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。次に純水50ml中に界面活性剤(ステアリン酸ナトリウム水溶液)3滴を加え、更に測定試料(分級処理後のカプセル粒子)を10mg加えた。試料を懸濁した水溶液を超音波分散器で3分間分散処理を行い、被験試料液を調製した。前記測定装置の測定系内にこの被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDS(Polarization Intensity Differential Scattering)が45%以上55%以下になるように測定系内の被験試料濃度を調整して測定を行った。得られた体積分布から体積平均粒子径を算出した。
〔カプセル粒子2の作製〕
イソペンタンの量を6.0質量部、ホモジナイザーの回転数を200rpmに変更した以外は、製造例1と同様の方法で、カプセル粒子2を得た。カプセル粒子2の体積平均粒径は8.0μmであった。
〔カプセル粒子3の作製〕
イソペンタンの量を15.0質量部、ホモジナイザーの回転数を80rpmに変更した以外は、製造例1と同様の方法で、カプセル粒子3を得た。カプセル粒子3の体積平均粒径は33.5μmであった。
〔一次混練物1の作製〕
密閉型ミキサー(体積5L)にて下記表1に示す材料を15分間混練し、一次混練物1を得た。仕込み量は、下記材料が下記比率で全量3000gとなるように調整した。ミキサーの回転数は、混練時の材料温度が60℃以下になるように調整した。
〔一次混練物2及び3の作製〕
配合させるNBR及び中実樹脂粒子の量を変更した以外は製造例4と同様にして、一次混練物2及び3をそれぞれ作製した。具体的には、配合させるNBR及び中実樹脂粒子の量をそれぞれ、製造例5(一次混練物2)では、35質量%及び35質量%に変更し、製造例6(一次混練物3)では、30質量%及び40質量%に変更した。
〔一次混練物4の作製〕
一次混練物を作製する際の材料を下記表2に示す内容と比率に変えた以外は、製造例4と同様にして一次混練物4を作製した。
〔一次混練物5及び6の作製〕
配合させるNBR及び中実樹脂粒子の量を変更した以外は製造例7と同様にして、一次混練物5及び6をそれぞれ作製した。具体的には、配合させるNBR及び中実樹脂粒子の量をそれぞれ、製造例8(一次混練物5)では、35質量%及び35質量%に変更し、製造例9(一次混練物6)では、30質量%及び40質量%に変更した。
〔一次混練物7の作製〕
一次混練物を作製する際の材料を下記表3に示す内容と比率に変えた以外は、製造例4と同様にして一次混練物7を作製した。
〔一次混練物8及び9の作製〕
配合させるNBR及び中実樹脂粒子の量を変更した以外は製造例10と同様にして、一次混練物8及び9をそれぞれ作製した。具体的には、配合させるNBR及び中実樹脂粒子の量をそれぞれ、製造例11(一次混練物8)では、30質量%及び40質量%に変更し、製造例12(一次混練物9)では、25質量%及び45質量%に変更した。
〔一次混練物10及び11の作製〕
配合させる中実樹脂粒子の種類を、中実樹脂粒子(商品名:PM−200(材質:ポリエチレン樹脂)、平均粒径10.5μm、三井化学(株))に変更した。それ以外は製造例5及び6とそれぞれ同様にして、一次混練物10(製造例13)及び一次混練物11(製造例14)を作製した。
〔一次混練物12の作製〕
一次混練物を作製する際の材料を下記表4に示す内容と比率に変えた以外は、製造例4と同様にして一次混練物12を作製した。
〔一次混練物13〜15の作製〕
配合させる中実樹脂粒子の種類を、中実樹脂粒子(商品名:MBX−5(材質:アクリル樹脂)、平均粒径5.6μm、積水化学(株))に変更した。それ以外は、製造例5、6または15と同様にして、一次混練物13、14及び15(製造例16、17及び18)を作製した。
〔一次混練物16〜18の作製〕
配合させる中実樹脂粒子の種類を、中実樹脂粒子(商品名:エポスターM05(材質:メラミン樹脂)、平均粒径5.6μm、日本触媒(株))に変更した。それ以外は、製造例5、6及び15とそれぞれ同様にして、一次混練物16、17及び18(製造例16〜19)を作製した。
〔一次混練物19の作製〕
一次混練物を作製する際の材料を下記表5に示す内容と比率に変えた以外は、製造例4と同様にして一次混練物19を作製した。
(導電性の軸芯体用意工程)
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス鋼製の円筒状基体に、カーボンブラックを10質量%含有させた熱硬化性樹脂(ポリフェノール樹脂)を塗布し、乾燥させたものを、導電性の軸芯体として用意した。
・導電性樹脂組成物調製工程
以下の表6に示す材料を、50℃に調節した密閉型ミキサーに加えて15分間混練して、A練りゴム組成物を得た。
次に、クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、上述した導電性の軸芯体の外周面を、上記B練りゴム組成物で、1.0mmの厚さに被覆した。押出後のローラを、熱風炉にて160℃で1時間加熱して、B練りゴム組成物を加硫してゴム層を形成した。
予備被覆ローラの外周面を、図6に示すブランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨した。具体的には、研磨砥粒としてピトリファイド砥石を用い、砥粒は緑色炭化珪素(GC)で粒度は100メッシュとした。予備被覆ローラの回転数を350rpmとし、研磨砥石の回転数を2050rpmとした。侵入(切り込み)速度を20mm/minとし、スパークアウト時間(切り込み0mmでの時間)を0秒と設定して研磨を行った。これにより、予備被覆層に含有される中空形状の樹脂粒子の表面の一部を研削させ、ボウル形状の樹脂粒子の開口が表面に露出した導電性樹脂層を有する導電性ローラを得た。導電性樹脂層の厚みは、1.5mmに調整した。尚、この導電性ローラのクラウン量は120μmであった。
得られた導電性ローラを、熱風炉中で温度190℃で1時間加熱し、電子写真用ローラ1を得た。電子写真用ローラ1に対して、以下に示す測定及び評価を行った。
電子写真用ローラ1の表面に露出するボウル形状の樹脂粒子を任意に10個選択した。そして、軸芯体の表面に正投影した投影部の面に平行な面を切断面としてこの10個のボウル形状の樹脂粒子とその周囲の中実樹脂粒子をそれぞれ20nmずつ集束イオンビーム(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)にて切り出しながら、断面画像を撮影した。得られた10個のボウル形状の樹脂粒子に対して、各断面画像を基に球形近似した直径をそれぞれ算出し、その平均値をボウル形状の樹脂粒子の球形近似による平均粒径とした。また、得られた各断面画像から、各ボウル形状の樹脂粒子に接している中実樹脂粒子の数を数えた。
その結果、電子写真用ローラ1のボウル形状の樹脂粒子の球形近似による平均粒径は、50.2μmであった。また、ボウル形状の樹脂粒子に接している中実樹脂粒子の数は、2.6個であった。
電子写真用ローラ1の表面に露出するボウル形状の樹脂粒子を任意に10個選択した。そして、軸芯体の表面に正投影した投影部の面に平行な面を切断面としてこの10個のボウル形状の樹脂粒子とその周囲の中実樹脂粒子をそれぞれ20nmずつ集束イオンビーム(商品名:FB−2000C、日立製作所社製)にて切り出しながら、断面画像を撮影した。各断面画像に基づき、各ボウル形状の樹脂粒子の外壁面に接する中実樹脂粒子をそれぞれ抽出した。次に、これらの中実樹脂粒子の重心をそれぞれ前記断面画像から求めた。この求めた重心と、前記断面画像から、各ボウル形状の樹脂粒子の外壁面に接する中実樹脂粒子が、上記条件(v)を満たすか判断した。そして、この任意の10個のボウル形状の樹脂粒子に対して、上記方法により確認された条件(v)を満たす、ボウル形状の樹脂粒子の外壁面に接する中実樹脂粒子の個数の平均値を求めた。その結果、電子写真用ローラ1の導電性樹脂層に含有される、任意に選択した10個のボウル形状の樹脂粒子において、上記条件(v)を満たす中実樹脂粒子は、2.6個であった。
従って、電子写真用ローラ1の導電性樹脂層に含有されるボウル形状の樹脂粒子及び中実樹脂粒子は、上記条件(iv)及び(v)を満たす位置に配置されていることが分かった。
ピコデンターHM500(商品名、株式会社フィッシャー・インストルメント社製)を用いて、電子写真用ローラ1(より具体的には、導電性樹脂層)の圧縮弾性率(押し込み弾性率)を測定した。圧子としては、基部が正方形の角錐型ダイヤモンド圧子で、頂点を挟む対面角度が136°である圧子(ビッカース角錐)を用いた。測定は、電子写真用ローラ1の長手方向の中央部及び両端部(中央部から両端方向へ各90mmの位置)において行った。まず、顕微鏡を用いて、上記中央部及び両端部から、中実樹脂粒子の非存在部を任意にそれぞれ10点ずつ選定し、計30点の圧縮弾性率を測定した。そして、得られた30個の測定値から平均値を算出し、その平均値を導電性樹脂層の圧縮弾性率Gとした。
上記方法より測定された電子写真用ローラ1のGは0.5MPaであり、Jは30MPaであった。
なお、後述の表8及び表10において、上記G及びJが、G<Jの関係を満たす場合を「Y」、満たさない場合を「N」と表記した。
・異常放電に起因するポチ状画像の発生状況の評価
評価装置としては、図7に示す構成を有する電子写真画像形成装置であるヒューレットパッカード社製、HP Color LaserJet Enterprise CP4525n(商品名)をプロセススピードが370mm/secになるよう高速改造して使用した。プロセスカートリッジは、外径8.5mmの帯電ローラが装着可能で、かつ、片端で2.45N(0.25kgf)、両端で合計4.9N(0.5kgf)で押圧可能なバネに変更した。また、レーザプリンタの改造は、高圧電源の設定、モータのギア、紙搬送を適宜調節して行った。また、現像ブレードの固定位置の変更や、現像ブレードとプロセスカートリッジ容器との間にスペーサを挟むことで、現像ローラ上のトナー担持量が0.50mg/cm2となるよう調節した。
ランク1:ポチ状画像は認められない。
ランク2:軽微なポチ状画像が認められるのみである。
ランク3:一部に、ポチ状画像が帯電ローラのピッチで認められるが、実用上は問題ない。
ランク4:ポチ状画像が目立ち、画質の低下が認められる。
電子写真用ローラ1の評価結果は、ランク1であった。
上記表7に示す一次混練物1を、一次混練物2、3、10〜18にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法で、電子写真用ローラ2、3、10〜18をそれぞれ作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。なお、電子写真用ローラ2、3、10〜12の画像評価の結果はランク1であり、電子写真用ローラ13〜15の画像評価の結果はランク2であった。また、実施例16〜18の画像評価の結果はランク3であった。
これらの実施例では、上記表6に示すバインダーの種類をNBR(商品名:N222L、JSR社製)に変更し、硫黄を1.0部から1.2部に変更した。さらに、上記表7に示す一次混練物1を、実施例4では一次混練物4に、実施例5では一次混練物5に、実施例6では一次混練物6にそれぞれ変更した。それら以外は、実施例1と同様の方法で、それぞれ電子写真用ローラ4〜6を作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。電子写真用ローラ4〜6の画像評価の結果はいずれもランク1であった。
これらの実施例では、上記表6に示すバインダーの種類をNBR(商品名:N250SL,JSR社製)に変更し、硫黄を1.0部から0.8部に変更した。さらに、上記表7に示す一次混練物1を、実施例7では一次混練物7に、実施例8では一次混練物8に、実施例9では一次混練物9にそれぞれ変更した。それら以外は、実施例1と同様の方法で、それぞれ電子写真用ローラ7〜9を作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。電子写真用ローラ7〜9の画像評価の結果はいずれもランク1であった。
B練りゴム組成物(導電性樹脂組成物)の調製において、以下の点を変更した以外は実施例1と同様の方法で、電子写真用ローラ19を作製した。具体的には、上記表6に示す材料を50℃に調節した密閉型ミキサーにて15分間混練したのち、その混練物に、カプセル粒子1を6.0質量部と、中実樹脂粒子(商品名:XM−220、平均粒径30.2μm、三井化学(株))6.0質量部とを、粉体のまま添加した。さらに、下記表9に示す材料を添加して、これらの材料を、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、導電性樹脂組成物を作製した。
さらに、電子写真用ローラ19の画像評価の結果は、ランク4であった。
B練りゴム組成物(導電性樹脂組成物)を作製する際に、カプセル粒子1を6.0質量部粉体のまま添加する代わりに、上記一次混練物19を12.0質量部添加した以外は、比較例1と同様の方法で、電子写真用ローラ20を作製した。得られた電子写真用ローラ20に対して、実施例1と同様の測定及び評価を行った。電子写真用ローラ20の画像評価の結果はランク4であった。
上記表6に示すバインダーの種類をNBR(商品名:N222L、JSR社製)に変更し、硫黄を1.0部から1.7部に変更した。さらに、上記表7に示す一次混練物1を、一次混練物16に変更した。それら以外は、実施例1と同様の方法で、それぞれ電子写真用ローラ21を作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。電子写真用ローラ21の画像評価の結果はランク4であった。
各比較例に用いた各成分、並びに、得られた電子写真用ローラの測定及び評価結果等を、以下の表10に示す。
1a:凹部
2:エッジ
2a:凸部
3:ボウル形状の樹脂粒子
4:シェル
4a:外壁面
5:中実樹脂粒子
6:バインダー
7:第1の投影円
7a:第1の投影円の重心
8:第2の投影円
8a:第2の投影円の重心
9:第3の投影円
9a:第3の投影円の重心
10:軸芯体の軸方向に平行な、第1の投影円の重心を通る直線
11:第2の投影円の重心と第3の投影円の重心とを通る線分
12:導電性の軸芯体
13:導電性樹脂層
14:導電性弾性層
30:帯電ローラ
32:現像ローラ
34:転写ローラ
Claims (6)
- 導電性の軸芯体と、該軸芯体上の表面層としての導電性樹脂層と、を有する電子写真用ローラであって、
該導電性樹脂層は、バインダーおよび複数個の中実樹脂粒子を含み、
開口を有するボウル形状の樹脂粒子を、該開口が該電子写真用ローラの表面に露出する状態で保持しており、
該電子写真用ローラの表面は、該ボウル形状の樹脂粒子の開口に由来する凹部と、該ボウル形状の樹脂粒子の開口のエッジに由来する凸部とを有し、
該ボウル形状の樹脂粒子の該凹部を形成しているシェルの外壁面に、該中実樹脂粒子の少なくとも2個が接しており、
該ボウル形状の樹脂粒子を該軸芯体の表面に正投影させたときに、該軸芯体の表面に形成される投影円を第1の投影円とし、
該ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成しているシェルの外壁面に接している該中実樹脂粒子を該軸芯体の表面に正投影させたときに該軸芯体の表面に形成される投影円をそれぞれ第2の投影円および第3の投影円としたとき、
該ボウル形状の樹脂粒子と、該ボウル形状の樹脂粒子の凹部を形成しているシェルの外壁面に接している該中実樹脂粒子とは、
該第2の投影円の少なくとも一部が該第1の投影円と重なり、該第3の投影円の少なくとも一部が該第1の投影円と重なり、かつ、
該第2の投影円の重心と該第3の投影円の重心とを通る線分が、該軸芯体の軸方向に平行に延びる、該第1の投影円の重心を通る直線と交点を有するように、位置しており、
該導電性樹脂層の圧縮弾性率をG、該中実樹脂粒子の圧縮弾性率をJとしたとき、下記数式(1)および数式(2)を満たすことを特徴とする電子写真用ローラ:
数式(1)
G<J
数式(2)
0.1MPa≦G≦10MPa 。 - 前記ボウル形状の樹脂粒子の球形近似による平均粒径が、10μm以上、100μm以下である請求項1に記載の電子写真用ローラ。
- 前記中実樹脂粒子の球形近似による平均粒径が、1μm以上、50μm以下である請求項1または2に記載の電子写真用ローラ。
- 前記中実樹脂粒子が、ポリエチレン樹脂およびアクリル樹脂から選ばれる樹脂を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真用ローラ。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用ローラを有し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用ローラを具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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