JP2017128321A - 乗員検知システム、及びこれを備えた車両用空調装置 - Google Patents

乗員検知システム、及びこれを備えた車両用空調装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被検知領域を移動させながら乗員の状態を検知する構成としながらも、車両に乗り込む乗員の状態を、早いタイミングで検知し始めることのできる乗員検知システム、及びこれを備えた車両用空調装置を提供する。【解決手段】乗員検知システム101は、物体の状態を検知するIRセンサ131と、IRセンサ131状態検知部によって状態が検知される領域、である被検知領域の位置を変化させるセンサ駆動装置132と、センサ駆動装置132の動作を制御する制御部110と、を備える。乗員検知システム101は、車両10に設けられた起動スイッチ141がオフとされた後、起動スイッチ141がオンとされるまでの間において、被検知領域の位置が所定の初期位置となるように構成されている。【選択図】図2

Description

本開示は、乗員の状態を検知する乗員検知システム、及び当該乗員検知システムを備えた車両用空調装置に関する。
近年の車両には、乗員の状態を検知する乗員検知システムを備えたものがある。このような乗員検知システムとしては、例えば、乗員の表面温度を赤外線センサによって測定し、その測定結果に基づいて空調を適切に制御するためのものがある。また、カメラによる顔認識によって乗員を特定し、当該乗員に合わせたシートポジション等の自動設定を可能にするものもある。
下記特許文献1に記載の車両用空調装置には、乗員の表面温度や位置を赤外線センサによって測定する乗員検知システムが設けられている。当該乗員検知システムでは、吹出口に設けられたスイングルーバーに赤外線センサを配置しており、当該赤外線センサによって乗員の表面温度を算出している。車両用空調装置は、算出された表面温度に基づいて空調制御を行っている。
このような構成においては、スイングルーバーの搖動に伴って赤外線センサの方向が一定の範囲で周期的に変化する。つまり、全ての乗員の表面温度を一度に且つ同時に測定するのではなく、局所的な範囲を測定しながら、当該範囲を徐々に移動させて行くことによって全体の温度分布を検知する構成となっている。このため、検知範囲が比較的狭い安価な赤外線センサを用いながらも、乗員を含む広範囲の温度測定を行うことが可能である。
特許第4062124号公報
ところで、車室内の空調が当初から適切に行われるためには、乗員の表面温度は、可能な限り早いタイミングで測定され始めることが望ましい。理想的には、乗員がドアを開けて車両に乗り込むタイミングで測定され始めることが望ましい。
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような乗員検知システムでは、乗員がドアを開けた際における赤外線センサの向きが不定であるから、上記のような早いタイミングで乗員の表面温度を測定し始めることができない場合がある。
また、例えばカメラによる顔認識によって乗員を特定し、当該乗員に合わせたシートポジション等の自動設定を行うための乗員検知システムでも、乗員がシートに着座するよりも前の時点で乗員の顔認証を行うことが望ましい。つまり、乗員がドアを開けた際において、カメラが当該ドアの方向を向いた状態となっていることが望ましい。
本開示の目的は、被検知領域を移動させながら乗員の状態を検知する構成としながらも、車両に乗り込む乗員の状態を、早いタイミングで検知し始めることのできる乗員検知システム、及びこれを備えた車両用空調装置を提供することにある。
本開示に係る乗員検知システムは、車両(10)に備えられ、乗員の状態を検知する乗員検知システム(101)であって、物体の状態を検知する状態検知部(131)と、状態検知部によって状態が検知される領域、である被検知領域の位置を変化させる検知位置変更部(132)と、検知位置変更部の動作を制御する制御部(110)と、を備える。この乗員検知システムは、車両に設けられた起動スイッチ(141)がオフとされた後、起動スイッチがオンとされるまでの間において、被検知領域の位置が所定の初期位置となるように構成されている。
このような構成の乗員検知システムでは、例えばイグニッションスイッチのような起動スイッチがオンとされるよりも前の時点で、予め被検知領域の位置が所定の初期位置となるよう、検知位置変更部の動作が制御される。このため、例えば、車両に設けられたドアと被検知領域とが重なるような位置に上記初期位置を設定しておけば、乗員の状態(例えば表面温度)を、当該乗員がドアを開けて車両に乗り込む時点から検知し始めることができる。
本開示によれば、被検知領域を移動させながら乗員の状態を検知する構成としながらも、車両に乗り込む乗員の状態を、早いタイミングで検知し始めることのできる乗員検知システム、及びこれを備えた車両用空調装置が提供される。
図1は、第1実施形態に係る乗員検知システム、及びこれを備えた車両用空調装置の構成を模式的に示す図である。 図2は、車両用空調装置が搭載された車両、の車室内の様子を上面視で模式的に描いた図である。 図3は、IRセンサの向きの変化を説明するための図である。 図4は、車両用空調装置が搭載された車両、の車室内の様子を上面視で模式的に描いた図である。 図5は、乗員検知システムの制御部によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。 図6は、乗員検知システムの制御部によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。 図7は、乗員検知システムの制御部によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。 図8は、車両用空調装置が搭載された車両、の車室内の様子を上面視で模式的に描いた図である。 図9は、第2実施形態に係る乗員検知システムにおける、IRセンサの向きの変化を説明するための図である。 図10は、乗員検知システムの制御部によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。 図11は、第3実施形態に係る乗員検知システムが搭載された車両、の車室内の様子を上面視で模式的に描いた図である。 図12は、乗員検知システムの制御部によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。 図13は、第4実施形態に係る乗員検知システムの、IRセンサ及びセンサ駆動装置の構成を示す図である。 図14は、第5実施形態に係る乗員検知システムの、IRセンサ及びセンサ駆動装置の構成を示す図である。 図15は、第6実施形態に係る乗員検知システムの、IRセンサ及びセンサ駆動装置の構成を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1及び図2を参照しながら、第1実施形態に係る乗員検知システム101について説明する。乗員検知システム101が搭載された車両10には、車室RM内の空調を行う車両用空調装置100が設けられている。乗員検知システム101は、乗員の状態(具体的には表面温度)を検知するためのシステムであって、車両用空調装置100の一部として構成されている。
尚、以下においては、乗員検知システム101が車両用空調装置100に備えられた場合の構成及び制御について説明するのであるが、乗員検知システム101は、車両用空調装置100とは別の装置に備えられていてもよい。
図1に示されるように、乗員検知システム101は、制御部110と、IRセンサ131と、センサ駆動装置132と、を備えている。また、これらに空調機構部120を加えたものの全体が車両用空調装置100となっている。
制御部110は、乗員検知システム101の全体の動作を制御するための装置である。制御部110は、CPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムとして構成されている。尚、本実施形態における制御部110は、乗員検知システム101を含む車両用空調装置100の全体の動作を制御するものとして構成されている。このような態様に替えて、車両用空調装置100の動作を制御するための空調ECUが別途設けられているような態様であってもよい。この場合、乗員検知システム101の制御部110は、空調ECUと通信を行うことによって、車両用空調装置100の動作を(間接的に)制御することとなる。
制御部110には、車両10に設けられた起動スイッチ141の状態が入力される。起動スイッチ141は、車両10を起動して走行可能な状態に切り換えるために運転者が操作するスイッチであって、例えばイグニッションスイッチである。起動スイッチ141がオフの状態とされたときには、車両10は停止した状態となる。起動スイッチ141がオンの状態とされた時には、車両10は起動され走行可能な状態となる。
制御部110には、車両10に設けられたドアセンサ142、内気温センサ143、及び外気温センサ144から、それぞれの検知結果や測定値が入力される。ドアセンサ142は、車両10に設けられたドアD1、D2、D3、D4の開閉状態を個別に検知するためのセンサである。また、ドアセンサ142は、それぞれのドアのロック状態についても検知することが可能となっている。内気温センサ143は、車室RM内(図2を参照)の気温を検知するためのセンサである。外気温センサ144は、車両10の外側の気温を検知するためのセンサである。
制御部110は、上記の各種センサ、及び後述のIRセンサ131からそれぞれ入力された測定値等に基づいて、後述の空調機構部120の動作を制御する。これにより、車両用空調装置100による車室RM内の空調が適切に行われる。制御部110により行われる制御の具体的な内容については、後に説明する。
IRセンサ131は、車室RM内にある物体の状態(具体的には表面温度)を、当該物体からの輻射(赤外線)に基づいて検知するセンサである。IRセンサ131は、車両10に乗っている乗員の表面温度を検知し、当該表面温度に基づいて空調を適切に行うための温度センサとして設けられている。IRセンサ131によって検知された表面温度は、制御部110に入力される。IRセンサ131は、本実施形態における「状態検知部」に該当する。
センサ駆動装置132は、IRセンサ131の向きを変更するための駆動装置である。センサ駆動装置132は、IRセンサ131の向きを変更するためのアクチュエータとして、回転電機133を有している。回転電機133は、電力の供給を受けてその回転軸(不図示)を回転させ、当該回転軸に固定されたIRセンサ131の向きを左右方向に変化させる。
回転電機133が駆動され、IRセンサ131の向きが変更されると、IRセンサ131によって表面温度が検知される領域(以下、「被検知領域」と称する)の位置が変化する。センサ駆動装置132の動作、すなわち回転電機133の動作は、制御部110によって制御される。センサ駆動装置132は、本実施形態における「検知位置変更部」に該当する。
空調機構部120は、既に述べたように車両用空調装置100の一部であって、車室RM内の空調を行うための機構部分である。空調機構部120は、不図示のコンプレッサ、凝縮器、蒸発器、絞り弁、送風ファン、等を有しており、これら全体で一つの冷凍サイクルが構成されている。本実施形態では、制御部110によって、送風ファンの回転数や絞り弁の開度、空調機構部120に設けられた各種ドア(不図示)の動作等が制御され、これにより車室RM内に吹き出される空気の温度が調整される。空調機構部120の具体的な構成は公知のものであるから、具体的な図示や説明は省略する。
車両10のうち車室RM内の構成について、図2を参照しながら説明する。車室RM内のうち前方側部分には、右側の座席である運転席21と、左側の座席である助手席22とが、互いに隣り合うように設けられている。また、後方側部分には、右側の座席である第1後部座席23と、左側の座席である第2後部座席24とが、互いに隣り合うように設けられている。図2には、運転席21に着座している運転者M1と、助手席22に着座している同乗者M2と、第1後部座席23に着座している同乗者M3と、第2後部座席24に着座している同乗者M4と、が示されている。符号25が付されているのはステアリングハンドルである。
運転席21及び助手席22の更に前方側には、インストルメントパネル26が設けられている。インストルメントパネル26のうち左右方向における中央部には、吹き出し口27が形成されている。吹き出し口27は、車両用空調装置100によって温度調整された空気、すなわち空調風の出口である。吹き出し口27から空調風が吹き出されることにより、車室RM内の空調が行われる。
インストルメントパネル26の上面のうち、左右方向における中央となる位置には、IRセンサ131が設置されている。既に述べたように、IRセンサ131は、車両10に乗っている乗員の表面温度を検知するための温度センサである。IRセンサ131は、センサ駆動装置132を介してインストルメントパネル26の上面に取り付けられている。
図2では、IRセンサ131によって表面温度を一度に検知し得る範囲が、範囲RG1として示されている。本実施形態では、IRセンサ131として比較的狭角のものが用いられている。IRセンサ131によって表面温度を一度に検知し得る範囲RG1が狭いので、全ての乗員(運転者M1、同乗者M2、M3、M4)の表面温度を一度に且つ同時に検知することはできない。
そこで、本実施形態では、センサ駆動装置132の動作によりIRセンサ131の向きを変化させて行くことで、それぞれの乗員の表面温度を順に検知して行くように構成されている。具体的には、センサ駆動装置132が、IRセンサ131を左右に搖動動作させることで、被検知領域の位置を周期的に変化させ、車室RM内における各部の表面温度を検知して行くような構成となっている。
図2では、IRセンサ131の搖動によって表面温度を検知し得る範囲の全体が、範囲RG0として示されている。IRセンサ131が搖動すると、範囲RG1の向きが範囲RG0の中で変化していく。つまり、被検知領域の位置が、範囲RG0の中で左右に移動していく。図2に示されている状態においては、運転者M1の表面の一部が被検知領域となっている。範囲RG0は、着座している全ての乗員(運転者M1、同乗者M2、M3、M4)の表面を含むような範囲として設定されている。
車両10には4つのドアが設けられている。運転席21側のドアD1は、車両10のうち右側面且つ前方側となる位置に設けられているドアである。ドアD1は、運転者M1が車両10に乗り込む際において開けられるドアである。助手席22側のドアD2は、車両10のうち左側面且つ前方側となる位置に設けられているドアである。ドアD2は、同乗者M2が車両10に乗り込む際において開けられるドアである。
第1後部座席23側のドアD3は、車両10のうち右側面且つ後方側となる位置に設けられているドアである。ドアD3は、同乗者M3が車両10に乗り込む際において開けられるドアである。第2後部座席24側のドアD4は、車両10のうち左側面且つ後方側となる位置に設けられているドアである。ドアD4は、同乗者M4が車両10に乗り込む際において開けられるドアである。
それぞれのドア(D1、D2、D3、D4)はいずれも、閉じられているときにおいては少なくともその一部が範囲RG0に含まれた状態となる。換言すれば、このような範囲となるように、表面温度を検知し得る範囲RG0が設定されている。
尚、IRセンサ131は、インストルメントパネル26の上面よりも高い場所、例えば天井にあるオーバーヘッドコンソール(不図示)に設置されてもよい。IRセンサ131の設置場所は、各乗員の表面からの輻射が直接到達し得るような場所であり、且つ各ドアの位置からの輻射も直接到達し得るような場所、とすることが好ましい。
起動スイッチ141がオンとなっているときには、制御部110は、IRセンサ131が左右に搖動し、被検知領域の位置が範囲RG0の中を周期的に左右に移動するように、センサ駆動装置132の動作を制御する。これにより、それぞれの乗員の表面温度が順に検知されていく。制御部110は、内気温センサ143で検知された車室RM内の気温、及び外気温センサ144で検知された外気温に加えて、IRセンサ131で検知された各乗員の表面温度をも考慮しながら、車室RM内の空調を制御する。乗員の表面温度をも考慮しながら空調制御を行うことにより、それぞれの乗員が感じる温熱感を適切なものとすることができる。
ところで、車両10が停止し、起動スイッチ141がオフとなっているときには、IRセンサ131の搖動は停止した状態となっている。このとき、IRセンサ131が例えば助手席22側を向いた状態で停止していたとすると、次回において運転者M1が車両10に乗り込む際、運転者M1の表面温度は直ちには計測されないこととなる。つまり、運転者M1が車両10に乗り込んでからしばらくの期間が経過した後でなければ、運転者M1の表面の一部が被検知領域とならない。その結果、運転者M1の表面温度に基づく適切な空調が直ちには行われないこととなるので、運転者M1に一時的に不快な思いをさせてしまうことが懸念される。
そこで、本実施形態に係る車両用空調装置100では、起動スイッチ141が再びオンとされるよりも前の時点で、IRセンサ131の向き(つまり、被検知領域の位置)を予め適切な方向に変化させておくこととしている。
このようなIRセンサ131の動作について、図3を参照しながら説明する。図3(A)に示されるのは、IRセンサ131が向いている方向の時間変化である。図3(A)では、運転者M1の方向である方向P1と、同乗者M2の方向である方向P2との間で、IRセンサ131の向きが変化する様子が示されている。IRセンサ131が方向P1を向いているときには、図2の範囲RG1は、範囲RG0のうち最も右側にある状態となっている。また、IRセンサ131が方向P2を向いているときには、図2の範囲RG1は、範囲RG0のうち最も左側にある状態となっている。
図3(B)に示されるのは、起動スイッチ141の状態の時間変化である。図3(B)では、時刻t10において起動スイッチ141がオンからオフの状態に切り換えられたことが示されている。また、その後の時刻t20において、起動スイッチ141がオフからオンの状態に切り換えられたことが示されている。
時刻t10よりも前の期間においては、上記のように起動スイッチ141がオンの状態となっており、車両用空調装置100による車室RM内の空調が行われている。このとき、IRセンサ131はセンサ駆動装置132によって駆動され、既に述べたような搖動動作を行っている。このため、IRセンサ131が方向P1を向いている状態と、方向P2を向いている状態とが周期的に繰り返されている。つまり、範囲RG0内の各部における表面温度が、IRセンサ131によってスキャンされ続けている。
起動スイッチ141がオフとされた時刻t10においては、IRセンサ131は、運転席21と助手席22との間を向いた状態となっている。制御部110は、この時点でセンサ駆動装置132を停止させるのではなく、引き続きセンサ駆動装置132を動作させる。具体的には、起動スイッチ141がオフとされた時点(時刻t10)からIRセンサ131の向きを右側に変化させて行き(つまり、被検知領域の位置を右側へと移動させて行き)、IRセンサ131が方向P1を向いている状態とする。その後、制御部110はセンサ駆動装置132を停止させる。このときの時刻が、図3では時刻t11として示されている。
時刻t10から時刻t11でIRセンサ131の向きを変化させるときのスピードは、通常作動時(時刻t10までや時刻t20以降)と異なっていてもよい。通常作動時はIRセンサ131の向きを変えながらセンシング処理も行うので、信号処理時間を考慮すると速く動かすことはできないが、t10からt11の間はセンシングを行う必要はない。このため、IRセンサ131を通常作動時以上に速く動かしてもよい。
時刻t11以降においては、被検知領域が、その可動範囲のうち最も右側に位置している。このときの状態が図4に示されている。同図に示されるように、範囲RG1は範囲RG0の中で最も右側となっており、ドアD1の一部が範囲RG1に含まれている。つまり、被検知領域が、車両10に設けられた運転席側のドアD1、の少なくとも一部と重なるような位置となっている。このような被検知領域の位置が、本実施形態における「初期位置」に該当する。
時刻t10の後、停止した車両10から全ての乗員が出て行くので、車室RM内には乗員が存在しない状態となっている。
その後、再び車両10が使用される際には、運転者M1がドアD1を開けて車両10に乗り込む。このとき、上記のように被検知領域の位置は(閉じられた)ドアD1の一部と重なるような位置となっている。このため、ドアD1が開けられた直後において、運転者M1の少なくとも一部の表面温度をIRセンサ131によって検知することができる。
運転者M1が車両10に乗り込んだ後、起動スイッチ141が再びオンとされると(時刻t20)、制御部110はセンサ駆動装置132を動作させ始める。これにより、IRセンサ131の搖動動作が再開され、各乗員の表面温度が順に検知されて行く。
図5を参照しながら、制御部110によって実行される処理の流れについて説明する。当該処理は、IRセンサ131及びセンサ駆動装置132を上記のように動作させるために行われる処理である。図5に示される一連の処理は、所定の周期が経過する毎に繰り返し実行される。
最初のステップS01では、IRセンサ131の搖動動作が行われる。既に述べたように、かかる搖動動作は、起動スイッチ141がオンとなっているときに、制御部110がセンサ駆動装置132を動作させることによって実行される。
ステップS01に続くステップS02では、起動スイッチ141がオフとなったか否かが判定される。起動スイッチ141がオンのままであれば、ステップS01の処理が繰り返し実行される。起動スイッチ141がオフとなっていれば、ステップS03に移行する。
ステップS03では、センサ駆動装置132を動作させてIRセンサ131を運転席21側に向ける処理が行われる。具体的には、被検知領域の位置が所定の初期位置となるように回転電機133(アクチュエータ)の動作を制御する処理が、制御部110によって行われる。
当該処理により、被検知領域は初期位置に向かって右側へと移動して行き、最終的には図4に示された状態(初期位置)となる。ステップS03の処理は、図3のうち時刻t10から時刻t11までの期間において実行される処理に該当する。
ステップS03に続くステップS04では、起動スイッチ141がオンとなったか否かが判定される。起動スイッチ141がオフのままであれば、ステップS04の処理が繰り返し実行される。ステップS04の処理が繰り返し実行されている期間は、図3の例における時刻t11から時刻t20までの期間に該当する。ステップS04において起動スイッチ141がオンとなっていれば、ステップS05に移行する。
ステップS05では、IRセンサ131の搖動動作が行われる。かかる搖動動作は、ステップS01において行われる動作と同じである。ステップS05に移行してから行われる処理は、図3の時刻t20以降において行われる処理に該当する。
図3の時刻t11よりも後に、運転者M1が車両10に乗り込む際に実行される処理について、図6を参照しながら説明する。図6に示される一連の処理は、所定の周期が経過する毎に繰り返し実行される。また、図5に示される一連の処理と並行して実行される。
最初のステップS11では、運転席21側のドアD1が開いたかどうかが判定される。かかる判定は、ドアセンサ142から入力される情報に基づいて行われる。ドアD1が開いていなければ、ステップS11の処理が繰り返し実行される。ドアD1が開いていれば、ステップS12に移行する。
ステップS12では、運転者M1の表面温度がIRセンサ131によって検知される。このとき、既にIRセンサ131は運転席21側を向いているので、ドアD1が開けられると同時に運転者M1の表面温度が検知される。また、その時点において運転者M1は車室RM内には入っておらず、車両10の外側に立っている。IRセンサ131は、ドアD1が開かれたことにより形成された開口を通じて運転者M1の表面温度を検知する。
このとき検知される運転者M1の表面温度は、運転者M1の下半身を含む略全体の表面温度となっている。制御部110は、取得された運転者M1の各部における表面温度を、それぞれの部分の温度の初期値として記憶する。尚、ここでいう運転者M1の「下半身」とは、運転者M1が運転席21に着座した状態では、IRセンサ131の位置からは見えなくなってしまうような部分のことである。本実施形態のように、IRセンサ131がインストルメントパネル26の上に設置されている場合には、運転者M1のうち概ね腰から下の部分が「下半身」に該当する。
ステップS12に続くステップS13では、ステップS12で取得された運転者M1の表面温度に基づいて、空調機構部120を制御するための各種パラメータが設定される。その後、車両用空調装置100による空調が開始される。
尚、運転者M1が運転席21に着座した後においては、運転者M1のうち上半身の表面温度のみが検知され、下半身の表面温度は検知されない。しかしながら、本実施形態では、ステップS12において下半身の表面温度が初期値として取得されている。このため、制御部110は、運転者M1が運転席21に着座した以降における下半身の表面温度(初期値からの変化)を推定することができる。これにより、運転者M1の全体の表面温度を考慮しながら、より適切な空調を行うことが可能となっている。
以上のように、本実施形態に係る車両用空調装置100では、起動スイッチ141がオンとされるよりも前の時点で、予め被検知領域の位置が所定の初期位置となるよう、検知位置変更部の動作が制御される。本実施形態における「初期位置」とは、被検知領域がドアD1の少なくとも一部と重なるような位置(図4)のことである。運転者M1の表面温度を、運転者M1がドアを開けて車両10に乗り込む時点から測定し始めることができるので、運転開始の当初から車室RM内の空調を適切に行うことができる。
多くの場合、車両10に最初に乗り込むのは運転者M1であると考えられる。しかしながら、運転者M1よりも先に他の同乗者が先に乗り込む可能性もある。そこで、車両用空調装置100では、ドアD1以外のドア(D2、D3、D4)が先に開けられると、IRセンサ131を当該ドアの方に向ける処理が行われる。
そのために行われる処理について、図7を参照しながら説明する。図7に示される一連の処理は、所定の周期が経過する毎に繰り返し実行される。また、図5に示される一連の処理と並行して実行される。
最初のステップS21では、ドアD2、D3、D4のいずれかが開いたかどうかが判定される。いずれのドアも開いていなければ、ステップS21の処理が繰り返し実行される。ドアD2、D3、D4のいずれかが開いていれば、ステップS22に移行する。
ステップS22では、IRセンサ131を、開いたドア(以下、他のドアと区別するために「開放ドア」とも表記する)の方に向ける処理が行われる。このとき、被検知領域の目標位置である「初期位置」は、開かれる前における開放ドアの少なくとも一部と被検知領域とが重なるような位置として設定される。その後、被検知領域が初期位置に向けて移動するように、センサ駆動装置132が駆動される。既に述べたように、開放されたドアの方向にIRセンサ131を動かしているときにはセンシングは不要なので、通常のセンシング時の作動スピードの制約を受ける必要はない。このため、できる限り速く動かすこととしてもよい。
図8には、ドアD1よりも先にドアD2が開かれたために、IRセンサ131がドアD2に向けられた後の状態が示されている。つまり、図2の例ではドアD2が上記の「開放ドア」となっている。
図8に示されるように、IRセンサ131の向きが変更された後における被検知領域は、開かれる前におけるドアD2の一部と重なるような位置となっている。図8では、「開かれる前におけるドアD2」が点線D02で示されている。
図7に戻って説明を続ける。ステップS22に続くステップS23では、開放ドアから乗り込む乗員の表面温度がIRセンサ131によって検知される。この時点で、当該乗員は開放ドアの外側に立っているか、もしくは座席に着座したばかりの状態となっている。
ステップS23に続くステップS24では、取得された乗員の表面温度に基づいて、空調機構部120を制御するための各種パラメータが設定される。その後、車両用空調装置100による空調が開始される。
ステップS23において、開放ドアから乗り込む乗員の下半身の表面温度が取得された場合には、図6を参照しながら説明したものと同様の処理が行われてもよい。つまり、開放ドアから乗り込んだ乗員が着座した以降における下半身の表面温度(初期値からの変化)を、制御部110が推定することとしてもよい。
第2実施形態について、図9を参照しながら説明する。本実施形態では、起動スイッチ141がオンとされる前に、被検知領域を初期位置に移動させ始めるタイミングにおいて、第1実施形態と異なっている。その他の制御や構成については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と共通する部分については適宜説明を省略する。
図3を参照しながら説明したように、第1実施形態では、起動スイッチ141がオフとされた時点(時刻t10)から、被検知領域を初期位置(運転席21側)に向けて移動させる処理が開始されていた。
これに対し、第2実施形態では、運転席21側のドアD1のロックが解除された時点から、被検知領域を初期位置(運転席21側)に向けて移動させる処理が開始される。
具体的な動作について説明する。図9(A)に示されるのは、IRセンサ131が向いている方向の時間変化である。図9(A)では、運転者M1の方向である方向P1と、同乗者M2の方向である方向P2との間で、IRセンサ131の向きが変化する様子が示されている。図9(A)の具体的な表記方法は、図3(A)の表記方法と同じである。
図9(B)に示されるのは、起動スイッチ141の状態の時間変化である。図9(B)では、時刻t10において起動スイッチ141がオンからオフの状態に切り換えられたことが示されている。また、その後の時刻t20において、起動スイッチ141がオフからオンの状態に切り換えられたことが示されている。
図9(C)に示されるのは、ドアD1のロック状態の時間変化である。図9(C)では、時刻t10よりも後の時刻t11において、運転者M1が車両10から降りてドアD1をロックしたことが示されている。また、時刻t11よりも後であり、且つ時刻t20よりも前の時刻t15において、運転者M1が車両10に乗り込むためにドアD1のロックを解除したことが示されている。
時刻t10よりも前の期間においては、上記のように起動スイッチ141がオンの状態となっており、車両用空調装置100による車室RM内の空調が行われている。このとき、IRセンサ131はセンサ駆動装置132によって駆動され、既に述べたような搖動動作を行っている。このため、IRセンサ131が方向P1を向いている状態と、方向P2を向いている状態とが周期的に繰り返されている。つまり、範囲RG0内の各部における表面温度が、IRセンサ131によってスキャンされ続けている。
起動スイッチ141がオフとされた時刻t10においては、IRセンサ131は、運転席21と助手席22との間を向いた状態となっている。制御部110は、この時点でセンサ駆動装置132を停止させる。このため、時刻t10から時刻t15までの期間においては、IRセンサ131の向きは変化しない。
時刻t10においてイグニッションスイッチがオフとされ、時刻t15においてドアD1がロックされた後は、車室RM内には乗員が存在しない状態となっている。
その後、再び車両10が使用される際には、運転者M1がドアD1を開けて車両10に乗り込む。それに先立ち、運転者M1によってドアD1のロックが解除される(時刻t15)。
ドアセンサ142によって、ドアD1のロック解除が検知されると、制御部110はセンサ駆動装置132を動作させる。具体的には、ドアD1のロックが解除された時点(時刻t15)からIRセンサ131の向きを右側に変化させて行き(つまり、被検知領域の位置を右側へと移動させて行き)、IRセンサ131が方向P1を向いている状態とする。その後、制御部110はセンサ駆動装置132を停止させる。このときの時刻が、図9では時刻t16として示されている。
時刻t16以降においては、被検知領域が、その可動範囲のうち最も右側に位置している。つまり、IRセンサ131の向きが図4に示されるような向きとなっている。運転者M1は、時刻t16に近いタイミングでドアD1を開けて、車両10に乗り込む。
このとき、被検知領域の位置は(閉じられた)ドアD1の一部と重なるような位置、すなわち初期位置となっている。このため、ドアD1が開けられた直後において、運転者M1の少なくとも一部の表面温度をIRセンサ131によって計測することができる。計測された表面温度がどのように利用されるかについては、第1実施形態の場合と同じである。
運転者M1が車両10に乗り込んだ後、起動スイッチ141が再びオンとされると(時刻t20)、制御部110はセンサ駆動装置132を動作させ始める。これにより、IRセンサ131の搖動動作が再開され、各乗員の表面温度が順に検知されて行く。
図10を参照しながら、制御部110によって実行される処理の流れについて説明する。当該処理は、IRセンサ131及びセンサ駆動装置132を以上のように動作させるために行われる処理のうち、図9の時刻t10以降において実行される処理である。図5に示される一連の処理は、時刻t10以降、所定の周期が経過する毎に繰り返し実行される。
最初のステップS31では、ドアD1のロックが解除されたか否かが判定される。ドアD1がロックされた状態のままであれば、ステップS31の処理が繰り返し実行される。ドアD1のロックが解除されていれば、ステップS32に移行する。
ステップS32では、センサ駆動装置132を動作させてIRセンサ131を運転席21側に向ける処理が行われる。当該処理により、被検知領域は右側へと移動して行き、最終的には図4に示された状態(初期位置)となる。ステップS32の処理は、図9のうち時刻t15から時刻t16までの期間において実行される処理に該当する。
ステップS32に続くステップS33では、起動スイッチ141がオンとなったか否かが判定される。起動スイッチ141がオフのままであれば、ステップS33の処理が繰り返し実行される。ステップS33の処理が繰り返し実行されている期間は、図9の例における時刻t16から時刻t20までの期間に該当する。ステップS33において起動スイッチ141がオンとなっていれば、ステップS34に移行する。
ステップS34では、IRセンサ131の搖動動作が行われる。かかる搖動動作は、図5のステップS01や、図5のステップS05において行われる動作と同じである。ステップS34に移行してから行われる処理は、図9の時刻t20以降において行われる処理に該当する。
第3実施形態について、図11を参照しながら説明する。本実施形態では、起動スイッチ141がオンとなっている状態において空席側のドア(D2等)が開かれると、IRセンサ131を当該ドアの方に向けるような処理が行われる。その他の制御や構成については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と共通する部分については適宜説明を省略する。
図11には、起動スイッチ141がオンとなっているときに、空席となっていた助手席22側のドアD2が開かれた状態が示されている。つまり、車両10が一時停止しているときに、新たな乗員として同乗者M2が乗り込む直前の状態が示されている。
ドアD2が開かれる前までは、これまでに説明したようにIRセンサ131の搖動動作が行われている。本実施形態では、ドアD2が開かれると、IRセンサ131の搖動動作はその時点で停止される。その後、制御部110は、被検知領域が、開かれる前におけるドアD2の少なくとも一部と重なる位置、まで移動して停止するように、センサ駆動装置132の動作を制御する。図11には、上記のような被検知領域の移動が完了した時点における状態が示されている。図11では、「開かれる前におけるドアD2」が点線D02で示されている。既に述べたように、開放されたドアの方向にIRセンサ131を動かしているときにはセンシングは不要なので、通常のセンシング時の作動スピードの制約を受ける必要はない。このため、できる限り速く動かすこととしてもよい。
制御部110によって実行される処理について、図12を参照しながら説明する。図12に示される一連の処理は、起動スイッチ141がオンとなっている間、所定の周期が経過する毎に繰り返し実行されている。
最初のステップS41では、IRセンサ131の搖動動作が行われる。かかる搖動動作は、図5のステップS01等において行われる動作と同じである。
ステップS41に続くステップS42では、空席となっている座席側のドアが開いたかどうかが判定される。尚、それぞれの座席が空席となっているか否かは、例えば、IRセンサ131によって撮影された熱画像に基づいて判定することができる。空席となっている座席側のドアがいずれも開いていない場合には、ステップS41の処理が繰り返し実行される。空席となっている座席側のドアが開いた場合には、ステップS43に移行する。
ステップS43では、開いたドア(開放ドア)の方にIRセンサ131を向ける処理が行われる。ステップS43の処理が行われると、被検知領域は、開かれる前における開放ドア(図11における点線D02)の一部と重なるような位置となる。
ステップS43に続くステップS44では、開放ドアが開かれることによって形成された開口、を含む熱画像が生成される。このとき、開放ドアから乗員が乗り込もうとしていた場合、もしくは既に乗り込んだ場合には、熱画像には当該乗員が含まれることとなる。
ステップS44に続くステップS45では、熱画像の温度分布に基づいて、当該熱画像の中に乗員が存在するかどうかが判定される。つまり、開放ドアから人が乗車したか(もしくは乗車しようとしているか)否かが判定される。熱画像の中に乗員が存在していなければ、図12に示される一連の処理を終了する。熱画像の中に乗員が存在していれば、ステップS46に移行する。
ステップS46では、ステップS44で生成された熱画像、すなわち開放ドアから乗り込んだ乗員の表面温度に基づいて、空調機構部120を制御するための各種パラメータが設定される。その後、車両用空調装置100による空調が開始される。ステップS46において、開放ドアから乗り込む乗員の下半身の表面温度が取得された場合には、図6を参照しながら説明したものと同様の処理が行われてもよい。つまり、開放ドアから乗り込んだ乗員が着座した以降における下半身の表面温度(初期値からの変化)を、制御部110が推定することとしてもよい。
以上のように、本実施形態では、新たに乗り込んだばかりの乗員の表面温度が直ちに測定され、当該表面温度に基づいて適切な空調が行われる。このため、当該乗員が感じる温熱感を、当初から適切なものとすることができる。
尚、ステップS45で行われるような乗員の有無の判定が、他の場面で行われることとしてもよい。例えば、起動スイッチ141がオフとなっているときに、ドア(D1、D2、D3、D4)が開かれると、当該ドアから乗り込もうとしている乗員の有無を常に判定することとしてもよい。
開放ドアの方を向いたIRセンサ131により取得された熱画像においては、乗員と、周囲の環境との温度差が大きい場合が多い。このため、車室RM内の熱画像に基づいて乗員の有無が判定される場合に比べると、判定の精度を向上させることができる。乗員の有無についての判定結果は、空調制御のために用いられてもよいのであるが、空調制御以外の制御に用いられてもよい。
第4実施形態について図13を参照しながら説明する。本実施形態では、IRセンサ131を搖動させるために設けられたセンサ駆動装置の構成において、第1実施形態と異なっている。以下では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と共通する部分については適宜説明を省略する。
図13に示されるように、本実施形態におけるIRセンサ131及びセンサ駆動装置(回転電機133等)は、いずれもケース150の内部に収容された状態となっている。
ケース150は、その外形が概ね直方体となるように形成された中空の容器である。ケース150は、インストルメントパネル26の上面に設置される。図13においては、左方向が車両10の前方向であり、右方向が車両10の後方向となっている。図13では、ケース150のうち、天板151と、底板152と、前板153と、後板154と、のそれぞれの断面が示されている。
天板151は、ケース150のうち最も上方側の部分である。天板151は概ね水平面に沿って配置されている。底板152は、ケース150のうち最も下方側の部分である。底板152は、インストルメントパネル26の上面に直接取り付けられる部分であって、天板151と対向するように配置されている。
前板153は、ケース150のうち最も前方側の部分である。前板153は、ケース150の側面をなす板の一つであり、不図示のフロントガラスと対向するように配置されている。
後板154は、ケース150のうち最も後方側の部分である。前板153は、ケース150の側面をなす板の一つであり、上記の前板153と対向するように配置されている。その結果、後板154は、その後方側にある運転席21や助手席22の方に向けられている。
後板154には矩形の開口が形成されており、当該開口に透明板155が嵌め込まれている。透明板155は、赤外線に対して透明な材料(例えばガラス)によって形成されている。透明板155により、ケース150の内部への異物の侵入が抑制される一方で、赤外線の侵入は許容される。IRセンサ131による表面温度の検知、すなわち赤外線の受光は、透明板155を通じて行われる。
IRセンサ131は、その受光面131aを透明板155に向けた状態で、ケース150の高さ方向における中央となる位置に保持されている。
底板152の上には回転電機133が設置されている。回転電機133は出力軸134を有している。出力軸134は、その中心軸が底板152の法線方向(つまり上下方向)に沿うように配置された円柱状の部材である。回転電機133が動作しているときには、出力軸134がその中心軸周りに回転する。IRセンサ131は、この出力軸134の上端に固定されており、出力軸134と共に回転しその向きを変化させる。
IRセンサ131の上端には、円柱状の部材である支持軸135の下端が固定されている。支持軸135の中心軸は、出力軸134の中心軸と一致している。このため、回転電機133が動作しIRセンサ131の向きが変化するときには、支持軸135もその中心軸周りに回転する。
支持軸135の上端には、ぜんまいバネ136が設けられている。ぜんまいバネ136は、その一部が支持軸135に対して固定されており、他部が前板153に対して固定されている。回転電機133によって支持軸135が回転すると、これによってぜんまいバネ136の弾性変形が生じ、支持軸135を逆方向に向けて回転させるような弾性力(復元力ともいえる)が生じる。例えば、図13の矢印AR01の方向に出力軸134が回転すると、ぜんまいバネ136では、支持軸135を矢印AR02の方向(矢印AR01とは逆方向)に回転させるような弾性力が生じる。このため、その後において回転電機133への電力供給が停止されると、支持軸135はぜんまいバネ136の弾性力によって矢印AR02の方向に回転する。その結果、IRセンサ131の向きは、ぜんまいバネ136の弾性力が0となるような中立位置に戻される。回転電機133、出力軸134、支持軸135、及びぜんまいバネ136は、本実施形態におけるセンサ駆動装置、すなわち「検知位置変更部」に該当する。
本実施形態では、被検知領域が図4の範囲RG1となるときにおいて、ぜんまいバネ136の弾性力が0となるように構成されている。つまり、回転電機133への電力供給が停止されたときには、ぜんまいバネ136の弾性力のみによって、被検知領域の位置が初期位置に戻るように構成されている。既に述べたように、この初期位置は、IRセンサ131による被検知領域が、車両10に設けられた運転席側のドアD1、の少なくとも一部と重なるような位置である。
このようなぜんまいバネ136は、回転電機133(アクチュエータ)への電力供給が停止された際において、被検知領域の位置を弾性力によって初期位置に戻すもの、すなわち、本実施形態における「復元機構」に該当する。
本実施形態でも、図5に示されるものと同様の処理が行われる。図5のステップS03では、第1実施形態と同様に、制御部110による回転電機133の制御が行われ、これにより被検知領域が初期位置に戻されることとしてもよい。このような態様に換えて、ステップS03では、回転電機133への電力供給が停止されることとしてもよい。例えば、ステップS02において起動スイッチ141がオフとされた際に、制御部110や回転電機133への電力供給が停止されることとしてもよい。
この場合であっても、被検知領域は、ぜんまいバネ136の弾性力のみによって初期位置に戻される。これにより、第1実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。また、この場合においては、回転電機133への通電が行わないので、回転電機133の寿命が向上するという利点も得られる。
尚、運転席21に着座した運転者M1の体が含まれるような被検知領域の位置が、被検知領域についての初期位置として設定されていてもよい。つまり、IRセンサ131によって運転中の運転者M1の表面温度を測定し得るような状態のときに、ぜんまいバネ136の弾性力が0となるように構成されていてもよい。
このような構成においては、回転電機133において何らかの異常が生じ、IRセンサ131の向きを制御することができなくなった場合であっても、運転者M1の表面温度については測定し続けることが可能となる。
第5実施形態について図14を参照しながら説明する。本実施形態では、IRセンサ131を搖動させるために設けられたセンサ駆動装置の構成において、第4実施形態と異なっている。以下では、第4実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第4実施形態と共通する部分については適宜説明を省略する。
図14に示されるように、本実施形態におけるIRセンサ131及びセンサ駆動装置(ポリマ繊維アクチュエータ160等)は、いずれもケース150の内部に収容された状態となっている。尚、図14では、センサ駆動装置のうちポリマ繊維アクチュエータ160のみが図示されており、他の部分については図示が省略されている。
ポリマ繊維アクチュエータ160は、例えばポリアミドのような高分子材料からなる繊維を螺旋状に捩じることにより、その全体形状が概ね棒状(直線状)となるように形成されたアクチュエータである。当該繊維の外側には金属によるコーティングが施されている。ポリマ繊維アクチュエータ160は、外部から供給される熱エネルギーに応じて変形する。具体的には、不図示の加熱装置によって上記コーティングに電流が流されると、ジュール熱によってポリマ繊維アクチュエータ160の温度が上昇し、繊維の収縮が生じる。その結果、ポリマ繊維アクチュエータ160では、その先端部分が捩じれ方向に回転するような力が生じる。加熱装置によるポリマ繊維アクチュエータ160への熱エネルギーの供給(すなわち電流の供給)は、制御部110によって制御される。ポリマ繊維アクチュエータ160及び不図示の加熱装置は、本実施形態におけるセンサ駆動装置、すなわち「検知位置変更部」に該当する。
本実施形態におけるポリマ繊維アクチュエータ160は、IRセンサ131と天板151との間を繋ぐ第1駆動部161と、IRセンサ131と底板152との間を繋ぐ第2駆動部162とによって構成されている。第1駆動部161及び第2駆動部162は、それぞれの中心軸を一致させた状態で配置されている。第1駆動部161は、その上端が固定部材163によって天板151に固定されており、その下端がIRセンサ131の上面に固定されている。また、第2駆動部162は、その下端が固定部材164によって底板152に固定されており、その上端がIRセンサ131の下面に固定されている。
第1駆動部161における分子の配向方向(つまり捩じれ方向)と、第2駆動部162における分子の配向方向とは、互いに逆の方向となっている。このため、第1駆動部161に熱エネルギーが供給されたときに、第1駆動部161からIRセンサ131に回転力が加えられる方向(矢印AR11)と、第2駆動部162に熱エネルギーが供給されたときに、第2駆動部162からIRセンサ131に回転力が加えられる方向(矢印AR12)とは、互いに逆の方向となっている。制御部110は、第1駆動部161及び第2駆動部162のそれぞれに加えられる熱エネルギーの大きさを調整することにより、IRセンサ131の動作を制御する。
このように、本実施形態におけるポリマ繊維アクチュエータ160は、外部から熱エネルギーが供給されたときに、被検知領域を第1方向(矢印AR11)に移動させる第1駆動部161と、外部から熱エネルギーが供給されたときに、被検知領域を、第1方向とは逆の方向である第2方向(矢印AR12)に移動させる第2駆動部162と、を有している。
第1駆動部161及び第2駆動部162のいずれにも熱エネルギーが供給されていないときには、IRセンサ131の向きは、第1駆動部161の回転力と第2駆動部162の回転力が釣り合うような向きとなる。本実施形態では、第1駆動部161及び第2駆動部162に熱エネルギーが供給されない状態において、上記のように2つの回転力が釣り合って、IRセンサ131による被検知領域が図4の範囲RG1となるように構成されている。つまり、被検知領域が初期位置に戻るように構成されている。
本実施形態でも、図5に示されるものと同様の処理が行われる。図5のステップS03では、制御部110によるポリマ繊維アクチュエータ160の制御(つまり加熱エネルギーの調整)が行われ、これにより被検知領域が初期位置に戻されることとしてもよい。このような態様に換えて、ステップS03では、ポリマ繊維アクチュエータ160への電力供給が停止されることとしてもよい。例えば、ステップS02において起動スイッチ141がオフとされた際に、制御部110や第1駆動部161、第2駆動部162への電力供給が停止されることとしてもよい。
この場合であっても、被検知領域は、ポリマ繊維アクチュエータ160の弾性力のみによって初期位置に戻される。これにより、第1実施形態で説明したものと同様の効果が得られる。また、この場合においては、ポリマ繊維アクチュエータ160への通電が行わないので、ポリマ繊維アクチュエータ160の寿命が向上するという利点も得られる。
尚、運転席21に着座した運転者M1の体が含まれるような被検知領域の位置が、被検知領域についての初期位置として設定されていてもよい。つまり、第1駆動部161及び第2駆動部162への電力供給が停止し、両者の回転力が釣り合っているときに、IRセンサ131によって運転中の運転者M1の表面温度を測定し得る状態となるように構成されていてもよい。
このような構成においては、ポリマ繊維アクチュエータ160の加熱装置において何らかの異常が生じ、IRセンサ131の向きを制御することができなくなった場合であっても、運転者M1の表面温度については測定し続けることが可能となる。また、車室RM内の気温が上昇し、ポリマ繊維アクチュエータ160を適切に動作させることができなくなった場合には、ポリマ繊維アクチュエータ160への加熱が一時的に停止される。この場合であっても、上記構成であれば、運転者M1の表面温度については測定し続けることが可能となる。
図14に示される構成においては、被検知領域を第1方向(矢印AR11)に移動させる際には第1駆動部161のみに熱エネルギーが供給され、被検知領域を第2方向(矢印AR12)に移動させる際には第2駆動部162のみに熱エネルギーが供給されることとしてもよい。このように、第1駆動部161及び第2駆動部162のうち一方にのみ熱エネルギーが供給される際には、他方においては捩じられることによる弾性変形が生じ、IRセンサ131を逆方向に向けて回転させるような弾性力(復元力ともいえる)が生じる。つまり、第1駆動部161及び第2駆動部162のうち熱エネルギーが加えられていない方は、第4実施形態(図13)におけるぜんまいバネ136と同様の「復元機構」として機能することとなる。
本実施形態では、第1駆動部161の長さL1と、第2駆動部162の長さL2とが、互いに等しくなっている。このため、例えば、IRセンサ131やポリマ繊維アクチュエータ160を、ケース150ごと上下逆さまにすれば、車室RM内におけるIRセンサ131の高さを変化させることなく、被検知領域の初期位置を左右反転させることができる。これにより、右ハンドル車用に構成されたIRセンサ131やポリマ繊維アクチュエータ160等を、そのまま左ハンドル車用にも転用することができる。その結果、部品が共通化されるので、乗員検知システム101のコストを低減することが可能となっている。
尚、ポリマ繊維アクチュエータ160によって駆動される際におけるIRセンサ131の回転速度は、回転電機によって駆動される際におけるIRセンサ131の回転速度に比べると小さい。このため、起動スイッチ141がオンとされる前においてIRセンサ131の向きを適切な初期位置に移動させておくことの効果は、本実施形態のようにポリマ繊維アクチュエータ160が用いられる場合においては特に大きい。
第6実施形態について図15を参照しながら説明する。本実施形態では、ケース150の内部構成において、第5実施形態と異なっている。以下では、第5実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第5実施形態と共通する部分については適宜説明を省略する。
図15では、ケース150の内部に収納されたIRセンサ131及び第1駆動部161等が上面視で描かれている。尚、ケース150については図示が省略されている。同図に示されるように、IRセンサ131の背面側、すなわち受光面131aとは反対側の面には、ストッパ131bが設けられている。ストッパ131bは棒状の部材であって、その長手方向をIRセンサ131の背面に対し垂直とした状態で固定されている。
ケース150の内部には、ストッパST1、ST2が設けられている。これらはいずれも上下方向に伸びる棒状の部材であって、その上端が天板151に固定されており、その下端が底板152に固定されている。
図15に示される点線の矢印AR30は、受光面131aの中心を通り、且つ受光面131aに対して垂直な方向を示している。つまり、矢印AR30は、被検知領域の中心に向かって伸びる矢印となっている。矢印AR30によって示される方向のことを、以下では「検知方向」とも称する。ポリマ繊維アクチュエータ160によってIRセンサ131の搖動が行われると、矢印AR30で示される検知方向が左右に変化する。
図15に示される点線の矢印AR31は、被検知領域が最も右側に移動した際における検知方向を示している。検知方向が矢印AR31の向きとなっているときには、被検知領域が、車両10に設けられた運転席側のドアD1、の少なくとも一部と重なる状態になっている。また、図15に示される点線の矢印AR32は、被検知領域が最も左側に移動した際における検知方向を示している。検知方向が矢印AR32の向きとなっているときには、被検知領域が、車両10に設けられた助手席側のドアD2、の少なくとも一部と重なる状態になっている。
図15に示される状態では、検知方向は、運転席21に着座した運転者M1の体に向かう方向となっている。本実施形態では、この状態における被検知領域の位置が、初期位置となるように設定されている。当該初期位置は、第1駆動部161及び第2駆動部162に熱エネルギーが供給されない状態(つまり、第1駆動部161の回転力と第2駆動部162の回転力が釣り合っている状態)における被検知領域の位置となっている。
図15に示される状態から、検知方向を右側に変化させる際には、ポリマ繊維アクチュエータ160のうち第1駆動部161のみに熱エネルギーが加えられる。これにより、上面視において反時計回り方向の駆動力が第1駆動部161で生じ、同方向にIRセンサ131の向きが変化する。その際、ストッパ131bは矢印AR21の方向に移動し、最終的にはストッパST1に当接した状態となる。このように、ストッパST1によって、被検知領域が変化し得る範囲のうち最も右側の端部の位置が決定されている。
図15に示される状態から、検知方向を左側に変化させる際には、ポリマ繊維アクチュエータ160のうち第2駆動部162のみに熱エネルギーが加えられる。これにより、上面視において時計回り方向の駆動力が第2駆動部162で生じ、同方向にIRセンサ131の向きが変化する。その際、ストッパ131bは矢印AR22の方向に移動し、最終的にはストッパST2に当接した状態となる。このように、ストッパST2によって、被検知領域が変化し得る範囲のうち最も右側の端部の位置が決定されている。
このようなストッパST1、ST2、及びストッパ131bは、被検知領域が所定の範囲内(具体的には、検知方向が矢印AR31から矢印AR32に収まるような範囲内である)に収まるように、IRセンサ131(状態検知部)の動作範囲を規制するものとして機能する。
本実施形態では、図15の中立位置から右側に移動させる場合における検知方向の移動範囲RG11と、図15の中立位置から左側に移動させる場合における検知方向の移動範囲RG12とが、互いに非対称となっている。
ところで、検知方向を右側に変化させる際に第1駆動部161に加えられる熱エネルギーの大きさと、検知方向を左側に変化させる際に第2駆動部162に加えられる熱エネルギーの大きさとを、互いに等しくすることができれば、センサ駆動装置の構成や制御を簡単なものとすることができる。しかしながら、仮にストッパST1等が設けられていない状態において上記のような制御を行えば、検知方向の移動範囲は左右対称になってしまう。
本実施形態では、IRセンサ131の動作範囲を規制するストッパST1等が設けられていることにより、検知方向を右側に変化させる際に第1駆動部161に加えられる熱エネルギーの大きさと、検知方向を左側に変化させる際に第2駆動部162に加えられる熱エネルギーの大きさとを、互いに等しくしながらも、検知方向の移動範囲を左右非対称とすることが可能となっている。その結果、検知方向を適切な範囲内で変化させることが可能となっている。
尚、ポリマ繊維アクチュエータ160は、その長さが長い程、熱エネルギーを加えられた際における動作量が大きくなる。また、その太さが細い程、やはり熱エネルギーを加えられた際における動作量が大きくなる。
そこで、比較的広い移動範囲RG12において検知方向を変化させる第2駆動部162の長さを、比較的狭い移動範囲RG11において検知方向を変化させる第1駆動部161の長さよりも長くしてもよい。このような態様に替えて、もしくはこのような態様に加えて、比較的広い移動範囲RG12において検知方向を変化させる第2駆動部162の太さを、比較的狭い移動範囲RG11において検知方向を変化させる第1駆動部161の太さよりも細くしてもよい。これにより、ポリマ繊維アクチュエータ160に熱エネルギーが加えられた際におけるIRセンサ131の動作を、より適切なものとすることができる。
以上の説明においては、状態検知部としてIRセンサ131が用いられる場合の例について説明したが、状態検知部としては他のセンサを用いることができる。例えば、乗員を含む画像を撮影するCCDカメラ等を、状態検知部として用いてもよい。また、その場合における乗員検知システム101は、状態検知部で撮影された乗員の顔認識に基づいて乗員を特定し、当該乗員に合わせたシートポジション等の自動設定を行うものとして構成されていてもよい。この場合においても、上記と同様の制御を制御部110が行うことにより、乗員がドアD1等を空けて乗り込む直前のタイミングで、当該乗員の顔認識及び乗員に合わせたシートポジション等の自動設定を行うようなことが可能となる。
このように、乗員検知システム101における状態検知部は、特定の方向における物体(乗員を含む)の状態を非接触で検知するものであればよい。ここでいう「物体の状態」には、物体の表面温度、形状、当該物体の有無などが含まれる。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
10:車両
100:車両用空調装置
101:乗員検知システム
110:制御部
131:IRセンサ
132:センサ駆動装置
133:回転電機
160:ポリマ繊維アクチュエータ
141:起動スイッチ
D1,D2,D3,D4:ドア
131b,ST1,ST2:ストッパ

Claims (21)

  1. 車両(10)に備えられ、乗員の状態を検知する乗員検知システム(101)であって、
    物体の状態を検知する状態検知部(131)と、
    前記状態検知部によって状態が検知される領域、である被検知領域の位置を変化させる検知位置変更部(132)と、
    前記検知位置変更部の動作を制御する制御部(110)と、を備え、
    前記車両に設けられた起動スイッチ(141)がオフとされた後、前記起動スイッチがオンとされるまでの間において、前記被検知領域の位置が所定の初期位置となるように構成されている乗員検知システム。
  2. 前記検知位置変更部は、
    電力の供給を受けて動作し前記被検知領域の位置を変化させるアクチュエータ(133,160)を有している、請求項1に記載の乗員検知システム。
  3. 前記制御部は、
    前記起動スイッチがオフとされた後、前記起動スイッチがオンとされるまでの間において、前記被検知領域の位置が所定の初期位置となるように前記アクチュエータの動作を制御する、請求項2に記載の乗員検知システム。
  4. 前記検知位置変更部は、
    前記アクチュエータへの電力供給が停止された際において、前記被検知領域の位置を、弾性力によって前記初期位置に戻す復元機構(136)を更に有している、請求項2に記載の乗員検知システム。
  5. 前記アクチュエータ(160)は、外部から供給される熱エネルギーに応じて変形するポリマ繊維アクチュエータである、請求項2に記載の乗員検知システム。
  6. 前記アクチュエータは、
    外部から熱エネルギーが供給されたときに、被検知領域を第1方向に移動させる第1駆動部(161)と、
    外部から熱エネルギーが供給されたときに、被検知領域を、前記第1方向とは逆の方向である第2方向に移動させる第2駆動部(162)と、を有している、請求項5に記載の乗員検知システム。
  7. 前記第1駆動部及び前記第2駆動部のうち一方が、
    前記アクチュエータへの熱エネルギーの供給が停止された際において、前記被検知領域の位置を、弾性力によって前記初期位置に戻す復元機構(161,162)として機能するように構成されている、請求項6に記載の乗員検知システム。
  8. 前記被検知領域が所定の範囲内に収まるように、前記状態検知部の動作範囲を規制するストッパ(131b,ST1,ST2)が設けられている、請求項7に記載の乗員検知システム。
  9. 前記第1駆動部と前記第2駆動部とは、それぞれの長さ及び太さのうち少なくとも一方において互いに異なっている、請求項7に記載の乗員検知システム。
  10. 前記第1駆動部と前記第2駆動部とは、それぞれの長さにおいて互いに等しい、請求項7に記載の乗員検知システム。
  11. 前記状態検知部は、物体の表面温度を、当該物体からの輻射に基づいて検知するものである、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の乗員検知システム。
  12. 前記初期位置は、
    前記被検知領域が、前記車両に設けられたドアのうち運転席側ドア(D1)、の少なくとも一部と重なるような位置である、請求項11に記載の乗員検知システム。
  13. 前記起動スイッチがオンとなっているときには、
    前記制御部は、
    前記被検知領域の位置が周期的に変化するように前記検知位置変更部の動作を制御することで、車室内に存在するそれぞれの乗員の表面温度を検知する、請求項12に記載の乗員検知システム。
  14. 前記起動スイッチがオンとされた後において、
    前記車両に設けられたドアのうち、乗員が着座していない座席側のドアである空席側ドアが開かれた際には、
    前記制御部は、
    前記被検知領域が、開かれる前における前記空席側ドアの少なくとも一部と重なる位置、まで移動して停止するように、前記検知位置変更部の動作を制御する、請求項13に記載の乗員検知システム。
  15. 前記制御部は、
    前記車両に設けられたドアを開けて乗車する乗員の有無を、前記被検知領域における表面温度の分布に基づいて判定する、請求項12に記載の乗員検知システム。
  16. 前記制御部は、
    前記起動スイッチがオフとされた時点から、前記被検知領域を前記初期位置に向けて移動させ始める、請求項12に記載の乗員検知システム。
  17. 前記制御部は、
    前記車両に設けられたドアのロックが解除された時点から、前記被検知領域を前記初期位置に向けて移動させ始める、請求項12に記載の乗員検知システム。
  18. 前記起動スイッチがオンとされる前に、前記車両に設けられたドアが開かれた場合には、
    前記制御部は、
    前記被検知領域が、開かれる前における前記ドアの少なくとも一部と重なるように前記初期位置を設定した後、前記被検知領域の位置が前記初期位置となるように前記検知位置変更部の動作を制御する、請求項12に記載の乗員検知システム。
  19. 請求項11に記載の乗員検知システムを備えた車両用空調装置(100)。
  20. 前記初期位置は、前記被検知領域が、前記車両に設けられたドアのうち運転席側ドア、の少なくとも一部と重なるような位置であって、
    前記制御部は、
    前記車両に設けられたドアのうち運転席側ドアが開かれた際に検知された運転者の表面温度に基づいて空調制御を行う、請求項19に記載の車両用空調装置。
  21. 前記運転席側ドアが開かれた際に検知される運転者の表面温度には、運転者の下半身の表面温度が含まれる、請求項20に記載の車両用空調装置。
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