JP2017118424A - 音響発生器、音響発生装置および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 再生周波数帯域の音圧、特に再生周波数帯域の低域側における音圧を向上させることのできる音響発生器、音響発生装置および電子機器を提供する。
【解決手段】 本発明の音響発生器10は、長手方向および短手方向を有する形状の振動板2と、振動板2上に長手方向に沿って配列された複数の圧電素子1と、振動板2の外周部を支持する枠部材3と、枠部材3の主面に設けられた端子4と複数の圧電素子1とを電気的に接続する配線部材5とを備えており、複数の圧電素子1は長手方向および短手方向を有する形状であって、当該複数の圧電素子1の長手方向が振動板2の長手方向を向くようにして配列されているとともに、配線部材5は複数の圧電素子1と端子4とにまたがるように配置されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の音響発生器10は、長手方向および短手方向を有する形状の振動板2と、振動板2上に長手方向に沿って配列された複数の圧電素子1と、振動板2の外周部を支持する枠部材3と、枠部材3の主面に設けられた端子4と複数の圧電素子1とを電気的に接続する配線部材5とを備えており、複数の圧電素子1は長手方向および短手方向を有する形状であって、当該複数の圧電素子1の長手方向が振動板2の長手方向を向くようにして配列されているとともに、配線部材5は複数の圧電素子1と端子4とにまたがるように配置されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、音響発生器、音響発生装置および電子機器に関するものである。
振動板と、振動板上に取り付けられた圧電素子と、振動板の外周部を支持する枠部材を備えた音響発生器が知られている(例えば特許文献1を参照)。この音響発生器は、圧電素子に電圧を印加して振動させることによって振動板を振動させ、かかる振動の共振を積極的に利用することで音響を出力するものである。このような音響発生器は、例えば、筐体に収容されて音響発生装置として使用されているとともに、モバイルコンピューティング機器等の小型の電子機器に組み込まれて使用されている。
このような音響発生器では再生周波数帯域における更なる高音圧化、特に再生周波数帯域の低域側における更なる高音圧化が要求されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、再生周波数帯域の音圧、特に再生周波数帯域の低域側における音圧を向上させることのできる音響発生器、音響発生装置および電子機器を提供することを目的とする。
本発明の音響発生器は、長手方向および短手方向を有する形状の振動板と、該振動板上に前記長手方向に沿って配列された複数の圧電素子と、前記振動板の外周部を支持する枠部材と、該枠部材の主面に設けられた端子と前記複数の圧電素子とを電気的に接続する配線部材とを備えており、前記複数の圧電素子は長手方向および短手方向を有する形状であって、当該複数の圧電素子の長手方向が前記振動板の前記長手方向を向くようにして配列されているとともに、前記配線部材は前記複数の圧電素子と前記端子とにまたがるように配置されていることを特徴とする。
また本発明の音響発生装置は、上記の音響発生器と、該音響発生器を収容する筐体とを備えていることを特徴とする。
また本発明の電子機器は、上記の音響発生器と、該音響発生器を構成する前記圧電素子に接続された電子回路と、前記音響発生器および前記電子回路を収容する筐体とを備えていることを特徴とする。
本発明の音響発生器によれば、再生周波数帯域における音圧を向上させることができ、特に再生周波数帯域の低域側における音圧を向上させることができる。
また、本発明の音響発生装置および電子機器によれば、音圧の向上した音響発生器を用いて構成されていることから、音響性能に優れた音響発生装置および電子機器を実現できる。
以下、添付図面を参照して、本実施形態の音響発生器の一例について詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1(a)は本実施形態の音響発生器の一例を示す概略平面図、図1(b)は図1(a)に示す圧電素子をA−A線で切断した概略断面図である。図1に示す音響発生器10は、長手方向および短手方向を有する形状の振動板2と、振動板2上に長手方向に沿って配列された複数の圧電素子1と、振動板2の外周部を支持する枠部材3と、枠部材3の主面に設けられた端子4と複数の圧電素子1とを電気的に接続する配線部材5とを備えており、複数の圧電素子1は長手方向および短手方向を有する形状であって、当該複数の圧電素子1の長手方向が振動板2の長手方向を向くようにして配列されているとともに、配線部材5は複数の圧電素子1と端子4とにまたがるように配置されている。
音響発生器10を構成する励振器として、複数の圧電素子1が用いられる。複数の圧電素子1はそれぞれ長手方向および短手方向を有する形状であり、図に示す例では長方形状になっている。圧電素子1は、例えば図1(b)に示すように、圧電体層11および内部電極層12が交互に積層された積層体13と、かかる積層体13の上面および下面に設けられた表面電極14と、内部電極層12が導出された側面に設けられた外部電極15とを備える。
圧電素子1を構成する圧電体層11は、圧電特性を有するセラミックスで設けられたものである。このようなセラミックスとして、チタン酸ジルコン酸鉛(lead zirconate titanate)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ビスマス層状化合物、タングステンブロンズ構造化合物等の非鉛系圧電体材料等、従来から用いられている圧電セラミックスを用いることができる。圧電体層11の1層の厚みは、低電圧で駆動させるために、例えば0.01〜0.1mmに設定することが好ましい。また、大きな屈曲振動を得るために、200pm/V以上の圧電定数d31を有することが好ましい。
また、図1(b)に示すように、圧電素子1を構成する内部電極層12は、圧電体層11を構成するセラミックスと同時焼成により設けられたもので、第1の内部電極層121および第2の内部電極層122からなる。圧電体層11と交互に積層されて圧電体層11を上下から挟んでおり、積層順に第1の内部電極層121および第2の内部電極層122が配置されることにより、それらの間に挟まれた圧電体層11に駆動電圧を印加するものである。なお、図1(a)においては、第1の内部電極層121は積層体13の紙面下側に位置する積層体13の側面に導出され、第2の内部電極層122は積層体13の紙面上
側に位置する側面に導出されている。
側に位置する側面に導出されている。
内部電極層12を構成する材料としては、種々の金属材料を用いることができる。例えば、低温焼成が可能な銀や銀−パラジウムを主成分とする導体、あるいは銅、白金などを含む導体を用いることができるが、これらにセラミック成分やガラス成分を含有させてもよい。なお、銀とパラジウムとからなる金属成分と、圧電体層11を構成するセラミック成分とを含有した材料で内部電極層12を構成した場合、圧電体層11と内部電極層12との焼成時の収縮差による応力を低減することができるので、積層不良のない圧電素子1を得ることができる。
図1に示す圧電素子1はユニモルフ構造であるが、バイモルフ構造であってもよい。すなわち、圧電素子としては、ある瞬間に加えられる電界の向きに対する分極の向きが厚み方向における一方側(第1の主面側)と他方側(第2の主面側)とで逆転するように分極されているバイモルフ構造であってもよい。これにより、薄型化に貢献するとともに、少ないエネルギーで効率よく振動板2を振動できる。
振動板2は、樹脂や金属等の種々の材料で、長手方向および短手方向を有する形状とされたものであり、図に示す例では長方形状になっている。例えば、厚さ10〜200μmのポリエチレン、ポリイミド等の樹脂フィルムで、主面の形状が縦(短手方向)8〜28mm、横(長手方向)28〜60mmとされた長方形状の振動板2を用いることができる。
複数の圧電素子1は、長手方向および短手方向を有する形状の振動板2上に、振動板2の長手方向を向くように配列され、接着剤で貼り付けられるなどして取り付けられている。そして、複数の圧電素子1が電圧の印加を受けて振動することによって振動板2を振動させる。具体的には、複数の圧電素子1のそれぞれの主面がエポキシ系樹脂等の接着剤により振動板2の主面に接合されている。そして、複数の圧電素子1の振動によって、振動板2は複数の圧電素子1とともに振動するようになっている。
このとき、図1には示していないが、圧電素子1の表面電極14には、後述する配線部材5がはんだや導電性接着剤を用いて電気的に接続され、この配線部材5を介して圧電素子1に電気信号が入力される。圧電素子1に電圧が印加されると、ある瞬間において、振動板2に接着された側である圧電素子1の下面側の圧電体層11は積層方向に垂直な面内方向に縮み、圧電素子1の上面側の圧電体層11は積層方向に垂直な面内方向に伸びるように変形して全体が屈曲する。したがって、圧電素子1に交流信号を与えることにより、圧電素子1が屈曲振動し、振動板2に屈曲振動を与えることができる。
振動板2の外周部を支持するように枠部材3が設けられている。なお、枠部材3は振動板2の外周部に例えば接着剤で接着されている。振動板2は、枠部材3の枠内に張力がかかった状態で枠部材3によって支持され、枠部材3に支持されていない部分は自由に振動することができるようになっている。
ここで、枠部材3の厚みや材質などは、特に限定されるものではなく、金属、樹脂、ガラスなど種々の材料を用いることができる。例えば、枠部材3として、機械的強度および耐食性に優れるという理由から、厚さ0.1〜5.0mmのステンレス製のものを好適に用いることができる。また、枠部材3の幅としては、例えば1.2〜10.0mmのものが用いられる。
枠部材3の主面(振動板2に面する側と反対側に位置する上面)には、端子4が設けられている。端子4は、外部回路と接続点となるいわゆる電極ターミナルであり、配線部材
5の本数にあわせて設けられる。図1には、枠部材3に複数個(ここでは2個)の端子4が設けられている場合を例示している。また、図1では、配線部材5が金属板からなるものであり、かつ配線部材5の端部が幅広になっており、この配線部材5の端部が外部回路との接続点となる端子4を兼ねている。言い換えると、配線部材5と端子4とが一体に形成されている。したがって、配線部材5の端部を端子4として利用することができ、別途端子4を設けなくてもよい。このように、配線部材5と端子4とが一体に形成された構成により、配線部材5と端子4とが電気的に接続された構成となっているものでもよい。
5の本数にあわせて設けられる。図1には、枠部材3に複数個(ここでは2個)の端子4が設けられている場合を例示している。また、図1では、配線部材5が金属板からなるものであり、かつ配線部材5の端部が幅広になっており、この配線部材5の端部が外部回路との接続点となる端子4を兼ねている。言い換えると、配線部材5と端子4とが一体に形成されている。したがって、配線部材5の端部を端子4として利用することができ、別途端子4を設けなくてもよい。このように、配線部材5と端子4とが一体に形成された構成により、配線部材5と端子4とが電気的に接続された構成となっているものでもよい。
ここで、枠部材3および端子4が金属材料からなる場合には、絶縁材料からなる中間層または基板を介して端子4が枠部材3の主面に設けられるのがよい。端子4が金属材料で枠部材3が絶縁材料からなる場合は、中間層または基板を介していなくてもよい。中間層としては絶縁性を確保できる程度に厚みの厚い樹脂からなる接着剤層であってもよい。また、中間層は複数層からなる構造であってもよい。また、基板としてはガラスエポキシ基板などを用いることができる。
そして、配線部材5は、複数の圧電素子1を電気的に接続し、かつ端子4にも電気的に接続されている。ここで、配線部材5は複数の圧電素子1と端子4とにまたがるように配置されている。言い換えると、配線部材5は一本で複数の圧電素子1のそれぞれの圧電素子1と端子4とに接続されている。なお、配線部材5が複数の圧電素子1と端子4とにまたがるように配置されているとは、前述のように、配線部材5と端子4とが一体に形成された構成も含まれることを意味している。
配線部材5としては、導体の側面外周を絶縁材で被覆したリード線や、フレキシブル基板(FPC)、薄い金属板などを用いることができる。なお、リード線、フレキシブル基板の場合、それぞれの圧電素子1における所望の表面電極14との導通がとれるように、部分的に導体が露出するように構成される。
本実施形態の音響発生器10によれば、複数の圧電素子1は長手方向および短手方向を有する形状であって、当該複数の圧電素子1の長手方向が振動板2の長手方向を向くようにして配列されていることで、音響発生器10の最低共振周波数を低くすることができる。したがって、再生周波数帯域を低域側に広げることができるとともに、再生周波数帯域の低域側における音圧を向上させることができる。また、配線部材5は複数の圧電素子1と端子4とにまたがるように配置されていることで、ダンパー効果によりピークやディップを抑制して音響発生器10の音質を向上させることができる。また、配線部材5の数および枠部材3との接続箇所(端子4)を最も少なくできるので、製品毎の周波数特性ばらつきを抑えられ、音響発生器10の音質を向上させることができる。
図2(a)は本実施形態の音響発生器の他の例を示す概略平面図、図2(b)は図2(a)に示すB−B線で切断した概略断面図、図2(c)は図2(a)に示すC−C線で切断した概略断面図である。
図2に示す圧電素子1’は、具体的には示していないが、バイモルフ構造の圧電素子である。圧電素子1’を構成する積層体13は、一方主面側の領域と他方主面側の領域とを有している。積層体13における一方主面側の領域と他方主面側の領域とは、例えばこれらの領域に含まれる圧電体層11の分極の向きが対称になっていて、駆動時の伸縮状態が異なる挙動を示す関係にあるものである。通常、厚み方向の中央部分に一方主面側の領域と他方主面側の領域との境界が位置している。
図2においては、第1の内部電極層121は積層体13の紙面右側に位置する積層体13の側面に導出され、第2の内部電極層122は積層体13の紙面左側に位置する側面に
導出されている。複数の表面電極14のうち、相対的に大きな面積の第1の表面電極141は第2の内部電極層122と電気的に接続されている。また、相対的に小さな面積の第2の表面電極142は第1の内部電極層121と電気的に接続されている。なお、第2の表面電極142は、その製造過程において、一方主面側の領域にある第1の内部電極層121と電気的に接続された電極と、他方主面側の領域にある第1の内部電極層121と電気的に接続された電極とに分かれていて、圧電体層11の分極後にこれらの電極を互いにつなぎ合わせることによって得ることができる。これにより、一方主面側の領域と他方主面側の領域とを有するバイモルフ構造とすることができる。
導出されている。複数の表面電極14のうち、相対的に大きな面積の第1の表面電極141は第2の内部電極層122と電気的に接続されている。また、相対的に小さな面積の第2の表面電極142は第1の内部電極層121と電気的に接続されている。なお、第2の表面電極142は、その製造過程において、一方主面側の領域にある第1の内部電極層121と電気的に接続された電極と、他方主面側の領域にある第1の内部電極層121と電気的に接続された電極とに分かれていて、圧電体層11の分極後にこれらの電極を互いにつなぎ合わせることによって得ることができる。これにより、一方主面側の領域と他方主面側の領域とを有するバイモルフ構造とすることができる。
一対の配線部材5のうちの一方は、はんだや導電性接着剤などの導電性接合材6を介してそれぞれの圧電素子1’の第2の表面電極142と電気的に接続され、一対の配線部材5のうちの他方はそれぞれの圧電素子1’の第1の表面電極141と電気的に接続されている。
そして、図2に示すように、複数の圧電素子1’のそれぞれの表面には複数の表面電極14(第1の表面電極141、第2の表面電極142)が設けられているとともに、該複数の表面電極14(第1の表面電極141、第2の表面電極142)のうちの少なくとも一つの表面電極14を覆うように絶縁性樹脂からなる被覆層7が設けられているのがよい。被覆層7としては、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
ここで、複数の表面電極14(第1の表面電極141、第2の表面電極142)のうちの少なくとも一つの表面電極14を覆うようにとは、被覆層7が少なくとも一つの表面電極14の少なくとも一部を覆うように設けられることも含んでいる。図2に示す例では、それぞれの圧電素子1’における第2の表面電極142の導電性接合材6で配線部材5と接合された部位以外の一部を覆うように被覆層7が設けられているとともに、2つの圧電素子1’のうちの一方の圧電素子1’における第1の表面電極141の導電性接合材6で配線部材5と接合された部位以外の一部を覆うように被覆層7が設けられている。この被覆層7は、例えば導電性接合材6と同じ程度の厚みとされ、配線部材5と接しているのがよい。
このような構成とすることで、被覆層7が配線部材5の振動を抑制し、配線部材5の振動により生じる音質の低下を抑制できるため、音質を向上させることができる。
なお、図2に示す例は、被覆層7が表面電極14のうちの導電性接合材6で配線部材5と接合された部位以外の一部を覆っている構成であるが、このような構成に限られず、被覆層7が表面電極14のうちの導電性接合材6で配線部材5と接合された部位以外の全域を覆うような構成であってもよい。これにより、配線部材5の振動を抑制する効果を高めることができる。
ここで、図3に示すように、配線部材5は長手方向に伸縮する形状になっているのがよく、このような構成とすることで、圧電素子1’の振動に配線部材5が伸縮して追従するため、圧電素子1’の振動を阻害しにくくなる。これにより、音響発生器10の音圧をさらに向上させることができる。
具体的には、図3に示すように、配線部材5は金属板からなり、長手方向の両側面から幅方向に向かって交互に設けられたスリット51と、長手方向に隣り合うスリット51とスリット51との間に幅方向に延びるように設けられた孔52とを有している構成であるのがよい。このような配線部材5は、金属板の加工により容易に得られ、十分な伸縮性をもつとともに、ねじれにくく、耐久性のよいものとすることができる。
なお、複数の圧電素子1、1’は、当該複数の圧電素子1、1’の長手方向が振動板2の長手方向を向くようにして配列されるものであるが、図4に示すように振動板2の長手方向に複数の圧電素子1、1’が必ずしも平行でなくてもよく、振動板2の長手方向に対して圧電素子1、1’の長手方向がプラスマイナス15度の範囲内で傾いていてもよい。
また、複数の圧電素子1、1’は、振動板2の長手方向に沿って配列されるものであるが、図5に示すように、隣り合う圧電素子1、1’が当該圧電素子1、1’の幅の20%の範囲内の距離だけずれて配置されていてもよい。
また、図1〜図5に示す例では2個の圧電素子1を長手方向に沿って一列に配置した構成を示しているが、図6に示すように、例えば4個の圧電素子1を2個ずつ長手方向に沿って二列に配置したものでもよく、長手方向に沿ってさらに多くの圧電素子1を配置したりさらに多くの列としたりしてもよい。
また、音響発生器10は、枠部材3の枠内において圧電素子1および振動板2の表面を覆うように設けられた樹脂層(図示せず)をさらに備えてもよい。この樹脂層は、たとえば、アクリル系樹脂を用いてヤング率が例えば1MPa〜1GPaの範囲となるように設けられることが好ましい。この樹脂層は必ずしも圧電素子1の表面を覆うまでに設けられていなくてもよいが、圧電素子1の表面を覆うまでに設けられ、さらには樹脂層に圧電素子1が埋設されることで、適度なダンピング効果を誘発させることができる。したがって、共振現象を抑制して、音圧の周波数特性におけるピークやディップを小さく抑えることができる。
また、本例では振動板2の一方の主面上に複数の圧電素子1を設けた場合を示しているが、振動板2の両主面に複数の圧電素子1が設けられてもよい。
次に、本実施形態の音響発生器10の製造方法の一例について説明する。
まず、圧電素子1、1’を準備する。
圧電体層11を構成する圧電材料の粉末にバインダー、分散剤、可塑剤、溶剤を混練し、スラリーを作製する。圧電材料としては、鉛系、非鉛系のうちいずれでも使用することができる。
次に、得られたスラリーをシート状に成形し、グリーンシートを得ることができ、このグリーンシートに内部電極層用導電ペーストを印刷して内部電極層パターンを形成し、この内部電極層パターンが形成されたグリーンシートを例えば4枚積層し、最上層にはグリーンシートのみ積層して、積層成形体を作製する。
次に、この積層成形体を脱脂、焼成し、所定寸法にカットすることにより積層体13を得ることができる。積層体13は、必要に応じて外周部を加工し、積層体13の圧電体層11の積層方向の主面に表面電極14のペーストを印刷し、引き続き、積層体13の長手方向の両側面に外部電極15のペーストを印刷し、所定の温度で電極の焼付けを行う。
最後に、圧電素子に圧電性を付与するために表面電極14または外部電極15を通じて直流電圧を印加して、圧電素子1、1’の圧電体層11の分極を行うことにより、積層型の圧電素子1、1’を得ることができる。
次に、振動板2となるフィルムを準備し、このフィルムの外周部を枠部材3にフィルム
に張力をかけた状態で固定する。このとき、枠部材3と振動板2との間には接着剤を設ける。例えば、テンションを加えた状態の振動板の主面にUV硬化型樹脂からなる接着剤を枠部材の形状に印刷やディスペンサーなどの方法を用いて塗布した後、枠部材3を押しつけ、UV(紫外線)を照射して硬化させる。
に張力をかけた状態で固定する。このとき、枠部材3と振動板2との間には接着剤を設ける。例えば、テンションを加えた状態の振動板の主面にUV硬化型樹脂からなる接着剤を枠部材の形状に印刷やディスペンサーなどの方法を用いて塗布した後、枠部材3を押しつけ、UV(紫外線)を照射して硬化させる。
次に、上述した方法で枠部材3を外周部に設けた振動板2上に、所定数の圧電素子1、1’を接着する。具体的には、振動板2(樹脂フィルム)に接着剤を塗布して、その接着剤を挟むように圧電素子1、1’を押し当て、この後、接着剤を熱や紫外線を照射することにより硬化させる。圧電素子1、1’と振動板2との間の接着剤層の厚みは20μm以下、好ましくは10μm以下とするのがよい。このように、接着剤層21の厚みが20μm以下である場合には、圧電素子の振動をフィルムに伝えやすくなる。接着剤としては、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂等公知のものを使用することができる。接着剤に使用する樹脂の硬化方法としては、熱硬化性、光硬化性、嫌気性硬化等いずれを用いても振動体を作製することができる。
さらに、複数の圧電素子1、1’と枠部材3上に設けた端子4とに配線部材5を接合する。接合方法としては、圧電素子1、1’の表面電極14に導電性接合材6着剤を塗布し、配線部材5を押し当て、熱により硬化させる方法が挙げられる。
ここで、配線部材5が金属板からなるものである場合には、その端部を端子4として利用することができ、別途端子4を設けなくてもよい。このとき、配線部材5の端部を端子(ターミナル)とするため、枠部材3と接着剤や両面テープで接着させればよい。また、配線部材5の端部を幅広にして、端子4として利用しやすくしたり、長手方向の両側面から幅方向に向かって交互に設けられたスリット51と、長手方向に隣り合うスリット51とスリット51との間に幅方向に延びるように設けられた孔52とを有している構成としたりするには、プレス加工やエッチング加工などを用いればよい。
そして、必要により、樹脂を枠部材3の内側に流し込み、圧電素子1、1’を完全に埋設させ、樹脂層を硬化させることにより、本実施形態の音響発生器10を得ることができる。
次に、本実施形態の音響発生装置の一例について説明する。
音響発生装置100はいわゆるスピーカのような発音装置であり、図7に示すように、本例の音響発生装置100は、音響発生器10と、音響発生器10を収容する筐体20を備える。なお、筐体20の一部が音響発生器10を構成する振動板2になっていてもよく、筐体20が音響発生器10を収容するとは、音響発生器10の一部(圧電素子1)を収容している状態も含むことを意味している。
筐体20は、音響発生器10の発する音響を内部で共鳴させるとともに、筐体20に形成された図示せぬ開口から音響を外部へ放射する。この筐体20は、例えば、アルミニウムやマグネシウム合金などの金属、ポリカーボネートなどの樹脂、木材など、種々の材料を用いて形成することができる。このような筐体20を有することにより、たとえば低周波数帯域における音圧を高めることができる。
かかる音響発生装置100は、スピーカとして単独で用いることができる他、後述するように、携帯端末や薄型テレビ、あるいはタブレット端末などへ好適に組み込むことが可能である。また、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機、洗濯機などのように、従来、音質については重視されなかった家電製品に組み込むこともできる。
上述した本実施形態の音響発生装置は、再生周波数帯域における音圧を向上させた音響発生器を用いて構成されていることから、音響性能に優れた音響発生装置を実現することができる。
次に、本実施形態の電子機器の一例について説明する。
図8に示すように、本実施形態の電子機器50は、音響発生器10と、音響発生器10に接続された電子回路60と、電子回路60および音響発生器10を収容する筐体70とを備え、音響発生器10から音響を発生させる機能を有する。なお、電子機器50としては、音響発生器10を筐体70にそのまま収容するもののみならず、音響発生器10を収容した音響発生装置100(音響発生器10と筐体5とからなるもの)を筐体70に収容するものも含むことを意味している。また、筐体70の一部が音響発生器10を構成する振動板2となっていてもよい。
電子機器50は、電子回路60を備える。電子回路60としては、ディスプレイに表示させる画像情報や携帯端末によって伝達する音声情報を処理する回路、通信回路等が例示できる。これらの回路の少なくとも1つであってもよいし、全ての回路が含まれていても構わない。また、他の機能を有する回路であってもよい。さらに、複数の電子回路を有していても構わない。図に示す電子回路60は、コントローラ60aと、送受信部60bと、キー入力部60cと、マイク入力部60dとから構成される。電子回路60は、音響発生器10に接続されており、音響発生器10へ音声信号を出力する機能を有している。音響発生器10は電子回路60から入力された音声信号に基づいて音響を発生させる。
また、電子機器50は、表示部50aと、アンテナ50bと、音響発生器10とを備え、これら各デバイスを収容する筐体70を備える。なお、図8では、1つの筐体にコントローラ60aをはじめとする各デバイスがすべて収容されている状態をあらわしているが、各デバイスの収容形態を限定するものではない。本実施形態では、少なくとも電子回路60と音響発生器10とが、1つの筐体70に収容されていればよい。
コントローラ60aは、電子機器50の制御部である。送受信部60bは、コントローラ60aの制御に基づき、アンテナ50bを介してデータの送受信などを行う。キー入力部60cは、電子機器50の入力デバイスであり、操作者によるキー入力操作を受け付ける。キー入力部60cは、ボタン状のキーであってもよいし、表示部50と一体となっているタッチパネルであってもよい。マイク入力部60dは、同じく電子機器50の入力デバイスであり、操作者による音声入力操作などを受け付ける。表示部50aは、電子機器50の表示出力デバイスであり、コントローラ60aの制御に基づき、表示情報の出力を行う。
そして、音響発生器10は、電子機器60における音響出力デバイスとして動作する。なお、音響発生器10は、電子回路60のコントローラ60aに接続されており、コントローラ60aによって制御された電圧の印加を受けて音響を発することとなる。
なお、図8では、電子機器が携帯用端末装置であるものとして説明を行ったが、電子機器の種別を問うものではなく、音響を発する機能を有する様々な民生機器に適用されてよい。たとえば、薄型テレビやカーオーディオ機器は無論のこと、音響を発する機能を有する製品、例を挙げれば、掃除機や洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどといった種々の製品に用いられてよい。
上述した本実施形態の電子機器は、再生周波数帯域における音圧を向上させた音響発生器を用いて構成されていることから、音響性能に優れた電子機器を実現することができる
。
。
10 音響発生器
1、1’ 圧電素子
11 圧電体層
12 内部電極層
13 積層体
14 表面電極
15 外部電極
2 振動板
3 枠部材
4 端子
5 配線部材
6 導電性接合材
7 被覆層
100 音響発生装置
50 電子機器
60 電子回路
20、70 筺体
1、1’ 圧電素子
11 圧電体層
12 内部電極層
13 積層体
14 表面電極
15 外部電極
2 振動板
3 枠部材
4 端子
5 配線部材
6 導電性接合材
7 被覆層
100 音響発生装置
50 電子機器
60 電子回路
20、70 筺体
Claims (6)
- 長手方向および短手方向を有する形状の振動板と、該振動板上に前記長手方向に沿って配列された複数の圧電素子と、前記振動板の外周部を支持する枠部材と、該枠部材の主面に設けられた端子と前記複数の圧電素子とを電気的に接続する配線部材とを備えており、前記複数の圧電素子は長手方向および短手方向を有する形状であって、当該複数の圧電素子の長手方向が前記振動板の前記長手方向を向くようにして配列されているとともに、前記配線部材は前記複数の圧電素子と前記端子とにまたがるように配置されていることを特徴とする音響発生器。
- 前記複数の圧電素子のそれぞれの表面には複数の表面電極が設けられているとともに、該複数の表面電極のうちの少なくとも一つの表面電極を覆うように絶縁性樹脂からなる被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の音響発生器。
- 前記配線部材は、前記長手方向に伸縮する形状になっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音響発生器。
- 前記配線部材は、前記長手方向の両側面から幅方向に向かって交互に設けられたスリットと、前記長手方向に隣り合うスリットとスリットとの間に前記幅方向に延びるように設けられた孔とを有していることを特徴とする請求項3に記載の音響発生器。
- 請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の音響発生器と、該音響発生器を収容する筐体とを備えることを特徴とする音響発生装置。
- 請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の音響発生器と、
該音響発生器に接続された電子回路と、
該電子回路および前記音響発生器を収容する筐体とを備えることを特徴とする電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015254151A JP2017118424A (ja) | 2015-12-25 | 2015-12-25 | 音響発生器、音響発生装置および電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015254151A JP2017118424A (ja) | 2015-12-25 | 2015-12-25 | 音響発生器、音響発生装置および電子機器 |
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JP2017118424A true JP2017118424A (ja) | 2017-06-29 |
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JP (1) | JP2017118424A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020153290A1 (ja) * | 2019-01-21 | 2020-07-30 | Tdk株式会社 | 音響装置 |
-
2015
- 2015-12-25 JP JP2015254151A patent/JP2017118424A/ja active Pending
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WO2020153290A1 (ja) * | 2019-01-21 | 2020-07-30 | Tdk株式会社 | 音響装置 |
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