以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1はアクチュエータのケース側を示す斜視図を、図2はアクチュエータのカバー側を示す斜視図を、図3はアクチュエータの内部構造を説明する断面図を、図4はケースの内部構造を説明する平面図を、図5は図4のケースを部分的に拡大した斜視図を、図6は図3のモータを示す斜視図を、図7はモータケースを示す斜視図を、図8はブラシホルダを示す斜視図を、図9はモータをカバー部材側から見た平面図を、図10はケースに固定されたモータを部分的に拡大した平面図を、図11は突起部と支持突起との位置関係を説明する平面図をそれぞれ示している。
図1ないし図3に示すように、アクチュエータ20は、その全体形状が略L字形状に形成され、自動車等の車両に搭載されるブレーキ装置用の駆動源に用いられる。具体的には、アクチュエータ20の出力軸57がブレーキ装置(図示せず)に連結され、これによりアクチュエータ20を回転駆動することで、ブレーキ装置のピストン、つまりブレーキパッドを押圧する部材が進退され、ひいては制動力が調整される。
アクチュエータ20は、略L字形状に形成されたケース21を備えている。ケース21の開口部21a(図3参照)は、カバー22によって閉塞され、これによりケース21の内部に埃等の異物が進入するのを防止している。ケース21およびカバー22は、何れも樹脂材料を射出成形することで所定形状に形成されている。
ケース21は、車両の足回りの近傍の劣悪な環境に曝される。そのため、耐候性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)によって形成されている。PBT樹脂の特性としては、熱安定性,寸法安定性,耐薬品性等に優れていることが挙げられる。熱安定性とは、長時間高温環境に曝しても熱変形し難い特性のことである。寸法安定性とは、多湿環境に曝しても吸水率が低いため寸法が変化し難い特性のことである。耐薬品性とは、有機溶剤,ガソリン,油等に対して変質し難い特性のことである。
ただし、ケース21の材質としてはPBT樹脂に限らず、上述のような耐候性に優れた材質であれば、例えば、ポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS樹脂)等の他の材料としても良い。
また、カバー22においても、ケース21と同じ劣悪な環境に曝されるため、ケース21と同じPBT樹脂で形成されている。ただし、ケース21と同様に、耐候性に優れた他の材料(PPS樹脂等)で形成することもできる。
ケース21およびカバー22は、互いに溶着することで強固に結合されている。溶着手段としては、例えば、互いの突き合わせ部分をレーザ光線で溶融させ、互いの突き合わせ部分を組織的に一体化する手段が用いられる。これにより、上述のような劣悪な環境であっても、アクチュエータ20の気密性が保持される。
ケース21の内部には、電動モータ(モータ)40および減速機構60が収容されている。以下、電動モータ40および減速機構60を収容するケース21の詳細構造について説明する。
図1ないし図5に示すように、ケース21は、図示しないブレーキ装置に固定されるブレーキ装置固定部23と、電動モータ40(図3参照)を収容するモータ収容部24とを備えている。
ブレーキ装置固定部23は、ケース21の出力軸57が配置される部分に設けられ、出力軸57および減速機構60と同軸上に配置されている。つまり、ブレーキ装置固定部23は、出力軸57および減速機構60をそれぞれ回転自在に支持している。なお、ブレーキ装置固定部23は、モータ収容部24に対してその軸方向と交差する方向に並んで設けられている。
ブレーキ装置固定部23の径方向内側には、円筒固定部23aが設けられ、円筒固定部23aの軸方向先端側には、ブレーキ装置が固定される。また、ブレーキ装置固定部23の径方向外側には、ケース21の外郭の一部を形成する外周壁部23bが設けられている。
図3に示すように、モータ収容部24は、軸方向一側(図中下側)が開口され、かつ軸方向他側(図中上側)が閉塞された有底筒状に形成され、ケース21の電動モータ40が配置される部分に設けられている。モータ収容部24には電動モータ40が収容され、モータ収容部24はアーマチュア軸45と同軸上に配置されている。
モータ収容部24は、アーマチュア軸45の軸方向に延びる円筒本体部24aと、円筒本体部24aの軸方向に沿うカバー22側とは反対側にある底壁部24bとを備えている。また、底壁部24bの中心部分には、モータ収容部24の内部から外部に向けて突出された軸受収容部24cが設けられている。このように、モータ収容部24の軸方向他側は、段付きの底部となっている。
また、円筒本体部24aの軸方向他側でかつ径方向内側、つまり円筒本体部24aの軸方向に沿う底壁部24b寄りの部分には、電動モータ40のモータケース41における軸方向他側(図中上側)を径方向から支持する4つの支持突起(支持部)24dが設けられている。これらの支持突起24dは、円筒本体部24aの周方向に部分的に設けられている。具体的には、図3および図4に示すように、円筒本体部24aの径方向内側に所定の高さで突出され、円筒本体部24aの周方向に等間隔(90度間隔)で配置されている。電動モータ40の軸方向他側は、これら4つの支持突起24dに当接するようにセンタリングされて配置される。これにより、各支持突起24dに支持された電動モータ40の軸方向他側は、モータ収容部24の内部でがたつくことが無い。
ここで、図3に示す断面図には、本来、支持突起24dは現れない(図4参照)が、説明の便宜上、図3にも支持突起24dを記載し、これにより電動モータ40の各支持突起24dによる支持状態を分かり易くしている。
本実施の形態に係るアクチュエータ20においては、車両の足回りの近傍(ばね下)に設けられるため、ばね上である車体よりも激しく振動する。そのため、電動モータ40をがたつくこと無くモータ収容部24にセンタリングしながら収容させて、耐振性を向上させることは必須の要件である。その一方で、電動モータ40のモータ収容部24への装着作業性を容易にする工夫も必要となる。そのために、電動モータ40の外周部分とモータ収容部24の内周部分との間には、所定のクリアランス(環状隙間)CLを形成している。
さらに、4つの支持突起24dは、図5に示すように、円筒本体部24aの軸方向に延在されてリブ形状となっている。各支持突起24dの長手方向に沿う底壁部24b側とは反対側には、円筒本体部24aの開口側(図中手前側)に向かうにつれて、その突出高さが徐々に低くなるよう傾斜したテーパ面24fが、それぞれ形成されている。これらのテーパ面24fは、電動モータ40のモータ収容部24への収容を案内する機能を有している。これにより、電動モータ40のモータ収容部24への装着を容易に行うことができ、かつ電動モータ40がモータ収容部24に対して自動でセンタリング(自動調芯)され、電動モータ40の軸方向他側がモータ収容部24に対して高精度で位置決めされる。
ここで、電動モータ40のモータケース41の直径寸法は、各支持突起24dの頂部に内接する円(図示せず)の直径寸法よりも若干大きい直径寸法に設定されている。これにより、モータケース41は、各支持突起24dに対して軽圧入により当接される。よって、モータ収容部24に対する電動モータ40のがたつきが確実に抑制される。ここで、モータケース41は鋼板製であり、各支持突起24dは樹脂製である。したがって、モータ収容部24に対する電動モータ40の装着時において、電動モータ40を短絡させたりする金属粉(削り屑)の発生が確実に抑制される。
図5に示すように、円筒本体部24aの軸方向一側(図中手前側)には、ケース21の内部に向けて突出された環状の当接部24gが設けられている。具体的には、当接部24gは、ケース21の底部21bから開口部21aに向けて、ケース21の深さ寸法の略1/3の分だけ突出されている。そして、当接部24gには、電動モータ40のカバー部材55に設けた各ねじ止めフランジ部55dおよび各当接フランジ部55e(図9の網掛け部分参照)が、面接触で当接するようになっている。
図4に示すように、当接部24gには、一対の雌ねじ部24hが一体に設けられている。これらの雌ねじ部24hは、円筒本体部24aの軸方向と交差する方向において、コネクタ接続部25側(図中右側)と減速機構60側(図中左側)とに配置されている。より具体的には、一対の雌ねじ部24hは、円筒本体部24aを中心に対向配置され、かつコネクタ接続部25にインサートされた第1,第2ケース端子25a,25bと、減速機構60の入力側二段ギヤ70(図3参照)を回動自在に支持する支持ピンPNと、を避けた位置に配置されている。
そして、一対の雌ねじ部24hには、電動モータ40をモータ収容部24に固定するための固定ねじSC(図10参照)がそれぞれねじ結合されるようになっている。つまり、一対の固定ねじSCは、電動モータ40のアーマチュア軸45を中心に対向配置され、電動モータ40をモータ収容部24(ケース21)に対して、バランス良く固定できるようになっている。これにより、電動モータ40のカバー部材55が、ケース21に対して強固に固定される。また、一対の雌ねじ部24hは、4つ設けた支持突起24dのうちの2つの支持突起24dの近傍にそれぞれ配置されている。つまり、当接部24gの周方向に沿う一対の雌ねじ部24hの間に、4つ設けた支持突起24dのうちの他の2つの支持突起24dがそれぞれ配置される。
さらに、一対の雌ねじ部24hは、図4に示すように、ケース21の内部における比較的広いスペース(デッドスペース)に配置されている。したがって、締結治具(図示せず)を用いた固定ねじSCの締結作業を容易に行うことができ、これによっても、アクチュエータ20の組み立て作業性を向上させている。
図4および図5に示すように、当接部24gには、1つの回り止め突起24kが一体に設けられている。回り止め突起24kは、当接部24gの軸方向一側(図中手前側)に向けて突出され、その断面形状は略正方形に形成されている。そして、回り止め突起24kの当接部24gからの突出高さは、電動モータ40のカバー部材55(図6参照)の厚み寸法と略等しい高さ寸法となっている。そして、回り止め突起24kは、カバー部材55の当接フランジ部55eに設けた回り止め凹部55g(図9参照)に入り込んで係合するようになっている。
回り止め突起24kは、コネクタ接続部25側で、かつ当接部24gの周方向に沿う一対の雌ねじ部24hの間の略中央部分に配置されている。これにより、電動モータ40のモータ収容部24に対する誤組み付けを防止することができる。これによっても、アクチュエータ20の組み立て作業性を向上させている。
ここで、電動モータ40は、モータ収容部24の内部にその開口側(開口部21a側)から挿入される。このとき、図3に示すように、電動モータ40のモータケース41における小径底部41aは、軸受収容部24cの内側に配置される。これにより、軸受収容部24cの内側に、小径底部41aを介して軸受部材46が収容される。そして、電動モータ40は、モータ収容部24に対して一対の固定ねじSC(図10参照)で強固に固定され、かつ回り止め突起24kおよび回り止め凹部55gによって、互いに相対回転不能となっている。
図3に示すように、ケース21の長手方向(図中左右方向)に沿うモータ収容部24を挟むブレーキ装置固定部23側とは反対側には、外部コネクタCNが接続されるコネクタ接続部25が一体に設けられている。
図3および図4に示すように、コネクタ接続部25の内側には、第1ケース端子25aおよび第2ケース端子25bが設けられている。これらの第1,第2ケース端子25a,25bには、外部コネクタCNから電動モータ40を回転駆動させる駆動電流が流れるようになっている。なお、第1ケース端子25aがプラス(+)端子とされ、第2ケース端子25bがマイナス(−)端子とされている。
第1,第2ケース端子25a,25bは、黄銅等の導電性に優れた導電体により板状に形成され、ケース21のコネクタ接続部25にインサートされている。第1,第2ケース端子25a,25bの一側は、それぞれコネクタ接続部25の内側に露出されている。これにより、外部コネクタCNをコネクタ接続部25に接続することで、外部コネクタCNの外部端子ETが、第1,第2ケース端子25a,25bのそれぞれに電気的に接続される。なお、外部端子ETにおいても、プラス(+)端子とマイナス(−)端子とを備えている。
第1,第2ケース端子25a,25bの他側は、ケース21の内部に設けた端子支持突起21c,21d(図4および図5参照)を介して、ケース21の内部に露出されている。そして、第1,第2ケース端子25a,25bの他側は、コネクタ部材CMを介して、電動モータ40の第1,第2モータ端子52a,52b(図3参照)に電気的に接続される。
図1ないし図4に示すように、ブレーキ装置固定部23は、円筒固定部23aと外周壁部23bとを備えている。外周壁部23bには、径方向外側に部分的に突出するようにして、一対のねじ挿通部23cが一体に設けられている。つまり、各ねじ挿通部23cは、ブレーキ装置固定部23の径方向外側に配置されている。各ねじ挿通部23cには、アクチュエータ20をブレーキ装置に固定するための固定ねじ(図示せず)が挿通され、各ねじ挿通部23cはブレーキ装置に強固に固定される。
各ねじ挿通部23cは、円筒固定部23aを中心に互いに対向配置されている。なお、各ねじ挿通部23cは、ケース21の長手方向と交差するケース21の短手方向に対して、出力軸57を中心に所定間隔(180度間隔)で配置されている。
図1,図2および図4に示すように、各ねじ挿通部23cと外周壁部23bとの間には、各ねじ挿通部23cの外周壁部23bに対する固定強度を高めるための固定部用補強リブ23dが一体に設けられている。これにより、アクチュエータ20の作動時におけるケース21のブレーキ装置に対する捩れやがたつきが抑制される。
モータ収容部24の径方向外側には、一対の第1補強リブ24eが一体に設けられている。これらの第1補強リブ24eは、図1に示すように、モータ収容部24がブレーキ装置固定部23側に傾斜(倒れ)したり捩れたりするのを抑制するものである。また、ケース21は樹脂製であり、その硬化時には樹脂が収縮してヒケが発生する。よって、各第1補強リブ24eは、ケース21の硬化時において、ヒケの発生に起因するモータ収容部24のブレーキ装置固定部23に対する傾斜や歪みも抑制する。
各第1補強リブ24eは、モータ収容部24の軸方向他側(図中上側)から軸方向一側(図中下側)に亘って設けられている。各第1補強リブ24eは断面が略三角形形状に形成され、各第1補強リブ24eの突出高さは、モータ収容部24の軸方向一側から軸方向他側に向かうにつれて徐々に小さくなっている。これにより、ケース21を射出成形する際に用いる金型(図示せず)の型抜きを容易に行える。
また、各第1補強リブ24eは、モータ収容部24のブレーキ装置固定部23側にそれぞれ配置され、かつ各第1補強リブ24eの突出方向は、モータ収容部24をその軸方向から見たときに、ブレーキ装置固定部23の各ねじ挿通部23cに向けられている。これにより、ケース21のデッドスペースDSに各第1補強リブ24eが配置される。よって、各第1補強リブ24eを比較的大きく形成することができ、各第1補強リブ24e自身の剛性を高めることもできる。
さらに、各第1補強リブ24eに負荷される応力は、ねじ挿通部23cを介して外周壁部23bに伝達される。したがって、モータ収容部24のブレーキ装置固定部23に対する傾斜や捩れを、より確実に抑制することができる。ここで、出力軸57の軸方向に沿う外周壁部23bの肉厚は厚いため、出力軸57の軸方向に沿う外周壁部23bの剛性は高くなっている。よって、各第1補強リブ24eから負荷される応力により、外周壁部23bが変形することは無い。
ブレーキ装置固定部23には、複数の肉盗み部23eが設けられている。これらの肉盗み部23eは、ブレーキ装置固定部23のブレーキ装置側で、かつ円筒固定部23aの周囲に配置されている。各肉盗み部23eは、円筒固定部23aと外周壁部23bとの間に設けられ、円筒固定部23aの周方向に並んで配置されている。各肉盗み部23eは、ブレーキ装置固定部23のヒケに起因した変形を防止し、かつケース21の軽量化のために設けたものであり、出力軸57の軸方向に窪んでいる。
各肉盗み部23eは、出力軸57を中心に放射状に設けられた複数の放射状リブ23fにより互いに仕切られている。これらの放射状リブ23fは、円筒固定部23aと外周壁部23bとの間,円筒固定部23aと各ねじ挿通部23cとの間,円筒固定部23aとモータ収容部24との間にそれぞれ設けられている。
そして、これらの放射状リブ23fのうち、円筒固定部23aと各ねじ挿通部23cとの間にある放射状リブ23f1は、両者間の剛性を高めてケース21のブレーキ装置に対する捩れやがたつきを抑制する。また、各放射状リブ23fのうち、円筒固定部23aとモータ収容部24との間にある放射状リブ23f2は、モータ収容部24のブレーキ装置固定部23に対する傾斜や歪みを抑制する。
ここで、一対の第1補強リブ24eは、モータ収容部24を軸方向から見たときに、各肉盗み部23eと重ならずに外周壁部23bに繋がっている。これにより、ケース21を射出成形する際に用いる金型の形状を簡素化することができ、さらには各第1補強リブ24eから負荷される応力が、ケース21の薄肉となった肉盗み部23eに伝達されるのを防止している。
なお、モータ収容部24のブレーキ装置固定部23側とは反対側には、1つの第2補強リブ24mと、当該第2補強リブ24mを挟むようにして一対の肉盗み部24nが設けられている。第2補強リブ24mは、各第1補強リブ24eと同様に、モータ収容部24のブレーキ装置固定部23に対する傾斜や捩れを抑制する。また、各肉盗み部24nは、モータ収容部24のヒケに起因した変形を防止し、かつケース21を軽量化する。
図3および図6に示すように、電動モータ40はモータケース(ヨーク)41を備えている。モータケース41は、図7に示すように、鋼板(磁性材料)をプレス加工等することで有底の略円筒形状に形成されている。つまり、モータケース41は、板金製となっている。モータケース41の内側には、断面が略円弧形状に形成された複数のマグネット42(図示では2つのみ示す)が固定されている。そして、これらのマグネット42の内側には、コイル43が巻装されたアーマチュア44が、所定の隙間(エアギャップ)を介して回転自在に収容されている。
アーマチュア44の回転中心には、アーマチュア軸(回転軸)45の基端側が固定されている。つまり、アーマチュア軸45は、モータケース41の内部に回転自在に収容されている。アーマチュア軸45の基端部(図中上側)は、モータケース41の小径底部41aがある部分に配置され、小径底部41aの内側には軸受部材46が固定されている。そして、アーマチュア軸45の基端部は、軸受部材46によって回転自在に支持されている。ここで、軸受部材46としては、インナーレース,アウターレースおよびボールを有する玉軸受や、円筒鋼管の内側にフッ素樹脂層が形成されたメタル軸受(すべり軸受)等を採用することができる。
一方、アーマチュア軸45の先端部(図中下側)は、カバー部材55を介してモータケース41の外部に配置されている。そして、アーマチュア軸45の先端部には、ピニオンギヤ47が固定されている。
アーマチュア軸45の軸方向に沿うアーマチュア44とピニオンギヤ47との間には、コイル43の端部が電気的に接続されたコンミテータ48が一体に設けられている。コンミテータ48の外周部分には、一対のブラシ49が摺接するようになっている。ここで、コンミテータ48および各ブラシ49についても、モータケース41の内部にそれぞれ収容されている。
図6,図7および図9に示すように、モータケース41の軸方向一側(図7中右側)には、略円盤状に形成されたカバー部材55の位置決めを行う4つの突出爪41bが形成されている。これらの突出爪41bは、モータケース41の軸方向一側の端部41cから突出されている。各突出爪41bは、モータケース41をプレス加工等して有底の略円筒形状に形成した後に、モータケース41の径方向からポンチ(図示せず)を用いて打ち抜き加工等を施すことで形成される。
モータケース41の周方向に沿う各突出爪41bの両側には、各突出爪41bを挟むようにして一対の切欠凹部41dが設けられている。これらの切欠凹部41dは、各突出爪41bを打ち抜き加工等する際に一緒に形成される。各切欠凹部41dは、モータケース41の軸方向他側(図7中左側)に向けて、端部41cから窪んで設けられている。これらの切欠凹部41dには、ブラシホルダ50に設けた突起部51f(図8参照)がそれぞれ入り込むようになっている。そして、図6に示すように、ブラシホルダ50をモータケース41に装着した状態のもとで、ブラシホルダ50の突起部51fは、各切欠凹部41dを介して、モータケース41よりも径方向外側に突出される。
なお、モータケース41の軸方向他側(図7中左側)には、軸受部材46(図1参照)が固定される小径底部41aが設けられ、この小径底部41aは、モータケース41をプレス加工等して有底の略円筒形状に形成する際に、一緒に形成される。
ブラシホルダ50は、モータケース41の軸方向一側(図6中右側)に設けられ、コンミテータ48に摺接する一対のブラシ49を保持するものである。図8に示すように、ブラシホルダ50は、ケース21(図4参照)と同じ素材のPBT樹脂により略円盤状に形成されたホルダ本体51を備えている。ホルダ本体51の中心部分には、アーマチュア軸45(図3参照)が非接触の状態で回転自在に貫通される貫通孔51aが設けられている。
ホルダ本体51の一側面51bには、第1モータ端子52aおよび第2モータ端子52bを保持する一対の端子保持部51cが設けられている。これらの端子保持部51cは、一側面51bからホルダ本体51の軸方向に突出されている。これにより、ホルダ本体51の軸方向に延在された第1,第2モータ端子52a,52bを、屈曲させること無く確実に保持することができる。なお、第1モータ端子52aがプラス(+)端子とされ、第2モータ端子52bがマイナス(−)端子とされている。
第1,第2モータ端子52a,52bは、その先端側(図中上側)をホルダ本体51の他側面51d側から臨ませて、各端子保持部51cに挿通することで、ホルダ本体51に装着される。なお、ホルダ本体51の他側面51dは、電子部品等の実装面となっており、一対のチョークコイル53や一対のブラシ49(図8では1つのみ示す)が設けられている。一対のチョークコイル53は、一対のブラシ49が発生するノイズを吸収して、アクチュエータ20(図1参照)の外部へのノイズの放散を抑える機能を有している。
一対のブラシ49は、ホルダ本体51の他側面51dに一体に設けられた保持ケース51eによって、ホルダ本体51の径方向に移動自在に保持されている。そして、各ブラシ49は、押圧スプリング54のばね力により、ホルダ本体51の径方向内側に向けて押圧されている。これにより、各ブラシ49は、アーマチュア軸45に固定されたコンミテータ48(図3参照)の外周部分に摺接するようになっている。ここで、図8においては、ブラシ49等の配置関係を分かり易くするために、電子部品に網掛けを施している。
ホルダ本体51の径方向外側には、合計8つの突起部51fが一体に設けられている。つまり、これらの突起部51fは、ホルダ本体51の周方向に部分的に設けられている。各突起部51fの先端部分は、ブラシホルダ50をモータケース41に装着した状態のもとで、モータケース41よりも径方向外側に突出されている(図6参照)。つまり、各突起部51fのホルダ本体51の外周部分からの突出高さは、モータケース41の肉厚寸法よりも大きい寸法に設定されている。
図8に示すように、ブラシホルダ50の軸方向に沿う各突起部51fの他側面51d側には、それぞれテーパ面51gが設けられている。これらのテーパ面51gは、ブラシホルダ50の軸方向他側(図中下側)に向かうにつれて、各突起部51fの突出高さを徐々に低くするように傾斜されている。これらのテーパ面51gは、電動モータ40のモータ収容部24への収容を案内する機能を有している。これにより、電動モータ40のモータ収容部24への装着を容易に行うことができ、かつ電動モータ40がモータ収容部24に対して自動でセンタリング(自動調芯)され、電動モータ40の軸方向一側がモータ収容部24に対して高精度で位置決めされる。
また、各突起部51fの先端部分に外接する円(図示せず)の直径寸法は、モータ収容部24の円筒本体部24a(図5参照)の内径寸法よりも若干大きい直径寸法に設定されている。すなわち、ブラシホルダ50は、円筒本体部24aに対して軽圧入により当接される。よって、モータ収容部24に対する電動モータ40のがたつきが確実に抑制される。
ここで、円筒本体部24aの開口側、つまりモータ収容部24の軸方向一側であって、かつその径方向内側には、内壁部としての圧入壁部24p(図5中網掛け部分)が設けられており、この圧入壁部24pに対して、各突起部51fは当接される。各突起部51fおよび圧入壁部24pの部分は、何れも樹脂製である。よって、モータ収容部24に対する電動モータ40の装着時において、電動モータ40を短絡させたりする金属粉(削り屑)が発生することが無い。
このようにして、図3に示すように、電動モータ40の軸方向一側(図中下側)は、樹脂製の各突起部51fを樹脂製の圧入壁部24pに軽圧入することで、円筒本体部24aの軸方向一側(図中下側)にがたつくこと無く固定される。一方、電動モータ40の軸方向他側(図中上側)は、鋼板製のモータケース41を樹脂製の各支持突起24dの内側に軽圧入して支持させることで、円筒本体部24aの軸方向他側(図中上側)にがたつくこと無く固定される。
つまり、電動モータ40をモータ収容部24の規定位置に容易に収容することができるとともに、電動モータ40の軸方向一側および軸方向他側を、それぞれ確実にがたつかないようにできる。よって、電動モータ40の組み付け性向上と耐振性の向上とを両立できる。
ここで、本実施の形態では、8つある突起部51fのうち、ブラシホルダ50の周方向に沿って互いに近接配置された一対の突起部51fがセットとなり、本発明で言う「1箇所の突起部」を形成する。すなわち、図8に示すように、一対の突起部51f(A),一対の突起部51f(B),一対の突起部51f(C),一対の突起部51f(D)の部分における合計4箇所において、ブラシホルダ50は円筒本体部24aに装着されている。
なお、一対の突起部51f(A),一対の突起部51f(B),一対の突起部51f(C),一対の突起部51f(D)は、図8に示すように、ブラシホルダ50の周囲に分散して設けるのが望ましい。このように一対の突起部51f(A),一対の突起部51f(B),一対の突起部51f(C),一対の突起部51f(D)を、ブラシホルダ50の周囲に分散させて設けることで、電動モータ40をより確実にモータ収容部24の正規位置に配置でき、かつ電動モータ40のモータ収容部24に対するがたつきをより確実に防止できる。
そして、ブラシホルダ50の周方向に沿う一対の突起部51f(A)の間,一対の突起部51f(B)の間,一対の突起部51f(C)の間,一対の突起部51f(D)の間には、モータケース41に設けた4つの突出爪41bが装着される装着溝51h(A),51h(B),51h(C),51h(D)がそれぞれ形成されている。
図6および図9に示すように、モータケース41の軸方向一側(図6中右側)には、カバー部材55が装着されている。つまり、モータケース41の軸方向一側の開口部分は、ブラシホルダ50(図8参照)を装着した状態のもとでカバー部材55によって閉塞されている。カバー部材55は、鋼板をプレス加工等することで、略円盤状に形成されている。なお、カバー部材55の厚み寸法は、モータケース41の厚み寸法と略同じ厚み寸法となっている。
カバー部材55の中心部分には、アーマチュア軸45(図3参照)の先端側、つまりピニオンギヤ47側を、回転自在に支持する軸受部材56(図3参照)が固定される軸受固定部55aが一体に設けられている。また、カバー部材55には、ブラシホルダ50に設けた一対の端子保持部51cが挿通される一対の端子挿通孔55bが形成されている。さらに、カバー部材55の各端子挿通孔55bよりも径方向外側には、モータケース41の軸方向一側に設けた4つの突出爪41bが挿通される4つの爪挿通孔55cが形成されている。なお、各突出爪41bと爪挿通孔55cとは、互いに溶接等の接続手段により連結される。つまり、カバー部材55は、モータケース41に対して4箇所で固定されている。
カバー部材55の外周部分には、当該カバー部材55の径方向外側に突出するようにして、一対のねじ止めフランジ部55dと一対の当接フランジ部55eとが一体に設けられている。各ねじ止めフランジ部55dの方が、各当接フランジ部55eに比してその突出量が多くなっており、各ねじ止めフランジ部55dには、固定ねじSC(図10参照)が挿通されるねじ挿通孔55fがそれぞれ形成されている。そして、各ねじ止めフランジ部55dおよび各当接フランジ部55eは、軸受固定部55aを中心にそれぞれ対向配置されている。
なお、図9においては、カバー部材55と、各ねじ止めフランジ部55dおよび各当接フランジ部55eとの境界を明確にするために、網掛けを施している。ここで、カバー部材55をモータケース41に装着した状態のもとで、各ねじ止めフランジ部55dおよび各当接フランジ部55eは、モータケース41の軸方向一側において径方向外側に突出されている。すなわち、各ねじ止めフランジ部55dおよび各当接フランジ部55eは、本発明におけるフランジ部を構成している。
各ねじ止めフランジ部55dおよび各当接フランジ部55eは、電動モータ40をモータ収容部24に収容した状態のもとで、円筒本体部24aの軸方向一側に設けた環状の当接部24g(図5参照)に、面接触で当接するようになっている。そして、各ねじ止めフランジ部55dは、固定ねじSC(図10参照)によって当接部24gに強固に固定され、各当接フランジ部55eは、当接部24gに当接するのみとなっている。
ここで、各当接フランジ部55eは、本発明における傾動抑制フランジ部を構成している。各当接フランジ部55eは、図10に示すように、各ねじ止めフランジ部55dの周方向に沿う各固定ねじSCの間に配置されている。これにより、図10に示す各固定ねじSCを結んだ基準線L1を中心に、電動モータ40に矢印R2のように傾動させる捩り力が作用したとしても、各当接フランジ部55eは当接部24gに当接しているので、電動モータ40のケース21に対する傾動が確実に防止される。電動モータ40のケース21に対するより具体的な動作については、後で詳述する。
図9に示すように、カバー部材55の軸受固定部55aよりも端子保持部51c側(図中右側)にある当接フランジ部55eには、略正方形形状に切り欠かれた回り止め凹部55gが形成されている。この回り止め凹部55gは、カバー部材55の径方向内側に窪んで設けられ、電動モータ40をモータ収容部24に収容した状態のもとで、当接部24gに設けた回り止め突起24k(図5参照)が入り込んで係合するようになっている。
ここで、ケース21に設けた回り止め突起24kと、電動モータ40に設けた回り止め凹部55gとは、本発明における回り止め機構を構成している。すなわち、これらの回り止め機構は、当接フランジ部55eとケース21との間に設けられ、これにより電動モータ40のケース21(図4参照)に対する回り止めが行われる。
図3に示すように、ケース21には、出力軸57が回転自在に設けられている。出力軸57は、図示しないブレーキ装置に連結され、電動モータ40の動力をブレーキ装置に伝達するものである。出力軸57は、アーマチュア軸45の回転力を外部に出力するもので、減速機構60を形成する遊星キャリヤ66に一体に設けられている。これにより、高トルク化された回転力がブレーキ装置に伝達される。そして、アーマチュア軸45と出力軸57とは、それぞれ平行となるよう並んでケース21に設けられ、アーマチュア軸45と出力軸57との間に、減速機構60が配置されている。
また、減速機構60とピニオンギヤ47との間には、アーマチュア軸45と平行に並べられた出力軸57に動力を伝達するための入力側二段ギヤ70が設けられている。入力側二段ギヤ70は、ピニオンギヤ47に噛み合わされる大径ギヤ71と、減速機構60を形成する出力側二段ギヤ61の大径ギヤ62に噛み合わされる小径ギヤ72とを備えている。
減速機構60は遊星歯車減速機構であって、出力側二段ギヤ61を有している。出力側二段ギヤ61は、入力側二段ギヤ70の小径ギヤ72に噛み合わされる大径ギヤ62と、サンギヤ(太陽歯車)として機能する小径ギヤ63とを備えている。また、減速機構60は、4つのプラネタリギヤ(遊星歯車)64(図示では2つのみ示す)を備えており、これらのプラネタリギヤ64は、それぞれ小径ギヤ63および内歯車65の双方に噛み合わされている。ここで、減速機構60は、カバー22に装着された支持ピンPNによって回動自在に支持されている。
各プラネタリギヤ64は、遊星キャリヤ66に支持ピン67を介してそれぞれ回転自在に支持されている。内歯車65は、ケース21にインサート成形により固定され、遊星キャリヤ66は内歯車65に対して相対回転可能となっている。これにより、アーマチュア軸45の回転力が、入力側二段ギヤ70および出力側二段ギヤ61を介して減速機構60に伝達され、減速機構60により減速される。その後、減速機構60により減速されて高トルク化された回転力は、出力軸57からブレーキ装置に伝達される。よって、小型の電動モータ40を用いて電動ブレーキ装置を構築することができる。
次に、以上のように形成したアクチュエータ20の動作について、図面を用いて詳細に説明する。ここでは、電動モータ40のケース21に対する動作(挙動)について、特に[組み付け時]と[電動モータ作動時]とに分けて、図面を用いて詳細に説明する。
[組み付け時]
まず、電動モータ40のモータケース41(図3参照)を、ケース21の円筒本体部24a(図3参照)に挿入する。このとき、図10に示すように、各端子保持部51cを、第1,第2ケース端子25a,25bに近接配置されるように、電動モータ40のケース21に対する向きを調整する。そして、当接部24gに設けた回り止め突起24kを、当接フランジ部55eに設けた回り止め凹部55gに入り込ませる。このとき、モータケース41の軸方向他側は4つの支持突起24dに軽圧入されるとともに、ホルダ本体51の8つの突起部51fが円筒本体部24aに軽圧入され、モータケース41がケース21に対してセンタリングされながら固定される。その後、一対の固定ねじSCを用いて、一対の各ねじ止めフランジ部55dを当接部24gに固定する。
このとき、例えば、各固定ねじSCの締結作業を手作業で行う場合等において、各固定ねじSCの各雌ねじ部24h(図4参照)に対するねじ込み角度が傾斜してしまうと、締結作業を進めていくにつれて電動モータ40がケース21に対して矢印R1のように揺動しようとする。これに対し、本実施の形態においては、回り止め突起24kが回り止め凹部55gに入り込んだ状態となっているので、電動モータ40はケース21に対して相対回転することが無い(回り止めされた状態となっている)。よって、例えば、作業者は、ねじ込みが適正でないことに直ぐに気付くことができ、雌ねじ部24hの損傷を未然に防ぐことができる。したがって、電動モータ40のケース21に対する固定強度が、製品毎に不安定になるのを防止できる。
[電動モータ作動時]
電動モータ40の作動時には、減速機構60からピニオンギヤ47を介して電動モータ40のアーマチュア軸45に大きな反力が掛かる。すると、電動モータ40とケース21との固定点である各固定ねじSCを結んだ基準線L1を中心に、電動モータ40が矢印R2のように捩られる。このとき、電動モータ40の各当接フランジ部55eが、ケース21の当接部24gに当接しているので、電動モータ40のケース21に対する傾動が防止される。よって、動力伝達のロスを低減することができるとともに、ブレーキ装置の制動力にばらつきが生じるのを確実に防止することができる。
また、図11に示すように、基準線L1と略直交する方向に延びる基準線L2上に、ケース21側に設けた一対の支持突起24d(太破線)が配置されている。さらに、基準線L1と略直交する方向に延びる基準線L3上に、一対の突起部51f(A)および一対の突起部51f(D)(細破線)が配置されている。これにより、電動モータ40が矢印R2のように捩られたとしても、電動モータ40の傾斜方向には、図11に示すように、一対の支持突起24d,一対の突起部51f(A)および一対の突起部51f(D)が配置されているので、より確実に電動モータ40のケース21に対する傾動が防止される。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、樹脂製のブラシホルダ50に一体に設けた突起部51fを、円筒本体部24aの径方向内側に設けた圧入壁部24pに軽圧入により当接させるので、ブラシホルダ50の突起部51fと円筒本体部24aの圧入壁部24pとの間に多少の寸法誤差があったとしても、突起部51fが樹脂製であるため、圧入壁部24pに対して容易に当接させることができる。樹脂製の突起部51fを圧入壁部24pに当接させるので、これらを互いに自動でセンタリング(自動調芯)させることができ、ひいてはモータケース41のケース21に対する位置精度を向上させて、当該部分でのがたつきを確実に防止することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、突起部51fが、ブラシホルダ50の周方向に部分的に設けられるので、電動モータ40のケース21への圧入荷重を小さくすることができる。よって、アクチュエータ20の組み立て性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態によれば、ブラシホルダ50の周方向に突起部51fを分散させて配置したので、電動モータ40をモータ収容部24の正規位置に確実に配置することができる。
また、本実施の形態によれば、突起部51fに、電動モータ40のケース21への収容を案内するテーパ面51gを設け、さらに支持突起24dにもテーパ面24fを設けたので、電動モータ40をモータ収容部24に対して容易に収容することができる。
さらに、本実施の形態によれば、支持突起24dにおいても、円筒本体部24aの周方向に部分的に設けられるので、電動モータ40のケース21への圧入荷重を小さくすることができる。よって、アクチュエータ20の組み立て性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、円筒本体部24aの周方向に、4つの支持突起24dを等間隔(90度間隔)で配置したので、電動モータ40をモータ収容部24の正規位置に確実に収容することができる。
さらに、本実施の形態によれば、モータケース41の軸方向一側に、当該モータケース41よりも径方向外側に突出された、一対のねじ止めフランジ部55dおよび一対の当接フランジ部55eを設け、モータケース41の軸方向一側に、これらのフランジ部55d,55eが当接される当接部24gを設けた。そして、当接フランジ部55eと当接部24gとの間に、モータケース41のケース21に対する回り止めを行う、互いに係合する回り止め凹部55gおよび回り止め突起24k(回り止め機構)を設けた。これにより、電動モータ40のケース21に対する固定ねじSCによる固定作業を、製品毎にばらつくこと無く正確に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、一対のねじ止めフランジ部55dを、アーマチュア軸45を中心に対向配置された一対の固定ねじSCによって当接部24gにそれぞれ固定し、各ねじ止めフランジ部55dの周方向に沿う一対の固定ねじSCの間に、当接部24gに当接してモータケース41のケース21に対する傾動を抑える一対の当接フランジ部55eを設けた。これにより、各固定ねじSCを結んだ基準線L1(図10参照)を中心に、電動モータ40に矢印R2のように傾動させる捩り力が作用したとしても、電動モータ40のケース21に対する傾動を確実に防止することができる。
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12は実施の形態2のアクチュエータを示す図11に対応した平面図を示している。
図12に示すように、実施の形態2に係るアクチュエータ80では、ブラシホルダ50の径方向外側に、一対の突起部51f(E),一対の突起部51f(F),一対の突起部51f(G)を設け、これらの突起部51f(E),51f(F),51f(G)がある部分の合計3箇所を、円筒本体部24aの圧入壁部24p(図5参照)に当接させている。
また、各突起部51f(E),51f(F),51f(G)の数の変更に伴い、モータケース41の軸方向一側に設けられる突出爪41bを3つとし、かつカバー部材55に設けられる爪挿通孔55cを3つとしている。そして、これら3つの突出爪41b,爪挿通孔55cと、各突起部51f(E),51f(F),51f(G)とは、図12に示すように、カバー部材55の周方向に等間隔(120度間隔)でそれぞれ配置されている。より具体的には、各固定ねじSCを結んだ基準線L1と直交する基準線L4上に、3つある突出爪41b,爪挿通孔55cおよび各突起部51f(E),51f(F),51f(G)のうちの、一対の突起部51f(E)がある部分が配置されている。
さらに、円筒本体部24aの底壁部24b(図5参照)寄りの部分には、電動モータ40のモータケース41における軸方向他側を径方向から支持する3つの支持突起24dを設けている。これら3つの支持突起24dは、円筒本体部24aの周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。より具体的には、3つある支持突起24dのうちの1つが基準線L4上に配置され、かつ各支持突起24dはカバー部材55の周方向に沿う各突起部51f(E),51f(F),51f(G)の間にそれぞれ配置されている。
また、カバー部材55の軸受固定部55aよりも端子保持部51c側(図中右側)にある、ねじ止めフランジ部55dおよび当接フランジ部55eには、ケース接触部81,82が一体に設けられている。これらのケース接触部81,82は、ねじ止めフランジ部55dおよび当接フランジ部55eよりも径方向外側に膨出され、その先端部分が、電動モータ40をモータ収容部24(ケース21)に収容した状態のもとで、ケース21の側壁部83に接触されている。これにより、電動モータ40のケース21に対する回り止めがなされる。
ここで、ケース21の側壁部83と、電動モータ40に設けたケース接触部81,82とは、本発明における回り止め機構を構成している。すなわち、これらの回り止め機構は、ねじ止めフランジ部55dおよび当接フランジ部55eと、ケース21との間に設けられ、これにより電動モータ40のケース21に対する回り止めがなされる。
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、アクチュエータ20を、自動車等の車両に搭載されるブレーキ装置用の駆動源に用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、パワーウィンドウ装置やスライドドア開閉装置等の駆動源に用いることもできる。
また、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良等が可能である。その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。