WO2022264825A1

WO2022264825A1 - モータ装置、モータ装置の製造方法、端子接続機構、端子接続方法および電動ブレーキ装置

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Publication number: WO2022264825A1
Application number: PCT/JP2022/022484
Authority: WO
Inventors: 達朗小船; 光森田; 隆寿服部
Original assignee: 日立Astemo株式会社
Priority date: 2021-06-15
Filing date: 2022-06-02
Publication date: 2022-12-22
Also published as: CN117581458A; EP4358373A1; JPWO2022264825A1

Abstract

モータカバーのカバー側端子モータケースのモータ端子の延出方向において、基部から第１の長さをもって離間した第１位置でモータ端子に電気的に圧入固定されている。これに対して、モータカバーの固定部は、モータケースのモータ端子の延出方向において、基部から第１の長さと異なる第２の長さをもって離間した第２位置で突出部入固定されている。この場合、例えば、第１の長さより第２の長さの方が長い。

Description

モータ装置、モータ装置の製造方法、端子接続機構、端子接続方法および電動ブレーキ装置

　本開示は、モータ装置、モータ装置の製造方法、端子接続機構、端子接続方法および電動ブレーキ装置に関する。

　特許文献１には、複数の端子の圧入状態を圧入荷重に基づき個別に管理することができるモータが開示されている。このモータによれば、モータの表面に対する各バスバーの突出高さがすべて異なる。このため、各端子部が各バスバーのスリットに圧入されるタイミングもすべて異なる。そして、各スリットに対する各端子部の圧入が開始されるたびに、荷重センサを通じて検出される荷重の傾きが変化する。即ち、当該検出される荷重には、３つの端子部の圧入状態が傾きの変化として個別に反映される。従って、荷重に基づき各端子部の圧入状態を管理することが可能となる。また、例えば、特許文献２－４には、モータの駆動に基づいて制動力を付与する電動ブレーキ装置が記載されている。

特開２０１６－００４６１６号公報特開２０１６－１６１０２５号公報特開２０１９－１３０９３９号公報特開２０２０－００８１３４号公報

　ところで、「モータ端子と電気接続端子との圧入タイミング」と「機械的にモータをハウジングに固定するための圧入部の圧入タイミング」との設定が略同一であると、荷重発生のタイミングが略同じとなる。これにより、モータ端子と電気接続端子とが正しく嵌合したか否かを確認できないおそれがある。これに対して、特許文献１では、複数の端子の圧入タイミングを異ならせることで、荷重に基づき各端子部の圧入状態を管理する点は開示されている。しかし、上述のように機能の異なる２つの部位の圧入タイミングによる影響は考慮されていない。

　本発明の一実施形態の目的は、機能の異なる２つの部位を圧入する際に、端子（例えば、モータ端子）と電気接続部（電気接続端子）の嵌合状態の悪化を抑制できるモータ装置、モータ装置の製造方法、端子接続機構、端子接続方法および電動ブレーキ装置を提供することにある。

　本発明の一実施形態は、モータケースと、モータカバーと、を備え、前記モータケースは、モータと、前記モータに接続した端子と、前記モータが収容されたケース本体であって、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を有するケース本体と、を備え、前記モータカバーは、前記端子の延出方向において、前記基部から第１の長さをもって離間した第１位置で前記端子に電気的に圧入固定された電気接続部と、前記端子の延出方向において、前記基部から前記第１の長さと異なる第２の長さをもって離間した第２位置で前記突出部に圧入固定された固定部と、を備える、モータ装置、および、このモータ装置を備える電動ブレーキ装置である。

　また、本発明の一実施形態は、モータと、前記モータに接続した端子と、前記モータが収容されたケース本体であって、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を有するケース本体と、を備えるモータケースを準備する第１工程と、前記端子に電気的に固定される電気接続部と、前記突出部に圧入固定される固定部と、を備えるモータカバーを準備する第２工程と、前記端子の延出方向から前記端子が前記電気接続部に圧入される第１の圧入タイミングと、前記端子の延出方向から前記突出部が前記固定部に圧入される第２の圧入タイミングと、が異なるように前記モータケースと前記モータカバーとを互いに固定する第３工程と、を備えるモータ装置の製造方法である。

　また、本発明の一実施形態は、第１ハウジングと、第２ハウジングと、を備え、前記第１ハウジングは、端子と、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を備え、前記第２ハウジングは、前記端子の延出方向において、前記基部から第１の長さをもって離間した第１位置で前記端子に電気的に圧入固定された電気接続部と、前記端子の延出方向において、前記基部から前記第１の長さと異なる第２の長さをもって離間した第２位置で前記突出部に圧入固定された固定部と、を備える、端子接続機構である。

　さらに、本発明の一実施形態は、端子と、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を備える第１ハウジングを準備する第１工程と、前記端子に電気的に固定される電気接続部と、前記突出部に圧入固定される固定部と、を備える第２ハウジングを準備する第２工程と、前記端子の延出方向から前記端子が前記電気接続部に圧入される第１の圧入タイミングと、前記端子の延出方向から前記突出部が前記固定部に圧入される第２の圧入タイミングと、が異なるように前記第１ハウジングと前記第２ハウジングとを互いに固定する第３工程と、を備える端子接続方法である。

　本発明の一実施形態によれば、機能の異なる２つの部位を圧入する際に、端子（例えば、モータ端子）と電気接続部（電気接続端子）の嵌合状態の悪化を抑制できる。

実施形態によるモータ装置（端子接続機構）を備えた電動ブレーキ装置を示す外形図。図１中の電動ブレーキ装置からモータ装置（端子接続機構）を取出し、かつ、モータケース（第１ハウジング）とモータカバー（第２ハウジング）とを分離して示す外形図。モータケース（第１ハウジング）とモータカバー（第２ハウジング）とを固定するときの状態を（Ａ）から順に（Ｄ）まで段階的に示す一部が断面の外形図。モータケース（第１ハウジング）とモータカバー（第２ハウジング）とを固定するときのストロークと荷重との関係の一例を示す特性線図。変形例によるモータケース（第１ハウジング）とモータカバー（第２ハウジング）とを固定するときのストロークと荷重との関係の一例を示す特性線図。

　以下、実施形態によるモータ装置（端子接続機構）を、４輪自動車の電動ブレーキ装置に搭載した場合を例に挙げ、添付図面に従って説明する。

　図１ないし図４は、実施形態を示している。図１において、電動ブレーキ装置１は、例えば、電動モータを備えた液圧式のディスクブレーキ（電動パーキングブレーキ機能付の液圧式のディスクブレーキ）に対応する。電動ブレーキ装置１は、図示しない車両（自動車）に搭載される。電動ブレーキ装置１は、ブレーキ本体部２と、電動アクチュエータ部３とを備えている。

　ブレーキ本体部２は、例えば、キャリアと呼ばれる取付部材と、ホイルシリンダとしてのキャリパと、制動部材（摩擦部材、摩擦パッド）としての一対のブレーキパッドと、押圧部材としてのピストンとを備えている。この場合、キャリパとピストンは、シリンダ機構、即ち、液圧によってピストンが移動してブレーキパッドをディスクロータに押圧するシリンダ機構を構成している。ブレーキ本体部２は、液圧によりブレーキパッドをディスクロータに押圧して制動力を付与する液圧式のブレーキ機構（液圧ブレーキ）に対応する。被制動部材（回転部材）としてのディスクロータは、車両の車輪と共に回転する。

　電動アクチュエータ部３は、モータ装置４と、モータ装置カバー５と、減速機６と、減速機カバー７と、回転直動変換機構とを備えている。モータ装置４は、ブレーキ本体部２のピストンを推進するための推進源（駆動源）となるモータ１２（コイルおよび永久磁石）を含んで構成されている。モータ装置カバー５は、モータ装置４のモータケース１１（モータ１２）を外気から遮断し保持するモータ装置４用のカバー部材である。モータ装置カバー５には、フランジ部５Ａが設けられている。モータ装置カバー５のフランジ部５Ａには、モータ装置４のモータカバー２１のフランジ部２７が図示しないねじを用いてねじ止めされる。これにより、モータ装置４がモータ装置カバー５に保持される。

　減速機６は、例えば、歯車式減速機により構成されている。減速機６は、モータ１２の回転を減速して回転直動変換機構に伝達する。減速機カバー７は、減速機６を外気から遮断し保持する減速機６用のカバー部材である。即ち、減速機６を構成する複数の歯車は、減速機カバー７内に回転可能に支持される。モータ装置カバー５および減速機カバー７は、例えば、それぞれ別体として形成してもよいし、一つのカバーとして一体に形成してもよい。図１に示すように、モータ装置４、減速機６、モータ装置カバー５および減速機カバー７は、これらの組立体であるモータギヤユニット８を構成している。

　回転直動変換機構は、回転直動機構とも呼ばれ、例えば、ブレーキ本体部２のピストン内に設けられている。回転直動変換機構は、ブレーキパッドの押圧力を保持する保持機構（押圧部材保持機構）を構成している。回転直動変換機構は、例えば、雄ねじが形成された棒状体からなるねじ部材と、雌ねじ穴が内周側に形成された推進部材となる直動部材とにより構成されている。回転直動変換機構は、モータ１２の回転をピストンの軸方向の変位に変換すると共に、モータ１２により推進したピストンを保持する。

　実施形態では、電動ブレーキ装置１は、ブレーキペダルの操作等に基づいて発生するブレーキ液圧によりピストンを推進させ、ブレーキパッドでディスクロータを押圧することにより、車輪延いては車両に制動力を付与する。これに加えて、電動ブレーキ装置１は、パーキングブレーキスイッチからの信号等に基づく作動要求に応じて、モータ１２により回転直動変換機構を介してピストンを推進させ、車両に制動力（パーキングブレーキ、走行中の補助ブレーキ）を付与する。このために、電動ブレーキ装置１は、モータ装置４を備えている。なお、電動ブレーキ装置１のブレーキ本体部２および電動アクチュエータ部３の基本的な構成については、前述の特許文献２－４等を含む各種文献により公知であるため、基本構成に関するこれ以上の説明は省略する。

　また、実施形態では、電動ブレーキ装置１として、電動モータを備えた液圧式のディスクブレーキを例に挙げて説明した。しかし、これに限定されず、電動ブレーキ装置は、例えば、電動キャリパを備えた電動式ディスクブレーキ、電動モータによりシューをドラムに押付けて制動力を付与する電動式ドラムブレーキ、電動ドラム式のパーキングブレーキを備えたディスクブレーキ、電動モータでケーブルを引っ張ることによりパーキングブレーキをアプライ作動させるケーブルプラー式電動パーキングブレーキ等を用いてもよい。即ち、電動ブレーキ装置１は、電動モータの駆動に基づいて摩擦部材（パッド、シュー）を回転部材（ロータ、ドラム）に押圧（推進）し、その押圧力の保持と解除とを行うことができる構成であれば、各種の電動ブレーキ（電動ブレーキ機構）を用いることができる。

　次に、端子接続機構としてのモータ装置４について、図１に加え、図２ないし図４も参照しつつ説明する。

　図２に示すように、モータ装置４は、第１ハウジングとしてのモータケース１１と、第２ハウジングとしてのモータカバー２１とを備えている。なお、図２は、モータ装置４を構成するモータケース１１とモータカバー２１とを分離した状態を示している。即ち、図２は、モータケース１１とモータカバー２１とを互いに固定する前（組み付け前）の状態を示している。これに対して、図１は、モータケース１１とモータカバー２１とを互いに固定した後のモータ装置４を、電動ブレーキ装置１（より具体的には、モータギヤユニット８）に組み込んだ状態を示している。

　即ち、図１は、モータケース１１とモータカバー２１とが互いに固定された状態のモータ装置４を、電動ブレーキ装置１（より具体的には、モータギヤユニット８）のモータ装置カバー５に取付けた状態を示している。この取付けは、例えば、モータ装置４のモータカバー２１のフランジ部２７とモータ装置カバー５のフランジ部５Ａとを当接させた状態で図示しないねじを用いてねじ止め固定することより行うことができる。

　図２に示すように、モータ装置４のモータケース１１は、モータ１２と、端子としてのモータ端子１３と、ケース本体１４とを備えている。モータ１２は、例えば、コイルにより構成されるステータ（固定子）と、ステータの中央部に回転可能に設けられ永久磁石により構成されるロータ（回転子）とを備えている。なお、コイルをロータとし、永久磁石をステータとしてもよい。

　モータ端子１３は、モータ１２に接続している。例えば、モータ端子１３は、モータ１２のコイルと接続されている。モータ端子１３は、モータカバー２１のカバー側端子２４と圧入により接続される。モータ端子１３は、例えば、平板状の板体の端子として構成されている。モータ１２（コイル）には、カバー側端子２４とモータ端子１３とを介して電力が供給される。ケース本体１４は、モータ１２を収容している。逆に言えば、モータ１２は、ケース本体１４に収容されている。

　ケース本体１４は、基部１５と、突出部１６とを有している。基部１５は、ケース本体１４の一端側、即ち、モータカバー２１と対面する側を閉塞している。基部１５は、モータ端子１３が延出している。即ち、モータ端子１３は、基部１５からモータカバー２１側に向けて延出している。突出部１６は、基部１５から突出している。即ち、突出部１６は、基部１５からモータカバー２１側に向けて突出している。突出部１６は、例えば、円柱部材として基部１５に形成されている。基部１５は、モータカバー２１の固定部２５に圧入固定される。

　一方、モータキャップとなるモータカバー２１は、モータ１２を保持する機能を有している。モータカバー２１は、例えば、樹脂成形されており、全体として略有底筒状に形成されている。モータカバー２１には、車両側のコネクタ（車両側コネクタ）が嵌め込まれるモータ装置側コネクタ２２が設けられている。また、モータカバー２１には、モータ装置４をモータ装置カバー５に取付けるときにモータ装置カバー５のフランジ部５Ａと当接するフランジ部２７が設けられている。モータカバー２１のフランジ部２７とモータ装置カバー５のフランジ部５Ａは、例えば、図示しないねじを用いてねじ止めされる。

　モータカバー２１には、モータ１２に給電するための導通性のある導通部材２３がインサート成形されている。導通部材２３の一方となる一端側は、車両側のコネクタと接続される平板形状となっている。導通部材２３の他方となる他端側は、モータ１２側のモータ端子１３との接続部となるカバー側端子２４を有している。カバー側端子２４は、例えばバスバーとも呼ばれ、ワニ口形状の接続端子（ワニ口形状端子）として構成されている。即ち、カバー側端子２４は、例えば、平板状の板体の端子として構成されており、かつ、内側に板状のモータ端子１３を挟み込むことによりモータ端子１３が圧入される切り欠き部を有している。これにより、カバー側端子２４は、全体として略Ｕ字状または略Ｙ字状に形成されている。

　カバー側端子２４は、モータ端子１３に電気的に接続されると共に、モータ端子１３に圧入固定される。即ち、カバー側端子２４とモータ端子１３は、端子間を圧入することで電気的に接続される。また、モータ１２を含むモータケース１１とモータカバー２１との機械的接続は、カバー側端子２４とモータ端子１３との接続部位（電気的接続部位）とは別の部位で行われる。即ち、モータケース１１とモータカバー２１は、モータケース１１側の突出部１６とモータカバー２１側の固定部２５とが圧入固定（圧入嵌合）されることで保持される。

　このように、モータカバー２１は、モータケース１１のモータ端子１３に電気的に圧入固定される電気接続部としてのカバー側端子２４と、モータケース１１の突出部１６に圧入固定される固定部２５とを備えている。そして、電気的接続は、モータ端子１３をワニ口形状のカバー側端子２４の嵌合部に圧入することにより行われる。カバー側端子２４の嵌合部は、モータ端子１３の板厚より狭くなる箇所に対応する。

　一方、機械的接続は、モータケース１１側に設けられた円柱状の突出部１６とモータカバー２１側に設けられた円筒状の固定部２５との圧入嵌合により行われる。この場合、図３に示すように、モータカバー２１の固定部２５内には、固定部２５の内径寸法が突出部１６の外径寸法よりも小さくなるように複数のリブ２６が周方向に離間して設けられている。このため、突出部１６は、固定部２５の内側で突出部１６の外径寸法よりも内径寸法が狭くなる部位、即ち、リブ２６に対応する部分に圧入される。

　即ち、円柱状の突出部１６と円筒状の固定部２５は、モータケース１１とモータカバー２１とを互いに固定するときに、固定部２５の内径が突出部１６の外径よりも小さくなる部位（リブ２６に対応する部位）から圧入が開始される。その後、突出部１６は、モータケース１１の突き当て面１７となる基部１５の端面とモータカバー２１の固定部２５の先端とが突き当るまで、固定部２５内に挿入される。これにより、モータケース１１とモータカバー２１は、お互いに位置が固定される。

　また、この状態で、突出部１６と固定部２５との圧入部位、および、モータ端子１３とカバー側端子２４との圧入部位は、モータカバー２１およびモータケース１１のケース本体１４（より具体的には、基部１５）によって全体が覆われる。即ち、モータケース１１とモータカバー２１とを互いに固定している途中、および、モータケース１１とモータカバー２１との固定が完了した状態で、それぞれの圧入部位が覆われる。換言すれば、モータカバー２１は、モータケース１１に固定された状態で、突出部１６と固定部２５とモータ端子１３とカバー側端子２４とを外側から覆う形状（有底筒状）となっている。即ち、モータカバー２１は、内側に固定部２５およびモータ端子１３を有する有底筒状の本体部２９（蓋部）を備えている。

　実施形態では、モータ１２を電気的に接続するためのモータ端子１３およびカバー側端子２４による圧入部位（２本）と、機械的にモータ１２を固定するための樹脂製の突出部１６および固定部２５による圧入部位（１か所）とを備えている。即ち、実施形態では、モータカバー２１とモータケース１１は、２か所の端子圧入部と１か所の樹脂圧入部との複数の圧入部（合計３か所の圧入部）を有している。

　このため、モータカバー２１とモータケース１１とを組み付けるときに、端子圧入部（端子接続部）の圧入と樹脂圧入部（機械接続部）の圧入とが行われる。このとき、端子圧入部の圧入状態を監視するために、モータカバー２１とモータケース１１との押し付け荷重と押し付け位置の変化量（ストローク）との関係（特性）を計測機により検知する。即ち、計測機により「荷重－ストローク」の特性を検知し、この特性に基づいて端子圧入部の圧入状態の適否を判定する。

　ここで、例えば、端子圧入部の高さと樹脂圧入部の高さとが同じである場合を考える。この場合は、モータカバーとモータケースとを組み付ける製造工程（組立工程）で、端子圧入部と樹脂圧入部との圧入のタイミングが同時になり、それぞれが正しく接続したことを荷重から判別することができなくなる可能性がある。

　そこで、実施形態では、電気接続を行う端子圧入部（モータ端子１３とカバー側端子２４との接続部位）の高さ寸法と機械接続を行う樹脂圧入部（突出部１６と固定部２５との接続部位）の高さ寸法とをずらしている。即ち、電気的な接続部位の接続状態が適正か否か判別するために、電気接合（端子部品の圧入）と機械接合（樹脂部材の圧入）の開始時期に、位相を持たせている。これにより、荷重による接続状態の適否の判断を行うができる。

　このために、図３に示すように、実施形態では、端子圧入部（モータ端子１３、カバー側端子２４）の接続位置を、樹脂圧入部（突出部１６、固定部２５）の圧入開始点よりも高くしている。これにより、端子圧入部（モータ端子１３、カバー側端子２４）の接続（圧入）のタイミングを樹脂圧入部（突出部１６、固定部２５）の接続（圧入）のタイミングよりも早くしている。この結果、図４に示すように、端子圧入部（モータ端子１３、カバー側端子２４）が圧入された後に、樹脂圧入部（突出部１６、固定部２５）が圧入されるため、製造工程（組立工程）において、端子圧入部（モータ端子１３、カバー側端子２４）および樹脂圧入部（突出部１６、固定部２５）がそれぞれ正しく接続したことを荷重で確認することができる。

　即ち、実施の形態では、モータ端子１３とカバー側端子２４の圧入状態を、「モータカバー２１のモータ端子１３の延出方向における移動量であるストローク」と「ストロークの際に発生する荷重」との関係に基づいて検査する。この場合、予め実験や解析により、接続が正しく行われる場合の荷重と位置（ストローク）との関係、および、接続が正しく行われない場合の荷重と位置（ストローク）との関係を取得し、所定のストローク域における荷重閾値を設定する。接続が正しく行われない場合としては、例えば、カバー側端子２４の隙間からモータ端子１３が外れて乗り上げてしまう場合等が挙げられる。そして、製造工程（組立工程）において、所定ストローク範囲内の荷重が所定範囲を外れた場合に接続は正しくないと判断し、所定ストローク範囲内の荷重が所定範囲の場合に接続は正しいと判断する。

　ここで、「機械的圧入箇所である突出部１６と固定部２５との圧入」と「電気的圧入箇所であるモータ端子１３とカバー側端子２４との圧入」との位相が近い場合、測定される荷重は、それぞれの総和となり、判定感度が下がる可能性がある。このため、実施形態では、モータ端子１３とカバー側端子２４との圧入荷重を精度よく測定できるように、「モータ端子１３とカバー側端子２４と圧入」を「突出部１６と固定部２５との圧入」よりも短いストロークにすることにより、先に「モータ端子１３とカバー側端子２４との圧入」が開始されるように設定している。

　一般的に、電気的接続（端子の圧入）は、機械的接続（固定のための圧入）と比較して、圧入荷重は小さい。このため、実施形態では、機械的接続の圧入よりも先に、短いストロークで電気的接続の圧入を開始するようにしている。即ち、図４に示すように、突出部１６と固定部２５との機械的保持圧入開始点よりも、モータ端子１３とカバー側端子２４との電気接続端子圧入開始点が先になるようにしている。この結果、電気的な接続部位（モータ端子１３、カバー側端子２４）と機械的接続部位（突出部１６、固定部２５）の両方の圧入荷重を正確に検出し、荷重による組付け不良の検知をより正確に行うことができる。

　このような圧入順を満足するために、実施形態では、各部の寸法を次のように設定している。即ち、図３の（Ａ）に示すように、モータカバー２１の突き当て面２８からカバー側端子２４の接続部（即ち、モータ端子１３との接続が開始される部位）までの高さを「ｈ１」とし、モータケース１１（基部１５）の突き当て面１７からモータ端子１３の接続部（即ち、カバー側端子２４との接続が開始される部位）までの高さを「ｈ２」とし、モータケース１１（基部１５）の突き当て面１７から突出部１６の接続部（即ち、固定部２５との接続が開始される部位）までの高さを「ｈ３」とし、モータカバー２１の突き当て面２８から固定部２５の接続部（即ち、突出部１６との接続が開始される部位）までの深さを「ｈ４」とする。

　そして、この場合に、モータ端子１３とカバー側端子２４とが圧入された後に、突出部１６と固定部２５とが圧入される寸法関係となるように、次の数１式を満たしている。即ち、次の数１式では、左辺が０よりも大きくなるように設定している。

　例えば、「ｈ１」を８mmとし、「ｈ２」を５mmとし、「ｈ３」を４mmとし、「ｈ４」を５mmとする。この場合には、モータ端子１３とカバー側端子２４とが４mm圧入された後に、突出部１６と固定部２５との圧入が開始される。図４は、このような組付けを行ったときのストロークと荷重との関係の一例を示している。

　このように、実施形態では、モータケース１１とモータカバー２１とを互いに固定するときに、モータ端子１３とカバー側端子２４との圧入が開始されるタイミングと突出部１６と固定部２５との接続が開始されるタイミングとが異なるように構成している。このために、実施形態では、図３の（Ｄ）に示すように、モータカバー２１のカバー側端子２４は、モータケース１１のモータ端子１３の延出方向において、基部１５から第１の長さＬ１をもって離間した第１位置でモータ端子１３に電気的に圧入固定されている。これに対して、モータカバー２１の固定部２５は、モータケース１１のモータ端子１３の延出方向において、基部１５から第１の長さと異なる第２の長さＬ２をもって離間した第２位置で突出部１６に圧入固定されている。実施形態では、第１の長さＬ１より第２の長さＬ２の方が長い（Ｌ１＜Ｌ２）。

　実施形態による電動ブレーキ装置１およびモータ装置４は、上述の如き構成を有するもので、次に、モータ装置４の製造方法について説明する。

　モータ装置４は、次の３つの工程を備えている。第１の工程では、モータケース１１を準備する。モータケース１１は、モータ１２と、モータ１２に接続したモータ端子１３と、モータ１２が収容されたケース本体１４とを備えている。ケース本体１４は、モータ端子１３が延出する基部１５と、基部１５から突出する突出部１６とを有している。第１の工程では、このようなモータケース１１を準備する。

　第２工程では、モータカバー２１を準備する。モータカバー２１は、モータケース１１のモータ端子１３に電気的に固定されるカバー側端子２４と、モータケース１１のケース本体１４の突出部１６に圧入固定される固定部２５とを備えている。第２の工程では、このようなモータカバー２１を準備する。なお、第１の工程と第２の工程（準備工程）の前後は、第１の工程が前（先）で第２の工程が後でもよいし、第２の工程が前（先）で第１の工程が後でもよいし、第１の工程と第２の工程とを並行して行ってもよい。

　第３工程は、モータケース１１とモータカバー２１とを互いに固定する。この場合、モータ端子１３の延出方向からモータ端子１３がカバー側端子２４に圧入されるタイミングを第１の圧入タイミングとする。また、モータ端子１３の延出方向からモータケース１１の突出部１６がモータカバー２１の固定部２５に圧入されるタイミングを第２の圧入タイミングとする。第３工程では、第１の圧入タイミングと第２の圧入タイミングとが異なるように、モータケース１１とモータカバー２１とを互いに固定する。

　この場合、実施形態では、図４に示すように、電気的な端子接続が開始される第１の圧入タイミング（モータ端子１３とカバー側端子２４との圧入開始時点）が機械的な保持の接続が開始される第２の圧入タイミング（モータケース１１の突出部１６とモータカバー２１の固定部２５との圧入開始時点）より早い。また、第３工程では、図４に示すような、「モータカバー２１の移動量（モータ端子１３の延出方向における移動量）であるストローク」と「ストロークの際に発生する荷重」との関係に基づいて、モータ端子１３とカバー側端子２４の圧入状態を検査する。

　このような実施形態によれば、荷重による電気接続端子（モータ端子１３、カバー側端子２４）の接続状態の判別精度が向上する。これにより、電気接続端子の異品および誤組付けが発生しているか否かの製造工程内での検出精度が向上し、製品の品質が向上する。また、従来構造では、電気接続端子の接続状態を確認するために、例えば、非破壊検査（Ｘ線検査装置）等の高価な設備が必要となり、投資額が増加する可能性がある。これに対して、実施形態では、このような高価な設備が不要となり、コストの低下を図ることができる。また、製造工程内で電気接続端子の接続状態を目視ではなく荷重による管理が可能となる。このため、電気接続端子を外から観察可能な構造にする必要がなくなり、モータカバー２１の構成として、カバー側端子２４とこれを覆う覆い部材（蓋部材）とを一体化することができる。これにより、部品点数削減によるコスト低減、製品小型化を図ることができる。

　以上のように、実施形態によれば、モータカバー２１は、基部１５から第１の長さＬ１をもって離間した第１位置でモータケース１１のモータ端子１３に電気的に圧入固定されたカバー側端子２４と、基部１５から第２の長さＬ２をもって離間した第２位置でモータケース１１の突出部１６に圧入固定された固定部２５とを備えている。このため、モータケース１１とモータカバー２１とを互いに固定するときに、「モータ端子１３とカバー側端子２４との圧入が開始されるタイミング（第１の圧入タイミング）」と「突出部１６と固定部２５との圧入が開始されるタイミング（第２の圧入タイミング）」とを異ならせることができる。

　これにより、それぞれの圧入（接続）を目視にて監視できない場合、即ち、圧入（接続）のときにそれぞれの圧入部（接続部）が第１ハウジングとなるモータケース１１と第２ハウジングとなるモータカバー２１とにより覆われてしまう場合でも、それぞれの圧入（接続）が適切に行われたか否かを判定することができる。換言すれば、機能の異なる２つの部位を接続するとき、即ち、「電気的接続部位となるモータ端子１３とカバー側端子２４」を接続し、かつ、「機械的接続部位となる突出部１６と固定部２５」を接続するときに、電気的接続部位（モータ端子１３、カバー側端子２４）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）の適否を判定することができる。これにより、電気的接続部位（モータ端子１３、カバー側端子２４）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）が悪化することを抑制できる。

　実施形態によれば、第１の長さＬ１より第２の長さＬ２の方が長い。このため、モータケース１１とモータカバー２１とを互いに固定するときに、モータ端子１３とカバー側端子２４との圧入が開始された後、突出部１６と固定部２５との圧入が開始されるようにできる。しかも、実施形態によれば、カバー側端子２４は、ワニ口形状端子である。このため、モータ１２（コイル）に接続したモータ端子１３にワニ口形状端子であるカバー側端子２４を圧入固定できる。

　実施形態によれば、「モータカバー２１のストローク」と「ストロークの際に発生する荷重」との関係に基づいてモータ端子１３とカバー側端子２４の圧入状態を検査する。このため、ストロークと荷重との関係に基づいて、電気的接続部位（モータ端子１３、カバー側端子２４）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）の適否を判定することができる。

　なお、実施形態では、電気接続部位（モータ端子１３、カバー側端子２４）を先行して圧入し、機械的接続部位（突出部１６、固定部２５）をその後圧入する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、電気接続部位の圧入荷重が高く、機械的接続部位の圧入荷重が低い場合等には、図５に示す変形例のように、機械的接続部位の圧入を先行させ、後に電気的接続部位の圧入という圧入順序としてもよい。即ち、モータケース（第１ハウジング）とモータカバー（第２ハウジング）とを固定するときに、機械的保持圧入開始点が電気接続端子圧入開始点よりも先になるようにしてもよい。

　即ち、図示は省略するが、モータケース（第１ハウジング）とモータカバー（第２ハウジング）とを固定した状態で、電気接続部（カバー側端子）の基部からの長さとなる第１の長さＬ１より、固定部の基部からの長さとなる第２の長さＬ２の方を短くしてもよい。換言すれば、モータケース（第１ハウジング）とモータカバー（第２ハウジング）とを固定するときの第３工程で、端子（モータ端子）が電気接続部（カバー側端子）に圧入される第１の圧入タイミングを、突出部が固定部に圧入される第２の圧入タイミングより遅くしてもよい。この様な変形例の場合にも、端子（モータ端子）と電気接続部（カバー側端子）の嵌合状態の悪化を抑制できる。

　実施形態では、突出部１６を円柱状とし、固定部２５を円筒状とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、突出部を円筒状とし、固定部を円柱状としてもよい。また、突出部および固定部は、円筒、円柱に限らず、各種の断面形状の筒および柱を用いることができる。さらに、突出部および固定部は、筒および柱以外にも、互いに機械的な圧入による接合（接続）ができる凹凸形状等の係合機構であればよく、各種の機械的な接合構成（係合構成）を用いることができる。

　実施形態では、電気接続部となるカバー側端子２４をワニ口形状端子とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、電気接続部をワニ口形状端子以外の端子としてもよい。即ち、第１ハウジング（モータケース）の端子および第２ハウジング（モータカバー）の電気接続部は、互いに電気的に固定が可能で、かつ、この固定（接続）のときに少なくとも一部が隙間なく（がたつきなく）当接する等により圧入される形状であれば、各種の形状の部材（端子）を用いることができる。

　実施形態では、モータ装置として、電動ブレーキ装置１を構成するモータ装置４を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、モータ装置は、例えば、電動ステアリング装置を構成するモータ装置等、電動ブレーキ装置以外の各種の電動機械装置を構成するモータ装置として用いることができる。

　実施形態では、端子接続機構として、モータを備えたモータ装置を例に挙げて説明した。即ち、実施形態では、端子接続機構として、第１ハウジングに対応するモータケース１１と第２ハウジングに対応するモータカバー２１とを備えるモータ装置を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、端子接続機構は、例えば、ソレノイド装置等、モータ装置以外の各種の電動装置の端子接続機構として用いることができる。

　この場合、端子接続機構は、第１ハウジングと第２ハウジングとを備える。第１ハウジングは、端子と、この端子が延出する基部と、この基部から突出する突出部とを備える。第２ハウジングは、端子に電気的に固定される電気接続部と、突出部に圧入固定される固定部とを備える。この場合、電気接続部は、端子の延出方向において、基部から第１の長さをもって離間した第１位置で端子に電気的に圧入固定される。固定部は、端子の延出方向において、基部から第１の長さと異なる第２の長さをもって離間した第２位置で突出部に圧入固定される。そして、例えば、第１の長さより第２の長さの方を長くする。または、例えば、第１の長さより第２の長さの方を短くする。

　また、端子接続方法は、第１ハウジングを準備する第１工程と、第２ハウジングを準備する第２工程と、第１ハウジングと第２ハウジングとを互いに固定する第３工程とを備える。この場合、第３工程では、「端子の延出方向から端子が電気接続部に圧入される第１の圧入タイミング」と「端子の延出方向から突出部が固定部に圧入される第２の圧入タイミング」とが異なるように、第１ハウジングと第２ハウジングとを互いに固定する。そして、第１の圧入タイミングは、例えば、第２の圧入タイミングより早く、または、遅くする。

　以上説明した実施形態に基づくモータ装置、モータ装置の製造方法、端子接続機構、端子接続方法および電動ブレーキ装置として、例えば下記に述べる態様のものが考えられる。

　第１の態様としては、モータケースと、モータカバーと、を備え、前記モータケースは、モータと、前記モータに接続した端子と、前記モータが収容されたケース本体であって、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を有するケース本体と、を備え、前記モータカバーは、前記端子の延出方向において、前記基部から第１の長さをもって離間した第１位置で前記端子に電気的に圧入固定された電気接続部と、前記端子の延出方向において、前記基部から前記第１の長さと異なる第２の長さをもって離間した第２位置で前記突出部に圧入固定された固定部と、を備える、モータ装置である。

　この第１の態様によれば、モータケースとモータカバーとを互いに固定するときに、「端子と電気接続部との圧入が開始されるタイミング」と「突出部と固定部との圧入が開始されるタイミング」とを異ならせることができる。これにより、それぞれの圧入（接続）を目視にて監視できない場合でも、それぞれの圧入（接続）が適切に行われたか否かを判定することができる。換言すれば、機能の異なる２つの部位を接続するとき、即ち、「電気的接続部位となる端子と電気接続部」を接続し、かつ、「機械的接続部位となる突出部と固定部」を接続するときに、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）の適否を判定することができる。これにより、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）が悪化することを抑制できる。

　第２の態様としては、第１の態様において、前記第１の長さより前記第２の長さの方が長い。この第２の態様によれば、モータケースとモータカバーとを互いに固定するときに、端子と電気接続部との圧入が開始された後、突出部と固定部との圧入が開始されるようにできる。

　第３の態様としては、第１の態様において、前記第１の長さより前記第２の長さの方が短い。この第３の態様によれば、モータケースとモータカバーとを互いに固定するときに、突出部と固定部との圧入が開始された後、端子と電気接続部との圧入が開始されるようにできる。

　第４の態様としては、第１の態様において、前記電気接続部は、ワニ口形状端子である。この第４の態様によれば、モータに接続した端子にワニ口形状端子（電気接続部）を圧入固定できる。

　第５の態様としては、モータと、前記モータに接続した端子と、前記モータが収容されたケース本体であって、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を有するケース本体と、を備えるモータケースを準備する第１工程と、前記端子に電気的に固定される電気接続部と、前記突出部に圧入固定される固定部と、を備えるモータカバーを準備する第２工程と、前記端子の延出方向から前記端子が前記電気接続部に圧入される第１の圧入タイミングと、前記端子の延出方向から前記突出部が前記固定部に圧入される第２の圧入タイミングと、が異なるように前記モータケースと前記モータカバーとを互いに固定する第３工程と、を備えるモータ装置の製造方法である。

　この第５の態様によれば、モータケースとモータカバーとを互いに固定するときに、「端子と電気接続部との圧入が開始される第１の圧入タイミング」と「突出部と固定部との圧入が開始される第２の圧入タイミング」とが異なる。これにより、それぞれの圧入（接続）を目視にて監視できない場合でも、それぞれの圧入（接続）が適切に行われたか否かを判定することができる。換言すれば、機能の異なる２つの部位を接続するとき、即ち、「電気的接続部位となる端子と電気接続部」を接続し、かつ、「機械的接続部位となる突出部と固定部」を接続するときに、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）の適否を判定することができる。これにより、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）が悪化することを抑制できる。

　第６の態様としては、第５の態様において、前記第３工程では、前記第１の圧入タイミングが前記第２の圧入タイミングより早い。この第６の態様によれば、モータケースとモータカバーとを互いに固定するときに、端子と電気接続部との圧入が開始された後、突出部と固定部との圧入が開始されるようにできる。

　第７の態様としては、第５の態様において、前記第３工程では、前記第１の圧入タイミングが前記第２の圧入タイミングより遅い。この第７の態様によれば、モータケースとモータカバーとを互いに固定するときに、突出部と固定部との圧入が開始された後、端子と電気接続部との圧入が開始されるようにできる。

　第８の態様としては、第５の態様において、前記第３工程において、前記モータカバーの前記端子の延出方向における移動量であるストロークと、前記ストロークの際に発生する荷重と、の関係に基づいて前記端子と前記電気接続部の圧入状態を検査する。この第８の態様によれば、ストロークと荷重との関係に基づいて、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）の適否を判定することができる。

　第９の態様としては、第１ハウジングと、第２ハウジングと、を備え、前記第１ハウジングは、端子と、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を備え、前記第２ハウジングは、前記端子の延出方向において、前記基部から第１の長さをもって離間した第１位置で前記端子に電気的に圧入固定された電気接続部と、前記端子の延出方向において、前記基部から前記第１の長さと異なる第２の長さをもって離間した第２位置で前記突出部に圧入固定された固定部と、を備える、端子接続機構である。

　この第９の態様によれば、第１ハウジングと第２ハウジングとを互いに固定するときに、「端子と電気接続部との圧入が開始されるタイミング」と「突出部と固定部との圧入が開始されるタイミング」とを異ならせることができる。これにより、それぞれの圧入（接続）を目視にて監視できない場合でも、それぞれの圧入（接続）が適切に行われたか否かを判定することができる。換言すれば、機能の異なる２つの部位を接続するとき、即ち、「電気的接続部位となる端子と電気接続部」を接続し、かつ、「機械的接続部位となる突出部と固定部」を接続するときに、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）の適否を判定することができる。これにより、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）が悪化することを抑制できる。

　第１０の態様としては、端子と、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を備える第１ハウジングを準備する第１工程と、前記端子に電気的に固定される電気接続部と、前記突出部に圧入固定される固定部と、を備える第２ハウジングを準備する第２工程と、前記端子の延出方向から前記端子が前記電気接続部に圧入される第１の圧入タイミングと、前記端子の延出方向から前記突出部が前記固定部に圧入される第２の圧入タイミングと、が異なるように前記第１ハウジングと前記第２ハウジングとを互いに固定する第３工程と、を備える端子接続方法である。

　この第１０の態様によれば、第１ハウジングと第２ハウジングとを互いに固定するときに、「端子と電気接続部との圧入が開始される第１の圧入タイミング」と「突出部と固定部との圧入が開始される第２の圧入タイミング」とが異なる。これにより、それぞれの圧入（接続）を目視にて監視できない場合でも、それぞれの圧入（接続）が適切に行われたか否かを判定することができる。換言すれば、機能の異なる２つの部位を接続するとき、即ち、「電気的接続部位となる端子と電気接続部」を接続し、かつ、「機械的接続部位となる突出部と固定部」を接続するときに、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）の適否を判定することができる。これにより、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）が悪化することを抑制できる。

　第１１の態様としては、第１の態様のモータ装置を備える電動ブレーキ装置である。この第１１の態様によれば、電動ブレーキ装置のモータ装置を構成するモータケースとモータカバーとを互いに固定するときに、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入（接続）を目視にて監視できない場合でも、電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）の適否を判定することができる。これにより、電動ブレーキ装置（モータ装置）の電気的接続部位（端子および電気接続部）の圧入状態（接続状態、嵌合状態）が悪化することを抑制できる。

　尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

　本願は、２０２１年６月１５日付出願の日本国特許出願第２０２１－０９９２３２号に基づく優先権を主張する。２０２１年６月１５日付出願の日本国特許出願第２０２１－０９９２３２号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む全開示内容は、参照により本願に全体として組み込まれる。

　１：電動ブレーキ装置、４：モータ装置（端子接続機構）、１１：モータケース（第１ハウジング）、１２：モータ、１３：モータ端子（端子）、１４：ケース本体、１５：基部、１６：突出部、２１：モータカバー（第２ハウジング）、２４：カバー側端子（電気接続部）、２５：固定部

Claims

　モータ装置であって、該モータ装置は、
　モータケースと、モータカバーと、を備え、
　前記モータケースは、
　モータと、
　前記モータに接続した端子と、
　前記モータが収容されたケース本体であって、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を有するケース本体と、
　を備え、
　前記モータカバーは、
　前記端子の延出方向において、前記基部から第１の長さをもって離間した第１位置で前記端子に電気的に圧入固定された電気接続部と、
　前記端子の延出方向において、前記基部から前記第１の長さと異なる第２の長さをもって離間した第２位置で前記突出部に圧入固定された固定部と、
　を備える、
　モータ装置。
　請求項１に記載のモータ装置であって、
　前記第１の長さより前記第２の長さの方が長い、
　モータ装置。
　請求項１に記載のモータ装置であって、
　前記第１の長さより前記第２の長さの方が短い、
　モータ装置。
　請求項１に記載のモータ装置であって、
　前記電気接続部は、ワニ口形状端子である、
　モータ装置。
　モータ装置の製造方法であって、該モータ装置の製造方法は、
　モータと、
　前記モータに接続した端子と、
　前記モータが収容されたケース本体であって、前記端子が延出する基部と、前記基部から突出する突出部と、を有するケース本体と、
　を備えるモータケースを準備する第１工程と、
　前記端子に電気的に固定される電気接続部と、
　前記突出部に圧入固定される固定部と、
　を備えるモータカバーを準備する第２工程と、
　前記端子の延出方向から前記端子が前記電気接続部に圧入される第１の圧入タイミングと、前記端子の延出方向から前記突出部が前記固定部に圧入される第２の圧入タイミングと、が異なるように前記モータケースと前記モータカバーとを互いに固定する第３工程と、
　を備えるモータ装置の製造方法。
　請求項５に記載のモータ装置の製造方法であって、
　前記第３工程では、前記第１の圧入タイミングが前記第２の圧入タイミングより早い、
　モータ装置の製造方法。
　請求項５に記載のモータ装置の製造方法であって、
　前記第３工程では、前記第１の圧入タイミングが前記第２の圧入タイミングより遅い、
　モータ装置の製造方法。
　請求項５に記載のモータ装置の製造方法であって、
　前記第３工程において、前記モータカバーの前記端子の延出方向における移動量であるストロークと、前記ストロークの際に発生する荷重と、の関係に基づいて前記端子と前記電気接続部の圧入状態を検査する、
　モータ装置の製造方法。
　端子接続機構であって、該端子接続機構は、
　第１ハウジングと、第２ハウジングと、を備え、
　前記第１ハウジングは、
　端子と、
　前記端子が延出する基部と、
　前記基部から突出する突出部と、
　を備え、
　前記第２ハウジングは、
　前記端子の延出方向において、前記基部から第１の長さをもって離間した第１位置で前記端子に電気的に圧入固定された電気接続部と、
　前記端子の延出方向において、前記基部から前記第１の長さと異なる第２の長さをもって離間した第２位置で前記突出部に圧入固定された固定部と、
　を備える、
　端子接続機構。
　端子接続方法であって、該端子接続方法は、
　端子と、
　前記端子が延出する基部と、
　前記基部から突出する突出部と、
　を備える第１ハウジングを準備する第１工程と、
　前記端子に電気的に固定される電気接続部と、
　前記突出部に圧入固定される固定部と、
　を備える第２ハウジングを準備する第２工程と、
　前記端子の延出方向から前記端子が前記電気接続部に圧入される第１の圧入タイミングと、前記端子の延出方向から前記突出部が前記固定部に圧入される第２の圧入タイミングと、が異なるように前記第１ハウジングと前記第２ハウジングとを互いに固定する第３工程と、
　を備える端子接続方法。
　請求項１に記載のモータ装置を備える電動ブレーキ装置。