JP2017025305A - 着色剤及びその製造方法、着色組成物、着色硬化膜並びに表示素子 - Google Patents

着色剤及びその製造方法、着色組成物、着色硬化膜並びに表示素子 Download PDF

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泰典 川部
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怜史 倉
拓弘 谷口
Takuhiro Taniguchi
拓弘 谷口
聡 丹下
Satoshi Tange
聡 丹下
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Abstract

【課題】輝度、耐熱性に優れ、かつ移染性が抑制できる着色組成物の提供。【解決手段】(A)着色剤、(B)バインダー樹脂及び(C)重合性化合物を含有する着色組成物であって、(A)着色剤として式(1)で表される化合物を含む、着色組成物。〔R1〜R4及びR7は一価の基;R5及びR6はH又は一価の基;Za+は各々独立にa価のオニウムカチオン;但し、R1〜R7のうち2つ以上が、−CO2−、−SO3−等を有する一価の基;aは1以上の整数;xは0〜5の整数;y及びzは0〜3の整数〕【選択図】なし

Description

本発明は、着色剤及びその製造方法、着色組成物、着色硬化膜並びに表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、固体撮像素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等に用いられる着色硬化膜の製造に好適に用いられる着色剤及びその製造方法、当該着色剤を含有する着色組成物、当該着色剤を含有する着色硬化膜、並びに当該着色硬化膜を具備する表示素子に関する。
着色感放射線性組成物を用いたカラーフィルタの製造に当たっては、基板上に、顔料分散型の着色感放射線性組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法が知られている。また、カーボンブラックを分散させた光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法も知られている。さらに、顔料分散型の着色樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法も知られている。
しかしながら、着色剤として顔料を用いたカラーフィルタは、顔料粒子による光の散乱等により表示素子の輝度やコントラストなどの低下を招きやすい。他方、着色剤に染料を用いたカラーフィルタでは、顔料を用いた場合に比べて耐熱性や有機溶剤への溶解性が悪化しやすく、また着色パターンの画素中の染料が隣接する他色の画素や、保護膜等の着色剤を含まない硬化膜に色移りする(以下、これを「移染性」ともいう。)ことにより、表示素子の輝度が低下することもある。
そこで、耐熱性や耐溶剤性等を改善するために、着色剤として、アニオン性染料とカチオンとの造塩化合物を含有させた着色組成物や(特許文献1)、アニオン性染料とカチオン性樹脂との造塩化合物を含有させた着色組成物が提案されている(特許文献2)。
特許第4492760号明細書 特許第4873101号明細書
本発明の課題は、輝度及び耐熱性に優れ、かつ移染性が抑制された着色硬化膜を形成することのできる着色組成物を提供することにある。さらに、本発明の課題は、当該着色組成物に用いられる着色剤及びその製造方法、該着色剤を含有する着色硬化膜、並びに該着色硬化膜を具備する表示素子を提供することにある。
本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意研究を行ったところ、特定構造を有する化合物を着色剤として用いることによって上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)着色剤、(B)バインダー樹脂及び(C)重合性化合物を含有する着色組成物であって、
(A)着色剤として下記式(1)で表される化合物を含む、着色組成物を提供するものである。
本発明はまた、下記式(1)で表される化合物、該化合物を含む着色硬化膜、該着色硬化膜を具備する表示素子を提供するものである。ここで、「着色硬化膜」とは、表示素子や固体撮像素子に用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
Figure 2017025305
〔式(1)において、
〜R及びRは、相互に独立に、一価の基を示す。
及びRは、相互に独立に、水素原子又は一価の基を示し、但しR及びRのうち少なくとも1つは一価の基を示す。
a+は、a価のオニウムカチオンを示す。
aは、1以上の整数を示す。
bは、式(1)で表される化合物が電気的中性となるように定められる1以上の整数を示し、bが2以上の場合、複数存在する(Za+)は同一でも異なっていても良い。
xは、0〜5の整数を示す。
y及びzは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
但し、R〜Rのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する一価の基である。〕
本発明は更に、塩基の存在下、式(100)で表される構造を有する化合物と、式(101)で表される化合物とを反応させる工程を含む、式(102)で表される構造を有する化合物の製造方法を提供するものである。
Figure 2017025305
〔式(100)において、
〜R及びRは、相互に独立に、一価の基を示す。
xは、0〜5の整数を示す。
y及びzは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
但し、R〜R及びRのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する一価の基である。〕
Figure 2017025305
〔式(101)において、
Rは、一価の炭化水素基を示す。
Xは、Br、I又はOTを示す。
は、トリフルオロメチルスルホニル基を示す。〕
Figure 2017025305
〔式(102)において、
〜R及びRは、相互に独立に、一価の基を示す。
Rは、相互に独立に、一価の炭化水素基を示す。
xは、0〜5の整数を示す。
y及びzは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
但し、R〜R及びRのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する基である。〕
本発明の着色組成物を用いれば、輝度及び耐熱性に優れ、かつ移染性が抑制された着色硬化膜を形成することができる。したがって、本発明の着色組成物は、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等の表示素子、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子の作製に極めて好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について詳細に説明する。
−(A)着色剤−
本発明の着色組成物は、着色剤として、下記式(1)で表される化合物(以下、「本着色剤」とも称する。)を含有するものである。
Figure 2017025305
〔式(1)において、
〜R及びRは、相互に独立に、一価の基を示す。
及びRは、相互に独立に、水素原子又は一価の基を示し、但しR及びRのうち少なくとも1つは一価の基を示し、
a+は、a価のオニウムカチオンを示す。
aは、1以上の整数を示す。
bは、式(1)で表される化合物が電気的中性となるように定められる1以上の整数を示し、bが2以上の場合、複数存在する(Za+)は同一でも異なっていても良い。
xは、0〜5の整数を示す。
y及びzは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
但し、R〜Rのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する一価の基である。〕
式(1)において、R〜Rに係る一価の基としては、例えば、ヘテロ原子を含む一価の基、一価の炭化水素基を挙げることができる。
ヘテロ原子を含む一価の基としては、例えば、ハロゲン原子、−CO2 -、−SO 、−PO 、−OR、−SR、−NR9、−CO2M、−CO2、−SO3M、−SO3、−SO2NR9、−SO2−O−N=CR、−SO2NHNHR、−SO2SR、−SO2NHSO2等を挙げることができる。ここで、R及びRは、相互に独立に、水素原子又は一価の炭化水素基を示し、Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を示す。
一価の炭化水素基としては、一価の脂肪族炭化水素基、一価の脂環式炭化水素基及び一価の芳香族炭化水素基のいずれでもよい。また、一価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれの形態であってもよく、一価の脂肪族炭化水素基及び一価の脂環式炭化水素基は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。なお、不飽和炭化水素基の不飽和結合の位置は、分子鎖内及び分子鎖末端のいずれでもよく、任意の位置に有することができる。ここで、本明細書において「脂環式炭化水素基」とは、環状構造を有さない脂肪族炭化水素基を除く概念である。また、本明細書において「脂環式炭化水素基」、「芳香族炭化水素基」とは、環構造のみからなる基だけでなく、当該環構造に更に2価の脂肪族炭化水素基が置換した基をも包含する概念であり、その構造中に少なくとも脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素を含んでいればよい。また、1価の炭化水素基は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で置換基を有していてもよい。置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。置換基としては、前述のヘテロ原子を含む一価の基や一価の脂肪族炭化水素基の他、シアノ基、ホルミル基、ニトロ基、トリアルキルシリル基、複素環基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。−ORに係るアルコキシル基は直鎖及び分岐鎖のいずれの形態でもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。中でも、置換基としては、ヘテロ原子を含む一価の基及び一価の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。なお、R及びRに係る一価の炭化水素基もR〜Rに係る一価の炭化水素基と同様の構成を採用することができる。
一価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、更に好ましくは1〜12である。アルキル基の具体例としては、例えば、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルデシル基、ドデシル基、1−メチルウンデシル基、1−エチルデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、tert−ドデシル基、ペンタデシル基、1−ヘプチルオクチル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等を挙げることができる。アルケニル基の具体例としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−オクテニル基、(4−エテニル)−5−ヘキセニル基、2−デセニル基等を挙げることができる。また、アルキニル基の具体例としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−エチル-2−ブチニル基、2−オクチニル基、(4−エチニル)−5−ヘキシニル基、2−デシニル基等を挙げることができる。
一価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基、環状テルペン炭化水素基等を挙げることができる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜30、より好ましくは3〜20、更に好ましくは3〜12である。シクロアルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、シクロアルケニル基の具体例としては、例えば、1−シクロヘキセニル基等が挙げられる。また、縮合多環炭化水素基の具体例としては、例えば、トリシクロデカニル基、デカヒドロ−2−ナフチル基、アダマンチル基等が挙げられ、橋かけ環炭化水素基の具体例としては、例えば、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、ペンタシクロペンタデカニル基、イソボニル基、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンテニル基等が挙げられる。更に、スピロ炭化水素基としては、例えば、スピロ[3,4]ヘプタン、スピロ[3,4]オクタンから水素原子を1つ除いた1価の基等が挙げられ、環状テルペン炭化水素基としては、例えば、p−メンタン、ツジャン、カラン等から水素原子を1つ除いた1価の基等が挙げられる。
一価の芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基、アラルキル基等を挙げることができる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜14、更に好ましくは6〜10である。アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニレン基、アズレニル基、9−フルオレニル基等が挙げられ、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基等が挙げられる。
本発明においては、R〜Rのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する一価の基であるが、R〜Rのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は置換基として−CO 、−SO 若しくは−PO を有する炭化水素基が好ましく、R〜Rのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は置換基として−CO 若しくは−SO を有する芳香族炭化水素基が更に好ましい。なお、−CO 、−SO 又は−PO を有する一価の基である場合、当該一価の基は、−CO 、−SO 又は−PO 以外の他の置換基を更に有していてもよい。
式(1)において、好適な態様は以下のとおりである。
は、−CO 、又は−SO であることが好ましく、またxは1であることが好ましい。
y及びzは、0であることが好ましい。
は、置換又は非置換の芳香族炭化水素基であることが好ましく、置換又は非置換のフェニル基が更に好ましい。
及びRは、相互に独立に、置換又は非置換の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルキル基が更に好ましい。
は、置換基として−SO を有する芳香族炭化水素基であることが好ましく、置換基として−SO を有するフェニル基が更に好ましい。
a+に係るオニウムカチオンとしては、例えば、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、ジアゾニウムカチオン、アンモニウム塩基を有する樹脂、ホスホニウム塩基を有する樹脂、スルホニウム塩基を有する樹脂、ヨードニウム塩基を有する樹脂、ジアゾニウム塩基を有する樹脂を挙げることができる。中でも、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウム塩基を有する樹脂、ホスホニウム塩基を有する樹脂が好ましい。
アンモニウムカチオンとしては、置換又は非置換の炭化水素基を1〜4個有するアンモニウムカチオンが好ましく、置換又は非置換の炭化水素基を3〜4個有するアンモニウムカチオンがより好ましい。これらの具体例としては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、モノステアリルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム、トリステアリルモノメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、ジオクチルジメチルアンモニウム、モノラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、トリラウリルメチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム;トリアミルベンジルアンモニウム、トリヘキシルベンジルアンモニウム、トリオクチルベンジルアンモニウム、トリラウリルベンジルアンモニウム、ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム等のアリールトリアルキルアンモニウム;デシルジメチルアンモニウム等のトリアルキルアンモニウム;ジブチルアンモニウム等のジアルキルアンモニウム;ドデシルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム等のモノアルキルアンモニウム等を挙げることができる。また、アンモニウムカチオンは重合性不飽和基を有していてもよく、このようなアンモニウムカチオンとしては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム、(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルヘキシルアンモニウム、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウム等の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアンモニウム;(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウム、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウム等の(メタ)アクリロイルアミノ基を有するアンモニウム;ジメチルジアリルアンモニウム、トリメチルビニルフェニルアンモニウム等を挙げることができる。中でも、テトラアルキルアンモニウム、重合性不飽和基を有するアンモニウムが好ましく、テトラ(C1−18アルキル)アンモニウム、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアンモニウムが更に好ましい。なお、アンモニウムカチオンの分子量は1,000未満が好ましく、700以下がより好ましい。またアンモニウムカチオンの分子量は100以上が好ましく、200以上がより好ましい。
ホスホニウムカチオンとしては、置換又は非置換の炭化水素基を1〜4個有するホスホニウムカチオンが好ましく、置換又は非置換の炭化水素基を3〜4個有するホスホニウムカチオンがより好ましい。これらの具体例としては、例えば、テトラブチルホスホニウム、メチルトリオクチルホスホニウム、オクチルトリブチルホスホニウム、ドデシルトリブチルホスホニウム、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム、ジヘキシルジオクチルホスホニウム等のテトラアルキルホスホニウム、ベンジルトリブチルホスホニウム等のアリールトリアルキルホスホニウム、ジブチルジフェニルホスホニウム等のジアルキルジアリールホスホニウム、ブチルトリフェニルホスホニウム等のアルキルトリアリールホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム等のテトラアリールホスホニウム等を挙げることができる。中でも、テトラアルキルホスホニウムが好ましく、テトラ(C1−18アルキル)ホスホニウムが更に好ましい。なお、ホスホニウムカチオンの分子量は1,000未満が好ましく、700以下がより好ましい。またホスホニウムカチオンの分子量は100以上が好ましく、200以上がより好ましい。
アンモニウム塩基を有する樹脂、又はホスホニウム塩基を有する樹脂としては、例えば、下記式(2)で表される構造単位を有するビニル系樹脂が好ましい。
Figure 2017025305
〔式(2)において、
10〜R13は、相互に独立に、水素原子又は一価の炭化水素基を示し、R11〜R13のうち二つが互いに結合して環を形成していてもよい。
Lは、二価の有機基を示し、
Qは、窒素原子又はリン原子を示す。〕
10〜R13に係る一価の炭化水素基は、一価の脂肪族炭化水素基、一価の脂環式炭化水素基及び一価の芳香族炭化水素基のいずれでもよく、その具体的構成はR〜Rにおいて説明したとおりである。
Lに係る二価の有機基としては、2価の炭化水素基、2価の炭化水素基と炭素原子及び水素原子以外の原子を含む連結基とを組み合わせてなる基等を挙げることができる。このような有機基としては、例えば、アルカンジイル基、アリーレン基、アリーレンアルカンジイル基、−CONH−R14−、−COO−R14−等が挙げられる。ここで、R14は、アルカンジイル基を示す。
アルカンジイル基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基等の炭素数1〜10のアルカンジイル基を挙げることができる。なお、R14に係るアルカンジイル基もLに係るアルカンジイル基と同様の構成を採用することができる。
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントリレン基等の炭素数6〜10のアリーレン基を挙げることができる。中でも、炭素数6〜10のアリーレン基が好ましく、特にフェニレン基が好ましい。
アリーレンアルカンジイル基とは、アリーレン基とアルカンジイル基とを組み合わせてなる2価の基であり、例えば、フェニレンメチレン基、フェニレンジメチレン基、フェニレントリメチレン基、フェニレンテトラメチレン基、フェニレンペンタメチレン基、フェニレンヘキサメチレン基等のフェニレンC1-6アルカンジイル基を挙げることができる。
中でも、R10としては、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。
11〜R13としては、アルキル基、アリール基が好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基が更に好ましい。なお、R11〜R13は同一でも、異なっていてもよい。
Lとしては、−CONH−R14−、−COO−R14−が好ましく、R14としては、炭素数1〜4のアルカンジイル基が好ましい。
Qは、窒素原子及びリン原子のうち適宜選択することができる。
式(2)で表される構造単位を有するビニル系樹脂は適宜の方法により製造することが可能であるが、例えば、アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体を含む単量体を重合する方法、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体を含む単量体を重合してアミノ基を有するビニル系樹脂を得た後、オニウム塩化剤を反応させ、アンモニウム塩化する方法、あるいはホスホニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体を含む単量体を重合する方法を挙げることができる。
アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩;(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩;ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン;ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン等のジアリルアミン化合物、N−ビニルピロリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等のアミノ基含有芳香族ビニル系単量体が挙げられる。
オニウム塩化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸;p−トルエンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル;メチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、オクチルクロライド等のアルキルクロライド;メチルブロマイド、エチルブロマイド、プロピルブロマイド、オクチルクロブロマイド等のアルキルブロマイド;ベンジルクロライド、又はベンジルブロマイド等が挙げられる。
アミノ基を有するビニル系樹脂とオニウム塩化剤との反応は、通常アミノ基に対して等モル以下のオニウム塩化剤を、アミノ基を有するビニル系樹脂溶液に滴下する。反応温度は、通常90℃程度以下であり、反応時間は、通常1〜4時間程度である。
ホスホニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリブチルホスホニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルホスホニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリブチルホスホニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリブチルホスホニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリブチルホスホニウムアイオダイド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリブチルホスホニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリブチルホスホニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリオクチルホスホニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系ホスホニウム塩が挙げられる。これらの化合物は、例えば特開平9−255694号公報を参考に合成することもできる。
ビニル系樹脂は式(2)で表される構造単位以外の構造単位を有していてもよい。式(2)で表される構造単位以外の構造単位を与えるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコール、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリロニトリル、N−置換マレイミド、酸基を有する単量体等を挙げることができる。酸基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸又はその無水物類;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げられる。芳香族ビニル化合物及びN−置換マレイミドとしては、後述する、バインダー樹脂を構成する不飽和単量体の例示と同様のものが挙げられる。
重合反応は公知の方法を採用することが可能であり、例えば、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、フリーラジカル重合、リビングラジカル重合等を挙げることができる。
ビニル系樹脂中の式(2)で表される構造単位の含有割合は、全構造単位中に、好ましくは4〜74質量%、更に好ましくは8〜48質量%である。
ビニル系樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量として1,000〜500,000が好ましく、3,000〜15,000が更に好ましい。
ビニル系樹脂中に存在するアンモニウム塩基の量は特に限定されないが、アンモニウム塩価が10〜200mgKOH/gが好ましく、20〜130mgKOH/gがより好ましい。
本着色剤は、例えば、式(1)で表される構造を有するアニオン性キサンテン発色団の造塩化合物と、オニウムカチオンとの塩交換反応により製造することが可能である。なお、本段落でいう造塩化合物とは、アニオン性キサンテン発色団と、プロトン又はa価の金属カチオンとの塩を意味し、aは、式(1)におけるaと同義である。このようなa価の金属カチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、銀イオン等の1価の金属カチオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、銅(II)イオン、鉄(II)イオン、亜鉛(II)イオン、鉛(II)イオン等の2価の金属カチオン、アルミニウムイオン、鉄(III)イオン等の3価の金属カチオンが挙げられる。
また、例えば、本着色剤が下記式(102)で表される構造を有するものである場合、塩基の存在下、下記式(100)で表される構造を有する化合物と、下記式(101)で表される化合物とを反応させる工程(以下、「工程(1)」とも称する。)を含む工程に供することにより製造することもできる。なお、下記式(100)で表される構造を有する化合物及び下記式(102)で表される構造を有する化合物は、カウンターカチオンとして、前述のオニウムカチオンの他、段落〔0047〕に例示されるようなナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン等の金属カチオンやプロトンを有していてもよい。
Figure 2017025305
〔式(102)において、
〜R及びRは、相互に独立に、一価の基を示し、
Rは、一価の炭化水素基を示し、
xは、0〜5の整数を示す。
y及びzは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
但し、R〜R及びRのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する一価の基である。〕
Figure 2017025305
〔式(100)において、R〜R及びR、x、y及びzは、前記と同義である。〕
Figure 2017025305
〔式(101)において、
Rは、前記と同義であり、
Xは、Br、I又はOTを示し、
は、トリフルオロメチルスルホニル基を示す。〕
式(101)及び式(102)において、Rに係る一価の炭化水素基は、一価の脂肪族炭化水素基、一価の脂環式炭化水素基及び一価の芳香族炭化水素基のいずれでもよく、その具体的構成はR〜Rにおいて説明したとおりである。また、Rに係る一価の炭化水素基は、置換基を有していてもよく、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。置換基の具体例としては、例えば、R〜Rに係る一価の炭化水素基において例示したものと同様のものを挙げることができる。中でも、Rとしては、置換又は非置換の脂肪族炭化水素基が好ましく、置換又は非置換の炭素数1〜12のアルキル基が更に好ましい。なお、2つのRは同一でも、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
また、式(101)及び式(102)において、R〜R及びR、x、y及びzの具体的構成は、式(1)において説明したとおりである。
式(102)で表される構造を有する化合物としては、例えば、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドバイオレット9が挙げられる。
塩基としては金属元素を含有する塩基が好ましく、例えば、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属水酸化物、金属アルコキシド、金属水素化物が挙げられる。
金属炭酸塩としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩が挙げられる。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムが挙げられる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムが挙げられる。
金属炭酸水素塩としては、アルカリ金属炭酸水素塩が好ましく、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが挙げられる。
金属水酸化物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物が挙げられる。アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムが挙げられ、中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムが挙げられる。
金属アルコキシドとしては、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシドが挙げられる。アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert−ブトキシド、リチウムメトキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシドが挙げられる。アルカリ土類金属アルコキシドとしては、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシドが挙げられる。
金属水素化物としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウムが挙げられる。
これらの塩基の中でも、金属炭酸塩、金属水酸化物が好ましく、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物がより好ましく、アルカリ金属水酸化物が更に好ましい。このような態様により、高い収率で本着色剤又はその前駆体を合成することができ、本着色剤又はその前駆体の合成に要する時間を短縮することができ、更には副生成物の副生を少なくすることができる。
かかる反応は、通常溶媒の存在下で実施される。溶媒としては、例えば、水;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;メチルイソブチルケトン等のケトン;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等のアミド;乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、酪酸エチル、等の脂肪酸アルキルエステル;等が挙げられる。中でも、水、ケトン、アミド、乳酸アルキルエステル、(シクロ)アルキルアルコール、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、脂肪酸アルキルエステルが好ましい。
反応温度は、30〜180℃が好ましく、70〜150℃がより好ましい。反応時間は1〜8時間が好ましく、3〜6時間がより好ましい。
式(101)で表される化合物の使用量は、式(100)で表される化合物1モルに対して、好ましくは2〜10モルであり、より好ましくは2〜5モルである。
反応後、反応混合物から式(102)で表される化合物を単離する工程を含んでいてもよい。単離方法は特に限定されず、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等を必要により組み合わせて行うことができる。
本発明の着色組成物は、本着色剤以外の他の着色剤を混合して用いることもできる。他の着色剤としては、特に限定されるものではなく、用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。他の着色剤としては、本着色剤以外の顔料、染料を挙げることができ、他の着色剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、輝度、コントラスト及び着色力の高い画素を得るという点から、顔料としては、有機顔料が好ましく、また染料としては、有機染料が好ましい。
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、即ち下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド269等の赤色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー80等の青色顔料;
C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー179、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ38等の橙色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット23等の紫色顔料。
その他、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料を挙げることができる。
中でも、本発明の着色組成物は青色画素、赤色画素の形成に好ましく用いることができ、特に青色画素の形成に好ましく用いることができる。青色画素の形成に用いる場合は、青色顔料及び紫色顔料よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。一方、本発明の着色組成物を赤色画素の形成に用いる場合は、赤色顔料及び黄色顔料よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150及びC.I.ピグメントイエロー185よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。これにより、輝度及び耐熱性に優れ、かつ移染性が抑制された着色硬化膜、とりわけ青色画素を容易に形成することができる。
また、染料としては、トリアリールメタン染料、アントラキノン染料、ジピロメテン染料等が好ましい。より具体的には、国際公開第2010/123071号パンフレット、特開2011−116803号公報、特開2011−117995号公報、特開2011−133844号公報、特開2011−174987号公報、特開2010−085454号公報の段落〔0017〕〜〔0105〕に記載の化合物、特開2011−164594号公報の段落〔0014〕〜〔0095〕に記載の化合物、特開2012−140586号公報の段落〔0025〕〜〔0058〕に記載の化合物等に記載の有機染料を挙げることができる。
本発明においては、任意に混合する他の顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、これらの顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平8−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
また、本発明においては、任意に混合する他の着色剤と共に、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有させることもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等が挙げられ、また分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(以上、ビックケミー(BYK)社製)等、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ(株)社製)等の他、BYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製)を、それぞれ挙げることができる。
また、顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
他の着色剤の含有割合は、着色剤の合計含有量に対して95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。下限値は特に限定されるものではなく、0.01質量%以上であればよい。
(A)着色剤の含有割合は、輝度及び耐熱性に優れ、移染性の抑制された画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックス、ブラックスペーサーを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
−(B)バインダー樹脂−
(B)バインダー樹脂は特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」とも称する。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」とも称する。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」とも称する。)との共重合体を挙げることができる。(B)バインダー樹脂は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
不飽和単量体(b1)は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
また、不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
不飽和単量体(b2)は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平9−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。本発明の着色組成物においては、バインダー樹脂として側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を用いることにより、感度の高い着色組成物を得ることができ、また塗膜の硬化性を高めることができるという点で好ましい。
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す。)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。このような態様とすることで、耐熱性及び耐溶剤性がより一層高められるとともに、移染性や異物発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明におけるバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、ここでいう、Mnは、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
(B)バインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第2007/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
本発明において、(B)バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。このような態様とすることで、着色組成物の保存安定性が向上し、硬化膜の輝度及び耐熱性が高められるだけでなく、移染性や異物の発生を効果的に抑制することができる。
−(C)重合性化合物−
本発明において重合性化合物とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、(C)重合性化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。(C)重合性化合物は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物である多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの反応物である多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物であるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ここで、脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
また、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
これらの重合性化合物のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物である多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物である多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸との反応化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸との反応化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ異物の発生し難い点で特に好ましい。
本発明における(C)重合性化合物の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、20〜800質量部がより好ましく、100〜500質量部が更に好ましい。このような態様とすることで、輝度及び耐熱性に優れ、移染性の抑制された画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックス、ブラックスペーサーを形成することができる。
−光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有することができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。本発明に用いる光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、(C)重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。光重合開始剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物、オニウム塩系化合物等を挙げることができる。中でも、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物及びO−アシルオキシム系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
また、アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
また、ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、1種又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
また、トリアジン系化合物の具体例としては、例えば、特公昭57−6096号公報、特開2003−238898号公報の段落〔0063〕〜〔0065〕に記載の化合物を挙げることができる。
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品としては、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)、OXE−03、OXE−04(以上、BASF社製)等を使用することもできる。
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)重合性化合物100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、1〜100質量部が更に好ましい。このような態様とすることで、異物の発生の抑制だけでなく、硬化性、被膜特性を良好にすることができる。
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(C)成分、並びに任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、有機溶媒を配合して液状組成物として調製される。
有機溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(C)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。溶媒は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
このような有機溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等の(シクロ)アルキルアルコール;
ジアセトンアルコール等のケトアルコール;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン;
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のアルコキシカルボン酸エステル;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の脂肪酸アルキルエステル;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム等を挙げることができる。
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル及び(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートから選択される少なくとも1種が好ましい。
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような態様とすることにより、分散性、安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性の良好な着色組成物を得ることができる。
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
本発明の着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、その調製方法としては、例えば、(A)〜(C)成分を、溶媒や任意的に加えられる他の成分と共に、混合することにより調製することができる。(A)着色剤として本着色剤と共に顔料を用いる場合は、顔料を溶媒中、分散剤の存在下で、場合により(B)バインダー樹脂の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液とし、次いで、この顔料分散液に、本着色剤及び(C)重合性化合物と、必要に応じて(B)バインダー樹脂、光重合開始剤、更に追加の溶媒や他の成分を添加し、混合することにより調製する方法が好ましい。
着色硬化膜及びその形成方法
本発明の着色硬化膜は、上記式(1)で表される化合物を含有するものであり、本発明の着色組成物を用いて形成することができる。着色硬化膜の具体例としては、表示素子や固体撮像素子に用いられる各色画素、ブラックマトリックス、スペーサー、絶縁膜等を挙げることができる。
以下、表示素子や固体撮像素子を構成するカラーフィルタに用いられる着色硬化膜及びその形成方法について説明する。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、青色の本発明の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、青色の画素パターン(着色硬化膜)が所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
次いで、緑色又は赤色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び赤色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
プレベークは通常、70〜110℃で1〜10分程度である。
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
画素及びブラックマトリックスから選ばれる少なくとも1種を形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m2が好ましい。
また、アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、青色の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
次いで、緑色又は赤色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
なお、隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の熱硬化性着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、隔壁の高さと同程度である。
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
本発明の着色組成物は、カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等のいずれの着色硬化膜の形成においても、好適に用いることができる。このようにして形成された本発明の着色硬化膜を有するカラーフィルタは、輝度及び色純度が極めて高いため、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。なお、後述する表示素子は、本発明の着色組成物を用いて形成された着色硬化膜を少なくとも1以上具備するものであればよい。
表示素子
本発明の表示素子は、本発明の着色硬化膜を具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等を挙げることができる。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることができる。また、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極あるいはIZO(酸価インジュウムと酸化亜鉛との混合物)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。なお、後者の構造を採用する場合、ブラックマトリックスやブラックスペーサーは、カラーフィルタを形成した基板側、並びにITO電極あるいはIZO電極を形成した基板側のどちらに形成されていてもよい。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
本発明の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In−Planes Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードが適用できる。
本発明の着色硬化膜を具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。また、本発明の硬化膜を具備する電子ペーパーは、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
固体撮像素子
本発明の固体撮像素子は、本発明の着色硬化膜を具備するものである。また、本発明の固体撮像素子は適宜の構造を採ることができる。例えば、1つの実施の形態として、本発明の着色組成物を用いて、CMOS基板などの半導体基板上に、前述と同様の操作により着色画素(着色硬化膜)を形成することにより、色分離性や色再現性に優れた固体撮像素子を作製することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない
合成例1
撹拌子を入れた200mLのナス型フラスコに、アシッドレッド289 20g、ヨウ化エチル18.4g、水酸化カリウム3.32g及び超純水を120g加え、還流下6時間撹拌した。室温まで冷却後、ヘキサン80gで水層を洗浄し、この操作を3回繰り返し行った。その後、2N塩酸を150g加えることで、反応物を沈殿させ、上澄みを除いた。続いて超純水100gを加え、再び2N塩酸を50g加え反応物を沈殿させ、上澄みを除いた。得られた沈殿物を減圧乾燥して固体を11.9g得た。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は、下記式(A1−1)と(A1−2)で表される化合物を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−1)とする。
Figure 2017025305
合成例2
合成例1において、ヨウ化エチル18.4gに代えて1−ヨードブタン10.9gを用いた以外は合成例1と同様の反応操作を行った。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は、下記式(A2−1)と(A2−2) で表される化合物を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−2)とする。
Figure 2017025305
合成例3
合成例1において、ヨウ化エチル18.4gに代えて1−ヨードオクタン28.4gを用いた以外は合成例1と同様の反応操作を行った。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は、下記式(A3−1)と(A3−2) で表される化合物を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−3)とする。
Figure 2017025305
(本着色剤の合成)
実施例1
撹拌子を入れた100mLのナスフラスコに合成例1で得られた着色剤(A−1)3g、テトラブチルアンモニウムブロミド1.3g、超純水18g、アセトニトリル9gを加え、室温で2時間撹拌した。その後、酢酸エチルを9g加え、分液を行い、水層を分離した後、20gのイオン交換水を加え、再び水層を分離した。その後、20gのイオン交換水及び4gのアセトニトリルで2回有機層を洗浄した。続いて有機層をロータリーエバポレーターを使用して減圧濃縮した。得られたオイル状の残渣を50℃で12時間減圧乾燥することにより、固体を1.4g得た。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は、下記式(A4−1)と(A4−2) で表される化合物を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−4)とする。
Figure 2017025305
実施例2
実施例1において、テトラブチルアンモニウムブロミド1.3gに代えてテトラブチルホスホニウムブロミド1.4gを用いた以外は実施例1と同様の反応操作を行った。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は、下記式(A5−1)と(A5−2) で表される化合物を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−5)とする。
Figure 2017025305
実施例3
実施例2において、合成例1で得られた着色剤(A−1)3gに代えて合成例2で得られた着色剤(A−2)3gを用いた以外は実施例2と同様の反応操作を行った。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は、下記式(A6−1)と(A6−2) で表される化合物を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−6)とする。
Figure 2017025305
実施例4
実施例2において、合成例1で得られた着色剤(A−1)3gに代えて合成例3で得られた着色剤(A−3)3gを用いた以外は実施例2と同様の反応操作を行った。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は、下記式(A7−1)と(A7−2) で表される化合物を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−7)とする。
Figure 2017025305
実施例5
実施例1において、テトラブチルアンモニウムブロミド1.3gに変えて、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド2.3gを用いた以外は実施例1と同様の反応操作を行った。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は、下記式(A8−1)と(A8−2) で表される化合物を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−8)とする。
Figure 2017025305
実施例6
実施例1において、テトラブチルアンモニウムブロミド1.3gに代えて2−アクリロイルオキシエチルジエチルヘキシルアンモニウムブロミド1.4gを用いた以外は実施例1と同様の反応操作を行った。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は下記式(A9−1)と(A9−2) で表される化合物を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−9)とする。
Figure 2017025305
実施例7
撹拌子を入れた100mLのナスフラスコに合成例1で得られた着色剤(A−1)3gと、特許第4873101号明細書の段落〔0156〕記載の方法に従って作製した、側鎖にアンモニウム塩基を有する樹脂を含む47質量%濃度溶液13g、及びメタノール20gを加え30分撹拌した。その後、反応溶液をロータリーエバポレーターを使用して減圧濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル9g、酢酸エチルを9g加え、50℃にて内容物を30分撹拌した。次に、イオン交換水18gを加え分液を行い、水層を分離した後、20gのイオン交換水を加え、再び水層を分離した。その後、20gのイオン交換水及び4gのアセトニトリルで1回有機層を洗浄した。続いて有機層をロータリーエバポレーターを使用して減圧濃縮した。得られた残渣を50℃で12時間減圧乾燥することにより、固体を4.3g得た。LC−MS及びH−NMRによる分析により、得られた固体は、下記式(A10−1)と(A10−2) で表される、アニオン性キサンテン発色団と、メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド由来の繰り返し単位を有する樹脂アニオンとの塩を主成分とする色素の混合物であることが確認された。この化合物を着色剤(A−10)とする。なお、前記側鎖にアンモニウム塩基を有する樹脂は、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレートからなる共重合体に、オニウム塩化剤としてメチルクロライドを反応させて得られたものであり、重量平均分子量は6,830、アンモニウム塩価は34mgKOH/gである。
Figure 2017025305
比較例1
特許第4492760号明細書の段落〔0128〕記載の方法に従って、下記構造式で表される化合物を合成した。得られた化合物を、着色剤(a1)とする。
Figure 2017025305
比較例2
特開2013−50693号明細書の段落〔0162〕記載の方法に従って、下記構造式で表される化合物を合成した。得られた化合物を、着色剤(a2)とする。
Figure 2017025305
比較例3
特開2013−235257号明細書の段落〔0201〕記載の方法に従って、下記構造式で表される化合物を合成した。得られた化合物を、着色剤(a3)とする。
Figure 2017025305
次に、下記手法に基づいて、アルキル化反応における反応速度の比較を行った。
(アルカリ金属炭酸塩を用いたアルキル化反応)
実施例8
撹拌子を入れた200mLのナス型フラスコに、アシッドレッド289 20g、ヨウ化ブチル10.9g、炭酸カリウム8.2g及び超純水を120g加えた。オイルバスの温度を110℃に設定して、加熱撹拌を開始した。加熱撹拌開始から1時間後、及び4時間後にそれぞれ反応溶液をサンプリングし、後述のHPLC条件にて反応率の測定を行った。
(アルカリ金属水酸化物を用いたアルキル化)
実施例9
実施例8において、炭酸カリウム8.2gに変えて水酸化カリウム3.3gを用いた以外は実施例8と同様の反応操作によりアルキル化反応を行った後、測定を行った。
実施例8、9においてサンプリングした液に含まれる、式(α0)、(α1A)、(α1B)、(α2)及び(β0)〜(β2)で表される各化合物の化学同定をLC−MSにより行った。
〔LC−MS測定条件〕
・装置; LCQ Fleet〔Ultimate3000、サーモサイエンティフィック社製〕
・イオン化;ESI Negative
・スキャン範囲;100−1500
式(α0):実測値([M-H]-);653.1、
計算値(Exact Mass);653.1
Figure 2017025305
式(α1A)、式(α1B):実測値([M-H]-);709.2、
計算値(Exact Mass);709.2
Figure 2017025305
式(α2):実測値([M-H]-);765.3、
計算値(Exact Mass);765.3
Figure 2017025305
式(β0):実測値([M-H]-);733.1、
計算値(Exact Mass);733.1
Figure 2017025305
式(β1):実測値([M-H]-);789.2、
計算値(Exact Mass);789.2
Figure 2017025305
式(β2):実測値([M-H]-);845.2、
計算値(Exact Mass);845.2
Figure 2017025305
〔HPLC分析条件〕
・装置 :高速液体クロマトグラフ〔Ultimate3000、サーモサイエンティフィック社製〕
・カラム: CAPCELLPAK C18 MG(5μ150x4.6mm、資生堂社製)及びCAPCELLPAK C18 MG(5μ35x4.6mm、資生堂社製)を連結したもの
・検出波長:254nm
・カラムオーブン設定温度:40℃
・サンプル注入量:5μL
・流量 :0.5mL/min
・移動相 A液:5mM 酢酸アンモニウム水溶液
B液:アセトニトリル
グラジエント(B液)
B液初期濃度:20%(v/v)
20%→(7分)→20%→(10分)→95%→(5分)→95%
・分析サンプル調製:実施例8、9にてサンプリングした反応溶液をメタノールで300倍に希釈して調製
実施例8、9においてサンプリングした液に含まれる、上記式(α0)、(α1A)、(α1B)、(α2)及び(β0)〜(β2)で表される各化合物の保持時間は次の通りであった。
・式(β0)で表される化合物:保持時間13.5〜14.2分
・式(β1)で表される化合物:保持時間14.2〜14.8分
・式(β2)で表される化合物:保持時間14.8〜15.5分
・式(α0)で表される化合物:保持時間15.5〜16.2分
・式(α1A)および(α1B)で表される化合物:保持時間16.6〜17.4分
・式(α2)で表される化合物:保持時間18.1〜19.3分
上記式(α0)、(α1A)、(α1B)、(α2)及び(β0)〜(β2)で表される化合物について、各ピークの面積比をLC−MSによる面積百分率法で算出し、下記式に従ってジアルキル化反応率及び原料消費率を計算した。結果を表1に示す。
Figure 2017025305
Figure 2017025305
Figure 2017025305
<顔料分散液の調製>
調製例1
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6を12質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)12質量部(固形分濃度40質量%)、バインダー樹脂(B1)溶液(固形分濃度40質量%)を12.5質量部、及び溶媒としてメトキシプロパノール12質量部並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート51.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(p−1)を調製した。
<着色剤溶液の調製>
調製例2
着色剤(A−4)10質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル90質量部とを混合し、着色剤溶液(A−4)を調製した。
調製例3〜11
調製例2において、着色剤(A−4)に代えて着色剤(A−5)〜(A−10)及び着色剤(a1)〜(a3)を用いた以外は調製例2と同様にして、着色剤溶液(A−5)〜(A−10)及び着色剤溶液(a1)〜(a3)を調製した。
<(B)バインダー樹脂の合成>
合成例4
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート28質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15 質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20質量部、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を2時間かけて各々滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=10,500、Mn=5,900であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B1)」とする。
合成例5
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B2)」とする。
<移染性の評価に用いる緑色着色組成物(G−1)の調製>
調製例12
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58を9.6質量部、C.I.ピグメントイエロー138を3.4質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)10.0質量部(固形分濃度40質量%)、バインダー樹脂(B1)溶液(固形分濃度40質量%)を12.0質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート65.0質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(p−2)を調製した。
顔料分散液(p−2)68.3質量部、バインダー樹脂(B2)溶液(固形分濃度33質量%)6.3質量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成株式会社製、商品名アロニックスM−450)を8.5質量部、多塩基酸変性アクリルオリゴマー(東亞合成株式会社製、商品名アロニックスM−520)を2.1質量部、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)1.1質量部、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(保土ヶ谷化学工業株式会社製、商品名B−CIM)0.5質量部、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製)0.5質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール(東京化成工業株式会社製)0.2質量部、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、商品名IRGAC
URE907)0.3質量部、メガファックF−554(DIC株式会社製)0.05質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度18質量%の緑色着色組成物(G−1)を調製した。
<着色組成物の調製及び評価>
実施例10
着色剤として顔料分散液(p−1)33.2質量部及び着色剤溶液(A−4)8.1質量部並びにソルベントブルー70(有本化学社製 Oil Blue 5511)0.3質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液10質量部、重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD DPHA)15.4質量部、光重合開始剤として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、商品名IRGACURE907)2.8質量部、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製)1.4質量部並びにアデカアークルズNCI−831(株式会社ADEKA製)0.07質量部、界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5質量%溶液を0.8質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合し、固形分濃度16質量%の着色組成物(S−1)を調製した。
輝度及びコントラスト比の評価
着色組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のホットプレートで10分間プレベークを行って塗膜を形成した。スピンコーターの回転数を変えて同様の操作により、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を600J/m、照度35mWの露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm(ノズル径1mm)で吐出することにより、50秒間シャワー現像を行った。その後、これらの基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、青色の硬化膜を形成した。
得られた3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系におけるBx=0.140、By=0.098での刺激値(Y)を測定した。
更に、硬化膜が形成された基板を2枚の偏向板で挟み、背面側から蛍光灯(波長範囲380〜780nm)で照射しつつ前面側の偏向板を回転させ、輝度計LS−100(ミノルタ(株)製)により透過する光強度の最大値と最小値を測定した。そして、各々の硬化膜について、最大値を最小値で除した値をコントラスト比とした。測定結果より、色度座標値y=0.098でのコントラスト比を求めた。評価結果を表2に示す。なお、コントラスト比は、数値が大きい程、良好であることを意味する。
耐熱性の評価
輝度の評価の際に作成した基板を230℃のクリーンオーブン内で75分間ポストベークした後に、色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定し、追加ベーク前後での色変化、即ちΔE*abを評価した。その結果、ΔE*abが4.5未満の場合を「○」、4.5以上5.0未満の場合を「△」、5.0以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表2に示す。
移染性の評価
緑色着色組成物(G−1)を、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2膜が表面に形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.4μmの塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/mの露光量で全面露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm2(ノズル径1mm)で吐出することにより、50秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、基板上に緑色硬化膜(T−1)を形成した。
着色組成物(S−1)を緑色硬化膜(T−1)上にスピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚3.0μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm2(ノズル径1mm)で吐出することにより、50秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した。緑色硬化膜(T−1)上に着色組成物(S−1)を塗布してから、風乾するまでの工程を(工程−1)とする。
(工程−1)前後で緑色硬化膜(T−1)の色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)をそれぞれ測定し、(工程−1)前後の刺激値変化、即ちΔE*abを評価した。その結果、ΔE*abの値が0.5未満の場合を「○」、0.5以上0.7未満の場合を「△」、0.7以上の場合を「×」として評価した。評価結果を表2に示す。なお、ΔE*ab値が小さい程、移染性が抑制されていると言える。
実施例11〜16及び比較例4〜6
実施例10において、顔料分散液(p−1)の量、並びに着色剤溶液の種類及び量を表2に示すように変更した以外は実施例10と同様にして着色組成物(S−2)〜(S−10)を調製した。そして、着色組成物(S−1)に代えて着色組成物(S−2)〜(S−10)を用いた以外は実施例10と同様にして、輝度、耐熱性及び移染性の評価を行った。評価結果を表2に示す
Figure 2017025305

Claims (7)

  1. (A)着色剤、(B)バインダー樹脂及び(C)重合性化合物を含有する着色組成物であって、
    (A)着色剤として下記式(1)で表される化合物を含む、着色組成物。
    Figure 2017025305
    〔式(1)において、
    〜R及びRは、相互に独立に、一価の基を示す。
    及びRは、相互に独立に、水素原子又は一価の基を示し、但しR及びRのうち少なくとも1つは一価の基を示す。
    a+は、a価のオニウムカチオンを示す。
    aは、1以上の整数を示す。
    bは、式(1)で表される化合物が電気的中性となるように定められる1以上の整数を示し、bが2以上の場合、複数存在する(Za+)は同一でも異なっていても良い。
    xは、0〜5の整数を示す。
    y及びzは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
    但し、R〜Rのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する一価の基である。〕
  2. (Za+)が、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウム塩基を有する樹脂又はホスホニウム塩基を有する樹脂である、請求項1に記載の着色組成物。
  3. xが1であり、
    が−CO 、又は−SO であり、
    y及びzが0であり、
    が置換又は非置換の芳香族炭化水素基であり、
    が置換基として−SO を有する芳香族炭化水素基であり、
    及びRが、相互に独立に、置換又は非置換の脂肪族炭化水素基である、
    請求項1又は2に記載の着色組成物。
  4. 下記式(1)で表される化合物を含む、着色硬化膜。
    Figure 2017025305
    〔式(1)において、
    〜R及びRは、相互に独立に、一価の基を示す。
    及びRは、相互に独立に、水素原子又は一価の基を示し、但しR及びRのうち少なくとも1つは一価の基を示す。
    a+は、a価のオニウムカチオンを示す。
    aは、1以上の整数を示す。
    bは、式(1)で表される化合物が電気的中性となるように定められる1以上の整数を示し、bが2以上の場合、複数存在する(Za+)は同一でも異なっていても良い。
    xは、0〜5の整数を示す。
    y及びzは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
    但し、R〜Rのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する一価の基である。〕
  5. 請求項4に記載の着色硬化膜を具備する表示素子。
  6. 塩基の存在下、下記式(100)で表される構造を有する化合物と、下記式(101)で表される化合物とを反応させる工程を含む、下記式(102)で表される構造を有する化合物の製造方法。
    Figure 2017025305
    〔式(100)において、
    〜R及びRは、相互に独立に、一価の基を示す。
    xは、0〜5の整数を示す。
    y及びzは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
    但し、R〜R及びRのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する一価の基である。〕
    Figure 2017025305
    〔式(101)において、
    Rは、一価の炭化水素基を示す。
    Xは、Br、I又はOTを示す。
    は、トリフルオロメチルスルホニル基を示す。〕
    Figure 2017025305
    〔式(102)において、
    〜R、R、R、x、y及びzは、前記と同義である。〕
  7. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 2017025305
    〔式(1)において、
    〜R及びRは、相互に独立に、一価の基を示す。
    及びRは、相互に独立に、水素原子又は一価の基を示し、但しR及びRのうち少なくとも1つは一価の基を示す。
    a+は、a価のオニウムカチオンを示す。
    aは、1以上の整数を示す。
    bは、式(1)で表される化合物が電気的中性となるように定められる1以上の整数を示し、bが2以上の場合、複数存在する(Za+)は同一でも異なっていても良い。
    xは、0〜5の整数を示す。
    y及びzは、相互に独立に、0〜3の整数を示す。
    但し、R〜Rのうち2つ以上が、−CO 、−SO 若しくは−PO であるか、又は−CO 、−SO 若しくは−PO を有する一価の基である。〕
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