JP2016215116A - 微生物担体 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物の固着性が良好であり、且つ流動性、形態保持性に優れた微生物担体を提供すること。
【解決手段】湿熱融着性繊維の融着により繊維が固定された不織繊維構造体を含む微生物担体であって、湿熱融着性繊維がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を含む微生物担体。湿熱融着性繊維において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)を含んでいてもよく、鞘成分が主に前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を含み、芯成分が主に前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる前記繊維形成性重合体(b)を含む芯鞘型複合繊維であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、微生物担体に関する。また本発明は、生物学的水処理方法に使用する微生物担体であり、生物学的水処理方法の中の流動床水処理用の微生物担体に関する。
微生物を微生物担体に担持させて、微生物担体上の微生物により水を処理浄化する方法が知られている。活性汚泥などの微生物を多孔質材料に担持させて水を浄化する方法として、流動床法がある。この流動床法は、微生物と有機物や酸素との接触効率を上げることができるため、水を処理浄化する場合はもちろん、反応槽の省スペース化をおこないたい場合や生育速度が遅い微生物などを培養する場合などに用いられている。
このような流動床法用の微生物担体として、多孔質材料であるウレタンフォームを微生物担体として使用することが開示されている(特許文献1参照。)。しかし、ウレタンフォームは加水分解するため、耐久性に問題がある。また、ウレタンフォームのセルとセルとの間には、皮膜が形成されているため、生物膜を形成する際の阻害要因となる。
また、ポリエチレン製の不織布を使用した吸着材なども開示されている(特許文献2参照。)が、比重が水より軽いために、流動時に微生物担体が水面に浮いてしまい、微生物と有機物及び酸素との接触効率が低下してしまう。また、嵩高な不織布の場合は、繊維間の接着が弱くなり、流動時に発生する磨耗などに対する強度が充分に維持することができなかった。
特許第4969817号公報 国際公開98/22576号パンフレット
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、微生物の固着性が良好であり、且つ流動性、形態保持性に優れた流動床水処理用の微生物担体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、湿熱融着性繊維の融着により繊維が固定された不織繊維構造体を含む微生物担体であって、前記湿熱融着性繊維がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を含み、繊維接着率が10%以上80%以下である、微生物担体である。
また、前記湿熱融着性繊維を70質量%以上含む微生物担体であってもよく、前記不織繊維構造体の見かけ密度が0.03g/cm以上0.3g/cm以下である微生物担体であってもよく、前記不織繊維構造体の比重が1.0g/cm以上である微生物担体であってもよい。
また、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(a)を構成する単量体単位に対する前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(a)中のエチレン単位の含有率が5モル%以上60モル%以下である微生物担体であってもよい。
また、前記湿熱融着性繊維が前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)を含む微生物担体であってもよい。また、前記湿熱融着性繊維が、芯鞘型複合繊維であり、鞘成分が主に前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を含み、芯成分が主に前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる前記繊維形成性重合体(b)を含む微生物担体であってもよい。
また、前記湿熱融着性繊維において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)と、前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)との質量比(a)/(b)が90/10〜10/90である微生物担体であってもよい。また、前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる前記繊維形成性重合体(b)が、ポリエステル系重合体であってもよく、ポリエステル系重合体がポリエチレンテレフタレートであってもよい。また、前記微生物担体が流動床水処理に使用されてもよい。
本発明により、微生物の固着性が良好であり、且つ流動性、形態保持性に優れる微生物担体を提供することができる。
本発明の微生物担体は、不織繊維構造体を含み、繊維同士が三次元的に絡みあい、且つ結合点が湿熱融着により接着した構造を有する。不織繊維構造体内には、連続した小さな空隙が存在しているので、活性汚泥などの微生物が固着することができる。
また本発明の微生物担体は、湿熱接着性繊維が融着することにより繊維間が強固な接着構造を有しているので、流動攪拌時に発生する流動床同士やリアクターとの衝突による機械的損傷が少なく、形態保持性に優れる。
本発明の微生物担体は、湿熱融着性繊維の融着により繊維が固定された不織繊維構造体を含む微生物担体であって、前記湿熱融着性繊維がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を含み、繊維接着率が10%以上80%以下である。
(湿熱融着性繊維)
本発明における湿熱融着性繊維は、少なくとも湿熱融着性樹脂を含む繊維で構成される。この湿熱融着性樹脂は、熱水や蒸気によって容易に実現可能な温度において、流動又は容易に変形して接着機能を発現可能であればよい。この湿熱融着性樹脂としては、たとえば熱水や蒸気(たとえば、80〜220℃、好ましくは80〜120℃、より好ましくは95〜100℃)で軟化して自己融着又は他の繊維に融着可能な熱可塑性樹脂、たとえば、セルロース系樹脂(メチルセルロースなどのC1−3アルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのヒドロキシC1−3アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1−3アルキルセルロース又はその塩などを含む樹脂)、ポリアルキレングリコール樹脂(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリC2−4アルキレンオキサイドなどを含む樹脂)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ビニルアルコール系重合体、ポリビニルアセタールなどを含む樹脂)、アクリル系重合体樹脂およびその塩[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなどのアクリル系単量体単位を含む重合体又はそのアルカリ金属塩などを含む樹脂]、変性ビニル系共重合体樹脂(イソブチレン、スチレン、エチレン、ビニルエーテルなどのビニル系単量体単位と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合体又はその塩などを含む樹脂)、親水性の置換基を導入した重合体樹脂(スルホン酸基やカルボキシル基、ヒドロキシル基などを導入したポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン又はその塩などを含む樹脂)、脂肪族ポリエステル系樹脂(ポリ乳酸系樹脂など)などが挙げられる。さらに、ポリオレフィン系樹脂、全芳香族ポリエステル系樹脂、半芳香族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー又はゴム(スチレン系エラストマーなど)などのうち、熱水で軟化して融着機能を発現可能な樹脂も湿熱融着性樹脂に含まれる。
これらの湿熱融着性樹脂は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよく、親水性高分子を含んでいてもよい。これらの湿熱融着性樹脂のうち、ポリビニル系樹脂としてはたとえばエチレンやプロピレンなどのα−C2−10オレフィン単位を含むビニルアルコール系重合体が好ましく、ポリ乳酸系樹脂としては、ポリ乳酸などが好ましく、アクリル系重合体樹脂としては、(メタ)アクリルアミド単位を含む(メタ)アクリル系重合体などが好ましい。ビニルアルコール系重合体としては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)がより好ましい。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)としては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を構成する単量体単位に対してエチレン単位が5モル%から60モル%の範囲で共重合されたものが用いられる。特にエチレン単位が30モル%から50モル%の範囲で共重合されたものが、不織繊維構造体の加工性を確保する上で好ましい。エチレン単位が所定量共重合されることにより、湿熱融着性を有するが、熱水溶解性はないという特異な性質が得られる。エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を構成する単量体単位に対してエチレン単位の含有率が5モル%未満の場合、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)が、低温の水で容易に膨潤・ゲル化してしまい、水に一度濡れると形態が変わってしまう場合がある。また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を構成する単量体単位に対してエチレン単位の含有率が60モル%を超えると吸湿性が低下し、湿熱による繊維融着が発現しにくくなる場合がある。
これらの樹脂からなる湿熱融着性繊維の断面形状は、特に限定はなく、一般的な中実断面形状である丸断面や異型断面形状に限らず、中空断面形状等、種々の断面形状とすることができる。また、少なくとも湿熱融着性樹脂を含む複合繊維であってもよい。
複合繊維の場合、湿熱融着性樹脂同士を組み合わせてもよいが、湿熱融着性樹脂と非湿熱融着性樹脂とを組み合わせてもよい。非湿熱融着性樹脂は、湿熱融着性樹脂が流動又は容易に変形する温度において、流動又は容易に変形しない。非湿熱融着性樹脂としては、非水溶性又は疎水性樹脂が挙げられ、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、親水性ではない(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの非湿熱融着性樹脂のうち、耐熱性及び寸法安定性の点から、融点が湿熱融着性樹脂(特にエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a))よりも高い樹脂、たとえば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、特に、耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。これらの非湿熱融着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
脂肪族ポリエステル系樹脂、全芳香族ポリエステル系樹脂又は半芳香族ポリエステル系樹脂は、ポリエステル系樹脂に含まれる。ポリエステル系樹脂は少なくともポリエステル系重合体を含む。ポリエステル系重合体を構成する多価カルボン酸単位または多価カルボン酸エステル単位としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、α,β−(4−カルボフェノキシ)エタン、4,4−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸または多価カルボン酸エステル単位が挙げられる。また、ポリエステル系重合体を構成する多価アルコール単位としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、またはポリテトラメチレングリコール等のジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコール単位が挙げられる。ポリエステル系重合体を構成する多価カルボン酸単位または多価カルボン酸エステル単位と、多価アルコール単位からなる構成単位、との組み合わせはどのような構成単位であってもよいが、エチレンテレフタレート単位(テレフタル酸単位とエチレングリコール単位からなるエステル)からなるポリエステル系重合体が好ましく、ポリエステル系重合体中の構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位(テレフタル酸単位と、エチレングリコール単位からなるエステル)であるポリエステル系重合体がより好ましく、ポリエステル系重合体がポリエチレンテレフタレートであるとさらに好ましい。
ポリアミド系樹脂は少なくともポリアミドを含む。ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6−12などの脂肪族ポリアミドおよびその共重合体、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどが好ましい。これらのポリアミド系樹脂中には、共重合可能な他の単量体単位が含まれていてもよい。
また、湿熱融着性樹脂と非湿熱融着性樹脂とを含む複合繊維の場合は、複合繊維全体の重量に対する湿熱融着性樹脂の割合が90質量%を超えると、湿熱融着性樹脂と非湿熱融着性樹脂とを含む複合繊維が、湿熱融着性樹脂の流動又は容易に変形することで繊維形態を保持できなくなり、複合繊維そのものの強度を充分に確保することが困難となる。また、湿熱融着性樹脂の割合が10質量%未満であると、湿熱融着性樹脂の量が少ないため、熱融着性樹脂が流動又は変形すると、長さ方向に連続した繊維形態を保持することが極めて困難になるばかりか、不織繊維構造体の繊維接着率が適切な範囲から外れるために充分な繊維接着強度を確保することができなくなる。これは、湿熱融着性樹脂を繊維にコートする場合においても同様である。
また、湿熱融着性繊維がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)を含んでもよい。また、湿熱融着性繊維が、芯鞘型複合繊維であるとき、鞘成分は主にエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を含み、芯成分が主にエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)を含んでもよい。ここでエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)は、たとえば上記の非湿熱融着性樹脂が挙げられる。また「主に」とは、鞘成分においてはエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)が鞘を構成する成分の50質量%を超えて含まれることを表し、芯成分においてはエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)が芯を構成する成分の50質量%を超えて含まれることを表す。
この複合繊維の形態は、湿熱融着性樹脂が繊維表面において、その一部または全部が長さ方向に連続して存在するものであってもよい。たとえば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、多層貼合型、ランダム複合、放射状貼合型等を挙げることができ、非湿熱融着性樹脂からなる繊維に湿熱融着性を有する樹脂をコートした繊維でもよい。繊維間の接着性の均一性を確保する上で湿熱融着性繊維や複合繊維は、芯鞘型が好ましい。
湿熱融着性繊維において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)と、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)との質量比(a)/(b)が90/10〜10/90であることが好ましく、30/70〜70/30がより好ましい。質量比(a)/(b)が10/90より小さいとエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)が剥離しやすくなる。また、質量比(a)/(b)が90/10より大きいと保水時に繊維の形態安定性が低下する。
(湿熱融着性繊維を含むウェブ)
このような湿熱融着性繊維または少なくとも湿熱融着性樹脂を含む複合繊維をウェブ化し、ついで繊維固定し、目的の不織繊維構造体(たとえば微生物担体)とする。ウェブ化は、公知の方法が採用できる。たとえば、スパンボンド法、メルトブロー法のような直接法を用いてもよいし、ステープル繊維を用いてカード法、エアレイ法などの乾式法を用いてもよい。ステープル繊維ウェブとしては、ランダムウェブ、セミランダムウェブ、パラレルウェブ、クロスラップウェブ等が好ましい。
ウェブを製造する際、必要に応じて他の繊維を混合してもよい。ウェブ中の湿熱融着性繊維または少なくとも湿熱融着性樹脂を含む複合繊維の全表面(外周表面と断面)のうちの外周表面は、70%以上が湿熱融着性樹脂で覆われていることが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。ウェブ中の湿熱融着性繊維または少なくとも湿熱融着性樹脂を含む複合繊維の外周表面を覆う湿熱融着性樹脂の割合が高いほど、ウェブから得られる不織繊維構造体(たとえばボード材)の中の繊維が接着しやすくなり機械強度を高くすることが容易になる。ウェブ中の湿熱融着性繊維または少なくとも湿熱融着性樹脂を含む複合繊維の外周表面を覆う湿熱融着性樹脂の面積比率が70%未満になると、ウェブから得られる不織繊維構造体の機械強度を充分に確保することができなくなる。なお、湿熱融着性繊維または少なくとも湿熱融着性樹脂を含む複合繊維の外周表面の面積は、不織繊維構造体の繊維接着率を測定する方法と同様の方法でウェブを切断し、ウェブの切断面で観測される繊維の終端面に認められる100の繊維断面から求められる平均の周の長さと、JIS L1015附属書Aにより測定される平均繊維長とから求める。繊維表面を覆う湿熱接着性樹脂の面積は、たとえば繊維表面の湿熱接着性樹脂に含まれるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)がヨウ素水溶液で染色される面積から求めことができる。外周表面の面積と繊維表面の湿熱接着性樹脂の面積から、外周表面を覆う湿熱融着性樹脂の面積比率を求めることができる。
ウェブを製造する際に混合してもよい他の繊維としては、湿熱融着性樹脂を含む湿熱融着性繊維以外の繊維であれば特に限定はない。たとえば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂やポリオレフィン系樹脂等を含む熱可塑性繊維(たとえば前記の非湿熱接着性樹脂)や、木綿、羊毛、絹、麻などの天然繊維、トリアセテート繊維などのアセテート繊維など半合成繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセルなど再生繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維など無機繊維などが挙げられる。
湿熱融着性繊維や複合繊維から形成されるウェブを構成する繊維の平均繊度は、好ましくは0.5〜20dtexであり、より好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは2〜8dtexである。平均繊度が0.5dtex未満であると、繊維間の接着力が弱くなり、不織繊維構造体や微生物担体としての強度が弱くなってしまう。また、たとえばカード法によるウェブの形成工程の生産性が低下してしまう。平均繊度が20dtexを超えると、不織繊維構造体内部の密度の均一性が保てなくなり、微生物の固着性が低下してしまう。
(不織繊維構造体)
この不織繊維構造体は、湿熱融着性繊維を含む繊維を用いたウェブに熱水や蒸気、たとえば飽和水蒸気または過熱水蒸気を作用させ、湿熱融着性樹脂の乾熱融点以下の温度にて繊維間を湿熱融着させることにより得られる。ウェブに作用させる熱水・蒸気の温度は、目的とする繊維融着が実現できれば特に限定はなく、使用する繊維の材質や形態により設定すればよいが、80〜220℃の範囲が好ましい。ウェブに作用させる熱水・蒸気のウェブとの接触時間は、必要な繊維接着率が得られる時間であれば特に限定はないが、0.00001秒〜10分の範囲が好ましい。
さらに、本発明の不織繊維構造体は慣用の添加剤、たとえば、抗菌剤、着色剤(染顔料など)、充填剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤、金属酸化物などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、繊維表面に担持されていてもよく、繊維中に含まれていてもよい。
(微生物担体)
本発明の微生物担体は本発明の不織繊維構造体を含んでいるため、微生物の固着性、流動性、形態保持性に優れる。特に本発明の不織繊維構造体内には、連続した小さな空隙が存在しているので、たとえば活性汚泥などの微生物が固着することができる。微生物担体に用いる不織繊維構造体の見かけ密度は、0.03〜0.3g/cmが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.20g/cmであり、さらに好ましくは0.07〜0.15g/cmである。見かけ密度が0.03g/cm未満の場合は、空隙率が大きく微生物の固着は容易になるものの、湿熱融着による接着点の数が少なくなるため、不織繊維構造体は充分な接着強度を得ることが難しくなる。見かけ密度が0.3g/cmを超えると、不織繊維構造体の接着強度は充分になるが、不織繊維構造体中の空隙の大きさが小さくなり不織繊維構造体への微生物の固着が難しくなる。
微生物担体に用いる不織繊維構造体の繊維接着率は、10%以上であることが必要であり、15%以上が好ましい。また、80%以下であることが必要であり、75%以下が好ましい。ここで、繊維接着率とは、実験例に記載する繊維接着率の評価方法により得られる数値を表す。微生物担体に用いる不織繊維構造体の繊維接着率が10%未満の場合は、空隙率が大きく微生物の固着は容易になるものの、湿熱融着による接着点の数が少なくなるため、不織繊維構造体は充分な接着強度を得ることが難しくなる。微生物担体に用いる不織繊維構造体の繊維接着率が80%を超えると、不織繊維構造体の接着強度は充分になるが、不織繊維構造体中の空隙の大きさが小さくなり不織繊維構造体への微生物の固着が難しくなる。
本発明の微生物担体は、流動性を良好にするために、不織繊維構造体の比重が1.0g/cm以上であることが好ましい。不織繊維構造体の比重が1.0g/cm未満であると水に浮いてしまうため、微生物担体の流動性が低下する。このため、湿熱融着性繊維、非湿熱融着性樹脂や他の繊維にポリオレフィン系などの比重が1.0g/cm未満の繊維や樹脂を使用して不織繊維構造体を製造する場合は、不織繊維構造体の比重が1.0g/cm以上になるように、湿熱融着性繊維と非湿熱融着性樹脂の組合せや他の繊維の樹脂比率を調整して不織繊維構造体を得てもよい。また、前記添加物と湿熱融着性樹脂を含む湿熱融着性繊維や、前記添加物を含む非湿熱融着性樹脂を使用して不織繊維構造体を得てもよい。また、不織繊維構造体の比重の上限はないが、流動性の観点から比重は1.5g/cm以下であってもよい。
(不織繊維構造体の製造方法)
次に、本発明の微生物担体に用いる不織繊維構造体の製造法について説明する。すでに述べた方法により形成されたウェブは、ベルトコンベアにより次工程へ送られ、次いで蒸気流、たとえば飽和水蒸気または過熱水蒸気(高圧スチーム)流に晒されることで、不織繊維構造体が得られる。ここで使用するベルトコンベアは、基本的には加工に用いるウェブをその形態を乱すことなく運搬できるものであれば特に限定はないが、エンドレスコンベアが好適に用いられる。一般的な単独のベルトコンベアであってもよいし、必要に応じてもう一台のベルトコンベアを用意し、両コンベアの間にウェブを挟むようにして運搬する方法でもよい。このようにすることでウェブを処理する際に、処理に用いる水、蒸気またはコンベアの振動などの外力により運搬してきたウェブの形態が変形するのを抑える。また、処理後の構造体の見かけ密度や厚さをこのベルトの間隔を調整することにより制御することも可能となる。
ウェブに蒸気を供給するための蒸気噴射装置は、一方のコンベア内に装着され、コンベアネットを通してウェブに蒸気を供給する。反対側のコンベアには、サクションボックスを装着して、ウェブを通過した過剰の蒸気を吸引排出してもよい。また、ウェブの表と裏を一度に蒸気処理してしまうために、蒸気噴射装置を設置するコンベアの下流側にサクションボックスを装着し、反対側のコンベア内に蒸気噴射装置を設置してもよい。下流部の蒸気噴射装置とサクションボックスがない場合、構造体の表と裏を蒸気処理したければ、一度処理した構造体の表裏を反転させて再度処理装置内を通過させることで代用できる。
コンベアに用いるエンドレスベルトは、ウェブの運搬や蒸気処理の妨げにならなければ、特に限定されるものではない。ただし、蒸気処理する場合、その条件により構造体表面にベルトの表面形状が転写される場合が生ずるので、場合に応じて適宜選択する。特に、表面の平坦な構造体を得たい場合は、メッシュの細かいネットを使用すればよい。この場合、90メッシュ程度が上限である。これ以上のメッシュの細かなものは、通気性が低く、蒸気が通過し難くなり好ましくない。また、ベルト材質は、蒸気処理に対する耐熱性等の観点より、金属、耐熱処理したポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、またはポリアリレート系樹脂や全芳香族ポリエステル系樹脂等の耐熱性樹脂よりなるメッシュベルトが好ましく用いられる。
次に、このウェブはコンベアにより運搬され、蒸気噴射装置のノズルから噴出される高速蒸気流の中を通過する際、吹き付けられた蒸気により繊維の3次元的接着が行なわれる。この蒸気は、気流であるため被処理体であるウェブ中の繊維を(水流絡合処理や、ニードルパンチ処理の様に)大きく移動させることなく、ウェブ内部へ進入する。このウェブ中への蒸気流の進入作用および湿熱作用によって、蒸気流がウェブ内に存在する各繊維の表面を湿熱状態で効率的に覆い、均一な熱融着が可能になると考えられる。また、この処理は高速気流下で極めて短時間に行われるため、蒸気の繊維表面への熱伝導は速いが、繊維内部への熱伝導はさほど速くなく、そのため蒸気の圧力や熱により、処理されるウェブ自体の厚さが損なわれるような変形も起こりにくい。その結果、ウェブを潰すことなく、表面および厚さ方向における融着の程度が概ね均一になるように湿熱融着される。このとき、ウェブを挟んで蒸気噴射装置のノズルと反対側のエンドレスベルトの裏側をステンレス板等にし、蒸気が通過できない構造とすれば、被処理体であるウェブを通過した蒸気がここで反射するので、蒸気の保温効果によって繊維はより強固に融着される。繊維に軽度の融着が必要な場合は、サクションボックスを配置し、余分な蒸気を室外へ排出してもよい。
蒸気を噴射するための蒸気噴射装置のノズルは、所定のオリフィスが幅方向に連続的に並んだプレートやダイスを用い、これを供給されるウェブの幅方向に沿ってオリフィスが並ぶように配置すればよい。この時、オリフィス列は1列以上あればよく、複数列が並行した配列であってもよく、一列のオリフィス列を有するノズルダイを複数台並列に設置しても構わない。たとえば、プレートにオリフィスを開けたタイプのノズルを使用する場合、プレートの厚さは、0.5〜1.0mm程度のものが用いられる。この場合には、オリフィスの径やピッチは、目的とする繊維固定ができる条件であれば特に制限はないが、通常、直径0.05〜2.0mmのものを使用するが、好ましくは0.1〜1.0mm、より好ましくは0.2〜0.5mmである。一方、オリフィスのピッチは、通常0.5〜3.0mmで使用するが、好ましくは1.0〜2.5mm、より好ましくは1.0〜1.5mmである。オリフィスの径が0.05mmより小さい場合は、ノズルの加工精度が低くなり、加工が困難になるという設備的な問題点と、目詰まりを起こしやすくなるという運転上の問題点が生じるため好ましくない。オリフィスの径が2.0mmを超える場合は、充分な蒸気噴射力を得ることが難しくなってしまうため好ましくない。一方、ピッチが0.5mm未満の場合は、ノズル孔が密になりすぎるため、ノズルそのものの強度が低下してしまい好ましくない。一方で、ピッチが3mmを超えるような場合は、蒸気がウェブに充分当らなくなるケースが出てくるため、充分なウェブ強度を確保しにくい場合がある。
また、繊維融着に使用する熱水・蒸気の温度として80〜220℃が好ましい。蒸気を使用する場合の蒸気の圧力は、目的とする繊維融着が実現できれば特に限定はなく、使用する繊維の材質や形態により設定すればよいが、圧力0.1MPa〜2.0MPaの蒸気を用いることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5MPaであり、さらに好ましくは0.3〜1.0MPaである。たとえば、蒸気の圧力が高すぎたり、強すぎる場合は、ウェブを形成する繊維が動いてしまい、地合の乱れを生じたり、繊維が溶融しすぎて部分的に繊維形状を保持できなくなるという問題を生ずる可能性がある。また、圧力が弱すぎる場合は、繊維の融着に必要な熱量を被処理物に与えることができなくなったり、蒸気がウェブを貫通できず、厚さ方向に繊維融着斑を生ずる等の問題が発生したり、ノズルからの蒸気の均一噴出の制御が困難になる等の不具合が発生しやすくなる。
必要であれば、コンベアベルトに所定の凹凸柄や文字や絵等を付与しておき、これらを転写させることで得られる製品に意匠性を付与することも可能である。また、他の資材と積層することや、成型加工により希望の形態とすることも可能である。
前記の方法により、ウェブの全体または部分的に湿熱融着して不織繊維構造体を得ることができる。ウェブを湿熱融着した後、不織繊維構造体に水分が残留する場合は、必要に応じてウェブを乾燥してもよい。乾燥は、不織繊維構造体が、乾燥後にフィルム化せずに繊維形態を維持していることが必要であり、これが達成できるのであれば特に方法は問わない。たとえば、従来から不織布の乾燥に使用されるシリンダー乾燥機やテンターのような大掛かりな乾燥設備を使用しても構わないが、残留している水分が微量である場合や、比較的軽度な乾燥手段により乾燥可能な場合は、遠赤外線照射、マイクロ波照射、または電子線照射等の非接触法や熱風を吹きつける方法等が好ましい。
得られた不織繊維構造体は、微生物担体に使用することが可能であり、特に流動床水処理用の微生物担体として使用することが好適である。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例における各物性値は、以下の方法により測定した。
(1)目付(g/m
JIS L1913に準じて測定した。
(2)厚さ(mm)、見かけ密度(g/cm
JIS L1913に準じて厚さを測定し、この値と(1)の方法で測定した目付とから見かけ密度を算出した。
(3)不織繊維樹脂の比重(g/cm
JIS K7112に準拠して比重を測定した。
(4)繊維接着率(%)
不織繊維構造体を平面に対して垂直(厚み方向)に切断する。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、この不織繊維構造体断面を100倍に拡大した写真を撮影し、そこに見出される繊維の終端面の数(以下、全繊維断面数と略称する。)に対して、2本以上の繊維が接着した繊維の断面数の割合を以下の式に基づいて百分率で表した。
繊維接着率(%)=(2本以上の繊維が接着した繊維の断面数)/(全繊維断面数)×100
繊維同士が接触する部分には、接着することなく接触している部分と、接着している部分とがある。不織繊維構造体を切断すると、単に接触している部分の繊維の終端面は分離し、単に接触している部分と、接着した部分とを判別することができた。なお、写真上の繊維の終端面の数はすべて計数した。全繊維断面数が100以下の場合は、観察する断面写真をさらに追加して、全繊維断面数が100を超えるようにした。
(5)微生物の固着性
アンモニア態窒素及び亜硝酸態窒素を含有した嫌気性合成排液の入った500mLの遮光性容器に、5mm角に裁断した微生物担体50gと予め集積培養したアナモックス菌を入れ、溶液を35℃で保温した。遮光性容器内の合成排液の交換を、1日に1回の間隔で行った。1ヶ月後に、微生物担体を取り出した後に、カッターで微生物担体を2分割し、微生物担体中心部へのアナモックス菌の固着状態を目視で確認し、下記の2段階にて評価した。
A;微生物担体中央部までアナモックス菌の付着が形成されており、微生物担体が赤褐色になっている。
B;微生物担体中央部までアナモックス菌の付着が形成されていない。
(6)流動性
5mm角に裁断した微生物担体50gを、5Lの水を入れたアクリル製の水槽(底面;20cm×20cm、高さ;30cm)に浸漬。水槽の下部よりエアーポンプ(「NPA−020」ニッソウ製)で0.5L/minの吐出量でばっ気し、微生物担体の流動状態を目視で確認し、下記の2段階にて評価した。
A;水面に浮かんでいる微生物担体や水槽の底に沈んでいる微生物担体が、10%未満。
B;水面に浮かんでいる微生物担体や水槽の底に沈んでいる微生物担体が、10%以上。
(7)形態保持性
5mm角に裁断した微生物担体50gを、5Lの水を入れたアクリル製の水槽(底面;20cm×20cm、高さ;30cm)に浸漬。水槽の下部よりエアーポンプ(「NPA−020」ニッソウ製)で0.5L/minの吐出量でばっ気。1時間後に、微生物担体を取り出し、単体の形態変化を目視確認し、下記の2段階にて評価した。
A;繊維脱落や層間剥離などの形態損傷がない微生物担体が、90%以上。
B;繊維脱落や層間剥離などの形態損傷がない微生物担体が、90%未満。
[実施例1]
湿熱性融着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(エチレン含有率44モル%、ケン化度98.4モル%、芯鞘比=50/50)である芯鞘型複合ステープル繊維(クラレ社製、「ソフィスタ」、3.3dtex、51mm長、捲縮数21個/インチ、捲縮率13.5%)を準備した。上記芯鞘型複合ステープル繊維を用いて、公知のカード法により目付約500g/mのウェブを作製した。このウェブを、50メッシュ、幅500mmのステンレス製エンドレス金網を装備したベルトコンベアに移送した。なお、該ベルトコンベアの金網の上部には同じ金網が装備されており、それぞれが同じ速度で同方向に回転し、これら両金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアを使用した。次いで、ベルトコンベアに備えられた蒸気噴射装置へウェブを導入し、該装置から0.4MPaの水蒸気をウェブに対し垂直に噴出して蒸気処理を施し、不織繊維構造体を得た。該蒸気噴射装置は、一方のコンベア内に、コンベアネットを介して水蒸気をウェブに向かって吹き付けるようにノズルが設置され、もう一方のコンベアにサクション装置が設置されていた。また、この噴射装置のウェブ進行方向下流側には、ノズルとサクション装置の配置が逆転した組合せである噴射装置がもう一つ設置されていた。なお、蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、該ノズルがコンベア幅方向に沿って1mmピッチで1列に並べられたものを使用した。加工速度は3m/分であり、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は10mmとした。得られた不織繊維構造体をカッターで5mm角にカットし、微生物担体として性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性が良好であり、且つ流動性、形態保持性に優れたものであった。結果を表1に示す。
[実施例2]
ウェブの目付を1,000g/mにする以外は、実施例1と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性が良好であり、且つ流動性、形態保持性に優れたものであった。結果を表1に示す。
[実施例3]
ウェブの目付を2,500g/mにする以外は、実施例1と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性が良好であり、且つ流動性、形態保持性に優れたものであった。結果を表1に示す。
[実施例4]
湿熱融着性繊維を70質量部、非湿熱融着性繊維を30質量部の比率にし、非湿熱融着性繊維として、ポリエステル繊維(東レ社製、「テトロンT471」1.7dTex、5mm)を使用する以外は、実施例2と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性が良好であり、且つ流動性、形態保持性に優れたものであった。結果を表1に示す。
[実施例5]
湿熱融着性繊維の芯成分にポリプロピレン(プライムポリマー社製、Y2005GP)を使用する以外は、実施例2と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性が良好であり、且つ流動性、形態保持性に優れたものであった。結果を表1に示す。
[比較例1]
ウェブの目付を200g/mにする以外は、実施例1と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性、流動性は良好であったものの、微生物担体の接着強度が充分でないために、繊維の脱落や剥離が多く、形態保持性が不良であった。結果を表1に示す。
[比較例2]
ウェブの目付を6,000g/mにする以外は、実施例1と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、不織繊維構造体の流動性、形態保持性は良好であったものの、微生物担体の繊維間の空隙が緻密になりすぎたため、微生物が充分に固着できなかった。結果を表1に示す。
[比較例3]
ウェブを水流絡合(スパンレース法)により作成する以外は、実施例2と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性、流動性は良好であった。しかし、繊維間に融着構造を有していないため、繊維の脱落や剥離が多く、微生物担体の形態保持性が不良であった。結果を表1に示す。
[比較例4]
ウェブの融着方法をエアースルー法(温度140℃)にする以外は、実施例2と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性、流動性は良好であったものの、エアースルーによるウェブ内への伝熱速度が遅いため、微生物担体内部の繊維間に融着構造が十分に構築できていないため、繊維の脱落や剥離が多く、微生物担体の形態保持性が不良であった。結果を表1に示す。
[比較例5]
湿熱融着性繊維を50質量部、非湿熱融着性繊維を50質量部の繊維比率にし、非湿熱融着性繊維として、ポリエステル繊維(東レ社製、「テトロンT471」1.7dTex、5mm)を使用する以外は、実施例2と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性、流動性は良好であったものの、微生物担体の接着強度が充分でないために、繊維の脱落や剥離が多く、微生物担体の形態保持性が不良であった。結果を表1に示す。
[比較例6]
湿熱融着性繊維の芯成分にポリプロピレン(プライムポリマー社製、Y2005GP)、湿熱融着性繊維の鞘成分にポリエチレン(日本ポリエチレン社製、HE490)を使用し、ウェブの融着方法をエアースルー法(温度140℃)にする以外は、実施例2と同様に、微生物担体を作成し、性能評価をおこなった。得られた微生物担体は、微生物の固着性が良好であったものの、多くの微生物担体が水面に浮遊し有効な流動が行われなかった。また、エアースルーによる伝熱速度が遅く、微生物担体内部の繊維間に融着構造が十分に構築されていないため、繊維の脱落や剥離が多く、不織繊維構造体の形態保持性が不良であった。結果を表1に示す。
本発明の微生物担体は、微生物の固着性が良好であり、且つ流動性、形態保持性に優れる。また本発明の微生物担体は、生物学的水処理方法の微生物担体、特に流動床水処理用の微生物担体として好適である。

Claims (11)

  1. 湿熱融着性繊維の融着により繊維が固定された不織繊維構造体を含む微生物担体であって、前記湿熱融着性繊維がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を含み、繊維接着率が10%以上80%以下である、微生物担体。
  2. 前記湿熱融着性繊維を70質量%以上含む、請求項1に記載の微生物担体。
  3. 前記不織繊維構造体の見かけ密度が0.03g/cm以上0.3g/cm以下である、請求項1に記載の微生物担体。
  4. 前記不織繊維構造体の比重が1.0g/cm以上である、請求項1に記載の微生物担体。
  5. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(a)を構成する単量体単位に対する前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(a)中のエチレン単位の含有率が5モル%以上60モル%以下である、請求項1に記載の微生物担体。
  6. 前記湿熱融着性繊維が前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)を含む、請求項1または請求項2に記載の微生物担体。
  7. 前記湿熱融着性繊維が、芯鞘型複合繊維であり、鞘成分が主に前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)を含み、芯成分が主に前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる前記繊維形成性重合体(b)を含む、請求項6に記載の微生物担体。
  8. 前記湿熱融着性繊維において、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)と、前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる繊維形成性重合体(b)との質量比(a)/(b)が90/10〜10/90である、請求項6または請求項7に記載の微生物担体。
  9. 前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体(a)とは異なる前記繊維形成性重合体(b)が、ポリエステル系重合体である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の微生物担体。
  10. 前記ポリエステル系重合体がポリエチレンテレフタレートである、請求項9に記載の微生物担体。
  11. 流動床水処理に使用される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の微生物担体。
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