JP5180184B2 - 不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、湿熱接着性繊維と、吸水性を有する繊維と、必要に応じて他の繊維とを含むウェブで構成され、これらの繊維がケミカルバインダーや特殊な薬剤を用いることなく繊維を固定した不織布であり、低密度、軽量でかつ高い吸水率を有するとともに、吸水による面方向の寸法変化率が低い不織布に関する。また、この不織布で構成された水土嚢および保水シートに関する。
水や水性液体の吸収に好適な吸水性物品は、スポンジなどの多孔体、吸水性ゲルなど多く知られている。中でも高い吸水性を有する高吸水性物品は、親水性の高分子材料の分子間に水を取り込み、体積膨張するものであり、これらはオムツ、吸水性土嚢など種々の用途で用いられている。これらのうち高い吸水性と加圧等による速やかな排水性を兼ね備えたものは、繰返し使用する用途や保水媒体用途などに好ましく用いられている。
これらの高吸水性物品は、通常吸水によって全方向に体積膨張し、液体を吸収する表面からの距離の違いや内部の構造によって体積膨張率が変化するため、膨張時の形態を制御することは困難である。このことは物品の使用時の配置方法を制限するだけでなく、変形による隙間の発生などが水漏れの原因になり、効率よい吸水を妨げる原因ともなる。
そこで通常、吸水材を吸水による体積膨張が少ない材料で被覆して制御する方法がとられるが、結果として製造上煩雑になるだけでなく、被覆材料の吸水性の低さや、被覆による膨張の阻害により吸水材の吸水性を低下させる事になる。
これを改良するために、例えば、特開平01−304127号公報(特許文献1)には、吸水による体積膨張を抑える樹脂が開発されているが、この樹脂は、原理的に吸水率が低く好ましくない。また、特開平09−183856号公報(特許文献2)には、樹脂を加圧延伸することにより吸水後に異方性膨潤を示す吸水性樹脂が開発されている。この樹脂は、吸水により加圧延伸前の状態に緩和することで異方性を発現するため、一方向に膨張する一方で別方向は収縮するという性質を有している。しかし、この樹脂は吸水後にゲル状となり、ゲルのブロッキングが発生する事、ゲルの脱水が困難なことから繰り返し使用が難しい事、機械的強度が劣る事、得られた樹脂の異方性が分子の運動等によって経時的に解消する可能性があることなどが問題となる。
一方で、高い吸水性を示す不織布も多く存在しており、多くの特許出願がなされているのであるが、その多くは、特開2003−020626号公報(特許文献3)などのように、セルロース系あるいはポリビニルアルコール系等、吸水性繊維を主体とした不織布に、界面活性剤や高吸水性樹脂(SAP)、高分子吸収体等の親水剤を添加することで高い親水性を確保するケースが殆どである。
しかしながら、不織布が吸水し、膨潤することにより生ずる寸法変化については詳細を開示されていないのがほとんどである。
特に、湿熱接着性繊維を用いた不織布としては、特開昭63−235558号公報(特許文献4)に、所定のモル比でエチレン単位を有するエチレン−ビニルアルコール繊維を含む不織布が開示されている。この発明は、エチレン−ビニルアルコール繊維を水膨潤させ、さらに加熱体に接触した状態で加熱することにより繊維固定を行い、嵩高性、柔軟性、充分な強力を有する不織布を得ることを目的としている。しかし、この文献でも不織布が吸水することによる膨潤に伴う寸法変化については言及されておらず、また、この文献で述べられている方法では、加熱体に接触した部分のみの繊維が熱固定され、厚さ中央部においては加えられた水分の加熱に伝わった熱量が使用され、結局厚み方向中央部の繊維接着は促進されず繊維融着を発現させる事が非常に難しいことが容易に推定できる。
また、特開2002−115161号公報(特許文献5)には、エチレン−ビニルアルコールからなる湿熱接着性繊維を主体とする繊維ウェブに水を含浸させるとともに熱を加える事により繊維同士を固定処理した繊維構造体が開示されている。しかしながら、この繊維構造体についての吸水性能や吸水前後における寸法変化に関する情報は全く開示されていない。
このように吸水時の形態変化を明確にし、更にこの形態変化を制御した繊維構造体は未だ開示されていないのが実情である。
また、実公平7−51312号公報(特許文献6)には、水膨潤度が3倍以上のアクリル酸塩型残基含有共重合体で構成された高吸水性繊維を必須成分とする吸水性不織シートの両面に、保護シートが一体化された敷設用吸収シートが提案されている。この文献では、前記高吸水性繊維にポリプロピレンやポリエステルなどの熱接着性繊維を混合し、熱風、加熱ロール、加熱針などで熱接着することが記載されている。
さらに、特開2006−45730号公報(特許文献7)には、繊度が0.5〜2.7dtexである接着性繊維5〜60%と、吸水率200〜30000%の吸水性繊維40〜95%とを含む短繊維不織布が提案されている。この文献には、吸水繊維としてカルボン酸塩基を有するアクリロニトリル系繊維が例示され、接着性繊維としてポリオレフィン系熱溶融接着性繊維などが例示されるとともに、接着性繊維の融点よりも10〜20℃高い温度の熱ローラーで加熱して吸水性繊維を接着性繊維によって接着することが記載されている。
しかし、これらの熱接着性繊維で固定した不織布では、不織布の内部において均一な接着構造が得られないため、膨潤時に形態を保持するために充分な繊維の接着を確保できず、形態が崩れ易い。特に、不織布が嵩高い場合には、一層この傾向が強くなる。
ところで、集中豪雨や台風の影響で河川や排水溝、貯水池などの水位が上昇し、周囲が冠水、浸水したりするようなおそれがある場合に、その浸入を防ぐために土嚢が用いられる。最近は、乾燥時の重量が軽く取り扱いやすい水土嚢が用いられるケースが増えてきている。例えば、特開2002−142557号公報(特許文献8)には、吸水膨張性を有した水土嚢が開示されている。この土嚢は、生分解性セルローススポンジを乾燥圧縮し、軽量・小容量化した板状スポンジとし、これに高吸水性ポリマーを付着させた後土嚢袋に収納した水土嚢である。
しかし、ここで開示された土嚢の吸水体である高吸水ポリマーを付着させた板状スポンジは、一度少なくとも2枚に積層されたスポンジの周囲を縫合しており、更に土嚢袋に収納されているため、この土嚢は直方体となっておらず、各側面が丸みを帯びた形状となっている。従って、土嚢を積み上げあるいは並べた際に、土嚢同士の間に大きな隙間が生じてしまう。また、吸水性を向上させるために高分子粉末を板状スポンジ体に付着させているが、十分な接着状態にない粉末が運搬時等、振動を与えると脱落し偏在してしまう、あるいは板状スポンジおよび土嚢袋の隙間を通じて外部に漏洩する可能性がある。
更に、この板状スポンジは種苗、苗木等の育成床として使用する事も開示されている。すなわち、該板状スポンジに円柱状の凹部を形成し、この凹部を苗床として利用し、散水する事で水を保持させ、種子や苗木の水遣りの煩雑さを回避できる。しかし、この場合も吸水による寸法変化、形態変化を充分考慮していないため、限られた寸法内に正確に必要数の苗を収納するなどして最終的に育った苗の形状や配置により特定の形状やデザインを現すような使用方法、狭い場所で目的とする数の苗を正確に配置する方法などに利用することは困難である。
特開平01−304127号公報 特開平09−183856号公報 特開2003−020626号公報 特開昭63−235558号公報 特開2002−115161号公報 実公平7−51312号公報 特開2006−45730号公報 特開2002−142557号公報
本発明の目的は、低密度、軽量でかつ優れた吸水性及び速やかな排水性を有するとともに、寸法変化が、吸水時に特定の方向で小さく、かつ規則的である不織布及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、厚み方向で膨潤し、かつ嵩高い形状であっても膨潤により形態が崩壊しない不織布及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、繰り返し使用に好適で、他の媒体による形態制御のための被覆が不要で、配置の自由度が高く、隙間の発生を抑制できる事で隙間からの水漏れが抑制でき、効率良く吸水できる不織布及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、水土嚢および種苗、苗木等の育成床などの用途に好適な保水シートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、配向した繊維を湿熱接着性繊維で均一に接着することにより、低密度、軽量でかつ優れた吸水性及び排水性を有するとともに、寸法変化が、吸水時に特定の方向で小さく、かつ規則的な不織布が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の不織布は、湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とで構成され、前記湿熱接着性繊維と前記高吸水性繊維との割合(質量比)が、湿熱接着性繊維/高吸水性繊維=20/80〜80/20である不織布であって、前記不織布を構成する繊維が配向しており、かつ前記不織布の断面における繊維接着率が厚み方向に沿って概ね均一で、5〜50%である。本発明の不織布は、乾燥状態から吸水させた際に、吸水による寸法変化率が、不織布の長さ方向において5.0%以下であり、かつ厚み方向において50%以上であってもよい。また、乾燥状態の密度は0.03〜0.3g/cm程度であってもよい。また、吸水率は500質量%以上であってもよい。さらに、厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合は50%以上であってもよい。前記高吸水性繊維は、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はその塩基、スルホン酸基又はその塩基、及びエーテル基からなる群から選択された少なくとも1種の親水性基を有する重合体(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体又はその塩を含む成分)で構成されていてもよい。前記湿熱接着性繊維は、エチレン単位の含有量が10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体と、非湿熱接着性樹脂とで構成され、前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体と前記非湿熱接着性樹脂との割合(質量比)が、前者/後者=90/10〜10/90であり、かつ前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、前記湿熱接着性繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して占めていてもよい。前記湿熱接着性繊維は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体で構成された鞘部と、ポリエステル系樹脂で構成された芯部とで形成された芯鞘型複合繊維であってもよい。
また、本発明には、前記不織布で構成された水土嚢や保水シートが含まれる。
さらに、本発明には、湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とを混合ウェブ化する工程と、生成した混合ウェブを搬送しながら高温水蒸気で加熱処理して繊維を融着する工程とを含む前記不織布の製造方法も含まれる。
本発明では、配向した繊維を湿熱接着性繊維で均一に接着された不織布であるため、低密度、軽量でかつ優れた吸水性を有するとともに、速やかな排水性を有する。また、吸水時に特定の方向に寸法変化が小さく、かつ寸法変化が規則的であることを実現できる。特に、厚み方向で膨潤し、かつ嵩高い形状であっても膨潤により形態が崩壊しない。さらに、このような特性によって、繰り返し使用に好適で、他の媒体による形態制御のための被覆が不要で、配置の自由度が高く、隙間の発生を抑制できる事で効率良く吸水できる。更には、このような不織布を用いることで形態制御が容易で、吸水性及び排水性が高く、設置や撤去が容易で、繰り返し使用に好適で、隙間の発生が抑制されるので水漏れによる吸水効率の低下が改善された水土嚢および種苗、苗木等の育成床などの用途に好適な保水シートを提供することができる。
図1は、実施例1で得られた不織布における厚み方向断面の電子顕微鏡写真である。
発明の詳細な説明
[不織布]
本発明の不織布は、高吸水性繊維と湿熱接着性繊維とで構成され、高温水蒸気を作用させて繊維同士を湿熱接着性繊維との交点において接着させることで、いわば「スクラム」を組むと共に高吸水性繊維が固定されている。このような構造により、本発明の不織布は、所望の吸水量及び吸水性を確保でき、吸水による寸法変化が厚み方向において大きく発現するとともに、不織布面方向への寸法変化が非常に小さい。すなわち、本発明の不織布は、軽量性と吸水性および吸水時の形態安定性と、加圧等による速やかな排水性とを確保した不織布である。
本発明の不織布は、湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とを、混合ウェブとした後、得られた混合ウェブをベルトコンベアなどにより送り、次いで混合ウェブを高温蒸気流に晒すことで効率良く製造することができる。この方法では、連続的に運転しているベルトコンベア上にウェブを送ることで、ベルトコンベアのベルト面と平行な面方向にウェブの構成繊維が配向する。すなわち、この方法によって得られる不織布は、構成繊維が面方向に配向する。また、ベルトコンベアの速度などを調整することにより、ベルトコンベアの流れ方向と平行な長さ方向への配向を一層高めることができる。さらに、高温水蒸気で加熱処理することにより、面方向に垂直な厚み方向に均一な繊維接着率が得られる。すなわち、高温蒸気流は混合ウェブの厚み方向全域に浸透して湿熱接着性繊維を均一に接着するので、熱接着や化学接着などの他の方法と比較して高い繊維接着率の均一性が得られる。
なお、本発明で、厚み方向とは、不織布の面に対して垂直な方向であり、長さ方向とは不織布の面に対して平行な一方向であり、連続的製造方法によって不織布を得る場合においては製造ラインの流れ方向、例えば、ベルトコンベア上で製造する場合はベルトコンベアの幅方向に対して垂直な方向を意味する。
(湿熱接着性繊維)
本発明に用いる湿熱接着性繊維は、少なくとも湿熱接着性樹脂で構成されていればよい。本発明において、湿熱接着性樹脂とは、高温水蒸気により容易に実現できる温湿度において、吸水して軟化し、粘着性を発現可能な樹脂を意味する。具体的には、熱水又は高温水蒸気(例えば、80〜150℃、好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは90〜110℃程度の水蒸気)で軟化して自己接着または他の繊維に接着可能な熱可塑性樹脂、例えば、セルロース系樹脂(メチルセルロースなどのC1-3アルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシC2-3アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1-3アルキルセルロース又はその塩など)、ポリアルキレングリコール樹脂(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリC2-4アルキレンオキサイドなど)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ビニルアルコール系重合体、ポリビニルアセタールなど)、アクリル系重合体及びその塩[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなどのアクリル系単量体で構成された単位を含む共重合体又はそのアルカリ金属塩など]、変性ビニル系共重合体(イソブチレン、スチレン、エチレン、ビニルエーテルなどのビニル系単量体と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合体又はその塩など)、親水性の置換基を導入したポリマー(スルホン酸基やカルボキシル基、ヒドロキシル基などを導入したポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン又はその塩など)、脂肪族ポリエステル系樹脂(ポリ乳酸系樹脂など)などが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー又はゴム(スチレン系エラストマーなど)などのうち、熱水(高温水蒸気)の温度で軟化して接着機能を発現可能な樹脂も含まれる。
これらの湿熱接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。湿熱接着性樹脂は、通常、親水性又は水溶性高分子で構成される。これらの湿熱接着性樹脂のうち、エチレン−ビニルアルコール系共重合体などのビニルアルコール系重合体、ポリ乳酸などのポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリルアミド単位を含む(メタ)アクリル系共重合体、特に、エチレンやプロピレンなどのα−C2-10オレフィン単位を含むビニルアルコール系重合体、特に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましい。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体において、エチレン単位の含有量(共重合割合)は、例えば、10〜60モル%、好ましくは20〜55モル%、さらに好ましくは30〜50モル%程度である。このようなエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、湿熱接着性を有するが、熱水溶解性はないという特異な性質を有する。特に、エチレン単位30〜50モル%の範囲が、不織布の加工性を確保する上で好ましい。
エチレン単位の含有量が少なすぎると、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、低温の蒸気(水)で容易に膨潤・ゲル化してしまい、水に一度濡れると膨潤圧や外力により繊維同士の融着点が外れやすくなるため吸水時に少なくとも1方向への膨張を抑えることができず、全ての方向への膨張が生じてしまう場合がある。また、エチレン単位の割合が多すぎると、吸水性が低下するとともに、湿熱による繊維融着が発現しにくくなるため、充分な繊維融着を確保しにくくなる上、特に厚さ中央部の繊維融着を発現させる事が困難となるため目的の不織布を得ることが難しくなる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるビニルアルコール単位の鹸化度は、例えば、95モル%以上であり、好ましくは95〜99.99モル%、さらに好ましくは96〜99.98モル%程度である。鹸化度が小さすぎると、熱安定性が低下し、熱分解やゲル化によって安定性が低下する。一方、ケン化度が大きすぎると、繊維自体の製造が困難となる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体の粘度平均重合度は、必要に応じて選択できるが、例えば、200〜2500、好ましくは300〜2000、さらに好ましくは400〜1500程度である。このようなエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、紡糸性と湿熱接着性とのバランスに優れる。
湿熱接着性繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面[偏平状、楕円状、多角形状、3〜14葉状、T字状、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)など]に限定されず、中空断面状などであってもよい。湿熱接着性繊維は、少なくとも湿熱接着性樹脂を含む複数の樹脂で構成された複合繊維であってもよい。複合繊維は、湿熱接着性樹脂を少なくとも繊維表面の一部に有していればよいが、接着性の点から、湿熱接着性樹脂が表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して占めるのが好ましい。
湿熱接着性繊維が表面を占める複合繊維の横断面構造としては、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型又は多層貼合型、放射状貼合型、ランダム複合型などが挙げられる。さらに、他の繊維形成重合体で構成された繊維の表面に、湿熱接着性樹脂をコーティングした繊維であってもよい。これらの横断面構造のうち、接着性が高い構造である点から、湿熱接着性樹脂が全表面を長さ方向に連続して占める構造である芯鞘型構造(すなわち、鞘部が湿熱接着性樹脂で構成された芯鞘型構造)が好ましい。
複合繊維の場合、湿熱接着性樹脂同士を組み合わせてもよいが、非湿熱接着性樹脂と組み合わせてもよい。非湿熱接着性樹脂は、周囲に水が存在しても寸法変化が少ない繊維形成性重合体(以下、寸法安定性樹脂と称することもある)であってもよい。非湿熱接着性樹脂(寸法安定性樹脂)としては、本発明の目的を達成できる複合繊維を形成できる繊維であれば特に限定されるものではないが、その汎用性、生産性および製造コストの面から、例えば、ポリプロピレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの非湿熱接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の不織布は、このような寸法安定性樹脂を含む繊維が特定の方向に配向することにより、この配向方向に対して垂直な方向への優先的な膨張性を有することとなる。この配向方向は、特に限定されないが、寸法安定性樹脂を含む繊維が不織布の面方向に沿って配向することにより、不織布は厚み方向への優先的な膨張性を有する。すなわち、厚み方向への優先的な膨張性を有する不織布を調製するためには、寸法安定性樹脂を含む繊維の配向方向を厚み方向よりも面方向が高くなるように配向させることが重要である。特に、このような配向を有する不織布において、面方向に沿って配向した繊維は、さらに面方向において平行な一方向(例えば、長さ方向)に配向してもよく、このような配向によって、その一方向(例えば、厚み方向及び幅方向に対する長さ方向)の寸法安定性を一層高める。一方、面方向での膨張性はできるだけ抑制し、厚み方向にのみ膨張性を付与したい場合には、面方向に沿って配向した繊維の面上での配向性をランダムにしてもよい。さらに、本発明の不織布は、厚み方向における膨張性を向上させるために、後述する高吸水性繊維も面方向に配向させるのが好ましい。寸法安定性樹脂を含む繊維と高吸水性繊維との配向は完全に一致させる必要はないが、これらの繊維の配向方向を略一致させることにより、不織布を簡便に製造できる上に、膨張性(特に一方向への膨張性)を向上できる。繊維の配向方向の確認は、通常、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を用いて観察できる。また、特定方向への配向性が弱い場合や、繊維の密度が高い場合などの理由で観察が困難な場合は吸水による不織布の膨張率の方向依存性を確認することからも推定できる。
これらの非湿熱接着性樹脂のうち、耐熱性及び寸法安定性の点から、融点が湿熱接着性樹脂(特にエチレン−ビニルアルコール系共重合体)よりも高い樹脂、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、特に、耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリC2-4アルキレンアリレート系樹脂などの芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、特に、PETなどのポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレンテレフタレート単位の他に、他のジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸など)やジオール(例えば、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)で構成された単位を20モル%以下程度の割合で含んでいてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6−12などの脂肪族ポリアミド及びその共重合体、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどが好ましい。これらのポリアミド系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
このような複合繊維を構成する繊維において、湿熱接着性樹脂と非湿熱接着性樹脂(寸法安定性樹脂)との割合(質量比)は、構造(例えば、芯鞘型構造)に応じて選択でき、湿熱接着性樹脂が表面に存在すれば特に限定されないが、例えば、湿熱接着性樹脂/非湿熱接着性樹脂=10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30程度である。この繊維を構成する湿熱接着性樹脂の質量比が多すぎると、他の樹脂が繊維の形態を保持できなくなり、複合繊維そのものの強度を充分に確保することが困難となる。また、逆に湿熱接着性樹脂の質量比が少なすぎると、湿熱接着性樹脂の量が少ないためにこの樹脂層が繊維形態を保持できなくなり、長さ方向に連続した湿熱接着性樹脂層を存在させることが極めて困難になるばかりか、この比率では充分な繊維接着強度を確保することができなくなる。湿熱接着性繊維が、エチレン単位の含有量が10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体と、これとは異なる繊維形成性重合体(非湿熱接着性樹脂)とで構成され、各々の成分の質量比が90/10〜10/90であり、なおかつ前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体が繊維表面の一部を長さ方向に連続して占めるようにすることで、長さ方向への寸法変化率を効果的に抑制できるので好ましい。
このような本発明の湿熱接着性繊維において、芯鞘型複合繊維では、親水性を有する鞘が表面全体に露出しており、疎水性を有し寸法安定性に寄与する芯を有することで吸水性を損ねることなく寸法安定性を確保できるので好ましい。特に湿熱接着性繊維が、芯鞘型複合繊維であり、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体で構成され、芯成分が繊維形成性重合体で構成され、かつ前記繊維形成性重合体がポリエステル系樹脂であることが好ましい。
そして、この繊維を構成する寸法安定性樹脂に関しては、この複合繊維が吸水した時に、繊維長さ方向における寸法変化を極力少なく抑えるため、繊維長さ方向に連続している事が重要である。それは、この複合繊維が水に晒されて吸水したとしても長さ方向に連続する寸法安定性樹脂部分が寸法変化を殆ど生じないためである。従って、吸水性を有する湿熱接着性樹脂は吸水により膨張するが、繊維長さ方向への膨張を疎水性樹脂(寸法安定性樹脂)成分に制限されてしまうため、主に太さ方向(円周方向)に膨張し寸法変化を生ずるために、膨張する方向を制御できるのである。よって、例えば、これらの繊維を平面方向に並べれば、膨張方向を主に厚み方向へと調整し易くなるのである。
湿熱接着性繊維の捲縮率は、例えば、1〜50%、好ましくは3〜40%、さらに好ましくは5〜30%(特に10〜20%)程度である。また、捲縮数は、例えば、1〜100個/25mm、好ましくは5〜50個/25mm、さらに好ましくは10〜30個/25mm程度である。
(高吸水性繊維)
本発明の不織布の目的とする、吸水時の寸法変化を確保するためには、湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とを併用することが必要であり、この高吸水性繊維は、優れた吸水性と吸水により膨張する性質を有する樹脂で構成された繊維であれば特に限定は無いが、親水性基を有する重合体を含む繊維が好適に用いられる。
親水性基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はその塩基、スルホン酸基又はその塩基、エーテル基などが挙げられる。塩基としては、例えば、金属塩(例えば、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩など)、アンモニウム塩やアミン塩などが挙げられる。これらの親水性基は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
このような親水性基は、高吸水性繊維を構成する重合体の側鎖や末端などにグラフトなどにより導入された基であってもよいが、高い吸水性を確保する点から、重合体の主鎖を構成する単量体自身が親水性基を有しているのが好ましい。そのような単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸や無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその塩、酢酸ビニルから誘導されるビニルアルコール、エチレンオキサイド(オキシエチレン基)などのエーテル形成性化合物などが例示できる。これらの単量体も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明における高吸水性繊維は、高い吸水性を有しており、純水(蒸留水)の吸収量が、例えば、1.5〜1000ml/g、好ましくは2〜500ml/g、さらに好ましくは10〜300ml/g(特に50〜200ml/g)程度である。ここで、純水の吸収量とは、水中に繊維を浸漬した後、メッシュ上で水切りした後の自重に対する水の量を意味する。
高吸水性繊維は、前述の湿熱接着性繊維とは異なり、湿熱性を有さない重合体、すなわち、高温水蒸気(又は前述の熱水)では接着可能な程度に軟化することのない重合体(通常、架橋性重合体)で構成されている。さらに、高吸水性繊維は、融点又は重合体の融点又は軟化点を有していないか、又は有している場合であっても、例えば、110℃以上、好ましくは120〜300℃、さらに好ましくは130〜250℃程度である。高吸水性繊維がこのような非湿熱性を有することにより、高温水蒸気による接着度合いが適切な範囲となり、適度に硬質な不織布の形態を維持できる。
このような高吸水性繊維を構成する重合体としては、例えば、不飽和カルボン酸系重合体[例えば、デンプン−(メタ)アクリル酸共重合体又はその塩、ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体又はその塩、ビニルアルコール−無水マレイン酸共重合体又はその塩、ポリ(メタ)アクリル酸−ビニルアルコール共重合体又はその塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体又はその塩、これらの重合体の架橋物など]、高吸水性ポリウレタン系樹脂(ジオール成分として、ポリエチレングリコールを用いたウレタン系樹脂など)、ポリエーテル系重合体(例えば、高分子量ポリエチレンオキサイドなど)、ビニルアルコール系重合体(例えば、ポリビニルアルコール系重合体の架橋物など)、セルロース誘導体[例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はその塩、これらのセルロース誘導体の架橋物など]等を挙げる事ができる。これらの重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの重合体のうち、高い吸水性を有する点から、不飽和カルボン酸系重合体、特に、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体又はその塩が好ましい。ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸又はその塩を主要な重合成分とする重合体であり、他の共重合性単量体を重合成分として含有していてもよい。
他の共重合性単量体としては、例えば、他の不飽和モノカルボン酸(例えば、クロトン酸など)、不飽和モノカルボン酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステルなど]、不飽和ジカルボン酸[(無水)マレイン酸、(無水)シトラコン酸、(無水)イタコン酸などのC4-10不飽和ジカルボン酸又はその無水物など]、不飽和ニトリル類(例えば、(メタ)アクリロニトリルなど)、オレフィン系単量体(例えば、エチレンやプロピレンなどのC2-4アルケンなど)、芳香族ビニル系単量体(例えば、スチレンやビニルトルエンなど)、アルキルビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテルやエチルビニルエーテルなどのC1-4アルキル−ビニルエーテルなど)などが挙げられる。これらの共重合単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、デンプンなどの多糖類やポリビニルアルコール単位などの親水性ポリマー単位と、ブロック又はグラフト結合していてもよい。さらに、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、例えば、多価アルコール[例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールなど]、多価金属化合物[例えば、カルシウム化合物(水酸化カルシウムなど)、アルミニウム化合物(水酸化アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウムなど)など]などの架橋剤で架橋されていてもよい。ポリ(メタ)アクリル酸系重合体又はその塩としては、高い吸水性の点から、特に、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩を主成分とする重合体が好ましい。
具体的に、市販の高吸水性繊維としては、東洋紡績社製「ランシール(登録商標)」、あるいはカネボウ(帝人ファイバー)社製「ベルオアシス(登録商標)」などを挙げる事ができる。
湿熱接着性繊維と高吸水性繊維との割合(質量比)は、湿熱接着性繊維/高吸水性繊維=80/20〜20/80、好ましくは75/25〜30/70、さらに好ましくは70/30〜40/60(例えば、65/35〜45/55)程度の範囲から選択できる。高吸水性繊維を混合できるのは実質的に80質量%までであり、これを超える比率で混合すると、繊維同士の接着及び固定を充分に行なうことができなくなり、吸水時の寸法変化の制御が難しくなるため好ましくない。特に不織布厚さ中央部において、より困難であるため好ましくない。また、高吸水性繊維が20質量%に満たない場合には充分な吸水性を確保する事が難しくなり好ましくない。
(他の繊維)
本発明の不織布においては、必要に応じてウェブを製造する際に既に述べた繊維以外の他の繊維を混合してもよい。他の繊維としては、前記高吸水性繊維以外の非湿熱接着性繊維、例えば、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などの芳香族ポリエステル繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612などの脂肪族ポリアミド系繊維、脂環式ポリアミド系繊維、半芳香族ポリアミド系繊維、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系繊維など)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリC2-4オレフィン繊維など)、アクリル系繊維(アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などのアクリロニトリル単位を有するアクリロニトリル系繊維など)、ポリビニル系繊維(ポリビニルアセタール系繊維など)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体の繊維など)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体などの繊維)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、セルロース系繊維(例えば、レーヨン繊維、アセテート繊維など)などが挙げられる。これら他の繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの他の繊維のうち、風合い、あるいは吸水性を制御する場合やコストを低く抑える必要がある時などは、コットン、羊毛などの天然繊維、レーヨン等の再生セルロース繊維、あるいはポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維などの合成繊維が挙げられる。しかしながら、これらの繊維は、不織布が所望の性質を維持する事が前提条件であるため、その混率は不織布全体に対して0〜30質量%(例えば、0.1〜20質量%)程度である。30質量%を超えて、これら繊維を混合してしまうと、目的の吸水膨張性を著しく低下させてしまうため好ましくない。
不織布(又は繊維)は、さらに、慣用の添加剤、例えば、安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、分散剤、増粘剤、微粒子、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤、滑剤、抗菌剤、防虫・防ダニ剤、防カビ剤、つや消し剤、畜熱剤、香料、蛍光増白剤、湿潤剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、不織布表面に担持されていてもよく、繊維中に含まれていてもよい。
(不織布の特性)
本発明に用いる繊維(湿熱接着性繊維、高吸水性繊維、他の繊維)の平均繊度としては、それぞれ、0.01〜100dtex程度の範囲から選択でき、例えば、0.1〜50dtex、好ましくは0.3〜30dtex、さらに好ましくは0.5〜10dtex(特に1〜10dtex)程度であり、湿熱接着性繊維は、例えば、1〜5dtex、好ましくは1.5〜3.5dtex程度であってもよい。繊維の繊度が細いと、繊維そのものの製造が難しくなる事に加え、充分な繊維強度を確保し難くなるため、吸水により本発明の不織布が膨張する際に、長さ方向への膨張を制限する事が困難になる。
一方、本発明の不織布内部構造において、繊維同士の交点近傍には空隙が生じるが、この部分は不織布に吸収されながら繊維樹脂内に吸収し切れなかった水分が保持される。しかしながら、不織布構成繊維が太すぎると、これら繊維の交点近傍に生ずる空隙が大きくなりすぎ、これら空隙に充分な水分を保持させる事ができなくなり、結果として吸水性が低下してし易い。
また、これら繊維(湿熱接着性繊維、高吸水性繊維、他の繊維)の平均繊維長は、例えば、10〜100mm、好ましくは25〜75mm、更に好ましくは40〜60mm程度である。繊維長が短いと、繊維ウェブ形成が難しくなる事に加え、ウェブ内での他の繊維との交絡レベルが低くなるため、結果として、充分な不織布強度及び膨張時の長さ方向への寸法安定性を確保し難い。また、繊維長が長い場合には均一な目付の繊維ウェブを形成することが難しくなるばかりか、ウェブ形成時点で繊維同士の交絡が複雑になり、繊維同士がお互いに束縛し合い、その結果厚み方向への膨張を妨げることになる場合が生じ易い。
次に、本発明では、このような湿熱接着性樹脂と寸法安定性樹脂とで構成された複合繊維をウェブ化し、繊維固定して目的の硬質不織布とするが、ウェブ形成に関しては、スパンボンド法、メルトブロー法のような直接法を用いてもよいし、ステープル繊維を用いてカード法、エアレイ法などの乾式法を用いてウェブを形成してもよい。ステープル繊維ウェブとしては、ランダムウェブ、セミランダムウェブ、パラレルウェブ、クロスラップウェブ等が好ましく用いられる。
形成されたウェブの構成繊維(湿熱接着性繊維、高吸水性繊維、及び必要に応じて他の繊維)は、概ねウェブ面方向に平行に配列している事が重要である。本発明では、繊維をウェブ面に平行に配列し、高温水蒸気で加熱処理することにより、主に湿熱接着性繊維同士がその接点において溶融して接着し、あるいは変形して相手の繊維の一部を挟んで、湿熱接着性繊維の間に高吸水性繊維(及び他の繊維)を絡めるようにしてお互いの脱落を防ぎ合いながら、各々の繊維がお互いに僅かずつ固定し合う。このようにして固定された不織布は、概ね平行に配列した面を有するとともに、この面に対して垂直な方向へ繊維が積み上げられた構造を有している。このように繊維を面方向に向ける事により、シートが吸水した時に特定の面における面方向(縦及び横方向)に繊維の長さ方向が配向するため、各々の繊維の膨張特性により繊維の長さ方向に殆ど寸法変化を生じず、さらに、面方向では繊維が積層されずに空隙を有しているため、面方向におけるシートの寸法変化も生じない。一方、厚み方向では繊維が積層されているため、吸水により繊維の直径方向への膨張が生じ、厚み方向ではシートが膨張する。
ところが、このウェブにおいて、繊維が配向している面に対して交叉する方向、即ち厚み方向に配向する繊維が多く存在すると、この繊維により吸水時の厚み方向における膨張の動きが抑制されてしまい、不織布が吸水により膨張する事を妨げ、同時に膨張する事で造られる新たな水の存在場所の確保を妨げることになるので好ましくない。特に、この繊維が湿熱接着性繊維である場合には、厚み方向にり各繊維を接着固定してしまうので特に好ましくない。
さらに、この厚み方向に延びる繊維によりその周辺に繊維配列の乱れが生じて不織布内に不要な空隙を生じる。この空隙が繊維の膨潤により吸収し切れなかった水分をその場に確保できるレベルであれば良いが、それ以上の大きさになった場合には、吸水後も水で満たされない空隙が形成されることとなり、結果的に吸水率が低下してしまうため好ましくない。この空隙が更に大きい場合には、吸水による繊維の膨張に伴いこれらの繊維がその空隙を埋める方向に動き複雑な形態変化をすることが可能となり、これが不織布の全方向への寸法変化に結びつくため好ましくない。
そして、このような乱れにより、不織布の厚み方向における繊維の接着点数の分布が不均一になる可能性が大きくなる。このようなことになると、その接着点数の少ない部分において、本発明の不織布を必要な大きさあるいは形状に刃物でカットして使用した場合などそのカット面から繊維が脱落して周囲を汚染したり、小さくした時に形状を維持できずにバラバラになりやすくなるのである。
なお、ここでいう「概ねシート面に対し平行に配列している」とは、主な繊維が配向した面方向に対して垂直方向(厚み方向)に、局部的に多数の繊維が配列している部分が繰り返し存在するようなことがない状態を示す。より具体的には、例えば、不織布における任意の断面を顕微鏡観察した場合に、不織布の厚みの30%以上に亘り、厚み方向に連続して延びる繊維の存在割合(本数割合)が、その断面における全繊維に対して10%以下(特に5%以下)である状態をいう。
本発明の不織布において、構成繊維同士は湿熱接着性繊維との交点で融着しているが、膨潤性を高めるためには、融着による接着点数がより少ない方が好ましい。また、このような接着点は、構造安定性の点から、不織布表面から内部に至るまで、より高い均一性で分布する方が好ましい。本発明の不織布は、このような接着状態によって、より多くの小さい空隙を保有する事ができる。本発明の不織布の内部に繊維接着点が極端に少ない部分が存在すると、繊維融着点が少ない部分の吸水膨張が著しく発現し、厚み方向に均一な吸水膨張挙動を確保することが難しくなる。一方で、充分な形態安定性を確保するために、繊維接着点を多くすると、繊維間に水を保持できず、見かけ上の吸水量が少なくなる。本発明においては、高温スチームを用いて加熱処理することにより、厚み方向に概ね均一な繊維融着を有する不織布構造体を得ることができる。
更に、厚み方向における概ね均一な繊維融着とは、本発明の不織布において、その一方の表面から内部(中央)、そして裏面(反対面)に至るまで、その断面における繊維接着点数の割合が所定の範囲内にあることを意味する。但し、不織布の表面部において、熱エンボスや樹脂コート等の表面加工により、その一部において、繊維形状が不鮮明になっている場合には、そこを除いた領域において、測定するものとする。
具体的には、本発明の不織布において、不織繊維構造を構成する繊維が前記湿熱接着性繊維の融着により繊維接着率3〜60%、好ましくは5〜55%、さらに好ましくは10〜50%程度で接着されている。本発明における繊維接着率は、後述する実施例に記載の方法で測定できるが、不織繊維断面における全繊維の断面数に対して、2本以上接着した繊維の断面数の割合を示す。従って、繊維接着率が低いことは、複数の繊維同士が融着する割合(集束して融着した繊維の割合)が少ないことを意味する。
特に、本発明の不織布断面を厚み方向に沿って3等分した際に、3等分した中央の領域における繊維接着率が5〜50%を確保することが肝要である。この繊維接着率は、より好ましくは10〜40%であり、さらに好ましくは15〜30%である。接着率が小さすぎる場合には、既に述べたように吸水時の不織布面方向の形態安定性を確保することが困難となるばかりか、膨潤により接着点間距離が広がるため、見かけ上の繊維固定密度が低下するため構成繊維が脱落し易くなる。更に、この接着率が大きすぎる場合には、繊維接着が密になりすぎるため吸水時に全ての方向への膨張が抑制されてしまうため、水の入り込む余地がなくなるとともに吸収した水を保持するスペースを確保することも困難になるため好ましくない。
さらに、不織布の厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各領域における繊維接着率の最大値と最小値との差が20%以下(例えば、0.1〜20%)、好ましくは15%以下(例えば、0.3〜15%)、さらに好ましくは10%以下(例えば、0.5〜10%)である。また、各領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合(最小値/最大値)(繊維接着率が最大の領域に対する最小の領域の比率)が、例えば、50%以上(例えば、50〜100%)、好ましくは55〜99%、さらに好ましくは60〜98%(特に70〜97%)程度である。本発明では、繊維接着率が、厚み方向において、このような均一性を有しているため、形状安定性及び寸法安定性が高く、吸水性に優れている。
なお、本発明において、「厚み方向に三等分した領域」とは、不織布の厚み方向に対して直交する方向にスライスして三等分した各領域のことを意味する。
本発明の不織布の繊維融着率は、構成繊維の中の湿熱接着性繊維の割合と湿熱接着条件を制御する事により調整できる。即ち、湿熱処理を行なう時にウェブ内に存在する湿熱接着性繊維の割合を変えることにより、湿熱接着性繊維同士が接触する機会を増減したり、ウェブ内に存在する湿熱接着性繊維同士が効率良く接着するように高温蒸気処理時の条件を変化させることにより調整できる。例えば、高い繊維接着効率が必要な場合は、湿熱接着性繊維の比率を高くすること、湿熱処理時のウェブ圧縮率を高くすること、高温蒸気の圧力あるいは吐出量を増やすこと、ライン速度を遅くすること等の条件を、他の目標品質に対する影響を考慮しながら、調整することにより繊維接着率を向上させることが可能である。
本発明の不織布は、以上述べてきたような構造を有する事で吸水時の形態安定性を確保した上で高い吸水性を有する。この吸水性は吸水率であらわす事が可能であり、吸水率は、例えば、500質量%以上、好ましくは1000〜5000質量%(例えば、1200〜4000質量%)、更に好ましくは1500〜3000質量%程度である。この吸水率が小さすぎると、吸水しても厚み方向への膨張がほとんど無い。また、吸水率は高いほうが良いが事実上5000質量%以上になると組織内の水分増え過ぎるため、繊維が動きやすくなり、形体を安定に保つ事が困難になる。
さらに、本発明の不織布は、吸水した時に、膨張するが、この膨張が厚み方向で膨張し、厚み方向以外の少なくとも1方向において殆ど膨張しないことが必要である。これは、吸水による膨張が全ての方向に生じてしまうと、吸水後の全ての方向の大きさが変化してしまうため、容器や使用する場所の大きさ等を予め決めておき、任意に設計する事ができなくなる等の問題が生ずるためである。例えば、この吸水シートを水土嚢として使用した場合、特に水平方向への寸法が変化してしまうと、敷設後の吸水による膨張で重量バランスが変化して崩壊したり、吸水による膨張で本来塞いではいけないところを塞ぐ現象などが予想できる。
従って、本発明の不織布は、少なくとも不織布の長さ方向における吸水による寸法変化率(吸水膨張又は収縮率)は5%以下である事が好ましく、より好ましい寸法変化率は3%以下であり、更に好ましくは1〜−1%である。この値が大きすぎると、膨張後の寸法変化を予想した使用時の設計が困難になるため好ましくない。また−1%を下回る寸法変化率は吸水後に隙間が生じるため好ましくない。同様に不織布の面に平行な任意の方向(例えば、幅方向など)において、同様の寸法変化率を示すことが好ましく、このような不織布は、例えば2次元方向に多数配列するような用途に適している。一方、厚み方向の寸法変化率は、例えば、10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30〜300%(特に50〜250%)程度である。厚み方向の寸法変化率が小さすぎると、吸水率を高レベルに確保することが困難になる。また、300%を超えるような寸法変化率を確保した場合には、膨張後の不織布の形態を安定に維持する事が困難になる。本発明の不織布は、乾燥状態から吸水させた際に、吸水による寸法変化率が、特に、前記厚み方向において50%以上であると、効率良く吸水できる。また寸法変化によって体積が膨張するので、例えば水土嚢の用途により好ましい。さらに、本発明の不織布は、寸法変化率に異方性を有しているため、吸収した水を厚み方向に押すだけで排水が容易に可能であり、排水性にも優れている。また、膨潤による形態変化が一方向であるため、繊維構造の破壊も少なく、繰り返し使用に適している。
本発明で、寸法変化率とは、所定の方向における寸法変化後の寸法が寸法変化前の寸法に対して何%増えたかを示す値である。従って、変化後に寸法が減った場合はマイナスの値となる。具体的には、本発明における寸法変化率は、寸法変化後の寸法を寸法変化前の寸法で除して1を引いた値を%表記したものである。本発明では、寸法変化前の寸法として乾燥時の不織布の寸法を用い、寸法変化後の寸法として吸水した不織布での寸法を用いている。本発明の不織布は、方向ごとの寸法変化の均一性に優れるため、任意の外形寸法の寸法変化率をその方向の寸法変化率としても差し支えないが、測定誤差を減らすために、比較的寸法の長い位置で測定する方法、同じ方向の代表的な数点(例えば中央付近と周辺付近を含む全面的に周期的にとった数点)の寸法変化率を平均した値を用いる方法などの通常知られた手段を用いることができる。
本発明の不織布は、乾燥状態の密度が0.03〜0.3g/cmであると、軽量となるため、設置、撤去などの観点から好ましい。また好適な空間を有する多孔質となり、効率良く吸水することができ、さらに吸水による寸法変化の制御の上でも好ましい。乾燥状態の密度が小さすぎると、繊維同士の十分な接着点数を確保することが困難であるため、吸水による寸法変化を制御する事が難しいだけでなく、不織布の力学強度を得ることが困難となる。また、多すぎると設置、撤去、吸水効率の観点から好ましくないだけでなく、繊維間相互作用が働きすぎて吸水による膨張を所定の方向に特定できなくなる。以上の観点から、乾燥状態の密度は、好ましくは0.05〜0.27g/cm、さらに好ましくは0.07〜0.23g/cm程度である。
そして本発明の不織布は、構成繊維間に生ずる空隙により乾燥時には優れた軽量性を確保できる。また、これらの空隙は、スポンジのような樹脂発泡体と異なり各々が独立することなく連続しているため、通気性をも有しており、この通気性も本発明の不織布の性能を確保する上で有用である。すなわち、不織布としては、必ずしも通気性が必要ではないが、通気性を有することは、微小ながらも不織布を貫通して物質の動く事の出来る道が存在していることであり、この道が存在することで、本発明の不織布の高い吸水速度及び吸水効率、あるいは高い水の吐き出し性に繋がる。このような構造は、樹脂を含浸したり、熱プレスや熱ロールにより不織布表面部分を密に接着させてフィルム状構造を形成する従来の一般的な不織布繊維の接着手法では、実現することが極めて困難なものであり、従来の方法では通常孔をあけることが必要となる。
この通気性については、フラジール形法による通気度が、例えば、0.1cm/(cm・秒)以上であり、好ましくは1〜250cm/(cm・秒)、さらに好ましくは5〜200cm/(cm・秒)程度である。通気度が小さすぎると、水を吸う時の抵抗が大きくなり開孔していても水の吸入及び排出に効果が現れ難いため好ましくない。一方、通気度が大きすぎると、不織布内の繊維空隙が大きくなり、水が内部を通過しやすくなるが、一方で水分を構造内に効率良く保持する事が困難なケースが生ずる。
また、本発明の不織布の目付は、例えば、50〜10000g/m、好ましくは150〜8000g/m、さらに好ましくは300〜6000g/m(特に400〜3000g/m)程度である。目付が小さすぎると、吸水量が少なく全体的に寸法変化が生じにくい。特に寸法変化しやすくした方向への寸法変化が生じにくくなってしまう。また、目付が大きすぎると、ウェブが厚すぎ、重すぎて取扱がし難くなる。さらに、高温水蒸気が充分にウェブ内部へ入り込めず、厚み方向に均一な構造とすることが困難になる場合がある。
一方、不織布の厚さは、例えば、1〜100mm、好ましくは3〜50mm、さらに好ましくは5〜30mm程度である。厚さが1mmより薄い場合には、やはり吸水による寸法変化量の絶対値が小さすぎ、目的の寸法変化が得られない。一方、厚さが100mmを超える場合には、これも非常に厚さがあるため取扱性が低下し好ましくない。
[不織布の製造方法]
次に、本発明の不織布の製造法について説明する。
前述の方法で得られた湿熱接着性繊維と高吸水性繊維の混合繊維で構成されたウェブは、ベルトコンベアにより次工程へ送られ、次いで高温水蒸気(高圧スチーム)流に晒されることで、本発明の不織布が得られる。
使用するベルトコンベアは、基本的には加工に用いる繊維ウェブをその形態を乱すことなく運搬できるものであれば特に限定はないが、エンドレスコンベアが好適に用いられる。なお、一般的な単独のベルトコンベアであってもよいし、必要に応じて2台のベルトコンベアを組み合わせて、両ベルト間にウェブを挟むようにして運搬してもよい。このようにすることでウェブを処理する際に、処理に用いる水、高温水蒸気あるいはコンベアの振動などの外力により運搬してきたウェブの形態が変形するのを抑制できる。また、処理後の不織布の密度や厚さをこのベルトの間隔を調整することにより制御することも可能になる。
このようにして運搬されてきたウェブに高温水蒸気を供給し、構成繊維のなかの湿熱接着性繊維を融着させることで本発明の不織布を得ることができるが、繊維ウェブに水蒸気を供給するためには、慣用の水蒸気噴射装置が用いられる。この水蒸気噴射装置としては、所望の圧力と量で、ウェブ全幅に亘り概ね均一に水蒸気を吹き付け可能な装置が好ましい。2台のベルトコンベアを組み合わせた場合、蒸気噴射装置は、一方のコンベア内に装着され、通水性のコンベアベルト、又はコンベアの上に載置されたコンベアネットを通してウェブに水蒸気を供給する。反対側(他方)のコンベアには、サクションボックスを装着してもよい。この場合には、サクションボックスによって、ウェブを通過した過剰の水蒸気を吸引排出することができる。さらには、ウェブの表と裏の両側を一度に水蒸気処理するために、さらに前記水蒸気噴射装置が装着されているコンベアとは反対側のコンベアにおいて、前記水蒸気噴射装置が装着されている部位よりも下流部のコンベア内に蒸気噴射装置を設置してもよい。下流部の水蒸気噴射装置とサクションボックスがない場合、ウェブの表と裏を蒸気処理したい場合は、一度処理したウェブの表裏を反転させて再度処理装置内を通過させることで代用できる。
本発明においては、ノズルから噴出される高速高温蒸気流の中を通過する際、吹き付けられた高温水蒸気により繊維同士の3次元的接着が行なわれる。
コンベアに用いるエンドレスベルトは、繊維ウェブの運搬や高温水蒸気処理の妨げにならなければ、特に限定されない。ただし、高温水蒸気処理をした場合、その条件により繊維ウェブの表面にベルトの表面形状が転写される場合があるので、用途に応じて適宜選択するのが好ましい。特に、表面の平坦な不織布を得たい場合には、メッシュの細かいネットを使用すればよい。なお、90メッシュ程度が上限であり、概ね90メッシュより粗いネット(例えば、10〜50メッシュ程度のネット)が好ましい。これ以上のメッシュの細かなネットは、通気性が低く、水蒸気が通過し難くなる。メッシュベルトの材質は、水蒸気処理に対する耐熱性などの観点より、金属、耐熱処理したポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアリレート系樹脂(全芳香族系ポリエステル系樹脂)、芳香族ポリアミド系樹脂などの耐熱性樹脂などが好ましい。
高温水蒸気(過熱水蒸気)は、気流であるため被処理体であるウェブ中の繊維を水流絡合処理や、ニードルパンチ処理とは異なり、被処理体であるウェブ中の繊維を大きく移動させることなく、また熱風や熱ロールのように不織布の表面領域に加熱が集中することなくウェブ内部へ進入する。このウェブ中への蒸気流の進入作用および湿熱作用によって、水蒸気流がウェブ内に存在する各繊維の表面を湿熱状態で効率的に覆い、均一な熱接着が可能になると考えられる。また、この処理は高速気流下で極めて短時間に行われるため、水蒸気の繊維表面への熱伝導は速いが、繊維内部への熱伝導が充分になされる前に処理が終了してしまい、そのため高温水蒸気の圧力や熱により、処理されるウェブ自体の厚さが損われるような変形も起こりにくい。その結果、ウェブに大きな変形が生じることなく、表面および厚み方向における接着の程度が概ね均一になるように湿熱接着される。また、乾熱処理に比べて、不織布内部に対して充分に熱を伝動できるため、表面及び厚み方向における融着の程度が概ね均一になる。
さらに、硬質の不織布を得る場合には、ウェブに高温水蒸気を供給して処理する際に、処理されるウェブを、コンベアベルト又はローラーの間で、所定の見かけ密度(例えば、0.03〜0.3g/cm3程度)に圧縮した状態で高温水蒸気に晒してもよい。特に、相対的に高密度の不織布を得ようとする場合には、高温水蒸気で処理する際に、十分な圧力でウェブを圧縮する必要がある。さらに、ローラー間又はコンベア間に適度なクリアランスを確保することで、目的の厚みや密度に調整することも可能である。コンベアの場合には、一気にウェブを圧縮することが困難なので、ベルトの張力をできるだけ高く設定し、水蒸気処理地点の上流から徐々にクリアランスを狭めていくのが好ましい。さらに、水蒸気圧力、処理速度を調整することにより所望の軽量性、通気度を有する不織布に加工する。
このとき、ウェブを挟んでノズルと反対側のエンドレスベルトの裏側をステンレス板等にし、水蒸気が通過できない構造とすれば、被処理体であるウェブを通過した水蒸気がここで反射するので、水蒸気の保温効果によってより強固に接着される。逆に軽度の接着が必要な場合には、サクションボックスを配置し、余分な水蒸気を室外へ排出してもよい。
水蒸気を噴射するためのノズルは、所定のオリフィスが幅方向に連続的に並んだプレートやダイスを用い、これを供給されるウェブの幅方向に沿ってオリフィスが並ぶように配置すればよい。オリフィス列は1列以上あればよく、複数列が並行した配列であってもよい。また、一列のオリフィス列を有するノズルダイを複数台並列に設置しても構わない。
プレートにオリフィスを開けたタイプのノズルを使用する場合、プレートの厚さは、0.5〜1.0mm程度であってもよい。オリフィスの径やピッチに関しては、目的とする繊維固定ができる条件であれば特に制限はないが、オリフィスの直径は、通常、0.05〜2.0mm、好ましくは0.1〜1.0mm、さらに好ましくは0.2〜0.5mm程度である。一方、オリフィスのピッチについては、通常0.5〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.5mm、さらに好ましくは1.0〜1.5mm程度である。
また、繊維接着に使用する高温水蒸気についても、目的とする繊維固定が実現できれば特に限定はなく、使用する繊維の材質や形態により設定すればよいが、圧力は、例えば、0.1〜2.0MPa、好ましくは0.2〜1.5MPa、さらに好ましくは0.3〜1.0MPa程度である。水蒸気の圧力が高すぎたり、強すぎる場合には、ウェブを形成する繊維が必要以上に動いて地合の乱れを生じたり、繊維が溶融しすぎて部分的に繊維形状を保持できなくなる可能性がある。また、圧力が弱すぎる場合は、繊維の融着に必要な熱量を被処理物に与えることができなくなったり、水蒸気がウェブを貫通できず、厚み方向に繊維融着斑を生ずる等の問題が発生したり、ノズルからの水蒸気の均一な噴出の制御が困難になる等の不具合が発生しやすくなる。
高温水蒸気の温度は、例えば、70〜150℃、好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは90〜110℃程度である。高温水蒸気の処理速度は、例えば、200m/分以下、好ましくは0.1〜100m/分、さらに好ましくは1〜50m/分程度である。
必要であれば、コンベアベルトに所定の凹凸柄や文字などを付与しておき、これらを転写させることで得られる不織布に凹凸溝やマークなどを付与することも可能である。また、不織布としての特性を低下させない範囲で、他の資材と積層して積層体を形成してもよい。
このようにして繊維ウェブの繊維を部分的に湿熱接着した後、不織布に水分が残留する場合があるので、必要に応じてウェブを乾燥してもよい。乾燥に関しては、乾燥用加熱体に接触した不織布の表面が、乾燥後にフィルム化(溶融による繊維形態の消失化)せずに繊維形態を維持していることが必要であり、これが達成できるのであれば特に方法は問わない。従って、従来から不織布の乾燥に使用されるシリンダー乾燥機やテンターのような大掛かりな乾燥設備を使用しても構わないが、残留している水分は微量であるケースが多く、比較的軽度な乾燥手段により乾燥可能なレベルである場合が多いため、遠赤外線照射、マイクロ波照射、あるいは電子線照射等の非接触法や熱風を吹き付ける方法等が好ましい。
さらに、本発明の不織布は、前述のように、湿熱接着性繊維を高温水蒸気により接着させて得られるが、部分的に(湿熱接着により得られた不織布同士の接着など)、他の慣用の方法、例えば、部分的な熱圧融着(熱エンボス加工など)、機械的圧縮(ニードルパンチなど)などの処理方法により接着されていてもよい。
なお、湿熱接着性繊維は、繊維ウェブを熱湯に漬すことでも融着するが、このような方法では繊維接着率の制御が困難であり、また繊維接着率の均一性が高い不織布を得るのが困難である。その原因は、ウェブ中に必然的に含まれる空気の影響で位置によって湿熱接着性が異なること、この空気がウェブの外に押し出されることによる構造への影響、湿熱接着させたウェブを熱湯中から取り出すときの引き取りローラーによる繊維内部の微細構造の変形や取り出した繊維ウェブ中に含まれる熱湯の重さによる上下方向の微細構造の変形の違いなどであると推定できる。
このような方法によって得られた不織布は、通常、シート状又は板状であり、用途に応じて、切断加工などによって、所望の形状に加工できる。
本発明の不織布は、一般的な不織布と同程度の低密度であり、更に通気性を有しているにも関わらず、構成する繊維の脱落が非常に少なく、吸水により特定方向へ膨張する事で優れた吸水性を有している。従って、このような不織布は、特に大量の水を含浸して使用する用途や吸水による変形を利用する用途に好適である。具体的な用途としては、各種分野の吸水及び保水材、例えば、建築又は土木用保水材(例えば、水土嚢など)や、園芸又は培養用保水材又は保水シート(例えば、植物栽培用の床など)、日用品の保水材などが挙げられる。
すなわち、本発明の不織布は、乾燥状態で軽く、厚さが薄いため、使用時に吸水により重量が増加すると共に厚さが向上することで目的の性能を発現できる。このため、乾燥状態で保管する事により、保管時の運搬やスペース確保に有利である。また、本発明の不織布は、繊維同士がお互いを固定しあっているため、形態が安定している。このため、水土嚢などのように、狭いところで使用が必要な場合など、不用部分を切断除去して、大きさを合わせることが非常に容易である。
また、本発明の不織布を水土嚢として用いる場合は、繊維接着により高吸水性繊維を固定しているため、通常の土嚢のように袋に入れる必要がない。このため、端部まで真っ直ぐな直方体の土嚢とすることができ、角と角がキチンと合わすことができるため、土嚢間の隙間を極めて小さく抑えることができる。また、適度な硬質性(形態安定性)を有しているため、吸水時に吸水の抵抗となるカバー材(袋)を使用する必要がなく、吸水時に素早く水を吸収することが可能であり、必要な時に素早く使用可能な状態に準備できる。
一方、本発明の不織布は、植物栽培用の育苗床として好適である。例えば、屋上緑化の用途に用いる場合など、使用する場所やスペース等、使用方法に多くの制限がある用途に好適である。すなわち、本発明の不織布は、吸水前後で使用前の乾燥状態において、非常に軽量であり、コンパクトであるため、特に運搬、設置しやすく、好適である。また、使用場所の形状やサイズに合わせて余分な部分をカットして使用可能である。
更に、本発明の不織布は、このような性能を生かして、屋上緑化に用いる吸水体や吸水スポンジの代替用途、微生物固定化担体としても使用可能である。更には、ワイピング材(食器洗いスポンジ、ペン型ワイパーなど)、マジックペンや蛍光ペン等の芯、インクジェットプリンターカートリッジのインク保持材、芳香剤などの香料蒸散用の芯材等、各種用途に応用できる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例における各物性値は、以下の方法により測定した。
(1)目付(g/m
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
(2)厚さ(mm)、密度(g/cm
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて厚さを測定し、この値と(1)の方法で測定した目付とから密度を算出した。
(3)通気度(cm/(cm・秒))
JIS L1096に準じ、フラジール形法にて測定した。
(4)吸水性
不織布試料を5cm×5cmのサイズにカットし、標準状態(20±2℃、65±4%R.H.)の環境下で24時間放置したサンプルの重量を測定(W1)した。このサンプルを完全に覆うことのできる量の蒸留水中に5分間浸漬した後、これを引き上げ、1分間、垂直に吊り下げる事により水切りした後の試料重量(W2)を測定した。これらの測定結果から、次式に従い吸水率を算出した。各測定値は、5サンプルについて測定した値の平均値を用いた。
吸水率=[試料の吸水後の重量(W2)−試料の標準状態の重量(W1)]/[試料の標準状態の重量(W1)]×100(%)
(5)吸水膨張性
不織布試料を吸水性測定用サンプルと同じサイズにカットし、同じ条件下で24時間放置した後に、長さ方向、幅方向そして厚み方向について、標準状態下寸法(L1)をそれぞれ測定した。このサンプルを完全に覆うことのできる量の蒸留水中に5分間浸漬した後、これを引き上げ、1分間、垂直に吊り下げる事により水切りした後、同様に試料の長さ方向、幅方向、及び厚み方向について吸水後の寸法(L2)を測定し、次式に従い寸法変化率を算出した。各測定値は、5サンプルについて測定した値の平均値を用いた。
寸法変化率 = [(L2)−(L1)]/(L1) ×100 (%)
(6)繊維接着率(%)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布断面を100倍に拡大した写真を撮影した。撮影した不織布の厚み方向における断面写真を厚み方向に3等分し、3等分した各領域(表面、内部(中央)、裏面(反対面))において、そこに見出せる繊維切断面(繊維端面)の数に対する別の切断面と接触している切断面の数の割合を求めた。各領域に見出せる全切断数のうち、2本以上の繊維が接着した状態の断面の数の占める割合を以下の式に基づいて、百分率で表した。なお、繊維同士が接触する部分には、融着することなく単に接触している部分と、融着により接着している部分とがある。但し、顕微鏡撮影のために不織布を切断することにより、不織布の切断面においては、各繊維が有する応力によって、単に接触している繊維同士は分離する。従って、断面写真において、接触している繊維同士は、接着していると判断できる。
繊維接着率(%)=(2本以上接着した繊維の断面数)/(全繊維断面数)×100
ただし、各写真について、断面の見える繊維は全て計数し、繊維断面数100以下の場合は、観察する写真を追加して全繊維断面数が100を超えるようにした。なお、3等分した各領域についてそれぞれ繊維接着率を求め、その最大値と最小値との差、最大値に対する最小値の割合(最小値/最大値)も併せて求め、繊維接着率の厚み方向の均一性の指標とした。
(7)不織布小片の形態保持性
不織布試料を5mm角の立方体形状にカットし、50cmの水を入れた三角フラスコ(100cm)の中に投入し、1分間放置し、この時の形状を処理前の形状とした。このフラスコを振とう器(ヤマト科学社製、「MK160型」)に装着し、振幅30mmの旋回方式にて60rpmの速度で30分間振とうさせた。振とう後、形態変化及び形態保持状態を目視確認し、以下に示す3段階評価を行った。
◎:ほぼ処理前の形状を維持している
○:大きく欠落した部分は見られないが、形態の変形が見られる
×:欠落部分の発生が見られる。
実施例1
湿熱接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(エチレン含有量44モル%、ケン化度98.4モル%)である芯鞘型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「ソフィスタ」、3.3dtex、51mm長、芯鞘質量比=50/50、捲縮数21個/25mm、捲縮率13.5%)を準備した。更に、高吸水性繊維として東洋紡績社製高吸水性繊維「ランシール(登録商標)F」(5.6dtex、51mm長)を準備した。
前記湿熱接着性繊維及び高吸水性繊維を質量比で、湿熱接着性繊維/高吸水性繊維=50/50の比率で混綿し、カード法により目付約100g/mのウェブを作製し、このウェブを5枚重ねて合計目付522.2g/mのカードウェブとした。
このカードウェブを、50メッシュ、幅500mmのステンレス製エンドレス金網を装備したベルトコンベアに移送した。なお、このベルトコンベアの金網の上部には同じ金網を有するベルトコンベアが装備されており、それぞれが同じ速度で同方向に回転し、これら両金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアを使用した。
次いで、ベルトコンベアに備えられた水蒸気噴射装置へカードウェブを導入し、この装置から0.4MPaの高温水蒸気をカードウェブの厚み方向に向けて通過するように(垂直に)噴出して水蒸気処理を施し、本発明の不織布を得た。この水蒸気噴射装置は、一方(下側)のコンベア内に、コンベアネットを介して高温水蒸気をウェブに向かって吹き付けるようにノズルが設置され、もう一方(上側)のコンベアにサクション装置が設置されていた。また、この噴射装置のウェブ進行方向における下流側には、ノズルとサクション装置の配置が逆転した組合せである噴射装置がもう一つ設置されており、ウェブの表裏両面に対して水蒸気処理を施した。
なお、水蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、ノズルがコンベアの幅方向に沿って1mmピッチで1列に並べられた水蒸気噴射装置を使用した。加工速度は3m/分であり、ノズル側とサクション側の上下コンベアベルト間の間隔(距離)は5mmとした。ノズルはコンベアベルトの裏側にベルトとほぼ接するように配置した。
得られたサンプルの物性測定値を表1に示す。得られた不織布は、優れた吸水性を有し、吸水前後において長さ方向、幅方向への寸法変化は少ないものの、吸水時に厚み方向への膨張を生じた。また、良好な形態保持性を示した。
得られた不織布の厚み方向の断面をSEM写真で撮影した結果を図1に示す。なお、写真中のスケールバーは、500μmの長さを示す。図1から明らかなように、得られた不織布は、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
実施例2
実施例1で使用した湿熱接着性繊維を40質量%、高吸水性繊維を60質量%で混綿する以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。得られた不織布の物性測定結果を表1に示す。得られた不織布は実施例1の不織布より柔軟で、より高い吸水率を有していた。また、形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、概ね形態は保持されていた。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
実施例3
不織布の目付を約280g/m2とする以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。得られた不織布の物性測定結果を表1に示す。得られた不織布は実施例1の不織布より柔軟で、より高い吸水率を示した。また、形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、概ね形態は保持されていた。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
実施例4
水蒸気噴射装置における水蒸気噴射圧力を0.8MPaとし、コンベアベルト間隔を2mmとする以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。得られた不織布の物性測定結果を表1に示す。得られた不織布は、実施例1の不織布より低い吸水率を示していたが、目的の吸水性能を有していると共に、優れた形態保持性を示した。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
実施例5
2.2dtexの繊維径を有する湿熱接着性繊維を用いる以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。得られた不織布の物性測定結果を表1に示す。得られた不織布は実施例1の不織布に比べてやや高密度であり、やや低い吸水率を有していた。また、形態保持性の試験においては、若干の繊維脱落が認められたが、概ね形態は保持されていた。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
実施例6
湿熱接着性繊維80質量%、高吸水性繊維20質量%の割合で混綿する以外は、実施例1と同様にして、不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布は、実施例4の不織布よりも更に低い吸水率を示したが、目的の吸水性能を有していると共に、優れた形態保持性を示した。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
実施例7
湿熱接着性繊維を20質量%、高吸水性繊維を80質量%の割合で混綿する以外は、実施例1と同様にして、不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布は、実施例1の不織布に比べ、よりボード状の形態を有しており、他の実施例のサンプルに比べ厚み方向の吸水時の寸法変化率、吸水率が高く、膨潤後のサンプルは繊維の脱落や形状の崩壊といった現象は見られなかった。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
比較例1
湿熱接着性繊維10質量%、高吸水性繊維90質量%の割合で混綿する以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布は実施例1の不織布に比べて非常に柔軟であり、良好な吸水性を示したが、厚さ中央部の繊維接着率が低く、飽和状態まで吸水したところ大きく膨張し、表面部の構成繊維が脱落し、一部形態が崩れてしまった。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
比較例2
実施例1において、ウェブを蒸気噴射装置に導き形態確保する代わりに、上下ともに120℃のロール温度に設定したフラットカレンダー装置にてカレンダー加工を行なった。さらに、ロール間のクリアランスを5mmとし、速度5m/分で加工する以外は実施例1と同様にして不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
得られた不織布は熱カレンダーロールに接した表面部分の繊維が密に接着しフィルム状になる一方で、厚み方向における中央部の繊維接着が非常に少なく、厚み方向の繊維接着状態が不均一で、勾配がある構造となった。このため、飽和状態まで吸水したところ、繊維中央部ばかりが大きく膨張し、厚さ中央部から二つに分かれてしまった。
比較例3
湿熱接着性繊維90質量%、高吸水性繊維10質量%の割合で混綿するとともに、水蒸気噴射装置におけるコンベアベルト間の間隔を1.5mmとする以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。結果を表1に示す。得られた不織布は、吸水率及び吸水膨張率ともに低かった。得られた不織布の厚み方向における断面をSEMで観察した結果、構成繊維が面方向に沿って配向していることが確認できた。
表1の結果から明らかなように、本発明の不織布は、乾燥状態においては、低密度かつ軽量であり、吸水させたときには、極めて高い吸水率を有するとともに吸水したときに厚み方向のみに膨張し、長さ方向、幅方向への膨張の無いものであった。

Claims (12)

  1. 湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とで構成され、前記湿熱接着性繊維と前記高吸水性繊維との割合(質量比)が、湿熱接着性繊維/高吸水性繊維=20/80〜80/20である不織布であって、湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とを、混合ウェブとした後、混合ウェブを搬送しながら高温水蒸気流で加熱処理して得られ、前記不織布を構成する繊維が配向しており、かつ前記不織布の断面における繊維接着率が厚み方向に沿って概ね均一で、5〜50%である不織布。
  2. 乾燥状態から吸水させた際に、吸水による寸法変化率が、不織布の長さ方向において5.0%以下であり、かつ厚み方向において50%以上である請求項1に記載の不織布。
  3. 乾燥状態の密度が0.03〜0.3g/cmである請求項1または2に記載の不織布。
  4. 吸水率が500質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
  5. 厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合が50%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の不織布。
  6. 高吸水性繊維が、ヒドロキシル基、カルボキシル基又はその塩基、スルホン酸基又はその塩基、及びエーテル基からなる群から選択された少なくとも一種の親水性基を有する重合体で構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
  7. 高吸水性繊維がポリ(メタ)アクリル酸系重合体又はその塩を含む成分で構成されている請求項1〜6のいずれかに記載の不織布。
  8. 湿熱接着性繊維が、エチレン単位の含有量が10〜60モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体と、非湿熱接着性樹脂とで構成され、前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体と前記非湿熱接着性樹脂との割合(質量比)が、前者/後者=90/10〜10/90であり、かつ前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、前記湿熱接着性繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して占める請求項1〜7のいずれかに記載の不織布。
  9. 湿熱接着性繊維が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体で構成された鞘部と、ポリエステル系樹脂で構成された芯部とで形成された芯鞘型複合繊維である請求項1〜8のいずれかに記載の不織布。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の不織布で構成された水土嚢。
  11. 請求項1〜のいずれかに記載の不織布で構成された保水シート。
  12. 湿熱接着性繊維と高吸水性繊維とを混合ウェブ化する工程と、生成した混合ウェブを搬送しながら高温水蒸気で加熱処理して繊維を融着する工程とを含む請求項1〜9のいずれかに記載の不織布の製造方法。
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