JP2016191174A - 複合仮撚加工糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】なめらかさとハリを両立した優れた風合いを有するとともに、吸水性、嵩高性、防透性を布帛に付与することができる複合仮撚加工糸の提供。【解決手段】凹部を有しない断面形状の繊維と多葉断面繊維とが分散し混繊して構成されており、式(1)で示される糸長差が5〜15%、式(2)で示されるフィラメント数比率が1.6〜3.5である複合仮撚加工糸。【選択図】なし

Description

本発明は、従来のハイカウント糸や複合仮撚加工糸では得られなかった風合いおよび吸水性、嵩高性、防透性を布帛に付与することができる複合仮撚加工糸に関するものである。
インナー衣料においては、布帛が肌に直接触れることからなめらかな風合いが好まれる。このため、使用される合成繊維は年々単糸細繊度化する傾向にあり、多くの検討がなされている(たとえば特許文献1参照)。しかしながら、単糸細繊度糸は曲げ剛性が低いことから、これを用いて作製した衣料は体や下着の凹凸が表面に表れやすく、好まれない場合もある。特に、スポーツインナー用途向けとしては、上着を着用しない場面が多いことから単糸細繊度糸によるなめらかさと同時に適度なハリを有し、下着のひびきが小さく防透性に優れた糸に強い要望がある。また同時に吸水性、嵩高性といった機能性に関しても期待されているものの、これら全てを満足する糸は提案されていない状況である。
一方、複合仮撚加工糸は使用する2種類以上の糸の特性を活かし、これらの繊維を芯鞘構造とするなどして機能性を付与しようとする多数の提案がなされている(たとえば特許文献2参照)。また、風合いとしては、複合仮撚加工糸を構成する2種類の糸のポリマー組成や加工時の倍率条件を変更することで糸長差をもたせ、スパンライクな布帛を得ることができる複合仮撚加工糸が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、従来の複合仮撚加工糸の吸水性、嵩高性、防透性などの機能性は混繊した糸の一方による効果であり、機能付与糸100%の場合に比較してその効果は低いものとなることから十分ではなかった。
特開2008−202192号公報 特開2011−47080号公報 特開2005−23441号公報
本発明の目的は、なめらかさとハリを両立した優れた風合いを有するとともに、吸水性、嵩高性、防透性を布帛に付与することができる複合仮撚加工糸に関するものである。
本発明は、上記課題を解決せんとするものであって、本発明の複合仮撚加工糸は凹部を有しない断面形状の繊維と多葉断面繊維とが分散し混繊して構成されており、式(1)で示される糸長差が5〜15%、式(2)で示されるフィラメント数比率が1.6〜3.5である複合仮撚加工糸である。
本発明の複合仮撚加工糸の好ましい態様によれば、前記の複合仮撚加工糸を構成する多葉断面繊維は、横断面において図1で例示した多葉断面繊維を囲うように描ける最小の円(以下、外接円と記す)の直径を、多葉断面繊維の内側に描ける最大の円(以下、内接円と記す)の直径で割った変形度(式(3))が3以上である複合仮撚加工糸である。
本発明の複合仮撚加工糸の好ましい態様によれば、前記の複合仮撚加工糸を構成する多葉断面繊維の断面形状は3〜8葉断面である。
本発明の複合仮撚加工糸の好ましい態様によれば、前記の複合仮撚加工糸は、ポリエステルまたはポリアミドを主成分とするものである。
本発明の複合仮撚加工糸の好ましい態様によれば、前記の複合仮撚加工糸の伸縮復元率CRは16%以上である。
本発明の複合仮撚加工糸の好ましい態様によれば、前記の複合仮撚加工糸を構成する凹部を有しない断面形状の繊維の単繊維繊度は1.2dtex以下である。
本発明によれば、従来のハイカウント糸や複合仮撚加工糸では得られなかったなめらかさとハリを両立した優れた風合いを有し、吸水性、嵩高性、防透性を布帛に付与することができる複合仮撚加工糸を得るものである。
本発明における変形度を求める際の多葉断面繊維を囲うように描ける最小の円と多葉断面繊維の内側に描ける最大の円の模式図。 本発明の実施例で使用する延伸仮撚装置の一例を示す概略図。
次に、本発明の複合仮撚加工糸について詳細に説明する。
本発明の複合仮撚加工糸は凹部を有しない断面形状の繊維と多葉断面繊維とが分散し混繊して構成されており、式(1)で示される糸長差が5〜15%、式(2)で示されるフィラメント数比率が1.6〜3.5である。
複合仮撚加工糸を構成する凹部を有しない断面形状の繊維の糸長は、多葉断面繊維のそれより5〜15%長く、この範囲とすることで凹部を有しない断面形状の繊維が多葉断面繊維に対してたるんだ状態となる。従って、曲げ剛性の低い凹部を有しない断面形状の繊維が表面に現れることから、これを用いて作製した布帛の触感はなめらかなものとなる。一方、曲げ剛性の高い多葉断面繊維はざらざらした表面触感であるが、凹部を有しない断面形状の繊維より糸長が短いことから表面にほとんど現れないため、表面触感に影響しない。しかし、多葉断面繊維が混繊していることで複合仮撚加工糸の曲げ剛性は上がることから、これを用いて作製した布帛はしっかりとしたハリのあるものとなるのである。また、多葉断面繊維100%の仮撚加工糸は嵩高ではあるものの、断面の凹凸が噛みこんでしまうことから嵩高性を十分に発揮することができない。しかしながら、本発明の複合仮撚加工糸は凹部を有しない断面形状の繊維がたるんだ状態で多葉断面繊維と混繊状態になっているために、多葉断面繊維同士の断面の噛み込みを防ぐ衝立として働く。このため、本発明の複合仮撚加工糸は本来嵩高性に劣る凹部を有しない断面形状の繊維が混繊しているにも関わらず、多葉断面繊維100%使いの場合と同等の嵩高性を有するのである。更に、この嵩高性と凹部を有しない断面形状の繊維がたるんだ状態となっていることにより布帛の目が塞がれるため、吸水性、防透性にも優れた布帛となるのである。
糸長差が5%より小さいと、曲げ剛性の低い凹部を有しない断面形状の繊維がたるんだ状態とならないため、これから作製した布帛の触感は、曲げ剛性の高い多葉断面繊維に由来するざらざらした触感が目立ってしまう。また、布帛の目が塞がれないことから防透性も劣ったものとなる。一方で、糸長差が15%より大きい場合には凹部を有しない断面形状の繊維と多葉断面繊維が分かれてしまい、凹部を有しない断面形状の繊維は多葉断面繊維同士の断面の噛み込みを防ぐ衝立として働かなくなるため、嵩高性が低くなる。また凹部を有しない断面形状の繊維のたるみが大きいことからパッケージの解舒性、製編時の通過性が劣勢となる。より好ましくは7〜13%である。
本発明の複合仮撚加工糸のフィラメント数比率が1.6より小さい場合、すなわち触感のなめらかな凹部を有しない断面形状の繊維が少ない場合には、多葉断面繊維を十分に被覆することができなくなるため、多葉断面繊維に由来するざらざらした触感が布帛に現れてしまう。また、凹部を有しない断面形状の繊維が少ないため、防透性についても十分な効果を得られなくなる。一方、フィラメント数比率が3.5より大きい場合、すなわち曲げ剛性の高い多葉断面繊維が少ない場合には複合仮撚加工糸の曲げ剛性が低下するため、これを用いて作製した布帛のハリは不十分なものとなる。また、多葉断面繊維が少なすぎるために、凹部を有しない断面形状の繊維が前記した多葉断面繊維同士の噛み込みを防ぐ衝立として働いたとしても、嵩高性は不十分になってしまう。好ましくは1.8〜3.0である。
本発明の複合仮撚加工糸は、糸長が長い凹部を有しない断面形状の繊維が分散し混繊していることで多葉断面繊維の断面形状の重なりを回避することにより嵩高性を発現している。しかし、例えば別々に採取した未延伸糸を同時に仮撚加工工程に供給して複合仮撚加工した場合には、それぞれの断面形状の繊維が集合した形態となってしまう。この場合には凹部を有しない断面形状の繊維は多葉断面繊維同士の断面の噛み込みを防ぐ衝立として働かなくなることから、嵩高性が劣勢となるのである。
次に、複合仮撚加工糸を構成する多葉断面繊維の変形度は3以上であることが好ましい。変形度が3以上あると、布帛のハリが一層しっかりとしたものとなり、嵩高性も向上する。また、高い変形度であるほど表面積が大きいことから口金から出たポリマーの冷却が早く進行し、低伸度の多葉断面未延伸糸となる。このため、延伸仮撚工程において多葉断面繊維はより高い張力がかかった状態で加撚領域を通過することから、多葉断面繊維は芯側に、凹部を有しない断面形状の繊維は鞘側によった状態となる。加撚領域において芯側に位置する繊維と鞘側に位置する繊維では鞘側の方が高い倍率で延伸仮撚加工されることから、解撚後の糸長差が大きくなり、凹部を有しない断面形状の繊維が更に布帛表面に出てくるため、布帛の表面触感が一層なめらかなものとなる。好ましくは4以上、更に好ましくは5以上である。
伸度差としては15%〜45%の範囲が好ましく、この範囲に設定することで凹部を有しない断面形状の繊維と多葉断面繊維が分散して混繊した状態を維持しつつ、糸長差、捲縮形態差が大きくなることから、触感のなめらかさ、嵩高性、吸水性、防透性が特に向上する。より好ましくは20〜35%である。
本発明の複合仮撚加工糸を構成する多葉断面繊維の形状としては、図1で例示すように、4葉断面や3葉断面が引き伸ばされたり潰されたりした断面形状の他、突起部の先端が折れ曲がったものでもよい。また、多葉の数としては3〜8葉であることが好ましい。多葉断面繊維の断面形状が3〜8葉断面である複合仮撚加工糸は、曲げ剛性が高いことから布帛にしっかりとしたハリをもたせることができる。更に凹部を有しない断面形状の繊維と混繊状態とすることにより単糸間に空隙を数多く形成することから嵩高性、吸水性が大きく向上するため好ましい。好ましくは3〜6葉である。
本発明の複合仮撚加工糸の伸縮復元率CRは16%以上であることが好ましい。CRが16%以上あると捲縮形態が細かく強固なものであることから、これを用いて作製した布帛は吸水性、防透性が更に向上し、同時に布帛の外観は捲縮形態の斑のない均一なものが得られるのである。好ましくは20%以上である。
複合仮撚加工糸を構成する凹部を有しない断面形状の繊維の単繊維繊度は1.2dtex以下であることが好ましい。特に凹部を有しない断面形状の繊維の曲げ剛性が低いことから非常になめらかな触感を得ることができるのである。凹部を有しない断面形状の繊維の単繊維繊度は低いほどなめらかなものが得られるが、糸の品質、生産性から0.3dtex〜1.0dtexの範囲が特に好ましい。
次に、本発明の複合仮撚加工糸の製法例について図面を用いて説明する。図2は本発明の複合仮撚加工糸を製造するための一実施態様を示す概略工程図である。図2において、未延伸糸は第1フィードローラーにより延伸仮撚装置へと供給され、第1フィードローラーと第2フィードローラーの間を延伸仮撚加工されながら通過する。その際、糸条は仮撚具上部で加撚、下部で解撚、第1ヒーターで熱セットされる。延伸仮撚加工された糸条は必要に応じて(特に必要なければ省略可能)第2フィードローラーと第3フィードローラーとの間の第2ヒーターによって再熱処理される。次いでエアーノズルで交絡を施された後、巻取ローラーでパッケージとして巻き取られる。
使用する混繊未延伸糸は、ポリマーを公知の方法を用い溶融紡糸することで得られる。使用するポリマーは溶融紡糸可能なものであれば特に限定されないが、特にポリエステルまたはポリアミドであることが好ましい。また、繊維中には公知の共重合成分および顔料、染料、艶消し剤、防汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑剤などの添加剤を含んでもよい。
溶融紡糸に使用する口金として、凹部を有しない丸型吐出孔と多葉型吐出孔をあわせもつ口金混繊用のものを使用する点が本発明のポイントである。同一口金から吐出された丸断面未延伸糸と多葉断面未延伸糸では、表面積の大きい多葉断面未延伸糸の方が早く冷却されることから低伸度となる。このため、延伸仮撚加工時の加撚領域においては多葉断面繊維が高張力となることから芯側、凹部を有しない断面形状の繊維は鞘側によった構造となる。芯側によっていた繊維に対して鞘側によっていた繊維はわずかに高い倍率で延伸されることから、解撚後には凹部を有しない断面形状の繊維の糸長が多葉断面繊維の糸長よりも長くなり、口金混繊用の口金を用いたことから各断面形状の繊維が分散し混繊した状態になるのである。
仮に、口金として2種類の丸型吐出孔をあわせもつ口金混繊用のものを使用したとすると、太繊度の凹部を有しない断面形状の繊維と細繊度の凹部を有しない断面形状の繊維が混繊した複合仮撚加工糸が得られる。曲げ剛性の高い太繊度糸と曲げ剛性の低い細繊度糸の複合仮撚加工糸であるため、一見すると本発明に記載の触感が得られそうであるが、実際には太繊度の繊維の方が口金から吐出されたあとゆっくりと冷却固化することから高伸度となるため、延伸仮撚加工により細繊度糸よりも糸長が長くなり、布帛表面に現れることから、これを用いて作製した布帛はざらざらとした触感になってしまうのである。
また、口金混繊用の口金を使用する以外で複合仮撚加工糸を得る方法として、別々の口金から吐出した糸を合糸することで1本の糸条とし延伸仮撚加工する方法や、別々に紡糸した糸を同時に延伸仮撚加工する方法が知られている。いずれの方法であっても一応の複合仮撚加工糸は得られるが、元々は別々の糸条をまとめて仮撚加工しているにすぎないため、延伸仮撚加工後であっても、それぞれの糸条がまとまってしまい、十分な混繊状態とならないことから、本発明の効果を得るのは困難である。
混繊未延伸糸作製時の引取速度は1500〜4000m/分の範囲内であることが好ましい。この範囲で巻き取った未延伸糸を延伸仮撚加工することにより細かく強固で毛羽発生の少ない複合仮撚加工糸を生産性良く得ることができるのである。
延伸仮撚加工に使用する延伸仮撚装置の仮撚具としては、ピン、フリクションディスク、ベルトニップなど通常の延伸仮撚加工で使用するものであれば特に限定しないが、仮撚数Tは15000/(総繊度)1/2≦T≦35000/(総繊度)1/2とするのが好ましい。仮撚数Tをこの範囲とすることで、細かく強固な捲縮をもった毛羽のない複合仮撚加工糸を生産性良く得ることができるのである。例えばフリクションディスクを使用する場合はディスクの厚さおよびディスクの間隔、枚数などを適時調節し、仮撚数Tを前記の範囲にすればよい。
加工速度は300〜800m/分の範囲であることが好ましい。この範囲で生産すると糸切れが多発することなく、収率よく生産することができる。
延伸倍率は紡糸条件、加工条件により適正化する必要があるが、1.2〜2.0倍の範囲が適当である。
第1ヒーターの加熱方式としては接触式、非接触式ともに使用することができる。第1ヒーターの温度は加熱方式、加工速度、糸の繊度によって異なり、ヒーター内部を通過する糸の温度が100〜230℃の範囲となるようヒーター温度を設定する。
仮撚加工糸をパッケージに巻き取る前に、交絡と油剤を付与することが好ましい。これにより解舒性が向上し、製編織時の工程通過性が良好となる。
次に、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、各項目は次の方法で測定した。
(1)凹部を有しない断面形状の繊維と多葉断面繊維の糸長差
複合仮撚加工糸の一端に0.09g/dtexの荷重を掛け垂直に吊し、任意に定めた複合仮撚加工糸上の0点と、0点から50cmの部分にマーキングを行った。マーキング部分を含むようにサンプルを切り取った後、荷重を外し、各断面形状のフィラメントを各々10本取り出した。各々のフィラメントに0.09g/dtexの加重を掛けて、垂直に吊るしマーキング部分の長さを測り、凹部を有しない断面形状の繊維の糸長Laと多葉断面繊維の糸長Lbをそれぞれ求めた。各断面形状10本の平均値を各繊維の糸長とし、式(1)で糸長差を計算した。
(2)凹部を有しない断面形状の繊維と多葉断面繊維の伸度差
複合仮撚加工糸から各断面形状のフィラメントを各々10本取り出し、ORIENTEC社製のTENSILON RTC−1210Aを用いて、気温20℃、湿度65%の条件下で、試長200mm、初荷重0.09g/dtex、引張速度200mm/分の条件で応力−歪み曲線を測定し、フィラメントが切れる位置の伸度を求め、その平均値を各繊維の伸度とし、式(4)より伸度差を求めた。
(3)変形度
複合仮撚加工糸から包埋法にて糸断面サンプルを作製し、これを顕微鏡で500倍に拡大したときに多葉断面繊維を囲うように描ける最小の円の直径を、多葉断面繊維の内側に描ける最大の円の直径で割った値を変形度(式(3))とした。無作為に選択した多葉断面繊維10フィラメントについて行い、平均値をとって小数第一位を四捨五入した。
(4)伸縮復元率CR
複合仮撚加工糸を周長1.0mの検尺機を用いて10回巻きしてカセ取りした後、このカセに(総繊度×0.002×巻取回数×2)/1.111gの初荷重をかけて、温度90℃×時間20分間熱水処理し、脱水後12時間以上放置する。放置後のカセに、初荷重に加えて(総繊度×0.1×巻取回数×2)/1.111gの測定荷重をかけて、温度25℃の水中に垂下し2分間放置する。放置したカセの長さを図りLとする。次いで測定荷重を除き、初荷重だけにした状態で3分間放置し、カセの長さを測りL1とする。L、L1より次式の伸縮復元率CRを求めた。3回行い平均値をとって小数第一位を四捨五入した。
伸縮復元率CR(%)=[(L−L1)/L]×100・・・(5) 。
(5)なめらかさ
複合仮撚加工糸から小池機械製作所社製一口型筒編機(ゲージ数:22)を用いて目付け86g/mで作製した筒編みを、98℃の温水に15分間浸漬し乾燥させた後に、表面のなめらかさを10人のパネラーに5点満点で採点してもらい、以下の3段階で評価した。84dtex−72フィラメントの凹部を有しない断面形状の繊維からなるポリエステル仮撚加工糸100%使いの筒編みを○とし、○、○○を目標レベルとした。
○○:10人のパネラーの平均点が4点以上
○ :10人のパネラーの平均点が3点以上4点未満
× :10人のパネラーの平均点が2点以上3点未満 。
(6)ハリ
複合仮撚加工糸から小池機械製作所社製一口型筒編機(ゲージ数:22)を用いて目付け86g/mで作製した筒編みを、98℃の温水に15分間浸漬し乾燥させた後に、ハリの程度を10人のパネラーに5点満点で採点してもらい、以下の3段階で評価した。84dtex−48フィラメントの凹部を有しない断面形状の繊維からなるポリエステル仮撚加工糸100%使いの筒編みを○とし、○、○○を目標レベルとした。
○○:10人のパネラーの平均点が4点以上
○ :10人のパネラーの平均点が3点以上4点未満
× :10人のパネラーの平均点が3点未満 。
(7)吸水性
複合仮撚加工糸から小池機械製作所社製一口型筒編機(ゲージ数:22)を用いて目付け86g/mで筒編みを作製し、67℃の温水中に30分間浸漬させ精錬した後、乾燥し、7cm×20cmの大きさに切り取り、上端を固定し、下端を25℃±2℃の温度の蒸留水中に浸漬させ、10分間放置後に水が筒編みを上昇した高さを測定し、以下の3段階で評価した。○、○○が目標レベルである。
○○:13cm以上
○ :11cm以上13cm未満
× :11cm未満 。
(8)嵩高性
複合仮撚加工糸から東レエンジニアリング社製Yarn Sampling Unit model533を用いて張力0.15g/dtex、糸速度50m/minで紙管に巻き取り、糸の重量とパッケージの体積から巻き密度を算出し、以下の3段階で評価した。○、○○が目標レベルである。
○○:0.60g/cm未満
○ :0.60g/cm以上0.66g/cm未満
× :0.65g/cm以上 。
(9)防透性
複合仮撚加工糸から小池機械製作所社製一口型筒編機(ゲージ数:22)を用いて目付け86g/mで作製した筒編みを98℃の温水に15分間浸漬し乾燥させた後に長さ23cmの筒編となるように切り、これを縦9cm、横25cmの枠にはめ、皺がよらないよう両端をクリップで固定した状態でスガ試験機株式会社ST−T45を用い積分球法にて裏に白板を当てた状態でのL値(Lfw)と暗箱を当てた状態でのL値(Lfb)を測定した。更に白板のみの状態でのL値(Lw)と暗箱のみの状態でのL値(Lb)を測定し、次式により防透度を計算して以下の3段階で評価した。○、○○が合格である。
防透度(%)=(Lfw−Lfb)×100/(Lw−Lb)・・・(6)
○○:92%以上
○ :90%以上92%未満
× :90%未満 。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートを用いて、溶融紡糸装置の丸型吐出孔と4葉型吐出孔を有する口金からポリマーを押し出し、引取速度2700m/分で巻き取ることにより、丸断面繊維と4葉断面繊維の混繊未延伸糸を得た。次いで、これを図2に示す延伸仮撚装置により加工速度500m/分、延伸倍率1.4倍、第1ヒーター温度170℃で延伸仮撚加工を行い、総繊度84dtex、72フィラメント(凹部を有しない断面形状の繊維48フィラメント−多葉断面繊維24フィラメント)の複合仮撚加工糸を得た。得られた複合仮撚加工糸の特性を表1に示す。このようにして得られた複合仮撚加工糸は、凹部を有しない断面形状の繊維と多葉断面繊維の混繊糸であり、糸長差は10%、フィラメント数の比率2.0、多葉断面繊維の変形度5、CR26%、凹部を有しない断面形状の繊維の単繊維繊度0.9dtexであった。得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはしっかりとしたハリがあり、触感の極めてなめらかなものであった。また、吸水性、嵩高性、防透性にも優れていた。
[実施例2]
実施例1において、使用するポリマーをナイロン6に変更し、紡糸速度を3300m/分、延伸倍率を1.2倍へと変更した他は実施例1と同じ方法で紡糸、延伸仮撚加工を実施し、表1に示す複合仮撚加工糸を得た。実施例2で得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはしっかりとしたハリがあり、触感の極めてなめらかなものであった。また、吸水性、嵩高性、防透性にも優れていた。
[実施例3〜8]
実施例1において、使用する混繊未延伸糸のフィラメント数の比率、変形度を変更した他は実施例1と同じ方法で紡糸、延伸仮撚加工を実施し、各々表1に示す複合仮撚加工糸を得た。
実施例3〜5で得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはしっかりとしたハリがあり、触感の極めてなめらかなものであった。また、吸水性、嵩高性、防透性にも優れていた。
実施例6で得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはハリがあり、触感の極めてなめらかなものであった。また、吸水性、防透性に優れ、嵩高性を有していた。
実施例7で得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはハリがあり、触感のなめらかなものであった。また、吸水性、嵩高性、防透性に優れていた。
実施例8で得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはしっかりとしたハリがあり、触感のなめらかなものであった。また、吸水性、防透性に優れており、防透性を有していた。
[実施例9〜11]
実施例1において、使用する混繊未延伸糸の断面形状を変更した他は実施例1と同じ方法で紡糸、延伸仮撚加工を実施し、各々表1に示す複合仮撚加工糸を得た。
実施例9、10で得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはしっかりとしたハリがあり、触感の極めてなめらかなものであった。また、吸水性、嵩高性、防透性にも優れていた。
実施例11で得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはハリがあり、触感の極めてなめらかなものであった。また、吸水性、防透性に優れ、嵩高性を有していた。
[比較例1、2]
実施例1において、使用する混繊未延伸糸のフィラメント数の比率を変更した他は実施例1と同じ方法で紡糸、延伸仮撚加工を実施し、各々表2に示す複合仮撚加工糸を得た。
比較例1で得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはざらざらした触感であり、また防透性の悪いものであった。
比較例2で得た複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはハリがなく、嵩高性、吸水性に乏しいものであった。
[比較例3、4]
実施例1において、使用する未延伸糸を同じ単繊維繊度の丸断面未延伸糸のみとし、フィラメント数を72フィラメントと48フィラメントにした他は実施例1と同じ方法で紡糸、延伸仮撚加工を実施し、各々表2に示す仮撚加工糸を得た。
比較例3で得た仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはハリのないものであり、防透性が低く、嵩高性のないものであった。
比較例4で得た仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはざらざらとした触感の吸水性、嵩高性、防透性のないものであった。
[比較例5]
実施例1において、使用する多葉断面未延伸糸を同じ繊度の丸断面未延伸糸にした他は実施例1と同じ方法で紡糸、延伸仮撚加工を実施し、表2に示す仮撚加工糸を得た。
比較例5で得た複合仮撚加工糸は0.9dtexの凹部を有しない断面形状の繊維48フィラメントと1.8dtexの凹部を有しない断面形状の繊維24フィラメントが混繊したものであり、本複合仮撚加工糸を用いて作製した筒編みはざらざらとした触感のハリ、吸水性、嵩高性、防透性のないものであった。
[比較例6、7]
実施例1において、使用する未延伸糸を比較例6は4葉断面未延伸糸のみ、実施例7は8葉断面未延伸糸のみとし、フィラメント数を48フィラメントにした他は実施例1と同じ方法で紡糸、延伸仮撚加工を実施し、表2に示す仮撚加工糸を得た。
比較例6、7で得た仮撚加工糸を用いて作製した筒編みは触感のざらざらとした風合いの劣るものであった。
1:多葉断面繊維を囲うように描ける最小の円
2:多葉断面繊維の内側に描ける最大の円
3:未延伸糸
4:第1フィードローラー
5:第1ヒーター
6:冷却板
7:仮撚具
8:第2フィードローラー
9:第2ヒーター
10:第3フィードローラー
11:エアーノズル
12:第4フィードローラー
13:巻取ローラー
14:パッケージ

Claims (6)

  1. 凹部を有しない断面形状の繊維と多葉断面繊維とが分散し混繊して構成されており、式(1)で示される糸長差が5〜15%、式(2)で示されるフィラメント数比率が1.6〜3.5である複合仮撚加工糸
  2. 多葉断面繊維横断面において、多葉断面繊維を囲うように描ける最小の円の直径を、多葉断面繊維の内側に描ける最大の円の直径で割った式(3)で示される変形度が3以上であることを特徴とする請求項1記載の複合仮撚加工糸。
  3. 多葉断面繊維の多葉の数が3葉〜8葉であることを特徴とする請求項1または2記載の複合仮撚加工糸。
  4. ポリエステルまたはポリアミドを主成分とする請求項1〜3のいずれか1項記載の複合仮撚加工糸。
  5. 伸縮復元率CRが16%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の複合仮撚加工糸。
  6. 凹部を有しない断面形状の繊維の単繊維繊度が1.2dtex以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の複合仮撚加工糸
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