JP7135854B2 - 偏心芯鞘複合繊維および混繊糸 - Google Patents

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Description

本発明は、芯鞘複合繊維に関する。さらに詳しくは、2種の異なる成分の収縮差を利用した潜在捲縮性を有し、耐摩耗性が良好で、かつシボやスジの無い均一でなめらかな外観に優れた布帛特性を提供できる偏心芯鞘複合繊維に関するものである。
また、異なる断面形態を有した2種類以上の単糸が糸束中に混在する混繊糸において、ストレッチ性を有しながらも、膨らみのある心地よい触感とナチュラルな杢調の外観を有する織編物に適した混繊糸に関するものである。
ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性ポリマーを用いた繊維は力学的特性、寸法安定性をはじめ様々な優れた特性を有している。そのため、衣料用途をはじめ、インテリア、車両内装、産業資材等の各種分野で利用されている。繊維の用途が多様化するに伴い、その要求特性も多様なものになってきている。
特に近年においては着用時の束縛感の抑制や動作の追従性が求められるようになり、衣服をはじめにストレッチ性能に関する要求が高い。また更なる機能追加として、審美性、風合い、軽量性、嵩高性、発色性等の複合的な機能が要求されており、細繊度糸の特徴である風合い特に審美性やなめらかな風合い、ソフト性への要求が高い。
布帛を構成する原糸にストレッチを付与する方法もこれまでに種々提案され、繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いることによって、織編物にストレッチ性を付与する方法がある。しかし、このトルクは織物表面のシボに転移し易い傾向があり、織物欠点が発生し易いという問題があった。こうした欠点を改善するため、熱処理やS/Z撚りとすることでトルクバランスを取り、ストレッチ性とシボ立ちによる欠点をバランスさせることも行われているが、概ねストレッチ性が大きく低下することが問題となっていた。
また、織物中にゴム弾性をもつポリウレタン系の繊維を混用し、ストレッチ性を付与する方法がある。しかしながら、ポリウレタン系繊維はポリウレタン固有の性質として風合いが硬く、織物の風合いやドレープ性が低下するといった問題があった。さらに、ポリウレタン系繊維はポリエステル用の染料には染まり難く、ポリエステル繊維と併用したとしても、染色工程が複雑になるばかりか所望の色彩に染色することが困難であった。
ポリウレタン系繊維や仮撚加工糸を用いない方法として、サイドバイサイド複合を利用した潜在捲縮発現性繊維が種々提案されている。潜在捲縮発現性繊維とは熱処理により捲縮が発現する、あるいは熱処理前より微細な捲縮が発現する能力を有する繊維のことを言い、機械的に繊維に屈曲を記憶させた仮撚加工糸等の加工糸とは区別されるものである。
例えば、特許文献1には、粘度差のある2成分のポリマーをサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維による潜在捲縮性複合繊維が提案されている。
この潜在捲縮性複合繊維を用いれば、熱処理後に繊維が高収縮成分側に大きく湾曲することになるため、これが連続することで3次元的なスパイラル構造をとる。このため、該構造がバネのように伸び縮みすることで、布帛にストレッチ性を付与することができる。
しかしながら、特許文献1においては、単純貼り合わせ構造であることから、摩擦や衝撃によって界面において剥離が生じ、部分的に白い筋状の白化現象や毛羽立ちなどで布帛品位が低下するといった課題があった。なお、単糸繊度は高々4.1d(4.6dtex)で、布帛は張りや腰が強くなり、布帛を硬く感じる場合があり、また過剰なストレッチ性のために、拘束感を感じる場合があった。
特許文献2には、第一成分と第二成分とを含む複合繊維の繊維断面において、第二成分の重心位置は繊維の重心位置からずれている顕在捲縮性複合短繊維が提案されている。
このような断面を有した繊維においては、吐出の際の糸曲がりは抑えられ、波形状捲縮および螺旋状捲縮を有した良好な触感の顕在捲縮性複合短繊維が得られている。しかしながら、捲縮数が高々16コ/25mmであり、通常の潜在または顕在捲縮の発現がしない繊維でのスタッフィングボックス型クリンパーでの捲縮数と同程度である。従って、単純な偏心芯鞘複合繊維における捲縮発現では、肝心のストレッチ性能としては劣っており、満足なストレッチ性能を有した素材とは言い難い。また、偏心した芯成分の位置のわずかなズレで捲縮斑が生じるためにシボ立ちやスジ斑が発生するという課題がある。なお、細繊度とした場合、ストレッチ性能が一層劣るという課題がある。
一方、ポリトリメチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル繊維は伸長回復率が高く、ヤング率が低いことによる優れたソフト性を有している。これをサイドバイサイド型複合繊維に用いることで、ソフト性の付加価値を与えたストレッチ性素材とする事が出来るため、衣料用途から非衣料用途まで広範囲で盛んに研究開発がなされている。
例えば、特許文献3や特許文献4などがあり、2種類のポリエステル系重合体からなり、少なくとも一方にポリトリメチレンテレフタレートを主体としたポリエステルを用いることで、高い嵩高性と優れた捲縮発現力を示し、高品位でソフトストレッチ性に優れた布帛を得ることが可能となった。
しかしながら、特許文献3や特許文献4においても、単純貼り合わせ構造であることから、摩擦や衝撃によって界面において剥離が生じ、部分的に白い筋状の白化現象や毛羽立ちなどで布帛品位が低下するといった課題があった。また、ポリトリメチレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも耐熱性が低く、ポリマー自体に課題がある。このことが、細くすることで、比表面積が増大するので耐熱性的に不利な条件で製造することとなる。その後の工程で、外側に露出している熱影響を受けたポリマーが擦過等により、毛羽等が発生するなどして、布帛品位が低下するといった課題があった。なお、かかる方法で細繊度化をはかると口金吐出直後に糸曲がりが生じるので、実施例の単糸繊度は2.3dtex程度である。
一方、ウールや綿等の天然繊維は、一般には繊維長が短いため、数本の短繊維をより合わせて一本の長い糸にする(紡績)を行うことで使用されている。この紡績糸1本は、熱や水に対する応答が異なる短繊維により構成されており、高次加工を経て、糸長差に伴う嵩高感や膨らみのある心地よい触感、加えて天然物特有の複雑な繊維構造による優れた吸湿性や保温性を有した織編物に仕立てられる。このため、これらの天然繊維は衣料用の織編物とした場合には、優れた着用快適性を生むこととなる。
また、これらの機能性に加えて、構成する短繊維の特性や紡績糸1本の所々で太さや形状が変化するため、人々を魅了する好適なムラ感、いわゆる天然調の外観を奏で、昨今においても、インナーからアウターまで天然繊維が幅広く使用されている。
しかしながら、昨今の異常気象や疫病の発生によって、その供給量が大きく変動し、価格の高騰に加えて、不安定な供給量が問題視されつつある。また、天然繊維の使用には、選別、消毒、脱脂等多くの工程を経る必要があり、安定供給等が可能な合成繊維による天然調素材の開発が盛んに行われている。
ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性ポリマーからなる合成繊維は、力学特性や寸法安定性等の基本特性が高く、そのバランスに優れるという特徴がある。
合成繊維に関する新規技術の開発は、天然素材の模倣をモチベーションとして技術革新がなされてきたといっても過言ではない。天然の複雑な構造形態に由来した機能を合成繊維により発現させるために古くから様々な技術提案がなされており、例えば、シルクの断面を模倣した特異な風合い(キシミ、柔軟性)の発現など様々なものが存在する。
最近の合成繊維による開発事例を鑑みると、天然調外観に加えて、着用時の束縛感の抑制や動作の追従性が求められ、天然繊維の紡績時に付与される撚りや捲縮加工等のみでは付与できない伸縮性、いわゆるストレッチ素材の開発が盛んに行われている。
布帛を構成する原糸にストレッチを付与する方法がこれまでに種々提案され、繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いたり、織物中にゴム弾性をもつポリウレタン系の繊維を混用したりする方法があるが、ストレッチ性が不足したり、他素材を混用するために、染色工程が複雑になる等が課題になる場合があった。
これらの課題に対し、異なるポリマーをサイドバイサイド型に貼り合せ、この収縮差によりスパイラル構造を発現させる潜在捲縮発現性繊維に関する技術の開示がある。
例えば、特許文献5では固有粘度差あるいは極限粘度差を有するポリエチレンテレフタレート(PET)のサイドバイサイド複合糸、特許文献6にはポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とPETを利用したサイドバイサイド複合糸といった潜在捲縮繊維が提案されている。
これらの潜在捲縮繊維においては各ポリマーの収縮率差を利用することで、単糸が3次元的なスパイラル構造を形成することから、ストレッチ性を有した繊維が得られている。
しかしながら、このような潜在捲縮繊維を単独で使用する場合、染色した際に色調が均一で単調であるために、天然繊維のように色の濃淡差を表現することは非常に困難であった。さらに、合成繊維特有の光沢感を有するため、布帛のテカリが生じ、外観が不自然になってしまうという場合があった。加えて、潜在捲縮繊維単独では、糸束の集束性が比較的高く、膨らみ感に欠けた風合いになる場合もある。
そこで、潜在捲縮繊維に天然繊維のような杢感や膨らみ感による柔らかな風合いを付与するべく、収縮性や染色性の異なる繊維等を混繊した混繊糸が提案されている。
例えば、特許文献7や8などがあり、潜在捲縮繊維と染色性の異なる繊維を別々に紡糸した後に別工程で混繊することで、ストレッチ性に加え、糸長差による膨らみ感の付与や杢調の表現が可能になるとの記載がある。
しかしながら、後混繊による混繊糸においては、混繊糸内で構成する単糸の分散性は良いとは言い難く、同一組成の単糸が混繊糸中で偏在することとなり、該混繊糸からなる布帛を染色した場合には、一方の繊維のみが表面に浮いて出ていることで、濃淡差が明瞭になり、ナチュラルなこなれた杢調を奏でることが困難になる場合がある。
さらに、後混繊による混繊糸は繊維の集束性が悪いため、たるみや糸割れ等が生じやすく、毛羽や単糸切れ、全糸切れが発生し、高次加工通過性が悪化する結果、毛羽や染ムラ等の問題が生じる場合があった。インターレースノズル等を使用し、交絡によって構成する単糸の分散を促進することも考えられるが、単糸の分散性を十分にするためには、過剰な交絡を付与する必要があり、単糸切れなどによる糸強度の低下や高次通過性を低下させる場合がある。
日本国特開平09-157941号公報(特許請求の範囲) 日本国特開2016-106188号公報(特許請求の範囲) 日本国特開2002-339169号公報(特許請求の範囲) 日本国特開2002-061031号公報(特許請求の範囲) 日本国特開2014-198917号公報(特許請求の範囲) 日本国特開2005-113369号公報(特許請求の範囲) 日本国特開2003-247139号公報(特許請求の範囲) 日本国特開2004-225227号公報(特許請求の範囲)
本発明は従来技術の課題を克服し、十分なストレッチ性能と耐摩耗性を保持し、さらにはシボやスジの無い均一でなめらかな外観を有した布帛を提供できる繊維素材に関するものである。
さらには、混繊糸を構成する単糸の分散性を制御し、改善することで、十分なストレッチ性能と心地よい触感および/または色調差に応じた自然な杢調を有する繊維素材を提供するものである。
上記課題は以下の手段により解決される。
(1)A成分及びB成分の2種のポリマーからなる複合繊維の横断面において、A成分がB成分で完全に覆われており、A成分を覆っているB成分の厚みの最小厚みSと繊維径Dの比S/Dが0.01~0.1であり、かつ最小厚みSより厚みが1.05倍以内の部分の繊維の周囲長が繊維全体の周囲長の1/3以上であることを特徴とする偏心芯鞘複合繊維。
(2)伸縮伸長率が20~70%で、かつ少なくとも1成分がポリエステルである(1)に記載の偏心芯鞘複合繊維。
(3)単糸繊度が1.0dtex以下、繊度斑(U%)が1.5%以下である(1)または(2)に記載の偏心芯鞘複合繊維。
(4)異なる断面形態を有した2種類以上の単糸が分散して混在する混繊糸において、少なくとも1種類の単糸が50Pa・s以上溶融粘度が異なる2種類のポリマーの組合せからなる(1)記載の偏心芯鞘複合繊維からなり、他方の単糸との交絡数が1個/m以上100個/m以下で集束していることを特徴とする混繊糸。
(5)異なる断面形態を有した2種類以上の単糸が分散して混在する混繊糸において、少なくとも1種類の単糸が50Pa・s以上溶融粘度が異なる2種類のポリマーの組合せからなる複合糸であり、他方の単糸との交絡数が1個/m以上100個/m以下で集束していることを特徴とする混繊糸。
(6)複合糸が偏心芯鞘型の複合断面を有し、かつ3次元的なスパイラル構造を発現することを特徴とする(4)または(5)に記載の混繊糸。
(7)混繊糸において、他方の単糸が単一成分からなる単独糸であることを特徴とする(4)~(6)のいずれか1項に記載の混繊糸。
(8)複合糸が混繊糸の30重量%以上80重量%以下であることを特徴とする請求項(4)~(7)のいずれか1項に記載の混繊糸。
(9)(4)~(8)のいずれか1項に記載の混繊糸が少なくとも一部に含まれる繊維製品。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、十分なストレッチ性能を有し、貼り合わせ界面での剥離を抑制し、耐摩耗性が向上した潜在捲縮複合繊維である。
また、本発明の偏心芯鞘複合繊維は、A成分がB成分で完全に覆われていることで、ストレッチ性と耐摩耗性を備え、かつシボやスジの無い均一でなめらかな外観を有した布帛を提供できるものである。
さらに、本発明の混繊糸は、均質に分散して混在する単糸間の糸長差による風合い(心地よい触感)とストレッチ性を有しながらも、色調差に応じた杢調等を発現するスパン調のナチュラルな外観を有する織編物を高次加工の通過性良く提供することができる。
図1は、本発明の偏心芯鞘複合繊維の繊維横断面の一例を示す図面代用写真である。 図2は、本発明の偏心芯鞘複合繊維の一例であり、その繊維断面における重心位置を説明するための繊維横断面である。 図3は、本発明の偏心芯鞘複合繊維および複合糸の繊維断面における繊維径(D)と最小厚み(S)を説明するための繊維断面である。 図4は、本発明の偏心芯鞘複合繊維の繊維断面におけるIFR(繊維断面におけるA成分とB成分の界面の曲率半径)を説明するための繊維断面である。 図5は、本発明外の偏心芯鞘複合繊維の繊維断面の一例である。 図6は、本発明の混繊糸の繊維横断面の一例を示す図面代用写真である。 図7は、最終分配プレートにおける分配孔配置の実施形態例である。
以下、本発明について、望ましい実施形態とともに詳述する。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、その繊維横断面が、A成分とB成分の2種のポリマーから構成されている。
ここで言うポリマーとは、繊維形成性の熱可塑性重合体が好適に用いられ、本発明の目的に鑑み、加熱処理を施した際に収縮差を生じるポリマーの組み合わせが好適であり、組み合わせるポリマーの溶融粘度差が10Pa・s以上となる分子量または組成が異なるポリマーの組み合わせが好適である。
本発明の目的を達成するために好適なポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイドが挙げられる。これらの分子量を変更して図2に示すA成分に高分子量ポリマーを、またB成分に低分子量ポリマーを使用する、あるいは一方成分をホモポリマーとし、他方成分を共重合ポリマーとして使用することもできる。
また、ポリマー組成が異なる組み合わせについても、例えば、A成分/B成分でポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、熱可塑性ポリウレタン/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートなどの種々の組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせにおいては、スパイラル構造による良好な嵩高性を得ることができる。
特に、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好ましく用いられ、中でもポリエステルは力学特性等も兼ね備えるため、より好ましい。ここで言うポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートや、それらにジカルボン酸成分、ジオール成分あるいはオキシカルボン酸成分が共重合されたもの、あるいはそれらのポリエステルをブレンドしたものが挙げられる。
また、生分解性ポリエステルとして知られるポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリε-カプロラクタム等の脂肪族ポリエステルでもよい。これらのポリマーにおいては、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化チタンなどの艶消し剤、難燃剤、滑剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微粒子や有機化合物、カーボンブラックを必要に応じて含有させることができる。
本発明の偏心芯鞘複合繊維におけるA成分とB成分の繊維横断面における複合面積比率は、捲縮発現から鑑みるとA成分である高収縮成分の比率を多くなることで微細なスパイラル構造を実現できる。また、偏心芯鞘複合繊維として優れた物理特性を有している必要性もあるので、両成分の比率は、A成分:B成分=70:30~30:70(面積比)の範囲が好ましく、65:35~45:55の範囲がより好ましい。
本発明では、2種の異なるポリマーが接合してなる複合断面を有していることが必要であり、ポリマー特性が異なる2種のポリマーが実質的に分離せず接合された状態で存在し、A成分がB成分を完全に覆っている偏心芯鞘型である必要がある。
ここで、本発明で言う偏心とは、複合繊維断面においてA成分ポリマーの重心点位置が複合繊維断面中心と異なっていることを指し、図2を用いて説明する。
図2において、水平ハンチングがB成分であり、30degハンチング(右上がり斜線)がA成分であって、複合繊維断面におけるA成分の重心点が重心aであり、複合繊維断面の重心が重心点Cである。
本発明のおいては重心aと複合繊維断面の重心点Cが離れていることが重要であり、これにより熱処理後に繊維が高収縮成分側に大きく湾曲することになる。このため、複合繊維が繊維軸方向に湾曲し続けることにより、3次元的なスパイラル構造をとり、良好な捲縮発現することになるのである。ここで、重心位置が離れているほどより良好な捲縮が発現し、良好なストレッチ性能が得られるのである。
本発明においては、A成分がB成分を完全に覆うことにより、繊維や布帛に摩擦や衝撃が加わっても白化現象や毛羽立ちなどが生じることがないので布帛品位を保つことができる。加えて、従来の単純貼り合わせ構造では表面露出して複合繊維の欠点となる高分子量ポリマーや高弾性ポリマー等についても複合繊維の一方成分として用いることが出来るのである。
また、一方のA成分は他方のB成分で完全に覆われているので、例えば耐熱性や摩耗性の低いポリマー、あるいは吸湿性のポリマーなどを用いても繊維特性を良好に保持できる効果も備えることが出来る。
以上の効果を達成する本発明の偏心芯鞘複合繊維は、A成分を覆っているB成分の最小となる厚みSと繊維径(複合繊維の直径)Dの比S/Dが0.01~0.1である必要がある。好ましくは、0.02~0.08である。この範囲であれば、毛羽等による布帛品位低下が抑制でき、十分な捲縮発現力とストレッチ性能を得ることが出来る。
ここで捲縮糸は、本来それぞれのポリマーは貼り合わせ界面のみで接していることで良好なストレッチ性能を得ることが出来るのであり、高収縮成分を低収縮成分で覆われているとストレッチ性能が低下する。ところが、本発明者らが鋭意検討した結果、B成分の厚みを本発明の範囲とすることで、ストレッチ性能と耐摩耗性の両特性を満足する複合繊維とすることが可能となった。
図3に示した繊維断面を用いて更に詳細に説明する。ここで芯鞘複合繊維におけるB成分の最薄部が最小厚みSである。
さらに、最小厚みSの1.05倍以内の厚みの部分の複合繊維の全体の周囲長の1/3以上を占めていることが重要である。これは、繊維の輪郭に沿ってA成分が存在していることを意味しており、同一面積比の従来の偏心芯鞘複合繊維と比較すると、本発明が、繊維断面においてそれぞれの成分の重心位置がより離れており、微細なスパイラルを形成し、良好な捲縮を発現する。
より好ましくは、最小厚みSの1.05倍以内の厚みの周囲長を繊維全体の周囲長の2/5以上とすることで捲縮斑がなく良好なストレッチ性能が得られる。さらには、捲縮発現時の繊維一本一本のスパイラル構造が均等になることから繊度斑がなく十分なストレッチ性能を得ることが出来、シボやスジなどの無い良好な外観でなめらかで繊細な風合いの布帛を得ることが出来るのである。
さらに、繊維断面におけるA成分とB成分の界面の曲率半径IFRとして、繊維径Dを2で除した値Rとしたとき下記式1を満足することが好ましい。ここで言う曲率半径IFRとは、図4に示したように繊維横断面において、A成分を覆っているB成分の厚みの最大厚みとなるA成分とB成分の界面の曲率に接する円(鎖線)の半径を指す。
(IFR/R)≧1・・・(式1)
これは、界面がより直線に近いことを意味している。本発明は従来の貼り合わせ型捲縮糸の断面に近い形態でA成分とB成分の界面を直線に近い曲線とすることで、従来の偏心芯鞘複合繊維ではなし得なかった高い捲縮を発現することができるので好ましい。より好ましくは、1.2以上である。
ここで言うA成分を覆っているB成分の厚みが最小となる最小厚みSおよび繊維径D、界面の曲率半径IFR、面積比は、以下のように求める。
すなわち、偏心芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントをエポキシ樹脂などの包埋剤にて包埋し、この横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で10本以上の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。この際、金属染色を施すとポリマー間の染め差を利用して、A成分とB成分の接合部のコントラストを明確にすることができる。撮影された各画像から同一画像内で無作為に抽出した10本の外接円径を測定した値が本発明で言う繊維径Dに相当する。ここで、10本以上の観察が不可能の場合は、他の繊維を含めて合計で10本以上を観察すればよい。ここで言う外接円径とは、2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に2点以上で最も多く外接する真円の径を意味する。
また、繊維径Dを測定した画像を用いて、10本以上の繊維について、A成分を覆っているB成分の最小となる厚みを測定した値が、本発明で言う最小厚みSに相当する。さらには、これら繊維径Dと最小厚みS、曲率半径IFRについては、単位をμmとして測定し、少数第3位以下を四捨五入する。以上の操作を撮影した10画像について、測定した値およびその比(S/D)の単純な数平均値を求める。
また、面積比は上述で撮影した画像、および画像解析ソフト三谷商事社製「WinROOF2015」を用いて、繊維全体の面積およびA成分、B成分の面積を求めた後、面積比を求める。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、JISL1013(2010)8.11項C法(簡便法)に示す伸縮伸長率が20~70%であることが好ましい。より好ましくは40%~65%である。これは、捲縮の度合いを示す値で有り、高ければ高いほどストレッチ性能が良好であることを示している。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、繊維長手方向の太さ斑いわゆる繊度斑の指標であるウスター斑U%が1.5%以下であることが好ましい。これにより、布帛の染め斑を回避できるのみならず、布帛の収縮斑による品位の低下を回避し、良好な布帛品位を得ることが出来る。より好ましくは1.0%以下である。
本発明の偏心芯鞘複合繊維の単糸繊度は、1.0dtex以下が好ましい。より好ましくは0.8dtex以下である。これにより単位面積当たりの糸量を少なくすることが出来るため、布帛の軽量性が向上し、さらには繊維の剛性も小さくなり、ソフト性も一層付与することが出来る。また、本発明の偏心芯鞘複合繊維の捲縮性能による微細なスパイラル構造と相まって緻密な布帛表面形態となることから、布帛外観がなめらかで繊細な風合いを有したこれまでにないストレッチ素材となるのである。
また、布帛拘束力に打ち勝って、安定的に捲縮を発現させるためには、収縮応力および収縮応力の最大値を示す温度が重要な特性となる。収縮応力は高いほど布帛拘束下での捲縮発現がよく、収縮応力の最大値を示す温度が高いほど仕上げ工程での取り扱いが容易となる。従って、捲縮発現をより高めるためには、収縮応力の最大値を示す温度は、110℃以上が好ましく、より好ましくは130℃以上であり、収縮応力の最大値は0.15cN/dtex以上が好ましく、より好ましくは0.20cN/dtexである。
本発明における偏心芯鞘複合繊維は、高次加工における工程通過性や実質的な使用を考えると、一定以上の靭性を持つことが好適であり、繊維の強度と伸度を指標とすることができる。ここで言う、強度とは、JIS L1013(2010)に示される条件で繊維の荷重-伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期繊度で割った値であり、伸度とは、破断時の伸長を初期試長で割った値である。また、初期繊度とは、繊維の単位長さの重量を複数回測定した単純な平均値から、10000m当たりの重量を算出した値を意味する。
本発明の複合繊維の強度は、0.5~10.0cN/dtex、伸度は5~700%であることが好ましい。本発明の偏心芯鞘複合繊維において、強度の実施可能な上限値は10.0cN/dtexであり、伸度の実施可能な上限値は700%である。また、本発明の偏心芯鞘複合繊維をインナーやアウターなどの一般衣料用途に用いる場合には、強度が1.0~4.0cN/dtex、伸度が20~40%とすることが好ましい。また、使用環境が過酷であるスポーツ衣料用途などでは、強度が3.0~5.0cN/dtex、伸度が10~40%とすることが好ましい。
以上のように本発明の繊維では、その強度および伸度を目的とする用途等に応じて、製造工程の条件を制御することにより、調整することが好適である。
さらに、本発明の混繊糸について、望ましい実施形態とともに詳述する。
本発明の混繊糸は、その糸束中で異なる断面形態を有した2種類以上の単糸が分散して混在している状態にある必要がある。
本発明で言う異なる断面形態とは、単糸の横断面において、構成するポリマーの種類や配置状態が異なることを指すが、これらの複数の種類の単糸が糸束中で分散して混在している状態にあることが本発明の重要な要件となる。
ここで言う分散して混在する状態とは、糸束の断面を観察した際に、複数の種類の繊維が偏りなく存在していることを意味している。すなわち、本発明の混繊糸においては、通常の後混繊などで発生する単糸の存在比率に偏りがなく、複数の種類の単糸が混繊糸中に分散して均等に存在する状態であることが特長になる。この特徴的な混繊状態にあることによって、任意の単糸の周囲に別組成の単糸が存在することとなり、製糸工程や高次工程の熱セット等によって加えられる熱により、熱収縮による糸長差を発現することで単糸同士がお互いに拘束しあうこととなる。このため、本発明の混繊糸は集束性が良好となり、従来技術の課題であった毛羽やスジ等の布帛欠点を抑制することができるのである。
ここで言う2種類以上の単糸が分散して混在する状態とは、混繊糸を構成する少なくとも1つの種類の繊維の隣接フィラメント群比率を見ることにより評価することができる。ここで言う隣接フィラメント群とは、混繊糸の横断面において、隣接して連なる、5本以上の同一組成の単糸の集合のことであり、隣接フィラメント群比率とは隣接フィラメント群を構成する単糸の総数をNsとし、該繊維の単糸の総数をNとした場合、Ns/Nで示されるものである。
また単糸が隣接して連なるとは、図6の1-(a)と1-(b)のように、任意の単糸と最も距離の近い同一組成の単糸の間に、別組成の単糸が存在しないことである。また、1-(c)のように、これらが5本以上隣接して連なった場合、その集合を隣接フィラメント群と定義する。さらに、この隣接フィラメント群が、混繊糸の横断面において複数存在する場合には、それらを構成する単糸の総数が隣接フィラメント群を構成する単糸の総数Nsとなる。
この隣接フィラメント群比率とは、以下のように求めるものである。
すなわち、デジタルマイクロスコープ等で糸束の繊維軸に対して垂直な横断面を、構成する単糸が観察できる倍率として画像を撮影する。糸束の横断面を観察する方法としては、糸束あるいは織編物に加工したサンプルを繊維軸に対して垂直に切断し、その切断面を観察する方法がある。糸束の切断面を観察する場合には、糸束をエポキシ樹脂などの包埋剤にて包埋して切断すると、構成する単糸が切断時に固定されるため、簡易に良好な糸束の切断面を採取することができる。さらに、切断前後で金属染色等を施すと単糸間に染め差があるため、構成する単糸やポリマー間の界面を明確にすることができる。
糸条上で無作為に抽出した10箇所について、上記の糸束切断面を撮影した各画像から隣接フィラメント群を構成する単糸数をカウントし、測定結果を元に、隣接フィラメント群比率=(隣接フィラメント群を構成する単糸数)/(着目した単糸の総数)×100(%)を算出する。10箇所の計測結果の単純な数平均の小数点第1位以下を四捨五入した値が本発明で言う隣接フィラメント比率とした。
本発明においては、少なくとも1つの種類の単糸の隣接フィラメント群比率が10~50%の範囲であることが好ましく、係る範囲であれば、同一組成の単糸どうしは混繊糸中で偏在することなく、適度に分散していると見なすことができる。構成する単糸の染色性に差がある場合には、布帛とした際、布帛表面に一方の単糸のみが現れることなく、複数の組成の単糸が適度に現れるため、自然な杢調を有した布帛が得られるため、隣接フィラメント群比率が20~40%の範囲であることがより好ましい。また、構成する単糸の染色性に差がある混繊糸において、係る範囲であれば、混繊糸を構成する単糸の配置アレンジによっては、単糸の分散の度合いを変更することができるため、杢調のピッチや色調を制御することも可能である。
本発明の混繊糸を構成する複合糸に関しては、2種類のポリマーが複合化された断面形態を有し、この組み合わせる2種のポリマーは、溶融粘度が50Pa・s以上異なることが必要である。
ここで言うポリマーとは、繊維形成性の熱可塑性重合体が好適に用いられ、ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタンなどの溶融成形可能なポリマーが挙げられる。特にポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高く、より好ましい。ポリマーの融点は165℃以上であると耐熱性が良好であり、より好ましい。
また、上記のポリマーにおいては、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤をポリマー中に含んでいてもよい。
本発明で言う溶融粘度とは、チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率を200ppm以下とし、歪速度を段階的に変更して測定し、測定温度を紡糸温度と同様にした場合の歪速度1216s-1における値である。複合糸を構成するポリマーの溶融粘度が50Pa・s以上異なると言うことは、例えば、紡糸線において、溶融粘度の高いポリマー成分に応力が集中することとなる。そのため、芯鞘型断面や海島型断面の場合には、主要ポリマーに応力が集中し、優れた力学特性を発現したり、貼り合わせ型断面等の場合には、組み合わせた成分の配向により顕著な差が生まれることとなり、好適な捲縮を発現させることが可能となる。
捲縮発現等を考慮すると、組み合わせるポリマーの溶融粘度差はより大きいことが好適であり、溶融粘度差が100Pa・s以上であることが好ましい範囲として挙げられる。この観点を推し進めると、溶融粘度差が高めることが好適となるが、特性発現と制御できる紡糸線での伸長変形差を考えると本発明においては、組み合わせるポリマーの溶融粘度差が100~400Pa・sであることが特に好ましい範囲となる。
本発明の混繊糸において、糸長差による触感と膨らみ感の向上を狙う場合、異なる断面形態を有した複合糸を組み合わせることが好ましい。本発明の混繊糸を構成する複合糸は、本発明の目的に鑑み、加熱処理を施した際に3次元的なスパイラル構造を形成する。混繊糸の複合糸において断面形態が異なると、3次元的なスパイラル構造は異なる位相や大きさを有するため、お互いを排斥しあい、嵩高性の良い糸を得ることができるのである。さらに、糸長差により捲縮率の低い単糸が緩い捲縮を形成しながら、表面に分散して浮くため、風合いに優れた布帛が得られるのである。
本発明の混繊糸に含まれる複合糸の単糸は、断面形状において、芯成分(A成分)が鞘成分(B成分)で完全に覆われている偏心芯鞘型が好ましい。
また、芯成分(A成分)と鞘成分(B成分)の組み合わせとして、ポリエステルどうしの組合せは、良好な捲縮と力学特性を有し、湿度や気温変化に対する寸法安定性に優れることから、より好ましい。
特にポリブチレンテレフタレート(PBT)をA成分として用いることで、良好な捲縮を有し、品位の良い布帛が得られるため、特に好ましい。すなわち、PBTはポリマーの特性として収縮率が高いため、例えば、PETと組み合わせた場合には、収縮率差が大きくなるために、捲縮発現力が大きく、布帛にした際、高いストレッチ性能を示す。さらに、PBTは非常に高い結晶性を有していることから、繊維形態での寸法安定性に優れ、張力や温度のムラから生じる、布帛のスジ欠点等の抑制が可能となるのである。
本発明の混繊糸においては、複数の種類の単糸が分散して混在しているため、混繊糸の集束性は良好となる。これは、単糸間の交絡数として見て取ることができる。すなわち、本発明の混繊糸では、混繊工程において繊維軸と垂直の方向に力を受け、各単糸がこなれる際に、自然に交絡が付与されるのである。一方で、単糸の分散性の良好な混繊糸を得ようと、混繊工程においてインターレースノズル等を使用し、交絡を付与することも考えられるが、該手法では、単糸の分散性を良好とするためには、過剰な交絡を付与する必要がある。
このような観点から、本発明の混繊糸においては、交絡数が1個/m以上100個/m以下の範囲であることが重要である。交絡数が上記範囲であれば、混繊糸中の複数の種類の単糸は分散して混在していることとなるため、程よくこなれた、自然な杢調を有する布帛を得ることができる。さらに、混繊糸の集束性が良好であるために、たるみや毛羽が抑制され、良好な布帛品位となる。
交絡数が1個/m未満の場合、単糸は混繊糸中に偏在することとなり、各々で集束しやすく、糸割れやたるみを発生し、高次加工の工程通過性が悪化する場合がある。一方、交絡数が多くなると、絡合点に応力が集中しやすく、破断強度の低下やスジや毛羽といった、布帛欠点を生じる場合がある。さらに、未開繊部が過多となることで、布帛とした際に風合いの硬化を生じる場合がある。このような観点から、単糸間の交絡数は、1個/mから100個/mであることが重要となる。一方で、交絡数の増大に伴い、単糸の分散性が増すと、布帛の杢調のコントラストはより薄くなってしまう。このような観点から交絡数は1個/mから50個/mがより好ましい範囲である。ここで、交絡数とはJIS L1013(2010)に基づいて測定されるものである。
本発明の混繊糸において、単一成分からなる単独糸を使用する場合は、目的とする用途等に応じて、上述した溶融成形可能なポリマーから選択することが好適である。
例えば、複合糸と染色性の異なるポリマーを使用する場合、布帛にした際、色調差に応じた杢調が得られる。また、共重合ポリエステルのように、加熱処理時の収縮率が高いポリマーを使用した場合には、加熱処理後には単糸間での糸長差が大きく、収縮率の低い単糸が表面に浮き上がるために、風合いに優れた布帛を得ることができる。さらに、アルカリ原料処理後に繊維表面にミクロ凹凸が形成するような、シリカ等の無機粒子を添加したポリエステルを使用した場合、繊維表面反射光抑制効果により深色性の向上が可能となるのである。さらに、単独糸の形状をY型とした場合、繊維形状に起因して、入射した光を反射しやすく、独特の光沢感が生じるため、シルク調の布帛の作製も可能となるのである。
このように、混繊糸中に1種類以上の単独糸が含まれる場合には、使用するポリマーや形状を自由に選択でき、混繊糸に多様な機能を付与することができるため、好ましい。
本発明における混繊糸では、構成する複合糸の重量比が、30~80重量%の範囲とすることが好ましい。ここで言う複合糸の重量比とは、混繊糸を構成する数種類の繊維のうち、複合糸の総繊度をTc、混繊糸の繊度をTaとした時に、Tc/Taで示されるものである。
本発明の混繊糸を構成する複合糸の繊度Taは、複合糸のみを該混繊糸と同一の条件で作製し、任意の方法を用いて、繊度を測定することで、求めることができる。また、本発明の混繊糸を製造する際の、複合糸の吐出量と混繊糸の吐出量および紡糸速度、延伸倍率から、簡易的に算出してもよい。
このような糸束形態の設計指針に従えば、複合糸の重量比を変化させることで、得られる布帛の色調等を制御することが可能となる。例えば、ポリエステル系の複合糸とカチオン可染性ポリエステルの単独糸を組み合わせた場合、複合糸の重量比率を50~70重量%の範囲とすると、布帛とし、カチオン染色した際には、淡染となる複合糸の視認性が高く、ウール調の杢調が得られる。一方で、複合糸の重量比率を30~45重量%の範囲とすると、同様に布帛とし、カチオン染色した際、濃染、淡染の視認性が同等となるために、こなれの良い、自然なメランジ調の杢調が得られる。
本発明における混繊糸は、高次加工における工程通過性や実質的な使用を考えると、一定以上の靭性を持つことが好適であり、繊維の強度と伸度を指標とすることができる。ここで言う、強度とは、JIS L1013(2010)に示される条件で繊維の荷重-伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期繊度で割った値であり、伸度とは、破断時の伸長を初期試長で割った値である。ここで、初期繊度とは、繊維の単位長さの重量を複数回測定した単純な平均値から、10000m当たりの重量を算出した値を意味する。
本発明の混繊糸の強度は、0.5~10.0cN/dtex、伸度は5~700%であることが好ましい。本発明の混繊糸において、強度の実施可能な上限値は10.0cN/dtexであり、伸度の実施可能な上限値は700%である。また、本発明の混繊糸をインナーやアウターなどの一般衣料用途に用いる場合には、強度が1.0~4.0cN/dtex、伸度が20~40%とすることが好ましい。また、使用環境が過酷であるスポーツ衣料用途などでは、強度が3.0~5.0cN/dtex、伸度が10~40%とすることが好ましい。
本発明の混繊糸の複合糸は、捲縮率が20~80%の範囲とすることが好ましい。捲縮率は、捲縮の度合いを示す値であり、高ければ高いほどストレッチ性が良好であることを示している。本発明の混繊糸の複合糸の捲縮率を20~80%の範囲とすれば、混繊糸においても良好なストレッチ性能を発現するため、好ましい。より好ましくは、40~70%の範囲である。
ここでいう複合糸の捲縮率とは、以下のようにして求めることができる。
まず本発明の混繊糸を構成する複合糸のみを、該混繊糸と同一の紡糸条件で作製する。作製した複合糸を10mかせ取りし、0.1g/dの荷重をかけて原長L0を測定する。荷重を取り除いた後、実質的に無荷重の状態で沸騰水中に浸漬して、15分間処理を行う。そしてこの処理糸を十分に乾燥させた後に、再び0.1g/dの荷重をかけて30秒後に処理後長L1を測定する。つづいて荷重を取り除き、2分間後の長さL2を測定する。以下の式を用いて、捲縮率を算出した。
捲縮率(%)=[(L1-L2)/L1]×100
また、布帛拘束力に打ち勝って、安定的に捲縮を発現させるためには、収縮応力および収縮応力の最大値を示す温度が重要な特性となる。収縮応力は高いほど布帛拘束下での捲縮発現がよく、収縮応力の最大値を示す温度が高いほど仕上げ工程での取り扱いが容易となる。従って、捲縮発現をより高めるためには、収縮応力の最大値を示す温度は、110℃以上が好ましく、より好ましくは130℃以上であり、収縮応力の最大値は0.15cN/dtex以上が好ましく、より好ましくは0.20cN/dtex以上である。
以上のように本発明の混繊糸では、その強度および伸度を目的とする用途等に応じて、製造工程の条件を制御することにより、調整することが好適である。
本発明の混繊糸は、繊維巻き取りパッケージやトウ、カットファイバー、わた、ファイバーボール、コード、パイル、織編、不織布など多様な中間体として様々な繊維製品とすることが可能である。ここで言う繊維製品は、ジャケット、スカート、パンツ、下着などの一般衣料から、スポーツ衣料、衣料資材、カーペット、ソファー、カーテンなどのインテリア製品、カーシートなどの車輌内装品、化粧品、化粧品マスク、ワイピングクロス、健康用品などの生活用途や研磨布、フィルター、有害物質除去製品、電池用セパレーターなどの環境・産業資材用途や、縫合糸、スキャフォールド、人工血管、血液フィルターなどの医療用途に使用することができる。
次に、本発明の偏心芯鞘複合繊維の好ましい製造方法について述べる。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、吐出されたポリマーを未延伸糸として一旦巻き取った後に延伸する二工程法のほか、紡糸および延伸工程を連続して行う直接紡糸延伸法や高速製糸法など、いずれのプロセスにおいても製造できる。また、高速製糸法における紡糸速度の範囲は特に規定しないため、半延伸糸として巻き取った後に延伸する工程でもよい。さらに、必要に応じて仮撚りなどの糸加工を行うこともできる。
本発明の偏心芯鞘複合繊維を二工程法で製糸する場合、ホットロール-ホットロール延伸や熱ピンを用いた延伸の他、あらゆる公知の延伸方法を用いることができる。また、用途に応じて交絡や仮撚りを加えながら延伸してもよい。毛羽発生や両成分の剥離などの複合異常を抑制するために、延伸糸の残留伸度は25~50%となるように延伸することが好ましい。
ストレッチ状態で熱セットを行い、緊張を保ったままガラス転移温度以下に冷却して分子鎖を構造固定すると、収縮応力を高くでき布帛の風合い向上に有効である。具体的には、0.3~3.0%程度のストレッチ状態のまま冷ロールを通過させると、高い収縮応力が得られるので好ましい。なお、捲縮を発現させるために収縮するポリマー側(例えば本発明のA成分)に応力歪みを与えた状態で製糸、巻取を行うため、巻取後の布帛形成前に粘弾性的な挙動により遅延収縮が発生し、布帛にスジが出来る場合があった。
一方、本発明では片側の成分を他方の成分で完全に覆っていることで遅延収縮が抑制でき、均一な布帛を得ることにも寄与することが出来る。さらには、高収縮成分としてこれまで用いることが出来なかった高分子量ポリマーや高弾性ポリマー等を用いることが出来、新たな芯鞘複合繊維を得ることも出来るのである。
紡糸温度はポリマー融点よりも+20~+50℃高い温度で設定するのが好ましい。ポリマー融点よりも+20℃以上高く設定することで、ポリマーが紡糸機配管内で固化して閉塞することを防ぐことができ、かつ高めに設定する温度を+50℃以下とすることでポリマーの過度な熱劣化を抑制することができるため好ましい。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は溶融紡糸法によって好ましく得られるが、口金は、品質および操業安定的に紡糸することが可能であれば、公知のいずれの内部構造のものであっても良く、特に日本国特開2011-174215号公報や日本国特開2011-208313号公報、日本国特開2012-136804号公報に例示される分配板方式口金を好適に用いて所望とする断面形状とすることが出来る。
ここで、本発明の偏心芯鞘複合繊維は、図2の如くB成分でA成分を完全に覆っていることが重要である。本発明の断面とすることで、口金吐出時の2種のポリマーの流速差のため起こる、吐出線曲がり(ニーイング現象)を抑制できるのである。
また、従来の単純貼り合わせ構造(バイメタル構造)の場合では、口金吐出後の紡糸線上での細化時のそれぞれのポリマーにかかる応力バランスに差が生じ、伸長変形に斑が生じ、これが繊度斑として顕在化し、U%が大きくなる場合があった。この傾向は、粘度差の大きいポリマーの組み合わせや、吐出量を絞るなどして、細繊度化する場合は非常に顕著に現れるものであるが、本発明においては、片方のポリマーで覆われていることで応力バランスが繊維断面内で均衡化して繊度斑が抑制できるのである。
さらには、A成分に高分子量ポリマーを用い、B成分に低分子量ポリマーを用いる場合には、B成分で完全に覆われていることで高速製糸安定性に優れることも見出されている。これは、低分子量ポリマーが外側に配置されることで口金吐出後の伸長変形に高分子量ポリマーが追従しやすくなった効果である。
これにより、細繊度糸においてもストレッチ性能向上以外の付加価値向上や製糸安定性向上のためのポリマー選択の自由度が飛躍的に上がり、生産性の向上にも寄与する。
上述のとおり、本発明の断面形状とすることで繊度斑を抑制できるのである。
このとき、紡糸ドラフトは300倍以下とするとフィラメント間での物性バラツキが抑制された均質な繊維が得られ好ましい。フィラメント数は、口金のサイズにより適宜設定できるが、フィラメントの吐出孔間隔を10mm以上に保つと、フィラメントの冷却固化がスムーズに行えて均質な繊維を得やすいので好ましい。
本発明の偏心芯鞘複合繊維の下記式で表される紡糸ドラフトは50~300が好ましい。
紡糸ドラフト=Vs/V0
Vs:紡糸速度(m/分)
V0:吐出線速度(m/分)
紡糸ドラフトを50以上とすることで、口金孔から吐出されたポリマー流が長時間口金直下に留まることを防止し、口金面汚れを抑制することができることから、製糸性が安定する。また、紡糸ドラフトを300以下とすることで過度な紡糸張力による糸切れを抑制することが可能となり、偏心芯鞘複合繊維を安定した製糸性で得ることができるので好ましい。より好ましくは80~250である。
本発明の偏心芯鞘複合繊維の紡糸張力は0.02~0.15cN/dtexにするのが好ましい。紡糸張力を0.02cN/dtex以上にすることで紡糸時の糸揺れによる単糸間での糸条干渉がなく、第1ローラーである引取りローラーに逆巻きすることもないため安定走行が可能となる。また、紡糸張力を0.15cN/dtex以下とすることで、製糸安定的に偏心芯鞘複合繊維を得られるので好ましい。紡糸張力のより好ましい範囲は0.07~0.1cN/dtexである。
本発明の偏心芯鞘複合繊維を操業・品質安定的に製糸するにあたり、吐出されたポリマーの冷却固化を厳密に制御することが好ましい。細繊度化に伴い吐出ポリマー量を抑制すると、ポリマーの細化および冷却固化が口金に近づく(上流へ移動する)ため、従来技術で想定される冷却方法では長手方向の糸斑の多い繊維しか得られない。また、固化した繊維による随伴気流が増大し、紡糸張力が大きくなるため、これらを低減する技術が必要となる。紡糸張力の増大を低減する方法として、冷却開始点を口金面から20~120mmとすることが好ましい。冷却開始点が20mm以上であれば冷却風による口金の面温度低下を抑制でき、低温糸、口金孔詰まりや複合異常、吐出斑といった諸問題を回避できるので好ましい。また、冷却開始点は120mm以下とすることで、長手方向での糸斑の少ない高品質な偏心芯鞘複合繊維を得ることができるので好ましい。冷却開始点のより好ましい範囲は25~100mmである。
また、冷却風による口金面温度の低下を抑制するため、必要に応じて冷却風の温度管理や、口金周辺部に加熱装置を設置してもよい。
口金吐出面から給油位置までの距離は1300mm以下であることが好ましい。口金吐出面から給油位置までの距離を1300mm以下とすることで冷却風による糸条揺れ幅を抑え、繊維長手方向での糸斑を改善できるほか、糸条の収束に至るまでの随伴気流を抑制できるため紡糸張力を低減でき、毛羽や糸切れの少ない安定した製糸性が得やすいので好ましい。偏心芯鞘複合繊維の紡糸工程における給油位置のより好ましい範囲は1200mm以下である。
次に、本発明の混繊糸の好ましい製造方法について述べる。
本発明の混繊糸を得るためには、紡糸混繊法を用いることが好ましい。ここでいう紡糸混繊法とは、複数の種類の単糸を同一の紡糸口金から吐出し、同時に巻取りを行う製造方法のことである。
紡糸混繊法においては、巻取り時に複数の種類の単糸が同時に集束されるため、各々の単糸は混繊糸中で分散しやすく、本発明の目的とする混繊糸を製造するには、好ましいことである。また、紡糸混繊法においては、紡糸口金上で各単糸に相当する吐出孔の数量や配置を変化させることで、混繊糸中での分散の度合いを変化させることも可能であり、例えば杢調発現を目的とする場合においては、単糸の分散の度合いに応じて、濃淡のピッチや全体の色調を制御することも可能となる。
一方、別々に紡糸した後に別工程で混繊を行う後混繊法で、混繊糸を得ることも不可能ではない。但し、該製造法の場合、一度糸条ごとに油剤が付与されて、集束されることに加え、一旦巻き取られたパーンを解舒する際などに、若干の実撚が糸条に付与されるため、公知の手段で混繊を行う場合、ある単糸を混繊糸中に偏りなく分散させるのには限界があり、特殊な加工等が必要になってくるということから考えると、本発明の混繊糸を得るためには、上記した紡糸工程での2種類以上の単糸を混繊させる紡糸混繊法が好適なのである。
紡糸温度は混繊糸で使用するポリマーのうち、主に高融点や高粘度のポリマーが流動性を示す温度とすることが好適である。この流動性を示す温度としては、分子量によっても異なるが、そのポリマーの融点が目安となり、融点+60℃以下で設定すればよい。融点+60℃以下であれば、紡糸ヘッドあるいは紡糸パック内でポリマーが熱分解することなく、分子量低下が抑制されるため、好ましい。
また、本発明の混繊糸は、特に複合糸において、鞘厚みや薄皮部の周囲長を精密に制御することが好ましく、日本国特開2011-174215号公報や日本国特開2011-208313号公報、日本国特開2012-136804号公報に例示される分配プレートを用いた方法が好適に用いられる。従来公知の複合口金を用いて偏心芯鞘型の断面を有する複合糸を製造する場合、芯の重心位置や鞘厚みの精密な制御が非常に困難となる場合が多い。例えば、鞘厚みが薄くなり、芯成分が露出された場合には、摩擦や衝撃による布帛の白化現象や毛羽の原因となり、逆に鞘厚みが厚くなってしまった場合には、捲縮発現が低下するために、ストレッチ性能が低下するといった問題が生じる場合がある。
このような分配プレートを用いた方法では、複数枚で構成される分配プレートの内、最も下流に設置された最終分配プレートにおける分配孔の配置により、単糸の断面形態を制御することができる。なお、単独糸の場合には、全ての分配プレートに同孔径の孔を穿設すればよい。
複合糸については、芯成分を成すポリマー(A成分)および鞘成分を成すポリマー(B成分)の分配孔の配置により断面形態を制御することができる。具体的には、図7に例示するように、偏心芯鞘型の複合断面における芯成分を成すポリマー(A成分)の分配孔5-(c)を囲むように、鞘成分を成すポリマー(B成分)の分配孔5-(a)、同5-(b)を配置することで、本発明で必要となる偏心芯鞘型の複合断面形成が可能であり、好ましい。
ここで、薄皮を形成するポリマー(B成分)の分配孔5-(a)の孔数は、芯成分の完全被覆および薄皮厚みの均一化という観点から、6個以上とすることが好ましい。また、薄皮を形成する分配孔5-(a)の分配孔数や分配孔辺りのポリマーの吐出量を変更するようにアレンジすることで、複合糸の断面において、S/Dや最小厚みの長さを制御することが可能である。従って、複合糸断面の鞘厚みや重心ズレが異なるように配置した複数の分配孔群を同一分配プレート上に設置することで、断面形態が異なる、すなわち、捲縮率が異なる偏心芯鞘型の複合糸を同一口金で製造することができる。
このように、分配プレートにより断面形成されたポリマー流は、縮流され、紡糸口金の吐出孔より吐出される。このとき、吐出孔は、複合ポリマー流の流量、すなわち吐出量を再度計量する点と紡糸線上のドラフト(=引取速度/吐出線速度)を制御する目的がある。孔経および孔長は、ポリマーの粘度および吐出量を考慮して決定するのが好適である。本発明の混繊糸を製造する際には、吐出孔径は0.1~2.0mm、L/D(吐出孔長/吐出孔径)は0.1~5.0の範囲で選択することができる。
ここで、本発明の混繊糸を構成する複合糸は、前述したとおりであるが、図2の如くB成分でA成分を完全に覆っていることが好ましい。本発明のような断面とすることで、口金吐出時の2種のポリマーの流速差のため起こる、吐出線曲がり(ニーイング現象)を抑制できるのである。すなわち、鞘成分が存在することで、ポリマー流が曲がる方向とは逆方向への力が生じる結果、口金吐出時の2種のポリマーの流速差から生じる、紡糸線と垂直方向への力を、抑制することができるのである。
また、吐出線曲がりの抑制という観点においては、本発明の複合糸に使用するポリマーの溶融粘度差も重要となる。溶融された、複合糸を成す2種類のポリマーは、縮流される際、2種類のポリマーの圧力損失を一致させるために、ポリマー流動方向と垂直断面において、断面積を変化させる結果、流速差を生じ、これらが重心の偏りを持って吐出されるため、吐出線曲がりを生じるのである。
すなわち、溶融粘度の高いポリマーは、断面積が大きくなるために流速は遅く、逆に、溶融粘度の低いポリマーは断面積が小さくなるために、流速は速くなるのである。このため、使用するポリマーの溶融粘度差を小さくすることで、ポリマー間の流速差が緩和され、吐出線曲がりを抑制することができるのである。この観点を推し進めると、組み合わせるポリマーの溶融粘度差はより小さいことが好適であるが、本発明の複合糸では、捲縮発現等を考慮すると、組み合わせるポリマーの溶融粘度差はより大きいことが好適である。以上を鑑み、組み合わせるポリマーの溶融粘度差は100~400Pa・sであることが特に好ましい範囲となる。
このようにして、吐出線曲がりが抑制されると、紡糸線上での単糸どうしの干渉を抑制できるため、紡糸口金上での吐出孔密度の増大、すなわち口金当たりの吐出孔数を増加させることが可能となり、多糸条化による高度化や生産効率の向上を達成することができる。
また、紡糸混繊法の場合においては、各単糸の吐出孔の配置を自由度が高く設計することが可能となる。例えば、孔配置変更による杢調表現の制御が可能となるのである。染色性の異なる単糸を断面方向に交互に配置する、いわゆる千鳥格子型配置とすると、各単糸は混繊糸中に良好に分散するため、異染色糸が均一に混繊糸表面に現れ、程よくこなれたメランジ調の杢調を奏でることができる。また、染色性の異なる単糸をそれぞれまとめて配置する、いわゆる群分け配置とすると、一部の単糸はある程度まとまって存在する場合があり、これらを布帛とした際には、単糸がまとまった部分の視認性が強く、粗めの杢調を奏でることが可能となる。このように、口金面上で各単糸の吐出配置を自由度が高く設計できるため、所望の杢調表現に応じて、各単糸の孔数や孔配置を決定することが好ましい。
ここで、吐出されたポリマー流は、冷却過程において、冷却風等によりたわみが生じるが、その程度は、溶融粘度やポリマー種、単糸の繊度によって異なるため、紡糸混繊法を考えた場合、単糸間のたわみの差により、互いに干渉した結果、糸ムラの悪化や単糸のたるみを生じる場合がある。このような観点から、冷却課程での単糸の干渉が懸念される場合には、単糸のたわみを考慮し、干渉が起こらないような孔配置とすることが好ましい。
本発明の混繊糸を紡糸する際の吐出量は、安定して、吐出できる範囲としては、吐出孔当たり、0.1g/min/hole~20.0g/min/holeを挙げることができる。この際、吐出の安定性を確保できる吐出孔における圧力損失を考慮することが好ましい。ここでいう圧力損失は、0.1MPa~40MPaを目安にポリマーの溶融粘度、吐出孔径、吐出孔長との関係から吐出量を係る範囲より決定することが好ましい。
また、吐出量は、巻き取り条件や延伸倍率等を考慮し、所望とする繊度に応じて、決定することが好ましい。本発明の混繊糸においては、紡糸混繊法を用いる場合、複数の種類の単糸が集束される際に、紡糸応力の差により、単糸の分散性が向上するが、この際、単糸繊度も重要な要素となる。すなわち、繊度の小さい単糸は、他の単糸の間に入り込みやすく、単糸の分散性を促進するという点では単糸の繊度が小さいものを有することが好適なことである。
しかしながら、構成する繊維において、単糸の繊度が極端に小さいものが存在すると、その単糸の紡糸応力は著しく増加するため、紡糸線での単糸のたわみの程度に大きな差が生じ、互いに干渉した結果、糸ムラの悪化や単糸のたるみを生じる場合がある。さらに、紡糸混繊法を考えた場合、巻き取られる各単糸に応じて巻き取り張力が異なることから、たるみが生じる場合がある。このような観点から、構成する単糸の繊度比は1.0~5.0の範囲であることが好ましい。
ここでいう単糸の繊度比とは、本発明の混繊糸を構成する単糸の繊度のうち、最大となるものをTmax、最小となるものをTminとした時、Tmax/Tminで示されるものである。単糸の繊度比が係る範囲内であれば、冷却課程での糸干渉が小さく、また、巻き取り張力の差も小さくすることができるため、本発明の混繊糸を安定して、製造することが可能となるのである。
このように吐出されたポリマー流は、風速、温度が一定に保たれた冷却風によって冷却固化される。冷却風は、糸条の冷却効率や固化点雰囲気の安定化を考慮し、風速や温度、を決定すればよい。しかしながら、紡糸混繊を考えた場合、混繊糸を構成する単糸はその種類に応じて、紡糸線でのたわみの程度に大きな差が生じるため、単糸の干渉が懸念される場合には、各単糸のポリマー構成、紡糸温度、孔配置等を考慮し、干渉が起こらないよう、冷却方式を決定することが好ましい。
例えば、孔配置が群分け型の配置であれば、冷却風の風上と風下で各単糸が重ならないような方向から冷却風を吹かせればよい。また、ある単糸群を囲むように他の単糸を配置した、芯鞘型の配置の場合においては、糸条に対して垂直な方向から冷却風を当てると、糸条が干渉する場合があるため、糸条の外側から内側に冷却風を当てることが好ましい。
このように冷却固化された糸条は、同時に集束され、油剤を付与される。ここで、各単糸は集束される際に、混繊糸中に拡散するため、本発明の混繊糸のように、単糸の分散性が良好な混繊糸を得るためには、全ての糸条を同時に集束することが好ましい。また、使用する油剤は、巻き取り条件や高次加工、工程通過性等を考慮し、給油方式や付着量、種類を決定すればよい。さらに、油剤の均一付着を促進するために、インターレースノズル等によって、本発明の目的が損なわれない程度の軽度な交絡を付与してもよい。
このように冷却固化されて集束し、油剤が付与されたポリマー流は、周速が規定されたローラによって引き取られることにより、混繊糸となる。ここで、引取速度は、吐出量および目的とする繊維径、高次加工プロセス等から決定すればよいが、本発明の混繊糸を安定に製造するには、100~7000m/minの範囲とすることが好ましい。
この混繊糸は、高配向とし力学特性を向上させるという観点から、一旦巻き取られた後で延伸を行うこともよいし、一旦、巻き取ることなく、引き続き延伸を行うこともよい。
この延伸条件としては、例えば、一対以上のローラからなる延伸機において、一般に溶融紡糸可能な熱可塑性を示すポリマーからなる繊維であれば、ガラス転移温度以上融点以下温度に設定された第1ローラと結晶化温度相当とした第2ローラの周速比によって、繊維軸方向に無理なく引き伸ばされ、且つ熱セットされて巻き取られる。また、ガラス転移を示さないポリマーの場合には、複合繊維の動的粘弾性測定(tanδ)を行い、得られるtanδの高温側のピーク温度以上の温度を予備加熱温度として、選択すればよい。
ここで、本発明の混繊糸は数種類の断面形態の異なる単糸から構成されるため、延伸工程の巻き取りの際、単糸間の張力に差異が生じ、その差異が大きい場合には、一部の単糸が表面にたるむため、単糸切れや毛羽が発生し、工程通過性を損ねてしまう場合がある。そこで、単糸間の巻き取り張力を均一化するために、紡糸線上のドラフト(=引取速度/吐出線速度)を調整することが好ましい。具体的には、混繊糸を構成する各単糸の、延伸前の破断伸度が全て同程度となるよう、吐出孔径と紡糸速度を調整することが好ましい。
さらに、単糸間の巻き取り張力を均一化するために、延伸工程において、リラックス処理を施すことも、たるみ抑制には有効な手段であり、好ましい。例えば、熱セットローラの速度よりもその次のローラ速度を低く設定し、リラックス処理を施すと、混繊糸を構成する単糸は、張力が均一になるような状態で熱セットされるため、巻き取り時のたるみの抑制に有効である。ここで、過度なリラックス状態で熱セットを行うと、緩んだ状態で分子鎖が構造固定されるため、収縮応力が低くなり、布帛のストレッチ性を損なう場合があることから、十分な収縮応力を担保できるリラックス率を選択することが好ましい。また、ワインダー直前のローラの速度よりもワインダーの速度を低く設定し、リラックスさせながら巻き取ることも、巻き取り時のたるみの抑制に有効である。この際、リラックス率は大きいほど巻き取り張力の均一化され、たるみの抑制が可能となるが、過剰に大きくすると、ロール上への逆巻きが発生し、工程通過性を悪化させる場合があるため、リラックス率は10%以内とすることが好ましい。
ここで本発明の混繊糸のストレッチ性のさらなる向上を狙う場合には、仮撚りを行い、捲縮を付与することが好適である。ここで、高次加工において延伸仮撚り加工を行う場合には、ヒーター内での融着防止や加工速度の高速化、延伸張力低下による毛羽の抑制といった観点から、未延伸糸に部分配向糸を用いることが好ましい。部分配向糸は、配向非晶と結晶前駆体を有するため、結晶化速度が速く、ヒーター内での融着の防止に加え、熱処理時間の短縮による加工速度の上昇も可能となるのである。そこで、混繊糸を構成する各単糸について、温水収縮率や複屈折を測定し、部分配向糸が得られるような引取速度を選択することが好ましい。例えばポリエステルの場合では、単糸繊度やポリマー品種、粘度によって多少の差異はあるが、本発明者等の検討においては、引取速度は2000~3500m/minの範囲から選択することで、優れたストレッチ性を有しながらも、良好な杢調を発現する加工糸を製造することができる。
さらに、布帛とした時の杢調の強弱をより明確にしたい場合には、不均一延伸を行ってもよい。巻き取った混繊糸の不均一延伸を行うことで、単糸間の染色性の差に加え、延伸部と未延伸部でも染色性の差異が生じるために、色の濃淡がより強調され、明確な杢調を表現することができる。さらに、混繊糸の繊維方向に濃淡を付与することができるため、杢調の繊維方向の濃淡ピッチを変えることができるのである。ここで、本発明の混繊糸に不均一延伸を施す場合、未延伸糸を部分配向糸とすることで、未延伸部の力学特性と熱耐性を担保することができるため好ましいことである。延伸倍率は未延伸糸の自然延伸倍率の0.9~0.99%の範囲とすることで、自然でかつ明瞭な杢調を得ることができため好ましく、所望の杢調に応じて、倍率を決定することが好ましい。
また、用途に応じて本発明の混繊糸に撚りを付与してもよい。例えば本発明の混繊糸に、1000回/m程度の撚りを付与すると、杢調のピッチを短くすることができるため、より濃淡のこなれた、メランジ調の杢調を表現することができる。
また、以上で述べた全ての工程においては、必要に応じて、インターレースノズル等を使用し、交絡を付与することが好適である。
以上のように、本発明の混繊糸の製造方法を一般の溶融紡糸法に基づいて説明したが、メルトブロー法およびスパンボンド法でも製造可能であることは言うまでもなく、さらには、湿式および乾湿式などの溶液紡糸法などによって製造することも可能である。
以下実施例を挙げて、本発明の偏心芯鞘複合繊維について具体的に説明する。実施例および比較例については、下記の評価を行った。
(1)ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度を段階的に変更して、溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s-1の溶融粘度を記載している。ちなみに、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
(2)繊度
枠周1.0mの検尺機を用いて100回分のカセを作製し、下記式に従って繊度を測定した。
繊度(dtex)=100回分のカセ重量(g)×100
(3)繊維の強度、破断伸度、タフネス
試料を引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(TENSILON)UCT-100)でJIS L1013(2010) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。この時の掴み間隔は20cm、引張り速度は20cm/分、試験回数10回であった。なお、破断伸度はS-S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。タフネスは以下の式から求めた。
タフネス=強度(cN/dtex)×√(伸度(%))
(4)偏心芯鞘複合繊維のU%
繊度斑測定装置Zellweger製(UT-4)を用いて、供糸速度200m/分、ツイスター回転数20000rpm、測定長200mの条件で、U%(H)を測定した。
(5)伸縮伸長率(ストレッチ性)
JIS L1013(2010)8.11項C法(簡便法)に従い、伸縮伸長率を求めた。
(6)収縮応力
インテック社製(旧カネボウエンジニアリング社製)KE-2S熱応力測定器で、昇温速度150℃/分で測定した。サンプルは、0.1m×2ループとし、初期張力は繊度(dtex)×0.03cNとした。なお、収縮応力が最大値となったときの温度が最大値温度(℃)である。
(7)製糸安定性
各実施例についての製糸を行い、1千万m当たりの糸切れ回数から製糸安定性を3段階評価した。
極めて良好 ◎ :0.8回/千万m未満
良好 ○ :0.8回/千万m以上、2.0回/千万m未満
不良 × :2.0回/千万m以上
(8)偏心芯鞘複合繊維の布帛評価
3.5インチ×280本の編み針の編み機に、サンプル長5cmの編み地を作製し、次の染色条件で染色した。
染料:テラシールネイビーブルーSGL(チバガイギー製) 0.4%
助剤:テトロシンPEC(正研化工製) 5.0%
分散剤:サンソルト#1200(日華化学製) 1.0%
染色条件:50℃×20分 → 98℃×20分
熟練した検査者(5人)の触感によって布帛の表面均一性(特にシボやスジ)、風合い(特になめらかさやソフト性)、染色均一性を相対評価した。各項目について、総合的に非常に良い(4点)、良い(3点)、あまり良くない(2点)、悪い(1点)の4段階で官能評価してその合計値(最高点は12点)を算出し、各検査者の合計値の平均値にて下記の通り評価をした。
極めて良好 ◎ :10点以上
良好 ○ :10点未満8点以上
不良 × :8点未満
(9)耐磨耗性評価
直径10cmに切った布帛サンプルを10枚準備し、2枚ずつのセットとし、それぞれ評価用ホルダーにセットする。片側のサンプルを蒸留水にて完全に湿潤させた後、2枚サンプルを重ね合わせ押し付け圧7.4Nを掛けながら磨耗させ、単繊維の毛羽立ち(フィブリル化)および白化の様子を(株)キーエンス社製マイクロスコープVHX-2000にて50倍で観察した。この際、磨耗処理前後のサンプル表面変化を確認し、フィブリル化と白化の様子を総合して、3段階評価した。処理前後にてサンプル表面全体にフィブリル化または白化が発生した場合は、不可として「C」、一部に発生が認められる場合は可として「B」、発生が認められない場合は良として「A」とした。
(10)隣接フィラメント群比率
デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX-2000)で糸束の繊維軸に対して垂直な横断面を、構成する単糸が観察できる倍率として10画像以上撮影し、各画像から無作為に抽出した10箇所について隣接フィラメント群を構成する単糸数をカウントし、測定結果を元に、隣接フィラメント群比率=(隣接フィラメント群を構成する単糸数)/(着目した単糸の総数)×100(%)を算出する。10箇所の計測結果の単純な数平均の小数点第1位以下を四捨五入して評価した糸束の隣接フィラメント比率を評価した。
(11)交絡数
ロッシールド社(Rothschild社、スイス)製のエンタングルメントテスター(Entanglement Tester Type R2072)を用い、以下のように交絡数を求めた。
糸条に針を刺したままで初張力10gを掛けて一定速度5m/minで走行させ、交絡点で張力が規定値(トリップレベル)の15.5cNまで達する長さ(開繊長)を30回測定し、30回分を平均した長さ(平均開繊長:mm)に基づいて、下記式を用い糸条1m当たりの交絡度(CF値)を求め、小数点第2位以下は四捨五入するものである。
交絡度(CF値)=1000/平均開繊長
(12)混繊糸の布帛評価(ストレッチ性、風合い、杢調)
ヨコ糸に混繊糸、タテ糸に56dtex-18フィラメントのポリエステル繊維を用い、ヨコ糸密度113本/inchで1/3ツイル組織の織物を作製し、80℃で20分の精錬を行い、次の染色条件で染色した。
染料:NICHILON BLUE(日成化成製) 3.0%owf
助剤:ウルトラN-2(ミテジマ化学製) 0.5g/L
分散剤:RAP-250(明成化学製) 0.5g/L
染色条件:50℃×20分 → 100℃×30分
上記で作製した織物サンプルを熟練者10名により、触感によって布帛のストレッチ性(◎、○、×で判定)、風合い(特にふくらみ感と表面の触感、◎、○、×で判定)、および目視によって布帛の杢調を次の4段階判定法で評価した。
◎:こなれた杢調
○:ややこなれた杢調
△:やや粗い杢調
×:粗い杢調
実施例1
A成分として、ポリブチレンテレフタレート(PBT1 溶融粘度:160Pa・s)、B成分として、ポリエチレンテレフタレート(PET1 溶融粘度:140Pa・s)とし、A成分のポリマーとB成分のポリマーをいずれもエクストルーダーを用いてそれぞれ270℃、280℃で溶融後、ポンプによる計量を行い、それぞれのポリマーで最も融点の高い、海成分の融点よりも30℃高い290℃を紡糸温度として、温度を保持したまま口金に流入させた。A成分とB成分の重量複合比は50/50とし、吐出孔数72の偏心芯鞘複合繊維用紡糸口金に流入させた。各ポリマーは、口金内部で合流し、B成分のポリマー中にA成分のポリマーが包含された偏心芯鞘複合形態を形成し、口金から吐出した。なお、実施例1の紡糸においては、図1に示す偏心芯鞘複合繊維が得られるような分配板方式の口金を用いた。
口金から吐出された糸条は、空冷装置により冷却、油剤付与後、ワインダーにより紡糸ドラフトが220となるように1500m/分の速度で巻き取り、150dtex-72フィラメントの未延伸糸として安定的に巻き取った。このとき、冷却開始点は口金吐出面から97mmに設定し、さらに給油位置を口金吐出面から1130mmとすることで、紡糸応力は0.10cN/dtexとなり、長手糸斑の抑制と製糸性の安定を図った。
続いて、得られた未延伸糸を300m/分の速度で延伸装置に送糸し、延伸温度90℃、伸度20~40%程度となるように延伸倍率2.63倍で延伸した後、130℃で熱セットし、紡糸、延伸工程を通じて安定的に強度3.6cN/dtex、伸度32%の56dtex-72フィラメントの延伸糸を得た。
得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表1に示す。繊維断面におけるS/Dは0.02であり、最小厚み部分が繊維円周上の40%を占めていた。該偏心芯鞘複合繊維のストレッチ性能指標である伸縮伸長率が63%であり、繊維形態は嵩高く、仮撚り加工を施したごとくの捲縮となっており十分なストレッチ性能を有し、耐摩耗性評価においてもフィブリル化や白化が認められず、さらにはシボやスジの無い均一な布帛品位の良いなめらかで繊細な風合いのこれまでにない布帛が得られた。
Figure 0007135854000001
実施例2~11
実施例2~4は、A成分およびB成分の組み合わせ、実施例5~7はS/Dの大きさ、実施例8~11は複合比率を、それぞれ表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして偏心芯鞘複合繊維を得た。いずれも十分なストレッチ性能と耐摩耗性を有し、かつシボやスジの無い均一な布帛品位でなめらかで繊細な風合いの布帛が得られた。
比較例1~4
表1のとおり、比較例1および2は日本国特開平09-157941号公報に記載の口金を用い、比較例3は複合形態が図5と同様になるようにした口金を用い、比較例4は、従来の芯鞘複合口金を用いて、それ以外は実施例1と同様にした。いずれも満足できる原糸では無かった。
Figure 0007135854000002
実施例12
混繊糸を構成する複合糸のA成分として、溶融粘度160Pa・sのポリブチレンテレフタレート(PBT1)、B成分として、溶融粘度30Pa・sのポリエチレンテレフタレート(PET4)とし、組み合わせる単独糸にポリエチレンテレフタレートにアジピン酸ジメチルを4.5重量%、ナトリウムスルホイソフタル酸を0.4重量%共重合したカチオン可染性PET(CD-PET1)を用いた。これらのポリマーを個別に溶融した後に、ポンプによる計量を行い、同一の紡糸パックに別途流入させて、紡糸温度280℃として、口金に穿設された吐出孔から吐出した。なお、吐出孔形状は複合糸、単独糸ともに、丸とし、口金の吐出孔数はPBT1とPET4からなる複合糸用が24ホール、単独糸用が48ホールであり、口金面内で複合糸の吐出孔群を単独糸の吐出孔群で囲うように配置された同心円孔配置の口金を用いた。なお、実施例12の複合糸は、図7に例示した分配プレートにより、A成分とB成分の重量複合比は50/50のB成分ポリマー中にA成分ポリマーが包含された偏心芯鞘型(図2)の複合断面を形成するものである。紡糸ドラフト(引取速度/吐出線速度)は、複合糸45、単独糸101となるように吐出孔径によって調整し、吐出糸条を冷却固化した後、全ての単糸を同時に集束して油剤を付与し、紡糸速度1500m/minで巻き取ることで、365dtex-72フィラメントの未延伸糸とした(複合糸:24フィラメント、単独糸:48フィラメント)。
図7に示した分配プレートにより複合ポリマー流を精密に制御しながら吐出したことで、口金面直下に見られる吐出ポリマー流の曲がりは極めて小さいものに抑制されており、吐出安定性に優れるものであった。
紡糸温度と紡糸ドラフトを適正に調整したことによって、複合糸の糸揺れによる単糸干渉による毛羽発生はなく、複合糸と単独糸の巻き張力差によるボビン上での単糸のたるみは見られず、品位に優れた未延伸糸パッケージを安定的に得ることができた。引き続き巻き取った未延伸糸を90℃と150℃に加熱したローラ間で延伸速度600m/minで延伸し、135dtex-72フィラメントの本発明の混繊糸を得た(複合糸の重量比:35重量%)。未延伸糸の品位が優れるため、延伸工程中においても単糸切れは見られず、安定した延伸性を有しており、延伸糸パッケージにおいてもたるみ等の発生がない優れた品位を有しているものであった。
得られた混繊糸は、強度3.5cN/dtex、伸度34%と実用に耐えうる十分な力学特性を有しており、交絡数は、4.4個/m、糸束の断面観察では、複合糸の隣接フィラメント群比率は39%であり、高次加工の工程通過性を確保できる好適な集束性を有しながら糸束内での複合糸分散性に優れるものであった。
該混繊糸を布帛とし、染色したところ、複合糸が3次元的なスパイラル構造を発現し、良好なストレッチ性能を有していた(ストレッチ性評価:○)。また、複合糸と単独糸の糸長差と複合糸の3次元的なスパイラル構造発現による単糸同士の排除効果のため、膨らみのある風合いと滑らかな表面触感を有していた(風合い評価:◎)。染色サンプルでは、染色の濃淡が適度にこなれた外観を有しており、本発明の目的とする従来にはない自然な杢調を表現するものであった(杢調評価:◎)。結果を表4に示す。
実施例13~15
実施例12に記載される方法から、吐出量を調整することで複合糸の重量比を45重量%(実施例13)、50重量%(実施例14)、65重量%(実施例15)と段階的に変更したこと以外は全て実施例12に従い実施した。
実施例13~15の混繊糸は、いずれにおいても糸条の走行安定性等で優れるものであり、良好なパッケージに巻き上げることが可能であった。また、糸ガイド等に単糸が絡まる等も起こりにくく、高次加工においても高い工程通過性を有していた。
実施例13~15では、混繊糸における複合糸の重量比を増大させるに伴い、淡染部の視認性が強くなり、濃淡のコントラストが強調されるものであった。このため、これらの混繊糸からなる布帛を染色すると、実施例13では、淡染部の視認性が低くなり、濃淡が細やかに混じったメランジ調の杢調を、実施例15では、濃淡が細やかに混じりつつも、淡染部の視認性が強調されるためにウール調の杢調を有しているものであり、複合糸が3次元的なスパイラル構造を形成する力が強く、ストレッチ性と嵩高性に優れたものであった。また、実施例14においては、実施例13と実施例15の中間の杢調になり、淡染部にグラデーションを持った独特の外観を有し、ストレッチ性にも優れたものであった。結果を表4に示す。
実施例16、17
実施例12に記載される方法から、複合糸と単独糸の吐出孔配置を千鳥格子(実施例16)、群分け(実施例17)に変更したこと以外は全て実施例12に従い実施した。
実施例16および17の混繊糸は、適度な交絡数を有しており、たるみや毛羽は見られない良好なパッケージに巻き上げることが可能であり、高い高次加工通過性を有していた。
実施例16では、吐出孔配置が千鳥格子型であることから、隣接フィラメント群比率が低く、混繊糸中の複合糸の分散性が極めて良好なため、触感に優れる布帛となった。また、該布帛を染色すると、濃淡が極めてこなれたメニトーン調の特徴のなる杢調を有していた。
実施例17では、吐出孔配置を群分け配置とすることで、混繊糸中に複合糸が適度に近寄った状態で分散しており、濃淡のコントラストが強い杢調を有していた。結果を表4に示す。
実施例18~22
複合糸に使用するA成分およびB成分のポリマーを表3に示すとおりに変更し、各実施例で得られる混繊糸の伸度が30~40%となるように紡糸条件および延伸条件を設定したこと以外は全て実施例12に従い実施した。
実施例18の混繊糸は、複合糸の高収縮成分に高粘度のPBT2(溶融粘度:250Pa・s)を使用することで、複合糸の捲縮率が高まり、ストレッチ性に優れる布帛となった。また、実施例18の混繊糸の隣接フィラメント群比率が32%であり、複合糸の分散性が良好であるため、該混繊糸からなる布帛は、染色後に自然なこなれ杢調を表現するものであった。
実施例19の混繊糸は、複合糸の高収縮成分に高粘度のPET5(溶融粘度:290Pa・s)を使用することで、複合糸のヤング率が高く、布帛とすると、ストレッチバック性が強く、適度に張り、腰の感じられる布帛となった。また、単独糸としてCO-PET2を用いており、製糸工程において、芯配置にある複合糸の紡糸応力が高く、糸条の収束時に鞘配置にある単独糸がこなれにくいことから、本発明の目的を損ねない程度ではあるが、隣接フィラメント群比率が若干低くなり、染色した布帛では濃淡のコントラストが強調された杢調となった。
実施例20の混繊糸は、複合糸の高収縮成分が3GTになることで、ソフトで心地よいストレッチ性を発現するものであり、3GTの低ヤング率のために、柔らかな風合いの布帛が得られた。また、隣接フィラメント群比率が低く、複合糸の分散性が良好であるため、自然なこなれ杢調を表現するものであった。
実施例21の混繊糸では、複合糸の低収縮成分にPET6(溶融粘度:110Pa・s)を使用することで、ストレッチ性はやや低下するものの、複合糸のヤング率が上がり、布帛とすると、張り、腰のある布帛が得られた。また、実施例21では、隣接フィラメント群比率が若干高く、複合糸の分散性は低くなるため、染色を行うと、濃淡のコントラストが強調された杢調となった。
実施例22の混繊糸では、複合糸の高収縮成分にPBT2(溶融粘度:250Pa・s)、低収縮成分にPBT1(溶融粘度:160Pa・s)を使用しているため、3次元的なスパイラル構造によるストレッチ性に加え、PBTのポリマー起因のストレッチ性が加わり、布帛とした際には、他の実施例で例示した混繊糸からなる布帛と比べて、独特なストレッチ性を示した。結果を表4に示す。
実施例23
A成分を覆っているB成分の最小となる厚みSと複合糸の単糸の直径Dの比S/Dを変更することを目的としてA成分とB成分の重量複合比を70/30に変更したこと以外は、全て実施例12に従い実施した。
高収縮成分の割合が高いことから、紡糸および延伸工程において、高収縮成分への応力集中が顕著となり、複合糸の捲縮率が上昇するため、布帛とした際には、やや風合いが硬化するものの、ストレッチ性に優れるものであった。結果を表4に示す。
実施例24、25
延伸工程の巻取直前にインターレースノズルを設置し、混繊交絡を付与したこと以外は全て実施例12に従い実施した。実施例24では、インターレースノズルの圧空圧を0.20MPa、実施例25では、インターレースノズルの圧空圧を0.40MPaとした。
混繊糸の交絡数は、実施例24では45.0個/m、実施例25では85.6個/mとなり、交絡数が増えることで、糸条の集束性は極めて良好であり、得られた混繊糸にたるみや毛羽は見られない良好なパッケージに巻き上げることが可能であった。また、未開繊部で交絡により複合糸が拘束され、高次加工での糸掛け性等にも優れるものであった。
得られた混繊糸はいずれも複合糸の分散性は良好であったが、糸条の開繊部では未開繊部と比較して、複合糸の分散性がより高く、混繊糸は繊維軸方向の開繊部、未開繊部の周期に応じて、複合糸の分散性の周期を有していた。これらの混繊糸を布帛とし、染色すると、開繊部、未開染部の周期に応じて、杢の細やかな部分と濃淡が極めて分散しているために、1色に見える部分が存在し繊維軸方向に周期性を持つ杢調を表現した。
実施例26
実施例1に記載される方法に追加で1000回/mの撚りを加え、80℃スチームにより撚り止めセットを行った。混繊糸に撚りが加わることで、染色の濃淡が特にこなれた杢調となった。さらに、繊維軸方向の濃淡のピッチが変化し、ドット状に濃淡を有する杢調を表現した。結果を表4に示す。
実施例27
混繊糸を構成する複合糸のA成分として、PBT1(溶融粘度:160Pa・s)、B成分として、PET4(溶融粘度:30Pa・s)とし、組み合わせる単独糸にCD-PET1を用いた。これらのポリマーを個別に溶融した後に、ポンプによる計量を行い、同一の紡糸パックに別途流入させて、紡糸温度280℃として、口金に穿設された吐出孔から吐出した。なお、吐出孔形状は複合糸、単独糸ともに、丸とし、口金の吐出孔数はPBT1とPET4からなる複合糸用が24ホール、単独糸用が48ホールであり、口金面内で複合糸の吐出孔群を単独糸の吐出孔群で囲うように配置された同心円孔配置の口金を用いた。なお、複合糸は、図2に示す偏心芯鞘型の複合断面を形成するものである。吐出糸条を冷却固化した後、全ての単糸を同時に集束して油剤を付与し、紡糸速度3000m/minで巻き取ることで、140dtex-72フィラメントの部分配向糸を採取した。
該部分配向糸を180℃に設定されたヒーターで予備加熱し、延伸速度100m/minで延伸を行いながら、フリクションディスクにより仮撚りを施し、100dtex-72フィラメントの本発明の混繊糸を得た(複合糸の重量比:35重量%)。
なお、得られた混繊糸は、仮撚り加工前の部分配向糸の品位が優れるため、仮撚り工程中においても、単糸切れや単糸同士の融着は見られず、毛羽やネップ等といった欠点のない、糸品位と工程通過性に優れるものであった。
得られた混繊糸は、仮撚り加工により、複合糸と単独糸の糸長差と相まって、嵩高性に優れるものであった。また、布帛とした際には、嵩高く、膨らみのある風合いを有していた。また、仮撚り加工することで、混繊糸を構成する単糸間の空隙がより大きくなり、混繊糸中の複合糸は3次元的なスパイラル構造を形成しやすく、ランダムな捲縮構造を発現するようになるため、極めてストレッチ性に優れ、且つ特徴的な表面触感が得られるものであった。また、混繊糸中の複合糸の分散性に優れ、染色すると、濃淡が好適にこなれ、ナチュラルな杢感を有していた。
実施例28
仮撚り加工工程において、75℃に加熱したホットピンを使用し、1.20倍で不均一延伸をした後に、180℃に設定されたヒーターで予備加熱し、延伸速度100m/minで延伸を行いながら、フリクションディスクにより仮撚りを施したこと以外は全て実施例27に従い実施した。
得られた混繊糸は、不均一延伸および仮撚り加工前の部分配向糸の品位が優れるため、不均一延伸工程および仮撚り工程中においても、ホットピンへの巻きつきやヒーターの擦過による単糸切れや単糸同士の融着は見られず、毛羽やネップ等といった欠点のない、糸品位と工程通過性に優れるものであった。不均一延伸を行ったことにより、単独糸と複合糸間の染色濃淡差のみならず、延伸部と未延伸部の濃淡差が繊維軸方向にランダムに出現することとなり、繊維軸方向にも濃淡のピッチを有し、かつ多色杢を表現した。
比較例5
複合糸のポリマーをPBT1(溶融粘度:160Pa・s)とPET4(溶融粘度:30Pa・s)、単独糸のポリマーをCD-PET1として、複合糸と単独糸を個別に紡糸し、紡糸速度1500m/minで一旦各未延伸糸の巻取りを行い、延伸機に供給する際に複合糸と単独糸の合糸を行うことで合糸延伸を行って、複合糸と単独糸からなる後混繊糸を得た以外は全て実施例14に従い実施した(135dtex-72フィラメント、複合糸の重量比:50重量%)。
得られた混繊糸は、隣接フィラメント群比率が88%と非常に高いものであり、複合糸の単糸の分散性が悪く、後混繊糸をボビンから解舒すると、複合糸と単独糸が即座に分離し、粗大なたるみを発生するものであった。このため、製織時の糸送りを精密に制御しない場合には、複合糸の存在比率の高い場所でシボや染めムラが発生する場合があった。
また、該後混繊糸からなる布帛を染色すると、ストレッチ性は認められるものの、ロングピッチの明瞭な白筋を有するものであり、片方の種類の単糸が偏在し、布帛表面に浮かんだ箇所では、ざらついた触感となるものであった。結果を表4に示す。
比較例6
複合糸のポリマーをPBT1(溶融粘度:160Pa・s)とPET4(溶融粘度:30Pa・s)、単独糸のポリマーをCD-PET1として、複合糸と単独糸を個別に紡糸し、紡糸速度1500m/minで一旦各未延伸糸の巻取りを行い、別々に延伸機に供給することで複合糸と単独糸の延伸糸を得た。引き続き、複合糸と単独糸の合糸を行った後にインターレースノズルで混繊交絡を行い(圧空圧:0.5MPa)、混繊交絡糸を得たこと以外は全て実施例12に従い実施した(135dtex-72フィラメント、複合糸の重量比:35重量%)。
得られた混繊交絡糸は、強固な交絡が付与されているため(交絡数:108.0個/m)、ボビン上での単糸のたるみは見られないものであった。該混繊交絡糸からなる布帛は、ストレッチ性には問題ないものの、染色するとロングピッチの明瞭な白筋を有するものであった。また、布帛において片方の単糸が偏在する場合があり、ここでは表面がざらついた触感となり、良好な風合いとは言いがたいものであった。結果を表4に示す。
比較例7
比較例6に記載される方法に追加で1000回/m撚りを加え、80℃スチームにて撚り止めセットを行い、混繊撚糸を得た。該混繊撚糸を布帛とすると、白筋は短ピッチ化したが、濃淡のコントラストが過剰で、本発明のようなナチュラルな杢調にはならなかった。
比較例8
A成分とB成分に同じPET6(溶融粘度:110Pa・s)を用いてPET6単独糸が採取できるようにし、カチオン可染性PETとしてポリエチレンテレフタレートにナトリウムスルホイソフタル酸を0.3重量%、ポリエチレングリコールを1.0重量%共重合したCD-PET2を用い、紡糸温度を290℃としたこと以外はいずれも実施例16に従い実施し、PET6単独糸とCD-PET2単独糸の混繊仮撚糸を得た(100dtex-72フィラメント、PET6単独糸の重量比率:35重量%)。
該混繊仮撚糸は複合糸を含まないため、ストレッチ性をほとんど発現しないものであり、嵩高性も低く、本発明の混繊糸と比較すると、風合い(触感)が悪いものであった。また、隣接フィラメント群比率は92%と糸束中で単糸の分散性が低く、染色すると白筋のショートピッチとなるものの、色の濃淡のコントラストが強く、不自然な杢調となった。
Figure 0007135854000003
Figure 0007135854000004
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2016年12月14日付で出願された日本特許出願(特願2016-242514)および2017年5月30日付で出願された日本特許出願(特願2017-106632)に基づいており、その全体が引用により援用される。
この素材は、十分なストレッチ性能を有し、耐摩耗性に優れ、シボやスジの無い均一でなめらかな外観を有した布帛で、スポーツ用途衣料やアウター素材等に幅広く利用できこれまでにない繊細な肌触りやソフト感を生かした新たな素材として、幅広く好適に用いることができ、アウトドア、水着のスポーツ衣料は勿論のこと、一般衣料用にも好適な素材である。
また、この混繊糸は、十分なストレッチ性能を有しながらも、膨らみのある心地よい触感と天然調のナチュラルな外観を有する織編物であり、伸縮性と審美性が要求されるスポーツ用途衣料からインナーやアウターといった一般アパレル衣料まで幅広く利用でき、これまでにない天然繊維を模したストレッチ素材を生産性よく提供できるものである。
a:複合繊維断面におけるA成分の重心点
C:複合繊維断面の重心点
S:B成分の最小厚み
D:繊維径
IFR:複合繊維断面におけるA成分とB成分の界面の曲率半径
1-(a)、(b):混繊糸断面において隣接して連なる同種の単糸の一例
1-(c):混繊糸断面における隣接フィラメント群の一例
5-(a):最終分配プレートにおける分配孔のうち、薄皮を形成するB成分の分配孔
5-(b):最終分配プレートにおける分配孔のうち、5-(a)以外のB成分の分配孔
5-(c):最終分配プレートにおける分配孔のうち、A成分の分配孔

Claims (9)

  1. A成分及びB成分の2種のポリエステルからなる複合繊維の横断面において、A成分がB成分で完全に覆われており、A成分を覆っているB成分の厚みの最小厚みSと繊維径Dの比S/Dが0.01~0.1であり、かつ最小厚みSより厚みが1.05倍以内の部分の繊維の周囲長が繊維全体の周囲長の2/5以上であり、繊維断面におけるA成分を覆っているB成分の厚みの最大厚みとなるA成分とB成分の界面の曲率半径をIFRとして、繊維径Dを2で除した値をRとしたとき下記式1を満足することを特徴とする偏心芯鞘複合繊維。
    (IFR/R)≧1・・・(式1)
  2. 伸縮伸長率が20~70%である請求項1に記載の偏心芯鞘複合繊維。
  3. 単糸繊度が1.0dtex以下、繊度斑(U%)が1.5%以下である請求項1または2に記載の偏心芯鞘複合繊維。
  4. 異なる断面形態を有した2種類以上の単糸が分散して混在する混繊糸において、少なくとも1種類の単糸が50Pa・s以上溶融粘度が異なる2種類のポリエステルの組合せからなる請求項1記載の偏心芯鞘複合繊維からなり、他方の単糸との交絡数が1個/m以上100個/m以下で集束していることを特徴とする混繊糸。
  5. 異なる断面形態を有した2種類以上の単糸が分散して混在する混繊糸において、少なくとも1種類の単糸が50Pa・s以上溶融粘度が異なる2種類のポリマーの組合せからなる複合糸であり、複合糸が偏心芯鞘型の複合断面を有し、少なくとも1つの種類の単糸の隣接フィラメント群比率が10~50%の範囲であり、他方の単糸との交絡数が1個/m以上100個/m以下で集束していることを特徴とする混繊糸。
  6. 複合糸が3次元的なスパイラル構造を発現することを特徴とする請求項5に記載の混繊糸。
  7. 混繊糸において、他方の単糸が単一成分からなる単独糸であることを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の混繊糸。
  8. 複合糸が混繊糸の30重量%以上80重量%以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の混繊糸。
  9. 請求項4~8のいずれか1項に記載の混繊糸が少なくとも一部に含まれる繊維製品。
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