以下に、本発明の一実施形態に係る磁気センサについて、図1〜図7を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気センサの概略図(平面図)である。図2は、図1の磁気センサが有する第1の磁気抵抗効果素子及び第4の磁気抵抗効果素子の一部を拡大して示した磁気センサの部分拡大平面図である。図3は、図2のA−A線に沿って切断し矢印方向から見た磁気センサの部分拡大断面図である。図4は、図2のB−B線に沿って切断し矢印方向から見た磁気センサの部分拡大断面図である。図5は、図1の磁気センサが有する第2の磁気抵抗効果素子及び第3の磁気抵抗効果素子の一部を拡大して示した磁気センサの部分拡大平面図である。図6は、本発明の比較例に係る磁気センサが有する第1の磁気抵抗効果素子及び第4磁気抵抗効果素子の一部を拡大して示した磁気センサの部分拡大平面図である。図7は、本発明の比較例に係る磁気センサが有する第2の磁気抵抗効果素子及び第3磁気抵抗効果素子の一部を拡大して示した磁気センサの部分拡大平面図である。図8は、棒磁石によって生じる磁界(磁力線)を模式的に示す図である。
各図に示すX1−X2方向、及びY1−Y2方向は一平面内にて直交する2方向を示し、Z方向は前記一平面に対して直交する方向を示している。
本実施形態における磁気センサSは、磁気抵抗効果素子を有しており、例えば、携帯電話等の携帯機器に搭載される地磁気センサとして構成される。
磁気センサSは、図1に示すように、矩形状の磁気抵抗効果素子の形成領域Kを有している。この形成領域Kには、その中心KcからX1−X2方向及びY1−Y2方向に分割された4つの領域部分が設けられている。これら4つの領域部分内には、第1の磁気抵抗効果素子1、第2の磁気抵抗効果素子2、第3の磁気抵抗効果素子3、第4の磁気抵抗効果素子4が形成されている。図1では、各領域部分について、磁気抵抗効果素子1〜4の形状を省略して図示している。
第1の磁気抵抗効果素子1及び第3の磁気抵抗効果素子3は、入力端子5に接続されている。また、第2の磁気抵抗効果素子2及び第4の磁気抵抗効果素子4は、接地端子6に接続されている。また、第1の磁気抵抗効果素子1と第2の磁気抵抗効果素子2との間には、第1の出力端子7が接続されている。また、第3の磁気抵抗効果素子3と第4の磁気抵抗効果素子4との間には、第2の出力端子8が接続されている。このように第1の磁気抵抗効果素子1、第2の磁気抵抗効果素子2、第3の磁気抵抗効果素子3及び第4の磁気抵抗効果素子4によりブリッジ回路が構成されている。
第1の磁気抵抗効果素子1は、図2に示すように、磁気検知体10と、磁気検知体10と非接触に配置された複数の磁路形成体としての軟磁性体12と、を備えている。なお、第4の磁気抵抗効果素子4についても、図2に示す構成を有している。
磁気検知体10は、複数の素子部11と、複数の電極部16と、複数の接続部17と、を有している。磁気検知体10は、複数の素子部11の端部が接続部17によって接続されることにより互いに連なって帯状に形成されている。本実施形態の磁気検知体10は、平面視でミアンダ形状(蛇腹形状)に形成されている。
複数の素子部11は、図3に示すように、それぞれがX1−X2方向に直線帯状に延在して形成されており、Y1−Y2方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。各素子部11の幅寸法(Y1−Y2方向への寸法)は、0.5〜5μm程度、各素子部11の長さ寸法(X1−X2方向への寸法)は、2〜300μm程度であり、各素子部11のアスペクト比(長さ寸法/幅寸法)は、4〜600程度となっている。
各素子部11は、図3に示すように、基板15表面の絶縁下地層19上に形成される。
各素子部11は、例えば、図3下方から順に積層された非磁性下地層60、固定磁性層61、非磁性材料層62、フリー磁性層63及び保護層64を有している。各素子部11を構成するこれら各層60〜64は、例えば、絶縁下地層19上にスパッタリングにて順次成膜されて積層される。
固定磁性層61は、第1磁性層61a及び第2磁性層61bと、これら第1磁性層61a及び第2磁性層61b間に介在する非磁性中間層61cとの積層フェリ構造を有している。第1磁性層61a及び第2磁性層61bは、CoFe合金(コバルト−鉄合金)などの軟磁性材料で形成されている。非磁性中間層61c、はRu(ルテニウム)等である。非磁性材料層62はCu(銅)などの非磁性材料で形成されている。フリー磁性層63は、NiFe合金(ニッケル−鉄合金)などの軟磁性材料で形成されている。保護層64はTa(タンタル)などで形成されている。
本実施形態では、固定磁性層61を積層フェリ構造として、第1磁性層61aと第2磁性層61bとが反平行に磁化固定されたセルフピン止め型を採用している。このセルフピン止め型では、反強磁性層を用いず、よって磁場中熱処理を施すことなく固定磁性層61を構成する第1磁性層61aと第2磁性層61bとを磁化固定している。なお、第1磁性層61aと第2磁性層61bとの磁化固定力は、外部磁界が作用したときでも磁化揺らぎが生じない程度の大きさであれば足りる。
もちろん、上述した素子部11の構造は一例であって、素子部11に他の構造を採用してもよい。例えば、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層、フリー磁性層及び保護層の順に積層された積層構造を有する構成とすることもできる。かかる構成では、反強磁性層と固定磁性層との間で交換結合磁界(Hex)を生じさせて固定磁性層の磁化方向を固定することが可能である。また、下からフリー磁性層63、非磁性材料層62、固定磁性層61、及び保護層64の順に積層された積層構造とされてもよい。また固定磁性層61は、第1磁性層61aと第2磁性層61bとの磁化の大きさが同じで磁化方向が反平行である構成にできる。
各素子部11を構成する第2磁性層61bの固定磁化方向(P;感度軸方向)はY2方向(即ち、素子部11の幅方向)である(図2、図3参照)。この固定磁化方向(P)が固定磁性層61の固定磁化方向である。
複数の電極部16は、図2に示すように、一部が各素子部11に接してX1−X2方向に間隔T1を空けて配置されている。
図3に示すように、上記一部の電極部16の形成位置では、保護層64の一部が削られており、それにより形成された凹み部64a上に上記一部の電極部16が形成されている。
電極部16は、素子部11(保護層64)よりも電気抵抗値の低い非磁性導電材料で形成されている。電極部16は、材質を特に限定するものでないが、Al、Cu、Ti、Cr等の非磁性導電材料の単層あるいは積層構造で形成される。例えば、電極部16はCuとAlとの積層構造で形成される。なお、上述した複数の接続部17も、電極部16と同様に形成される。
図2に示すように、各電極部16の幅寸法(Y1−Y2への寸法)は各素子部11の幅寸法よりも大きく形成されており、これにより電極部16の電気抵抗をより小さくでき、また各電極部16を各素子部11上に形成する際の位置合わせのマージンを広くとることが可能である。
なお上記したような保護層64の一部の削り取り処理は、例えばエッチングにて行うことができる。保護層64の一部を削り取る処理は、特に保護層64表面の酸化層を削り取るためのものであり、これにより素子部11と電極部16間の導通性を良好にできる。
またエッチング等により保護層64の表面を削る際、図3に示すように保護層64の一部が残るように制御することが好ましい。これによりフリー磁性層63はエッチングの影響を受けず削られない。
磁気検知体10は、平面視で素子部11と素子部11に重ねられた電極部16とがX1−X2方向に交互に並ぶ。即ち、磁気検知体10は、素子部11における電極部16が重ねられていない部分と電極部16が重ねられた部分とが交互に並んでいる。磁気検知体10では、素子部11における電極部16が重ねられていない部分(後述するギャップGの箇所)が磁気検知部分Dとして機能する。詳細については後述する。
複数の軟磁性体12は、図2に示すように、素子部11(即ち、磁気検知体10)に沿ってX1−X2方向に並べて配置されている。各軟磁性体12はNiFe、CoFe、CoFeSiBやCoZrNb等で形成される。
図2においてX1−X2方向にて隣り合う2つの軟磁性体12のうち、X1側に配置された軟磁性体12を第1の軟磁性体12A、X2側に配置された軟磁性体12を第2の軟磁性体12Bと定義する。図2には、一組の軟磁性体12にのみ符号12A,12Bを付した。なお、軟磁性体12Bの一つ右隣の軟磁性体12及び二つ右隣の軟磁性体12に着目してこれら隣り合う2つの軟磁性体12をペアと考えれば、これらうちの左側が軟磁性体12Aとなり、右側が軟磁性体12Bとなる。X1−X2方向に間隔をあけて並べられた複数の軟磁性体12は、最もX1側から2つずつペアとなってそれぞれが軟磁性体12A、軟磁性体12Bとなるように設けられている。
第1の軟磁性体12Aは、磁気検知体10と交差してY1−Y2方向に延在する交差部分12aと、交差部分12aのY2側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の一端部)からX1方向に延出し、平面視にて素子部11のY2側に配置される第1磁界渡し部分12bと、交差部分12aのY1側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の他端部)からX2方向に延出し、平面視にて素子部11のY1側に配置される第2磁界渡し部分12cと、を有して構成される。第1の軟磁性体12Aは、平面視で、クランク形状に屈曲された帯状に形成されている。
第2の軟磁性体12Bは、磁気検知体10と交差してY1−Y2方向に延在する交差部分12dと、交差部分12dのY2側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の一端部)からX1方向に延出し、平面視にて素子部11のY2側に配置される第1磁界渡し部分12eと、交差部分12dのY1側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の他端部)からX2方向に延出し、平面視にて素子部11のY1側に配置される第2磁界渡し部分12fと、を有して構成される。第2の軟磁性体12Bは、平面視で、クランク形状に屈曲された帯状に形成されている。
第1の軟磁性体12Aの交差部分12a及び第2の軟磁性体12Bの交差部分12dは、各電極部16とZ方向に離間して(図3)電極部16と平面視で交差する(図2)ように配置される。交差部分12a、12dと電極部16との間には絶縁層25が介在し、交差部分12a、12dと電極部16とは電気的に非接触となっている。
第1の軟磁性体12Aは、第2磁界渡し部分12cのX1−X2方向の長さL12cが第1磁界渡し部分12bのX1−X2方向の長さL12bより長くなるように形成されている。第2の軟磁性体12Bは、第1磁界渡し部分12eのX1−X2方向の長さL12eが第2磁界渡し部分12fのX1−X2方向の長さL12fより長くなるように形成されている。
本実施形態において、第1の軟磁性体12Aは、第1磁界渡し部分12bの長さL12bが4.5μmとなり、第2磁界渡し部分12cの長さL12cが10.4μmとなるように形成され、交差部分12a、第1磁界渡し部分12b及び第2磁界渡し部分12cのいずれも幅が2.0μmとなるように形成されている。また、第2の軟磁性体12Bは、第1磁界渡し部分12eの長さL12eが10.4μmとなり、第2磁界渡し部分12fの長さL12fが4.5μmとなるように形成され、交差部分12d、第1磁界渡し部分12e及び第2磁界渡し部分12fのいずれも幅が2.0μmとなるように形成されている。
図2で符号を付した隣り合う2つの第1の軟磁性体12A及び第2の軟磁性体12Bを代表として着目すると、第1の軟磁性体12Aが有する第2磁界渡し部分12cの延在方向中央位置12ccを含む中央部分12c1と、第2の軟磁性体12Bが有する第1磁界渡し部分12eの延在方向中央位置12ecを含む中央部分12e1とが、Y1−Y2方向にギャップGを介して対向している。
図2に示すように、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cと、第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eとがギャップGを介して対向する位置(中央部分12c1及び中央部分12e1の対向箇所)には電極部16が配置されていない。即ち、平面視にて、電極部16間の間隔T1の位置に、ギャップGが位置している。このギャップGの箇所に、磁気検知体10の素子部11における電極部16が重ねられていない部分(即ち、磁気検知部分D)が配置される。
この磁気検知部分Dは、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cと第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eとに平面視でY1−Y2方向に挟まれて配置されている。また、磁気検知部分Dは、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cの先端12c2に対しX1向きにTa(Ta>0)だけ間隔をあけて配置され、かつ、第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eの先端12e2に対してX2向きにTb(Tb>0)だけ間隔をあけて配置されている。
本実施形態において、第1の軟磁性体12A及び第2の軟磁性体12Bは、Ta=Tb=3.45μmとなるように配置されている。
図2に示すように、外部磁界H1がX2方向に向けて作用したとき、外部磁界H1は、各軟磁性体12内、及び軟磁性体12A,12B間を通る矢印の磁路M1を進む。このとき、図4に示すように、素子部11に対して第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cから第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eとの間で、Y2方向への外部磁界H2が漏れ、この外部磁界H2が素子部11に作用する。即ち、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cと第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eとで一対の磁界渡し部分を構成する。
このように第1の磁気抵抗効果素子1及び第4の磁気抵抗効果素子4では、X2方向の外部磁界H1が軟磁性体12により進行方向がY2方向に変換されて素子部11に作用する。
素子部11では、電極部16が重ねられた部分において素子部11よりも優先的に電極部16に電流が流れ、この部分では素子部11としての感度をもたない。これにより、素子部11における電極部16が重ねられてない部分である磁気検知部分Dのみ磁気抵抗効果素子として機能する。
そして、各素子部11の感度軸方向(P)は、Y2方向である。またフリー磁性層63の磁化方向は素子部11の形状異方性によりX1−X2方向である。各素子部11にY2方向の外部磁界H2が作用することでフリー磁性層63の磁化方向はY2方向を向く。この結果、固定磁性層61の磁化方向とフリー磁性層63の磁化方向が同方向となり、磁気検知部分Dの電気抵抗値は小さくなる。
図5は、本実施形態における第2の磁気抵抗効果素子2及び第3の磁気抵抗効果素子3の部分拡大平面図である。
図5に示す第2の磁気抵抗効果素子2は、図5に示すように、磁気検知体10と、磁気検知体10と非接触に配置された複数の磁路形成体としての軟磁性体14と、を備えている。なお、第3の磁気抵抗効果素子3についても、図5に示す構成を有している。
第2の磁気抵抗効果素子2は、図2に示す第1の磁気抵抗効果素子1において複数の軟磁性体12に代えて、複数の軟磁性体14を有する以外は同一の構成を有している。即ち、図5に示す第2の磁気抵抗効果素子2と図2に示す第1の磁気抵抗効果素子1との間で磁気検知体10(素子部11及び電極部16)の構成に違いはない。
複数の軟磁性体14は、図5に示すように、素子部11(即ち、磁気検知体10)に沿ってX1−X2方向に並べて配置されている。各軟磁性体14はNiFe、CoFe、CoFeSiBやCoZrNb等で形成される。
図5においてX1−X2方向にて隣り合う2つの軟磁性体14のうち、X1側に配置された軟磁性体14を第3の軟磁性体14C、X2側に配置された軟磁性体14を第4の軟磁性体14Dと定義する。図5には、一組の軟磁性体14にのみ符号14C、14Dを付した。なお、軟磁性体14Dの一つ右隣の軟磁性体14及び二つ右隣の軟磁性体14に着目してこれら隣り合う2つの軟磁性体14をペアと考えれば、これらうちの左側が軟磁性体14Cとなり、右側が軟磁性体14Dとなる。X1−X2方向に間隔をあけて並べられた複数の軟磁性体14は、最もX1側から2つずつペアとなってそれぞれが軟磁性体14C、軟磁性体14Dとなるように設けられている。
第3の軟磁性体14Cは、磁気検知体10と交差してY1−Y2方向に延在する交差部分14aと、交差部分14aのY1側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の一端部)からX1方向に延出し、平面視にて素子部11のY1側に配置される第1磁界渡し部分14bと、交差部分14aのY2側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の他端部)からX2方向に延出し平面視にて素子部11のY2側に配置される第2磁界渡し部分14cと、を有して構成される。第3の軟磁性体14Cは、平面視で、クランク形状に屈曲された帯状に形成されている。
第4の軟磁性体14Dは、磁気検知体10と交差してY1−Y2方向に延在する交差部分14dと、交差部分14dのY1側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の一端部)からX1方向に延出し、平面視にて素子部11のY1側に配置される第1磁界渡し部分14eと、交差部分14dのY2側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の他端部)からX2方向に延出し平面視にて素子部11のY2側に配置される第2磁界渡し部分14fと、を有して構成される。第4の軟磁性体14Dは、平面視で、クランク形状に屈曲された帯状に形成されている。
本実施形態において、図5に示す複数の軟磁性体14(第3の軟磁性体14C、第4の軟磁性体14D)は、それぞれに対応する軟磁性体12(図2の第1の軟磁性体12A、第2の軟磁性体12B)を上下方向(Y1−Y2方向)に反転させた形状と同一である。
第3の軟磁性体14Cの交差部分14a及び第4の軟磁性体14Dの交差部分14dは、各電極部16とZ方向に離間して電極部16と平面視で交差するように配置される。交差部分14a、14dと電極部16との間には絶縁層25が介在し、交差部分14a、14dと電極部16とは電気的に非接触となっている。
第3の軟磁性体14Cは、第2磁界渡し部分14cのX1−X2方向の長さL14cが第1磁界渡し部分14bのX1−X2方向の長さL14bより長くなるように形成されている。第4の軟磁性体14Dは、第1磁界渡し部分14eのX1−X2方向の長さL14eが第2磁界渡し部分14fのX1−X2方向の長さL14fより長くなるように形成されている。
本実施形態において、第3の軟磁性体14Cは、第1磁界渡し部分14bの長さL14bが4.5μmとなり、第2磁界渡し部分14cの長さL14cが10.4μmとなるように形成され、交差部分14a、第1磁界渡し部分14b及び第2磁界渡し部分14cのいずれも幅が2.0μmとなるように形成されている。また、第4の軟磁性体14Dは、第1磁界渡し部分14eの長さL14eが10.4μmとなり、第2磁界渡し部分14fの長さL14fが4.5μmとなるように形成され、交差部分14d、第1磁界渡し部分14e及び第2磁界渡し部分14fのいずれも幅が2.0μmとなるように形成されている。
図5で符号を付した隣り合う2つの第3の軟磁性体14Cと第4の軟磁性体14Dを代表として着目すると、第3の軟磁性体14Cが有する第2磁界渡し部分14cの延在方向中央位置14ccを含む中央部分14c1と、第4の軟磁性体14Dが有する第1磁界渡し部分14eの延在方向中央位置14ecを含む中央部分14e1とが、Y1−Y2方向にギャップGを介して対向している。
図5に示すように、第3の軟磁性体14Cの第2磁界渡し部分14cと、第4の軟磁性体14Dの第1磁界渡し部分14eとがギャップGを介して対向する位置(中央部分14c1及び中央部分14e1の対向箇所)には電極部16が配置されていない。即ち、平面視にて、電極部16間の間隔T1の位置に、前記ギャップGが位置している。このギャップGの箇所に、磁気検知体10の素子部11における電極部16が重ねられていない部分(即ち、磁気検知部分D)が配置される。
この磁気検知部分Dは、第3の軟磁性体14Cの第2磁界渡し部分14cと第4の軟磁性体14Dの第1磁界渡し部分14eとに平面視でY1−Y2方向に挟まれて配置されている。また、磁気検知部分Dは、第3の軟磁性体14Cの第2磁界渡し部分14cの先端14c2に対してX1向きにTc(Tc>0)だけ間隔をあけて配置され、かつ、第4の軟磁性体14Dの第1磁界渡し部分14eの先端14e2に対してX2向きにTd(Td>0)だけ間隔をあけて配置されている。
本実施形態において、第3の軟磁性体14C及び第4の軟磁性体14Dは、Tc=Td=3.45μmとなるように配置されている。
図5に示すように、外部磁界H1がX2方向に向けて作用したとき、外部磁界H1は、各軟磁性体14内、及び軟磁性体14C,14D間を通る矢印の磁路M2を進む。このとき、素子部11に対して第3の軟磁性体14Cの第2磁界渡し部分14cから第4の軟磁性体14Dの第1磁界渡し部分14eとの間で、Y1方向への外部磁界H3が漏れ、この外部磁界H3が素子部11に作用する。即ち、第3の軟磁性体14Cの第2磁界渡し部分14cと第4の軟磁性体14Dの第1磁界渡し部分14eとで一対の磁界渡し部分を構成する。
このように第2の磁気抵抗効果素子2及び第3の磁気抵抗効果素子3では、X2方向の外部磁界H1が軟磁性体14により進行方向がY1方向に変換されて素子部11に作用する。
素子部11では、電極部16が重ねられた部分において素子部11よりも優先的に電極部16に電流が流れ、この部分では素子部11としての感度をもたない。これにより、素子部11における電極部16が重ねられてない部分である磁気検知部分Dのみ磁気抵抗効果素子として機能する。
そして、各素子部11の感度軸方向(P)は、Y2方向である。またフリー磁性層63の磁化方向は素子部11の形状異方性によりX1−X2方向である。そして、各素子部11にY1方向の外部磁界H3が作用することでフリー磁性層63の磁化方向はY1方向を向く。この結果、固定磁性層61の磁化方向とフリー磁性層63の磁化方向が反対方向となり、磁気検知部分Dの電気抵抗値は大きくなる。
このように、磁気センサSにX2方向の外部磁界H1が作用すると、第1の磁気抵抗効果素子1及び第4の磁気抵抗効果素子4の電気抵抗値が小さくなり、第2の磁気抵抗効果素子2及び第3の磁気抵抗効果素子3の電気抵抗値は大きくなり、図1に示すブリッジ回路により差動出力を得ることができる。
ここで比較例の磁気センサついて説明する。図6、図7は、比較例の磁気センサである。図6には第1の磁気抵抗効果素子及び第4の磁気抵抗効果素子を示す。図7には第2の磁気抵抗効果素子及び第3の磁気抵抗効果素子を示す。図6、図7に示す磁気検知体10の構造は図2、図3と同じである。
比較例の磁気センサが有する複数の軟磁性体72、74は、上述した実施形態の複数の軟磁性体12、14と同様の構成を有している。
即ち、複数の軟磁性体72は、図6に示すように、素子部11(即ち、磁気検知体10)に沿ってX1−X2方向に並べて配置されている。各軟磁性体72はNiFe、CoFe、CoFeSiBやCoZrNb等で形成される。複数の軟磁性体74についても同様である。
図6においてX1−X2方向にて隣り合う2つの軟磁性体72のうち、X1側に配置された軟磁性体72を第1の軟磁性体72A、X2側に配置された軟磁性体72を第2の軟磁性体72Bと定義する。図6には、一組の軟磁性体72にのみ符号72A,72Bを付した。なお、軟磁性体72Bの一つ右隣の軟磁性体72及び二つ右隣の軟磁性体72に着目してこれら隣り合う2つの軟磁性体72をペアと考えれば、これらうちの左側が軟磁性体72Aとなり、右側が軟磁性体72Bとなる。X1−X2方向に間隔をあけて並べられた複数の軟磁性体72は、最もX1側から2つずつペアとなってそれぞれが軟磁性体72A、軟磁性体72Bとなるように設けられている。
第1の軟磁性体72Aは、磁気検知体10と交差してY1−Y2方向に延在する交差部分72aと、交差部分72aのY2側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の一端部)からX1方向に延出し、平面視にて素子部11のY2側に配置される第1磁界渡し部分72bと、交差部分72aのY1側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の他端部)からX2方向に延出し、平面視にて素子部11のY1側に配置される第2磁界渡し部分72cと、を有して構成される。第1の軟磁性体72Aは、平面視で、クランク形状に屈曲された帯状に形成されている。
第2の軟磁性体72Bは、磁気検知体10と交差してY1−Y2方向に延在する交差部分72dと、交差部分72dのY2側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の一端部)からX1方向に延出し、平面視にて素子部11のY2側に配置される第1磁界渡し部分72eと、交差部分12dのY1側端部(即ち、磁気検知体10の幅方向の他端部)からX2方向に延出し、平面視にて素子部11のY1側に配置される第2磁界渡し部分72fと、を有して構成される。第2の軟磁性体72Bは、平面視で、クランク形状に屈曲された帯状に形成されている。
図7に示す複数の軟磁性体74(第3の軟磁性体74C、第4の軟磁性体74D)は、それぞれに対応する軟磁性体72(図6の第1の軟磁性体72A、第2の軟磁性体72B)を上下方向(Y1−Y2方向)に反転させた形状と同一であるので、説明を省略する。
図6の比較例の第1の磁気抵抗効果素子及び第4の磁気抵抗効果素子において図2に示す本実施形態の第1の磁気抵抗効果素子及び第4の磁気抵抗効果素子と異なる点は、磁気検知体10の磁気検知部分D(素子部11における電極部16が重ねられてない部分)と、第1の軟磁性体72Aの第2磁界渡し部分72c及び第2の軟磁性体72Bの第1磁界渡し部分72eとの位置関係である。
具体的には、図2に示す本実施形態では、磁気検知部分Dが、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分72cと第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分72eとの間に挟まれて配置されるとともに、磁気検知部分Dが、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cの先端12c2に対してX1向きに間隔Taをあけて配置されかつ第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eの先端12e2に対してX2向きに間隔Tbをあけて配置されている。
一方、比較例では、磁気検知部分Dが、第1の軟磁性体72Aの第2磁界渡し部分72cと第2の軟磁性体72Bの第1磁界渡し部分72eとの間に挟まれて配置される点は同じであるが、磁気検知部分Dが、第1の軟磁性体72Aの第2磁界渡し部分72cの先端72c2とY1−Y2方向に対向して配置され(即ち、先端72c2に対してX1向きではなく、反対のX2向きに間隔をあけている)かつ第2の軟磁性体72Bの第1磁界渡し部分72eの先端72e2とY1−Y2方向に対向して配置されている(即ち、X2向きではなく、反対のX1向きに間隔をあけている)。
ここで、図8に、棒磁石によって生じる磁界方向(磁力線)を模式的に示す。図8に示すように棒磁石は長手方向両端部に磁極が生じ、平面視長辺(図8のX1−X2方向に延びる辺)を見ると、両端に近いほど磁界方向が長辺と直交する方向(Y1−Y2方向)に向き、両端からはなれて長辺の長手方向中央に近づくほど磁界方向が長辺と平行に近づく。即ち、長尺形状の磁性体においては、形状磁気異方性により長手方向端部に磁極が生じやすく、この磁極が生じた端部から長手方向中央寄りに離れることで磁性体から生じる磁界における長手方向に直交する成分が比較的小さくなりかつ長手方向に平行な成分が比較的大きくなる。
そして、図6に示すように、比較例において、外部磁界H1がX2方向に向けて作用したとき、外部磁界H1は、軟磁性体72内、及び軟磁性体72A,72B間を通る矢印の磁路M3を進む。このとき、素子部11に対して第1の軟磁性体72Aの第2磁界渡し部分72cから第2の軟磁性体72Bの第1磁界渡し部分72eとの間で、Y2方向への外部磁界H2が漏れ、この外部磁界H2が素子部11に作用する。
そのあと、外部磁界H1が取り除かれて複数の軟磁性体72に残留磁化が生じた場合、形状磁気異方性により第1の軟磁性体72Aの第2磁界渡し部分72cの先端72c2及び第2の軟磁性体72Bの第1磁界渡し部分72eの先端72e2に磁極が現れる。そして、磁気検知部分Dが、これら先端72c2及び先端72e2とY1−Y2方向に対向して配置されているので、磁気検知部分Dに対して、残留磁化による磁界におけるY1−Y2方向の成分が比較的大きくなりかつX1−X2方向の成分が比較的小さくなり、そのため、磁気検知部分Dによって残留磁化による磁界(磁気)が検知されやすくなる。これにより、ヒステリシスの問題が生じる。
これに対して本実施形態では、磁気検知部分Dが、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cの先端12c2とX1方向にTa(Ta>0)だけ間隔をあけて配置され、かつ、第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eの先端12e2とX2方向にTb(Tb>0)だけ間隔をあけて配置されているので、磁気検知部分Dに対して、残留磁化による磁界におけるY1−Y2方向の成分が比較的小さくなりかつX1−X2方向の成分が比較的大きくなるため、磁気検知部分によって残留磁化による磁界(磁気)が検知されにくくなる。これにより、ヒステリシスの問題を改善できる。なお、図7の比較例の第2の磁気抵抗効果素子及び第3の磁気抵抗効果素子において図5に示す本実施形態の第2の磁気抵抗効果素子及び第3の磁気抵抗効果素子と異なる点についても同様であるので説明は省略する。
以上より、本実施形態によれば、外部磁界の磁路を形成するように磁気検知体10に沿って並べられた複数の軟磁性体12のうちの隣り合う2つの軟磁性体12A、12Bが、磁気検知体10に沿って帯状に延在するとともに平面視で磁気検知体10の磁気検知部分DをY1−Y2方向に挟み、互いの間を外部磁界が進行可能に対向して配置されて対をなす軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12c及び軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12e(即ち、一対の磁界渡し部分)を有している。そして、磁気検知部分Dが、軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cの先端12c2及び軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eの先端12e2の両方とX1−X2方向に間隔をあけて配置されている。これにより、対をなす軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12c及び軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eは、帯状に延在していることから形状磁気異方性により先端12c2及び先端12e2に磁極が現れ、これら先端12c2及び先端12e2から離れるにしたがって磁界の向きがX1−X2方向に沿うように変化し、つまり、磁界におけるX1−X2方向(延在方向)に直交する成分が小さくなりかつX1−X2方向に平行な成分が大きくなる。そのため、これら先端12c2及び先端12e2から離れて磁気検知部分Dを配置することで、軟磁性体12に残留磁化が生じた場合であっても、磁気検知部分Dによって検知される軟磁性体12A、12Bの残留磁化による磁界について当該磁気検知部分Dの感度軸方向(Y1−Y2方向)の成分をより小さくすることができる。複数の軟磁性体14についても同様である。このことから、残留磁化の変化の影響を低減することができる。
また、本実施形態によれば、磁気検知部分Dが、一対の磁界渡し部分である軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12c及び軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eのそれぞれの延在方向中央部分の両方とY1−Y2方向に対向して配置されている。これにより、磁気検知部分Dが、先端12c2及び先端12e2からより離れてその延在方向中央位置付近に配置されるので、磁気検知部分Dによって検知される軟磁性体12A、12Bの残留磁化による磁界について当該磁気検知部分Dの感度軸方向の成分をさらに小さくすることができる。複数の軟磁性体14についても同様である。このことから、残留磁化の変化の影響をさらに低減することができる。
また、本実施形態では、隣り合う2つの軟磁性体12A、12Bのそれぞれが、磁気検知体10と交差してY1−Y2方向に延在する交差部分12a、12dと、交差部分12a、12dにおけるY2側端部からX1方向に沿って帯状に延在する第1磁界渡し部分12b、12eと、交差部分12a、12dにおけるY1側端部からX2方向に沿って帯状に延在する第2磁界渡し部分12c、12fと、を有している。そして、隣り合う2つの軟磁性体12A、12Bのうちの一方の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cと他方の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eとで、一対の磁界渡し部分を構成している。複数の軟磁性体14についても同様である。
また、本実施形態では、隣り合う2つの軟磁性体12A、12Bのうちの一方の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cがその第1磁界渡し部分12bより長く形成され、他方の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eがその第2磁界渡し部分12fより長く形成されている。これにより、軟磁性体12A、12Bについて、形状磁気異方性を維持したまま、一方の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12c及び他方の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eから漏れる磁界の影響を低減した。複数の軟磁性体14についても同様である。
以上により、本実施形態では、比較例に示される従来の構成に比べてヒステリシスを効果的に改善することができる。
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の磁気センサは上記実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、磁気検知部分Dが、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cの先端12c2とX1向きにTa(Ta>0)だけ間隔をあけて配置され、かつ、第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eの先端12e2とX2向きにTb(Tb>0)だけ間隔をあけて配置されている構成であったが、これに限定されるものではない。磁気検知部分Dが、上記先端12c2とのみX1向きに間隔をあけて配置され、先端12e2とY1−Y2方向に対向して配置(即ち、X2向きに間隔をあけていない)された構成であってもよい。または、これとは逆に、磁気検知部分Dが、上記先端12e2とのみX2向きに間隔をあけて配置され、先端12c2とY1−Y2方向に対向して配置(即ち、X1向きに間隔をあけていない)された構成であってもよい。磁気検知部分Dと、第3の軟磁性体14C及び第4の軟磁性体14Dとの位置関係についても同様である。
また、上述した実施形態では、軟磁性体12の第1磁界渡し部分と第2磁界渡し部分とは長さが異なる構成であったが、これら第1磁界渡し部分と第2磁界渡し部分との長さを同一にしてもよい。軟磁性体14についても同様である。
また、上述した実施形態では、複数の軟磁性体12(及び軟磁性体14)が、最もX1側から2つずつペアとなってそれぞれが軟磁性体12A、12B(又は、軟磁性体14C、14D)となるように設けられ、これらペアの一方の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cと他方の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eとの間に磁気検知部分Dが設けられているものであったが、これに限定されるものではない。この他方の軟磁性体12Bは、そのX2側の軟磁性体12との関係で一方の軟磁性体12Aとなり、そのX2側の軟磁性体12が他方の軟磁性体12Bとなって、これらをペアとして一方の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cと他方の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eとの間に磁気検知部分Dが設けられているものであってもよい。軟磁性体14についても同様である。
図9〜図11に示す本発明の実施例及び比較例を用い、磁気検知部分Dと、複数の軟磁性体との位置関係、及び、軟磁性体の形状を変化させたときのヒステリシス量(中点ずれ)を求めた。
図9〜図11は、本発明の実施例及び比較例における磁気抵抗効果素子の部分拡大平面図である。
実施例1では、図9に示すように、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cの長さL12cを、第1磁界渡し部分12bの長さL12bより長くし、かつ、第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eの長さL12eを、第2磁界渡し部分12fの長さL12fより長くした。具体的には、第1の軟磁性体12Aは、第1磁界渡し部分12bの長さL12bが5.0μmとなり、第2磁界渡し部分12cの長さL12cが10.4μmとなるように形成し、交差部分12a、第1磁界渡し部分12b及び第2磁界渡し部分12cのいずれも幅が2.0μmとなるように形成している。また、第2の軟磁性体12Bは、第1磁界渡し部分12eの長さL12eが10.4μmとなり、第2磁界渡し部分12fの長さL12fが5.0μmとなるように形成し、交差部分12d、第1磁界渡し部分12e及び第2磁界渡し部分12fのいずれも幅が2.0μmとなるように形成している。長さL12bと長さL12fとは同じであり、長さL12cと長さL12eとは同じである。第1の軟磁性体12A及び第2の軟磁性体12Bの厚さは、3μmとした。また、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cの先端12c2から磁気検知部分DまでのX1向きの距離Taを3.45μmとし、第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eの先端12e2から磁気検知部分DまでのX2向きの距離Tbを3.45μmとした。電極部16間の間隔T1を2.5μmとした。
実施例2では、平面視形状を実施例1と同一にし(図9)、第1の軟磁性体12A及び第2の軟磁性体12Bの厚さを、2μmとした。
実施例3では、図10に示すように、第1の軟磁性体12Aの第1磁界渡し部分12bの長さL12bと第2磁界渡し部分12cの長さL12cとを同じ長さにし、かつ、第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eの長さL12eと第2磁界渡し部分12fの長さL12fとを同じ長さとした。具体的には、第1の軟磁性体12Aは、第1磁界渡し部分12bの長さL12b及び第2磁界渡し部分12cの長さL12cが共に8.4μmとなるように形成し、交差部分12a、第1磁界渡し部分12b及び第2磁界渡し部分12cのいずれも幅が2.0μmとなるように形成している。また、第2の軟磁性体12Bは、第1磁界渡し部分12eの長さL12e及び第2磁界渡し部分12fの長さL12fが共に8.4μmとなるように形成し、交差部分12d、第1磁界渡し部分12e及び第2磁界渡し部分12fのいずれも幅が2.0μmとなるように形成している。長さL12b、L12c、L12e、L12fは全て同じ長さである。第1の軟磁性体12A及び第2の軟磁性体12Bの厚さは、2μmとした。また、第1の軟磁性体12Aの第2磁界渡し部分12cの先端12c2から磁気検知部分DまでのX1向きの距離Taを2.45μmとし、第2の軟磁性体12Bの第1磁界渡し部分12eの先端12e2から磁気検知部分DまでのX2向きの距離Tbを2.45μmとした。電極部16間の間隔T1を2.5μmとした。
比較例では、図11に示すように、第1の軟磁性体72Aの第1磁界渡し部分72bの長さL72bと第2磁界渡し部分72cの長さL72cとを同じ長さにし、かつ、第2の軟磁性体72Bの第1磁界渡し部分72eの長さL72eと第2磁界渡し部分72fの長さL72fとを同じ長さとした。第1の軟磁性体72Aの平面視形状は、図10に示す実施例3の第1の軟磁性体12Aと同一であり、第2の軟磁性体72Bの形状は、図10に示す実施例3の第2の軟磁性体12Bと同一である。長さL72b、L72c、L72e、L72fは全て同じ長さである。第1の軟磁性体72A及び第2の軟磁性体72Bの厚さは、2μmとした。また、第1の軟磁性体72Aの第2磁界渡し部分72cの先端72c2と磁気検知部分DがY1−Y2方向に対向し、第2の軟磁性体72Bの第1磁界渡し部分72eの先端72e2と磁気検知部分DもY1−Y2方向に対向して配置した。換言すると、第1の軟磁性体72Aの第2磁界渡し部分72cの先端72c2から磁気検知部分DまでのX1向きの距離Taを−0.5μmとし、第2の軟磁性体72Bの第1磁界渡し部分72eの先端72e2から磁気検知部分DまでのX2向きの距離Tbを−0.5μmとした。電極部16間の間隔T1を2.5μmとした。
実施例1〜3の軟磁性体12及び比較例の軟磁性体72のY1−Y2方向長さは同一に設定してある。
実験では、各実施例の磁気センサ及び比較例の磁気センサのサンプルを3つずつ作成し、それぞれの磁気センサに、同じ大きさのX1−X2方向を向く外部磁界を作用させ、ヒステリシスループを得てその際のヒステリシス量(外部磁界を与えていないときのゼロ点からのずれ量)を測定した。その実験結果のグラフを図12に示す。
図12において、ヒステリシス量はいずれも0(mG)に近いほうが好ましい。
図12の実験結果に示すように、いずれも各実施例1〜3のほうが比較例に比べてヒステリシスを改善できたことがわかった。