JP2016090329A - タイヤ特性算出方法及びタイヤ特性算出装置 - Google Patents

タイヤ特性算出方法及びタイヤ特性算出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のタイヤ性能測定システムとは別の手法を用いて、従来方法に比べて容易に転動中のタイヤの横ばね定数を算出する。【解決手段】路面上で前記路面に対するスリップ角をタイヤに付与してタイヤを転動させた条件における、タイヤ回転軸と前記路面との間のスリップ角付き離間距離のデータと、タイヤの横力のデータと、をコンピュータが取得する。さらに、コンピュータが、前記スリップ角付き離間距離のデータと、スリップ角が0度のときのタイヤの転動中の前記回転軸と前記路面との間の0度離間距離のデータとを用いて、前記路面上でタイヤが仮想的に横変位する仮想横変位量を算出する。この後、コンピュータが、前記横力のデータと前記仮想横変位量を用いて、転動中のタイヤの横ばね定数を算出する。【選択図】 図3

Description

本発明は、タイヤ特性を算出するタイヤ特性算出方法及びタイヤ特性算出装置に関する。
車両の操縦安定性に影響を与える空気入りタイヤ(以降、単にタイヤという)の操縦安定性の一指標として、タイヤの横ばね定数がある。タイヤの横ばね定数が高いタイヤほど、タイヤが横力に対して変形しにくいので、大きな時間遅れをすることなく大きな横力を発揮することができる。このようなタイヤ特性は、縦ばね定数ともに、タイヤが静的な状態で、すなわち非回転状態で、タイヤ周上の1箇所を路面に接地させて所定の荷重をタイヤに与えてタイヤを接地させる。このとき接地したタイヤと路面との間に相対的な横方向(タイヤ幅方向)の変位を与えてタイヤあるいは路面に作用する横力を測定する。
これに対して、実際の使用状態に近い状況で空気入りタイヤのばね定数を測定することができるタイヤ性能測定システムが知られている(特許文献1)。
タイヤ性能測定システムは、具体的には、接地面上でタイヤを回転させる試験機と、試験機での試験条件を設定する条件設定部と、タイヤと接地面とを相対的に移動させている状態で、タイヤの周上の少なくとも一部の変形を測定する変形測定部と、変形測定部で検出した変形と、条件設定部で設定された試験条件とに基づいて、タイヤのばね定数を算出するばね定数算出部と、を有する。
特開2011−237258公報
しかし、上記タイヤ性能測定システムでは、回転中のタイヤの変形を測定するための撮像装置や照明用ランプを必要とするので、タイヤのばね定数を容易に算出することは難しい。
そこで、本発明は、従来のタイヤ性能測定システムとは別の手法を用いて、従来方法に比べて容易に転動中のタイヤの横ばね定数を算出することができるタイヤ特性算出方法及びタイヤ特性算出装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、コンピュータを用いてタイヤ特性を算出するタイヤ特性算出方法である。当該タイヤ特性算出方法は、
路面上で前記路面に対するスリップ角をタイヤに付与してタイヤを転動させた条件における、タイヤ回転軸と前記路面との間のスリップ角付き離間距離のデータと、タイヤの横力のデータと、をコンピュータが取得するステップと、
前記コンピュータが、前記スリップ角付き離間距離のデータと、スリップ角が0度のときのタイヤの転動中の前記回転軸と前記路面との間の0度離間距離のデータとを用いて、前記路面上でタイヤが仮想的に横変位する仮想横変位量を算出するステップと、
前記コンピュータが、前記横力のデータと前記仮想横変位量を用いて、転動中のタイヤの横ばね定数を算出するステップと、を有する。
前記仮想横変位量を算出するステップでは、前記0度離間距離のデータの二乗から前記スリップ角付き離間距離のデータの二乗を差し引いた差分の平方根を前記仮想横変位量とする、ことが好ましい。
前記仮想横変位量を算出するステップでは、前記0度離間距離のデータのε倍(εは0より大きく1未満の定数)した第1の値と、前記スリップ角付き離間距離のデータから前記0度離間距離のデータを(1−ε)倍した値を引いた結果である第2の値を求め、前記第1の値の二乗から前記第2の値の二乗を差し引いた差分の平方根を前記仮想横変位量とする、ことも好ましい。
前記コンピュータは、前記スリップ角を複数の値で変化させた複数の条件で、タイヤのスリップ角付き離間距離のデータと、タイヤの横力のデータと、を取得し、前記スリップ角の各条件における前記仮想横変位量と前記横力データとの関係を求め、前記関係から、前記仮想横変位量が0になるときの前記横力データの前記仮想横変位量に対する勾配を算出することにより、前記転動中のタイヤの横ばね定数を算出する、ことが好ましい。
前記スリップ角の複数の条件は、0度より大きい角度、及び0度より小さい角度を含む、ことが好ましい。
前記仮想横変位量の算出に用いる前記スリップ角付き離間距離のデータは、前記横力のデータが、タイヤを転動するために前記路面に接地させたときの垂直荷重の半分以下であるときのデータである、ことが好ましい。
本発明の更に他の一態様は、タイヤ特性を算出するタイヤ特性算出装置である。当該タイヤ特性算出装置は、
路面上で前記路面に対するスリップ角をタイヤに付与してタイヤを転動させた条件における、タイヤの回転軸と前記路面との間のスリップ角付き離間距離のデータと、タイヤの横力のデータと、を取得するデータ取得部と、
前記スリップ角付き離間距離のデータと、スリップ角が0度のときのタイヤの転動中の前記回転軸と前記路面との間の0度離間距離のデータとを用いて、前記路面上でタイヤが仮想的に横変位する仮想横変位量を算出する第1の演算部と、
前記横力データと前記仮想横変位量を用いて、転動中のタイヤの横ばね定数を算出する第2の演算部、を有する。
前記第1の演算部は、前記0度離間距離のデータの二乗から前記スリップ角付き離間距離のデータの二乗を差し引いた差分の平方根を前記仮想横変位量とする、ことが好ましい。
前記第1の演算部は、前記0度離間距離のデータのε倍(εは0より大きく1未満の定数)した第1の値と、前記スリップ角付き離間距離のデータから前記0度離間距離のデータの(1−ε)倍した値を引いた結果である第2の値を求め、前記第1の値の二乗から前記第2の値の二乗を差し引いた差分の平方根を前記仮想横変位量とする、ことが好ましい。
上述のタイヤ特性算出方法及びタイヤ特性算出装置によれば、従来の方法に比べて容易に転動中のタイヤの横ばね定数を算出することができる。
(a),(b)は、スリップ角αを付加した転動中のタイヤを説明する図である。 タイヤ回転軸と路面との間の離間距離Z(α)のタイヤのスリップ角αに対する変化の一例を説明する図である。 (a),(b)は、本実施形態の仮想横変位量Δy(α)の算出方法の一例を説明する図である。 本実施形態のタイヤ特性算出装置の構成を説明する図である。 横力Fy(α)の仮想横変位量Δy(α)に対する変化の一例を示す図である。 本実施形態のタイヤ特性算出方法のフローを説明する図である。 本実施形態の仮想横変位量Δy(α)の算出方法の他の例を説明する図である。 (a)〜(c)は、図7に示す算出方法と異なる更に他の算出方法を説明する図である。 本実施形態の方法で求めた横ばね定数と、従来の測定方法で得られる横ばね定数を比較する図である。 (a),(b)は、横ばね定数の対応関係を示す図である。
以下、本発明のタイヤ特性算出方法及びタイヤ特性算出装置について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
(横ばね定数の算出の概要)
図1(a),(b)は、スリップ角αを付加した転動中のタイヤを説明する図である。本実施形態では、キャンバー角0度を前提とする。スリップ角αは、タイヤの回転軸に垂直な面と、タイヤと路面との相対的な移動方向を含む路面に垂直な面との間の路面上における傾斜角度をいう。タイヤ10は、路面12を負荷荷重Fz及び走行速度Vの計測条件で走行している。さらに、タイヤ10にはスリップ角αが付与される。このときタイヤ10のタイヤ回転軸14に働く横力Fyが計測される。このように、負荷荷重Fz、走行速度V、及びスリップ角αの条件で、横力Fyを計測するタイヤ試験機としては、公知の試験機を用いることができる。タイヤ試験機として、例えば、ベルトの面を路面としたベルト式タイヤ試験機や、ドラムの面を路面としたドラム式タイヤ試験機を挙げることができる。本実施形態では、スリップ角αを与えて横力Fyを計測するとき、タイヤ10のタイヤ回転軸14と路面12との間のスリップ角付き離間距離Z(α)を取得する。Z(α)も、タイヤ試験機に組み込まれた変位計によって計測することができる。
図2は、上記スリップ角付き離間距離Z(α)のタイヤ10のスリップ角αに対する変化の一例を説明する図である。図2に示すように、スリップ角付き離間距離Z(α)は、スリップ角αが大きくなる程小さくなる。図3では、正のスリップ角αでも、負のスリップ角αでも、スリップ角αの絶対値が大きくなる程、スリップ角付き離間距離Z(α)は小さくなる。このようにスリップ角付き離間距離Z(α)がスリップ角αの絶対値の増加に伴って小さくなるのは、スリップ角αがタイヤ10に与えられることで、タイヤ10のサイド部が横方向に変形して、その変形に応じて縦撓み量が変化するからである。したがって、タイヤ10の縦撓み量の情報を含んだスリップ角付き離間距離Z(α)は、タイヤ10のサイドの形状横方向に変形した横変位量の情報を含んでいる。本実施形態では、横変位量の情報、すなわち、スリップ角αにおけるタイヤ10の仮想横変位量を、スリップ角付き離間距離Z(α)と、スリップ角0度における0度離間距離Z(0)を用いて算出することができる。
図3(a),(b)は、タイヤ10がスリップ角αを与えられて横変形することを説明する模式図である。タイヤ10は、スリップ角0度の状態からスリップ角αが与えられてサイド部が横方向に変形する。この横変形16に応じて、スリップ角付き離間距離Z(α)は、0度スリップ角離間距離Z(0)と異なる値に変化する。
したがって、図3(a)に示すサイド部の横変形16を、図3(b)に示すように模式的に表すことができる。すなわち、図3(b)に示すように、横変形16における仮想横変位量Δy(α)は、図3(b)に示す直角三角形の底辺の長さとして表すことができる。したがって、図3(b)に示すように、スリップ角付き離間距離Z(α)と0度離間距離Z(0)を用いて、直角三角形の三平方の定理にしたがって仮想横変位量Δy(α)を算出することができる。
本実施形態では、この仮想横変位量Δy(α)と横力の計測結果とを用いて、転動中のタイヤの横ばね定数を算出する。
(タイヤ特性算出装置)
図4は、本実施形態の横はね定数Kyを算出するタイヤ特性算出装置20の構成を説明する図である。タイヤ特性算出装置20は、コンピュータにより構成される。コンピュータの図示されないメモリに記憶されるプログラムを起動することによってデータ取得部22、第1の演算部24、及び第2の演算部26が形成される。すなわち、データ取得部22、第1の演算部24、及び第2の演算部26は、プログラムが起動することにより形成されるソフトウェアモジュールである。したがって、データ取得部22、第1の演算部24、及び第2の演算部26の動作は、実質的にコンピュータの図示されないCPUによって司られる。
データ取得部22は、上述したタイヤ試験機で計測されて出力される、スリップ角0度の0度離間距離Z(0)、スリップ角αにおけるスリップ角付き離間距離Z(α)、及び横力Fy(α)と、計測条件であるスリップ角α及び負荷荷重Fzのデータを取得する。
第1の演算部24は、スリップ角付き離間距離Z(α)と、0度離間距離Z(0)とを用いて、路面12上でタイヤ10が仮想的に横変位する仮想横変位量Δy(α)を算出する。仮想横変位量Δy(α)は、例えば図3(b)に示す方法を用いて算出することが好ましい。この場合、具体的には、0度離間距離Z(0)の二乗からスリップ角付き離間距離Z(α)の二乗を差し引いた差分の平方根を仮想横変位量Δy(α)とする。
第2の演算部26は、横力Fy(α)と仮想横変位量Δy(α)を用いて、転動中のタイヤ10の横ばね定数を算出する。算出した横ばね定数は、プリンタやディスプレイ等の出力装置30に送られる。横ばね定数の算出方法は、特に制限されないが、仮想横変位量Δy(α)は、スリップ角αにおけるスリップ角付き軸間距離Z(α)から算出されたものである。スリップ角αの条件では、タイヤ10のトレッド部が路面12と接触を開始する踏み込み端から路面12との接触が終了し離間する蹴り出し端に進むにしたがって路面に対するトレッド部の横変位量は徐々に大きくなる。つまり、スリップ角αにおいては、横変位量は路面12と接地するタイヤ10の接地面内では一定していない。このため、横ばね定数を算出する場合、仮想横変位量Δy(α)は小さい条件で求めることが好ましく、この小さい仮想横変位量Δy(α)で横力Fy(α)を割り算した結果を横ばね定数とすることができる。特に、スリップ角αが極めて0に近いときの横力Fy(α)の仮想横変位量Δy(α)に対する変化(勾配)を求めることにより、横ばね定数Kyを求めることが好ましい。
具体的には、データ取得部22は、スリップ角αを複数の値で変化させた複数の計測条件で、タイヤのスリップ角付き離間距離Z(α)と、タイヤ10の横力Fy(α)と、を取得する。第1の演算部24は、スリップ角αの各計測条件における仮想横変位量Δy(α)と横力Fy(α)との関係を求める。このとき、第2の演算部26は、求めた関係から、仮想横変位量Δy(α)が0になるときの横力Fy(α)の仮想横変位量Δy(α)に対する勾配を算出することにより、転動中のタイヤ10の横ばね定数Kyを算出する。
図5は、横力Fy(α)の仮想横変位量Δy(α)に対する変化の一例を示す図である。図5に示すように、仮想横変位量Δy(α)の絶対値が大きくなる程横力Fy(α)は大きくなることを示している。この関係を用いて、第2の演算部26は、仮想横変位量Δy(α)が0における横力Fy(α)の勾配を算出し、この勾配を横ばね定数Kyとすることができる。例えば、図5にプロットされたデータを直線回帰あるいは曲線回帰し、これにより得られる直線の式あるいは曲線の式を用いて、仮想横変位量Δy(α)が0における横力Fy(α)の勾配を算出することができる。
(タイヤ特性算出方法)
図6は、本実施形態のタイヤ特性算出方法のフローの一例を示す図である。
まず、スリップ角αをタイヤ10に付与してタイヤ10を転動させた条件におけるスリップ角付き離間距離Z(α)と、タイヤ10の横力Fy(α)とがデータ取得部22により取得される(ステップS10)。このとき、0度離間距離Z(0)と計測条件であるスリップ角α及び負荷荷重Fzのデータもデータ取得部22により取得される(ステップS10)。
次に、スリップ角付き離間距離Z(α)と、スリップ角0度における0度離間距離Z(0)とを用いて、路面12に対してタイヤ10が仮想的に横変位する仮想横変位量Δy(α)が、第1の演算部24によって算出される(ステップS12)。このとき、図3(b)に示すような、Z(α)、Z(0)、及びΔy(α)の直角三角形の幾何学制限にしたがって、0度離間距離Z(0)の二乗からスリップ角付き離間距離Z(α)のデータの二乗を差し引いた差分の平方根を仮想横変位量Δy(α)とすることが好ましい。これにより、横ばね定数Kyの算出に用いる仮想横変位量Δy(α)を容易に算出することができる。
上記仮想横変位量Δy(α)の算出方法に代えて、図7に示すような方法を用いることも好ましい。図7に示す方法は、タイヤ10のサイド部のビード部近くでは横変形が極めて小さく、サイド部の0度離間距離Z(0)のトレッド部に近い一部しか横変形しないことを想定している。したがって、図7に示す方法は、幅広のタイヤあるいは低扁平率のタイヤに対して適用することが好ましい。この場合、図7に示すように、0度離間距離Z(0)のうち、路面12と接触するタイヤ径方向外側の部分、すなわち0度離間距離Z(0)のε倍の部分のみが横変形18をするとして図7に示す直角三角形の横変形18にしたがって、仮想横変位量Δy(α)を算出することが好ましい。すなわち、0度離間距離Z(0)のε倍(εは0より大きく1未満の定数)した第1の値と、スリップ角付き離間距離Z(α)から0度離間距離のデータの(1−ε)倍した値を引いた結果である第2の値が第1の演算部24で求められる。そして、第1の演算部24では、求めた第1の値の二乗から求めた第2の値の二乗を差し引いた差分の平方根を仮想横変位量とされる。
さらに、図7に示す仮想変位量Δy(α)の算出方法に代えて、横変形18を直角三角形の斜辺のような直線状の変形とせず、図8(a)に示すように横変位する方向と逆方向(図8(a)では左方向)に丸くなった湾曲形状の横変形18とすることもできる。図8(a)〜(c)は、図7に示す算出方法と異なるさらに他の算出方法を説明する図である。図8(a)に示すような湾曲形状の横変形18は、横変位を受けたタイヤのサイド部の変形形状に近似するような形状である。この場合においても、図7に示す算出方法と同様に、(1−ε)・Z(0)の位置より図8(a)中の下方(タイヤ径方向外側)において変形することを想定している。図8(b)に示すように、横変形18の上記湾曲形状を曲線y=Fy(α)・λ(Z)と表す場合、図8(c)に示す式の右辺に規定される曲線に沿ったペリフェリ長が、ε・Z(0)であるようなZαを求める。このZαにおけるy方向の位置、すなわち、Fy(α)・λ(Zα)が仮想横変位量Δy(α)となる。このように、横変形18を曲線形状で表して、仮想横変位量Δy(α)を算出することもできる。なお、λ(Z)は、Zの多項式や指数関数等で表すことができる。
このような仮想横変位量Δy(α)は、スリップ角αを異ならせた複数の条件で得られる。具体的には、スリップ角αを複数の値で変化させた複数の条件で、タイヤ10のスリップ角付き離間距離Z(α)と、タイヤ10の横力Fy(α)と、を取得する。そして、第1の演算部24にて、図5に示すようなスリップ角αの各条件における仮想横変位量Δy(α)と横力Fy(α)との関係が求められる(ステップS14)。
この後、ステップS14で求めた関係から、第2の演算部26では、仮想横変位量Δy(α)が0になるときの横力Fy(α)の仮想横変位量Δy(α)に対する勾配が算出される。この勾配が横ばね定数Kyとされる(ステップS16)。例えば、図5に示すような関係を、直線回帰あるいは曲線回帰し、これによって得られる直線の式あるいは曲線の式を用いて仮想横変位量Δy(α)が0になるときの横力Fy(α)の勾配を算出することが好ましい。
このように、本実施形態では、スリップ角αを与えたときの転動中のタイヤ10の横ばね定数Kyを、仮想横変位量Δy(α)を算出することにより算出することができる。仮想横変位量Δy(α)は、タイヤ10のサイド部の横変形形状を撮像することなく、タイヤ回転軸14と路面12との間のスリップ角付き離間距離Z(α)と0度離間距離Z(0)を用いて算出することができる。したがって、本実施形態では、従来と異なる方法で、従来の方法に比べて容易に転動中のタイヤの横ばね定数を算出することができる。
このとき、スリップ角αは複数のスリップ角の条件でタイヤ10に与えられるが、スリップ角αは、0度より大きい角度、及び0度より小さい角度を含むことが、より精度の高い横ばね定数Kyを求める点から好ましい。
また、仮想横変位量Δy(α)の算出に用いるスリップ角付き離間距離Z(α)は、横力Fy(α)が、タイヤ10を転動するために路面12に接地させたときの垂直荷重である負荷荷重Fzの半分以下であるときのデータであることが、仮想横変位量Δy(α)を算出する上で好ましい。横力Fy(α)が負荷荷重Fzの半分を超えると、横力Fy(α)によって、タイヤ10のトレッド部が浮き上がるため、サイド部の横変形と仮想横変位量Δy(α)の関係が崩れる。このため、図2(b)や図7に示す直角三角形の横変形から求める仮想横変位量Δy(α)の精度が低下する。
図9は、本実施形態の方法で求めた横ばね定数と、従来の静的な横ばね定数を測定する方法で得られる横ばね定数を比較する図である。図9は、タイヤA,B(タイヤサイズ:195/65R15、空気圧230kPa、負荷荷重Fz=4.2kN)の横ばね定数の結果である。図9中のa〜dは、タイヤ周上の4箇所のトレッド部の位置を示し、非回転のタイヤを各位置で路面に接地させたときの静的な横ばね定数の結果である。タイヤA,Bはタイヤ周上のトレッド位置で横ばね定数がばらついていることがわかる。特にタイヤAの横ばね定数のばらつきは大きく、タイヤAの位置aでは横ばね定数がタイヤBに比べて大きいと判断され、タイヤAの位置bでは横ばね定数がタイヤBに比べて小さいと判断される。このように、従来の方法による静的な横ばね定数はばらつくため、正しくタイヤの横ばね定数を評価することはできない。これに対して、本実施形態では、タイヤを転動させたときのタイヤ周上の平均的な横ばね定数であるので、従来の静的な横ばね定数に比べて正確なタイヤの横ばね定数を評価することができる。
図10(a),(b)は、本実施形態で算出される横ばね定数Kyと従来の方法で得られる横ばね定数の結果の一例を示す図である。図10(a)は、タイヤにスリップ角を与えたときの過渡応答時の横力の計測データからタイヤ力学モデルで用いて算出した横ばね定数KLrと、本実施形態で算出した横ばね定数Kyとの対応関係を示す。図10(b)は、従来の静的な横ばね定数の算出方法(タイヤ周上の1箇所のトレッド部の位置で非回転のタイヤを路面に接地させて横変位を与えて横ばね定数を算出する方法)で得られる従来の横ばね定数と、上記横ばね定数KLrとの対応関係を示す。上記横ばね定数KLrは、特開2012−171467号公報に記載された方法で算出されたものである。この横ばね定数KLrは、上記公報に記載されるように、上記タイヤ過渡応答時の横力の計測データを、タイヤ力学モデルを用いて正確に再現できる値である。したがって、横ばね定数KLrは、実際のタイヤの横ばね定数を表しているといえる。
このような横ばね定数KLrに対して、図10(a)に示すように、本実施形態の横はね定数Kyは、良く対応しており、横ばね定数KLrと相関が高いことがわかる。これに対して、従来の静的な横ばね定数では、図10(b)に示すように、横ばね定数KLrに対して相関が低い。これより、本実施形態の横ばね定数Kyの効果は明らかである。
以上、本発明のタイヤ特性算出方法及びタイヤ特性算出装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 タイヤ
12 路面
14 タイヤ回転軸
16 横変形
20 タイヤ特性算出装置
22 データ取得部
24 第1の演算部
26 第2の演算部
30 出力装置


Claims (9)

  1. コンピュータを用いてタイヤ特性を算出するタイヤ特性算出方法であって、
    路面上で前記路面に対するスリップ角をタイヤに付与してタイヤを転動させた条件における、タイヤ回転軸と前記路面との間のスリップ角付き離間距離のデータと、タイヤの横力のデータと、をコンピュータが取得するステップと、
    前記コンピュータが、前記スリップ角付き離間距離のデータと、スリップ角が0度のときのタイヤの転動中の前記回転軸と前記路面との間の0度離間距離のデータとを用いて、前記路面上でタイヤが仮想的に横変位する仮想横変位量を算出するステップと、
    前記コンピュータが、前記横力のデータと前記仮想横変位量を用いて、転動中のタイヤの横ばね定数を算出するステップと、を有するタイヤ特性算出方法。
  2. 前記仮想横変位量を算出するステップでは、前記0度離間距離のデータの二乗から前記スリップ角付き離間距離のデータの二乗を差し引いた差分の平方根を前記仮想横変位量とする、請求項1に記載のタイヤ特性算出方法。
  3. 前記仮想横変位量を算出するステップでは、前記0度離間距離のデータのε倍(εは0より大きく1未満の定数)した第1の値と、前記スリップ角付き離間距離のデータから前記0度離間距離のデータを(1−ε)倍した値を引いた結果である第2の値を求め、前記第1の値の二乗から前記第2の値の二乗を差し引いた差分の平方根を前記仮想横変位量とする、請求項1に記載のタイヤ特性算出方法。
  4. 前記コンピュータは、前記スリップ角を複数の値で変化させた複数の条件で、タイヤのスリップ角付き離間距離のデータと、タイヤの横力のデータと、を取得し、前記スリップ角の各条件における前記仮想横変位量と前記横力データとの関係を求め、前記関係から、前記仮想横変位量が0になるときの前記横力データの前記仮想横変位量に対する勾配を算出することにより、前記転動中のタイヤの横ばね定数を算出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ特性算出方法。
  5. 前記スリップ角の複数の条件は、0度より大きい角度、及び0度より小さい角度を含む、請求項4に記載のタイヤ特性算出方法。
  6. 前記仮想横変位量の算出に用いる前記スリップ角付き離間距離のデータは、前記横力のデータが、タイヤを転動するために前記路面に接地させたときの垂直荷重の半分以下であるときのデータである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ特性算出方法。
  7. タイヤ特性を算出するタイヤ特性算出装置であって、
    路面上で前記路面に対するスリップ角をタイヤに付与してタイヤを転動させた条件における、タイヤの回転軸と前記路面との間のスリップ角付き離間距離のデータと、タイヤの横力のデータと、を取得するデータ取得部と、
    前記スリップ角付き離間距離のデータと、スリップ角が0度のときのタイヤの転動中の前記回転軸と前記路面との間の0度離間距離のデータとを用いて、前記路面上でタイヤが仮想的に横変位する仮想横変位量を算出する第1の演算部と、
    前記横力データと前記仮想横変位量を用いて、転動中のタイヤの横ばね定数を算出する第2の演算部、を有するタイヤ特性算出装置。
  8. 前記第1の演算部は、前記0度離間距離のデータの二乗から前記スリップ角付き離間距離のデータの二乗を差し引いた差分の平方根を前記仮想横変位量とする、請求項7に記載のタイヤ特性算出装置。
  9. 前記第1の演算部は、前記0度離間距離のデータのε倍(εは0より大きく1未満の定数)した第1の値と、前記スリップ角付き離間距離のデータから前記0度離間距離のデータの(1−ε)倍した値を引いた結果である第2の値を求め、前記第1の値の二乗から前記第2の値の二乗を差し引いた差分の平方根を前記仮想横変位量とする、請求項7に記載のタイヤ特性算出装置。
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