JP2016008667A - ブレーキパッド及びブレーキパッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性の低下を抑制することと騒音の抑制とを両立することができるブレーキパッド及びブレーキパッドの製造方法を提供する。
【解決手段】ディスクロータ4の軸方向においてディスクロータを挟んで対向する一対のパッド2,3を備え、一対のパッドは、それぞれ摩擦材22,32および摩擦材を支持する裏板21,31を有し、一対のパッドのうちの一方は、裏板における摩擦材側の面あるいは摩擦材側と反対側の面に形成された凹部23と、材質が上記一方の有する裏板の材質とは異なり、凹部に嵌め込まれた板状部材6と、を有し、一方の固有振動数と他方の固有振動数が異なっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ブレーキパッド及びブレーキパッドの製造方法に関する。
従来、ディスクブレーキのブレーキパッドがある。例えば、特許文献1には、裏板が、所定の板厚を有する平板形状の複数枚のプレートが板厚方向に積層され、且つ複数部位において一体化手段により相互に一体的に固設されたものであるディスクブレーキのブレーキパッドの技術が開示されている。
特開平11−218164号公報
ディスクロータを挟んで対向する一対のパッドにおいて、2つのパッドの振動特性を異ならせることができれば、制動時に発生する騒音を抑制する上で有効である。しかしながら、単に一方のパッドの裏板全体の材質を変更することにより振動特性を調節すると、専用のパッドが別途必要であったり、2種のパッドの特性が全く異なったりすることから、パッドの耐久性の面で必要性能を満足させることが難しい。
本発明の目的は、耐久性の低下を抑制することと騒音の抑制とを両立することができるブレーキパッド及びブレーキパッドの製造方法を提供することである。
本発明のブレーキパッドは、ディスクロータの軸方向において前記ディスクロータを挟んで対向する一対のパッドを備え、前記一対のパッドは、それぞれ摩擦材および前記摩擦材を支持する裏板を有し、前記一対のパッドのうちの一方は、前記裏板における前記摩擦材側の面あるいは前記摩擦材側と反対側の面に形成された凹部と、材質が前記一方の有する前記裏板の材質とは異なり、前記凹部に嵌め込まれた板状部材と、を有し、前記一方の固有振動数と他方の固有振動数が異なっていることを特徴とする。
上記ブレーキパッドにおいて、前記凹部および前記板状部材は、前記一方が有する前記裏板の中央部に配置されていることが好ましい。
本発明のブレーキパッドは、ディスクロータの軸方向において前記ディスクロータを挟んで対向する一対のパッドを備え、前記一対のパッドは、それぞれ摩擦材および前記摩擦材を支持する裏板を有し、前記一対のパッドのうちの一方は、前記裏板を軸方向に貫通する貫通孔と、材質が前記一方の有する前記裏板の材質とは異なり、前記貫通孔に嵌め込まれた板状部材と、を有し、前記一方の固有振動数と他方の固有振動数が異なっていることを特徴とする。
上記ブレーキパッドにおいて、前記貫通孔および前記板状部材は、前記一方が有する前記裏板の中央部に配置されていることが好ましい。
上記ブレーキパッドにおいて、前記板状部材における前記摩擦材側と反対側の面は、前記一方が有する前記裏板における前記摩擦材側と反対側の面と同一面上にあることが好ましい。
上記ブレーキパッドにおいて、前記板状部材と前記一方が有する前記裏板との間に弾性部材が介在していることが好ましい。
本発明のブレーキパッドの製造方法は、パッドの裏板における摩擦材側と反対側の面に略矩形の凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部の四隅に孔部を形成して、形状が矩形の板状部材の角部との干渉部分を除去する孔部形成工程と、前記裏板とは異なる材質で構成された前記板状部材を前記凹部に嵌め込む嵌め込み工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るブレーキパッドは、ディスクロータの軸方向においてディスクロータを挟んで対向する一対のパッドを備える。一対のパッドは、それぞれ摩擦材および摩擦材を支持する裏板を有し、一対のパッドのうちの一方は、裏板における摩擦材側の面あるいは摩擦材側と反対側の面に形成された凹部と、材質が一方の有する裏板の材質とは異なり、凹部に嵌め込まれた板状部材と、を有し、一方の固有振動数と他方の固有振動数が異なっている。
本発明に係るブレーキパッドによれば、裏板の一部を板状部材に置き換えることで一方のパッドと他方のパッドの固有振動数を異ならせることができ、制動時に発生する騒音を低減することが可能である。また、裏板の一部を板状部材に置き換える構成であることから、既存のパッドを利用することもでき別途パッドを用意する必要がない。更に、裏板全体を置き換える場合よりもパッドの特性の変化が少なくパッドの耐久性面での必要性能を満足させることが容易となる。
図1は、第1実施形態に係るディスクブレーキの断面図である。 図2は、第1実施形態に係る第一パッドの裏板の平面図である。 図3は、第1実施形態に係る第一パッドの平面図である。 図4は、ブレーキパッドおよびディスクロータで発生する振動の説明図である。 図5は、第1実施形態の第1変形例に係るディスクブレーキの断面図である。 図6は、第1実施形態の第1変形例に係る第一パッドの裏板の平面図である。 図7は、第1実施形態の第1変形例に係る第一パッドの平面図である。 図8は、第1実施形態の第1変形例に係るパッドの振動特性を示す図である。 図9は、凹部が形成される前の第一パッドの断面図である。 図10は、凹部が形成される前の第一パッドの平面図である。 図11は、凹部形成工程を説明する断面図である。 図12は、凹部形成工程によって凹部が形成された後の第一パッドの平面図である。 図13は、孔部形成工程によって孔部が形成された第一パッドの断面図である。 図14は、孔部形成工程によって孔部が形成された第一パッドの平面図である。 図15は、第1実施形態の第2変形例に係る第一パッドの平面図である。 図16は、第1実施形態の第2変形例に係るパッドの振動特性を示す図である。 図17は、第2実施形態に係る第一パッドの断面図である。 図18は、第2実施形態に係る第一パッドの平面図である。 図19は、貫通孔が形成された第一パッドの断面図である。 図20は、貫通孔が形成された第一パッドの裏板を示す平面図である。 図21は、孔部が形成された第一パッドの断面図である。 図22は、孔部が形成された第一パッドの裏板を示す平面図である。 図23は、各実施形態の変形例に係るパッドの振動特性を示す図である。
以下に、本発明の実施形態に係るブレーキパッド及びブレーキパッドの製造方法につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1から図4を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、ブレーキパッドに関する。図1は、本発明の第1実施形態に係るディスクブレーキの断面図、図2は、第1実施形態に係る第一パッドの裏板の平面図、図3は、第1実施形態に係る第一パッドの平面図、図4は、ブレーキパッドおよびディスクロータで発生する振動の説明図である。
図1に示すように、実施形態に係るディスクブレーキ1は、ブレーキパッド10と、ディスクロータ4と、ピストン5を含んで構成されている。ブレーキパッド10は、第一パッド2と、第二パッド3を含んで構成されている。本明細書において特に記載しない場合、「軸方向」は、ディスクロータ4の軸方向を示し、「周方向」は、ディスクロータ4の中心軸線Xを回転中心とする回転方向を示し、「径方向」は、中心軸線Xと直交する半径方向を示すものとする。
ディスクロータ4は、車両のタイヤに連結されており、タイヤと一体回転する。ディスクロータ4の形状は、円環形状である。ブレーキパッド10は、軸方向においてディスクロータ4を挟んで対向する一対のパッド2,3を有する。第一パッド2は、ディスクロータ4に対して軸方向の一方側に配置され、第二パッド3は、ディスクロータ4に対して軸方向の他方側に配置されている。すなわち、第二パッド3は、軸方向においてディスクロータ4を挟んで第一パッド2と対向している。一対のパッド2,3の一方はディスクロータ4に対して車幅方向の車両内側に配置され、他方は車幅方向の車両外側に配置される。ディスクブレーキ1は、一対のパッド2,3によってディスクロータ4を挟み込み、ディスクロータ4との摩擦接触によりディスクロータ4の回転を規制する。
第一パッド2および第二パッド3は、図示しないキャリパによって支持されており、ディスクロータ4に対して軸方向に相対移動自在である。ピストン5は、第一パッド2を押圧する押圧部材である。ピストン5が第一パッド2をディスクロータ4に向けて軸方向に押圧すると、第一パッド2および第二パッド3がそれぞれディスクロータ4に向けて移動し、ディスクロータ4を挟み込む。ピストン5は、供給される油圧に応じた押圧力で第一パッド2をディスクロータ4に対して押しつけ、タイヤに制動力を発生させる。
第一パッド2は、摩擦材22と、摩擦材22を支持する裏板21を有する。裏板21は、板状部材であり、周方向と平行に配置されている。図2には、図1のA方向視した裏板21の平面図が示されている。本実施形態の裏板21の形状は、図2に示すように矩形である。裏板21は、周方向の両端部をキャリパによって支持されている。キャリパは、裏板21の周方向および径方向の移動を規制すると共に、裏板21の軸方向の移動を許容する。図1に示すように、摩擦材22は、裏板21におけるディスクロータ4側の面に接続されている。摩擦材22は、例えば、接着により裏板21に固定されており、裏板21によって支持されている。摩擦材22は、板状の部材であり、その板厚は一定であることが好ましい。
第二パッド3は、摩擦材32と、摩擦材32を支持する裏板31を有する。裏板31は、板状部材であり、周方向と平行に配置されている。裏板31は、周方向の両端部をキャリパによって支持されている。キャリパは、裏板31を支持しており、周方向、径方向および軸方向のそれぞれについて、キャリパに対する裏板31の相対移動を規制する。制動時には、裏板31はキャリパと共に軸方向に移動し、摩擦材32をディスクロータ4に押しつける。摩擦材32は、裏板31におけるディスクロータ4側の面に接続されている。摩擦材32は、例えば、接着により裏板31に固定されており、裏板31によって支持されている。摩擦材32は、板状の部材であり、その板厚は一定であることが好ましい。
ここで、ディスクブレーキ1では、制動時の振動や騒音が問題とされる。制動時には、ディスクロータ4において2種類の騒音(鳴き)が発生する。このうち、ディスクロータ4の曲げ振動により発生する騒音を面外振動による騒音と称する。また、ディスクロータ4において内部の粗密が生じる縦振動による騒音を面内振動による騒音と称する。面内振動は、ディスクロータ4の内部を軸方向と直交する方向、例えば周方向に伝播する振動である。
図4を参照して、ブレーキパッドの曲げ振動およびディスクロータの面内振動について説明する。図4に示すディスクブレーキ101は、ディスクロータ105と、一対のパッド102,102を有する。一対のパッド102,102は、ディスクロータ105を間に挟んで軸方向において対向している。パッド102は、裏板103と摩擦材104を有する。摩擦材104は、裏板103におけるディスクロータ105側に接続されている。ディスクロータ105は、矢印Y1方向に回転している。パッド102,102がディスクロータ105に対して押しつけられると、矢印Y2で示すようにパッド102に対してトルクが入力される。これにより、矢印Y3で示すように、パッド102の中央部がディスクロータ105から離間する向きに湾曲させる力が作用する。
こうした外力の入力や、外力によって変形したパッド102が元の形状に復元することなどにより、パッド102には、軸方向に湾曲する曲げ振動が発生する。曲げ振動には、パッド102における周方向の両端を節とし、周方向の中央を腹とする曲げ振動や、パッド102における周方向の両端の間に複数の腹が存在する曲げ振動が含まれる。
本明細書では、周方向におけるパッド102の両端の間にi個(i=1,2,3,…n)の腹が存在する曲げ振動をi次の曲げ振動と称する。例えば、パッド102の周方向の両端を節とし、周方向の中央に1つの腹が存在する振動をパッドの「1次曲げ振動」と称する。また、1次曲げ振動と高次の曲げ振動を含むパッドの曲げ振動を単に「曲げ振動」と総称する。
パッド102の曲げ振動によって、ディスクロータ105に面内振動が発生する。曲げ振動の固有振動数が、ディスクロータ105の面内振動の固有振動数や固有振動数の近傍の振動数であると、共振により大きな騒音が発生してしまうこととなる。また、一対のパッド102,102の曲げ振動の固有振動数が同じ周波数であると、ディスクロータ105で発生する振動レベルが大きくなってしまう。
ここで、パッド102の曲げ振動によるディスクロータ105の鳴き(騒音)を抑制する上では、一対のパッド102,102の一方の振動特性と他方の振動特性を異ならせることが有効である。例えば、一方のパッド102の曲げ振動の固有振動数と他方のパッド102の曲げ振動の固有振動数をずらすことができれば、制動時の騒音の発生を抑制したり、騒音のレベルを低減したりすることが可能となる。一方のパッド102の振動特性を調節する手段として、裏板103の厚みや裏板103全体の材質を変更することが考えられる。しかしながら、単に裏板103の厚みや材質を変更するだけでは、熱耐性や摩耗耐性、強度の性能が変化し、要求される性能を満たさなくなることが多い。
また、裏板103に接続されるシムによって振動を減衰する対策がある。しかしながら、シムによる減衰の場合、外気環境(熱、水分)により効果がばらつきやすいという課題がある。
本実施形態のブレーキパッド10では、第一パッド2および第二パッド3のうちの一方である第一パッド2は、凹部23と、板状部材6とを有する。本実施形態において、第一パッド2が第二パッド3と異なる点は、凹部23が設けられている点、および凹部23に板状部材6が嵌め込まれている点である。つまり、第一パッド2の裏板21と第二パッド3の裏板31とは同一の材質で構成されており、かつ凹部23の有無を除けば同一形状である。また、第一パッド2の摩擦材22と第二パッド3の摩擦材32とは同一の材質で構成されており、かつ同一形状である。従って、第一パッド2の振動特性は、裏板21に凹部23が設けられておらず、かつ板状部材6が嵌め込まれていないとすれば、第二パッド3と同じ振動特性となる。
以下の説明では、裏板21におけるディスクロータ4側の面を表面24と称し、裏板21におけるディスクロータ4側と反対側の面を裏面25と称する。凹部23は、第一パッド2の裏板21における裏面25に形成されている。凹部23は、図2に示すように、略矩形である。凹部23は、例えば、摩擦材22が固定された後の第一パッド2に対して、旋盤等による加工によって形成される。凹部23は、裏板21における周方向の一方側の端面21aと周方向の他方側の端面21bとの間に設けられている。また、凹部23は、裏板21における径方向の一方側の端面21cと径方向の他方側の端面21dとの間に設けられている。周方向における凹部23の設置位置および設置範囲、および径方向における凹部23の設置位置および設置範囲は、例えば、強度確保等の観点から適宜定められる。
図1に示すように、凹部23の底面23eは、裏面25と平行な平面である。板状部材6の形状は、平板形状である。平面視における板状部材6の形状は、例えば、図3に示すように矩形である。板状部材6は、凹部23に嵌め込まれている。板状部材6は、凹部23に圧入されており、図3に示すように各内壁面23a,23b,23c,23dによって板状部材6の四辺がそれぞれ保持されている。板状部材6は、周方向の両側から内壁面23aと内壁面23bとによって挟み込まれており、裏板21に対する周方向および径方向の相対移動が規制されている。また、板状部材6は、径方向の両側から内壁面23cと内壁面23dとによって挟み込まれており、裏板21に対する周方向および径方向の相対移動が規制されている。また、板状部材6が、ディスクロータ4に向かう方向に裏板21に対して相対移動しようとすると、凹部23の底面23eによって相対移動が規制される。つまり、板状部材6が凹部23に嵌め込まれることで、裏板21に対する板状部材6の周方向・径方向・軸方向の相対移動の規制が容易となる。
板状部材6は、凹部23の外部に突出しないように、凹部23に嵌め込まれることが好ましい。例えば、板状部材6が凹部23に嵌め込まれた状態で、板状部材6の裏面6a(図1参照)と裏板21の裏面25とが同一面上にあることが好ましい。このようにすれば、ピストン5の押圧面5aに対して裏面25および裏面6aがそれぞれ当接する。よって、ディスクロータ4に対する摩擦材22の片あたりや摩擦材22の偏摩耗が抑制される。
本実施形態のディスクブレーキ1では、板状部材6の材質が裏板21の材質と異なり、第一パッド2の固有振動数F1と第二パッド3の固有振動数F2が異なっている。ここで、裏板21の材質を「材質1」、板状部材6の材質を「材質2」とした場合、第一パッド2の固有振動数F1と第二パッド3の固有振動数F2が異なるように、同一形状の板状部材6を材質1で形成した場合と材質2で形成した場合とで板状部材6の固有振動数が異なることが望ましい。言い換えると、凹部23が板状部材6によって置き換えられた第一パッド2の固有振動数が、裏板21に凹部23が形成されていない場合の第一パッド2の固有振動数と異なるように、板状部材6の材質が選定されることが好ましい。
第一パッド2の固有振動数F1と第二パッド3の固有振動数F2が異なることで、制動時の騒音が抑制可能となる。例えば、第一パッド2に凹部23や板状部材6が設けられておらず、第一パッド2の固有振動数F1が第二パッド3の固有振動数F2と等しい場合、制動時に固有振動数F2(=F1)の振動レベルが大きくなる。この固有振動数F2がディスクロータ4の面内振動の固有振動数に近い周波数であると、制動時の騒音が大きくなってしまう。これに対して、第一パッド2の固有振動数F1と第二パッド3の固有振動数F2が異なっていると、固有振動数F1,F2のうち少なくとも一方がディスクロータ4の固有振動数から離れた振動数となる可能性が高い。よって、本実施形態のブレーキパッド10によれば、制動時の騒音を抑制することが可能となる。
本実施形態のブレーキパッド10は、裏板21の一部を板状部材6に置き換えることで一方のパッド(第一パッド2)と他方のパッド(第二パッド3)の固有振動数を異ならせることができ、制動時に発生する騒音を低減することが可能である。また、裏板21の一部を板状部材6に置き換える構成であることから、既存のパッドを利用することもでき、別途パッドを用意する必要がない。更に、裏板21全体を置き換える場合よりもパッドの特性の変化が少なくパッドの耐久性面での必要性能を満足させることが容易となる。
本実施形態のブレーキパッド10は、どのような振動特性のディスクロータ4と組み合わせられたとしても、振動の低減を図ることが可能である。本実施形態のブレーキパッド10では、2つのパッド2,3の振動特性が異なり、固有振動数F1,F2が異なることで、固有振動数F1,F2が等しい場合よりも、制動時の騒音が低減しやすい。例えば、固有振動数F1,F2の一方がディスクロータ4の固有振動数F0と重なってしまったとしても、他方はディスクロータ4の固有振動数F0から離れた振動数とすることができる。よって、本実施形態のブレーキパッド10によれば、組み合わせる対象のディスクロータ4の振動特性によらず、制動時の騒音を抑制する効果が期待できる。
本実施形態の第一パッド2は、ベースとなる裏板21の材質や外形を変更することなく、第一パッド2の振動特性を変化させることができる。つまり、ベースとなる裏板21の耐久性等を利用しながら、板状部材6を凹部23に嵌め込むことによって固有振動数を調整することが可能である。よって、本実施形態のブレーキパッド10によれば、耐久性の低下を抑制することと騒音の抑制とを両立することができる。
[第1実施形態の第1変形例]
第1実施形態の第1変形例について説明する。図5は、第1実施形態の第1変形例に係るディスクブレーキの断面図、図6は、第1実施形態の第1変形例に係る第一パッドの裏板の平面図、図7は、第1実施形態の第1変形例に係る第一パッドの平面図、図8は、第1実施形態の第1変形例に係るパッドの振動特性を示す図、図9は、凹部が形成される前の第一パッドの断面図、図10は、凹部が形成される前の第一パッドの平面図、図11は、凹部形成工程を説明する断面図、図12は、凹部形成工程によって凹部が形成された後の第一パッドの平面図、図13は、孔部形成工程によって孔部が形成された第一パッドの断面図、図14は、孔部形成工程によって孔部が形成された第一パッドの平面図である。
第1実施形態の第1変形例に係るブレーキパッド10においては、材質の固有振動数を異ならせる手段として、ヤング率Eを比重γで除した値Pの調整によってブレーキパッド10の振動特性を調整する。また、凹部23の隅に孔部23hが設けられている。
図6に示すように、凹部23の四隅には、孔部23hが設けられている。これにより、板状部材6を凹部23に嵌め込むときの板状部材6の角部と凹部23の隅部との干渉が抑制されている。
本変形例のブレーキパッド10における固有振動数の調整について説明する。本変形例の第一パッド2では、板状部材6のヤング率E1を板状部材6の比重γ1で除した値P1(=E1/γ1)が、第一パッド2の裏板21のヤング率E2を裏板21の比重γ2で除した値P2(=E2/γ2)と異なる。すなわち、以下の式(1)または式(2)の関係が成り立つ。
P1<P2…(1)
P1>P2…(2)
部材の曲げ振動の固有振動数には、部材のヤング率Eおよび比重γが影響する。ヤング率Eを比重γで除した値Pが大きい部材は、ヤング率Eを比重γで除した値Pが小さい部材よりも固有振動数が高くなる。従って、上記式(1)や式(2)の関係を満たす板状部材6を裏板21に嵌め込むことで、第一パッド2の振動特性(固有値)を変化させることができる。
つまり、本変形例のブレーキパッド10では、板状部材6のヤング率E1を板状部材6の比重γ1で除した値P1が、第一パッド2が有する裏板21のヤング率E2を当該裏板21の比重γ2で除した値P2と異なることにより、第一パッド2の固有振動数F1が他方のパッド(第二パッド3)の固有振動数F2と異なっているのである。
本変形例のブレーキパッド10では、上記式(1)の関係が成立する板状部材6が第一パッド2の裏板21に嵌め込まれている。これにより、図8を参照して説明するように、第一パッド2の振動特性は、低周波数側にシフトしたものとなる。図8において、横軸は周波数[Hz]を示し、縦軸は振動のゲイン[dB]を示す。図8には、第一パッド2の振動特性曲線G1と、第二パッド3の振動特性曲線G2が示されている。第二パッド3の振動特性曲線G2は、裏板21に凹部23が形成される前の第一パッド2の振動特性曲線でもある。
図8に示すように、第一パッド2の1次曲げ振動の固有振動数F1は、第二パッド3の1次曲げ振動の固有振動数F2よりも低い。また、第一パッド2のゲインのピーク値G1maxは、第二パッド3のゲインのピーク値G2maxよりも小さい。
このように、本変形例に係るブレーキパッド10では、凹部23には、裏板21よりも相対的にヤング率Eと比重γとの比Pが小さい板状部材6が嵌め込まれている。これにより、第一パッド2の固有振動数F1が第二パッド3の固有振動数F2よりも低い振動数となる。このような組み合わせのブレーキパッド10は、例えば、図8に示すように、ディスクロータ4の面内振動の固有振動数F0が第二パッド3の固有振動数F2よりも高い場合に有利であると考えられる。ディスクロータ4の固有振動数F0に対して第二パッド3の固有振動数F2が低い場合に、第一パッド2の固有振動数F1が更に低い振動数であれば、第一パッド2の固有振動数F1が第二パッド3の固有振動数F2と等しい場合よりも、制動時のディスクロータ4の振動による騒音を効果的に抑制可能であると考えられる。
このように、第一パッド2の固有振動数F1を低周波数側にシフトさせたブレーキパッド10は、第二パッド3の固有振動数F2よりも高い固有振動数F0を有するディスクロータ4と組み合わせられた場合、固有振動数F1が固有振動数F2と等しい場合よりも、一対のパッド2,3でディスクロータ4を制動するときに発生するディスクロータ4の振動が小さくなるように、第一パッド2の固有振動数F1が第二パッド3の固有振動数F2と異なっているといえる。
また、ブレーキパッド10は、様々な振動特性のディスクロータ4と組み合わせられる可能性がある。ディスクロータ4の面内振動の固有振動数F0は、ディスクロータ4の径と相関性がある。一般的に、大きな径のディスクロータ4の固有振動数F0は、小さな径のディスクロータ4の固有振動数F0よりも低い振動数となる。従って、ディスクロータ4の径に応じて、ブレーキパッド10の固有振動数として、その径のディスクロータ4に対して組み合わせることが好ましくない振動数の範囲を想定することが可能である。好ましくない振動数の範囲に対して第二パッド3の固有振動数F2が低周波数側にある場合、第一パッド2の固有振動数F1が更に低い振動数であれば、当該径のディスクロータ4と組み合わせた場合に騒音低減効果が高くなると考えられる。
車種に応じて使用可能なディスクロータ4の最大径がある場合、当該最大径のディスクロータ4において想定される固有振動数(域)に対して、一対のパッド2,3のうち、少なくとも第一パッド2の固有振動数F1を低い振動数としておくようにしてもよい。
本変形例の第一パッド2では、板状部材6のヤング率E1を板状部材6の比重γ1で除した値P1が、裏板21のヤング率E2を裏板21の比重γ2で除した値P2よりも小さいことにより、凹部23および板状部材6が設けられない場合よりも第一パッド2のゲインのピーク値G1maxが低下する。よって、制動時における第一パッド2の振動レベルが低下し、騒音が抑制される。
また、本変形例のブレーキパッド10では、第一パッド2の1次曲げ振動の固有振動数F1と第二パッド3の1次曲げ振動の固有振動数F2とが異なるだけでなく、その他の次数の曲げ振動の固有振動数に関しても、第一パッド2と第二パッド3とで異なる周波数となることが期待できる。つまり、ディスクロータ4の固有振動数F0において第一パッド2と第二パッド3が同じ次数で振動し、振動が同調してしまうことが抑制される。よって、ディスクロータ4の面内振動の振動レベルが低減され、制動時の騒音が抑制される。上記式(1)の関係が成立する裏板21と板状部材6の材質としては、例えば、裏板21の材質として炭素鋼(一例として、S45C)、板状部材6の材質として真鍮が挙げられる。
なお、上記式(2)の関係が成立する板状部材6が第一パッド2の裏板21に嵌め込まれた場合、第一パッド2の振動特性を高周波数側にシフトさせることができる。この場合、第一パッド2の1次曲げ振動の固有振動数F1は、第二パッド3の1次曲げ振動の固有振動数F2よりも高くなる。こうした組み合わせのブレーキパッド10は、ディスクロータ4の面内振動の固有振動数F0が第二パッド3の固有振動数F2よりも低い場合に有利であると考えられる。ディスクロータ4の固有振動数F0に対して第二パッド3の固有振動数F2が高い場合に、第一パッド2の固有振動数F1が更に高い振動数であれば、制動時の騒音を効果的に抑制可能であると考えられる。
このように、第一パッド2の固有振動数F1を高周波数側にシフトさせたブレーキパッド10は、第二パッド3の固有振動数F2よりも低い固有振動数F0を有するディスクロータ4と組み合わせられた場合、固有振動数F1が固有振動数F2と等しい場合よりも、一対のパッド2,3でディスクロータ4を制動するときに発生するディスクロータ4の振動が小さくなるように、第一パッド2の固有振動数F1が第二パッド3の固有振動数F2と異なっているといえる。
ある径のディスクロータ4に対して組み合わせることが好ましくない振動数の範囲を想定した場合に、好ましくない振動数の範囲に対して第二パッド3の固有振動数F2が高周波数側にある場合、第一パッド2の固有振動数F1が更に高い振動数であれば、当該径のディスクロータ4と組み合わせた場合に騒音低減効果が高くなると考えられる。
車種に応じて使用可能なディスクロータ4の最小径がある場合、当該最小径のディスクロータ4において想定される固有振動数(域)に対して、一対のパッド2,3のうち、少なくとも第一パッド2の固有振動数F1を高い振動数としておくようにしてもよい。
上記式(2)の関係が成立する裏板21と板状部材6の材質としては、例えば、裏板21の材質として炭素鋼(一例として、S45C)、板状部材6の材質としてカーボンファイバ(一例として、炭素繊維強化プラスチック)が挙げられる。
以上のように、本変形例のブレーキパッド10は、組み合わせる対象のディスクロータ4の振動特性に応じて、第一パッド2の固有振動数F1を第二パッド3の固有振動数F2に対して低周波側、あるいは高周波側にずらすことで、制動時の騒音を効果的に抑制できるものである。
本変形例の第一パッド2では、周方向における裏板21の中央部に凹部23および板状部材6が配置されている。図5および図6に示すように、凹部23における周方向の一方側の内壁面23aから裏板21における周方向の一方側の端面21aまでの距離L1と、凹部23における周方向の他方側の内壁面23bから裏板21における周方向の他方側の端面21bまでの距離L1とは等しい。これにより、1次曲げ振動の固有振動数を大きく変化させることが可能である。1次曲げ振動では、周方向における裏板21の中央が腹となって第一パッド2が曲げ振動する。従って、周方向における裏板21の中央部において板状部材6によって第一パッド2のヤング率Eと比重γとの比Pを変化させることで第一パッド2における1次曲げ振動の固有振動数を大きく変化させることが可能である。
また、パッドにおける曲げ振動の各次数の固有振動数のうち、1次曲げ振動の固有振動数は、ディスクロータ4の面内振動の固有振動数に近い振動数であることが多い。従って、周方向における裏板21の中央部に凹部23および板状部材6が配置されることで、第一パッド2の1次曲げ振動の固有振動数を調整し、ディスクロータ4の固有振動数域との重なりを避けることが容易となる。
凹部23および板状部材6を設けることにより、第一パッド2の1次曲げ振動の固有振動数F1だけでなく、2次以上の曲げ振動の固有振動数も変化してしまうと、騒音低減の観点から好ましくない可能性がある。例えば、2次以上の曲げ振動の固有振動数が低下して、ディスクロータ4の固有振動数F0に近づいてしまうことは好ましくない。1次曲げ振動の固有振動数F1は変化させ、かつ2次以上の曲げ振動の固有振動数に対する影響を抑える観点からは、凹部23および板状部材6の周方向の長さには一定の上限を設けることが好ましいと考えられる。例えば、2次曲げ振動では、周方向における裏板21の両端および中央が節となり、腹の位置は、隣接する節の中間位置となる。従って、凹部23の内壁面23aから裏板21の端面21aまでの距離L1(図6参照)および内壁面23bから裏板21の端面21bまでの距離L1は、裏板21の周方向の全長に対して1/4よりも大きいことが好ましい。言い換えると、周方向における凹部23の全長L3は、裏板21の全長に対して1/2以下であることが好ましい。
3次曲げ振動では、裏板21の周方向の全長を三等分する位置がそれぞれ節となる。3次曲げ振動の固有振動数に与える影響を考慮した場合、距離L1および凹部23の全長L3は、例えば、周方向における裏板21の全長に対して1/3程度とされてもよい。また、凹部23の全長L3を周方向における裏板21の全長の1/3未満とし、距離L1を裏板21の全長の1/3よりも大としてもよい。
また、本変形例のブレーキパッド10では、図6に示すように、凹部23における径方向の一方側の内壁面23cから裏板21における径方向の一方側の端面21cまでの距離L2と、凹部23における径方向の他方側の内壁面23dから裏板21における径方向の他方側の端面21dまでの距離L2とは等しい。距離L2は、例えば、径方向における裏板21の全長の1/4である。
ここで、本変形例に係る第一パッド2の製造方法について説明する。第一パッド2の製造方法は、凹部形成工程と、孔部形成工程と、嵌め込み工程を含んで構成されている。
(凹部形成工程)
凹部形成工程は、裏板21における摩擦材22側と反対側の面である裏面25に略矩形の凹部23を形成する工程である。本変形例では、既に摩擦材22が固定されている裏板21に対して凹部23を形成する場合について説明する。図9には、凹部23が形成される前の第一パッド2の断面が示されている。また、図10には、凹部23が形成される前の裏板21の裏面25が示されている。凹部23が形成される前の裏板21は、板厚が一様である。
図11には、凹部23の形成中の第一パッド2の断面が示されている。また、図12には、凹部23が形成された後の裏板21の裏面25が示されている。図11に示すように、旋盤等の加工機械のバイト7によって裏板21が裏面25側から削られて凹部23が形成される。ここで、旋盤等による加工の場合、図12に示すように、凹部23の四隅には曲面部23fが形成される。つまり、凹部23の平面形状は、矩形の四隅が面取り状に丸くなった形状となる。曲面部23fが残されたままであると、板状部材6を凹部23に嵌め込もうとしても、板状部材6の角部が干渉部分23gと干渉してしまう。干渉部分23gは、各内壁面23a,23bを径方向に延長した延長線と、各内壁面23c,23dを周方向に延長した延長線と、曲面部23fとで囲まれる領域である。
(孔部形成工程)
孔部形成工程は、凹部形成工程と、後述する嵌め込み工程との間に実行される。孔部形成工程は、凹部23の四隅に孔部を形成して板状部材6の角部との干渉部分23gを除去する工程である。孔部形成工程が実行されることで、板状部材6と裏板21との嵌め合い部の接触面積が安定する。旋盤等の加工機械によって、裏板21に対して裏面25側から断面形状が円形の孔部23hが形成される。図14に示すように、孔部23hは、少なくとも干渉部分23gを除去できるものである。すなわち、孔部23hは、図14に示す平面視において、干渉部分23gを内部に含む。孔部23hは、裏板21を貫通しないように形成される。すなわち、穿孔後の孔部23hは、有底の形状となる。孔部23hの深さは、板状部材6の板厚以上であることが好ましい。
(嵌め込み工程)
嵌め込み工程は、平面形状が矩形の板状部材6を凹部23に嵌め込む工程である。板状部材6は、ヤング率E1を比重γ1で除した値P1が裏板21のヤング率E2を裏板21の比重γ2で除した値P2とは異なる材質で構成されている。板状部材6は、圧入等によって凹部23に嵌め込まれる。孔部23hが形成されていることで、板状部材6の角部が凹部23の四隅の干渉部分23gと干渉することが抑制される。嵌め込み工程では、板状部材6の裏面6a(摩擦材22側と反対側の面)が裏板21の裏面25と同一面上にあるように、嵌め込みが行われることが好ましい。なお、凹部23に嵌め込まれた状態で、板状部材6の表面6b(摩擦材22側の面)が凹部23の底面23eから離間していてもよい。
本変形例のブレーキパッドの製造方法によれば、耐久性の低下を抑制することと騒音の抑制とを両立することができるブレーキパッド10を製造することができる。
[第1実施形態の第2変形例]
第1実施形態の第2変形例について説明する。図15は、第1実施形態の第2変形例に係る第一パッドの平面図、図16は、パッドの振動特性を示す図である。第1実施形態の第2変形例に係る第一パッド2において、上記第1実施形態の第一パッド2と異なる点は、裏板21と板状部材6との間に弾性部材8が介在している点である。
弾性部材8は、例えば、ゴムや接着剤などの樹脂である。弾性部材8は、凹部23の各内壁面23a,23b,23c,23dと板状部材6の各側面との間に挟まれている。嵌め込み工程において凹部23に板状部材6を嵌め込む際には、凹部23の各内壁面23a,23b,23c,23dに弾性部材8を貼着あるいは塗布しておいて板状部材6を凹部23に嵌め込むか、あるいは板状部材6の各側面に弾性部材8を貼着あるいは塗布しておいて板状部材6を凹部23に嵌め込むようにすればよい。
裏板21と板状部材6との間に弾性部材8が介在することで、板状部材6は、弾性部材8を介して裏板21によって弾性支持される。よって、裏板21の振動と板状部材6の振動が同期することが抑制される。本変形例の第一パッド2では、弾性部材8および板状部材6を裏板21の振動を吸収するダイナミックダンパとして機能させることが可能である。例えば、裏板21の1次曲げ振動の周波数において効果的に吸振効果を発揮するように、板状部材6の質量等が調整されることが好ましい。一方、板状部材6の曲げ振動に対しては、弾性部材8および裏板21がダイナミックダンパとして機能する。例えば、板状部材6の1次曲げ振動の周波数において効果的に吸振効果を発揮するように、裏板21の質量等が調整されることが好ましい。
図16を参照して説明するように、本変形例の第一パッド2の振動特性曲線G3では、振動ゲインのピークが分散する。図16において、実線G4は、第一パッド2の板状部材6と裏板21との間に弾性部材8を介在させない場合の第一パッド2の振動特性曲線であり、例えば、上記第1実施形態の第一パッド2の振動特性曲線(以下、「比較例の振動特性曲線G4」と称する。)である。破線G3は、本変形例の第一パッド2の振動特性曲線を示す。本変形例に係る第一パッド2は、板状部材6と裏板21との間に弾性部材8が介在していることで、ゲインのピークが分散している。比較例の振動特性曲線G4では周波数F5に振動ゲインのピーク値G4maxが存在する。第一パッド2の振動特性曲線G3では、ピークが周波数F3と周波数F4に分散している。周波数F3のピーク値G3maxは、周波数F4のピーク値よりも大きく、比較例の振動特性曲線G4のピーク値G4maxよりは小さい。
例えば、第一パッド2において上記式(1)の関係を満たすような板状部材6を使用した場合、ピーク値が現れる2つの固有振動数F3,F4のうち、相対的に低周波数側の固有振動数F3は、板状部材6の1次曲げ振動の固有振動数に対応し、相対的に高周波数側の固有振動数F4は、裏板21の1次曲げ振動の固有振動数に対応すると考えられる。振動ゲインのピークが分散することで、第一パッド2のゲインのピーク値G3maxは、比較例の振動特性曲線G4のゲインのピーク値G4maxよりも小さな値となる。
[第1実施形態の第3変形例]
第1実施形態の第3変形例について説明する。上記第1実施形態では、裏板21の裏面25側に凹部23が形成されていたが、これに代えて、表面24に凹部23が形成されてもよい。この場合、裏板21に凹部23が形成され、板状部材6が凹部23に嵌め込まれた後に摩擦材22が裏板21に固定されるようにすればよい。凹部23に嵌め込まれた板状部材6の表面6bと、裏板21の表面24とが同一面上にあることが好ましい。
上記第1実施形態の第一パッド2の製造において、裏板21に凹部23を形成した後で裏板21に摩擦材22が固定されてもよい。例えば、凹部23に板状部材6が嵌め込まれた後で、裏板21に対して摩擦材22が固定されてもよい。
凹部23の平面形状は、例示したものには限定されない。上記第1実施形態および第1実施形態の各変形例の凹部23の平面形状は、周方向の長さが径方向の長さよりも長い矩形であったが、これに代えて、周方向の長さが径方向の長さよりも短くされてもよい。また、凹部23の平面形状は、正方形とされてもよい。また、凹部23の平面形状は、例えば、矩形以外の多角形状や円形とされてもよい。
[第2実施形態]
図17から図22を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図17は、第2実施形態に係る第一パッドの断面図、図18は、第2実施形態に係る第一パッドの平面図、図19は、貫通孔が形成された第一パッドの断面図、図20は、貫通孔が形成された第一パッドの裏板を示す平面図、図21は、孔部が形成された第一パッドの断面図、図22は、孔部が形成された第一パッドの裏板を示す平面図である。第2実施形態の第一パッド2において、上記第1実施形態の第一パッド2と異なる点は、裏板21に凹部23に代えて貫通孔26が設けられている点である。
図17に示すように、第一パッド2は、裏板21を軸方向に貫通する貫通孔26と、貫通孔26に嵌め込まれた板状部材6を有する。貫通孔26および板状部材6は、周方向における裏板21の中央部に配置されていることが好ましい。板状部材6のヤング率E1を板状部材6の比重γ1で除した値P1は、第一パッド2の裏板21のヤング率E2を裏板21の比重γ2で除した値P2と異なる。本実施形態の第一パッド2は、上記第1実施形態の第一パッド2と同様に、第二パッド3と対となりブレーキパッド10として用いられる。
従って、本実施形態の第一パッド2は、上記第1実施形態の第一パッド2と同様に、1次曲げ振動の固有振動数F1の値が、第二パッド3の1次曲げ振動の固有振動数F2と異なる値となる。一対のパッド2,3の固有振動数F1,F2が異なることで、2つの固有振動数F1,F2が等しい場合よりも、一対のパッド2,3でディスクロータ4を制動するときに発生するディスクロータ4の振動を小さくすることが可能である。ディスクロータ4の面内振動の固有振動数F0が第二パッド3の固有振動数F2よりも高い場合、第一パッド2の固有振動数F1は、第二パッド3の固有振動数F2よりも低いことが好ましい。また、ディスクロータ4の面内振動の固有振動数F0が第二パッド3の固有振動数F2よりも低い場合、第一パッド2の固有振動数F1は、第二パッド3の固有振動数F2よりも高いことが好ましい。
本実施形態のブレーキパッド10によれば、上記第1実施形態のブレーキパッド10と同様にして、一方の固有振動数F1が他方の固有振動数F2と等しい場合よりも、一対のパッド2,3でディスクロータ4を制動するときに発生する振動が小さくなるように、一対のパッド2,3の一方の固有振動数F1を他方の固有振動数F2と異ならせることが可能である。また、本実施形態のブレーキパッド10では、板状部材6が貫通孔26に嵌め込まれることで、裏板21に対する板状部材6の周方向・径方向の相対移動の規制が容易である。また、裏板21に貫通孔26を形成する場合、凹部23を形成する場合とは異なり、裏板21を削る際に途中の深さ位置で止める必要等がなく、加工が容易である。
本実施形態の第一パッド2の製造方法について説明する。本実施形態の第一パッド2の製造方法は、貫通孔形成工程と、孔部形成工程と、嵌め込み工程とを含んで構成されている。
(貫通孔形成工程)
貫通孔形成工程は、裏板21を軸方向に貫通する略矩形の貫通孔26を裏板21に形成する工程である。貫通孔26が形成される前の裏板21(図9および図10参照)に対して、旋盤等の加工機械によって貫通孔26が形成される。図19および図20には、貫通孔26が形成された裏板21が示されている。
図20に示すように、貫通孔26の四隅には、曲面部26fが存在する。このままで貫通孔26に板状部材6を嵌め込もうとすると、板状部材6の角部と干渉部分26gとが干渉してしまう。
(孔部形成工程)
孔部形成工程は、貫通孔形成工程と嵌め込み工程との間に実行され、貫通孔26の四隅に孔部26hを形成して板状部材6の角部との干渉部分26gを除去する工程である。図22に示すように、孔部26hは、平面視において干渉部分26gを含む。加工機械によって孔部26hが形成されることにより、干渉部分26gが除去される。孔部26hの深さは、嵌め込まれる板状部材6の板厚に相当する深さよりも深いことが好ましい。
(嵌め込み工程)
嵌め込み工程は、平面形状が矩形の板状部材6を貫通孔26に嵌め込む工程である。板状部材6は、ヤング率E1を比重γ1で除した値P1が裏板21のヤング率E2を裏板21の比重γ2で除した値P2とは異なる材質で構成されている。板状部材6は、圧入等によって貫通孔26に嵌め込まれる。孔部形成工程で干渉部分26gが除去されていることで、板状部材6の角部が貫通孔26の四隅の干渉部分26gと干渉することが抑制される。嵌め込み工程では、板状部材6の裏面6aが裏板21の裏面25と同一面上にあるように、嵌め込みが行われることが好ましい。
嵌め込み工程において貫通孔26に嵌め込まれた板状部材6は、図18に示すように、貫通孔26の各内壁面26a,26b,26c,26dによって側面が保持され、裏板21に対して相対移動不能に固定される。
[第2実施形態の変形例]
第2実施形態の変形例について説明する。上記第2実施形態の第一パッド2において、板状部材6と裏板21との間に、弾性部材8が介在していてもよい。例えば、貫通孔26の各内壁面26a,26b,26c,26dと板状部材6の各側面との間に弾性部材8がそれぞれ介在してもよい。また、上記第2実施形態の第一パッド2の製造方法において、貫通孔26は、プレス機械によって打ち抜かれて形成されてもよい。
上記第2実施形態の第一パッド2において、貫通孔26の隅部に孔部26hが設けられなくてもよい。貫通孔26の形状は、例えば、上記第1実施形態の凹部23(図2参照)と同様の矩形であってもよい。
[各実施形態の変形例]
上記第1実施形態および第2実施形態の変形例について説明する。図23は、各実施形態の変形例に係るパッドの振動特性を示す図である。ディスクロータ4の固有振動数F0に対する第一パッド2の固有振動数F1と第二パッド3の固有振動数F2の組み合わせは、例示したものには限定されない。上記各実施形態では、第一パッド2の固有振動数F1を第二パッド3の固有振動数F2に関してディスクロータ4の固有振動数F0側とは反対側の値とすることについて説明した。例えば、図8に示すように、ディスクロータ4の固有振動数F0が第二パッド3の固有振動数F2よりも高い振動数である場合に、第二パッド3の固有振動数F2よりも低い固有振動数F1を有する第一パッド2を用いた。しかしながら、こうした組み合わせ以外の組み合わせであっても、騒音を抑制することが可能であると考えられる。
例えば、図23に示すように、第一パッド2の固有振動数F1と第二パッド3の固有振動数F2の間にディスクロータ4の固有振動数F0が存在する場合であっても、騒音の抑制は可能である。第一パッド2の固有振動数F1とディスクロータ4の固有振動数F0との振動数差ΔF1を、第二パッド3の固有振動数F2とディスクロータ4の固有振動数F0との振動数差ΔF2よりも大きくすることが考えられる。このようにした場合、第一パッド2の固有振動数F1と第二パッド3の固有振動数F2が等しい場合よりも、一対のパッド2,3でディスクロータ4を制動するときに発生する振動が小さくなるように、第一パッド2の固有振動数F1が第二パッド3の固有振動数F2と異なっていると考えられる。
上記の各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
1 ディスクブレーキ
2 第一パッド
3 第二パッド
4 ディスクロータ
6 板状部材
8 弾性部材
10 ブレーキパッド
21 裏板
22 摩擦材
23 凹部
23g 干渉部分
23h 孔部
24 表面
25 裏面
26 貫通孔
26g 干渉部分
26h 孔部
E1 板状部材のヤング率
E2 裏板のヤング率
F1 第一パッドの固有振動数(1次曲げ)
F2 第二パッドの固有振動数(1次曲げ)
γ1 板状部材の比重
γ2 裏板の比重

Claims (7)

  1. ディスクロータの軸方向において前記ディスクロータを挟んで対向する一対のパッドを備え、
    前記一対のパッドは、それぞれ摩擦材および前記摩擦材を支持する裏板を有し、
    前記一対のパッドのうちの一方は、
    前記裏板における前記摩擦材側の面あるいは前記摩擦材側と反対側の面に形成された凹部と、
    材質が前記一方の有する前記裏板の材質とは異なり、前記凹部に嵌め込まれた板状部材と、
    を有し、
    前記一方の固有振動数と他方の固有振動数が異なっている
    ことを特徴とするブレーキパッド。
  2. 前記凹部および前記板状部材は、前記一方が有する前記裏板の中央部に配置されている
    請求項1に記載のブレーキパッド。
  3. ディスクロータの軸方向において前記ディスクロータを挟んで対向する一対のパッドを備え、
    前記一対のパッドは、それぞれ摩擦材および前記摩擦材を支持する裏板を有し、
    前記一対のパッドのうちの一方は、
    前記裏板を軸方向に貫通する貫通孔と、
    材質が前記一方の有する前記裏板の材質とは異なり、前記貫通孔に嵌め込まれた板状部材と、
    を有し、
    前記一方の固有振動数と他方の固有振動数が異なっている
    ことを特徴とするブレーキパッド。
  4. 前記貫通孔および前記板状部材は、前記一方が有する前記裏板の中央部に配置されている
    請求項3に記載のブレーキパッド。
  5. 前記板状部材における前記摩擦材側と反対側の面は、前記一方が有する前記裏板における前記摩擦材側と反対側の面と同一面上にある
    請求項1から4のいずれか1項に記載のブレーキパッド。
  6. 前記板状部材と前記一方が有する前記裏板との間に弾性部材が介在している
    請求項1から5のいずれか1項に記載のブレーキパッド。
  7. パッドの裏板における摩擦材側と反対側の面に略矩形の凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記凹部の四隅に孔部を形成して、形状が矩形の板状部材の角部との干渉部分を除去する孔部形成工程と、
    前記裏板とは異なる材質で構成された前記板状部材を前記凹部に嵌め込む嵌め込み工程と、
    を備えることを特徴とするブレーキパッドの製造方法。
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WO2022254529A1 (ja) * 2021-05-31 2022-12-08 株式会社安川電機 ロボット、駆動機構、減速機、トルクセンサ、トルク検出方法

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