JP2015218212A - 新規な潜熱蓄熱材組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】相分離せず、過冷却現象が発生せず、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができる流動可能な熱搬送媒体としても利用できる耐久性および信頼性の高い柔軟性ないし流動性を有する潜熱蓄熱材組成物の提供。
【解決手段】潜熱蓄熱物質(イ)を主成分とし、融点調整剤(ロ)、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤(ハ)および/または微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)、過冷却防止剤(ニ)を必須成分として所定量配合した潜熱蓄熱材組成物であって、前記潜熱蓄熱物質と前記融点調整剤、前記相分離防止剤、前記過冷却防止剤を所定量配合して溶融混合冷却して得られる、常温−常圧下で柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなることを特徴とする新規な潜熱蓄熱材組成物により課題を解決できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な潜熱蓄熱材組成物に関するものであり、更に詳しくは、潜熱蓄熱物質の凝固点温度以下になっても柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる潜熱蓄熱材組成物に関するものである。
従来、酢酸ナトリウム3水塩などの潜熱蓄熱物質を主成分とする潜熱蓄熱材組成物は、相変化(固液相変化)時の潜熱が大きいことおよび融点温度が約60℃前後であることなどから、深夜電力利用や廃熱利用による暖房用などに有用であることが知られている。
例えば、一般式CH3COONa・nHO(nは2.8〜3.2)の組成を有する酢酸ナトリウム水和物100重量部に対し、エチレングリコール1〜20重量部と複数の塩類、特に塩化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、の単独乃至混合したもの0.1〜20重量物と錯塩が酢酸キレート化合物の単独及び混合物、好ましくはキレート化合物/の混合比(重量)9/1〜1/9の混合物0.1〜20重量部を混合して、フィラー0.1〜10重量部、グラファイトを0.1〜10重量部を混合してなる潜熱蓄熱材組成物が、融点/凝固点が28〜50℃の温度域の範囲にあり、加熱器具の保温、廃棄熱回収システム、空調用暖房システムの蓄熱材として使用できる潜熱蓄熱材組成物が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、相変化(固液相変化)時の潜熱を利用する場合、一般的には、潜熱蓄熱物質から熱を取り出すと当該潜熱蓄熱物質が全体的に凝固してしまうため、柔軟性がなく、流動しない。そのため、潜熱蓄熱物質自体を流動可能な熱搬送媒体として利用できない、また凝固後の顕熱採熱が行い難く伝熱性能が悪化するといった点で不利であるという問題がある。
このような問題を踏まえ、放熱時にあっても流動状態を維持可能な潜熱蓄熱材が提案されている。例えば、アンモニウム・ミョウバンに水を添加してなる潜熱蓄熱材が開示されており、水を添加することにより潜熱蓄熱材の融点を調整し、給湯用途に適した潜熱蓄熱材とするとともに、常温でも流動性を呈するようにしている(特許文献2参照)。
しかしながら、この潜熱蓄熱材は、放熱時にアンモニウム・ミョウバンは固相として水中に析出することとなる。そうすると、当該固相と水との間には密度差があるため、当該析出した固相は沈降してしまう。そのため、放熱と蓄熱と繰り返して使用すると、当該潜熱蓄熱材の濃度分布に偏りが生じてしまい、分散状態を維持できなくなり、遂には流動化状態を維持できなくなるという問題がある。
このような問題を解消する潜熱蓄熱材として、例えば、マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材が提案されている(特許文献3参照)。
潜熱蓄熱材をマイクロカプセル化すれば、確かに潜熱蓄熱材が析出して沈降することを防止することができ、溶液中にこれを分散せしめることで流動状態を維持することは可能である。
しかしながら、マイクロカプセル1個における潜熱蓄熱材自体の割合は60〜75重量%程度であり、さらに、当該マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材を溶液中に分散させて流動状態を維持するためには、当該溶液に対して当該マイクロカプセルは10〜60質量%程度しか含有できず、そうすると、潜熱蓄熱材自体の全体に対する比率は、45質量%以下となってしまい、蓄熱密度が著しく低下してしまう。
また、マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材は、マイクロカプセルを構成する樹脂が外力により破損し、その中に包含された潜熱蓄熱材自体が溶出する恐れがあり、その場合にはシステム全体に悪影響を及ぼす可能性がある。この問題を解消するために、マイクロカプセルの膜厚を厚く設計することも可能であるが、そうすると、伝熱性能が低下してしまう。
また、潜熱蓄熱物質として硫酸ナトリウム、水、四ホウ酸ナトリウム10水塩などの過冷却防止剤、不飽和カルボン酸、有機不飽和スルホン酸およびそれらの塩、カルボキシメチルセルロースまたは微粉末シリカなどの固液分離防止剤からなり、硫酸ナトリウム1モルに対して水28〜60モルを含有する蓄熱材組成物が提案されている(特許文献4参照)。
この潜熱蓄熱材組成物は、粘稠な液体あるいはゼリー状の固体であるので複雑な形状の容器に容易に収納することができ、建造物の躯体蓄熱などに用いられることが開示されているが、硫酸ナトリウム10水塩は32℃に融点温度を有するため、その利用温度域が低く給湯利用に適していないなどの問題がある外、融解〜凝固サイクルを繰り返すと比重の大きい成分が沈殿して2相に分離するという相分離が発生する問題があり、融解〜凝固、すなわち蓄熱〜放熱の繰り返しにより相分離が発生すると、発熱量の減少や、極端な場合は蓄熱しなくなるばかりか、過冷却現象が大きくなり、所定の温度で凝固しなくなる問題が発生する。
また、キシリトール、トレイトール、エリスリトールなどの水溶性の糖アルコール類、または、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸アンモニウムカリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウムなどの無機水和塩からなる潜熱蓄熱物質と、水と、セルロースなどの非水溶性の微小繊維からなる相分離防止剤と、増粘剤などから構成される放熱時においても流動が可能な、融点温度域が60〜90℃である潜熱蓄熱材が提案されている(特許文献5参照)。
しかし増粘剤を配合して所定の粘度以上にしないと相分離が発生し長期にわたる流動性を維持できない問題がある他に、相分離防止剤として木材パルプ、メチルセルロース、アルギン酸塩などと多価アルコールなどの有機物質を用いると融解〜凝固の繰り返しにより熱的影響を受ける結果、物性が変化してしまうので、潜熱蓄熱材の濃度分布に偏りが生じてしまい、分散状態を維持できなくなり、遂には流動化状態を維持できなくなるという問題がある。
また、潜熱蓄熱物質としての酢酸ナトリウム三水和物と、酢酸ナトリウム三水和物がその融点以下の温度でも硬化しないように酢酸ナトリウム三水和物に混合されるエチレングリコールからなる液状添加物とが重量比で10:2〜10:5で混合された蓄熱に有効な成分を有してなることによって、凝固時でも軟性ないし流動性を有すると共に酢酸ナトリウム三水和物よりも高い熱伝導性を有するように構成した蓄熱材が、塩化ビニル系材料とポリエチレン系材料の二層構造で構成され電力ケーブル布設配管内でその電力ケーブルのヒートスポットを跨いで摺動可能に接する可撓性のパック部材に封入されており、前記パック部材の両端に、前記ヒートスポットへ引き込む紐又はロープが設けられたハトメを、有することを特徴とする電力ケーブル冷却パック部材が提案されている(特許文献6参照)。
しかし相分離防止剤を使用しないので、融解〜凝固サイクルを繰り返すと前記のように相分離が発生する問題があり、蓄熱〜放熱の繰り返しにより相分離が発生すると、発熱量の減少や、極端な場合は蓄熱しなくなるばかりか、過冷却現象が大きく なり、所定の温度で凝固しなくなる問題が発生する。
また、酢酸ナトリウム3水塩を主成分とする潜熱蓄熱材100重量部に対して、柔軟性付与成分として数平均分子量400以下のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン及びポリビニルアルコールなどのポリオールを10〜50重量部合してなる蓄熱材組成物が提案されている(特許文献7参照)。
柔軟性付与成分として所定の数平均分子量を有するポリオールを所定量配合することにより、潜熱蓄熱材の結晶が大きく成長せず、結晶に柔軟性を付与できることが開示されている。
しかし相分離防止剤を使用しないので、融解〜凝固サイクルを繰り返すと前記のように相分離が発生する問題があり、蓄熱〜放熱の繰り返しにより相分離が発生すると、発熱量の減少や、極端な場合は蓄熱しなくなるばかりか、過冷却現象が大きく なり、所定の温度で凝固しなくなる問題が発生する。
一方、本発明者等は先に、相変化(固液相変化)時の潜熱を利用する、凝固時に全体的に凝固するタイプの潜熱蓄熱材組成物であって、100μm以上の長さの長繊維状パリゴルスカイトを必須成分として配合することにより、融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても相分離せず、安定して蓄熱〜放熱を繰り返すことができる耐久性および信頼性の高い潜熱蓄熱材組成物およびその製法を提案した(特許文献8参照)。
特開2001−139939号公報 特開昭53−089892号公報 特開平11−152466号公報 特開2000−160151号公報 特許第4830639号公報 特許第5140255号公報 特開2001−139939号公報 特許第5062729号公報
本発明の目的は、溶融した潜熱蓄熱材組成物を冷却して固化させる際に、固化物が大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になったりせず、柔軟性ないし流動性を有する潜熱蓄熱材組成物であって、融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても相分離せず、過冷却現象が発生せず、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができる流動可能な熱搬送媒体としても利用できる耐久性および信頼性の高い潜熱蓄熱材組成物を提供することである。
本発明者らは、従来の問題を解決するために、鋭意研究の結果、主成分である潜熱蓄熱物質に対して配合することによってその融点を所定の温度に調整できる成分としての融点調整剤、融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても相分離せず、安定して蓄熱〜放熱を繰り返すことができる機能を付与できる成分としての相分離防止剤、および過冷却現象が大きくなり、所定の温度で凝固しなくなるのを防止するための成分としての過冷却防止剤を必須成分として所定量配合した潜熱蓄熱材組成物であって、
使用する前記相分離防止剤として、相分離防止機能を果たすとともに過冷却防止作用および増粘作用をも有する相分離防止剤を使用することによって、あるいは微細結晶生成作用を有する融点調整剤を使用することによって、組成物を冷却して固化させる際に、固化物が大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になったりせず、微細な粒子の集合体となり、柔軟性ないし流動性を有する新規な潜熱蓄熱材組成物が得られることを見いだし、本発明を成すに到った。
すなわち、例えば、潜熱蓄熱物質(イ)、融点調整剤(ロ)、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤(ハ)および/または微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)を加熱攪拌して均一に融解した後、加熱を停止し、過冷却防止剤(ニ)を添加し攪拌して均一に混合し、次いで室温まで冷却しつつ、前記微細結晶生成作用によって、全体的にあるいは部分的に塊状化せず、常温−常圧下で柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物を得ることができる。
上記課題を解消するための本発明の請求項1は、潜熱蓄熱物質(イ)を主成分とし、融点調整剤(ロ)、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤(ハ)および/または微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)、過冷却防止剤(ニ)を必須成分として所定量配合した潜熱蓄熱材組成物であって、
前記潜熱蓄熱物質と前記融点調整剤、前記相分離防止剤、前記過冷却防止剤を所定量配合して溶融混合冷却して得られる、常温−常圧下で柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなることを特徴とする新規な潜熱蓄熱材組成物である。
本発明の請求項2は、請求項1記載の新規な潜熱蓄熱材組成物であって、前記微細結晶生成作用を有する融点調整剤が尿素であり、融点調整剤が水、数平均分子量400以下のポリオール、塩化アンモニウムから選択される少なくとも1つであり、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤が長繊維状パリゴルスカイトおよび/または長繊維状セピオライトであることを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の新規な潜熱蓄熱材組成物であって、前記潜熱蓄熱物質が、酢酸ナトリウム3水塩、チオ硫酸ナトリウム5水塩、硫酸ナトリウム10水塩、塩化カルシウム2水塩、塩化カルシウム6水塩、リン酸水素二ナトリウム12水塩、炭酸ナトリウム10水塩、硝酸マグネシウム6水塩、塩化マグネシウム6水塩、硫酸アンモニウムアルミニウム12水塩、硫酸カリウムアルミニウム12水塩、キシリトール、トレイトール、エリスリトール、マンニトール、ガラクチトールから選ばれる少なくとも1つの潜熱蓄熱物質であることを特徴とする。
本発明の請求項4は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の新規な潜熱蓄熱材組成物であって、潜熱蓄熱物質(イ)55〜95質量%、融点調整剤(ロ)3〜35質量%、微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)3〜15質量%、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤(ハ)0.1〜10質量%、過冷却防止剤(ニ)0.1〜10質量%を配合したことを特徴とする。
本発明の請求項1記載の新規な潜熱蓄熱材組成物は、溶融した潜熱蓄熱材組成物を冷却して固化させる際に、固化物が大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になったりせず、柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなり、融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても相分離したりせず、過冷却現象が発生せず、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができ、流動可能な熱搬送媒体としても利用でき、効率良く容易に製造できるので安価であり、かつ耐久性および信頼性が高いという顕著な効果を奏する。
なお、柔軟性ないし流動性を有するとは、後述する実施例で特定のB型粘度計を使用して、凝固点温度以上の動粘度や凝固点温度以下の動粘度を容易に測定できるような柔軟性ないし流動性を有することである。
すなわち、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物は前記動粘度を容易に測定ができていることから、柔軟性ないし流動性を有しているといえる。しかし、比較例の中には固化物が大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になった場合があり、このような場合は前記動粘度の測定不能となるので、柔軟性ないし流動性を有しているとはいえない。
また、本発明でいう、柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体とは、例えば粒子の平均粒径が小さく、後述する実施例で特定のB型粘度計を使用して、凝固点温度以上の動粘度や凝固点温度以下の動粘度を容易に測定できるような柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体である。粒子の平均粒径が揃っておらず大小の粒子の集合体である場合は、容易に動粘度を測定できない。
本発明の請求項2は、請求項1記載の新規な潜熱蓄熱材組成物において、本来の機能を果たすとともに微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用をも有する相分離防止剤を使用することによって、および/または微細結晶生成作用を有する融点調整剤を使用することによって、溶融した潜熱蓄熱材組成物を冷却して固化させる際に、固化物が大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になったりせず、確実に微細な粒子の集合体となり、柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を得ることができ、かつ融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても相分離したりせず、過冷却現象が発生せず、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができ、流動可能な熱搬送媒体としても利用できるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の新規な潜熱蓄熱材組成物において、酢酸ナトリウム3水塩(融点58℃)、チオ硫酸ナトリウム5水塩(融点48.5℃)、硫酸ナトリウム10水塩(融点32.4℃)、塩化カルシウム2水塩(融点176℃)、塩化カルシウム6水塩(融点29.8℃)、リン酸水素二ナトリウム12水塩(融点35.2℃)、炭酸ナトリウム10水塩(融点33℃)、硝酸マグネシウム6水塩(融点89℃)、塩化マグネシウム6水塩(融点117℃)、硫酸アンモニウムアルミニウム12水塩(融点93.5℃)、硫酸カリウムアルミニウム12水塩(融点92.5℃)、キシリトール(融点96℃)、トレイトール(融点90℃)、エリスリトール(融点121℃)、マンニトール(融点168℃)、ガラクチトール(融点189℃)から選ばれる少なくとも1つの潜熱蓄熱物質を使用すると、凝固点温度が異なる種々の新規な潜熱蓄熱材組成物を効率良く容易に製造でき、安価であるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項4は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の新規な潜熱蓄熱材組成物において、確実に微細な粒子の集合体となり、融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても確実に相分離したりせず、過冷却現象が発生するのを確実に抑制し、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
長繊維状パリゴルスカイトおよび長繊維状セピオライトは、潜熱蓄熱材組成物を用いて融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても相分離を発生させないという相分離防止剤としての機能を果たすとともに、その微細結晶生成作用によって長繊維状パリゴルスカイトおよび長繊維状セピオライトを適量配合された溶融した潜熱蓄熱材組成物を冷却して固化させる際に、固化物が大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になったりせず、確実に微細な粒子の集合体となり、柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を得ることができるという優れた作用効果がある、すなわち微細結晶生成作用を有することが本発明者等によって見いだされた。
さらに、長繊維状パリゴルスカイトおよび長繊維状セピオライトは前記のような特性を有するとともに、潜熱蓄熱材組成物を用いて融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても、過冷却現象が発生せず、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができる特性をも有することも見いだされた。
また、長繊維状パリゴルスカイトおよび長繊維状セピオライトの配合によって増粘作用があることも見いだされた。
長繊維状パリゴルスカイトおよび長繊維状セピオライトのこれらの特性は、短繊維状パリゴルスカイトや短繊維状セピオライトには備わっていない特性であり、長繊維状形態や単長繊維状物などおよびそれらの組み合わされた微細なネットワークなど、および四面体シートの頂点方向の周期的な逆転によるリボン構造を持つ繊維状形態などに起因する優れた吸着性、レオロジー特性、触媒活性などによってもたらされるものであると考えられる。
本発明で用いる長繊維状パリゴルスカイト、長繊維状セピオライトに対して、短繊維状パリゴルスカイト、短繊維状セピオライト、ガラス繊維、炭素繊維、岩綿 (ロックウール)、無機ウィスカー、珪灰石(合成珪酸カルシウムを含む)、ハロイサイト、ナノセルロース(例えば、大王製紙株式会社製)などを長繊維状パリゴルスカイト、長繊維状セピオライトの作用を損なわない範囲で、あるいは経済効果を目的として1種あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
本発明で使用する潜熱蓄熱物質としては、具体的には、例えば、酢酸ナトリウム3水塩、チオ硫酸ナトリウム5水塩、硫酸ナトリウム10水塩、塩化カルシウム2水塩、塩化カルシウム6水塩、リン酸水素二ナトリウム12水塩、炭酸ナトリウム10水塩、硝酸マグネシウム6水塩、塩化マグネシウム6水塩、硫酸アンモニウムアルミニウム12水塩、硫酸カリウムアルミニウム12水塩などの無機水和塩、キシリトール、トレイトール、エリスリトール、マンニトール、ガラクチトールなどの糖アルコール類から選ばれる潜熱蓄熱物質を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
例えば、酢酸ナトリウム3水塩などは、融解潜熱が大きいことおとび融点が約60℃付近であることなどから、深夜電力利用や廃熱利用による暖房用などに有用である上、入手が容易で安価であり、本発明において好ましく使用できる。
本発明で使用する融点調整剤は、具体的には、例えば、水、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿素、多価アルコール類から選ばれる融点調整剤を挙げることができる。
これらは比較的少量の添加で融点調整できる上、入手が容易で安価であり、本発明において好ましく使用できる。
これらの融点調整剤の中でも、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素は、融点調整効果が大きく、入手も容易で安価であり本発明において好ましく使用できる。
さらに、これらの融点調整剤の中でも、尿素は、融点調整効果が大きく、入手も容易で安価である上、本発明において微細結晶生成作用を有することが見いだされた。
すなわち、尿素は、尿素を適量配合した溶融した潜熱蓄熱材組成物を冷却して固化させる際に、固化物が大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になったりせず、確実に微細な粒子の集合体となり、柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を得ることができるという優れた作用効果がある。
尿素の結晶構造には空孔が存在し、種々の化合物と安定な包接化合物を作る特性があることが知られており、溶融した潜熱蓄熱材組成物を冷却して固化させる際に、潜熱蓄熱材組成物と結合し、確実に微細な粒子の集合体となることを促進するという、微細結晶生成作用を有するものと考えられる。
本発明で使用する過冷却防止剤としては、具体的には、例えば、ピロリン酸ナトリウム10水塩、四ホウ酸ナトリウム10水塩、炭酸ナトリウム1水塩、臭素酸バリウム1水塩、硫酸カルシウム2水塩、ピロリン酸二水素二ナトリウム6水塩、塩化カルシウム、臭化カルシウム、リン酸水素第二ナトリウム12水塩、フッ化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、硫化バリウム、リン酸三ナトリウム12水塩、酒石酸カルシウム、臭化ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウムから選ばれる過冷却防止剤を挙げることができる。
これらは比較的少量の添加で過冷却を防止できる上、入手が容易であり、本発明において好ましく使用できる。
これらの過冷却防止剤は使用する潜熱蓄熱物質に対応して選定して使用することが好ましく、例えば潜熱蓄熱物質が酢酸ナトリウム3水塩の場合は、ピロリン酸ナトリウム10水塩、チオ硫酸ナトリウム5水塩や硫酸ナトリウム10水塩の場合は、四ホウ酸ナトリウム10水塩などである。
もちろん、長繊維状パリゴルスカイトおよび長繊維状セピオライトは前記のように、潜熱蓄熱材組成物に適量配合することにより、融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても、過冷却現象が発生せず、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができる特性を付与できるので、過冷却防止剤としても使用できる。
本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱物質(イ)を主成分とし、融点調整剤(ロ)、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤(ハ)および/または微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)、過冷却防止剤(ニ)を必須成分として所定量配合した潜熱蓄熱材組成物であって、前記潜熱蓄熱物質と前記融点調整剤、前記相分離防止剤、前記過冷却防止剤を所定量配合して溶融混合冷却して得られる、常温−常圧下で柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる新規な潜熱蓄熱材組成物であるが、配合量は潜熱蓄熱物質(イ)の種類によっても異なり、組み合わせる他の成分の種類によっても異なるので、柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体が得られ、融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても相分離や、過冷却現象が発生せず、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができ、流動可能な熱搬送媒体としても利用できるような潜熱蓄熱材組成物が得られる組み合わせや配合量であればよく、特に限定されるものではない。
潜熱蓄熱材組成物に要求される凝固点温度や、柔軟性や流動性が求められる温度範囲および発熱量などによって、最適な各成分を決定し、配合量を予め試験して決定することが好ましい。
しかし、通常、潜熱蓄熱物質(イ)55〜95質量%、融点調整剤(ロ)3〜35質量%、微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)3〜15質量%、微細結晶生成作用を有する相分離防止剤(ハ)0.1〜10質量%、過冷却防止剤(ニ)0.1〜10質量%の範囲で配合すると、固化物が大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になったりせず、確実に微細な粒子の集合体となり、柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を得ることができ、相分離したり過冷却現象が発生するのを確実に抑制でき、安定して蓄熱〜放熱を繰り返すことができるので好ましい。
潜熱蓄熱物質は55〜95質量%であり、好ましくは60〜90質量%であり、潜熱蓄熱物質が55質量%未満では発熱量が不足する恐れがあり、95質量%を超えると他の成分の量が少なくなって相分離や、過冷却現象が発生するのを確実に抑制できない恐れがある。
融点調整剤(ロ)は3〜35質量%であり、好ましくは5〜20質量%であり、3質量%未満では融点調整が不十分となり、十分な柔軟性ないし流動性を付与できない恐れがあり、35質量%を超えると発熱量が不足する恐れがある。
微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)は3〜15質量%であり、好ましくは5〜10質量%であり、5質量%未満では融点調整や微細結晶生成作用が不十分となり、十分な柔軟性ないし流動性を付与できない恐れがあり、15質量%を超えると発熱量が不足する恐れがある。
微細結晶生成作用を有する相分離防止剤(ハ)は0.1〜10質量%であり、好ましくは2〜5質量%であり、0.1質量%未満では微細結晶生成作用や相分離防止を発揮できない恐れがあり、10質量%を超えると発熱量の不足や、動粘度が大きすぎて流動抵抗が大きくなり、容器に封入する場合などに取り扱い難く施工性などが悪くなる恐れがある。
過冷却防止剤(ニ)は0.1〜10質量%であり、好ましくは2〜5質量%であり、0.1質量%未満では十分に過冷却を防ぐことができない恐れがあり、10質量%を超えて添加しても過冷却防止効果に大きな違いが現れず、そして添加量が多いと発熱量が不足する恐れがある。
本発明の潜熱蓄熱材組成物を製造する際には、長繊維状パリゴルスカイト、長繊維状セピオライトの長繊維状形態および結晶構造が破壊されず維持されて含まれているように制御して製造することが好ましい。
解綿粉砕加工としては、湿式解綿粉砕加工方式が長繊維状パリゴルスカイト、長繊維状セピオライトの長繊維状形態および結晶構造を破壊せず維持しつつ加熱解綿粉砕しつつ各成分を均一分散、混合できるので、過冷却防止効果や増粘作用や相分離防止作用を損なわず、微細結晶生成を促進するとともに、相分離や過冷却現象が発生するのを確実に抑制できるので好ましい。
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
次に実施例および比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
酢酸ナトリウム3水塩79.0g、塩化アンモニウム6.0g、尿素10.0gを加えて撹拌し、さらに長繊維状パリゴルスカイト3.0gを加えて撹拌し、よく混合された状態で、湯煎で加熱融解し、酢酸ナトリウム3水塩の結晶がなくなったら加熱を止めて、ピロリン酸ナトリウム10水塩2.0gを加えて撹拌した後、室温まで冷却して、流動性を有する均一で微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物100gを調製した。
本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物の特性(凝固点温度、発熱量、凝固点温度以上の動粘度、凝固点温度以下の動粘度)を下記試験方法で測定した結果を、潜熱蓄熱材組成物の各成分およびその配合量とともに表1に示す。
発熱量測定法:JIS K0065(化学品の凝固点温度測定法)に順じて測定する。
動粘度測定法:B型粘度計(東機産業株式会社製、型番BL−50)を使用して下記の条件で測定する。
条件:
(イ)凝固点温度以上の動粘度の測定は、ロータNo2を装着した前記B型粘度計を用い、潜熱蓄熱材組成物の凝固点温度に応じて120℃あるいは80℃あるいは50℃あるいは30℃で、回転数60(rpm)で測定する。
(ロ)凝固点温度以下の動粘度の測定は、ロータNo2を装着した前記B型粘度計を用い、潜熱蓄熱材組成物の凝固点温度に応じて50℃あるいは30℃あるいは10℃で、回転数6(rpm)で測定する。
実施例1においては、凝固点温度以上(50℃)の動粘度および凝固点温度以下(30℃)の動粘度特性を前記試験方法で計測した結果を次に示す。
本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物を用いて、下記試験条件で融解〜凝固サイクルを50回繰り返した後の凝固時の発熱量、凝固点温度以上(50℃)の動粘度および凝固点温度以下(30℃)の動粘度特性を前記試験方法で計測した結果を次に示す。なお目視により相分離の発生の有無を判定したが、相分離の発生はなかった。
熱サイクルの試験条件:
20℃で1.0時間保持した後、60℃に加熱して3.0時間保持するという、1サイクル4.0時間の熱サイクルを1日6回繰り返す。
熱サイクル50回後の試験後の結果を次に示す。
凝固時の発熱量:43.1cal/g
凝固点温度以上(50℃)の動粘度:223.0mPa・s
凝固点温度以下(30℃)の動粘度:914.0cal/g
(実施例2)
実施例1において塩化アンモニウムを用いず、替わりにエチレングリコール15gを用いた以外は実施例1と同様にして、流動性を有する均一で微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物109gを調製した。
実施例1と同様に、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物の特性の測定果および各成分の配合量を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において塩化アンモニウムを10.0g用いた以外は実施例1と同様にして、流動性を有する均一で微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物104gを調製した。
実施例1と同様に、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物の特性の測定果および各成分の配合量を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において塩化アンモニウムを用いず、替わりに硫酸アンモニウム6.0g用いた以外は実施例1と同様にして、流動性を有する均一で微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物100gを調製した。
実施例1と同様に、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物の特性の測定果および各成分の配合量を表1に示す。
(比較例1)
塩化アンモニウムを3.0g使用した以外は実施例1と同様に調整して得た比較のための潜熱蓄熱材組成物97.0gを、室温(30℃)まで冷却したところ、全体的に大きな塊になって固化したため、凝固点温度以上(50℃)の動粘度は測定できたが、凝固点温度以下(30℃)の動粘度は測定できなかった。
(比較例2)
塩化アンモニウムを使用せず、替わりに臭化アンモニウムを6.0g使用した以外は実施例1と同様に調整して得た比較のための潜熱蓄熱材組成物100.0gを、室温(30℃)まで冷却したところ、全体的に大きな塊になって固化したため、凝固点温度以上(50℃)の動粘度は測定できたが、凝固点温度以下(30℃)の動粘度は測定できなかった。
(実施例5)
硫酸ナトリウム10水塩75.0g、尿素10.0g、水10.0gを加えて撹拌し、さらに長繊維状パリゴルスカイト10.0gを加えて撹拌し、よく混合された状態で、湯煎で加熱融解し、硫酸ナトリウム10水塩の結晶がなくなったら加熱を止めて、硼酸ナトリウム10水塩5.0gを加えて撹拌した後、室温まで冷却して、流動性を有する均一で微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物110gを調製した。
実施例1と同様に、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物の特性の測定および各成分の配合量を表1に示す。但し、凝固点温度以上の動粘度の測定は、30℃で行い、凝固点温度以下の動粘度の測定は、10℃で行った。
本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物を用いて、5℃まで冷却した後に1.0時間かけて、45℃に加熱し、45℃に加熱後に3.0時間かけて、5℃まで冷却するという、1サイクル4.0時間の熱サイクルを1日6回繰り返すという融解〜凝固サイクルを100回繰り返した後に、目視により相分離の発生の有無を判定した。
相分離の発生はなかった。
(実施例6)
実施例5において長繊維状パリゴルスカイトを使用しなかった以外は実施例5と同様にして、流動性を有する均一で微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物100gを調製した。
実施例5と同様に、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物の特性の測定果および各成分の配合量を表1に示す。
(実施例7)
硫酸アンモニウムアルミニウム12水塩58.0g、水35.0gを加えて撹拌し、さらに長繊維状パリゴルスカイト5.0gを加えて撹拌し、よく混合された状態で、湯煎で加熱融解し、硫酸アンモニウムアルミニウム12水塩の結晶がなくなったら加熱を止めて、弗化カルシウム2.0gを加えて撹拌した後、室温まで冷却して、流動性を有する均一で微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物100gを調製した。
実施例1と同様に、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物の特性の測定果および各成分の配合量を表1に示す。但し、凝固点温度以上の動粘度の測定は、80℃で行い、凝固点温度以下の動粘度の測定は、30℃で行った。
(比較例3)
長繊維状パリゴルスカイトを用いなかった以外は実施例7と同様に調整して得た比較のための潜熱蓄熱材組成物95.0gを、室温(30℃)まで冷却したところ、長繊維状パリゴルスカイトを使用しなかったので、凝固せず、発熱しなかった。
(実施例8)
エリスリトール(C-10O-)60.0g、尿素10.0g、PEG#300 20.0g、長繊維状パリゴルスカイト7.0gを加えて加熱撹拌し、よく混合された状態で、室温まで冷却して、流動性を有する均一で微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物97gを調製した。
実施例1と同様に、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物の特性の測定果および各成分の配合量を表1に示す。但し、凝固点温度以上の動粘度の測定は、120℃で行い、凝固点温度以下の動粘度の測定は、50℃で行った。
(比較例4)
尿素およびPEG#300を用いず、エリスリトール(C-H-10O-)60.0g、長繊維状パリゴルスカイト7.0g、炭酸カルシウム5.0gを使用した以外は実施例8と同様に調整して得た比較のための潜熱蓄熱材組成物72.0gを、室温(30℃)まで冷却したところ、全体的に大きな塊になって固化したため、凝固点温度以上(120℃)の動粘度は測定できたが、凝固点温度以下(30℃)の動粘度は測定できなかった。
(実施例9)
硫酸ナトリウム10水塩75.0g、尿素10.0g、水10.0gを加えて撹拌し、長繊維状パリゴルスカイト5.0g、さらにナノセルロース(大王製紙株式会社製、化学パルプ(広葉樹漂白品))5.0gを加えて撹拌し、よく混合された状態で、湯煎で加熱融解し、硫酸ナトリウム10水塩の結晶がなくなったら加熱を止めて、硼酸ナトリウム10水塩5.0gを加えて撹拌した後、室温まで冷却して、流動性を有する均一で微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなる本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物110gを調製した。
実施例1と同様に、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物の特性の測定および各成分の配合量を表1に示す。但し、凝固点温度以上の動粘度の測定は、30℃で行い、凝固点温度以下の動粘度の測定は、10℃で行った。
本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物を用いて、5℃まで冷却した後に1.0時間かけて、45℃に加熱し、45℃に加熱後に3.0時間かけて、5℃まで冷却するという、1サイクル4.0時間の熱サイクルを1日6回繰り返すという融解〜凝固サイクルを100回繰り返した後に、目視により相分離の発生の有無を判定した。
相分離の発生はなかった。
(比較例5)
長繊維状パリゴルスカイトを添加せず、ナノセルロースを10.0g添加した以外は実施例9と同様に調整して得た比較のための潜熱蓄熱材組成物110gを調製した。
実施例1と同様に、潜熱蓄熱材組成物の特性の測定および各成分の配合量を表1に示す。但し、凝固点温度以上の動粘度の測定は、30℃で行い、凝固点温度以下の動粘度の測定は、10℃で行った。
この比較のための潜熱蓄熱材組成物を用いて、実施例9と同様に調整して融解〜凝固サイクルテストを行った。20回繰り返した後に、相分離が発生した。
以上のように、本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物は、凝固点温度以下でも、大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になったりせず、凝固点温度以下の動粘度を測定できる柔軟性、流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなり、融解〜凝固サイクルを繰り返しても相分離したり、過冷却現象が発生せず、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができることが判った。
本発明の新規な潜熱蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱物質(イ)を主成分とし、融点調整剤(ロ)、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤(ハ)および/または微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)、過冷却防止剤(ニ)を必須成分として所定量配合した潜熱蓄熱材組成物であって、
前記潜熱蓄熱物質と前記融点調整剤、前記相分離防止剤、前記過冷却防止剤を所定量配合して溶融混合冷却して得られる、常温−常圧下で柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなることを特徴とする新規な潜熱蓄熱材組成物であり、
溶融した潜熱蓄熱材組成物を冷却して固化させる際に、固化物が大きな塊になったり、不ぞろいの大小の塊の集合体になったりせず、柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなり、融解〜凝固サイクルを長時間繰り返しても相分離せず、過冷却現象が発生せず、優れた蓄熱〜放熱を安定して繰り返すことができ、流動可能な熱搬送媒体としても利用でき、効率良く容易に製造できるので安価であり、かつ耐久性および信頼性が高いという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。

Claims (4)

  1. 潜熱蓄熱物質(イ)を主成分とし、融点調整剤(ロ)、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤(ハ)および/または微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)、過冷却防止剤(ニ)を必須成分として所定量配合した潜熱蓄熱材組成物であって、
    前記潜熱蓄熱物質と前記融点調整剤、前記相分離防止剤、前記過冷却防止剤を所定量配合して溶融混合冷却して得られる、常温−常圧下で柔軟性ないし流動性を有する微細な粒子の集合体を主成分として構成されてなることを特徴とする新規な潜熱蓄熱材組成物。
  2. 前記微細結晶生成作用を有する融点調整剤が尿素であり、融点調整剤が水、数平均分子量400以下のポリオール、塩化アンモニウムから選択される少なくとも1つであり、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤が長繊維状パリゴルスカイトおよび/または長繊維状セピオライトであることを特徴とする請求項1記載の新規な潜熱蓄熱材組成物。
  3. 前記潜熱蓄熱物質が、酢酸ナトリウム3水塩、チオ硫酸ナトリウム5水塩、硫酸ナトリウム10水塩、塩化カルシウム2水塩、塩化カルシウム6水塩、リン酸水素二ナトリウム12水塩、炭酸ナトリウム10水塩、硝酸マグネシウム6水塩、塩化マグネシウム6水塩、硫酸アンモニウムアルミニウム12水塩、硫酸カリウムアルミニウム12水塩、キシリトール、トレイトール、エリスリトール、マンニトール、ガラクチトールから選ばれる少なくとも1つの潜熱蓄熱物質であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の新規な潜熱蓄熱材組成物。
  4. 潜熱蓄熱物質(イ)55〜95質量%、融点調整剤(ロ)3〜35質量%、微細結晶生成作用を有する融点調整剤(ロ’)3〜15質量%、微細結晶生成作用および過冷却防止作用および増粘作用を有する相分離防止剤(ハ)0.1〜10質量%、過冷却防止剤(ニ)0.1〜10質量%を配合したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の新規な潜熱蓄熱材組成物。
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