JP4830639B2 - 潜熱蓄熱材 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄熱潜熱材、特に放熱時においても流動が可能な潜熱蓄熱材に関する。
従来から排熱や太陽熱などの熱を給湯用途などに利用する場合においては、省エネおよび供給熱源の負荷変動緩和等の目的で蓄熱材を利用することが行われている。また、近年にあっては、二酸化炭素(CO)ヒートポンプ家庭用給湯器やコージェネ排熱回収型給湯器が普及しており、これらの機器においても、省スペース化・電力平準化・省エネの観点から蓄熱材の利用が考えられている。
上記給湯器を例に挙げれば、給湯器により供給すべき温水の上限温度は80〜90℃程度であり、また温水利用温度としての下限温度は40〜60℃程度が必要であることから、これに用いられる蓄熱材は60〜90℃の温度範囲内である必要がある。
ここで、一般的な蓄熱材としては水(HO)を挙げることができる。水を蓄熱材として利用するにあたっては、利用温度域によって顕熱蓄熱と潜熱蓄熱の2種類の蓄熱方法がある。水の顕熱蓄熱は、0℃(氷)および100℃(蒸気)の相変化温度域を利用しないで蓄熱する方法であり、一方、水の潜熱蓄熱は、前記相変化温度域を利用する蓄熱方法である。
このように、潜熱蓄熱を利用した蓄熱方法は相変化を伴うため、顕熱蓄熱を利用した蓄熱方法に比べて、同じ利用温度差での蓄熱密度が大きくなり、蓄熱材としては好ましい。
しかしながら、相変化(固液相変化)時の潜熱を利用する場合、一般的には、蓄熱材から熱を取り出すと当該蓄熱材が凝固してしまうため、流動化しない。そのため、蓄熱材自体を流動化可能な熱搬送媒体として利用できない、また凝固後の顕熱採熱が行い難く伝熱性能が悪化するといった点で不利である。
このような問題を踏まえ、放熱時にあっても流動状態を維持可能な潜熱蓄熱材の先行文献を次に示す。(例えば特許文献1〜3参照)。
特開昭53−089892号公報 特開平11−152466号公報 特開2000−160151号公報
前記特許文献1には、アンモニウム・ミョウバンに水を添加してなる潜熱蓄熱材が開示されており、当該水を添加することにより潜熱蓄熱材の融点を調整し給湯用途に適した潜熱蓄熱材とするとともに、常温でも流動性を呈するようにしている。
しかしながら、当該文献に開示されている潜熱蓄熱材にあっては、放熱時にアンモニウム・ミョウバンは固相として水中に析出することとなる。そうすると、当該固相と水との間には密度差があるため、当該析出した固相は沈降してしまう。そのため、放熱と蓄熱と繰り返して使用すると、当該潜熱蓄熱材の濃度分布に偏りが生じてしまい、分散状態を維持できなくなり、遂には流動化状態を維持できなくなる。
前記特許文献2は、このような特許文献1の問題を解消することができる潜熱蓄熱材が開示されており、具体的には、マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材が記載されている。潜熱蓄熱材をマイクロカプセル化すれば、確かに潜熱蓄熱材が析出して沈降することを防止することができ、溶液中にこれを分散せしめることで流動状態を維持することは可能である。
しかしながら、マイクロカプセル1個における潜熱蓄熱材自体の割合は60〜75重量%程度であり、さらに、当該マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材を溶液中に分散させて流動状態を維持するためには、当該溶液に対して当該マイクロカプセルは10〜60重量%程度しか含有できず、そうすると、潜熱蓄熱材自体の全体に対する比率は、45重量%以下となってしまい、蓄熱密度が著しく低下してしまう。
また、マイクロカプセル化した潜熱蓄熱材は、潜熱蓄熱材自体と給湯用の水とが直接接触することがないため、これらを直に熱交換させることが可能となる点で優れているが、マイクロカプセルを構成する樹脂が外力により破損し、その中に包含された潜熱蓄熱材自体が溶出する虞があり、その場合にはシステム全体に悪影響を及ぼす可能性がある。この問題を解消するために、マイクロカプセルの膜厚を厚く設計することも可能であるが、そうすると、伝熱性能が低下してしまう。
さらに、上記特許文献3には、水、過冷却防止剤、および増粘剤を添加した潜熱蓄熱材が開示されおり、当該組み合わせにより、潜熱蓄熱材全体の濃度を均一化しつつ流動化を維持しようとしている。
しかしながら、当該文献に開示されている潜熱蓄熱材にあっては、その利用温度域が給湯利用に適しておらず、実用レベルにまで完成されていない。
本発明は上述のような従来からの潜熱蓄熱材の抱える種々の問題に着目してなされたものであり、従来の潜熱蓄熱材に比べ、流動性が高く、利用温度域が広く、従って給湯利用に好適に用いることが可能な潜熱蓄熱材を提供することを主たる課題とする。
上記の課題を解決するための、本発明は、水溶性の糖アルコール類、または無機水和塩と、水と、非水溶性の微小繊維と、から構成されることを特徴とする潜熱蓄熱材である。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、その融点が60〜90℃であることが好ましい。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、前記糖アルコール類が、キシリトール、トレイトール、エリスリトール、ガラクチトール、イジトール、ダルシトール、からなる群から選択される1または2以上の糖アルコールであることが好ましい。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、前記無機水和塩が、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸アンモニウムカリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウムからなる群から選択される1または2以上の水和塩であることが好ましい。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、前記微小繊維が、セルロースからなることが好ましい。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、前記微小繊維の太さが、0.01〜1μmであることが好ましい。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、前記微小繊維の含有割合が、潜熱蓄熱材全体に対し5重量%以下であることが好ましい。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、さらに、増粘剤が含有されていることが好ましい。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、前記増粘剤がセルロース系、アクリル系、バイオポリマー系、若しくはグリコール系の増粘剤であることが好ましい。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、前記増粘剤の含有割合が、潜熱蓄熱材全体に対し1重量%以下であることが好ましい。
また、上記本発明の潜熱蓄熱材にあっては、粘度が2000mPa・s以上であることが好ましい。
本発明の潜熱蓄熱材は、水溶性の糖アルコール類、または無機水和塩からなる、潜熱蓄熱効果を有する物質に、単に水のみを添加するのではなく、非水溶性の微小繊維を構成要素としているため、当該微小繊維が分散剤として機能し、潜熱蓄熱材全体の濃度分布を均一に保つことが可能となる。従って、蓄熱と放熱を繰り返し行った場合であっても、前記潜熱蓄熱効果を有する物質が沈殿することはなく、流動状態を常に保持することができるので、例えば冷媒と熱交換を行うにあたり、対向流式を採用することができ、その結果、潜熱蓄熱材が固定式の従来のシステムに比べて熱交換性能を向上せしめることができる。
また、本発明の潜熱蓄熱材は、当該含有する水の量を調整することにより、潜熱蓄熱材全体の融点の調整を安価に行うことができ、例えば、融点温度域を60〜90℃に設定することも可能であり、当該温度域に設定することにより給湯システムに好適に用いることが可能となる。
さらに、本発明の潜熱蓄熱材に増粘剤を添加することにより、潜熱蓄熱材全体の粘度を調整することができ、より流動化を促進することができる。
また、本発明の潜熱蓄熱材は、分散状態・流動状態を維持するためにマイクロカプセルを使用する必要がないため、潜熱蓄熱材全体に対する、水溶性の糖アルコール類、または無機水和塩からなる潜熱蓄熱効果を有する物質の割合を高くすることができるため、その分、蓄熱密度を向上せしめることができる。
以下に、本発明の潜熱蓄熱材について具体的に説明する。
本発明の潜熱蓄熱材は、水溶性の糖アルコール類、または無機水和塩と、水と、非水溶性の微小繊維と、から構成されることに特徴を有している。
以下に、本発明の潜熱蓄熱材を構成するために必要な材料毎に詳細に説明する。
(1)水溶性の糖アルコール類、または無機水和塩
本発明の潜熱蓄熱材において、水溶性の糖アルコール類、または無機水和塩は必須の構成要素であり、当該材料は、何れも潜熱蓄熱作用を有しており、従って、本発明の潜熱蓄熱材において主成分となる材料である。
本発明の潜熱蓄熱材において用いられる水溶性の糖アルコール類(有機物)については、特に限定することはなく、潜熱蓄熱作用を有するものであれば、その融点等を考慮しつつ適宜選択して使用することができる。
具体的には、例えば、キシリトール(融点94℃、潜熱量238KJ/L)、トレイトール(融点71℃、潜熱量325kJ/L)、エリスリトール(融点119℃、潜熱量446kJ/L)、ダルシトール(融点189℃、潜熱量537kJ/L)等を挙げることができ、これらの群から1つを選択して用いてもよく、または、これらの群から2つ以上を選択し混合して用いてもよい。
このような糖アルコール類は、食品添加物であることから安全性が高く、潜熱量も大きい。また安全で安価な水を融点調整剤として利用することが可能である。融点調整により温水利用温度に調整可能であり、水の顕熱蓄熱よりも蓄熱密度を大きくすることが可能となる。さらに水を加えたことにより、流動化が可能となる。
上記の中でも特に望ましい物質としては、エリスリトールが挙げられる。熱量を維持しながら水を用いて融点調整を行う為には、出来るだけ水の添加量を少なくする必要がある。そのためには、融点調整前の温度が目標とする温度に近いことが望ましい。
エリスリトールは他の物質と比較し潜熱量が大きく、融点が温水利用温度に近いため融点調整による熱量の減少が少ない。
一方で、本発明の潜熱蓄熱材にあっては、前記水溶性の糖アルコール類ではなく、無機水和塩を主成分とすることも可能である。
この場合にあっても、当該無機水和塩については、特に限定することはなく、潜熱蓄熱作用を有するものであれば、その融点等を考慮しつつ適宜選択して使用することが可能である。
具体的には、例えば、塩化マグネシウム・6水和塩(融点117℃、潜熱量270kJ/L)、硫酸アルミニウム・10水和塩(融点112℃、潜熱量270kJ/L)、硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩(融点93.5℃、潜熱量440kJ/L)、硫酸アンモニウムカリウム・12水和塩(融点92.5℃、潜熱量418kJ/L)、硫酸マグネシウム・6水和塩(融点89℃、潜熱量256kJ/L)、2リン酸ナトリウム・10水和塩(79℃、潜熱量385kJ/L)等を挙げることができ、これらの群から1つを選択して用いてもよく、または、これらの群から2つ以上を選択し混合して用いてもよい。
他の塩類と比較して上記水和塩は安全性が高く、潜熱量も大きい。また安全で、安価な水を融点調整剤として利用することが可能である。融点調整により温水利用温度に調整可能であり、水の顕熱蓄熱よりも蓄熱密度を大きくすることが可能となる。さらに水を加えることにより、流動化が可能となる。
上記の中でも特に望ましい物質としては、硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩が挙げられる。硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩は食品添加物であり安全性が高い。また熱量を維持しながら水を用いて融点調整を行う為には、出来るだけ水の添加量を少なくする必要がある。そのためには、融点調整前の温度が目標とする温度に近いことが望ましい。硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩は他の物質と比較し潜熱量が大きく、融点が温水利用温度に近いため融点調整による熱量の減少が少ない。また硫酸アンモニウムカリウム・12水和塩は融点が目標温度に近く、熱量は大きいが、繰り返しの利用により相分離し易いため安定性の面で問題であった。
本発明の潜熱蓄熱材にあっては、上記水溶性の糖アルコール類または無機水和塩の含有割合については、特に限定することはなく、その利用分野や必要とされる熱量、温度域等を考慮しつつ適宜決定することができる。
図1は、潜熱蓄熱材において用いられる水溶性の糖アルコール類として、エリスリトールを用いた場合における、当該エリスリトールの潜熱蓄熱材全体に対する含有割合と融点、および熱量との関係を示すグラフである。
図1からも明らかなように、エリスリトールを用いる場合にあっては、潜熱蓄熱材全体(水を添加したもの)の重量に対し45〜75重量%、特に65〜75重量%程度の含有割合とすることが好ましい。
一方、図2は、潜熱蓄熱材において用いられる無機水和塩として、硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩を用いた場合における、当該硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩の潜熱蓄熱材全体に対する含有割合と融点、および熱量との関係を示すグラフである。
図2からも明らかなように、硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩を用いる場合にあっては、潜熱蓄熱材全体(水を添加したもの)の重量に対し35〜70重量%、特に60〜70重量%程度の含有割合とすることが好ましい。
(2)水
本発明の潜熱蓄熱材においては、前述した(1)水溶性の糖アルコール類、または無機水和塩を主成分とするが、これに水が添加されていることに特徴を有している。潜熱蓄熱材を構成する材料として水を用いることにより、潜熱蓄熱材全体の流動性を向上せしめることができるとともに、潜熱蓄熱材の利用温度領域(融点)を安価で調整することが可能となる。
ここで、本発明の潜熱蓄熱材にあっては、その融点を60〜90℃に設定することが好ましい。当該温度領域に設定することにより、本発明の潜熱蓄熱材を給湯システムにおいて好適に用いることができるからである。
本発明の潜熱蓄熱材を構成する水については、特に限定されることはなく、通常の水道水等を用いることができる。
また、当該水の含有割合については、前記の通り、潜熱蓄熱材の利用温度領域(融点)を任意の範囲内に設定すべく、適宜調整が可能である。
例えば、図1に示したように、前述の潜熱蓄熱作用を有する物質として、エリスリトールを用いた場合であって、当該潜熱蓄熱材の利用温度領域(融点)を60〜90℃に設定する場合にあっては、潜熱蓄熱材全体重量に対して45〜25重量%とすることが好ましい。
また一方で、図2に示したように、前述の潜熱蓄熱作用を有する物質として、硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩を用いた場合であって、当該潜熱蓄熱材の利用温度領域(融点)を60〜90℃に設定する場合にあっては、潜熱蓄熱材全体に対して65〜30重量%とすることが好ましい。
(3)微小繊維
本発明の潜熱蓄熱材においては、前述した(1)水溶性の糖アルコール類または無機水和塩、(2)水に加え、さらに微小繊維が含有されていることに特徴を有している。潜熱蓄熱材を構成する材料として微小繊維を用いることにより、前記(1)水溶性の糖アルコール類または無機水和塩が析出沈降してしまうことを防止することができ、その結果、潜熱蓄熱材全体の濃度分布を均一に保持することが可能となる。つまり、本発明において、微小繊維は、潜熱蓄熱作用を有する水溶性の糖アルコール類または無機水和塩の分散剤として機能していると言える。
本発明の潜熱蓄熱材を構成する微小繊維としては、主成分たる水溶性の糖アルコール類または無機水和塩を水中に分散せしめる効果を有する繊維であれば特に限定することはないが、例えばセルロースを用いることが好ましい。セルロースからなる微小繊維を用いることにより、当該繊維が水溶性の糖アルコール類または無機水和塩と水中で絡み合い、分散状態を維持することができるからである。また、セルロースは、通常潜熱蓄熱材が用いられる温度領域内(例えば60〜90℃)において温度による粘度変化が小さいため(つまり、粘度の温度依存性が小さいため)、蓄熱と放熱とを繰り返した場合であっても、当該分散状態を良好に維持することができる点でも好ましい材料と言える。
ここで、本発明においては微小繊維の太さは、分散性等を考慮しつつ適宜設計可能であるが、例えば0.01〜1μm程度であることが好ましい。この程度の微小繊維を用いることにより、分散状態を良好に維持することができるからである。
また、当該微小繊維の含有割合についても、適宜設計可能ではあるが、具体的には、前述した潜熱蓄熱材全体(潜熱蓄熱作用を有する物質+水)の重量に対して5重量%以下とすることが好ましい。潜熱蓄熱材全体に対する微小繊維の割合をこれより多くすると、その分だけ潜熱蓄熱作用を呈する水溶性の糖アルコール類または無機水和塩の含有割合が少なくなってしまい、蓄熱密度の低下を招くからである。なお、当該微小繊維の含有割合の下限値については、特に限定することはなく、分散性が担保できる程度に含有すればよいが、具体的には1重量%以上は必要であると考える。これより少ないと分散性が低下し、水溶性の糖アルコール類または無機水和塩の沈降を招き、濃度分布を均一に保持することが困難となる虞があるからである。
(4)その他の材料
以上説明したように、本発明の潜熱蓄熱材は、(1)水溶性の糖アルコール類または無機水和塩、(2)水、および(3)微小繊維、から構成されていることに特徴を有しているが、これら以外の材料を含有せしめることも可能である。
例えば、本発明の潜熱蓄熱材にあっては、さらに増粘剤を含有せしめることが好ましい。増粘剤を含有せしめることにより、主成分たる水溶性の糖アルコール類または無機水和塩の分散性をさらに良好にすることができる。
ここで、本発明の潜熱蓄熱材に用いられる増粘剤としては、例えば、セルロース系、アクリル系、バイオポリマー系、若しくはグリコール系の増粘剤を挙げることができ、これらの中でも、特にセルロース系の増粘剤が好ましい。これらの増粘剤は、比較的温度依存性が小さく、従って、蓄熱と放熱を繰り返した場合であっても、その温度変化による影響が少ないためである。
セルロース系の増粘剤としては、例えば、カルボキシルメチルセルロースやヒドロキシルメチルセルロースなどを挙げることができる。
このような増粘剤の含有割合については、本発明は特に限定することはないが、例えば、前述した潜熱蓄熱材全体(潜熱蓄熱作用を有する物質+水)重量に対し1重量%以下であることが好ましい。前述の微小繊維の場合と同様、これより多く含有した場合、蓄熱密度の低下を招くからである。また、添加量過多となった場合、流動状態を維持出来なくなり、結晶化速度の鈍化を招く。なお、当該増粘剤の含有割合の下限値については、特に限定することはないが、具体的には0.1重量%以上は必要であると考える。これより少ないと分散効果が得られない。
また、本発明の潜熱蓄熱材にあって、前述の増粘剤を含有せしめた場合には、その粘度を2000mPa・s以上とすることが好ましい。潜熱蓄熱材全体の粘度を2000mPa・s以上とすることすることにより、蓄熱材の分散状態を維持したまま良好な流動状態を維持することができるからである。
以上説明してきた本発明の潜熱蓄熱材によれば、放熱時においても、水溶性の糖アルコール類または無機水和塩が析出沈降することを防止することができ、常に均一な濃度分布を維持することができるとともに、良好な流動性を維持することが可能となる。従って、特に給湯システムにおいて有効に利用が可能である。
以下の表1に一つの具体例を示す。
Figure 0004830639
表1からも明らかなように、従来から用いられているエリスリトール、硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩と水とからなる潜熱蓄熱材を水に含有せしめた場合、撹拌等による分散効果を与えなければ数秒で沈降してしまった。しかしながら、本発明の潜熱蓄熱材、具体的には、潜熱蓄熱作用を有する物質としてエリスリトール、硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩を用い、これに水と微小繊維としてのセルロースとを含有してなる潜熱蓄熱材にあっては、撹拌等を行わずして半日以上も沈降しないで流動性を維持することができた。さらに、前記本発明の潜熱蓄熱材にさらに増粘剤としてヒドロキシルメチルセルロースを含有すると、1日後であっても沈殿することはなく、流動性を維持することができた。
潜熱蓄熱材において用いられる水溶性の糖アルコール類として、エリスリトールを用いた場合における、当該エリスリトールの潜熱蓄熱材全体に対する含有割合と融点、および熱量との関係を示すグラフである。 潜熱蓄熱材において用いられる無機水和塩として、硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩を用いた場合における、当該硫酸アンモニウムアルミニウム・12水和塩の潜熱蓄熱材全体に対する含有割合と融点、および熱量との関係を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 水溶性の糖アルコール類、または無機水和塩と、
    水と、
    非水溶性の微小繊維と、
    から構成されることを特徴とする潜熱蓄熱材。
  2. 融点が60〜90℃であることを特徴とする請求項1に記載の潜熱蓄熱材。
  3. 前記糖アルコール類が、キシリトール、トレイトール、エリスリトール、ガラクチトール、イジトール、ダルシトール、からなる群から選択される1または2以上の糖アルコールであることを特徴とする請求項1または2に記載の潜熱蓄熱材。
  4. 前記無機水和塩が、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸アンモニウムカリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウムからなる群から選択される1または2以上の水和塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の潜熱蓄熱材。
  5. 前記微小繊維が、セルロースからなることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つの請求項に記載の潜熱蓄熱材。
  6. 前記微小繊維の太さが、0.01〜1μmであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つの請求項に記載の潜熱蓄熱材。
  7. 前記微小繊維の含有割合が、潜熱蓄熱材全体に対し5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つの請求項に記載の潜熱蓄熱材。
  8. さらに、増粘剤が含有されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つの請求項に記載の潜熱蓄熱材。
  9. 前記増粘剤がセルロース系、アクリル系、バイオポリマー系、若しくはグリコール系の増粘剤であることを特徴とする請求項8に記載の潜熱蓄熱材。
  10. 前記増粘剤の含有割合が、潜熱蓄熱材全体に対し1重量%以下であることを特徴とする請求項8または9に記載の潜熱蓄熱材。
  11. 粘度が2000mPa・s以上であることを特徴とする請求項8〜10の何れ一つの請求項に記載の潜熱蓄熱材。
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